2022年3月12日土曜日

「プーチンは注視していた」:プーチン、習は「もう我々の国を尊敬していない」とトランプ―【私の論評】何がプーチンのウクライナ侵略を勇気づけたのか?日本人は真摯に学ぶべき(゚д゚)!

「プーチンは注視していた」:プーチン、習は「もう我々の国を尊敬していない」とトランプ

https://dailycaller.com/2022/03/10/putin-watching-trump-putin-xi-no-longer-respect-country/

<引用元:デイリー・コーラー 2022.3.10

ドナルド・トランプ前大統領は10日の「ハニティ」で、アフガニスタン撤退後、ロシアのウラジミール・プーチン大統領は米国に対する尊敬の念を失ったと述べた。

司会のショーン・ハニティは前大統領に、ウクライナでのマリウポリの産院への爆撃、地域社会の破壊と何千名もの死者に対する前大統領の反応を尋ねた。

「これは非常に悪いことだというのが私の反応だ。なぜならこれは決して起こらなかったことだからだ。もしトランプ政権であったならこれは決して起こらなかったし、私は彼(プーチン)のことをよく知っているが、これはまったく起こりそうにないことだった・・・アフガニスタンでこの悲惨な状況が起きた時、これがどれほど重要であるか信じることもできなかった。何と呼びたいと思うかにしても、撤退あるいは降伏のやり方のことだ。我々の国にとって悪いことが起こり始めた」

「アフガニスタン撤退のやり方だが、完全な降伏のようだった。そして実に、プーチンは注視していたし、習首席は見ていたし、イランの指導者も金正恩も注視していた。全員が注視していた。そして悪いことが起こり始め、彼らはもはや我々の国を尊敬しておらず、そうやってこのことが起きたのだ」

バイデン政権は、8月の米軍のアフガニスタン完全撤退とタリバンによる掌握をめぐり、特にカブール空港での自爆攻撃により13人の軍人が死亡してから、相次ぐ非難を受けた。

政権は8日、ロシアの石油・天然ガスの輸入を完全に禁止することでロシアに対抗措置を取り、銀行と輸出についても複数の制裁を科した。トランプは2月22日の声明で、制裁を「弱い」とし、プーチンは高騰する石油・天然ガスによってますます裕福になるだけだと述べた。

前大統領は9日、米国人は核戦争について「心配すべき」であり、その可能性は「深刻」だと警告した。

【私の論評】何がプーチンのウクライナ侵略を勇気づけたのか?日本人は真摯に学ぶべき(゚д゚)!

今回のウクライナ侵略に向けて、ロシア軍集結は昨年秋ごろから始まっていました。プーチン氏はなぜこのタイミングで強硬策に踏み切ったのか。理由の一つとして、バイデン米政権が昨年8月末、米軍をアフガニスタンから撤退させたことが影響しているのは、それが大きいか小さいかは別にして、間違いないでしょう。

米紙ウォールストリート・ジャーナルでも社説で、「米軍のアフガン撤退とその後のロシア軍集結のタイミングは「偶然の一致ではない」と指摘。「バイデン大統領が国内問題を最優先とし、世界から撤退するのをプーチン氏は見た。ウクライナに侵略し領土を奪い取ることは可能だとの考えに賭けている」と分析していました。

プーチン大統領は昨年8月24日、政権与党の会合で演説し、イスラム主義勢力タリバンが実権を握ったアフガニスタンへの関与に関し、「様々な勢力が対立する紛争に我々の部隊を関与させることはない」と述べ、ロシア軍の派兵を明確に否定しました。

ロシアの前身であるソ連が1979年にアフガンに侵攻した後、紛争の泥沼化で10年後に撤退した歴史に触れ、「我々は必要な教訓を得た」と説明しました。

ロシアは2015年9月から中東シリアの内戦に軍事介入しています。約6年に及ぶ介入の負担は重く、アフガンに軍事関与する余裕はないのが実情でした。

にもかかわらず、ウクライナに侵略することを決断したのは、まずは中東とウクライナとでは、地政学的状況が全く異なることがあるでしょう。中東はロシアにとっては、過去に介入していたことはあるにしても、全く関係のない地域ですし、距離的にも遠いですが、ウクライナは隣国であり、軍事的にも文化的にも、ロシアにとっては裏庭のような存在です。

それに、ロシアとウクライナは両方ともソ連邦に属していたこともあり、軍事的にも経済的にも、文化的にも、ロシアはウクライナの実情を知り抜いているという自負もあったことでしょう。

これに加えて、米軍が20年間も介入し続けたアフガニスタンを離れる際に、撤退ではなく、無様な降参に近い離れ方をしたことにプーチンはチャンスを見出したのかもしれません。

離陸する便によじ登って脱出しようとする人たち(昨年8月16日、カブール国際空港)

トランプ氏が語るように、プーチンは注視していたし、習首席は見ていたし、イランの指導者も金正恩も注視していたのです。世界中が注視していたのです。

中国の国営メディアは、米軍によるアフガニスタンの放棄から台湾の命運に関する教訓が得られると指摘しました。つまり米国は同盟国にとって、いざという時当てにならない友人であり、張子の虎だというわけです。「カブール陥落で際立ったのは、米国の国際的なイメージと信頼の失墜である」。中国国営新華社通信は、そのような見解を示しました。

さらに、ロシアもNATOも実際のところウクライナのNATO加盟を望んでいないのは周知の事実です。なぜなら、もしウクライナがNATOに加盟すれば、ロシアの侵略によって北大西洋条約の第5条が発動します。そうなると今度は逆に、NATO主導の対ロシア戦争が引き起こされます。核を巡る対立に発展する可能性も出てきます。


NATO諸国にはウクライナでの戦争に兵士を送る意欲など毛頭なく、バイデン大統領も米軍の現地派遣は一切行わないと述べていました。ただバイデン大統領は一方で、仮に戦争が拡大し、ロシアが東欧のNATO加盟国を攻撃する事態になれば米軍が介入するとも明言しました。

プーチン氏は、このような状況の注視から、今のうちならNATO加盟国ではないウクライナに侵略しても経済的にも、軍事的にもさほど罰を受けずに済むと踏んだのでしょう。

そうして、2月21日プーチン大統領は、安全保障会議を開き、ドンバスの2つの「共和国」(「ドネツク人民共和国」「ルハンスク人民共和国」)の独立を承認。両共和国との間に「友好相互援助条約」を締結しました。

そうして、ロシア軍の全面侵略が2月24日に始まりました。プーチンは、21日から24日の間の3日間で、ウクライナ侵略を決めたのでしょう。ドネツク・ルハンスク人民共和国を独立国家として承認することは、ウクライナのNATO加盟への道を開きかねないことを、プーチンは最初から自覚していたと考えられます。

2月21日の翌日にでも、新たに成立したドンバス両人民共和国をウクライナも国家承認したら何が起きるでしょうか。ロシアとウクライナの双方から承認された両人民共和国は国際法上安定した基礎をもつのみならず、残ったウクライナという国の民族的対立がほとんどなくなってしまうのです。

NATOの内規に基づく「民族紛争」がなくなれば、ウクライナのNATO加盟を妨げる要因はなくなるのです。だからこそ、ウクライナ攻撃を命じたプーチンが「今しかなかった」と述べていたのでしょう。

そうして、米ホワイトハウスは2月25日、バイデン大統領は単独でウクライナに派兵する意向は持っていないと表明しました。

ホワイトハウスは「バイデン大統領はウクライナに軍を派遣する意図も関心も持っていない。北大西洋条約機構(NATO)が東部のパートナー国を支援する機構となっており、焦点はNATOにある」と述べました。

この声明は、ウクライナに侵略を命じたプーチン氏にとっては、天佑神助とも思われたことでしょう。

自分の読みは当たっていたと、自信を深めたことでしょう。ウクライナ侵略当初のプーチン大統領の自信に満ちた不敵な態度は、こういう背景があったものと思われます。

しかし、その読みは当たり続けることはありませんでした。まずは予想以上のウクライナ軍の抵抗にあっていますし、NATO諸国は軍事面では直接支援はしないものの、武器の提供などでは一致して協力して、ウクライナを支援しています。

さらに、経済面でもロシアをSWIFTから除外するという厳しい措置を実行しています。これは、プーチンの誤算であり、この誤算により、ロシアはウクライナの一部を占拠することができたにしても、ひょっとすると初期の目的(何がなんでもウクライナにNATOに加入させない)ことには成功するかもしれませんが、長期的にはソ連崩壊直後のように経済が低迷し、深刻な打撃をうけて、軍事力も維持できなくなり、そもそもウクライナがNATOに入ろうが入るまいかなど無意味になることでしょう。

ただ、上記のことから、我々が学ぶべきは、まずは米国のアフガン撤退を降参のような形ではなく、文字通り「撤退」にすべきであったこと。バイデンのように、早々と米軍の現地派遣は一切行わないなどと安易に発言するべきではないということです。そうではなく、腹の中では、「欧州大戦や、核戦争になったら困る」などと思っていても「場合によっては派遣するつもりだ」と発言すべきだったのです。

そうすれば、「軍隊の派遣」も一つのオプションとして手元に控えさせておくことができます。そうすれば、これもカードとして使えたはずです。強いカードを持っている限り、交渉もやりやすくなります。これに関しては、バイデンは自ら自分の手足を縛ってしまったも同然です。

そもそも、バイデンがこの2つの間違いを犯していないければ、プーチンを勇気づけることはなかったかしれません。

そうして、私達日本人も、これを教訓としなければなりません。日本が今のままであり、米国が様変わりして何かの拍子に、「在日米軍を引きあげる」「在日米軍を縮小させる」などと軽率な発言をする大統領が出現した場合、プーチンのように「これこそ天佑神助」と思い込む輩が出てこないとは断言できないはずです。

であれば、安倍晋三元首相が言及した米国の核兵器の共同管理(核シェアリング、核共有)の議論なども検討すべきです。ドイツでも実現されている核シェアリングについて、日本では議論すらしないというのは、それこそバイデンのように自ら自分の手足を縛ってしまうことになりかねません


現在日本が戦争に巻き込まれないのは、憲法9条などとは全く関係なく、まずは米軍が日本に駐留していることが最大の理由です。日本に戦争を仕掛けた場合、駐留米軍を戦争に巻き込むことになり、米国と本格的な戦争になるのが怖いので、どこの国も攻撃しないし、できないのです。

日本は、憲法や法律でがんじがらめで、世界第5位の軍事力とも言われる自衛隊が、実際に戦争になれば、いまのままだとほとんど機能しません。これでは、自衛隊があっても災害のときの救援や、単なる「政治的メッセージ」にしかなりません。「政治的メッセージ」に意味はないとはいいませんが、実効的な防衛はできません。今のままだと、日本が戦争に巻き込まれないのは、米軍が駐留しているからだけということになります。

ロシアによるウクライナ侵略の前後で、まさに世界は変わったと言っても良いです。プーチンが世界を変えてしまいました。この数日間で、1945年後の世界秩序は完璧に変わってしまいました。現在であっても、自己に有利であると考えれば、他国に侵略する国があるということがはっきりしたのです。

無論ロシアは深刻な打撃を受けることでしょう。場合によっては、プーチン失脚するでしょう。ロシアが二度と戦争ができないように、多額の防衛費を捻出できなくなるまで、経済的に追い詰めるかもしれません、それによってロシアはいくつかの国に分割せざるをえなくなるかもしれません。

それによって、西側諸国は結果としては、勝利することになるかもしれません。しかし、それでも、未来永劫にわたって、第2のプーチン、第3のプーチンが出てこないとは誰も断言できません。

そうして、現在ロシアによるウクライナ侵略によって亡くなられた方々、侵略が続く限りこれから亡くなられる方々は、戻ってくることはないのです。

これを考えると、最初から戦争などなかった方が良いに決まっています。戦争を防ぐにはどうすば良いのでしょうか。それも、憲法9条によって平和が守られるというような、お花畑を通り越した単なる与太話のような話ではなく、現実問題としての戦争を現実的に具体的に起こらないようにするにはどうしたら良いのでしょうか。

今後このようなことに対処するために、ウクライナは何らかの備えをするでしょうが、日本も憲法を改正し、それに基づき法律も変え、防衛費の現状の1%のくくりを撤廃するのは当然として、様々な防衛議論、安全保障論議をタブーなしに進めていくべきです。議論すらすることが許さないなどというような傲慢不遜な態度は許されません。

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