2021年10月28日木曜日

蔡総統、米軍の台湾軍訓練認める 1979年の米台断交後、初―【私の論評】米台ともに中国は台湾に侵攻できないと見ているからこそ、蔡総統は米軍台湾駐留を公にした(゚д゚)!

蔡総統、米軍の台湾軍訓練認める 1979年の米台断交後、初


 台湾の蔡英文総統は27日に放映された米CNNのインタビューで、米軍が台湾に駐留し、台湾軍に訓練をしていると認めた。台湾の総統が米軍による訓練の実施を公に認めるのは1979年の米台断交後、初めて。米国の強い関与を公表することで、台湾側は軍事的圧力をかけてくる中国に対抗する狙いがあるとみられる。

  米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は今月上旬、米海兵隊と台湾海軍が共同で小型艇を使った訓練を実施しているほか、特殊作戦部隊と支援部隊の二十数人が台湾陸軍の訓練に当たっていると報じていた。こうした訓練は少なくとも1年前から実施されているという。 

 蔡氏は英語で取材を受け、米軍が台湾軍の訓練に参加しているかを問われ「イエス」と答えた。CNN記者が「現在、何人の米兵がいるか」と問うたが、蔡氏は「多くない」と述べるにとどめた。蔡氏は訓練の詳細は明かさなかったが「我々の防衛力を向上させるために米国とは幅広い協力をしている」と言明。中国が台湾への攻撃を試みた場合に「米国が台湾を守ると信じているか」との質問には「確信している」と答えた。

  米国は79年に中国と国交正常化し、台湾と断交。台湾駐留米軍は中国との合意に基づき、撤収した。一方で米国は断交後に制定した台湾関係法に基づき、台湾への武器売却は続けてきた。だが米台は、米国の対台湾代表機関、米国在台協会(AIT)台北事務所に勤務する「警備要員」を除いて、米軍兵が台湾で活動していると公に認めていなかった。

  CNNは米国防総省の情報として、台湾に駐留する米兵は2018年の10人から今年は32人に増えたと報じた。この人数にはAITの警備要員が含まれている可能性がある。

【私の論評】米台ともに中国は台湾に侵攻できないと見ているからこそ、蔡総統は米軍台湾駐留を公にした(゚д゚)!

米軍が台湾で活動していることは、以前から指摘されていました。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
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2020年11月、中部台中市内で戦車のメンテナンスを行う台湾陸軍部隊。同年7月には、台中に中国軍が上陸したケースを想定して大規模な軍事演習が行われている。

詳細は、この記事をご覧いただくものとしして、この記事では、結局バイデン政権は現状変更を認めることはないだろうことを掲載しました。

このことがあって、なかば米軍の台湾駐留が公にされた後でも、米国は以下のような動きをしています。

米国の外交代表部の役割をする米国在台湾協会(AIT)関連の航空機が相次いで台湾に到着し、中国側が強く反発しました。

7月20日、台湾の「自由時報」などの報道を総合すると、同日前日午前、フィリピンのニノイ・アキノ国際空港を出発したAITのチャーター機が午後0時14分ごろ、台湾の首都台北の桃園国際空港に着陸しました。このチャーター機は、米空軍の主力輸送機C-130を民間用に改造した機種だといいます。

台湾空港に着陸したC-130輸送機

AIT関連の米国の航空機が台湾に降り立ったのは、7月に入ってすでに2回目でした。15日にも沖縄の嘉手納空軍基地を離陸した米軍C-146ウルフハウンド輸送機が午前9時32分頃、台北の松山空港に到着しました。ウルフハウンドは米特殊戦司令部の主力輸送機として知られます。「自由時報」は当時、「輸送機には、今月12日に台湾に到着し2週間の義務隔離に入ったオウドカーク所長に渡される物が積まれており、荷物を降ろした直後の10時6分頃に離陸した」と報じました。

中国側は反発を強めました。官営の「グローバルタイムズ」は同日、「民間用に改造した軍用機が再び台湾に着陸したのは米国側の『サラミ戦術』(敵対する勢力を懐柔などによって少しずつ滅ぼす手法)流の挑発であり、台湾分離独立勢力に誤ったシグナルを送る行為」だとし、「中国側は米軍機の台湾着陸が日常化することを座視しない」と主張しました。

同紙は「AIT側が民間目的で利用したとしても、当航空機が軍用機を改造した機種だということ自体が挑発的」だとし、「一部では当航空機が米中央情報局(CIA)側と関連があるという主張もある」と付け加えました。

これに先立ち、中国国防部報道官は15日、ウルフハウンド輸送機の台湾着陸と関連して声明を発表し、「台湾は中国の一部であり、中国領土に着陸する外国軍用機は必ず中国政府の許可を受けなければならない」としたうえで、「米国が火遊びを止めなければ、厳しい結果を招く」と警告しました。

米軍の駐留等がなかば公になり、さらに今回蔡英文総統によってそれが公に公表されたのです。

これは、米国も台湾も中国はここしばらくは台湾に侵攻できないと踏んでいると考えるのが妥当です。もし本気で中国が近いうちに、台湾に侵攻してくると考えているとしたら、このような挑発的なことは言わないはずです。

では、なぜ中国は台湾にここしばらくは、台湾に侵攻できないのでしょう。具体的に考えてみましょう。どんな戦争も目的を達成すれば勝利で、達成できなければ、たとえ戦闘に勝利したとしても、それは敗北です。中国にとって台湾の武力統一とは、100km以上離れた重武装した島を完全占領し、新政権を樹立して統治を開始し、長期にわたって維持することを意味します。 

そのためには、弾道ミサイルなどによる攻撃、航空・海上優勢の確保、着上陸侵攻作戦などを成功させ、上陸させる大部隊に対して、途切れることなく補給をしなければなりません。どの段階で失敗しても、例えば米軍が介入して補給が途切れたとしたら、上陸部隊は孤軍となってせん滅されます。

これについては、このブログでも過去に何度か指摘されています。対潜水艦戦(ASW)に中国よりも圧倒的に優れた米軍が、強力な攻撃型原潜を数隻台湾に派遣して、台湾を包囲してしまえば、中国軍はこの包囲を破ることはできません。

ASWにすぐれた、米攻撃型原潜が、台湾に近づく中国の潜水艦を含む艦艇や航空機をことごとく撃沈することになります。特に、中国の潜水艦は米攻撃型原潜に真っ先に撃沈されることになるでしょう。さらに、中国のレーダーや監視衛星の地上施設なども破壊されるでしょう。

その後に、米軍は空母を含む艦艇などを出して、追撃戦にでくることになるでしょう。そうなると、中国としては、全く歯型たたず、降伏するしかなくなります。この戦いに英軍が加勢していればそれこそ、香港、澳門奪還作戦を敢行するかもしれません。しかし、そうされたとしても、国際世論は英国に味方するでしょう。

さらに、この間台湾軍が反撃して中国本土にも戦火が及びます。台湾にも対空、対地、対艦用など多数ミサイルがあります。最も航続距離が長いものでは、三峡ダムに到達する能力があることをこのブログでも述べたことがあります。三峡ダムが破壊されれば、中国の40%は洪水に見舞われるとされています。中国が台湾に侵攻しようとすれば、当然のことながら、台湾側は中国に対しても報復攻撃をすることでしょう。

台湾の巡航ミサイル雲峰の飛行距離は2000キロで、台湾から三峡ダムを納める距離

仮に宇宙やサイバーのドメインで中国がいくら強かったにしても、台湾占領はできません。台湾が抵抗する限り必ず大戦争になります。台湾は台湾を守り切りさえすれば勝ちになります。台湾を完全占領する作戦はあまりにもコストとリスクが高く、中国が踏み切れるとは到底思えません。

こういうとあまりに楽観的にすぎると思う人もいるかもしれません。たとえば、米誌ナショナル・インタレストが昨年8月に掲載した記事によると、米国防総省が米中の軍事衝突、中でも台湾をめぐる争いを想定して実施したWar Game(机上演習)で、米軍が敗北する可能性が高いことを示す結果が複数出ています。

しかし、米軍がなぜそうした机上演習をするかを理解する必要があります。それは、自軍の弱点を見つけ出して改善するためです。ですから、彼らは中国軍が最大限能力を発揮する条件で、台湾軍や米軍の弱点を突いてきた場合どうなるかを研究するのです。そしてその結果を、米軍の弱点を補強する改善策や予算要求につなげます。それが机上演習の目的です。

次に、中国が核兵器をもちいたらどうなるのかという人もいるかもしれません。米中が互いを核攻撃しあわない限り、米国本土はほぼ無傷の一方で、中国は戦場になります。対台湾武力統一は米国への真っ正面からの挑戦ですから、米国は中国が少なくとも短期的に立ち上がれないほどの打撃を中国に与える選択肢を念頭に置くでしょう。例えば、当然中国の空母は撃沈するでしょうし、ミサイル基地、空軍基地、軍需産業拠点を破壊することもできます。

それほどの打撃を被る中国が核使用の誘惑に勝てるでしょうか。ただし、もしも中国が対米先制核攻撃の構えをわずかでも見せたら、米国はためらうことなく中国に核の先制攻撃をかけるでしょう。つまり、対台湾武力統一戦争とは、米中どちらも始めたら絶対に負けられない戦争なので、エスカレートしやすいのです。

台湾占領に失敗し、自国の発展の機会が失われ、それどころか人類滅亡にもなりかねない核攻撃にまでエスカレートしかねない選択を中国がとるとは思えません。

おそらく中国の指導者が常軌を逸した誤算をしない限り、あり得ません。しかもこれは国運をかけた大戦争ですから準備に数カ月かかり、奇襲はできません。つまり、台湾、米国、日本など、中国がこの戦争に踏み出すことを察知し、ほぼ守りを固めた状況で中国の攻撃が始まるのです。それなのに、中国は、台湾の完全占領と占領の長期間にわたる維持というパーフェクトな戦争を完遂しなければ勝ったことにならないのです。

さらに、戦争に勝利できたとしても、その後数十年にもわたって台湾に軍隊を駐留させて、反中派を武力弾圧しながら、台湾を根本から作り変えなければならないのです。民主主義と、責任を伴う自由を知った台湾人は、香港人より人口も多いですし手強い存在です。

その間、米国および日本を含む同盟国が反攻の機会をうかがうでしよう、台湾の反中派を支援することになるのは当然です。そのさなかに中国は台湾を統治をして、台湾をつくりかえなければならないのです。そもそも侵攻してきた中国に台湾人が統治の正当性があると認めることはあり得ません。

国際社会も無論台湾に味方します。現状よりもさらに酷い制裁が中国に課されることになるでしょう。中国は世界から完全に孤立することになるでしょう。

台湾は、中国にとって、米国にとってのかつてのアフガンのようになることでしよう。仮に台湾を統治できたとしても、いつまで統治できるかもわからないのです。

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