2022年7月21日木曜日

安倍氏たたえる決議採択 米上院で全会一致―【私の論評】バイデン政権も米国議会も日本が安倍路線を継承することを強く望んでいる(゚д゚)!

安倍氏たたえる決議採択 米上院で全会一致

米連邦議会議事堂=ワシントン

 米上院は20日、銃撃されて死去した安倍晋三元首相をたたえる決議案を全会一致で採択した。安倍氏を「一流の政治家で民主主義の価値の擁護者」と評価し、「日本の政治、経済、社会、そして世界の繁栄と安全保障に消し去ることのできない足跡を残した」とした。

 決議は前駐日大使のハガティ上院議員ら70人近い議員が13日に共同提出。安倍氏が「自由で開かれたインド太平洋」の考え方を広めたことに触れた上で、現在の日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」の基礎となる構想を推進したと強調した。米大統領とともに日米同盟を強化し、北朝鮮の非核化や日本人拉致問題の解決にも精力的に取り組んだと指摘した。

 「米国は偉大な友人を失った」としながらも「そのリーダーシップにより、日米が世界中で自由、繁栄、安全を促進し、専制主義や独裁政治に対抗するため今後数十年にわたって協力する基盤が築かれた」と締めくくった。

【私の論評】バイデン政権も米国議会も日本が安倍路線を継承することを強く望んでいる(゚д゚)!

何故、このようなことが米国に先を越されるのか残念でなりません。米国で安倍氏たたえる決議が全会一致で採択されている中、日本では野党が国葬反対、マスコミは死を喜ぶ川柳や「安倍は統一教会」「犯人にも一理ある」のような報道が目立ちます。

このような決議は、過去にはサッチャー元英首相や南アフリカのマンデラ氏に対してもなされたことがあります。ということは、米国議会は安倍晋三氏をこれらの人物に並ぶ人物であると認識しているということです。

この決議案は、米国の前の駐日大使を務めた共和党のハガティ上院議員が呼びかけ、議会上院の7割近くにおよぶ超党派の68人の議員が共同提案者となったものです。何とあの政治信条が真逆だろう社会主義者のサンダース議員まで賛成しました。

ウィリアム・フランシス・"ビル"・ハガティ四世(英:William Francis "Bill" Hagerty IV、1959年8月14日- )

それにしても全会一致はすごいことだと思います。国葬に反対するマスコミや野党は、国民の多数派だけでなく国際社会からもずれているということがはっきりしました。

そうして、忘れてならないことは、なぜこのようなことがなされたのか、その背後には何があるかということです。

米議会では夏休みが迫って日程タイトな中で、提出から1週間で本会議採決まで行ったところに米議会の意思が明確に読み取れます。善意だけであれば、日本で国葬が始まる9月27日位までに決めても良いはずです。

にもかかわらず、これだけ急ぐというその理由は、米国議会は超党派で、日本は安倍路線をしっかり引き継いでくれという強いメッセージであるということにつきます。

このブログでは以前バイデン政権も日本は安倍路線を継承することを望んでいることを掲載したことがあります。その記事のリンクを掲載します。
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記帳するエマニュエル駐日大使

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部を以下に引用します。
中国は、以前は日本を見下していました。実際に、1994 年中国の当時の李鵬首相が、オーストラリアを訪問した時に、当時の オーストラリアのジョン・ハワード首相に向かって 「い まの日本の繁栄は一時的なものであだ花です。 その繁栄を創ってきた世代の日本人がもう すぐこの世からいなくなりますから、20 年もしたら国として存在していないのではないで しょうか。 中国か韓国、 あるいは朝鮮の属国にでもなっているかもしれません」 という 発言をしました。
李鵬首相のオーストラリアでの発言
自民党がその頃のままであれば、本当にそうなったかもしれません。ところが安倍政権が誕生して以降、気がつけば日本が中国包囲網の中心になっていたのです。 安倍総理大臣が「自由で開かれたインド太平洋戦略」を2016年8月の第6回アフリカ開発会議(TICADVI)の場で提唱してから5年以上が経過し、アジア太平洋からインド洋を経て中東・アフリカに至るインド太平洋地域において、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序を実現することの重要性が、国際社会で広く共有されてきています。

トランプ大統領の任期は2017年から始まっています。トランプ大統領は選挙選の最中から中国に対峙すべきことを主張してきましたが、安倍総理と会ってからは、中国の卑劣な行いが、「地経学的戦争」だとはっきりと認識したとみられます。

日本では安倍・トランプというとゴルフぎかりが強調されるが、それだけではなかった・・・・
当時の安倍首相がこの構想(注:安全保障のダイヤモンド構想、後にインド太平洋戦略)を出したとき、中国はほとんど気にしていませんでした。しかし、その枠組みが目の前にでき上がってしまったということが、彼らの誤算でした。しかも「AUKUS(オーカス)」、「ファイブ・アイズ」という2つ枠組みがあり、アジアのなかでは日本だけが枠組みの一部に入るような事態も招いたともいえます。

安倍元総理は、いわば今日の対中国の世界の枠組みを構築したのであり、現在の日米英印豪、EUもその枠組の中で対中国戦略を考え実行しているのであり、その本家本元の日本が親中に傾けば、世界の枠組みが毀損されかねないわけです。それは、米国としてはとても許容できないのです。

バイデン政権としては、日本政府が現在の世界の枠組みを毀損することは容認できないですし、米国議会が 安倍氏たたえる決議採択をしたのも、これを容認できないことを全会一致で表明したのです。なぜかといえば、この枠組を毀損してしまえば、米国の国益にはならないと、米政府も議会も認識しているということです。

そのことを日本自身が認識すべきです。それを認識していないからこそ、半旗の掲揚の徹底が米国より遅れたり、安倍氏たたえる決議採択を米国議会に先をこされるという自体に陥ったりするのです。

岸田政権は、外交や安全保障面で安倍政権を継承しなければ、米国政府と議会から激しい抵抗にあうことを覚悟すべきです。

私は、経済面でも、あまりひどい政策をとってしまえば、日本経済を毀損し、これも世界の枠組みを毀損しかねないので、米政権は圧力をかけてくる可能性があると思います。無論、派手にやれば、内政干渉であると避難されるので、そうとはわからない形で圧力をかけることでしょう。

もし、岸田政権が、財務省のいいなりになったりせず、日銀の次の人事でまともな人事を行えば、日本国内の保守派議員の努力もあるでしょうが、米国の圧力もある可能性もあります。

米国の圧力が全くないなら、岸田政権や宏池会は、保守派議員の圧力を跳ね除けてでも、より中国寄りの政策を実施し、経済も財務・日銀官僚のいいなりで、日本経済を毀損して、失われ三十年を繰り返し、中国に頼らざるを得ないようにし、より中国との関係を深める方向に動くでしょう。

それで、中国は現在の経済の低迷を持ち直すことができ、一息つくことができます。それは、ロシアも利することになります。そうして、日本は世界の中で安倍晋三氏が築いた、強い影響力を失うことになるでしょう。日本の保守派の人々、日本の保守派の議員は米国の保守派との連携を強めるべきです。

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