まとめ
- 沖縄県議選で知事不支持派が過半数を占めたことから、玉城知事は厳しい県政運営を余儀なくされると述べた。
- しかし、普天間飛行場の名護市辺野古移設への反対姿勢は変わらず、政治理念自体は変わらないと強調した。
玉城デニー知事 |
16日投開票された沖縄県議選で、自民、公明両党などの玉城デニー知事不支持派が過半数を確保したことを受け、玉城デニー知事は17日未明、知事公舎で報道陣の取材に応じ、「選挙結果は真摯(しんし)に受け止めなければならない。非常に厳しい県政運営を余儀なくされる」と語った。
一方、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する姿勢は「揺るがない」と強調。「私の県政運営、私の政治理念というものがこの(選挙)結果でどう変わるかといえば、それほど変化することはないと思う」と述べた。
一方、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する姿勢は「揺るがない」と強調。「私の県政運営、私の政治理念というものがこの(選挙)結果でどう変わるかといえば、それほど変化することはないと思う」と述べた。
【私の論評】玉城デニー知事不支持派の勝利の要因
まとめ
- 2024年沖縄県議選では改憲勢力が過半数を占め、玉城デニー知事の政策運営への牽制が可能になった。
- 選挙結果には辺野古基地移設問題が大きな影響を与え、経済利益を期待する層や本土政党支持の県民も影響した。
- 玉城知事の親中的な姿勢が反発を招き、不支持派の勝利に繋がった。
- 政権の不祥事がなければ不支持派の勝利はさらに大きかった可能性がある。
- 今後、玉城知事への支持はさらに衰える可能性がある。
【与党・改憲勢力】 自民党 14議席(前回比+4)、 公明党 5議席(±0)、 日本維新の会 2議席(+2)、 改憲勢力計 21議席
【野党・反改憲勢力】 玉城デニー知事支持の無所属系 12議席(-3) 、沖縄の風 5議席(±0)、 共産党 3議席(+1)、 反改憲勢力計 20議席
改憲勢力が過半数の21議席を獲得し、玉城デニー知事の政策運営に対する牽制が可能となりました。一方、反改憲勢力も20議席を確保し、過半数には至らなかったものの一定の勢力を維持しています。
沖縄県議選で自民、公明両党などの玉城デニー知事不支持派が過半数を確保した背景には、複数の要因が絡み合っていると考えられます。
まず最大の焦点は、辺野古への米軍基地移設問題をめぐる対立でした。政府与党は移設を推進する方針ですが、玉城知事はこれに反対してきました。有権者の一部は、政府の方針に従うべきと判断し、不支持派に投票した可能性があります。一方で、基地が存在する地域では、基地関連収入などの経済的利益を享受しており、その維持を望む層も一定数いたと推測されます。
米軍基地が移設される予定の辺野古 |
また、沖縄の本土離れが進んでいるのではないかとの危機感から、本土政党への支持につながった側面もあるでしょう。一部の県民から、玉城県政の下で沖縄と本土との連帯感が希薄化しているとの不安視があったようです。
さらに、玉城県政の政策面での実績や成果に対する不満から、不支持派に投票した有権者もいたと考えられます。例えば雇用対策、経済振興、子育て支援など、県政の取り組みが十分でないと感じた層がいたかもしれません。
以上のように、辺野古問題が最大の焦点となりましたが、それ以外にも、基地経済の影響、本土との連帯感の希薄化への危機感、県政の実績への不満など、複合的な要因が不支持派への投票行動を後押ししたものと推測されます。
沖縄県議選で玉城知事の不支持派が過半数を占めた最大の要因は、知事の親中的な対応への県民の強い反発にあったと考えられます。
特に、以下の発言・行動が県民の反中・反共産主義の感情を刺激し、不支持につながったと指摘されています。
- 玉城知事は、中国の要人と定期的に会談を行っており、2019年には、中国の王毅外相(当時)との会談を行った
- 同じく2019年玉城知事は、河野洋平元外相が会長を務める日本国際貿易促進協会の訪中団の一員として同年訪中した際、面談した胡春華副首相に対し「中国政府の提唱する広域経済圏構想『一帯一路』に関する日本の出入り口として沖縄を活用してほしい」と提案したことを明らかにしている
- 中国共産党の機関紙「人民日報」への寄稿(2021年)で「中国は大切な隣国」と記載
- 国家主席・習近平との会談(2022年)で「沖縄と中国の絆は太古の昔からある」と持論
- 沖縄・尖閣問題での「沖縄と中国は一つの海をともにする」発言(2023年)
- 対中国ビジネス促進のため、中国企業の沖縄進出を歓迎する立場を鮮明に
昨年の新聞記事 |
このように、中国との関係強化を優先し続けた玉城知事の言動が、中国の軍事的脅威に危機感を持つ沖縄県民の間で強い反発を招き、結果として不支持派が勝利した可能性があります。
今回自公政権の政治資金不記載問題などの不祥事がなければ、玉城知事不支持派のさらなる勝利につながった可能性もあります。
政治資金不記載問題など自公政権の不祥事がなかったならば、沖縄県議選ではより一層、玉城知事の不支持派が圧勝していた公算が高いと考えられます。
なぜなら、不祥事がなければ、有権者は安全保障問題に一層フォーカスできたからです。自公政権への不信感がない中で、中国の存在感増大への危機意識が一層高まり、玉城知事の親中的姿勢への反発がより強まった可能性があります。
加えて、不祥事がなければ自公政権の安全保障政策への信頼も維持され、自公路線支持の動機付けになっていたでしょう。中国への対決姿勢を評価する層の支持を改めて得られた可能性もあります。
政治資金不記載問題で揺れた自民 マスコミは「安倍派」という名称を用い続けた |
つまり、政権不祥事がなく、安全保障一辺倒の選挙情勢となれば、親中的な玉城知事への反発はさらに高まり、不支持派の沖縄県議会での勝利はより圧倒的なものになっていた可能性が高いと言えます。
今後、玉城デニー知事への支持はさらに衰える可能性があります。まずは、知事を支える「オール沖縄」の勢力が内部対立や影響力低下で弱体化しており、2022年の那覇市長選挙での敗北もその兆候です。
また、経済や社会問題への対応が不十分であるとの批判があり、新型コロナウイルスからの経済回復、人手不足や物価高騰などの課題に対して効果的な対策が求められています。
さらに、辺野古新基地建設問題で具体的な成果を上げられていないことも支持低下の要因となっているようです。経済回復や子どもの貧困問題への新しい施策の効果が不透明であり、これらの要因がさらなる支持率の低下に繋がる可能性が高いです。
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