2021年3月31日水曜日

日米豪印クワッドが国際社会に示した意義―【私の論評】QUAD協定には「毒薬条項」を盛り込んででも、中国の政治的介入から守り抜くべき(゚д゚)!

日米豪印クワッドが国際社会に示した意義

岡崎研究所

 日米豪印4カ国(クワッド)の首脳、菅義偉総理、ジョー・バイデン米大統領、スコット・モリソン豪首相、ナレンダラ・モディ印首相は、3月12日に初の四カ国首脳会議をオンライン形式で開催した。翌日3月13日付のワシントン・ポスト紙には、4首脳が連名で投稿し、インド太平洋地域の自由と繁栄を連携して守ると国際社会に宣言した。


 バイデン大統領は政権発足直後から、外交に積極的に取り組んでいる。バイデン・ドクトリンとでも呼ぶべき 1)米国主導での国際社会への関与、2)民主主義など政治価値の推進、3)新型コロナウイルス、気候変動など国際的課題への取り組み、4)同盟国との連携及び国際機関への関与、5)政策専門家の重用などの、外交指針も明示した。

 政権発足前には、米国民の新型コロナウイルス感染への対応、米経済活動の再開と雇用の創出、国民の分断と対立の解消など国内政策に集中すると思われたが、予想以上に外交に注力している。トランプ前大統領の4年間で混乱し脆弱化した、リベラルな国際秩序を重視する国々には好感すべき滑り出しだ。

 ワシントン・ポスト紙に寄せられた論説では、日米豪印の首脳が連名でインド太平洋地域にクワッドとして取り組む宣言を行った。クワッドによる 1)民主主義的価値を基盤とした協働、2)新型コロナウイルスと気候変動への取り組み、3)インド太平洋地域の平和と繁栄の促進、4)東南アジア諸国、太平洋島嶼国、インド洋地域との連携が柱である。

 米国がクワッドを主導して、これまで概念的だった「自由で開かれたインド太平洋構想」に、具体的に四カ国が共有する行動指針を国際社会に示した意義は大きい。さらに、年内にはオンライン形式ではなく、実際に首脳が集ってクワッド首脳会合を目指すとしており、喫緊の課題に迅速に対応するという決意も伝わってくる。

 ワシントン・ポスト紙の論説は、スマトラ沖地震、新型コロナウイルス感染、気候変動など、インド太平洋全域に共通の危機への対応をクワッドの出発点、そして存在意義として打ち出している。共通の危機に対する含意の背景には中国の国内外における行動への強い警戒感があるが、中国を名指しすることはせず、中国も協力しやすい人道援助や災害救済を柱として書いている。中国と米国のどちらかを選択することを回避したい地域諸国、中でも東南アジア諸国への配慮が示されているのだろう。バイデン政権ではキャンベル・インド太平洋調整官が論説の作成に関与していると言われるが、北東アジア政策に加えて東南アジア政策も意識してきた人物であり、クワッドの鍵を握る存在なのだろう。

 ただ、政策の構築と遂行は全く別である。クワッドはインド太平洋全域の平和と繁栄のために協働することを宣言したが、「悪魔は細部に宿る」の通りで、新型コロナウイルスのワクチンで成果を出せるか、中国に対して東南アジア諸国も抱き込みながら対応できるかが、四カ国首脳に問われている。日本には、菅首相の4月の訪米でバイデン大統領と共に「インド太平洋構想」の強いメッセージを打ち出すことが期待されている。日米同盟を基軸に、この地域に具体的にどのような貢献ができるのか、域内諸国も注視する日米首脳会談となろう。

【私の論評】QUAD協定には「毒薬条項」を盛り込んででも、中国の政治的介入から守り抜け(゚д゚)!

インド太平洋において日米から中核的な役割を期待されているのが、日米豪印Quadです。Quad各国は、豪州に対する経済強制をはじめ、それぞれが中国と深刻な問題を抱えています。Quadの対話レベルは、トランプ政権により外相級に、バイデン政権により首脳級へと一貫して引き上げられており、その将来性には大きな期待が集まっています。

          QUADは12日(現地時間)、初の首脳会議をオンラインで行った。 シドニーから
         参加するオーストラリアのスコット・モリソン首相(左)。

今回のオンラインサミットでは、ワクチン、重要・新興技術、気候変動についての作業部会の立ち上げという成果も上がりました。だが協力の制度化はこれからが本番といえるでしょう。

この地域の平和と安定を維持する上で依然として最も重要なのは、抑止力と対処力を兼ね備えた日米同盟です。バイデン政権はこうした考えを明らかにするため、ブリンケン国務長官、オースティン国防長官の初の外遊先として東京を選びました。

日米2+2での最大の注目点は、中国を名指しして批判したことです。前回2+2では「地政学的競争及び威圧的試み」といった表現が用いられました。これはもちろん中国を念頭に置いてのことですが、中国に対する姿勢を硬化させていたトランプ政権下での開催だったにもかかわらず、中国の名指しは回避されました。今回の言及で、バイデン政権の中国に対する強い危機感が反映された格好です。

日米豪印サミット、米韓2+2では中国への直接の言及が避けられたことから、対中脅威認識を日本が米国と高度に共有していることが示されました。尖閣諸島での領海侵入や海警法制定をはじめ、政治的、経済的、軍事的及び技術的な課題を引き起こしているのは中国であり、日本は自らの戦略上の判断として名指しでの中国批判に踏み切ったのです。

一方で米国は、日本防衛の手段として核能力が含まれると改めて表明しましたが、これも中国による現状変更の試みに対する危機感の表れです。

加えて台湾海峡の平和と安定の重要性が盛り込まれました。これは、6年以内の台湾侵攻の可能性という、インド太平洋軍のデービッドソン司令官による連邦議会上院軍事委員会での証言と軌を一にしているといえます。

インド太平洋軍のデービッドソン司令官


そうして日本の報道などでは見落とされがちですが、重要な意味を帯びたのがオースティン国防長官のインド訪問でした。インドは日、豪、韓国とは異なり、米国の条約上の同盟国ではありません。

しかしながら、国防長官が政権発足後の早い段階でインドを訪問したのは、中国についての安全保障上の懸念を米印が共有しているからです。インドにとっては中国との国境紛争で45年ぶりに死者が出たことが大きかったようです。

インド太平洋の重要な同盟国及びパートナーとの連携を深化させた上で、バイデン政権が臨んだのが中国との協議でした。この協議が行われたアラスカ州アンカレッジで、ブリンケン長官にサリヴァン大統領補佐官が合流したのですが、米中会談の幕開けは大荒れでした。

会議中に楊潔篪中国共産党政治局委員がふるった長広舌は異常だったと言わざるを得ないです。そしてアラスカから帰国した王毅外交部長は、広西桂林でラブロフ外相を迎え、中露の結束と米国への対抗を鮮明にしました。

一連の外交日程は、菅義偉総理のアメリカ訪問で山場を迎えることになります。菅総理はバイデン大統領と対面で会談する最初の外国首脳となり、日米同盟の重要性が改めて示されることとなるでしょう。

日米の戦略レベルでの足並みはほとんど一致していますが、例えばウイグル問題へのスタンスについての調整、すなわち日本によるより強い姿勢が必要となるでしょう。だが急激に高まる中国の脅威を考えれば、調整範囲は全体からみれば若干にとどまると言って差し支えないでしょう。

大いに議論を深めるべきは、日米同盟の将来像についてです。それは駐留経費負担といった同盟管理の文脈を越え、中国の脅威を見据えながらインド太平洋及び世界全体を視野に入れたものでなければならないです。

デービッドソン司令官は上院軍事委員会で、米軍の量的優位だけでなく、いくつかの領域では質的優位も崩れつつあると証言しており、対中抑止力をいかに維持するかが重要かつ喫緊の課題となっています。沖縄を含む第一列島線上でのミサイル網の構築は、待ったなしの状況です。

一方でプレスの前での緊迫した応酬にもかかわらず、バイデン政権は気候変動での米中協力を引き続き模索しています。もそも、中国では温暖化などの前に、人権が侵害されているのは明らかであり、人権侵害をしたまま、温暖化に取りくんだとしても、無意味です。

温暖化は中国にとっての格好の隠れ蓑になるかもしれません。今の中国は昨日も述べたように失業者が2億人ともされています。そうなると、消費活動は停滞し、産業活動も停滞するはずです。にもかかわらず、中国は昨年の経済成長は2.3%であり、奇跡的なV字回復をしたことにしています。

経済が停滞した、中国では今後温暖化目標など、何もしなくても達成できる可能性が大きいです。しかし、習近平は中国の努力によって、達成したように見せかけるでしょう。

バイデン外交は始動したばかりです。そうして、ジョー・バイデンが中国と深い関係を持ち、息子のハンター・バイデンが中国に買収されてしまっているのは紛れもない事実です。

現在ジョー・バイデンの登場によって習近平は、政治的には有利な立場に立っているのは事実です。

習近平がこれを、利用するのは間違いありません。温暖化で協力したみかえりに、バイデンから譲歩を得ようと画策するのは目にみえています。

上の記事にもあるように、政策の構築と遂行は全く別です。クワッドはインド太平洋全域の平和と繁栄のために協働することを宣言したのですが、「悪魔は細部に宿る」の通りで、バイデンが中国に譲歩してしまう危険性は無視できません。


そうならないように、日豪印は、米国を牽制するべきです。それも、努力目標などではなく、制度的に米国が中国に譲歩できない仕組みをつくるべきです。

2018年米国がトランプ政権下で、メキシコやカナダと合意した新たな自由貿易協定に、中国との自由貿易協定を厳しく制限するいわゆる「毒薬条項」が盛り込まれ、今後の日米交渉にも影響が出かねないとして、注目を集めました。

毒リンゴを食べたら死んでしまいます。同じように“毒薬条項”とは、その条項を発動すれば、契約そのものをご破算にすることが出来るというものです。主に企業の敵対的な買収を防ぐための対抗策などにも使われてきた言葉です。

米国は、NAFTA=北米自由貿易協定の見直しを求めて交渉した結果、2018年10月までにメキシコやカナダと新たな合意を結びました。米国通商代表部が公表したその条文案の中に、以下のような文言が盛り込まれていました。

3か国のうち1か国が「“市場経済でない国”と自由貿易協定を発効させれば」他の2か国は「この協定を“打ち切ることも出来る”」というのです。

“市場経済でない国”とは、ずばり中国のことです。当時のロス商務長官は、中国による知的財産権の侵害など、不公正な慣行を正当化するような“抜け道”を塞ぐのが目的だと言っています。

要は「米国の知らないところで米国の意に反する合意を中国と結ぶな!」そう釘を刺したかたちです。当然中国は反発しました。そして当時問題とされたのは、その後の日本と交渉する貿易協定にも同じような条項を取り入れたいと、トランプ政権が考えているとされていたことです。

仮に日米協定にも、こうした「毒薬条項」が盛り込まれたら、どうなるのかと懸念されたのです。当時日本が中国を含めて交渉している日中韓FTA=自由貿易協定やRCEP=東アジア包括的経済連携協定にも影響が出かねないともされていました。

最悪の場合、日本企業は、米国市場をとるか?それとも中国市場をとるか?いわば二者択一を迫られてしまうことになるかもしれないと危惧されていました。

そうした厳しい事態に追い込まれないためにも、“悪魔は細部に宿る”そう地米国の格言に言うとおり、その後の日米交渉には、細心の注意が必要となるといわれていました。

幸いなことに、その後日米協定に「毒薬条項」が盛り込まれることはありませんでした。これは、日本がインド・太平洋地域の安全保障に関しては、当時の安倍総理がその危機言い始め、QUADに関しても、安倍総理が最初に提唱したことなどもあり、さらには当時の安倍総理が当時のトランプ大統領と良い関係を構築したことになどにもよるでしょう。

「毒薬条項」とまではいかなくとも、QUADにおいても、いずれの国であっても、他国にみえないところで、中国に譲歩すれば、何らかの罰則が与えられるなどの、仕組みは構築しておくべきと思います。

そうすることにより、米国のバイデン政権はもとより、日本の自民党の二階氏などの親中派、媚中派を牽制することもできますし、インドやオーストラリアにも、親中派は存在するため、それらがいつ息を吹き返し、中国に譲歩するかなどのことは、ありえないことではないです。

いわゆる、QUADに属する国々の親中派・媚中派が中国に利するようなことをした場合、彼らの資産を凍結するとか、公職追放とか、QUAD諸国ならびに、QUADに親和的な国々に入国できなくするなどの措置を取るなどのことが考えられます。

さらには、これらの人をそそのかした中国人の資産凍結、QUAD諸国ならびにこれに親和的な国々に入国できなくするなどの措置もとれば完璧だと思います。

いずれ、QUADはそこまでしても、これに属する国々の安全保障を守り抜き、中国と対峙していくべきものと思います。

こんなことを言うと、人非人のように思われるかもしれませんが、それだけ中国各国への浸透は思いの外深いですし、現在でも中国夢という虚妄に浸り、中共のプロパガンダを信じ込み、中国で大金儲けをしようと考える人は多いです。

そうではなくても、中共のハニートラップにかかってしまい、頭ではわかっていても、下半身がいうことをきかず、中共のいいなりになる人も多いです。

そんなことで、世界の秩序が中共に都合良い良いに作り変えられてしまってはたまったものではありません。QUAD諸国は結束を固めるためにも、何らかの制度を導入すべきでしょう。

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