筑波大教授の中村逸郎氏 |
中村教授は北方領土問題に言及し、「ロシアは崩壊寸前。北方領土返還が今がチャンス。十分に可能性がある」と主張。中村教授の北方領土返還に向けたシナリオは、(1)経済制裁の影響でロシアがデフォルトに陥って経済が壊滅、(2)食料などが届かなくなるなど北方領土に住むロシアの人の生活が崩壊、(3)日本は「島民への人道支援」を名目に北方領土に介入。島民は日本の支援なしでは生活できない状況に。(4)ロシア離れを起こした北方領土島民が独立を宣言して日本が受け入れる、というものだ。
中村教授は「経済が落ち込んで、最初に切られるのは北方領土の人たち」と断言。その理由について、「北方領土の人たちの日常品はウラジオストクから海で運ばれるんですが、船舶の会社が経済制裁を受けて破綻寸前なんですね。ですから、ウラジオストクから日常品が北方領土入っていかないという現実が迫ってるんです」と説明。「そうなると北方領土の人たちは生活できないわけで、すぐそこにある北海道に支援を求めてくる可能性が高いわけです」と続けて、北方領土返還は現実味があるとした。
【私の論評】日本は、侵略戦争の戦後の新たな秩序づくりに貢献し、北方領土を取り戻せ(゚д゚)!
「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」での中村教授の発言の動画を以下に掲載します。
中村逸郎氏「人道支援で北方領土を取り戻せ!」プーチン政権が崩壊し、露経済破綻後に返還の大チャンス到来。日本政府は中村氏が考えるシナリオのようなものを思い描いているのでしょうか?ソ連崩壊時に取り戻せなかった失敗を二度と繰り返さないようにしていただきたいもの。 pic.twitter.com/j6o0zAL26T
— take5 (@akasayiigaremus) March 26, 2022
上の記事では北方領土返還のチャンスが近づきつつあるという中村逸郎教授の発言に対して「驚きのシナリオ」と形容していますが、わたし自身はこれは驚きでも何でもなく、このように考えるのが普通ではないかと思います。
それについては、以前このブログでも述べました。その記事のリンクを以下に掲載します。
北方領土の主権主張「永久に忘れた方がいい」…ロシア外務省幹部が強硬姿勢示す 交渉"さらに難航"の恐れ―【私の論評】ウクライナ人も多数居住する北方領土が戻ってくる可能性はかつてないほど高まりつつある(゚д゚)!
外務省のザハロワ報道官は2016年5月19日、「ロシア・東南アジア諸国連合(ASEAN) 首脳会議」の公式レセプションで、ロシアの民族舞踊「カリンカ」を披露した |
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分を掲載します。
ロシア連邦が経済的に苦しくなれば、軍事的にも守備できる範囲は狭まり、ロシアはモスクワを中心とした部分のみを自らのテリトリーとして他は手放す可能性が高まることが考えられます。
とはいいながら、ロシアはなるべく多くのテリトリーを維持したいと考えるでしょうが、それにしても極東はかなり無理になり、その中でも北方領土は放棄する可能性が高いです。
その頃には、極東にも別の国ができているかもしれません。そうなると北方領土はロシアとの交渉ではなく、その国との交渉となります。その頃には、極東の新しい国も経済的に低迷し、日本支援に期待するようになっている可能性もあります。
そのときが、日本が北方領土を取り戻す最大の機会だと思います。現在のロシアもそうした可能性も意識の上に顕在化はしていないものの、潜在的にはありうると感じているのではないでしょうか。
だからこそ、そのようなことは断じてあってはならないという思いから、あまり有名でもない人物の発言をわざわざ取り上げ異例ともいえる報道官の発言となったのではないでしょうか。
私自身は、北方領土が戻ってくる可能性はかつてないほど高まりつつあると思います。
この記事では、北方領土においてはウクライナ人が多いことも掲載しました。この記事も掲載したように、1989年の調査では12%、1991年の調査によると全人口の4割がウクライナ人とする調査もあります。2016年時点で、国後島に7914人、択捉島に5934人、色丹島に2820人の計16,668人のロシア国籍の住民が在住していますが、そのうち1割~4割ほどが民族的にはウクライナ人とされます。
徳島文理大学大学院教授八幡和郎氏は、この北方領土のウクライナ人について興味深いことを述べています。その記事のリンクを以下に掲載します。北方領土不法占拠者の四割はウクライナ人である
どうして(北方領土に)ウクライナ人が多いかと言えば、海外との交流が多かったウクライナの人は、故郷を離れて移住することを嫌がらず、欧米にも多いし、在日のロシア人と思われている人のかなりはウクライナがルーツである。また、黒海に面しているので、海に囲まれた島での生活への順応度が高かったのではないか。ウクライナは旧ソ連の中核であって被支配者でないという、八幡氏の主張は、筋が通っており、正しいとは思います。ただ、単純比較はできないかもしれませんが、日本も戦中に満蒙開拓団を中国の東北地方や内モンゴルなどに、国策として開拓民を送っているということもありますし、終戦間近に旧ソ連が日ソ不可侵条約を破り、開拓民たちの居住していた地域にも侵攻して酷い目にあったという記憶もあります。
彼らの国籍がどうなっているのかは、正確には分からない。というのは、旧ソ連人でずっと同じ所に住んでいる人はいいのだが、引っ越していたとか、混血だとか、夫婦が別のルーツだとかいう人の扱いはややこしく大量の無国籍者も出ているようだし、二重国籍もいる。ただ、もし島民の多くにとって、日本に返還されたときに帰るべき故郷がウクライナである人の割合がロシアの他地域以上に高いのは間違いない。
その意味でも、ウクライナ支援をするなら、北方領土問題について、旧ソ連の一員としての歴史的責任を明らかにし、また、島民の帰還に協力することくらいは、約束してもらっていいのではないかと思うのだ。
岸田総理は参議院予算委員会で、北方領土について「ロシアにより不法占拠されている」と明言したそうだが、もう少し正確に、北方領土は「ロシア・ウクライナ・ジョージアなどによって構成されたソ連軍によって不法占拠された。そのときの指導者はジョージアのスターリンだった。その後、日ソ交渉の際にウクライナ人フルシチョフは返還を拒否した。ソ連解体ののちはロシアが占拠を継続しているが、島民のなかでウクライナ人の比率が非常に多く一説には四割にも上る。ロシアのみならず不法占拠に荷担しているウクライナにも強く抗議したい」というべきであった。
国会で演説させるなら、北方領土のウクライナ人たちに島を離れて日本に返すように呼びかけることを条件にして欲しいくらいだった。
そうして、満蒙開拓団は戦後すべて引き上げて、日本に戻り、現地に残って開拓を継続した人はいません。稀に残った人もいますが、その人達は残留孤児として中国人に育てられ、戦後の日中の交渉で、日本に戻ってきた人もいます。
私が言いたいのは、満蒙開拓団によって満州等に行った人たちは、国策に従っただけであり、何の罪もないということです。
昭和13年10月号(満州移住協会発行) |
上の写真は、「開け満蒙」という雑誌の表示を飾った、満蒙開拓青少年義勇軍の写真です。これは、満州国の治安回復と維持、それに対ソ国防の一環を目的とした開拓移民政策の一環としてつくられたものです。
農家の二、三男を中心として志願者を募集、昭和13(1938)年5月に、北海道の第一陣として当時15歳の少年たちが札幌駅を出発しました。8万6000人の青少年義勇軍は、関東軍の予備隊的な存在でしたが、昭和20(1945)年8月9日のソ連参戦時には、関東軍に編入、ソ連軍と激しい戦闘をしました。
北方領土の主権主張「永久に忘れた方がいい」…ロシア外務省幹部が強硬姿勢示す 交渉"さらに難航"の恐れ―【私の論評】ウクライナ人も多数居住する北方領土が戻ってくる可能性はかつてないほど高まりつつある(゚д゚)!
北方領土に居住するウクライナ人たちも、旧ソ連の国策によって移住したのであり、金儲けをしようとか、一旗揚げようとかという人たちもいたかもしれませんが、自ら意図して意識して違法な不法占拠してやろうと考えて来たわけではないでしょう。
ただ、厳密にいえば、不法占拠をしていたことには変わりありません。しかし、不法占拠に対する措置はあとからでも十分にできます。まずは日本は北方領土をいかに取り返すに専念して、不法占拠に対する処置や、北方領土の主権回復に関係する様々な問題の解決などは、あとからじっくり実施しても良いと思います。まずは、北方領土が戻ってくる道筋をつけることが最優先だと思います。
ロシアのウクライナ武力侵攻自体は到底許されることではありません。これを許してしまえば、その後の世界はカオスに突入することになります。まずは、一日もはやく戦争を終わらせるようにして、その後にある程度様々な情報を集めた上で、ロシアの言い分も認められる部分は認めるべきと思います。
それを前提とした上で、公平な裁判をすべきと思います。ただ、裁判をするためには、ロシアが政変などで体制が変わり、旧体制が裁かれるということになると思うので、それまでには、多少年月を要するかもしれません。逆にいえば、ロシアがウクライナに侵攻してしまった現状においては、そこまでしなければ、世界は混沌するするだけになるといえるでしょう。いずれ、そこまでしないとならないと思います。しかし、単純にロシアやプーチンを悪魔化すべきではないとも思います。
日本は、極東軍事裁判で一方的に悪者にされて、連合国側の価値判断だけで裁かれたことを忘れるべきではありません。そうして、この裁きは第二次世界大戦の戦後を終わらせる重要な裁判になることを認識すべきです。
そうして、第二次世界大戦後に一度も他国に攻め入ったり、介入したり、戦争もしたことのない日本こそ、今後の世界の新秩序を樹立するためにリーダーシップを発揮すべきです。米英や中露など第二次世界大戦戦勝国が、表立って動けば反発する国も多く、まとまるものもまとまらないと思います。日本がリーダーシップを発揮すれば、正面切って嫌がるのは、中露と北朝鮮と、韓国だけでしょう。それも露骨に嫌がり、大反対するでしょう。しかし、日本はこれに怯むべきではありません。
現在のロシアは、旧ソ連邦が崩壊したときとも状況は似ていると思います。私は、旧ソ連邦が崩壊したときも、北方領土を取り返す好機だと思いましたが、日本政府の動きは鈍く結局返ってきませんでした。
西欧諸国も、冷戦終了後にも、ソ連崩壊後にも、新たな秩序づくりには、積極的には取り組みませんでした。とにかく、現実離れした、第二次世界大戦直後の秩序にしがみつこうとしました。
それは、ソ連崩壊後ですら、国連憲章の記載は未だに、中華民国、ソビエト連邦のままであり、中華人民共和国、ロシア連邦が常任理事国の地位を引き継いでいることでも理解できます。このような中途半端なことをしたことが、ロシアのウクライナ侵攻の遠因にもなっていると思われます。
国連憲章を書き換えるか、中共やロシア連邦は常任理事国にしないなど、どちらか一方にするか、そもそも世界が第二次世界大戦終了直後とは変わってしまったのですから、国連のシステムを変えるか、あるいは新たな枠組みを作り出すのか、はっきりすべきでした。
このような優柔不断な有様だったからこそ、日本政府の努力が足りなかったせいもありますが、日本は北方領土を取り戻すことができなかったのだと思います。
今回のロシアのウクライナ侵攻後の戦争終了時には、そのようなことがないように、日本は世界の新たな秩序をつくるための提言やシステムの概要など今から準備をしておくべきものと思います。そうせずに曖昧なままにしておけば、世界は今後もウクライナ戦争のような事態に巻き込まれることになります。そうして、それは第三次世界大戦へとも繋がりかねません。
岸田政権には全く無理かもしれませんが、そのような提言やシステムの概要が必要になったときには、岸田政権ではない可能性も高いです。まずは、志の高い超党派の議員団などで実施してはいかがでしょうか。今後の世界には、中露や北朝鮮が、それを受け付けるか受け付けないかは別にして、新たな秩序づくりは避けて通れません。それを避ければ、世界はいずれ崩壊します。
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