◆
岡崎研究所
ザカリアは、バイデンの支持率が上がらない理由について次の二点を指摘する。
第一に、民主党左派は、常に現職大統領に不満を持ち、大統領に反乱してきた。ザカリアは、左派は民主党内で常に大きい勢力だった(ジョンソン時代のハンフリー、1970~80年代のテッド・ケネディ等)、それが民主党の歴史だと言いたいのだろう。納得できる。
第二に、「国民は、経済の先行きが不確実であっても、経済について左傾化することはせず反対に文化について右傾化する」、国民に語る時「左派は、先ずそれは文化的に革命的でないことをはっきりさせねばならない」、「民主党左派は社会問題を語る時「ラティンクス」や「有色人社会」等といった言葉を使い多くの国民を疎外する」、「民主党は屡々最も左の支持者に応えようとするので、町の平均的な人々を疎外する」と指摘する。
その上で、バイデンは左派の過激な社会政策や文化政策につき「クリントンやブレアのように党内の人々と対決したこともない。更にバイデンはこれらの問題に関する自分の立場を伝えようと意図したこともない」と指摘する。党内左派のカルチャーやバイデンの「対決」欠如の指摘は当たっていると思う。
「対決」の必要性の指摘はよく分かる。特に貿易について左派や議会と対決すべきだった。問題を避けていては、前途は開けない。
バイデンは、議会人なるが故に対決よりも取引をやりたいのかもしれないが、やはり一度はきちっと対決すべきだ。大統領になった以上、国民を相手にし、党内左派よりも国民を恐れるべきだ。そうすることによって彼のアジェンダや理想が一層明確になる。
乗り越えるべきトランプ再選阻止の代償
米国人はそのような大統領を尊敬し、好むだろう。米国の大統領には本来それだけの威厳がある。大統領らしい大統領への国民的願望は依然として残っているのではないか。
しかし、バイデンに同情するのは、民主党予備選の段階で、左派の協力に大きく依存しなければならず、左派に人事などで譲歩せねばならなかったことだ。現政権にとり、人事や政策で左派の影響は避けられないことになった。それが現政権の制度に埋め込まれてしまっている。
このことはトランプ再選を阻むためのやむを得ない代償だったかもしれない。しかしそれでも大統領になった以上、バイデンは自己を変え、もう少し変革型な大統領に変わり、主導して欲しいものだ。
ギャラップ調査によれば、6月のバイデン支持率は41%だった。最高は政権発足前後で、それでも57%である。
11月の中間選挙まで後4カ月を残すのみとなった。有権者の間には、外交に加え、経済が大きなイシューになっていると思われる。外交での果敢な努力と同じように、経済についてもう少し果敢にやる方が良いのではないか。大統領が努力していることを国民に見せつけることが重要ではないかと思われる。
2024年大統領選にジョー・バイデン大統領よりもドナルド・トランプ前大統領に出馬して欲しいと思う米国人が多いですが、どちらの候補も選挙運動で広い支持が見込めていないことがポリティコの最新世論調査でわかりました。
登録済み有権者全体の中で、バイデンが「間違いなく」または「おそらく」出馬すべきとしたのが29パーセントだったのに対し、トランプに対しては同じ回答が35パーセントだったことが調査でわかりました。しかしながら調査ではすべてがトランプに肯定的というわけではなく、どちらの人物も2024年の出馬見込みに対する強い反対があり、約半分がどちらの出馬にも反対しています。
世論調査によるとトランプについては米国人の48パーセントが「決して」出馬すべきでないと答え、46パーセントがバイデンの出馬に対して同様に「決してすべきでない」と答えました。
トランプ前大統領に対するもう1つの懸念は、彼が2020年大統領選挙結果について「嘘をついた」と考える共和党が増えているということです。
調査を受けた登録済みの共和党のうち44パーセントは、トランプが選挙について嘘をついたと感じており、6月から7パーセント増加したことが調査でわかりました。これは1月6日委員会の公聴会―それぞれの調査の間に実施されました―によるものである可能性もあり、それがあの日の襲撃についての国民の理解を再形成したとポリティコのニュースレターは推測を述べました。
全有権者の中で66パーセントは、トランプが「選挙は不正だったと証拠なしに述べた」と感じたことが調査でわかりました。
しかしながら依然としてトランプは共和党の大統領予備選挙の予測では先頭に立っており、今選挙を行えばトランプが登録済みの共和党の52パーセントの票を集めることが調査でわかりました。フロリダ州のロン・デサンティス知事は共和党予備選挙で21パーセントの票を得て2位となるという結果です。
世論調査は7月8日から10日までに実施され、サンプルサイズは有権者2005人だった。誤差の範囲は2パーセント。
第一に、民主党左派は、常に現職大統領に不満を持ち、大統領に反乱してきた。ザカリアは、左派は民主党内で常に大きい勢力だった(ジョンソン時代のハンフリー、1970~80年代のテッド・ケネディ等)、それが民主党の歴史だと言いたいのだろう。納得できる。
第二に、「国民は、経済の先行きが不確実であっても、経済について左傾化することはせず反対に文化について右傾化する」、国民に語る時「左派は、先ずそれは文化的に革命的でないことをはっきりさせねばならない」、「民主党左派は社会問題を語る時「ラティンクス」や「有色人社会」等といった言葉を使い多くの国民を疎外する」、「民主党は屡々最も左の支持者に応えようとするので、町の平均的な人々を疎外する」と指摘する。
その上で、バイデンは左派の過激な社会政策や文化政策につき「クリントンやブレアのように党内の人々と対決したこともない。更にバイデンはこれらの問題に関する自分の立場を伝えようと意図したこともない」と指摘する。党内左派のカルチャーやバイデンの「対決」欠如の指摘は当たっていると思う。
「対決」の必要性の指摘はよく分かる。特に貿易について左派や議会と対決すべきだった。問題を避けていては、前途は開けない。
バイデンは、議会人なるが故に対決よりも取引をやりたいのかもしれないが、やはり一度はきちっと対決すべきだ。大統領になった以上、国民を相手にし、党内左派よりも国民を恐れるべきだ。そうすることによって彼のアジェンダや理想が一層明確になる。
乗り越えるべきトランプ再選阻止の代償
米国人はそのような大統領を尊敬し、好むだろう。米国の大統領には本来それだけの威厳がある。大統領らしい大統領への国民的願望は依然として残っているのではないか。
しかし、バイデンに同情するのは、民主党予備選の段階で、左派の協力に大きく依存しなければならず、左派に人事などで譲歩せねばならなかったことだ。現政権にとり、人事や政策で左派の影響は避けられないことになった。それが現政権の制度に埋め込まれてしまっている。
2020年2月のテレビ討論会で激論を交わす、バーニー・サンダース氏とジョー・バイデン氏 |
このことはトランプ再選を阻むためのやむを得ない代償だったかもしれない。しかしそれでも大統領になった以上、バイデンは自己を変え、もう少し変革型な大統領に変わり、主導して欲しいものだ。
ギャラップ調査によれば、6月のバイデン支持率は41%だった。最高は政権発足前後で、それでも57%である。
11月の中間選挙まで後4カ月を残すのみとなった。有権者の間には、外交に加え、経済が大きなイシューになっていると思われる。外交での果敢な努力と同じように、経済についてもう少し果敢にやる方が良いのではないか。大統領が努力していることを国民に見せつけることが重要ではないかと思われる。
【私の論評】インフレが収拾し経済が良くならなければ、トランプ氏の大統領再選は絶対にないとは言い切れない(゚д゚)!
登録済み有権者全体の中で、バイデンが「間違いなく」または「おそらく」出馬すべきとしたのが29パーセントだったのに対し、トランプに対しては同じ回答が35パーセントだったことが調査でわかりました。しかしながら調査ではすべてがトランプに肯定的というわけではなく、どちらの人物も2024年の出馬見込みに対する強い反対があり、約半分がどちらの出馬にも反対しています。
世論調査によるとトランプについては米国人の48パーセントが「決して」出馬すべきでないと答え、46パーセントがバイデンの出馬に対して同様に「決してすべきでない」と答えました。
トランプ前大統領に対するもう1つの懸念は、彼が2020年大統領選挙結果について「嘘をついた」と考える共和党が増えているということです。
調査を受けた登録済みの共和党のうち44パーセントは、トランプが選挙について嘘をついたと感じており、6月から7パーセント増加したことが調査でわかりました。これは1月6日委員会の公聴会―それぞれの調査の間に実施されました―によるものである可能性もあり、それがあの日の襲撃についての国民の理解を再形成したとポリティコのニュースレターは推測を述べました。
全有権者の中で66パーセントは、トランプが「選挙は不正だったと証拠なしに述べた」と感じたことが調査でわかりました。
しかしながら依然としてトランプは共和党の大統領予備選挙の予測では先頭に立っており、今選挙を行えばトランプが登録済みの共和党の52パーセントの票を集めることが調査でわかりました。フロリダ州のロン・デサンティス知事は共和党予備選挙で21パーセントの票を得て2位となるという結果です。
世論調査は7月8日から10日までに実施され、サンプルサイズは有権者2005人だった。誤差の範囲は2パーセント。
それによると、2024年の大統領選挙が今日行われたら、誰に投票するかという問いに対して、ジョー・バイデン大統領が44%、ドナルド・トランプ前大統領が41%で、バイデン氏が3ポイント上回りました。
一方で、民主党は候補者としてバイデン氏を再指名すべきか、もしくは別の候補者にすべきかという問いには、「バイデン氏以外の候補者」が64%と大多数を占め、「バイデン氏」は26%と3割を下回りました。
その理由として、「年齢」33%、「仕事ぶり」32%、「誰か新しい候補者を望む」12%、「進歩が十分でない」10%などが挙がった。バイデン氏の大統領としての仕事ぶりに対する支持率は33%(「強く賛同する」13%、「やや賛同する」20%)にとどまりました。
米国が現在直面する最も重要な問題としては、「経済」20%、「インフレ・生活費」15%、「民主主義の状況・政治的分断」11%、「銃に関する政策」10%、「中絶・女性の権利」5%が上位を占めました。
米国が現在直面する最も重要な問題としては、「経済」20%、「インフレ・生活費」15%、「民主主義の状況・政治的分断」11%、「銃に関する政策」10%、「中絶・女性の権利」5%が上位を占めました。
米紙ニューヨーク・タイムズが12日公表した世論調査結果によると、共和党支持層で2024年の大統領選候補としてトランプ前大統領がふさわしいと回答した人が49%に上り、2位以下を圧倒した。党内でトランプ氏の人気が依然として高いことを裏付けました。
5~7日に共和党支持者350人を対象に行われた調査では、過激な言動で知られ「ミニ・トランプ」ともあだ名される南部フロリダ州のデサンティス知事が25%で2位。クルーズ上院議員が7%、ペンス前副大統領とヘイリー元国連大使がそれぞれ6%、ポンペオ前国務長官が2%で続きました。
5~7日に共和党支持者350人を対象に行われた調査では、過激な言動で知られ「ミニ・トランプ」ともあだ名される南部フロリダ州のデサンティス知事が25%で2位。クルーズ上院議員が7%、ペンス前副大統領とヘイリー元国連大使がそれぞれ6%、ポンペオ前国務長官が2%で続きました。
一方、共和党支持層の中でも若者や高学歴の人には「トランプ離れ」の傾向も見られた。トランプ氏と回答した人を年齢別に見ると、45~64歳で53%だったのに対し、18~29歳では41%。最終学歴が大卒未満の人では58%に上ったが、大卒以上では28%にとどまりました。
次の米大統領選挙は2024年ですから、どうなるかは今のところ未知数ですが、現時点ではトランプ氏が再選される可能性もあるということです。そうして、トランプ、バイデンの再対決ということになれば、トランプのほうが若干有利なようです。
ただ、やはり中間選挙の結果をみないとなんともいないところがあります。
中間選挙は、議会や各候補への評価だけでなく、現職大統領の2年間の政策への「信任投票」の意味合いがあるからです。任期2年の下院は全435議席、任期が6年の上院は全100議席のうち3分の1が改選の対象となります。
上院選で争う35議席のうち民主党の現有議席は14、共和党は21です。上院は両党の議席が50ずつで拮抗しており、民主党が1議席でも減らせばバイデン政権は法案や意中の人事案を通すのに共和党の協力が欠かせなくなります。中間選挙は政権与党に厳しい目が向けられ、大統領選で勝った政党が議席を減らす場合が多いです。オバマ元大統領の民主党は2010年、14年に上下院とも議席を減らしました。
大統領選と同時に実施される議会選挙に比べ、有権者の関心が低いため大統領選よりも低投票率になりやすいです。一方、2年後の大統領選に向けて各州の有権者の動向を探る試金石として注目されています。
これらの数値はすべて、1974年以降の中間選挙の年の平均を10ポイント以上下回っていました。バイデン大統領の支持率(41%)は、2018年のトランプ前大統領と同率で、2006年のジョージ・W・ブッシュ前大統領(38%)をわずかに上回りました。
ギャラップのデータは、今年の中間選挙で民主党が議席を減らす可能性が高く、このような低い評価が続けば通常より多くの議席を失うことを示唆しました。
1974年以降のデータで、中間選挙で大統領の所属政党が失う議席数の平均は23議席とされています。この数字は、大統領や議会の支持率に応じて変動し、共和党はトランプ前大統領の支持率が41%だった2018年に40議席を失いました。一方、民主党は、オバマ前大統領の支持率が45%だった2010年に63議席を失いました。オバマの支持率は現状のバイデンよりも高かったのですが、議会の支持率は21%で、31%が経済を否定的に捉えていました。
ここで気になるのは、中間選挙における民主党の動向です。共和党は下院で5議席、拮抗状態にある上院では1議席を獲得すれば議会の支配権を獲得できます。ギャラップは、現在の傾向から中間選挙が共和党に勝利をもたらす可能性があると予測しています。
民主党が11月までにどのように巻き返しを図れるかを考えた場合、例えば、最高裁は今後の数週間で「ロー対ウェイド判決」(1973年に下された妊娠中絶の権利を認める判決)を覆し、各州に中絶を禁止させる判決を出しましたが、この動きは人々の投票を促し、民主党の追い風になるでしょう。また、ギャラップによると、一連の銃乱射事件をきっかけに高まった銃規制をめぐる議論も、中間選挙に重要な役割を果たす可能性があります。
連邦最高裁前で抗議する中絶反対派と女性の選択権支持派(6月23日、米ワシントン) |
ただ、いまのところ民主党に有利な動きはこれくらいなものです。私自身は、バイデンが上の記事で主張しているように、左派との「対決」姿勢を見せたからといってそれだけでは情勢は変わらないと思います。
よほどのことがない限り、民主党は中間選挙で大敗するでしょう。そうすると、トランプの大統領再選への目がでてくることにはなりますが、これも今の時点では、まだ見えないことが多すぎです。
ただ一つ言えるのは、トランプ氏の大統領再選は絶対にないとは言い切れないということです。
特に、今後インフレが収束せずに、中間選挙になれば民主党はボロ負けして、共和党が躍進するでしょう。そうして、これはサマーズ氏も予告しているのですが、2024年の大統領選挙の頃に、インフレが継続していれば、トランプ氏が再選される可能性が高まります。
私としては、2024年にインフレが収拾するだけではなく、経済がある程度回復していなければ、トランプ再選の可能性は高まるものと思います。
特に日々利用する、ガソリン価格をはじめとするエネルギー価格に対して米国人は敏感です。他に成果があったにしても、エネルギー価格が高騰している限り、民主党は中間選挙で敗北し、バイデンの大統領再選の道は険しく、トランプ再選の可能性は高まることになるでしょう。
【関連記事】
インフレがトランプ氏の返り咲きもたらす可能性-サマーズ氏が警告―【私の論評】2024年の米大統領選挙でトランプ氏が返り咲くか、大きな影響力を行使するのは間違いない情勢に(゚д゚)!
0 件のコメント:
コメントを投稿