岸田首相 |
岸田文雄首相は10日のフジテレビ番組で、金融所得課税の強化について「当面は触ることは考えていない」と明らかにした。賃金を引き上げる企業への優遇税制の拡充などに触れ、「成長なくして分配はない。金融所得課税を考える前にやることはいっぱいある」と指摘した。
首相は自民党総裁選で、金融所得課税の強化を掲げた。投資家心理を冷え込ませ、株価下落の一因になったとの指摘もある。首相は番組で「すぐやるのではないかという誤解が広がっている。しっかり解消しないと関係者に余計な不安を与えてしまう」と釈明した。
この後、党本部で記者団の取材に応じ、分配政策に関し「順番を考えた場合、まずは賃上げ税制、さらには下請け対策、そして看護、介護、保育といった公的価格の見直しから始めるべきだ」と説明。金融所得課税見直しは「選択肢を並べたうちの一つだった」と語った。
一方、首相は番組で、個人への給付金に関しては「去年、時間がかかり混乱した。あの反省の下に、プッシュ型で迅速に支給するにはどういった形がいいのか、与党と詰めた上で、具体的な形を判断したい」と述べた。首相が子育て世帯などを対象とした給付金を打ち出したのに対し、公明党は18歳以下を対象とした一律10万円相当の給付を訴えており、調整が課題となる。
雇用の流動性を高める規制緩和については「まずはどんな働き方をしても安心できるセーフティーネットを整備するところから始める。その先に労働市場の規制緩和、柔軟化を考えていく」と述べた。「ある程度、同時並行的に進めていく」とも語った。
これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
野党の地味な「大問題」…自民党総裁選「三候補」誰になっても、あまり変わらないワケ―【私の論評】経済対策では、高市氏も欠点があるが、岸田氏は駄目、河野氏は破滅的!来年・再来年も考えるなら高市氏か(゚д゚)!
高市早苗氏 |
一方、9日の記者会見では言及しなかったのですが、大企業の現金保有に対する1〜2%課税(1~2兆円の増収)、炭素税の導入、金融所得税30%への増税、を行う考えが一部メディアで報じられています。これらの新たな増税政策と、プライマリーバランス健全化凍結の整合性は曖昧といわざるをえません。
拡張的な財政政策を徹底するならば、米国のトランプ前政権が行った減税政策が手段の一つですが、それは全く高市氏の念頭にはないとみられます。増税と歳出拡大を同時並行で行えば、マクロ安定化政策としての財政政策の効果は大きく低下します。
企業の現金保有への課税が、設備投資や賃金に企業が支出を促すと考えているのかもしれないですが、課税強化で企業行動を締め付ける対応が妥当であるようには思えないです。脱デフレを実現することによって企業経営者が抱いているデフレ期待を完全に払拭することが、企業の支出性向を高める確実な方法です。総裁選のときには高市さんの経済政策と岸田氏の政策にも金融所得課税の増額が、入っていました。これは、財務省主導で行われたものでしょう。
新たな増税を行いながら、2%インフレと経済正常化を後押しする財政政策が実現できるのかは、甚だ疑問です。仮に、産業政策によって権益者に対して政府歳出を行うために増税することが政治目的になっているのであれば、「拡張的な財政政策」というのは看板倒れの政策になるリスクがあります。
金融所得が多い富裕層は、年間所得が1億円を超えると所得税の負担率が下がります。格差是正を掲げる岸田文雄首相は、この「1億円の壁」を打破する考えのようですが、税率を引き上げれば株価に悪影響を及ぼす懸念があります。
給与所得課税の税率は、所得税と個人住民税を合わせて最大55%で、所得が多いほど高い累進制となっています。一方、金融所得への課税は一律20%。この結果、年間所得1億円を境に、所得に占める金融所得の割合が高くなるほど所得税の負担率が下がる構造となっています。
財務省によると、19年の所得税負担率は、所得額が5000万円超~1億円の層でピークの27.9%。この先は比率が徐々に低下し、50億円超~100億円では16.1%まで下がります。
税制の見直しでは、金融所得に対する一律の税率引き上げや、金融所得に応じた引き上げなどが想定されます。財務省は、少額投資非課税制度(NISA)があるため、見直しによる個人投資家への影響は小さいと見ているようです。
ただ、一律の引き上げになった場合、所得が少ない若年層などには打撃となり、株式投資を控える可能性があります。政府が進める「貯蓄から投資」の動きにも逆行します。また、そもそも「日本は米国ほど富裕層が多くない」(財務省幹部)ため、課税強化による税収の増加は限定的だとの声もあります。
最近の株価下落に関しては、岸田首相が金融所得課税の見直しに言及したことが影響している側面もありそうです。鈴木俊一財務相は5日の記者会見で、課税の見直しについて「高額所得者が守られ過ぎているという意見と、投資が抑制されるという両面の意見がある」と述べ、与党の議論を注視する考えを示しました。
最近の株価下落に関しては、岸田首相が金融所得課税の見直しに言及したことが影響している側面もありそうです。鈴木俊一財務相は5日の記者会見で、課税の見直しについて「高額所得者が守られ過ぎているという意見と、投資が抑制されるという両面の意見がある」と述べ、与党の議論を注視する考えを示しました。
いずれにしても、いますぐというのは、あまり拙速です。拙速に増税すれば、あるいは増税の素振りをみせれば、次の選挙で自民党が不利になる可能性も大きいです。そう考えた、岸田首相が火消しに走ったのも当然といえば、当然です。
矢野康治事務次官(58) |
「このままでは国家財政は破綻する」矢野康治財務事務次官が“バラマキ政策”を徹底批判
あまりにバカバカしい記事なので、内容は解説しませんが、興味のある方は読んでみてください。 このような意見を言う前にまずは会計、金融工学の知識がないとどうしようもありません。この記事は、結局日本政府のBSを読めない、破綻確率を計算できないという財務官僚の無能を晒しただけです。
この方、なぜ日本が長い間デフレだったのか、全然理解していないです。結局、長い間政府財務省主導で、緊縮財政に走り、日銀は金融引締に走ったために、日本は長期間デフレに至ったのです。
政府は積極財政をすれば、短期的にはデフレを克服できる可能性もありますが、それでも日銀が金融緩和をしなければ、限界があります。
なぜなら、お金の全体量は変わらないので、いくら政府が積極財政をしても限界があります。これは、パイ(お金)を思い浮かべればわかると思います。多くの人がパイを必要としているときに、バイを増やさなければ、多くの人にバイが行き渡らないのは当然のことです。
日本では、このパイを増やすこともせず、残り少ないパイを多くの人に行き渡らせる努力もしないで、ひたすらパイを温存し続けた結果、多くの人にバイが行き渡らなくなったのです。これが、日本のデフレの原因です。
特に、現状では、コロナで随分と経済が痛めつけられたのは事実で、いかにお金を多くの人に行き渡らせるかが重要です。現状では、「お金のバラマキ」が最も重要な政策です。「お金のバラマキ」をしないなどという政策は、下の下の下の政策です。
ただし、同じ「お金のバラマキ」でも、効率の良い方法、効率の悪い方法があるのは事実です。だから、なるべく効率の良い「お金のバラマキ」をせよというのなら理解できますが、「お金のバラマキ」そのものをするなというのは全く理解できないです。愚かなだけではなく危険な発言です。
財政論からみれば単なる馬鹿な発言ですが、政治的にみれば大きな悪影響がある可能性もあります、自民は総選挙前にこんな放言を許していて良いのでしょうか。総裁選は、内輪の選挙ですから、誰が総理になってもさほど影響はないかもしれませんが、総選挙で負けたらどうするでしょうか。
そうして、先のバイの話のところでも出てきたように、パイそのものが増えなければ、多くの人にパイがいきわたらなくなります。政府が積極財政をするだけでも、パイに限界があるのです。
ですから、政府が経済成長を促すとともに、日銀はお金を増やす、すなわち量的金融緩和をすべきなのです。結局現状では、コロナによる悪影響などで、有効需要が足りていないのです。この有効需要を作るために、政府は財政出動をすべきで、そのためには国債発行し、同時にお金の量自体を増やすために中央銀行が国債購入するのです。
これが、このブログでも何度か紹介した政府日銀の連合軍です。今回のようなコロナ禍で経済が落ち込んだときや、大きな自然災害で経済が落ち込んだときには、世界標準の対策です。そうして、この政策は雇用を促進したり、維持したりするにも最も効果的です。
歴代政権では安倍・菅のみがこれを理解していたようで。これへの批判が金融緩和するとハイパーインフレになるという批判ですが、当然のことながら、現在までに緩和しても、一度もハイパーインフレになったことはありません。
国民もこれを理解しつつあり、さすがに増税に安直に賛成するひとはあまりいなくなりました。そのため、何でも増税が正しいという考えの財務省は、消費税増税はしばらくできないかもしれないと考え始めたのでしょう。
だから、事務次官が週刊誌に与太記事を書いてみたり、金融所得課税の強化を検討したりしているのでしょう。
国民としては、政府日銀の連合軍の本質を理解している、あるいは理解できそうな候補者を選挙で選ぶしかありません。理解した人となると、あまりにも数が少ないので、理解できそうな候補者も含めて考えざるをえないです。
そうなると当然ほんのごく一部の例外を除いて野党の候補者は選べません。後は、今回の総裁選で、実質的にキャスティングボードを担うことになったとみられる安倍氏が、岸田総理大臣などが不良財務官僚や不良日銀官僚などに踊らされて、間違った政策を選択しないように、是正していただくことを祈るばかりです。
そうして、先のバイの話のところでも出てきたように、パイそのものが増えなければ、多くの人にパイがいきわたらなくなります。政府が積極財政をするだけでも、パイに限界があるのです。
ですから、政府が経済成長を促すとともに、日銀はお金を増やす、すなわち量的金融緩和をすべきなのです。結局現状では、コロナによる悪影響などで、有効需要が足りていないのです。この有効需要を作るために、政府は財政出動をすべきで、そのためには国債発行し、同時にお金の量自体を増やすために中央銀行が国債購入するのです。
これが、このブログでも何度か紹介した政府日銀の連合軍です。今回のようなコロナ禍で経済が落ち込んだときや、大きな自然災害で経済が落ち込んだときには、世界標準の対策です。そうして、この政策は雇用を促進したり、維持したりするにも最も効果的です。
歴代政権では安倍・菅のみがこれを理解していたようで。これへの批判が金融緩和するとハイパーインフレになるという批判ですが、当然のことながら、現在までに緩和しても、一度もハイパーインフレになったことはありません。
国民もこれを理解しつつあり、さすがに増税に安直に賛成するひとはあまりいなくなりました。そのため、何でも増税が正しいという考えの財務省は、消費税増税はしばらくできないかもしれないと考え始めたのでしょう。
だから、事務次官が週刊誌に与太記事を書いてみたり、金融所得課税の強化を検討したりしているのでしょう。
国民としては、政府日銀の連合軍の本質を理解している、あるいは理解できそうな候補者を選挙で選ぶしかありません。理解した人となると、あまりにも数が少ないので、理解できそうな候補者も含めて考えざるをえないです。
そうなると当然ほんのごく一部の例外を除いて野党の候補者は選べません。後は、今回の総裁選で、実質的にキャスティングボードを担うことになったとみられる安倍氏が、岸田総理大臣などが不良財務官僚や不良日銀官僚などに踊らされて、間違った政策を選択しないように、是正していただくことを祈るばかりです。
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