2022年7月12日火曜日

安倍氏死去/頼副総統、安倍元首相の葬儀に参列 今夜帰国/台湾―【私の論評】安倍元首相がなぜ世界から称賛されるのか、その本質を理解する人こそ安倍晋三氏の遺志を引き継ぐ人(゚д゚)!

安倍氏死去/頼副総統、安倍元首相の葬儀に参列 今夜帰国/台湾

安倍元首相の葬儀への参列を終え、会場の増上寺を後にする頼副総統

 安倍晋三元首相の弔問のために訪日している頼清徳(らいせいとく)副総統は12日、東京・港区の増上寺で営まれた葬儀に参列した。頼氏は同日夜に台湾に戻る予定。

 頼氏を乗せた車は12日午後0時34分ごろ、増上寺に到着した。葬儀は安倍氏の近親者らで執り行われた。頼氏は葬儀への参列を終えた後、同午後に帰国の途に就くとみられる。

【私の論評】安倍元首相がなぜ世界から称賛されるのか、その本質を理解する人こそ安倍晋三氏の遺志を引き継ぐ人(゚д゚)!

安倍元総理を悼み 台湾・蔡英文総統が台北市内の特設会場に弔問

蔡英文総統は11日朝、日本台湾交流協会台北事務所(台北市松山区。台湾における日本大使館に相当)を弔問に訪れ、亡くなった安倍晋三元首相の遺影に花を手向けました。

蔡総統は日本台湾交流協会に到着後、安倍元首相の遺影前で献花を行い、深々とお辞儀をした。また、色紙(写真下)に「台湾の永遠の良き友へ。台日友好と世界の民主主義、自由、人権、平和のために尽くしたあなたの貢献に感謝します」としたためました。


現在時代が動き、世界の秩序が変わろとしています。そうして、この現在を作ったのは米国でも英国でもロシアでも独仏でも中国でもありません。「アジアの民主的安全保障ダイヤモンド」を10年前に英語で発表した、安倍晋三氏という傑出した政治家に他ならないのです。

「自由で開かれたインド太平洋戦略(FOIP)」は、2012年の第2次安倍政権発足直後、首相名で発表されたチェコ・プラハに所在地がある言論サイト「ブロジェクト・シンジケート」の英文の論文「アジア民主主義防護のダイアモンド」構想が最初でした。中国の台頭に対抗することを念頭に置いて、インド、ASEAN、オーストラリア、アメリカ、それに英国、フランスまでが加わる日本発の安全保障構想です。


米国はこの構想に基づいて、ハワイに本拠を多く太平洋軍の名称を「インド太平洋軍」と改称し、インド軍、自衛隊、オーストラリア軍などが加わる軍事訓練を重ねています。

これが2012年暮れに公開されているということに注目していただきたいです。この時点で中国に対してここまで懸念を抱いていた世界のリーダーは、先進国中では当時の安倍総裁(当時は総理大臣になる直前)のみだったと思います。

そうして、これを念頭に当時の安倍総理は、外交、安全保障、経済でも改革をしようとし、実際にできたもの、積み残したものもありますが、インド太平洋戦略を現実のものにしたことは、大きな功績です。優れた構想をだすだけ、あるはすでに確立された構想を実現する人は過去にも多数いたと思いますが、その両方を実現した人は稀です。

中国は、以前は日本を見下していました。実際に、1994 年中国の当時の李鵬首相が、オーストラリアを訪問した時に、当時の オーストラリアのジョン・ハワード首相に向かって 「い まの日本の繁栄は一時的なものであだ花です。 その繁栄を創ってきた世代の日本人がもう すぐこの世からいなくなりますから、20 年もしたら国として存在していないのではないで しょうか。 中国か韓国、 あるいは朝鮮の属国にでもなっているかもしれません」 という 発言をしました。

ところが安倍政権が誕生して以降、気がつけば日本が中国包囲網の中心になっていたのです。 安倍総理大臣が「自由で開かれたインド太平洋戦略」を2016年8月の第6回アフリカ開発会議(TICADVI)の場で提唱してから5年以上が経過し、アジア太平洋からインド洋を経て中東・アフリカに至るインド太平洋地域において、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序を実現することの重要性が、国際社会で広く共有されてきています。

当時の安倍首相がこの構想を出したとき、中国はほとんど気にしていませんでした。しかし、その枠組みが目の前にでき上がってしまったということが、彼らの誤算でした。しかも「AUKUS(オーカス)」、「ファイブ・アイズ」という2つ枠組みがあり、アジアのなかでは日本だけが枠組みの一部に入るような事態も招いたともいえます。

しかし、習近平政権がこの数年間、戦狼外交や覇権主義戦略を進めた結果、このようなことを招いてしまったということに彼らは気が付いていなようです。

ジョー・バイデン米大統領は5月23日の日米首脳会談後の共同記者会見で、「台湾防衛への軍事的関与」を明言しました。この発言は失言なのか、それとも意図的なものなのか、現在でも論争の的になっています。

これには、この直前に公表された安倍論文が関係しているのではないかと言う有力な説があります。

これについては、以前もこのブログに掲載しました。その記事より以下に一部を引用します。

米国においては、もはや中国に対峙する姿勢は、上下左右から支持され、米国の意思となったといって過言ではありません。現在米国では中国に融和的発言をすれば、米国に対する裏切り行為だと指弾されかねません。

台湾を巡っても、中国に融和的な発言をすれば、ウクライナ侵攻直前にロシアのウクライナ侵攻に米軍を派遣することはないと名言したときのように、大反発をくらい、それこそ中間選挙では大敗確実になるのでしょう。

そうしてこれには、4月12日にチェコ・プラハに所在地がある言論サイト「ブロジェクト・シンジケート」に安倍元総理が発表した、米国は台湾防衛に曖昧戦略はやめよと主張した英語論文の影響もあることでしょう。


同論文は瞬く間に反響を呼び、「ロサンゼルス・タイムズ」や仏紙「ルモンド」など、米国をはじめ30カ国・地域近くのメディアで掲載されました。

同論文では、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を台湾有事と重ねたうえで、米国がこれまで続けてきた「曖昧戦略」を改め、中国が台湾を侵攻した場合に防衛の意思を明確にすべきだと主張しています。

1979年、米国は中国と国交を結んで台湾と断交し、台湾に防御兵器を提供することを定めた「台湾関係法」を制定しました。しかし、中国が台湾へ軍事侵攻した場合、米国が軍事介入するかどうかについては明らかになっていません。安倍氏は、この「曖昧戦略」を見直すべきだと主張しています。

まさに、この論文は、世界中の様々なメディアに共有され、SNSで拡散されました。なぜそこのようなことになったのかといえば、 「アジア民主主義防護のダイアモンド」構想 は、その後の世界に大きな影響を与え、まさに現在の世界はこの構想の通り動いているからです。

そのような論文を書いた、安倍氏がまた論文を掲載して、 米国は台湾防衛に曖昧戦略はやめよと主張しているわけですから、バイデン大統領も「米国はこれからも曖昧戦略を継続する」と、はっきりとは言いづらかったのだと思います。

そうして、世界の多くの人は、また安倍氏の論文が世界のスタンダートになっていくだろうと見ていると思います。

ところが、日本ではこうした現在世界のスタンダードとなっている考え方を記した安倍論文のことをマスコミはほとんど報道しませんでした。 また、それに向かって国内外で着々と努力を積み重ねていったこともほとんど報道しませんでした。

林外相は閣議後の記者会見で、これまで259の国や地域、機関から1700件以上寄せられていることを明らかにしました。

林外相は「多数のメッセージが寄せられていることを受けて、改めて外交に残された大きな足跡を感じている」と語りました。

また、林外相は「安倍元首相は地球儀を俯瞰する外交を実践し、多大なる功績を残された。積極的な首脳外交を展開し、各国地域と良好な関係を築かれた」と述べた上で、哀悼の意を表しました。

林外相は残念ながら、安倍元首相の本当の外交の成果をしっかりと認識していません。安倍首相は地球儀外交をして、各国地域と良好な関係を築いたから、称賛されているのではありません。

「アジア民主主義防護のダイアモンド」構想を公表し、公表しただけでなく、本当に世界がこの構想通りになるように国内外で行動し、今日インド太平洋地域の構造を作り上げたからこそ、称賛されているのです。これを一言も語らないというか語れないのが、認識していない証拠です。

この本質を理解する人こそ、政治家であろうがなかろうが、どのような立場や地位にいようが、年齢や性別に関わらず、安倍晋三氏の遺志を引き継ぐ人であると私は思います。安倍元総理の論文がマスコミに報道されず、日本国内ではほとんど目立たかなかったのと同じく、こういう人たちも今は目立たないでしょうが、しかしこういう人たちが、さらにこれを理解する人たちを増やし、日本を変える原動力になっていくのは間違いないと思います。

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