2020年1月2日木曜日

安倍首相、任期中の改憲「黄信号」 窮屈な日程…打開には総裁4選か―【私の論評】任期中の改憲には、時間の壁と、もう一つ大きな経済という壁がある(゚д゚)!


参院予算委で答弁する安倍首相

 安倍晋三首相の自民党総裁任期満了が来年9月末に迫る中、悲願の憲法改正にどれだけ近づけるかが今年の焦点となる。ただ、昨年の臨時国会で改憲手続きを定めた国民投票法改正案の採決は見送られ、改憲日程はすでに想定よりも大幅に遅れている。自民党内には早くも、首相が改憲を実現するには総裁任期の延長が必要だとの声も出始めている。

国民投票法改正案で誤算

 「首相の任期中の改憲はすでに黄信号だ」

 自民党の衆院憲法審メンバーはこう語る。自民党は昨年の臨時国会で国民投票法改正案を成立させた上で、今年の通常国会から憲法改正原案の作成に向けた本格議論に入る青写真を描いていた。改憲原案の議論には少なくとも2国会を要するとされることから、発議に持ち込むのは最速でも今秋にも開かれる臨時国会の終盤という目算だった。

 しかし、昨年の臨時国会では首相主催の「桜を見る会」の疑惑などが影響し、改正案の採決は見送られた。自民党は20日召集見通しの通常国会で改正案の成立を図ると同時に、改憲の本体議論を並行させることで巻き返しを図りたい考えだ。

 ただ、議論の場となる衆参の憲法審査会が始動するのは、令和2年度予算成立後の4月以降になる見通しだ。7月には東京都知事選や東京五輪が控えているため会期延長も想定できず、審議時間は限られる。野党が昨年の臨時国会のような遅滞戦術に出る公算も大きく、通常国会は改正案の成立で手いっぱいというのが実情だ。


 それでも、これが実現できれば首相任期中の改憲の目は残る。国民投票は国会発議後60日から180日の間に行う。今秋の臨時国会で改憲原案を国会に提示し、来年の通常国会で発議すれば、ぎりぎりながら任期満了前の国民投票は可能だ。

原案すり合わせだけでも…

 しかし、それも一筋縄にはいかない。国民投票で賛成多数とする上でも改憲原案は超党派で国会に提示するのが理想だが、安倍政権下での改憲に反対する立憲民主党などの野党が乗ってくる気配はない。

 自民党は連立を組む公明党や改憲に前向きな日本維新の会などとの共同提出を念頭に置くが、公明党にしても憲法9条への自衛隊明記など自民党が示す改憲案に賛同しているわけではない。改憲原案のすり合わせだけを考えても相当の時間がかかる見通しだが、与党間で本格的に協議している形跡はない。

 首相は改憲について「必ずや私の手で成し遂げたい」と公言している。改憲までの道のりは綱渡りだが、自民党中堅は「今年中に衆院解散・総選挙を行って勝利し、党総裁4選を認めさせるしか方法はない」と話している。

【私の論評】任期中の改憲には、時間の壁と、もう一つ大きな経済という壁がある(゚д゚)!

上の記事を簡単にまとめてしまうと、憲法改正議論が遅れているので、このままでは時間の壁により、安倍総理は任期中に、宿願の憲法改正ができない可能性がある。その壁を克服するには、総裁四選をするしかないというものです。

しかし、たとえ安倍総理が4選を果たしたとしても、なお大きな壁があります。それは、経済の悪化です。今年の秋頃には確実に景気が下降しているのは確実です。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】令和元年の日本経済を冷やした“最悪のタイミング”での消費増税 景気対策は1度では済まない―【私の論評】すでにあらゆる数値が悪化!政府の景気対策は明らかに後手にまわり、手遅れに(゚д゚)!
浅草仲見世通り昨年暮れから新春のような賑わいをみせていた


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分のみを引用します。

そもそも補正予算の成立が遅すぎるのです。増税に伴う景気減速が目に見えていたにもかかわらず、10~12月の臨時国会での補正予算成立を目指さず、政府は1月20日に召集される通常国会での早期成立を目指す姿勢です。 
仮に1月中に補正予算が成立しても、実際に予算が執行されるのは年度末の3月になってしまいます。つまり、増税から半年も追加対策を打てぬまま時間が過ぎてしまうわけです。 
高橋洋一氏が冒頭の記事で主張するように、景気対策を一度で済ますことなく、来年度(’20年度)の補正もすぐさま打たないと景気の下支えは難しいです。政府の対策が後手に回っているのは明らかです。 
’20年はオリンピックイヤー。東京五輪直前にテレビをはじめ、家電の駆け込み需要が発生する可能性もありますが、「6月にはキャッシュレス決済のポイント還元制度が終了して消費の落ち込みが一層激しくなり、さらに五輪後にはインバウンド需要が急速に萎むでしょう。 
そうして、本格的な景気後退局面入りになるのは明らかです。果たして、いつまで安倍政権は「緩やかに回復している」と言い続けられるのでしょうか。 令和2年の日本は、いまののままでは、経済がかなり落ち込むことを覚悟をすべきです。
 自民党の規則では4選は禁じられているため、安倍現総裁の任期も最長で令和3年の9月までとなります。そして10月には衆議院議員も前回の選挙から4年がたち、任期満了となるため、それまでに動きを見せるという意味では、令和3年の冒頭までに総選挙を行うことは十分に考えられます。

私自身は、IR問題が起こる前には、来年1月解散、2月総選挙であると睨んでいました。その根拠としては、経済が落ち込む前に大規模な経済対策などを打つことを公約として、選挙をすれば十分に勝つ可能性があるからです。

秋以降だと、たとえある程度大規模な経済対策を実施したにしても、実施開始は4月以降ですから、経済がかなり落ち込むのは、目に見えているからです。しかし、IR問題が出てきたので、この線は崩れる可能性もあります。

いずれにしても、安倍政権は憲法改正を確実に成功させるためには、経済の底上げをして、衆院で勝利して、憲法改正勢力を2/3以上にしておく必要があります。


安倍政権は国会で改憲勢力が2/3以上にならなければ、改憲できない

私としては、安倍政権が憲法改正を確実にしたいというのなら、総裁四選は無論のこと、国民誰もが経済が浮揚すると思える経済対策を打つべきだと思います。

そのためには、一見夢物語にも思える、消費税を5%に戻すという案も俎上に乗せるべきと思います。そもそも、消費税を上げると景気が悪くなるから経済対策を実行するというのが、おかしなことです。経済が悪くなるとわかっているなら、増税などしなければ良いのです。

今回の10%でまた景気が悪化すれば、多くの国民は消費税増税は大失敗だったと認識するようになると考えられます。

それに、消費税を5%に戻すことができれば、日本でも景気が悪くなれば、減税などの積極財政を実施、景気が加熱すれば、増税などの緊縮財政を実行するなど、米英などでは当たり前の、機動的財政政策ができるようになるでしょう。

ただし、これには、増税しないと財政破綻するなどという、財務省の大嘘も論破しなければなりません。安倍政権が憲法改正をしたいというのなら、これは避けて通れないでしょう。

さらに、日銀法も改正して、日本国の金融政策の目標は政府が定め、日銀は専門家的な立場から、それを実行するための手段を自由に選べるようにすべきです。何しろ、これこそが、世界標準の中央銀行の独立性なのですから、そうすべきです。

そうして、早急に従来の異次元の金融緩和に戻すべきです。それに、経済対策としては、こちらのほうがより重要です。なぜなら、政府がいくら積極財政をとろうと、日銀が金融引き締めをしていれば、市場で流通するマネーは減衰するからです。これらによって、経済が回復すると市場が確信すれば、まずは株価が上がりはじます。そうして、衆院での自民党の勝利も確実になります。

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