2022年3月24日木曜日

ロシア軍の揚陸艦を破壊とウクライナ国防省 南東部ベルジャンシクの港で―【私の論評】またしても恥ずかしい敗北を喫した、プーチンの苦悩する軍隊(゚д゚)!

ロシア軍の揚陸艦を破壊とウクライナ国防省 南東部ベルジャンシクの港で

 ウクライナの国防省は、南東部のベルジャンシクの港で、ウクライナ海軍がロシア軍の揚陸艦を破壊したと明らかにした。CNNは映像を見る限り、二次的な爆発が起き、大きな火災が発生しているように見えると報じている。

 ベルジャンシクはマリウポリの西側に位置し、ロシア軍が侵攻し、制圧したとされている。(ANNニュース)

【私の論評】またしても恥ずかしい敗北を喫した、プーチンの苦悩する軍隊(゚д゚)!

ザポリージャ州の港湾都市ベルジャーンシクはロシア軍の占領下にあり、ここ何らかの手段で攻撃したウクライナ軍はロシア海軍の大型揚陸艦(プロジェクト1171/西側でいうところの戦車揚陸艦)オルスクを破壊したと24日に発表して注目を集めています。

オルクス攻撃による爆発炎上の画面 twitterより

この攻撃で同港に停泊していた他の艦艇2隻も損傷、さらに3,000トンの燃料タンクや弾薬庫にも引火したと報じられているが、ウクライナ軍参謀本部の発表は今のところ「オルスク」の破壊のみで攻撃方法やロシア軍に与えた損害の詳細を明かしていません。

ツイッターの情報では、アリゲーター級戦車揚陸艦オルスクの他にサラトフが大破。ロプーチャ級戦車揚陸艦ツェサール・クニコフ、ノヴォチェルカスクは損傷したとされといます。

アリゲーター級は艦暦は古いですが戦車20両、兵員450名を運べる大型揚陸艦です。 ロプーチャ級は最大10両の戦車、340人の兵員を運べます。 黒海に展開しているロシア揚陸艦隊は13隻なので一度に4隻の損傷はかなり痛いはずです。

これが事実とし、この攻撃が揚陸中だったとすれば、黒海艦隊第197揚陸艦旅団はかなりのダメージを受けたことになります。

ただ、これで思い出すのは、16日にロシアの大型揚陸艦が津軽海峡を抜けたことです。

防衛省は16日、ロシア海軍の戦車揚陸艦が津軽海峡を日本海に向けて通過したと発表していす。

防衛省によると、15日午後8時頃、青森県の下北半島・尻屋崎の東北東約70キロで、戦車揚陸艦2隻を確認。そのうちの1隻は、アリゲーター型でした(写真上)。

さらに16日午前7時頃、尻屋崎の東北東220キロの海域でも、別の戦車揚陸艦2隻を確認した。その後、これらの艦艇が津軽海峡を日本海に向けて航行したことを確認しました。

まさか、この揚陸艦がそのまま、ベルジャーンシクに行ったということはないとは思います。津軽海峡を抜けていくと最短距離でまさにウラジオストクに着きます。ここから鉄道でウクライナまで戦車や燃料・弾薬となどを運んだと思われます。

極東ロシア地上軍(東部軍管区)はソ連邦崩壊前では、40数個師団あったものが、現在では、半数以下の12個旅団(師団の半分から2/3の規模)と2個師団であり合計8万人です。これは、4分の1以下になったということになります。軍の地位も下がり、予算も多く削減され、兵員の士気は下がっています。

この極東からも、戦車揚陸艦で戦車や弾薬、もしかすると人員等を運ぶというのですから、以下にウクライナに侵攻したロシア軍が物資不足や人員不足に悩まされているのかがうかがえます。

その揚陸艦を破壊されたのですから、ロシアにとってはまさに泣き面に蜂というところです。ロシア国営メディアは3日前、港で装甲車を下すオルスク号の様子を映していました(写真下)。これが、今回の攻撃を招いたとすれば、随分間抜けな話です。


英ミラー紙は24に(現地時間)、アリゲーター級船舶は、ウクライナ軍がこれまでに攻撃した最大のロシア船であり、「ウラジーミル・プーチンの苦悩する軍隊にとって、またしても恥ずかしい敗北を意味するものである」と伝えています。

ただ、現地時間の正午に発表された最新の戦況報告でもオルスクの破壊のみにしか言及しておらず、米CNNも攻撃手段は不明と報じていますが、ウクライナ軍参謀本部、陸軍、海軍の公式Facebookには短距離弾道ミサイル「トーチカU」に関連した動画(オルスク攻撃を行う内容ではない)が一斉に投稿されているためオルスクの破壊=トーチカUを匂わせるものと受け取ることも可能ですが、オルスクから煙が上がり火柱が上がるまで時間がかかっているため「弾薬取り扱いの不手際での事故」を主張する専門家もいます。

ウクライナ軍のトーチカU

これが、本当だとすれば、おそらく弾道ミサイルによる世界初の対艦攻撃の戦果かもしれません。

ロシア海軍が損失を被ったことに違いはないので攻撃手段に余りこだわる必要がないかもしれないですが、ウクライナ軍はヘルソン地域に配備されたトーチカUを使用して敵水陸両用艦艇が配備される地点への攻撃演習を2021年4月に実施しており、何らかの方法でトーチカUの平均誤差半径(CEP)を向上させる準備をしていたのかもしれないです。

昨日は、このブログで、以下のようなことを述べました。
数十年前から言われてきたことですが、艦船には二種類しかありません。水上艦艇と水中の潜水艦の2つです。現在では、空母やイージス艦などの水上艦艇は、魚雷やミサイルの標的に過ぎません。これらは、海戦においては、いずれ撃沈されてしまいます。

もう一つの艦艇である潜水艦は、水中に深く潜み、簡単には撃沈されません。こうしたことから、現在の海戦における本当の戦力は潜水艦なのです。
トーチカUを用いたかどうかは、未だわかりませんが、それにしても何らかの誘導弾を使用したのは明らかだと思います。まさに、現在の水上艦船は、魚雷やミサイルの標的にしか過ぎないのです。潜水艦こそが、現代海戦の真の戦力であり、主役なのです。今回の出来事は、これを雄弁に語っていると思います。

ウクライナ軍は残念ながら、現在は潜水艦を所有していません。同国海軍が保有する唯一の潜水艦「ザポリージャ」2014年にロシア軍に接収されています。

ウクライナ軍が潜水艦を持っていれば、今回もかなり活躍したと思います。ただ、大型揚陸艦を破壊するなど、様々な相違工夫をしながら戦っている姿には感服させられます。ただ、こうして勝利を収めるウクライナ軍に手を焼くプーチンは、化学兵器や核兵器を使用するかもしれません。本当に、恐ろしいです。そんなことをまかり間違ってすれば、ロシアは世界から完全に遮断され、経済や生活水準が帝政ロシアの頃に戻ってしまうと思います。

一方日本は、ウクライナ軍から比較すれば、自衛隊は22隻の高性能潜水艦隊などをはじめ、かなりの軍事力を持っていますが、それを有効に使える術を自ら放棄しています。さらには、軍事費もロシア、中国、北朝鮮などの脅威にさらされているにも関わらず、GDP1%なる根拠のない枠に縛られて増やそうとしません。

ロシアのウクライナ侵攻という、現代では考えられないようの蛮行が行われるということが実施されてしまった現在、日本も安全保証を見直すべきです。

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