台湾の空港に到着した石破氏(右から2人目)ら=27日 |
「ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、この地域の安全保障環境と、それぞれ果たす役割について議論し見識を深めたい」と石破氏は記者団に語った。
訪問団には、石破氏のほか、自民党の浜田靖一衆院議員、長島昭久衆院議員、日本維新の会の清水貴之参院議員が参加した。滞在中に蔡英文総統や頼清徳副総統と会談や、李登輝元総統の墓参も予定している。
27日には台北で開催された国際フォーラムに出席した自民党鈴木馨祐衆院議員らと蔡氏が会談。蔡氏は、中国などを念頭に「権威主義の拡張により民主主義国家は団結しなければならないと気付かされた」と述べた。
3月以降、フランスやスウェーデン、スロバキア、欧州議会などの要人が相次いで蔡氏と会談した。来月上旬にはナンシー・ペロシ米下院議長の訪台計画が取り沙汰される。「台湾有事は日本有事」ともいわれる中、日台のパイプ強化を求める声は多い。
評論家の石平氏は「議員の訪台は総じて評価できるが、議員個人のアピール材料にするだけではなく、国会や自民党内に台湾担当の委員会を置いたり、日台間の定期的な対話チャンネルを創設するなど組織的な動きも必要だ。親台派の重鎮だった安倍晋三元首相が築いた遺産は大きく、今後は日台関係の基軸になる政治家が出てくるかが重要だ」と指摘した。
【私の論評】日台関係の基軸になり得る政治家は、菅前総理をおいて他にない(゚д゚)!
仮に安倍元総理が存命で、台湾を訪問した場合、今回の議員団の訪問よりもはるかにインパクトがあったことでしょう。
実際、安倍前首相は台湾訪問の意向があり、台湾外交部はこれを全力でサポートすると表明していました。そうして、実際に訪問する兆しがあったのですが、台湾でのコロナ感染の広まりなどの事情で、実現しませでした。
これについては以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
安倍前首相、台湾訪問の意向 外交部「全力でサポート」―【私の論評】台湾は日本の優れた海洋戦能力に期待し、中国はこれに脅威を感じている(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に結論部分を掲載します。
現在台湾は国産の潜水艦を建造中で、最終的には8隻を建造しようとしています。これに対して、米国の軍事アナリストは、もし台湾がこれに成功すれば、今後中国は数十年にわたって台湾に進行できないだろうとしています。無論、これは、台湾が日本の潜水艦と同等のステルス性と攻撃性を有することを前提として、このように語っているのだと思います。そこまでいかなくても、中国側に探知されにくい潜水艦を作れば、これは成就すると思います。実際、台湾の潜水艦建造には日本の技術者も参加していますから、そうなることでしょう。
自前の潜水艦の着工式に出席した蔡英文総統=2020年11月24日、高雄市 |
以前からこのブログに述べているように、日本はステルス性に優れた潜水艦を22隻保有していることと、対潜哨戒能力が中露よりも格段に優れているため、海戦においては、中露に比較して圧倒的に有利です。ただ、現在は建造中ですから、すでに潜水艦22隻体制をとっている日本は、台湾にとってそれまでの間、強力な助っ人になりえるわけです。以上軍事的には、日本が台湾有事に十分対抗できるわけですから、日米台の戦略対話に、日本が参加する意味が十分あるわけです。もしそうでなければ、参加の意味は半減するわけです。「インド太平洋戦略」も同じことです。日本のこの優れた海洋戦能力があるからこそ、台湾は日本に期待しているのです。中国は、これに脅威を感じているのです。安倍元総理には、議員による「戦略対話」から、日米台の政府による「戦略対話」にもっていくための架け橋になっていただきたいです。日米台が協力すれぱ、中国による台湾侵攻は、不可能になります。
その日本が、台湾が高性能潜水艦を8隻建造するまでの間、台湾の安全保障に関与する姿勢を見せれば、これは中国にとっては大きな牽制になります。台湾有事に日本が潜水艦を何隻か台湾近海に派遣して、台湾を包囲してしまえば、中国海軍はこれを突破できません。
米軍も台湾有事に攻撃力が圧倒的に強い大型の攻撃型原潜を台湾に2〜3隻派遣すれば、十分対応できるとルトワック氏は語っています。
日米がこれを実行すれば、中国による武力侵攻は絶望的になります。それでも無理に侵攻しようとして、仮に台湾に人民解放軍を上陸させたにしても、補給ができずに、上陸部隊はお手上げになります。
米国の国防総省や海大までが、米中軍事衝突のシミレーションにおいては、潜水艦を抜きでシミレーションを行っています。そのためか、米国が負けるという結果になっています。しかし、現実には潜水艦を有効に用いれば、米軍が負けるなどというシナリオは、成り立ちません。
なせ、そのようなことをするかといえば、予算獲得と、多くの人々の耳目を惹き付けるためです。これは、多くの人が指摘するところです。私もこれを前提として物事を考えています。
ロシアは、台湾有事ということになると、当然中国に加勢しようとするでしょうが、仮に日露が有事になったとするとロシアの艦船は、日本の潜水艦が潜む宗谷海峡と津軽海峡は危なくて通れなくなるので、太平洋方面での作戦やウラジオストクから補給を受けるカムチャツカの基地の維持も難しくなり結局、中国に加勢はできなくなります。
海戦では、日本はロシアを圧倒することになるでしょう。実際もし第二次日露戦争が勃発したら「日本が海戦を制する」とロシアメディアが断言しています。これをなかなか信じない人もいるようですが、こういう人はロシアのGDPは今や韓国を若干下回るほどしかなく、一人あたりGDPは韓国を大幅に下回るという現実を無視していると思います。
防衛大臣と海軍長官を率いるプーチン露大統領 |
そうして、当然のことながら、米国もこの動きに対応するでしょう。対潜水艦戦争に優れた米国がロシアを牽制すれば、ロシア海軍は中国に加勢どころではなく、日米によって壊滅の危機にあうことになりかねません。
それでも、台湾有事などで中国の艦隊と連携行動を取られると、ロシア海軍も日米にとって煩わしい存在になるのですが、それも大したものにはならないでしょう。
そうして、このようなことを総理大臣をつとめた安倍元総理大臣は熟知しています。この他熟知しているのは、歴代の総理大臣と防衛大臣だけでしょう。ただ、十年以上前と、現在とでは諸事情が随分異なっています。
十年以内ということになれば、岸田総理大臣、安倍元総理、菅前総理大臣、そうして何人かの防衛大臣歴任者ということになります。
ただ、安倍元総理はなくなり、岸田総理大臣は、上のような事実をデータとして知ったとしても、インテリジェンスの次元まで高め、日米台の政府による「戦略」にまで高められるかどうかは、はなはだ疑問です。
過去の防衛大臣の中には岸氏を筆頭に優秀な方もいらっしゃいますが、将来はともかく、残念ながら現状では政治家としての力ということになると疑問符がつきます。石破氏は論外です。
日米首脳会談後の記者会見に臨んだバイデン米大統領と菅首相2021-04-17 |
会談後に発表された共同声明では、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」ことが明記されました。日米首脳共同声明に台湾が盛り込まれるのは52年ぶりでした。
台湾紙は「国際社会による台湾支持の輪が広がっている」と歓迎。一方、中国紙は「米日同盟はアジア太平洋の平和を脅かす軸」だと批判し、共同声明に反発しました。
その菅義偉首相は総裁選に出馬しない旨を公表した後の2021年9月24日、米ワシントンで開かれた日米豪印(通称クアッド)首脳会議に出席しました。国内では菅首相の後任を決める自民党総裁選(同年同月29日投開票)のさなかの異例の訪米でした。
まもなく退陣する菅首相がなぜ、米国を訪問したのか。外務省関係者は「各国とも日本の新しい首相が選ばれるまで待てない事情があった」と打ち明けました。
当時のクアッド首脳会議開催に最もこだわったのは米国です。外務省関係者は「菅首相の任期を十分理解したうえで、『ぜひ来てほしい』と言ってきた」と打ち明けたしています。
これは、クアッド首脳会談においては、日本は欠かせないという米国の意図があるからでしょう。しかも、当時の菅総理大臣のことを米国は安倍元総理の政策の継承者であり、かつ力のある政治家であり、仮に総理大臣を退いたとしても、クアッド首脳会談の合意事項を日本が反故にすることはないと見込んだからでしょう。
このような菅前総理です。日米台の「戦略」の重要性は熟知しているどころか、安倍元総理の考えを完璧に継承していると考えられます。
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そうなると、日台関係それも「戦略的」関係というと、菅前総理大臣が筆頭ということになります。菅前総理大臣こそ、日台関係の基軸になりえる政治家であるということができると思います。
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