- 日本が三菱重工を通じて、オーストラリア海軍向けに約1兆円規模の新型護衛艦11隻の建造契約を獲得し、戦後最大の防衛装備輸出が実現した。
- 採用されたのは「アップグレード版もがみ型護衛艦」で、従来のANZAC級艦(ドイツ設計・豪州建造)を大幅に上回る性能を持ち、日豪間の軍事協力を新たな段階へ引き上げる契機となる。
- 艦艇の一部は日本国内、残りはオーストラリア現地で建造され、最大1万人の雇用創出と地域産業の活性化が見込まれている。
- 中国の軍事的拡張に対抗するオーストラリアの戦略的ニーズに、日本の信頼性と技術力が応えた形であり、日本が「準AUKUS」的立場で地政学的枠組みに参画し始めていることを示している。
- 今回の契約は、日本の防衛装備輸出政策の転換点であり、「信頼できる装備を、信頼できる相手に、信頼できる形で供給する」という新たな平和国家の姿を提示したものである。
国際秩序が揺らいでいる。中国は南シナ海と東シナ海での軍事的圧力を強め、ロシアはウクライナ侵攻を続ける一方、日本海では中露の合同演習が恒常化しつつある。アジア太平洋は、もはや平和の海ではない。その中で、2025年8月4日、日本にとって戦後最大規模となる防衛装備の輸出が正式に決定された。これは、日本の戦略的位置づけが変わったことを世界に示す出来事である。
三菱重工業が、オーストラリア海軍の新型護衛艦11隻の建造契約を獲得した。総額は100億豪ドル、日本円で約1兆円に達する。対象となるのは、現在オーストラリアが運用しているANZAC(アンザック)級護衛艦の後継艦だ。ANZAC級は、1990年代にドイツのMEKO 200型をベースとして設計され、オーストラリアとニュージーランドが共同導入した艦級である。建造はオーストラリア国内で行われ、両国の防衛協力の象徴とされてきたが、すでに艦齢は30年を超え、更新は避けられない状況だった。
■ 「もがみ型」が選ばれた理由──性能、信頼、そして抑止力
その後継として選ばれたのが、日本の海上自衛隊でも運用されている「もがみ型護衛艦」の改良型である。32セルの垂直発射装置(VLS)を備え、長距離航行能力、高度な自動化、そして40年以上の設計寿命を持つ最新鋭艦だ。旧来のANZAC級をあらゆる面で上回る性能を持ち、作戦の柔軟性と即応性を大きく向上させる。
最初の3隻は日本国内で建造され、残り8隻は西オーストラリア・ヘンダーソンの造船所で現地建造される予定だ。これにより、最大1万人規模の雇用が創出される見込みである。初号艦の引き渡しは2029年、全艦の配備完了は2034年を予定している。
この契約の本質は、単なる艦艇輸出ではない。日豪間の軍事的信頼が、質的に新たな段階へと進んだ証である。これまでオーストラリアは、艦艇や防衛装備を主にアメリカやイギリスから導入してきた。その中で、日本の艦艇が主力装備として採用された意味は大きい。日米豪の連携は、形式的な同盟から実戦的な作戦一体化へと移行しつつある。
この動きの背景には、言うまでもなく中国の脅威がある。オーストラリアは、インド太平洋の安定において主導的な役割を果たす意志を明確にしている。そのパートナーとして、日本が選ばれたのだ。信頼できる技術、確かな納期、そして戦略的な安定性──そのすべてが評価された結果である。これは単なる選定ではない。日本が「装備を供給できる国家」として、地政学的ネットワークに加わったことを意味する。AUKUS(米英豪の安保枠組み)との直接的な関係はなくとも、今回の契約は、日本が「準AUKUS」として戦略の中枢に加わる兆候と見て間違いない。
一方、ニュージーランド海軍については、同じANZAC級を運用しているものの、今回のもがみ型採用には加わっていない。将来的な更新は検討中とされているが、現時点での導入予定はない。
■ 日本の姿勢が変わった──「装備を売らない国」からの脱却
■ 「もがみ型」が選ばれた理由──性能、信頼、そして抑止力
その後継として選ばれたのが、日本の海上自衛隊でも運用されている「もがみ型護衛艦」の改良型である。32セルの垂直発射装置(VLS)を備え、長距離航行能力、高度な自動化、そして40年以上の設計寿命を持つ最新鋭艦だ。旧来のANZAC級をあらゆる面で上回る性能を持ち、作戦の柔軟性と即応性を大きく向上させる。
海自の最上型護衛艦 |
最初の3隻は日本国内で建造され、残り8隻は西オーストラリア・ヘンダーソンの造船所で現地建造される予定だ。これにより、最大1万人規模の雇用が創出される見込みである。初号艦の引き渡しは2029年、全艦の配備完了は2034年を予定している。
この契約の本質は、単なる艦艇輸出ではない。日豪間の軍事的信頼が、質的に新たな段階へと進んだ証である。これまでオーストラリアは、艦艇や防衛装備を主にアメリカやイギリスから導入してきた。その中で、日本の艦艇が主力装備として採用された意味は大きい。日米豪の連携は、形式的な同盟から実戦的な作戦一体化へと移行しつつある。
この動きの背景には、言うまでもなく中国の脅威がある。オーストラリアは、インド太平洋の安定において主導的な役割を果たす意志を明確にしている。そのパートナーとして、日本が選ばれたのだ。信頼できる技術、確かな納期、そして戦略的な安定性──そのすべてが評価された結果である。これは単なる選定ではない。日本が「装備を供給できる国家」として、地政学的ネットワークに加わったことを意味する。AUKUS(米英豪の安保枠組み)との直接的な関係はなくとも、今回の契約は、日本が「準AUKUS」として戦略の中枢に加わる兆候と見て間違いない。
一方、ニュージーランド海軍については、同じANZAC級を運用しているものの、今回のもがみ型採用には加わっていない。将来的な更新は検討中とされているが、現時点での導入予定はない。
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