2022年7月23日土曜日

防衛費増額と財務省の思惑 増税阻止した安倍氏の戦略 問われるトップの政治判断―【私の論評】原発稼働のまやかしをする岸田総理は全く「覚醒」しておらず、適切な政治判断は望み薄か(゚д゚)!

日本の解き方


高橋洋一

5月23日来日したバイデン大統領と会談し岸田首相は防衛費の増額を確約したが・・・・

 防衛費の増額をめぐって、岸田文雄首相は「内容と予算と財源で考えないといけない」と述べている。今後、増税が視野に入っているとの懸念もある。

 財務省の増税ロジックは単純だ。国債残高があると将来世代には償還・利払い負担が生じる。将来世代の負担をなくすために、現役世代で負担すべきだ―というものだ。

 そこで、新型コロナ対策では、安倍晋三元首相の言う「政府と日銀との連合軍」となった。つまり、政府は国債を市中金融機関向けに発行するが、最終的には日銀が買いオペで買い受ける。結果として、コロナ対策で発行された国債は日銀が保有する。日銀が保有する国債について、現行制度では償還・利払い負担は発生しない。これが、安倍氏の「日銀は政府子会社」発言の趣旨だ。

 財務省は、この発言に反応し、鈴木俊一財務相に「日銀は商法での子会社でない」と発言させ、マスコミは「安倍元首相の発言を否定」と報じた。

 安倍氏は、日銀保有国債について償還・利払い負担がないことの比喩として「子会社」と発言しただけだ。鈴木財務相は意味のないことを言っただけで、マスコミが意図的に曲解し報道した。あの騒ぎの時に安倍氏から電話があったが、このあたりの事情もよく理解していた。

 いずれにしても、「政府と日銀の連合軍」は財務省にとって難攻不落だ。

 安倍氏が、防衛費について「防衛国債」に言及したことは、財務省にとって悪夢だっただろう。また、コロナ対策と同様な手法が使われる可能性があるからだ。

 コロナ対策では100兆円だったが、その金額は、当時の予想国内総生産(GDP)を考慮し、過度なインフレ率にならないように設定された。

 防衛国債は数兆円と少額なので、インフレはそれほど心配ない。むしろ経済成長に見合った通貨増の範囲内にできるだろう。

 ただし、財務省が簡単に引き下がるとも思えない。各省の会計課長はその省の予算を握るので、エース級のプロパー職員が普通だ。だが、これまで防衛省の会計課長は財務省からの出向者だ。防衛省は財務省の「植民地」ともいわれるゆえんだ。財務省は出向者を送って防衛費の伸びを抑えてきたので、今回もさまざまな手を考えるだろう。

 とりあえず国防のあり方は国民的に重要なので、特別会計の設置などを言い出すかもしれない。これには国内左派勢力が賛同するはずだ。その中で、つなぎ国債を発行し、その償還には「増税」がふさわしいとか言いかねない。

 国防費は、他国との関係が重要なので、国際関係の中で判断するしかない。この意味で財務大臣の出番ではなく、トップの政治判断がキモだ。特に、今のような「有事」に準じる事態ではそうだ。

 有事では財務大臣を外して政治判断する国も少なくない。果たして岸田政権で、有事の対応なのか平時の対応なのか、安倍氏が望んだような適切な政治判断ができるかどうか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】原発稼働のまやかしをする岸田総理は全く「覚醒」しておらず、適切な政治判断は望み薄か(゚д゚)!

上の記事にもある通り、安倍政権においてコロナ感染が顕著になり、二次わたって補正予算を組み、R菅政権においても、補正予算を組みました。これらを合計した予算が、真水の100兆円だったのです。

そうして、当時の安倍総理が補正予算の調達に用いたのが、安倍氏の言葉でいうところの「日銀政府」連合軍というわけです。政府が国債を発行して、日銀がそれを買い取るという方式です。

防衛費の増額など、数兆円にすぎないわけですから、髙橋洋一氏が上の記事でも語っているように、「日銀政府」連合軍による調達をしても、何も問題がないどころか、まだデフレ気味の日本ではそうしたほうが良いのです。

日本では、需給ギャプが30兆円程度もあるため、防衛費もあわせて30兆円ほどの補正予算を組むべきです。そうして、防衛費は自衛隊そのものや、装備品の調達先などの多くは、日本国内の企業にすべきでしょう。

最近、原発の稼働を決め、安倍元総理の国葬も決めたとして、岸田総理は「覚醒」したという論調があります。しかし、これは本当でしょうか。


国葬についてとやかくはいいずらいところがありますが、駐日米大使が安倍家に弔問に訪れるとか、わざわざ自民党本部にまで訪れたとか、ブリンケン国務大臣が技わさ弔問のために日本を訪れるなどのこともあり、これは米国が日本に対して安倍路線を踏襲してほしいと考えていることのあらわれであると解釈すべきと思います。

さらには、各国のプーチン、習近平までを含む首脳が弔意を示したりで、これは国葬にしなけば、日本の世界における存在感がなくなるでしょうから、国葬をせざるを得ないと判断したのでしょう。これは岸田氏以外の誰が総理になっていたとしても、そうしたことでしょう。

もし、国葬にしないという決定をした場合、国内の保守派からはかなり批判され、海外の首脳達からは奇異の目でみられたことでしよう。

そうして、岸田総理は原発再稼働を決めてなどいません。ただ、既存スケジュールを読みあげただけです。ただし、国葬とこのことを一緒に発表したので、このことは多くの人にとって、なかなか指摘しずらかったようです。それについては、以下の動画で高橋洋一氏が語っています。


髙橋洋一が指摘しにくかったであろうことを、私が下に指摘しておきます。

岸田首相の14日の会見では、原発再稼働が強調されました。これは、制度上では首相にも経産大臣にもできない原子力規制政策への政治的介入により再稼働をさせるということではありません。

事前に想定される可能な原発9基の再稼働を急ぐという意味です。「経済産業大臣に再稼働を指示する」という言葉で、勘違いが広がってしまったのです。つまり首相は嘘をついていないのですが、「ごまかし」と批判されかねない広報をしているのです。

首相の秘書官には、元経済産業省事務次官の嶋田隆氏が就任しています。嶋田氏は「策士」と評される人です。増税派であり、政権の墓掘り人という異名を持った与謝野馨氏に見いだされ、以降長い「秘書官人生」を送ってきた嶋田氏には、経産省主導で再建が進められた東京電力改革など“失策”と呼ぶべきものも少なくないです。政務と官僚の危うい関係に注目が集まっています。

嶋田氏は、首相に原子力再稼働の権限がないことは十分承知しているはずで、このずるい発表の「振り付け」をした可能性があります。本来はこれを野党やメディアが批判をするべきですが、「安倍国葬」に関心が向くというか、国葬と原発稼働を一緒に公表してしまったせいか、現在に至るまであまり批判は少ないです。

嶋田隆氏

ただ、マスコミや野党、識者は平然と「国葬」に反対することまで語っているわけですから、原発稼働のまやかしについて批判しないのはおかしいと思います。

電力需給ひっ迫問題に岸田首相が政治課題として真面目に向き合おうとしているのは事実でしょうが、言葉でごまかすかのような態度は批判されてしかるべきでしょう。言葉を操っても、現実の問題として、電力の供給は増えません。

それよりも、非合理な原子力規制政策の見直し、本当に原子力を活用し電力危機を回避する実際に効果のある政策を求めたいです。言葉遊びをする政府に、重要なエネルギー問題を任せて大丈夫でしょうか。

このようなことをする岸田総理です。とても「覚醒」したとは思えず、防衛費についても、安倍氏が望んだような適切な政治判断ができるかどうかは、本当に疑わしいです。

岸田総理には、安倍路線を継承しないことによって、みずから墓穴を掘らないようにしていただきたいものです。安倍路線を継承しなければ、経済面で雇用が劇的に悪化し、日本はまたデフレ・スパイラルの底に沈みこむことなります。

外交面では、せっかく安倍元総理が築き上げてきた世界での日本の大きな影響力を失うことになります。安保面では、世界から見放されることになります。親中路線を貫けば、いずれ中国を頼らないと何もできなくなり、下手をすると中国の実質的な属国になりかねません。ただ、日本人はそれほど馬鹿ではないので、こうした前兆が見えた時点で、岸田政権は崩壊します。

岸田政権は長期安定政権を目指すなら、安倍路線を継承すべきです。まずは、それで走ってみて、数年してからでも岸田カラーを出しても遅くはないと思います。そもそも、政治の継続性という観点からも、現状では安倍路線を引き継ぐべきです。

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