2021年3月28日日曜日

安保法施行5年、進む日米一体化=武器等防護、豪州に拡大へ―【私の論評】正確には武器防護は一度も行われてないないが、警護は行われ、それが中国等への牽制となっている(゚д゚)!

安保法施行5年、進む日米一体化=武器等防護、豪州に拡大へ

日本の燃料補給艦から補給を受ける米軍のイージス艦

 集団的自衛権行使を一部容認する安全保障関連法が施行されて29日で5年。この間、海上自衛隊の艦艇による米艦防護などを通じ、日米の軍事的一体化は進んだ。先の日米安全保障協議委員会(2プラス2)では、東・南シナ海で威圧的行動を繰り返す中国への懸念を共有。菅義偉首相とバイデン大統領による4月の日米首脳会談でも対中戦略が主要議題となる見通しだ。

 「もう米国から『ブーツ・オン・ザ・グラウンド』『ショー・ザ・フラッグ』と言われるような日本ではなくなっている」。茂木敏充外相は22日の参院外交防衛委員会で、イラク戦争で自衛隊の貢献を求められた象徴的な言葉を引き合いに、安保法施行後の日米同盟強化を強調しました。

ブーツ・オン・ザ・グラウンド』『ショー・ザ・フラッグ』発言をしたアーミテージ氏

 同法施行により、自衛隊は外国の艦艇や航空機を「武器等防護」の名目で護衛することが可能になった。2017年5月に初めて海自護衛艦が米補給艦を防護して以降、18年は16件、19年は14件と着実に実施。防衛省幹部は「米国からの信頼を得ている証しだ」と胸を張る。

 20年は25件で過去最多となった。内訳は、弾道ミサイル対応を含む情報収集・警戒監視に当たる米艦艇の防護が4件、共同訓練の際の航空機防護が21件だった。

 しかし、自衛隊の任務が拡大する一方で、その活動実態は不透明だ。防衛省は運用状況を毎年公表しているが、分類は「情報収集・警戒監視」「輸送・補給」「共同訓練」といった概要のみ。実施場所や時期も明らかにしていない。岸信夫防衛相は23日の記者会見で「相手(米軍)との関係で発信できる情報も限られてしまう」と理解を求めた。

 沖縄県・尖閣諸島周辺では中国海警局の船舶が領海侵入を繰り返している。米政府は対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が尖閣にも適用されると明言しているが、外務省幹部は「日本がまず自分たちで戦うことが前提。そうじゃないと米国は守ってくれない」と指摘する。年内に再び開く日米2プラス2では、自衛隊のさらなる役割拡大が議論される見通しだ。

 防護対象は米国以外にも拡大しつつある。昨年10月の日豪防衛相会談では、オーストラリア軍を防護対象に加える調整に入ることで合意。実現すれば米国に続き2カ国目となる。

 欧州各国も中国の海洋進出への懸念を強めている。フランスは昨年末、沖ノ鳥島(東京都小笠原村)周辺海域での日米仏共同訓練に潜水艦を派遣。英国は年内に最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を東アジアに派遣する方針だ。こうした国も将来的に武器等防護の対象になる可能性がある。

 ◇武器等防護の実施件数と種類

       情報収集・警戒監視 輸送・補給 共同訓練

2017年      0       0     2

  18年      3       0    13

  19年      4       0    10

  20年      4       0    21

【了】

【私の論評】正確には武器防護は一度も行われてないないが、警護は行われ、それが中国等への牽制となっている(゚д゚)!

2015年成立した安全保障関連法で新設された「武器等防護」(自衛隊法95条の2)の規定をいかに掲載します。
(合衆国軍隊等の部隊の武器等の防護のための武器の使用)

第九十五条の二  自衛官は、アメリカ合衆国の軍隊その他の外国の軍隊その他これに類する組織(次項において「合衆国軍隊等」という。)の部隊であつて自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動(共同訓練を含み、現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除く。)に現に従事しているものの武器等を職務上警護するに当たり、人又は武器等を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六 又は第三十七条 に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。

2 前項の警護は、合衆国軍隊等から要請があつた場合であつて、防衛大臣が必要と認めるときに限り、自衛官が行うものとする。
米軍等の要請を受けて防衛相が必要と認めるときは「警護」(95条の2第2項)を行う。この「警護」中に、外部からの攻撃など「防護」の必要がある場合に武器使用ができる(同第1項)。

現時点では外部からの攻撃が発生していません。今後「防護」すべき事態が起きる可能性がゼロとは言えないが、現段階はそうした事態に至っていません。したがって、正確には「防護」ではなく、「警護」の実施という段階にあるというのが正しいです。

法律概念の違いだけでなく、「防護」と「警護」では一般に与える印象も違うと思われます。「防護」は「警護」よりも一段と差し迫った状況を想起するのではないでしょうか。なぜ、メディアはわざわざ「警護」を飛び越えて「防護」の表現を使いたがるのでしょうか。

ところで、一部メディアでは、2017年当時には「防護」の際には「正当防衛や緊急避難のための必要最小限の範囲で武器の使用が認められる」(毎日新聞)といった解説もみらましたが、これも正確ではありません。武器使用要件は「事態に応じ合理的に必要と判断される限度」、正当防衛等は危害許容要件(同但書)であるが、両者を混同しています。

ところが、新設された自衛隊法95条の2に基づく「警護」の実施は初めてだとしても事実上の米艦「警護」の例は過去にもありました。

9・11同時多発テロ直後の2001年9月21日、米空母キティホークなど4隻の米艦艇が横須賀から出航した際に、海自の護衛艦2隻が事実上の護衛に当たったとされる例です(東京新聞2007年5月28日付記事参照)。

当時は、自衛隊法に基づく米艦の警護が行えず、政府は防衛庁設置法の「調査・研究」名目という苦し紛れの説明を行っていました。ところが、中谷元防衛庁長官(当時)が記者会見で警戒監視であったことを認めるなど、実態的には「警護」同然だったと言われています。

上の記事もすべて、正しくは「警護」というべきものと思います。

防衛省は上の記事にもあるように、2月19日、自衛隊が米軍などを守る「武器等防護」の件数が昨年は過去最高の25件だったと国家安全保障会議(NSC)に報告した。武器等防護は自衛隊法95条に基づき必要最小限の武器使用を条件に艦艇や航空機を護衛する活動だ。安保関連法の施行で米軍など他国軍も対象とすることが可能になった。

安保関連法で可能になった活動のほとんどが発令されず武器防護も実施されず、警護では着実に実績を積み重ねています。

安保関連法制定当時、与党協議会座長だった高村正彦元自民党副総裁は「日本の自衛艦が米空母を警護して動いている絵が世界に発信される。これは大変な抑止力だ」と語っています。

この方は、無意識なのかもしれませんが、警護という言葉を使っています。洋上だけではなく、航空自衛隊の戦闘機は米空軍爆撃機を警備する形で東シナ海上空などをたびたび飛来しており、これが北朝鮮や中国などを牽制(けんせい)する意味も持っています。

一方、集団的自衛権の行使が可能になり、日米関係の安定に貢献する側面もありました。同盟国の公平な分担を求める米国のトランプ前大統領が安倍晋三前首相と親密な関係を築いた基礎には、安保関連法があったとの見方が政府内には根強いです。バイデン政権との関係でも政府高官は「法的な問題はすべて決着済みで日米間の懸案にはならない」と語っています。

安保関連法がもしなかったとしたら、トランプ前政権の時代は大変だったでしょうし、バイデン政権にも不興を買う恐れは十分にありました。2015年当時にやっておいて本当によかったです。当時は、マスコミも憲法学者も左派・リベラルも安保法制には大反対でした。

選挙などには明らかに不利になることを覚悟で当時の安倍総理は。安保法制の改正に取り組みました。ただ、中国や北朝鮮の脅威が高まりはじめていた当時には、いずれ誰ががやらなければ ならかったことは明らかでした。

安倍前総理大臣

岸防衛大臣は昨年10月19日、オーストラリアのレイノルズ国防相と会談し、安全保障関連法に基づいて、自衛隊が他国の艦艇などを守る「武器等防護」の対象にオーストラリア軍も加える方向で調整を始めることを確認しました。

岸大臣は、閣議のあとの記者会見で「オーストラリアは特別な戦略的パートナーであり相互運用性の向上が不可欠だ。連携する基礎となる『武器等防護』は、わが国の平和と安全や防衛協力にとって重要な意義のある活動だ」と述べました。

一方、岸大臣は、記者団から「自衛隊と他国の軍隊が一体化し、武力衝突に巻き込まれるのではないか」と問われたのに対し、「武力攻撃に至らない侵害からの防護を目的として行うものだ」と述べ、いわゆる武力行使とは区別して考えるべきだと説明しました。

岸防衛大臣

私自身は、岸防衛大臣は「警護」という言葉を使えば良かったと思います。警護と武器防護は明らかに違います。

ただ、ぃくら「警護」のつもりであっても、武力衝突になってしまえば「武器防護」に変わるわけですから、その意味では岸防衛大臣の対応は正しいのかもしれません。ただ、過去の「警護」については、これからは「警護」と語るべきと思います。

日本としては、少なくともQUADに属する、米豪印の三国に関しては、「武器防護」の対象とすべきです。

その後、日本は中国に対する牽制に参加する国々はすべて「武器防護」の対象とすべきです。

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