演説するプーチン露大統領=モスクワで2月21日 |
プーチン氏が派兵を指示したのは、親露派が一方的に独立を主張する「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」の両地域。ロイター通信は22日、戦車を含む武装車両がドネツク州の州都ドネツク近郊で目撃されたと報じた。どの国の戦車か所属を表す記章はなかったという。
派兵指示に先立ち、プーチン氏は両「共和国」の独立を承認する大統領令に加え、ロシアと両地域の友好協力相互援助条約に署名した。プーチン氏はテレビ演説で、ウクライナ東部で住民が攻撃されて「深刻で切迫した状況にある」と指摘。米国と北大西洋条約機構(NATO)がウクライナ領を潜在的な攻撃拠点にしようとしていると主張した。そのうえで、2015年に結ばれた東部紛争の停戦合意について、ウクライナ側が履行を拒んできたとも批判した。
露大統領府によると、プーチン氏は21日、マクロン仏大統領とショルツ独首相と電話協議した。その際に両地域の独立承認を伝達し、独仏首脳からは失望の念が表明されたという。
一方、バイデン米大統領は21日、限定的な経済制裁を発動する大統領令に署名した。米政府高官によると、制裁は独立が承認された親露派支配地域での米国民による新たな投資、貿易、金融取引を禁止する。この地域で活動するいかなる人物に対しても制裁を科すことができるという。また、独立承認を「明白な国際公約違反」として、ロシアにも22日に「追加の措置」を発表する。
一方で、ロシアがウクライナに侵攻した場合に同盟国などと準備している「迅速で厳しい経済制裁」については発動しておらず、事態をさらに見極める構えだ。米政府高官はさらに外交努力を続ける意向も示しており、軍部隊が進入した場合について「ロシアがどのような行動をとるか今後の数時間、数日間を注意深く見極め、応じた措置をとる」と説明した。
ただ、この地域には14年以降、ロシア軍が事実上駐留していたとも指摘。ロシア軍の進入自体がすぐに「(侵攻の)新たな一歩」にはあたらないとの認識も示した。
欧州連合(EU)のミシェル欧州理事会常任議長(EU大統領)とフォンデアライエン欧州委員長も21日、対露制裁で対応する意向を示した。
ドネツク、ルガンスク両州では14年4月、親露派武装勢力と治安部隊の間で戦闘が発生。武装勢力は14年5月、「住民投票」の結果を根拠にして独立を宣言し、実効支配を進めた。後ろ盾となったロシアは独立承認を控えてきたが、ウクライナとの対立が激化し、方針転換に踏み切った格好だ。
【私の論評】バイデン政権はシェール・ガス・オイル増産でプーチンの「大国幻想」を打ち砕き、世界の危機を救える(゚д゚)!
短期的には、ウクライナは表向きNATO加盟の意向を示しています。ウクライナのゼレンスキー大統領は2月14日、キエフでドイツのショルツ首相と会談し、ゼレンスキー氏はウクライナのNATO加盟について、「私たちは選んだ道に沿って動くべきだと信じる」としました。
ウクライナの意思が強くNATOもそれを支援するのであれば、ロシアとしては、引き続き武力で威嚇し続けるか、ウクライナを分断し一部をロシアに引き込むしか手がなくなります。
それが、今回のプーチンによる「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」独立承認です。
このミンスク合意については、その内容の理解について温度差があるものの、独仏露ウクライナの間で、協議が継続されています。仏独は、露ウクライナでミンスク合意を守るとしています。
ということは、ミンスク合意を守るという方向で、どこかに外交的な解決の道がありえます。なかなか厳しく狭い道ではありますが、露ウクライナの間でミンスク合意がまとまれば、一時停戦、その後ウクライナ東部2州は自治権を認められ、いずれロシアへ併合となるかもしれないです。
ウクライナにはやや不満だがロシアはまずまずです。
このあたりが落とし所になるのかどうか、現段階では不透明です。ただし、現在ウクライナ東部での新ロシア勢力とウクライナの間で武力的な小競り合いが行われています。これがエスカレートするのか、一時的な停戦ムードにあるのかがカギを握るでしょう。後者であれば、「ミンスク合意」がスタート台になるでしょう。
もしこうした落とし所がなく、ロシアによるウクライナ侵攻が止められなかったすれば、西側諸国はロシアに対し、ドル、ユーロ、円決済停止の強力な金融制裁を課すでしょう。さすがに、これはロシアにとって大打撃でしょう。エネルギー・農産物価格は急騰するのではないでしょうか。
そこで、各国のエネルギー政策が、その後の展開には重要になってくるでしょう。
そうして、現在米国が打つ手としていちばん良いのは、シェールガスの増産です。シェールガスを増産すると、めぐりめぐってヨーロッパのエネルギー需要が解消されます。
現在バイデン氏は米国中間選挙への対策で大変ですが、シェールガスを増産すれば、ガソリン価格も下がって行くでしょう。無論米国内のガソリン価格も下がります。 そうして、中間戦況では有利になるでしょう。
これは、石油・ガスの輸出国であるロシアの経済にも打撃になりますから、こちらの方が効きます。一石三鳥くらいの効果があります。バイデン氏は「環境重視」と語っているので、シェールガスには手を出しにくいでしょうが、国際情勢の変化への対応ということで政策を変えるべきです。
現状では対ロシア対応として、シェールガスを増産するのがいちばんやりやすいでしょう。国内的にも良いですし、ヨーロッパのエネルギー危機も救えます。昨年はヨーロッパでは風が吹かないために風力発電量が減り、英国では電気料金が1年で7倍に急騰しました。英国の風力発電所の稼動中断の影響は、英国と電力網が連結する欧州各国に広まり、原発を廃止したドイツなどでも電気料金が上昇しました。
さらに、トンガの火山噴火があったので、スクリーン効果で日照時間が減り太陽光発電も量が減るかも知れないです。しかし、エネルギーは多いですから、米国かシェールガスを増産するのが世界にとって良いことです。
現在韓国より多少下回る程度のGDPである、ロシア経済もこれによってかなり低迷するでしょうし、こちらの方が経済制裁として効くと思います。 ドル、ユーロ、円決済停止の強力な金融制裁などは、ロシアが本格的にウクライナに侵攻し、ウクライナの独立を脅かす懸念が生じたときなどに実行すべきと思います。
それに、シエール・ガス・オイルの増産自体は制裁ではないので、ロシアもこれに対して意義を唱えることはできません。それにウクライナ情勢がどうなろうと、バイデン政権としては増産によって確実にプーチンを追い詰めることができます。
プーチンとしては、米国が増産に踏み切っただけで、ロシア経済が瓦解するほどの被害を受けるわけですから、最早「大国幻想」に浸っていることもできなくなるでしょう。それに、シェール・ガス・オイル増産に踏み切れば、それが外交カードになります。トランプあたりだと、すぐにやってしまいそうです。
さらに、米国内でもガソリン価格低下は、好感をもたれるでしょう。問題は、そこにバイデン大統領が舵を切れるかどうかです。
今年秋には、米国では中間選挙もありますから、選挙戦で有利になるように、シェールガス増産に踏み切るべきです。もちろん、環境を重視する左派の反発もあるでしょうが、そこは世界平和のため、ロシア制裁のため、というような大義名分で シェールガスを増産して米国のガソリン価格が下がったら、バイデン政権の支持率はかなりあがるでしょう。
米国は車社会ですから、多くの国民がガソリン価格にはかなりシビアですし、これが上がれば目立ちますし文句もつけやすいです。
今のままだとバイデン政権は中間選挙も、上下両院ともに負けてレームダックになるかもしれませんが、シェールガス・オイルの増産を決めれば、天国です。どちらが良いのかという話になると思います。
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