ロシアによるウクライナ侵略などの影響を受け、ガソリン価格などの高騰が続いています。岸田首相は3日の会見で、「エネルギー価格高騰による我が国経済への悪影響を少しでも減らすべく、これまで以上の省エネに取り組み、石油やガスの使用を少しでも減らす努力をしていただくことが大切だ」として、国民に対しこれまで以上に省エネに取り組むよう呼びかけました。
これに関連し、松野官房長官は4日、政府で率先して行う取り組みについて公用車の電動車への置き換え、庁舎におけるLED照明の導入、再生可能エネルギー電力の調達などを積極的に進めていく考えを示しました。
【私の論評】エネルギー政策で失敗し、ロシアを利することになりかねない日米両首脳(゚д゚)!
岸田、目の前にあるエネルギー危機に関して、この程度のことしか言えないのでしょうか。先日もこのブログに掲載したように、現在稼働を中止している全原発を稼働させるようにすれば、日本のエネルギー問題はすぐに解決します。
そうして、日本て余った石油やガスをヨーロッパにまわすようにすれば、日本の世界での存在感は高まります。それに、ロシアに対する制裁にもなります。まさに、一石三鳥ともいえる政策だと思います。
原発の危険を指摘する人もいるでしょうが、原発を稼働していなくても、そこに核燃料があれば、危険であることには変わりありません。稼働していようと、していまいと、危険があることには変わりないのです。であれは、稼働すべきです。
それに、首相が現在のロシアによるウクライナ侵攻の危機や、それに伴うエネルギー危機に対して危機感を示すことによって多くの国民や政治家にとっても、安全保障やエネルギー問題を考える良い機会になったのではないかと思います。
現在のような危機にあって、原発稼働について議論もしない現在の政府の姿勢には、本当に疑問を感じてしまいます。
これは、米国のバイデン政権も似たり寄ったりです。先日もこのブログに掲載したように、米国もシエールガス・オイルを増産すれば、ガソリンの高騰を抑えることができ、秋の中間選挙においても有利なることが考えれますし、ロシアの制裁にもなり、EUにガス・オイルを回すことができ、こちらも一石三鳥になるにもかかわらず、バイデン大統領もそれについては、全く言及しません。
バイデン政権としては、脱炭素社会を提唱しているため、シェールガス・オイルの増産に関して発言することは憚られる面もあるのでしょうが、それにしても、議論もしないのはいかがなものかと思ってしまいます。
米国デイリー・コーラーによれば、ジョー・バイデン大統領は就任以来、積極的に反化石燃料政策を推し進め、米国のエネルギー自給目標に悪影響を与え、ロシアによる侵略を可能にしたと専門家は述べています。まさに、バイデンの脱炭素政策が、ロシアに金を握らせてしまったともいえます。
連邦政府の予測によると、米国はバイデン政権下で2022年に原油の純輸入国に戻ろうとしています。米国は石炭と天然ガス両方の取引を考慮すると、2019年に全エネルギーの純輸出国となり、2020年には石油の純輸出国となりました。
「原油価格が100ドルに迫り、ロシアが政府予算―軍とウクライナ侵攻も含まれる―の資金獲得のためにエネルギー販売に依存する中、ロシアのエネルギー輸出が西側に及ぼす影響力に今世界は注目している」と、米国商工会議所世界エネルギー研究所のマーチン・ダービン所長は1日のブログ投稿で述べました。
「この現実から、こうした依存の一因となっているエネルギー政策を至急見直さざるを得なくなっている」とダービンは続けました。
1日に下院民主党は、連邦政府がエネルギー市場におけるロシアの支配を埋め合わせるために、米国の石油・天然ガス生産を「解放」するよう義務付けることを提案する共和党の米国エネルギーのロシアからの独立法案の検討を阻止しました。
「プーチンとロシア経済は、支配的なエネルギー生産と他国への輸出に依存している」と、法案起草者であるエネルギー商業委員会幹部メンバーのキャシー・マクモリス・ロジャースと、天然資源委員会幹部メンバーのブルース・ウェスターマンは2月28日の共同声明で述べました。
「(プーチンは)そうすることで権力を得ており、彼の軍隊と攻撃的な行動の資金源となっている。プーチンに対抗するために、我々の法案は米国のエネルギー雇用、生産、輸出の推進にスイッチを入れるものだ」と彼らは続けました。
このように米国がエネルギー生産の観点から大幅に弱体化したため、ロシアに対抗する力が大きく失われることになりました。
いま世界中でエネルギー価格が高騰しています。欧米がロシアに経済制裁をすれば、ロシアからのガスの供給が滞ることになります。欧州はガス価格の高騰のみならず、物理的な不足に直面します。暖房もできなくなり、工場の操業も止まることになります。そして、すでに進行中のインフレが悪化すれば、どの国の政権も安定ではいられないです。
大統領就任の初日に、バイデンは環境問題を理由に、建設が進んでいたキーストーンXL事業を阻止する命令を出しました。こキーストーンパイプラインがあれば、ヨーロッパへのエネルギー輸出を拡大することで、ロシアに対抗する能力をアメリカに与えていたはずです。
工事中のキーストンパイプライン |
いまEUは世界から天然ガスを買い漁っています。とくに米国からの液化天然ガス(LNG)の輸入が急激に増えています。トランプ政権時代に増産していたおかげで、何とかまだ急場を凌(しの)いでいるという状態ですが、いつまで持つのでしょうか。こんな不安要素を抱えて、本当に経済制裁をして本当に大丈夫なのでしょうか。
さらに、大統領は下院と上院の民主党の中から助言を聞き入れることを選択し、1日にはエネルギー省に緊急用石油備蓄を放出するよう命じると発表しました。米国は備蓄から3千万バレルを引き出しますが、他の数十カ国も備蓄から同じ量を放出します。
バイデン政権は非常用の石油備蓄補充のための計画をまだ立てていません。日本も同じことです。
米国内では、バイデン政権のエネルギー政策がロシアのウクライナ侵攻を招いたとして、野党の共和党議員から猛烈な非難が浴びせられています。脱炭素政策の大幅な見直しは避けられないでしょう。
バイデン政権は非常用の石油備蓄補充のための計画をまだ立てていません。日本も同じことです。
米国内では、バイデン政権のエネルギー政策がロシアのウクライナ侵攻を招いたとして、野党の共和党議員から猛烈な非難が浴びせられています。脱炭素政策の大幅な見直しは避けられないでしょう。
一般教書演説でロシアを非難するバイデン大統領 |
日米ともに、小型原発の開発をすすめてはいますが、それはまだ先の話です。ロシアがウクライナに侵攻した現在、ここ当面どうするかについては、はっきりとした政策は打ち出していません。それは、結局ロシアを利することになります。
特に日本では、エネルギーのロシア依存度は、EUほどには高くありませんから、いまのところ目立った弊害はありませんが、ロシアのウクライナ侵攻に続き、ロシアに対する制裁がなされ、エネルギー価格が上昇しています。この状況はしばらくおさまりそうもありません。
このままの状態が続くと、岸田政権もエネルギー政策に真摯に向合なければ、支持率が落ちて大変なことになりかねません。
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