ロシア海軍の艦艇が、北海道の宗谷岬沖と太平洋の伊豆諸島周辺をそれぞれ航行していて、自衛隊が警戒監視を行っている。
防衛省によると、17日午前、宗谷岬の北およそ40kmのオホーツク海で、ロシア軍のフリゲートやミサイル護衛哨戒艇など、あわせて9隻を海上自衛隊が確認した。
9隻はその後、宗谷海峡を抜け、日本海に入った。
一方、15日に北海道沖で確認され、太平洋を南下していた別のロシア軍艦艇7隻は、17日までに、伊豆諸島の須美寿島と鳥島の間を南西に通過した。
日本近海でのロシア軍の活発な動きに、自衛隊は警戒を続けている。
防衛省によると、17日午前、宗谷岬の北およそ40kmのオホーツク海で、ロシア軍のフリゲートやミサイル護衛哨戒艇など、あわせて9隻を海上自衛隊が確認した。
9隻はその後、宗谷海峡を抜け、日本海に入った。
一方、15日に北海道沖で確認され、太平洋を南下していた別のロシア軍艦艇7隻は、17日までに、伊豆諸島の須美寿島と鳥島の間を南西に通過した。
日本近海でのロシア軍の活発な動きに、自衛隊は警戒を続けている。
【私の論評】日米英はオホーツク海で大演習を行い、スターリンが関特演で味わった以上の恐怖をプーチンに味合わせるべき(゚д゚)!
極東ロシアは上の地図をご覧いただいてもわかるように、面積は広大ですが、人口は650万人程度にすぎません。ロシアにとっての重要部分ではありません。産業は育っておらず、隣接する中国の東北部に比べれば人口は20分の1でGDPの格差はそれ以上です。陸軍の兵力でも、瀋陽方面の中国陸軍に比べてロシア極東部の陸軍は弱体です。
日本と比べても、極東ロシアは経済面でも貧弱です。そもそもロシア全体のGDPが韓国よりも若干下回る程度であり、一人あたりのGDPは中国と似たりよったりの1万ドル(日本円で百万円)前後であり、比較の対象にはならない程お粗末です。
日本と比べても、極東ロシアは経済面でも貧弱です。そもそもロシア全体のGDPが韓国よりも若干下回る程度であり、一人あたりのGDPは中国と似たりよったりの1万ドル(日本円で百万円)前後であり、比較の対象にはならない程お粗末です。
ちなみに、一人あたりのGDPは、一人あたりの収入と近似できますが、日本では百万円前後の賃金の人など、一部の非正規雇用の人だけだと思います。軍事的にも貧弱です。たとえ日本を攻めようとしても、従来からいわれているようにロシア軍の揚陸作戦能力が乏しいことから、日本に軍隊を送るにしても、逐次投入するしかなく、そうなると個別撃破されてしまうことになります。
この理屈を理解しない人もいるようですが、今回ウクライナの黒海岸にロシア軍はほとんど上陸できず、揚陸艦も撃沈されてしまったことからも明らかです。
海軍ではカムチャツカ半島に基地を置く原子力潜水艦が何隻も戦略核ミサイルを抱えてオホーツク海に潜っていますが、これは米国向けのものです。海上艦のほうはお粗末で、駆逐艦クラス以上の軍艦は7隻程度しかなく、海上自衛隊の陣容の10分の1程度です。日本海岸には海上自衛隊の主要な潜水艦基地があり、数と質でロシア海軍の潜水艦を圧倒しています。
海軍ではカムチャツカ半島に基地を置く原子力潜水艦が何隻も戦略核ミサイルを抱えてオホーツク海に潜っていますが、これは米国向けのものです。海上艦のほうはお粗末で、駆逐艦クラス以上の軍艦は7隻程度しかなく、海上自衛隊の陣容の10分の1程度です。日本海岸には海上自衛隊の主要な潜水艦基地があり、数と質でロシア海軍の潜水艦を圧倒しています。
特に、中露は日米に対して対潜哨戒能力(潜水艦を発見する能力)がかなり劣っているため、ロシアには日本のステル性(静寂性)に優れた潜水艦を発見することは難しいです。一方日本の対潜初回能力は米軍と並び世界トップクラスであるため、ロシアの潜水艦を日本が探知するのは比較的容易です。
ASW(Anti Submarine Warfare:対潜水艦戦闘力)に劣ったロシア海軍は、海戦においては日米の敵ではありません。現在のロシア海軍は単独で日本の海自と戦っても、勝つことはできません。一方的に敗北するだけです。
しかも有事になるとロシアの艦船は宗谷海峡と津軽海峡は日本の潜水艦が潜んでいることもあり、危なくて通れなくなるので、太平洋方面での作戦やウラジオストクから補給を受けるカムチャツカの基地の維持も難しくなります。
さて、以上を前提に最近のロシア軍の極東における行動を振り返っておきます。
ロシアは、陸続きのモンゴルと中国と北朝鮮以外、つまり日本と米国に対しては、海を隔てて向き合っています。したがって、極東方面の防衛は海軍力と空軍力に頼ることになるわけですが、この脆弱性がウクライナとの戦争によって露わになっています。
下院副議長セルゲイ・ミロノフ氏 |
当然のことながらが、ロシア側はこのような実情をおくびにも出さないです。それどころか、4月1日には、下院副議長のミロノフが「ロシアは北海道への主権を有するという専門家もいる」と、日本に対して脅迫じみた内容をSNSに投稿したほか、同14日には日本海において、キロ級潜水艦2隻から核弾頭も搭載可能な最新式の巡航ミサイル「カリブル」を発射して、わが国をけん制しました。
ただ2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以降、わが国に接近してきたロシア軍機は、今回のものを除き、5月24日に中国の爆撃機(H-6)4機と合同パトロールと称する示威行動を実施した、戦略爆撃機(Tu-95)2機とこの際偵察活動を実施した電子偵察機(IL-20)1機の3機のみという閑散ぶりです。 近年のロシア軍機の活動においては異常に少ないです。
ある程度の準備期間を経て、満を持してウクライナに侵攻したロシア軍でさえ、あの体たらくです。ましてや、日米に比して貧弱で駆逐艦以上の戦闘艦艇に至っては海上自衛隊の10分の1程度の太平洋艦隊です。
プーチンに対して、関東軍特別演習でスターリンが味わったような恐怖を味あわせるべきです。ちなみに、ノモンハン事件においては、スターリンが事実を隠蔽したため、日本が大敗を喫したようにされていましたが、ソ連崩壊後の資料の公開で、実はソ連軍も甚大な被害を被っており、どちらかといえば、日本が辛勝していたことがわかっています。
プーチンが変えた世界のバランス・オブ・パワー―【私の論評】リアルな立場に立脚すれば、日本こそウクライナ戦争を終わらせる原動力になり得る(゚д゚)!
ロシア版のトマホーク級巡航ミサイル「カリブル」は、射程距離が2,000km以上あり、ロシア軍が黒海などに展開する艦船や潜水艦から発射されている主力ミサイルです。ロシアは5月末までに、弾道ミサイルや巡航ミサイルなどを航空機や地上発射機や潜水艦を含む艦艇などから1,000発以上発射したと見られるが、米国防情報局(DIA)の関係者は「ロシアのミサイルの命中率は、40%にも達しない」と分析しており、巡航ミサイルについては、約10%がウクライナにより撃墜されているとしています。
このウダロイI級は1980年代に建造された旧式艦です。ステレグシチー級フリゲート艦は、2000年以降に建造されたものでウダロイ級よりは新しく、前出の巡航ミサイル「カリブル」が8基のほか、ハープーン級の対艦ミサイルが8発搭載可能であり、小型艦ながらそれなりの対地、対艦攻撃能力があります。
また、6月3日から10日まで、太平洋において40隻以上の艦艇と約20機の航空機による大規模な演習を実施すると発表して、北海道南東沖から北方四島南方海上にミサイル発射に関わる航行警報海域を設定し、数隻の艦艇を北海道根室沖で活動させたり、6月7日には日本海でロシア空軍機による威力偵察と見られる活動を実施しています。
この40隻というのが実態としてどのような艦艇なのか不明ですが、根室沖に姿を現したのは、駆逐艦「ウダロイI級(DD-543:8,500トン級)」1隻、フリゲート「ステレグシチーI・II」級(FF-333,335,337,339:2,200トン級)」4隻の5隻です。
その後、これらの艦艇は千葉県沖まで南下し、新たにウダロイ級の駆逐艦(DD-548)とミサイル観測支援艦「マーシャル・クルイロフ(AGM-331):2万3,700トン級」と合流しました。おそらく、このクラスの艦艇がこの40隻の主力なのでしょう。
しかし、ウダロイ級もステレグシチー級も防御能力の観点からすれば、脆弱な艦艇といえる。特に、対空防御能力という点からみると、ウダロイI級は射程12km程度の対空ミサイル(SAM)「キンジャール」を装備していますが、これでは日米両軍が保有するほとんどの空対艦ミサイル(ASM)でスタンド・オフ(SAM射程圏外からの)攻撃が可能であり、ステレグシチー級フリゲートに至ってはSAMを保有しておらず、両艦ともに対空防御能力は極めて脆弱です。
また、6月7日夜間、ロシア軍機と推定される4機がロシア沿海方面から真っすぐに北海道へ向けて飛来し、うち2機については本邦領空手前で反転して北海道西方で旋回飛行を行い、残りの2機については北上して樺太方面へ消え去りました。
ちなみに、今回と同様にロシアが親露派武装勢力を前面に出してウクライナに対してハイブリッド戦争を仕掛けた2014年の同時期、わが国はG7で取り決めた経済制裁に踏みきりましたが、この際、これに反発したロシアは連日、戦略爆撃機などを本邦周辺に飛行させてわが国を威嚇しました。
今回と同時期の2014年2月24日~6月10日の間、わが国周辺に飛来したロシア軍機は、戦略爆撃機(Tu-95)22機、対潜哨戒機(IL-38,Tu-145)12機、電子偵察機(IL-20)19機、早期警戒管制機(A-50)1機の延べ54機である。単純に比較すれば今回はこの8分の1(戦略爆撃機は10分の1)程度です。
以上のことから、極東ロシア軍は、かなり脆弱化しているとみられます。現在のロシア軍による日本への挑発行為は、今の極東ロシア軍にできる精一杯の虚勢に過ぎず、わが国に脅威を与えるような活動とは程遠いです。
ロシア空軍は、日常の活動などを見ても航空機の稼働率がおそらく30%(空自は90%を超える)に満たず、パイロットの操縦訓練(飛行時間は空自の半分以下)も全く航空自衛隊とは比較にならないような低練度の空軍の飛行部隊や海軍航空部隊の現状で、通常戦力ではとても日米の軍事力に太刀打ちできるはずはないです。さらに、最初にも述べたように、海戦においては日米に勝ち目はありません。当の軍人たちが、誰よりもそれを熟知しているでしょう。
「核兵器搭載可能な巡航ミサイルの発射」とか、「太平洋で40隻以上の艦艇による大演習」などというロシア側の虚勢を張ったプロパガンダなどに惑わされるべきではありません。
我々は、極東ロシア軍を等身大に見るべきです。わが国は今こそ、強気の姿勢で政治的にも軍事的にもロシアに対して存在感を発揮し、強力プレッシャーをかけるべきです。政治的には、硬軟両面の姿勢でロシアに対して外交的な揺さぶりをかけるべきです。
また、軍事的な面では、日本海や北方四島方面などにおいて、ロシアに対する自衛隊による(無人機を含む)偵察活動をさらに強化すべきです。また、これに加えて、南樺太や北方四島方面などにおいては、戦闘機などによる威力偵察を行うべきです。そうして、これらの地域での日米共同訓練を増やすべきです。
関東軍特別演習 |
プーチンに対して、関東軍特別演習でスターリンが味わったような恐怖を味あわせるべきです。ちなみに、ノモンハン事件においては、スターリンが事実を隠蔽したため、日本が大敗を喫したようにされていましたが、ソ連崩壊後の資料の公開で、実はソ連軍も甚大な被害を被っており、どちらかといえば、日本が辛勝していたことがわかっています。
このときは、日本は米英と敵対していましたが、現在世界で最強の海洋国である日米英は、緊密に協力する間柄であり、ロシアと対峙しています。日米英がオホーツク海で大規模な共同訓練を行えば、関東軍特別演習でスターリンが味わった以上の恐怖をプーチンが味わうことになります。
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