米ブリケン国務大臣(左)と中国王毅外相外相 |
アメリカのブリンケン国務長官は中国の王毅外相と電話で会談し、ロシアの侵攻を止めるため、中国に対し欧米と足並みをそろえるよう訴えました。
中国がこれまでの国際秩序を塗り替えると表明―【私の論評】中華思想に突き動かされる中国に先進国は振り回されるべきではない(゚д゚)!
中国の習近平国家主席が、グローバルな統治体制を主導して、中国中心の新たな国際秩序を構築していくことを宣言した。この宣言は、米国のトランプ政権の「中国の野望阻止」の政策と正面衝突することになる。米中両国の理念の対立がついにグローバルな規模にまで高まり、明確な衝突の形をとってきたといえる。
習近平氏のこの宣言は、中国共産党機関紙の人民日報(6月24日付)で報道された。同報道によると、習近平氏は6月22日、23日の両日、北京で開かれた外交政策に関する重要会議「中央外事工作会議」で演説して、この構想を発表したという。
・・・・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・・・・
米国政府は中国に対してここまでの警戒や懸念を表明してきたのである。これまで習近平政権はその米国の態度に対して、正面から答えることがなかったが、今回の対外戦略の総括は、その初めての回答とも呼べそうだ。つまり、米国による「中国は年来の国際秩序に挑戦し、米国側とは異なる価値観に基づく、新たな国際秩序を築こうとしている」という指摘に対し、まさにその通りだと応じたのである。米国と中国はますます対立を険しくしてきた。
このときに、習近平は世界秩序の変更に挑戦することを公表したのであり、これは第二次世界大戦後世界秩序の頂点にたち、旧ソ連との冷戦にも勝利し、現在の世界秩序の頂点の地位を不動のものとした米国としては、 絶対に許容することはできないわけです。
米国としては、現在の世界秩序を前提として、そのなかで中国覇権をできるだけ強化したいというのなら、まだ理解できるところもあるかもしれませんが、そうではなくて新しい世界秩序を中国が築こうとしていることは、絶対に許容できないです。
無論、ロシアも世界秩序の変更を企図してはいるのでしょうが、今やロシアのDGPは韓国を若干下回る程度であり、一人あたりのGDPでは韓国をはるかに下回ります。
このロシアは、中国と一人あたりのGDPでは、中国と同程度ですが、ロシアの人口は1億4千万人、中国の人口は14億人であり、中国の人口はロシアの10倍です。
国全体のGDPでは、中国はロシアの10倍です。ただ、中国のGDP統計は全くのデタラメという説もありますが、それでも国全体のGDPでは中国がロシアをはるかに上回るのは確かでしょう。
世界秩序の変更とはいっても現在のロシアにできるのは、せいぜいウクライナに侵攻して、ウクライナをNATOに加入させないことぐらいで精一杯でしょう。現在の戦況をみているとそれすら覚束ない可能性も大きいです。
実際、米国のアントニー・ブリンケン国務長官は4日、BBCのジェイムズ・ランデイル外交担当編集委員に対して、ウクライナが「時間をかければ、もちろん」ロシアに勝てると確信していると話しました。戦争がいつまで続くか分からないが、ウクライナの敗北は決して避けがたいものではないとも述べました。ブリケン国務長官 |
それに、現状のようにロシアの制裁が強まったので、このままの状態が続けば、ロシアのGDPは現在の韓国なみから、北朝鮮なみに落ち込むことも予想できます。
しかし、中国は違います。軍事的にも経済的にも、ロシアをはるかに上回っています。だからこそ、ロシアに対して厳しい制裁を加えつつも、米国の最優先は中国の対峙なのです。
そのため、ロシアのウクライナ侵略が実施されているさなかであっても、米軍は地中海には一つの空母打撃群しか派遣していませんが、インド太平洋地域には3つの空母打撃群を派遣しているのです。ただし、地中海はフランス、イタリアの空母を演習に参加させるなどして、空母打撃群の力を補っています。
地中海を並走する米仏伊3カ国の空母。手前から仏空母「シャルル・ド・ゴール」、伊空母「カブール」、米空母「ハリー・S・トルーマン」 |
そうして、冷戦後初めて米海軍空母打撃群がNATO軍の指揮下に入りました。 空母ハリーSトルーマン以下連合艦隊は地中海に展開中です。
インド太平洋地域には、米海軍は空母打撃群を3つ派遣する他にも、F35を搭載した強襲揚陸艦も2隻派遣しており、これはベトナム戦争以降最大の配置です。
さらに、米海軍と日本海自との共同演習も昨年暮れから2月までという短期間に三回も実施しています。
ロシアに対する厳しい制裁を目の当たりにした中国がそれに加えて、ベトナム戦争以降最大の米空母の配置と、日米共同軍事演習に脅威を感じるのは当然です。中国としては数少ない理解者であるロシアを無下にするわけにもいかず、かといって米国は恐ろしいわで、二股外交に舵を切るのも無理からぬところだと思います。
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