「政府の基本的方向性」を表明する安倍総理大臣 |
読売新聞社が2014年5月9日から11日にかけて行った世論調査によると、71%が集団的自衛権の行使を容認する考えを示した。大半が「限定容認論」を支持しているが、8%は全面的に容認する考えだ。
設問の内容は
「日本と密接な関係にある国が攻撃を受けたとき、日本への攻撃とみなして反撃する権利を『集団的自衛権』と言います。政府はこれまで、憲法上、この権利を使うことはできないとしていました。この集団的自衛権について、あなたの考えに最も近いものを、1つ選んで下さい
というもの。「使えるようにする必要はない」という選択肢を選んだ人が25%にとどまったのに対して、「全面的に使えるようにすべきだ」が8%、「必要最小限の範囲で使えるようにすべきだ」は63%にのぼった。
一方、朝日新聞社が4月19~20日に行った世論調査では、容認に否定的な結果が出ている。
「集団的自衛権についてうかがいます。集団的自衛権とは、アメリカのような同盟国が攻撃された時に、日本が攻撃されていなくても、日本への攻撃とみなして、一緒に戦う権利のことです。これまで政府は憲法上、集団的自衛権を使うことはできないと解釈してきました。憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を使えるようにすることに、賛成ですか。反対ですか」
という問いに対して、賛成は27%にとどまり、反対は56%にのぼった
【私の論評】集団的自衛権は世界の常識、今までが非常識であったと認識すべき(゚д゚)!
安倍晋三首相は15日夕、首相官邸で記者会見を開き、集団的自衛権行使など安全保障上の課題について「政府の基本的方向性」を表明し、国民に理解を求めました。会見の詳報は以下の通りです。動画と、書き起こしの両方を以下に掲載します。
「こうした事態は机上の空論ではありません。連日、ニュースで報じられているように、南シナ海ではこの瞬間も、力を背景とした一方的な行為によって国家間の対立が続いています。これはひとごとではありません。東シナ海でも、日本の領海への侵入が相次ぎ、海上保安庁や自衛隊の諸君が高い緊張感を持って24時間体制で警備を続けています。北朝鮮のミサイルは、日本の大部分を射程に入れています。東京も大阪も、みなさんの町も例外ではありません。そして、核兵器の開発を続けています。さらには、サイバー攻撃など、脅威は瞬時に国境を越えてきます」
「これは、私たちに限ったことではありません。もはやどの国も一国のみで平和を守ることはできない。これは世界の共通認識であります。だからこそ私は、『積極的平和主義』の旗を掲げて、国際社会と協調しながら、世界の平和と安定、航空・航海の自由といった基本的価値を守るために、これまで以上に貢献するとの立場を明確にし、取り組んできました」
「積極的平和主義の考え方は、同盟国である米国はもちろん、先週まで訪問していた欧州各国からも、そしてASEANの国々をはじめとするアジアの友人たちからも高い支持をいただきました。世界が日本の役割に大きく期待をしています。いかなる事態においても、国民の命と暮らしは断固として守り抜く。本日の報告書では、そうした観点から提言が行われました」
「今後、政府・与党において具体的な事例に即してさらなる検討を深め、国民の命と暮らしを守るために、切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備します。これまでの憲法解釈のもとでも可能な立法措置を検討します」
「例えば、武力攻撃に至らない侵害、漁民を装った武装集団がわが国の離島に上陸してくるかもしれない。こうしたいわゆる『グレーゾーン事態』への対処をいっそう強化します。さらに、PKOや後方支援など、国際社会の平和と安定に、いっそう貢献していきます」
「その上でなお、現実に起こり得る事態に対して万全の備えがなければなりません。国民の命と暮らしを守るための法整備が、これまでの憲法解釈のままで十分にできるのか、さらなる検討が必要です。こうした検討については、『日本が再び戦争をする国になる』といった誤解があります。しかし、そんなことは断じて有り得ない。日本国憲法が掲げる平和主義は、これからも守り抜いていきます。そのことは明確に申し上げておきたいと思います」
「むしろ、あらゆる事態に対処できるからこそ、そして対処できる法整備によってこそ、抑止力が高まり、紛争が回避され、わが国が戦争に巻き込まれることがなくなる、と考えます」
「今回の報告書では、2つの異なる考え方を示していただきました。1つは『個別的か集団的かを問わず自衛のための武力の行使は禁じられていない、また、国連の集団安全保障措置への参加といった国際法上、合法な活動には憲法上の制約はない』とするものです」
「しかし、これは、これまでの政府の憲法解釈とは論理的に整合しない。私は、憲法がこうした活動の全てを許しているとは考えません。したがって、この考え方、いわゆる『芦田修正論』は、政府として採用できません」
「自衛隊が、武力行使を目的として、湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、これからも決してありません。もうひとつの考え方は、わが国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許される、との考え方です」
「生命、自由、幸福追求に対する国民の権利を、政府は最大限尊重しなければならない。憲法前文、そして憲法13条の趣旨をふまえれば、自国の平和と安全を維持し、その存立をまっとうするために、必要な自衛の措置をとることは禁じられていない。そのための必要最小限度の武力の行使は許容される。こうした従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方です」
「政府としてはこの考え方について、今後さらに研究を進めていきたいと思います。切れ目のない対応を可能とする国内法整備の作業を進めるにあたり、従来の憲法解釈のままで必要な立法が可能なのか。それとも、一部の立法にあたって憲法解釈を変更せざるをえないとすれば、いかなる憲法解釈が適切なのか。今後、内閣法制局の意見も踏まえつつ、政府としての検討を進めるとともに、与党協議に入りたいと思います」
「与党協議の結果に基づき、憲法解釈の変更が必要と判断されれば、その点を含めて、改正すべき法制の基本的方向を、国民の命と暮らしを守るため、閣議決定してまいります。今後、国会においても議論を進め、国民の皆様の理解を得る努力を継続していきます。十分な検討を行い、準備ができしだい、必要な法案を国会にお諮りしたいと思います」
「日本は戦後70年近く、一貫して平和国家としての道を歩んできました。これからも、この歩みが変わることはありません。しかし、『平和国家である』と口で唱えるだけで、私たちの平和な暮らしを守ることはできません。私たちの平和な暮らしも、突然の危機に直面するかもしれない。そんなことはないと、誰が言い切れるでしょうか。テロリストがひそむ世界の現状に目を向けたとき、そんな保障はどこにもありません」
「政府は、私たちは、この現実に真っ正面から向き合うべきだと私は考えます。私たちの命を守り、私たちの平和な暮らしを守る。そのためには、いかなる事態にも対応できるよう、常日頃から隙のない備えをするとともに、各国と協力を深めていかなければなりません」
「それによって、抑止力が高まり、わが国が戦争に巻き込まれることがなくなると考えます。さきほど申し上げたような事態においても、しっかりと日本人の命を守ることこそが、総理大臣である私の責任であると確信します。今後、検討を進めるにあたり、国民の皆様のご理解、心からお願いを申し上げる次第であります。私からも引き続き、あらゆる機会を通して丁寧に説明をしていきたいと思います」
「再度申し上げますが、まさに紛争国から逃れようとしている、お父さんやお母さんやおじいさんやおばあさん、子供たちかもしれない、彼らが乗っている米国の船を今私たちは守ることができない。そして、世界の平和のためにまさに一生懸命汗を流している若い皆さん、日本人を、私たちは自衛隊という能力を持った諸君がいても守ることができない」
「そして一緒に汗を流している他国の部隊、もし逆であったら彼は救援に訪れる。しかし私はそれを断らなければならない。見捨てなければならない。おそらく世界は驚くことでしょう。こうした課題に、日本人の命に対して守らなければいけない責任を有する私は、総理大臣は、日本国政府は、検討していく責務があると私は考えます。私からは以上です」以下は、記者団からの質問と、それに安部総理が答えた内容です。
私自身は、集団的自衛権はあたり前のど真ん中であり、それが国際常識であり、集団的自衛権を認めてこなかったことのほうが、余程異常であり狂っていたと思います。
新聞報道においては、朝日が明らかに世論を誘導しています。
大手紙の集団的自衛権に関する世論調査は下記のようにまとめることができます。
●読売新聞(5月9、10、11日)全面賛成 8% 限定賛成 63% 反対 25%
●朝日新聞(4月19、20日)賛成 27% 反対 56%
●毎日新聞(4月19、20日)全面賛成 12% 限定賛成 44% 反対 38%
●産経新聞(4月26、27日)全面賛成 7% 限定賛成 64% 反対 26%
この結果で明確な事実は、4紙中3紙が集団的自衛権の行使で全面賛成と限定賛成を合わせれば過半数を占めて、朝日新聞だけ全面賛成も限定賛成の選択肢が無く賛否の二者択一なことです。
朝日新聞は集団的自衛権の行使の質問内容において、全面容認、限定容認、行使反対にしなかったのでしょうか。なぜ、朝日新聞は賛成、反対以外に「どちらともいえない」の選択肢が無かったのでしょうか。
その理由は他3紙の如く全面容認と限定容認を合わせて過半数超えの結果となることを恐れたためと考えられます。これは明らかな世論操作であると思います。
集団的自衛権に関しては、私自身はあまりにあたり前すぎることなので、それに対してあれがとうのこれがどうのと、論評することは控えさせていただきます。ただし、もっともあたり前で、常識的に説明している高橋洋一氏の記事のURLを以下に掲載しておきます。
「個別」「集団」の区別は世界の非常識 集団的自衛権の基礎知識詳細はこの記事をご覧いただくものとて、高橋洋一氏は、この記事の結びに集団的自由権についてまとめています。その部分のみ以下に掲載します。
集団的自衛権の反対論者が言う、「巻き込まれ論」は、国際的に日本だけは「見て見ぬふり」を公言しているのをわかっていない。
それと、地球の裏側まで行くのかという議論も、極論である。正当防衛論から見れば、「緊迫性」、「必要性」、「相当性」が求められているので、地球の裏側というのは、そうした要件に該当するものとはなりにくいので、極論といえるわけだ。
報告書では、2008年に示された4類型(公海における米艦の防護、米国に向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃、国際的な平和活動における武器使用、同じ国連PKO等に参加している他国の活動に対する後方支援)のほかに、次の6事例があげられている。
事例1:我が国の近隣で有事の船舶の検査、米艦等への攻撃排除等
事例2:米国が武力攻撃を受けた場合の対米支援
事例3:我が国の船舶の航行に重大な影響を及ぼす海域(海峡等)における機雷の除去
事例4:イラクのクウェート侵攻のような国際秩序の維持に重大な影響を及ぼす武力攻撃が発生した際の国連の決定に基づく活動への参加
事例5:我が国領海で潜没航行する外国潜水艦が退去の要求に応じず、徘徊(はいかい)を継続する場合の対応
事例6:海上保安庁等が速やかに対処することが困難な海域や離島等において、船舶や民間人に対し武装集団が不法行為を行う場合の対応
これらに対して、次の3つの対応が考えられる。
A. 対応を行わない
B. 個別的自衛権の延長として、行う
C. 集団的自衛権として、行う
A~Cのどれでいくのか。ただし、これまで述べたように、Bは国内でしか通じないロジックで、国際的にはCと見られる。さて、この記事を書いた高橋洋一氏集団自衛権に関して、面白いツイートをされていました。それを以下に掲載します。
猫ですら「他人のために正当防衛」する。これは集団的自衛権と同じ。日本は猫にも劣るのか。この話題をNHKは集団的自衛権の後、両者の関係をわからずに放送した(笑)←猫が猛犬に体当たり、飼い主の子ども救う 米 http://t.co/0YUUSaEAzi @cnn_co_jpさんから
— 高橋洋一(嘉悦大) (@YoichiTakahashi) 2014, 5月 15
このツイートにでてくる、「猫が猛犬に体当たり」のCNNのニュースで放映された動画を以下に掲載します。
この猫は、普段は自分より体格の大きい犬などに体当たりなどしないと思います。しかし、飼い主の子供が危険にさらされたため、これを守るためやむなく体当たりをしたのだと思います。
これは、猫でさえ防衛本能があることを示しています。このあたり前のことをできるようにするということが、集団的自衛権ということです。
集団的自衛権について、反対する人たちの論拠としては、この子どもがこの犬に対して攻撃をしようとか、あるいは子どもにとって脅威になるような、この猫があずかり知らない遠く離れたところにいる犬や人間に対する攻撃を仕掛けた場合、猫は自分の意思に反しても、これらの犬や人間に対してまて゜攻撃しかけなければならなくなるといって反対しているわけです。
しかし、このような場合は無論猫の判断になると思います。この猫が子どものことが心配で、遠くに行ったときも、必ずついてまわり、その都度攻撃に加担するかどうかを決めるのはあくまで猫の判断によるものと思います。
決して、自動的に攻撃をするというわけではないと思います。子どもとの関係や、自分の利益を考えた場合、それでやるべきと判断した場合は、実行するでしようし、そうでなければ、攻撃には加担しないでしょう。
それは、集団的自衛権を認めたから自動的に攻撃に加担しなければならないというわけではなく、あくまで、猫の判断によります。
海外で支援活動をする自衛隊員や、民間人を守ることができないなど非常識(゚д゚) その非常識を貫き通すというのなら、鎖国するしかないが、鎖国もかなり危険だ(゚д゚)! |
現実の集団的自由権に話をもどせば、その時々の国際情勢と他国との関係において、決まるものであり、集団的自由権により、自動的に他国の戦争に加担するというわけではありません。あくまで、総合的長期的判断によるものです。
その総合的長期的判断により、攻撃すべきとなれば、地球の裏側に行ってまで攻撃するでしょうし、そうでなけばすぐ近くで味方の軍隊が攻撃を受けて被害者を出しても見捨てることでしょう。極限すれば、アメリカが弱小国に成り果てて、助けても日本にとって何にもならないということになれば、見放せば良いことですし、恩義があるか今後国益になると思えば、助けるべきです。
これは、冷たいようですが、現実です。私たちが住んでいる世界は、お花畑ではないのです。有力な国々のパランス・オブ・パワーで均衡しているというのが現実です。日本は軍事的には弱い立場にありますが、経済的にはあいかわらず強い国ですから、今はアメリカも日本が攻撃を受ければ、助けてくれるかもしれません。しかし、日本が軍事的にも経済的にもとるに足りない国になれば、中国から攻撃を受けても手のひらを返したように、見捨てられるようになります。日本が、ラオスやカンボジア程度の経済になれば、確実にそうなります。
私たちはお花畑の住人ではない(゚д゚)! |
集団的自衛権は、こうした厳しい現実の枠組みで考えなければなりません。集団的自衛権に対して、闇雲に反対する人々は、世界はこうした厳しい枠組みの中で動いていることを理解していません。話になりません。
世界中の国が行使できる集団的自衛権を、日本も当然行使できるようにすべきです。するしないは別にして、何でも出来る事が我が国への侵略を抑止するのです。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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