2022年7月14日木曜日

政府はなぜ減税しないのか!? 官僚が好む「補助金型」で恩を着せるも 予算の未消化が起きやすい―【私の論評】何もしなくてもすぐできる減税を日本でも早急に実施すべき(゚д゚)!

日本の解き方




 2021年度一般会計決算は、税収が前年度比10・2%増の67兆379億円と過去最高になった。一方、歳出では22兆円余りの予算執行を22年度に繰り越すと報じられている。国は予算の出し惜しみをしているのか。適切な使い道はないのか。

 予算は、原則として年度内に使い切ることとなっている。使い切れなかったものは、予算を計上したものの結果的に使う必要のなくなった「不用」となるか、一定の手続きにより次年度への「繰越」となる。

 財務省が5日発表した21年度の一般会計の決算概要によると、不用額は6兆3028億円と過去最高となった。これとは別に、特別会計などで22兆4272億円が22年度に繰り越された。

 21年度の予算総額は補正予算を含め過去2番目に大きい142・5兆円だった。20年度からの繰越もあり、結果として不用額が増えた。不用額について、20年度は3・9兆円、21年度はさらに6割増え6・3兆円だった。21年度不用の内訳は、資金繰り支援で経済産業省1・4兆円、財務省0・6兆円、「Go To トラベル」0・9兆円などだ。

 繰越については、20年度が30兆円強だったが、21年度の22・4兆円は過去2番目の大きさだった。公共事業費4兆円、地方創生臨時交付金の5・7兆円、中小支援事業復活支援金2・3兆円などだ。

 予算はもともと歳出権の上限を決めるものだ。コロナで経済の状況が読めない以上、多めに予算を組むのは当然である。もし足りなかったら、それこそ大問題だ。多めの予算でも別に無駄になるわけではない。不用や繰越を避けるために、年度内で無理矢理に予算消化する方が無駄であろう。いずれにしても、本件は必要以上に予算を組んで、財務省が勝手に怒っているだけともいえる。

 予算の使い方として、補助金型と減税型がある。補助金型とは、節電ポイントや、ガソリン補助金などの給付の方法のことだ。補助金型は、事前申請が必要で手間がかかるため、予算の未消化が起きやすい。

 事前申請の必要のないプッシュ形の給付金もあり、欧米先進国では主流になりつつあるが、日本ではマイナンバーと銀行口座のリンクが一部しかなされていないのでまだまだ実施されていない。一方、減税型は申請がいらないので原則的に100%予算を消化できる。

 減税型でも補助金型と同様の経済効果が出るのに、なぜか政府は減税をやらない。補助金型が多いのは先進国で日本だけの特色だ。例えば、ガソリン価格の安定のために、ガソリン税減税は行わないが、補助金を出すのはその典型だ。減税は直接消費者に恩恵が行くので明快だが、補助金は業者に行くので消費者から見ればその効果が分かりにくい。しかし、官僚から見れば、減税では自分に頭を下げないが、補助金は恩を着せられると考えるだろう。

 官僚主導の日本では、官僚の存在感が増すように補助金型の予算が多いのが問題であり、予算を余らせずに使うには減税が簡単で効果的だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】何もしなくてもすぐできる減税を日本でも早急に実施すべき(゚д゚)!

上の記事を書いた髙橋洋一氏は、動画で繰越自体は全く問題がないことを力説していましたか。特にコロナ禍があった昨年は、もしものことがあった場合に足りなければ大変なことになったはずであり、余剰が出る事自体はほとんど問題でははないとしています。


ただ、強いて問題があるとすれば、使い切れなくなるのは、日本では減税ではなく給付金による支援が突出して多いことが問題であるとしています。そうして、それを記事にせず、財務省の言い分をそのまま垂れ流している日経新聞の記事を批判しています。以下にその記事のリンクを掲載します。

税収、最高の60.8兆円 剰余金4.5兆円も最多 20年度決算

給付金と減税は、手元のお金が増える点で似ていても、その意味や使い勝手は大きく違います。補助金や助成金は原則、特定の目的に限って支給され、それ以外の目的に使うことはできません。

これに対し、減税で手元に残ったお金は自分のお金ですから、何に使おうと自由です。飲食店の店主であれば、生活費の足しにしても良いですし、新しい商売の準備に使っても良いです。用途を縛られたお金より、自由に使えるお金のほうが使い勝手は遥かに良いです。

また、政府から支給されるお金は、手元に届くまでに時間がかかりがちです。1次補正で計上した1人10万円の給付金は届くのが遅かったことを記憶している人も多いでしょう。厚生労働省の雇調金のオンライン申請システムは初日にトラブルが発生し、停止してしまいました。何ともお粗末ですが、減税なら、さほど時間はかかりません。

財政出動には様々な手法があるが、日本では給付金が突出している

欧州では、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた経済を立て直すための経済復興策として、各国で減税措置が実施されました。「2020年度 欧州・CIS投資関連コスト比較調査」によると、ドイツでは2020年7月から12月末まで付加価値税(VAT)が19%から16%に引き下げられ、軽減税率は7%から5%となりました。

詳細をご覧になりたい方は、以下を御覧ください。

2020年度 欧州・CIS投資関連コスト比較調査(概要・分析) (998KB)
2020年度 欧州・CIS投資関連コスト比較調査(都市別データ) (338KB)

英国でも同年7月15日から2021年3月末まで、飲食や宿泊、娯楽産業に対して、VATを20%から5%に引き下げている。今回の調査対象ではないですが、ベルギーやオーストリアでも、飲食業界などに限ってVATの減税に踏み切りました。

VAT減税の影響により、2020年8月のユーロ圏のインフレ率は前年同月比でマイナス0.2%となり、2016年5月以来のマイナスに転じました。9月から12月まではマイナス0.3%で横ばいでしたが、2021年1月に6カ月ぶりに0.9%のプラスとなりました。ドイツのVAT減税措置が12月末に終了したことが要因の1つとみられます。

中・東欧でも新型コロナウイルス感染拡大による厳しい経済状況を考慮した税制改正が行われまし。チェコでは、一連の税法改正が1月1日に発効し、個人所得税の課税ベースが見直された(2021年1月7日記事参照)。ハンガリーは、2021年の新たな税の導入や地方事業税を含む地方税の増税を禁じました(2020年12月10日記事参照)。さらに、遅くとも2022年1月1日までに25歳未満の若者に対する個人所得税が現在の一律15%から免除されます(2021年1月22日記事参照)。


自民党の若手議員約15人は2022年3月30日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気減速を受け消費税率を6月に10%から5%に下げるよう求める声明を出しました。食料品などに対象を限定している8%の軽減税率を当分の間0%とし全品目に適用する案も示しました。財源は国債の発行などで賄うとしました。政府が同年4月にまとめる過去最大規模の緊急経済対策に反映するよう求めていました。

対象はこの際、消費税に限らす何でも良いです。苦しむ市民に素早く手当ができ、現在日本経済に存在する巨大な需給ギャップ30兆円超の需給ギャップを埋めるのにも役立ちます。減税は、昔から善政として称えられてきました。試みる価値はあるはずです。

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