まとめ
- 大川原化工機事件は、公安部幹部の無知と独善によって引き起こされた冤罪であり、組織的責任が問われている。専門知識の欠如や現場の声の無視が、無実の企業と個人の人生を破壊する結果となった。
- 安倍元首相暗殺事件は、発生から3年経過しても公判すら始まらない異常事態であり、司法と警察の説明責任が欠落している。事件当時の奈良県警本部長が中国系企業に天下った事実も含め、国家の中立性に対する疑念が深まっている。
- 国家権力の暴走を防ぐには、独立監査機関や冤罪調査委員会、警察倫理法などの制度改革が必要である。権力を正しく運用し制御する仕組みなしには、民主国家の信頼は維持できない。
- 一方で、国家権力を悪用しようとする外国勢力、反政府・反日勢力への対処も不可欠である。制度の透明化だけではなく、外部からの浸透を防ぐ「防衛の制度化」が急務である。
- 包括的スパイ防止法の導入こそが、日本を内外の脅威から守る最終防波堤となる。主権国家としての独立と安全保障を守るためには、権力の制御と防衛を両立させる法整備が必要である。
大川原化工機を巡る冤罪事件で、警視庁が重大な組織的過失を認める方向で検証結果をまとめ、報告書を公表する方針を固めた。2020年、同社の社員らは外為法違反容疑で逮捕されたが、その根拠となった噴霧乾燥装置は、後に専門家の検証により輸出規制の対象ではないと判明。2021年、東京地検は起訴を取り消し、完全な冤罪であることが確定した。
この事件で問題視されたのは、警視庁公安部の捜査指揮である。現場の捜査員が「軍事転用性は低い」との懸念を示していたにもかかわらず、幹部は耳を貸さず、誤った捜査方針を突き進んだ。外為法の理解も甘く、経済産業省や外部専門家との連携も皆無に等しかった。その結果、無実の企業と社員が社会的信用を奪われ、企業活動にも甚大な損害がもたらされた。
この事件で問題視されたのは、警視庁公安部の捜査指揮である。現場の捜査員が「軍事転用性は低い」との懸念を示していたにもかかわらず、幹部は耳を貸さず、誤った捜査方針を突き進んだ。外為法の理解も甘く、経済産業省や外部専門家との連携も皆無に等しかった。その結果、無実の企業と社員が社会的信用を奪われ、企業活動にも甚大な損害がもたらされた。
警察庁は、この事態を重く見て当時の幹部に対する訓告・戒告処分を検討している。報告書は早ければ8月中にも公表される見通しであり、警察組織全体に対する再発防止策の徹底が求められる。
この事件は、国家権力が技術的知識の欠如や独善的な判断によって、いかに個人と企業の人生を破壊し得るかを示す典型例だ。
安倍暗殺と司法の沈黙──構造的腐敗の証明
だが、問題はここに留まらない。2022年7月8日に発生した安倍晋三元首相の暗殺事件は、さらに深い国家の構造的危機を突きつけている。あの衝撃的な事件から3年が経過した今もなお、公判は始まっていない。公判前整理や精神鑑定を理由に、異常とも言える引き延ばしが続いているのだ。これは殺人事件としては異例であり、司法が国民に対して説明責任を果たしていない証左である。
さらに注目すべきは、事件当時の奈良県警本部長・鬼塚友章氏が退官後、中国との関係が深い企業「NECソリューションイノベータ」に天下ったという事実である。同社は中国の監視システム事業に関与しており、安全保障上の懸念が以前から指摘されていた。このような人事が、安倍元首相という「中国に最も厳しかった政治家」の暗殺後に行われたことに、強い違和感を覚えるのは当然であろう。
ここで問題の核心が見えてくる。それは、日本の官僚機構に深く染みついた「責任逃れの文化」と「自己保身の制度化」である。現場の声が無視され、外部からの監視も機能不全に陥っている。そして、外国勢力の影響が間接的にでも及んでいるなら、それはもはや我が国の主権と安全保障に関わる重大事だ。
ここで問題の核心が見えてくる。それは、日本の官僚機構に深く染みついた「責任逃れの文化」と「自己保身の制度化」である。現場の声が無視され、外部からの監視も機能不全に陥っている。そして、外国勢力の影響が間接的にでも及んでいるなら、それはもはや我が国の主権と安全保障に関わる重大事だ。
真の改革と防衛──スパイ防止法を含む制度再設計の必要性
ただし、国家権力の暴走ばかりを声高に批判するのは愚かである。警察や検察は、秩序と治安の維持に不可欠な存在だ。これを全否定すれば、無秩序と混乱が広がり、国家の足元が崩れかねない。真に問うべきは、権力の存在そのものではなく、その「運用の正しさ」と「統制の仕組み」である。
よって、今こそ制度の再設計が必要だ。警察・検察の暴走を抑えるには、独立した第三者機関による監査制度(仮称:警察・検察行動監査庁)の設立が不可欠である。さらに、国家公務員の「天下り」に対する国益審査制度、冤罪を継続的に検証する常設の「冤罪調査委員会」、警察官の行動規範を明文化する「警察倫理法」なども併せて導入すべきだ。
だが、これらは「国家権力の内側」を律する仕組みにすぎない。見落としてはならないのは、国家の制度そのものが、外国勢力や反政府勢力、さらには反日勢力に「悪用される危険」だ。彼らは、言論の自由や人権、学問、宗教といった仮面をかぶり、日本の内部に巧妙に浸透している。こうした勢力を野放しにするならば、国家は内部から腐食していく。
諸外国には包括的スパイ防止法が存在するが我が国にはない |
だからこそ、スパイ防止法の導入が急務である。我が国は先進国で唯一、包括的なスパイ防止法を持たない。この法の空白が、外国の諜報活動や国内の協力者によって悪用されてきた現実がある。スパイ活動、国家機密の漏洩、国家転覆行為に対して明確な法的制裁を加えるとともに、大学・報道・公共機関に対しても安全保障上の透明性を義務づけるべきである。
国家権力を制御する制度と、国家を守る制度。その両輪がなければ、日本は真に自由で独立した主権国家にはなれない。大川原事件、安倍暗殺事件、そして警察・検察の腐敗も、その仕組みが欠落していることの警鐘である。
我々は今こそ、「怒り」を「制度」に変え、「不信」を「改革」に変える覚悟を持たねばならない。国家の礎を立て直す。それが今この瞬間に我々がなすべきことである。
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