2022年6月1日水曜日

財政審「歴史の転換点」の意味 安倍・菅政権後に本音が爆発! 意向が通りやすい岸田政権で露骨な「増税路線」と「ご都合主義」―【私の論評】理想や理念ではなく、リアルな行動の積み重ねが、日本の政治を変えていく(゚д゚)!

日本の解き方


 財務省の財政制度等審議会が「歴史の転換点における財政運営」とする建議を行った。

 財政審の建議は、形式的には審議会委員が起草しているが、財務省の考えそのものだといえる。

 その内容は、ズバリ財政再建で、「歴史の転換点」というのは、長期にわたった安倍晋三・菅義偉政権が終わったので、再び財政再建路線にかじを切りたいという思いがうかがえる。

 安倍・菅政権は、経済を中心とする「経済主義」と、財政が中心の「財政再建主義」との対立概念からすると、経済主義の側だった。財政再建至上主義の財務省としては歯がゆかったのだろう。

 財務省の意向が通りやすい岸田文雄政権になったので、官邸に気兼ねせずに財政再建主義を露骨にしたともいえる。

 今回の建議では、財務省の従来の考え方がストレートに出ている。総論を見ても、グロス公債等残高対国内総生産(GDP)比について、日本が他国に比べて格段に大きいことが問題であるとしている。

 グロス公債等残高対GDP比の動きと、プライマリーバランス(基礎的財政収支)対GDP比には、金利・成長率などを所与とすれば一定の関係があるので、「プライマリーバランスを黒字化」することによりグロス公債等残高対GDP比が発散しない財政運営という「目標」が出てくる。

 もちろん、こうしたグロス公債等残高対GDP比に着目した財政運営方針は、安倍・菅政権でも骨太方針では書かれていた。しかし、景気対策時には、それらを無視して、適切なマクロ経済運営が行われた。安倍・菅政権での「総額真水100兆円」の補正予算において、日銀を含めた「統合政府」でのネット公債等残高対GDP比を増大させない運営方針だった。

 それを、安倍元首相は「政府・日銀の連合軍」と表現し、先日話題になった「日銀は政府の子会社」発言と同じことを実際の政策で行った。

 財務省は、安倍氏の首相在任時には文句を言わなかったが、首相退任後に話したら否定したわけで、これほど分かりやすい例はない。もはや安倍・菅政権でないという意味で、「歴史の転換点」なのだ。

 各論でも、防衛に関する部分が興味深い。欧州諸国で国防費の増額を表明する国が出ているが、それは平時において財政余力を確保してきたからだとしている。その裏には、増税への思惑が見え隠れしている。

 欧州には欧州中央銀行など国際機関が多くあり、各国の財政のオフバランス化に貢献してきた。たとえば、欧州中銀が各国国債を金融緩和などのために購入すると、日本や米国、英国と同じように、国債の利子・償還負担はなんらかの形で軽減するはずだ。その事実を無視して、税収だけで財政余力があるかのように説明するのはあまりに財務省のご都合主義だ。

 防衛費の一定部分は、今の財政制度の下で建設国債を活用してできるものもある。ネット公債等残高対GDP比を増大させないというまともな方針なら、できることは少なくない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】理想や理念ではなく、リアルな行動の積み重ねが、日本の政治を変えていく(゚д゚)!

歴史の転換点における財政運営」は次のような文章から始まっています。
歴史の転換点ともなり得る世界的な環境変化が急速に進行している。 本建議では、我が国が抱える経済・金融・財政の脆 弱 ぜいじゃく 性を直視し、とるべ き責任ある経済財政運営の在り方を示すとともに、今後、各分野において 求められる改革について具体的に提言する。

財務省は一言でいえば、「増税」したいのです。したくて、したくてたまらないのです。

上の記事にもあるように、安倍・菅政権での「総額真水100兆円」の補正予算を組みました。これは、無論安倍政権でコロナ対策として、補正予算を組みはじめてから、菅政権が終了するまでの間に組まれた補正予算の合計です。

このブログては、何度かこのことについ述べたことがあります。無論このことについては、高橋洋一氏も述べていて、コロナが深刻化しはじめた頃には、日本では100兆円の需給ギャップがあることを指摘していました。

これに対して安倍政権は、2020年4月に補正予算真水で16.7兆円を組みました。これに対して、高橋洋一氏は「あまりにシャビー」と酷評していました。 確かに、100兆円の需給ギャップがあるのに、16.7 兆円では、あまり少なすぎます。

ところが、安倍政権の補正予算はそれではすみませんでした。機会があるごとに補正予算を組み、安倍政権の期間では、結局合計60兆円の予算を組みました。

さらに、菅政権においても、機会があるごとに補正予算を組み、菅政権期間中には結局合計40兆円の真水の補正予算を組みました。

結局安倍・菅両政権においては、100兆円の真水の補正予算を組み、コロナ対策にあたりました。

このせいと、日本には米国にはない「雇用調整助成金」という制度があり、これは雇用者に助成金を交付するものですが、これと補正予算の中の雇用に関するものもあわせて対策を行ったので、安倍・菅両政権の期間中に雇用が悪化することなく、2%台で推移しました。

この安倍・菅政権での「総額真水100兆円」の補正予算において、日銀を含めた「統合政府」でのネット公債等残高対GDP比を増大させない運営方針でした。

それを、安倍元首相は「政府・日銀の連合軍」と呼ぶ方式、政府が巨額の国債を発行し、日銀がそれを買い取るという方式で成し遂げました。

コロナ感染期間中には、日本以外の国では、失業率がかなり上がりました。日本のようにコロナ以前からあまり変わらなかったのは、世界でも日本だけです。これは大成功といえます。確かに、テレビなどでは、自粛に協力した飲食店の業者らが苦境を訴えているシーンが放映されましたが、では一般の勤め人などどうだったかといえば、さほどのことはありませんでした。

少なくと、景気が悪くなった2000年代のように「年越し派遣村」がテレビで盛んに報道されるというような事態はありませんでした。

これは、安倍・菅政権の偉業と呼んでも良いと思います。しかし、この偉業が日本では理解されていません。そもそも、マスコミや野党はこうしたことを評価しないどころか、菅政権においては、「コロナ経済対策」に大失敗しているような印象操作を大々的におこなつていました。

海外の経済のことも見ていた私は、こうしたマスコミや野党などの行動は、発狂したようにしか見えませんでした。

確かに、安倍・菅政権においては、コロナ病床の確保には失敗しました。ただ、それは頑強な医療村の抵抗にあったからであり、これは安倍・菅政権の直接の責任ではありません。マスコミは、これを針小棒大に報道しまくり、野党もこれに迎合し、自民党内では、「菅総理」では、衆院選を戦えないという声がおこり、結局菅政権は短期で終わることになりました。

しかし、安倍・菅両政権においては、結局医療崩壊を起こすこともなく、ワクチン接種も進み、結果としては大成功だったと言えると思います。

このようなこともあったので、私はこのブロクではっきり表明したように、菅政権は継続させるべきと思いました。

このようなことをいうと、雇用統計などを見ている人の中では、4月の失業率は2.5%であり、岸田政権はなかなか良くやっているという人もいるかもしれません。


しかし、こういうことをいうマスコミや政治家は重要な点を見逃しています。それは、失業率は典型的な遅行指標であるということです。

遅行指標とは、景気に対し遅れて動く経済指数のことです。 内閣府が毎月作成している景気動向指数は、景気に先行して動く先行指数、ほぼ一致して動く一致指数と遅行指数の3本の指数があります。 景気の現状把握には一致指数、景気の動きを予測するには先行指数、事後的な確認には遅行指数が用いられます。

失業率は景気に対して半年遅れて動くとされています。4月の半年前というと、菅政権から岸田政権に変わったばかりのころであり、これは岸田政権の成果ではなく、菅政権の成果ととらえるべきです。

これに対して、株価は先行指標といわれています。これは、景気に対して先に動く経済指標です。株価は、景気に対して半年まえに動く指標とされています。

株価はどうかといえば、岸田内閣が昨年10月に発足してから、株価はずっと下落傾向にありました。昨年9月の時点で、東証一部の時価総額はおよそ778兆円ありました。しかし、1月末には約679兆円にまで落ち込んでしまった。たった4カ月で100兆円が吹っ飛んだことで、ネットでは『岸田ショック』なる言葉も誕生したくらいです。

こうした状況のなか 2022年度一般会計補正予算は31日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立しました。歳出総額は2兆7009億円で、赤字国債の増発に伴う公債依存度は335.9%と安倍・菅政権のときと比較するとかなり減りました。参院選後に追加策が編成されなければ、さらなる経済の悪化も視野に入ります。

再出総額が2兆7009円だというのですから、真水はさらに少なくなります。高橋洋一氏は現状てば、30兆円を超える需給ギャップがあるとしています。これでは、ほとんど焼け石に水です。

内閣府の推計では需給ギャップを17兆円としています。これは、高橋洋一氏の計算よりは、低めですが、内閣府という身内が算出しているものなので、少なくとこれを意識した補整予算を組むべきです。少なくとも、真水で10兆は必要でしょう。

それで対策をしてみて、ギャップがあれば、参院選後に追加補正予算を組む、それでも足りなければ、また組むという具合にやれば、短期間で合計30兆円を超える補正予算を組むことができます。これをすれば、岸田政権も安倍・菅政権と並ぶような経済対策ができるかもしれません。

こういうことをしないで、財務省のいいなりで増税などしてしまえばとんでもないことになります。岸田政権にはさらなる不安もあります。

それは、現在の日銀総裁黒田氏の人気が来年3月までだということです。先日もこのブログに掲載したように、現在の日銀は金融緩和策を継続するとしていて、まともな運営がされているといえます。

しかし、来年の人事で、黒田氏から別の総裁になり、日銀が今の日本は需給ギャップがあるにもかかわらず、日銀再び金融引締策をするという馬鹿真似をするようになったら大変なことになります。もし、その時に岸田政権が参院選後に追加策が編成せず、来年の4月にも編成せず、その後全くしなくなった場合。日本は、またデフレスパイラルの底に沈むことになります。

やがて就職氷河期をまた迎え、日本人の賃金は過去30年上がらなかったというのに、今後も上がる見込みがなくなります。

今私たちはそうならないように、具体的に、政治を動かす必要があります。だからといつて、自民党にお灸を据えるなどの考えは最低だと思います。実際にそのようなことで、民主党政権が誕生しどうなったのかということをみれば、これは明らかです。

経済も安定し、安保や外交でも懸念事項もあまりない状況であれば、将来のことを考えて、新しい人や、弱小政党に投票するということもありでしょうが、現状のように実施すべきこと(積極財政、金融緩和、安保・外交)が明白なときには、自民党の中での保守系を増やす必要があります。 

そうして、選挙後には議員に陳情して議案に賛成するなど、力を貸してもらう必要もあります。選挙は議員選びの道具ですが、選挙が終わってからが政治です。

そうして、野党では政策や議案づくりに参加することはまず不可能です。また陳情するにしても保守系議員にしてもあまり効果はないです。逆に自民リベラル系議員を動かすと大きく動きます。役付なら尚更です。丁寧に「ご理解頂く」事が重要です。

このあたりについては、以下の渡邉哲也氏の動画が参考になります。


いくら理想論を語っていても、お灸をすえるだとか、保守派の先生としか話をしないというのであれば、幼稚なリベラル・左派とあまり変わりありません。

来る参院選では、保守派を増やし、選挙が終われば、自民リベラル派議員に丁寧に陳情をすることが大切です。

それこそ、財務省の官僚がご説明資料を持って、政治家に丁寧に説明して、内容はデタラメながら、省益に沿った行動をするよう促すような地道な努力が必要です。わかりやすく、時間もかからないような、それでいて筋が通った正しい内容の陳情を心がけるべきです。

自民党にお灸を据えようとか、菅政権を短期政権に追いやったように、岸田政権を追いやったにしても、岸田氏と同じような考えの人が総理大臣になったり、力の弱い人がなれば、何も変わりません。

そんなことより、岸田政権を叩こうが、何をしても良いとは思いますが、結局政権の行動を変えられなければ無意味です。

それよりも、より現実的な行動をすべきです。リアルな行動の積み重ねが、日本の政治を変えていくことになります。ただし、財務省の悪行はしっかりと認識しておくべきです。

こんなことをいうと、難しく感じるかもしれませんが、ツイッターをしている政治家も大勢います。このような人たちに、わかりやすく目にとまりやすい陳情をツイッターですれば、意外と見たり読んだりしていただけます。地元の政治家に直接会うこともできます。ただ、応援しますなどというより、わかりやすく政権に何を具体的にしていただきたいのか、丁寧に説明すべきと思います。

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