2022年6月3日金曜日

プーチンが変えた世界のバランス・オブ・パワー―【私の論評】リアルな立場に立脚すれば、日本こそウクライナ戦争を終わらせる原動力になり得る(゚д゚)!

プーチンが変えた世界のバランス・オブ・パワー

岡崎研究所

 プーチンはウクライナをロシアに吸収合併し、ベラルーシとの3カ国よりなる「ミニ・ソ連の再興」を夢見たのだろうが、結果としては、国連憲章にある戦後の秩序を壊し、ロシアの国際的な地位にも大きな損害を与え、制裁によりロシア経済も疲弊させている。


 オースティン米国防長官はウクライナ訪問後、ロシアを弱体化することを目的にするとの発言をして、一部から批判されたが、キッシンジャーは、プーチンがそういう状況を自ら作り出していると指摘している。その通りである。

 ウクライナ戦争により世界のバランス・オブ・パワーは大きく変化している。このことにつき、ワシントンポスト紙コラムニストのデヴィッド・イグネイシャスは、5月17日付け同紙掲載の論説‘The new balance of power: U.S. and allies up, Russia down’で概観を試みている。イグネイシャスは、以下の諸点を指摘する。

・単純に言えば、米国と欧州の同盟国は上に上がり、ロシアは下に下がった。

・プーチンの誤算は中露関係に影響を与え、中露分断の機会もあり得る。

・中露の勢いが削がれる中、米国はアジアでの戦略パートナーシップを推進。

・インド、サウジアラビアなど湾岸諸国、東南アジア諸国、ブラジルといった「重要な中級国家」において米国は機会を持つ。

・米の軍事力、情報優位、戦略的パートナーシップは圧倒的に強いということを、世界中が想起。

 イグネイシャスによる上記の俯瞰は、大体当たっているように思われる。

ロシアへの民主化の波は訪れるのか

 将来のウクライナについて言うと、ウクライナが分裂国家になっても欧州連合(EU)に入り、民主主義国として繁栄するようになると、人的にも文化的にもつながりの多いロシアにそれが影響しないわけはないと考えられる。民主的なウクライナがロシアの民主化を促進する可能性は強いと思われる。ドイツなどがウクライナのEU加盟に否定的であることは、その意味で視野が短絡的に過ぎるように思われる。

 プーチンは政権の座から引きずり落とされてしかるべきだが、これはロシア人自身がやらなければならない問題である。このような失敗をしたプーチンへの不満がロシア国内でもくすぶっているはずで、その素地に点火する人が出て来る可能性は否定できないだろう。

【私の論評】リアルな立場に立脚すれば、日本こそウクライナ戦争を終わらせる原動力になり得る(゚д゚)!

バランス・オブ・パワーとは、国際政治における勢力の均衡を指す国家間の秩序モデルです。各国の勢力を均等化することで現状を維持し、緊張を含みながらも平和を継続させる効果を持つのです。

このバランスが崩れると秩序は混乱し戦争が生じます。19世紀の大英帝国は国家戦略として勢力均衡を適用し、国益を維持したといわれます。戦争を抑止するために各国間で条約を結んだり、地域や国際的な集団保障体制を構築したりして安定的な秩序を保ちます。

現代の国際連合は秩序維持の代表的なメカニズムです。しかし、未来永劫、繁栄を極める国や継続する同盟はなく、パワーポリティクスのもとでは国家は勢力の拡大を目指します。国家の興亡によって均衡が崩れると、パワーシフト(力の移行)が生じます。

現実の世界は、ヴェストファーレン条約以来、米ソの冷戦時代を除き、数カ国のパワーオブバランスの上になりたってきたのです。ちなみに、ヴェストファーレン条約(ヴェストファーレンじょうやく、独: Westfälischer Friede、英: Peace of Westphalia)は、1648年に締結された三十年戦争の講和条約で、ミュンスター条約とオスナブリュック条約の総称です。英語読みでウェストファリア条約とも呼ばれます。近代における国際法発展の端緒となり、近代国際法の元祖ともいうべき条約です。

ヴェストファーレン条約締結の図

この条約によって、ヨーロッパにおいて30年間続いたカトリックとプロテスタントによる宗教戦争は終止符が打たれ、条約締結国は相互の領土を尊重し内政への干渉を控えることを約し、新たなヨーロッパの秩序が形成されるに至ったのです。この秩序をヴェストファーレン体制ともいいます。

そうして、第二次世界大戦後のバランス・オブ・パワーに挑戦をしたのが、ロシアであり、それを絶対に許さないという姿勢で臨んでのが米国とその同盟国です。そうして、ロシアは第二次世界大戦中に、独ソ戦で多大な犠牲を出しつつも連合国側につき、戦後に当時のソ連が勝ち取りそれを引き継いだロシアの常任理事国の地位を失うことになります。

こうしたロシアの蛮行に対して、リアリストとリベラルの受け止め方は大きく異なります。リアリストは、以前からNATOの東方拡大はロシアの死活的な安全保障上の利益を脅かすことになり、同国はそれを守るための軍事行動を厭わないので危険だと主張していました。

したがって、リアリストはロシアがウクライナを侵略した意味をNATOがロシアの生存を脅かした予想された結果であり、不幸にしてウクライナが犠牲になってしまったととらえたようです。

他方、リベラルは、ロシアの侵略に大きな衝撃を受けました。この学派の人たちは、ロシアが引き起こした国際法に違反する行動を「法の支配に基づく国際秩序」を破壊する重大な「犯罪行為」だと解釈したのです。

リベラルは、国際社会を発展する規範や制度から構成されるものとみなす傾向にあります。とりわけ、リベラル派は、主権国家間の境界線を尊重する「領土保全規範」が、国家の他国への侵略を抑制する重要な役割を果たしていると信じていました。

その規範を大胆に破ってウクライナを軍事力で攻撃したロシアの行動は、国際社会全体の「公共善」に対する挑戦であると、リベラルは危機感を募らせたわけです。だから、リベラルの人たちの多くは、ウクライナとロシアの戦争を「善と悪」との闘争とみなしたのです。

他方、リアリストはロシア・ウクライナ戦争をバランス・オブ・パワーの変化が引き起こした事象と理解しています。したがって、リアリストはこの戦争に善悪の基準を当てはめようとしないのです。

リアリストは、戦争には必然的にパワーの分布が反映されるとみなします。したがって、戦争の終結形態は、残念ながら、ロシアとウクライナの国力の差に左右されてしまうとリアリストは主張します。リアリストの重鎮であるアメリカの元国務長官ヘンリー・キッシンジャー氏は、ウクライナがロシアに領土を割譲すべきととれる発言をして、たいへんな物議をかもしました。

彼は5月23日、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)において、「今後2カ月以内に和平交渉を進めるべきだ」との見解を示すとともに、「理想的には、分割する線を戦争前の状態に戻すべきだ」と述べました。この「戦争前の状態」という言葉は、ロシアが2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島や、親ロシア派勢力が支配する東部ドンバス地方の割譲を意味すると受けとられました。


この発言に対して、ウクライナのウォディミル・ゼレンスキー大統領やドミトロ・クレバ外相は猛反発しました。かれらは、ロシアに譲る地域にはウクライナ人が住んでおり、ロシアへの譲歩は戦争を防げなかったではないかと、キッシンジャー氏を激しく批判しました。

バランス・オブ・パワーといった地政学的要因がウクライナの行動を制約していることについて、ウクライナ政府内では、その受け止め方に迷いがあるようです。

ゼレンスキー大統領は「私たちには戦う以外の選択肢はない」「侵略者を罰するための前例がなければならない」「侵略者が全てを失えば戦争を始める動機を間違いなく奪うことができる」と強気の発言をしています。

ロシア軍が東部ドンバスや南部ミコライウで空爆や砲撃を実施し攻勢を強めた中、アンドリュー・イェルマーク大統領府長官は5月22日、「戦争は、ウクライナの領土の一体性と主権を完全に回復して終結しなければならない」と述べて、ウクライナは停戦や領土の譲歩はしない姿勢を示しました。

こうしたゼレンスキー政権の対ロシア政策は、ウクライナ国民に広く支持されています。ウクライナ国民の82%は、戦闘が長期化して国家の独立性への脅威が高まることになっても、ロシアとの交渉で領土を割譲すべきでないと考えていることが、世論調査の結果で分かっています。

その一方で、ゼレンスキー大統領は5月21日に報じられたテレビインタビューで、ロシア軍がウクライナへの本格侵攻を開始した2月24日以前の領土を取り戻すことができれば「ウクライナにとっての勝利とみなす」と表明して、クリミア奪還は必ずしも目指さないと示唆していました。この方針は、先述のキッシンジャー氏の提言とあまり変わりません。

おそらく、ゼレンスキー大統領としては、理想としてクリミア半島を含むすべてのウクライナの領土をロシアから取り返したい反面、それを目指すことはロシア軍との戦闘が長く激しくなり、国民の多くの生命を犠牲にしてしまうことも理解しているのでしょう。こうしたジレンマに直面して、普通の人では想像できないような深く苦しい悩みを抱えるゼレンスキー氏の心情は、察するにあまるものです。

くわえて、ウクライナを支援するNATOの軍当局者にも、同様の迷いがあるようです。かれらは、ドンバス地方やクリミア半島の一部地域では地元住民からの反発も考えられることから、ウクライナ政府が実際に領土を取り戻すために戦うべきかどうかについては、疑問な点もあると述べています。

言うまでもないことですが、ウクライナ政府がロシアとの戦争の目的と手段を決める明白な権利を持っています。われわれにできることは、外からウクライナを助けることです。問題は、関係各国が、どのようにウクライナを支援するかです。

リアリストの答えは、自国の国益の観点からウクライナ政策を打ち出すべきだということになります。他方、リベラルの処方箋は、国際社会の公共善を守るために、その規範を踏みにじったロシアという悪を徹底的に打倒すべきとなるでしょう。

ウクライナの最大の支援国である米国は、今のところリベラル派の進言にしたがって行動しているようです。バイデン政権は、第二次世界大戦後、初めてとなる戦時の「レンド・リース法」をウクライナに適用して、全面的で大規模な軍事援助を行っています。

また、アメリカはヨーロッパにおいて、異例ともいえる大規模な増派をしています。アメリカのマーク・ミリー統合参謀本部議長は、侵攻前にヨーロッパに展開していたアメリカ軍の兵力規模は、米軍欧州軍や陸海空軍、海兵隊、宇宙軍を合わせ約7万8000人だったが、わずか数カ月で30%増となり、10万2000人態勢に拡大したと発表しました。これは中国の脅威の増大を念頭においたリバランス政策において、インド・太平洋地域に展開してきた米兵数を上回っています。アメリカは再びヨーロッパに回帰したのです。

こうしうたアメリカのウクライナ支援策については、リアリストから苦言が呈されています。ジョン・ミアシャイマー氏は、以下のようにバイデン政権を批判しています。
オバマ政権で副大統領を務めていたバイデンは、ウクライナ加盟の”超タカ派”として動いてきました。彼は、ウクライナのNATO加盟に積極的になるのです。バイデン大統領は現在のウクライナ危機を引き起こしたメインプレーヤーの一人です。バイデン自身が副大統領時代にウクライナのNATO加盟にコミットしすぎたためでしょう。それでリアリストのロジックではなく、リベラル覇権主義のまま(ウクライナに)肩入れしていったわけです。ウクライナにいるロシア軍を決定的に敗北させ(ることは)。ロシアの生存を脅かしている。これはまさに『火遊び』なのです。
(『文藝春秋』2022年6月、149-156ページ)。
ミアシャイマー氏の見解が正しければ、アメリカがウクライナ情勢に深入りしすぎてしまったため、ロシアを交渉により戦争終結へと動かすことは不可能になってしまったようです。

ミアシャイマー氏

米国に戦争の「出口戦略」がないことは、以前から識者が懸念していました。外交問題評議会のリチャード・ ハース会長は、「奇妙なことに、ウクライナでの西欧の目標は初めから明確とは言い難い。ほぼ全ての議論が手段に集中している。何が戦争を終わらせるかにほとんど言及がない。どう戦争を終了すべきかに答えることは、ロシアとの闘争が重大局面をむかえる中、大規模な戦闘の気配がするので、死活的に重要だ」と早くから指摘していました。

最近になって、アメリカの専門家から、西側は戦争終結の出口戦略とウクライナ支援をパッケージにすべきだとの積極的な意見もだされるようになりました。ブレンダン・リッテンハウス・グリーン氏(ケート研究所)とカイトリン・タルマージ氏(ジョージタウン大学)は、ロシア軍の完全な敗北を目指すと核の惨劇のリスクは高まり、そうならなくても人道被害は甚大になるので、西側は武器支援をキーウが受け入れ可能な紛争解決に関連づけ、「必要であれば(ウクライナへの)軍事支援の栓を閉めることも厭わないと示す」べきだと踏み込んだ提言をしています。

現在、米国やウクライナはリベラルの助言に従っています。これはバイデン大統領が、5月23日、ロシアのウクライナ侵攻について「プーチン大統領に責任を負わせる」と述べたことに表れています。ウクライナ大統領府長官のアンドリュー・イェルマーク氏も「今日、善と悪の間に中間は存在しない。あなた方は、善につくか、悪につくかのどちらかだ」と、リベラル派の言説でロシアのウクライナ侵略への西側の支援を訴えています。

日本はウクライナへの経済支援に全力を傾けています。岸田文雄総理大臣は「日本としては、世界銀行と協調する形で、従来の3億ドルを倍増して6億ドルの財政支援を行うことにする」と述べ、さらに3億ドルの借款を追加する方針を明らかにしました。これにより日本のウクライナへの借款は6億ドル、日本円でおよそ770億円規模となります。

同時に、日本は中国や北朝鮮の脅威に対処するために、防衛費を現状の2倍にすることを目指しています。ウクライナの勇敢な戦いを支えながら、台頭する中国の脅威から安全保障を確保しなければなりません。こうした苦境を打開する万能薬が日本にはあります。それは、安倍元総理も述べたように、政府日銀連合軍による調達です。

政府が大量に国債を発行し、日銀がそれを買い取るという方式です。これにより、防衛費をケンづいの2倍にしても財政的に苦しくなることはありません。現に、安倍・菅両政権の期間には、合計で真水の100兆円にものぼる補正予算を組み、コロナ対策を実施しました。これと米国などにはない雇用調整助成金制度で、日本はコロナ感染が拡大しても、失業率が2%台で推移させるという他国には見られない偉業を達成しました。

この方式の唯一良くない点は、インフレを招いてしまう可能性ですが、日本はもともとデフレ気味だったので、コロナ対策期間中には米国やヨーロッパのように6%〜8%ものインフレになることはありませんでした。

総理大臣在任期間中に多大な成果をあげた安倍氏と菅氏

最近では、消費者物価指数が全体では2.5%ですが、コアコア(生鮮食料品、エネルギーを除く)では、0.8%であり、まだまだ余裕があります。エネルギー価格の上昇などを手厚く保護しつつ、積極財政を行うことで、政府日銀連合軍により、防衛費を獲得しつつ、ウクライナに対して米国に迫るような支援をすることは可能です。

岸田政権は、そうしたことを実施すれば、ウクライナや米国や西側諸国に対して、存在感を発揮することができます。その上で、米国や西側同盟国とウクライナを交えながら、ゼレンスキー政権が受け入れ可能な「出口戦略」を本格的に協議してもよいのではないでしょうか。そして、リベラル寄りの西側の戦略をリアリストの方に少しずつ動かす努力は、検討に値するでしょう。

中国という出現しつつある地域覇権国の脅威にさらされる日本の国民は、国益を最大化できる国家戦略について感情的にならず冷静に考えて、その答えをだすことが求められると私は思います。

しかしながら、現在のアメリカには、そうした政治的意思はないようです。ロイド・オースチン国防長官は「アメリアはウクライナとロシア間の和平取引にとって可能性のある条件を要求してはいない」と発言して、バイデン政権が「出口戦略」をゼレンスキー政権と構築することを否定しています。

このままでは、ウクライナ戦争はいつまで続くかわかりません。現状ですぐに、リアルな解決法を模索することは、ロシアのプロパガンダに利用されるだけかもしれません。そのことを恐れたからこそ、2月24日以前の領土を取り戻すことができれば「ウクライナにとっての勝利とみなす」というキッシンジャー氏の発言にゼレンスキー大統領は、激怒したのでしょう。

しかし、今はまだ戦争が始まってから3ヶ月程度です。6月中には戦争がはじまってから4ヶ月を迎えます、8月になれば半年です。来年1月になれば、1年です。

6ヶ月を超えても、戦争がいつ終わるかわからない状態が続けば、ロシアは経済的にも軍事的にも疲弊し、ウクライナは自国領土が戦場といことで疲弊します。両方とも、先が見えないことに対してかなりの不安を感じることになるでしょう。

半年を超えたあたりから、ロシアもウクライナも理想論や原理原則ばかりを語ってはおられなくなり、現実的な「出口」戦略を模索することになるでしょう。

まさに「戦争にチャンスを与えよ」で米国の戦略家ルトワック氏が語っていたことが現実になるのです。ルトワック氏は、平和な時代には人々は戦略問題を軽視し、近隣諸国の不穏な動きにも敏感に反応せず、日常の道徳観や習慣の方を戦略課題よりも優先してしまう。このために戦争のリスクが一気に高まるといいます。今の日本の状況はまさにそうかもしれません。

また、戦争が始まると男達は戦争に野心やロマンを見出し、嬉々としてこれに参加しようとします。しかし、戦争が一旦始まり、膨大な量の血と物資の消耗が始まると、最初の野心は疲弊と倦怠感に取って代わり、戦う気力はどんどんと失われていきます。

人々は遺恨や憎しみよりも平和を希求するようになるといいます。あるいは抗争中のどちらかの勢力が圧倒的な勝利を収めた際も戦争は終結します。破れた側に闘う力が残されていないためです。戦争を本当の意味で終結させるのは膨大な犠牲を待たねばならないのです。つまり戦争が平和を生むのです。

これは、リベラリストには到底受け入れがたいことでしょうが、これは冷徹な現実なのです。現在中途半端に介入すれば、遺恨が残り戦争の種はくすぶり続けることになります。

ウクライナ、ロシアがともに平和を希求するようになったとしても、リベラリズムで固まった米国の態度は変わらない可能性が大きいです。その時こそ、日本の出番です。米国や西側同盟国とウクライナを交えながら、ゼレンスキー政権が受け入れ可能な「出口戦略」を本格的に協議して、ロシアとの仲介役を買ってでるべきです。

日本にはこれに似たことをすでに実施したことがあります。それはインド太平洋戦略です。これは、安倍晋三氏が総理大臣だった頃に提唱し、それをトランプが受け入れて、現在でも米国の基本戦略になっています。バイデン政権も今年になってからはじめてバイデン政権の「インド太平洋戦略」を公表しています。

ただ、これも米国だけが動いていたとしたら、インド太平洋地域や関係国には米国に反発する勢力も多く、なかなか今日のような形にはならなかったと思いますが、安倍総理が米国とそれらの国々との橋渡し役を買ってでたため、今日のような形になったといえます。これを米国は高く評価しています。

これは、ウクライナ戦争停戦でも同じようなことがいえると思います。米国や中国、ましてやロシアが直接動いては、反発する勢力も多いです。EUも反発される可能性が大きいです。しかし、日本なら米・EU、中露よりは反発は少ないです。

これを評価しないというか、無視するのが日本国内のメディアや野党です。先にも述べたように、日本国内では安倍・菅両政権の期間には、合計で真水の100兆円にものぼる補正予算を組み対策を実行して、輝かしい成果をあげたのですが、メディアはこれを失敗したかのごとく印象操作し、実際失敗したと思い込んでいる人も多いようです。しかし、当時の数字をみれば、そうではないことがはっきりわかります。

菅政権は日本特有の強力な鉄のトライアングル、特にその中でも、医療村の強烈な抵抗にあって、病床確保には失敗しましたが、それでも結局医療崩壊を起こすこともなく、驚異的なワクチン接種率の向上を実現し、深刻な経済の落ち込みも招くことなく、相対的に大成功しました。

このような日本の潜在力を十二分に発揮すれば、日本こそウクライナ戦争を終わらせる原動力になるくらいの能力を持っているといえます。

ただ、リベラル的な観点から物事をみていては成就しません、やはりリベラル・保守などの立場を超えて、リアルな立場から物事をみていくべきです。綺麗事、お花畑、理想・理念に凝り固まり、現実から目をそらしていれば、何も成就しません。

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