麻生首相は31日昼、国会内で河村官房長官、与謝野財務・金融・経済財政相や与党幹部らと会談し、深刻な経済状況に対応するため、追加の景気対策を4月中旬までに策定するよう正式に指示した。 首相は追加景気対策の財源について、「状況によっては赤字国債発行も辞さない気持ちでやっていく」と述べ、赤字国債の 追加発行を容認する考えを示した。また、「景気の底割れを防ぐためにも、あらゆる政策を総動員して、スピード感をもって4月中旬くらいまでに取りまとめて ほしい」と指示した。
これを受け、政府・与党は追加景気対策の内容を盛り込んだ2009年度補正予算案を今国会に提出、早期成立を目指す。
09年度予算は、税収不足を補う新規国債の発行額は33兆2940億円で、このうち赤字国債が過去4番目となる25兆7150億円に達した。08 年度当初予算と比べ、新規国債は約7兆9000億円多く、財政再建路線を棚上げした。さらに年度早々に補正予算で赤字国債を積み増すことになれば、極めて 異例の対応だ。
実は赤字ではないし、財政破綻などとは縁遠い?!
麻生総理が上記のような発言をすると、マスコミなどはすぐに、財政破綻などをいいたてますが、実はそんなことはありません。麻生さんがいうように、国債を発行したとしても実は赤字ではありません。
日本政府の債務は確かに一見巨額です。しかし、95%以上が国内向けの国債、分かりやすくいうと日本国内の民間からの借り入れです。つまり円建ての債務ということになります。要するに、家計でいえば、日本家は、日本家という家庭に住む、身内の家族から国債を買ってもらっているということになります。ちなみに、アメリカの場合は、ほとんどが海外からです。ちなみに、最近中国のアメリカ国債の保有高が、日本を超えたことは記憶に新しいです。日本円という通貨を発行できる政府が、円建て債務のせいですぐに財政破綻することはあり得ません。
さらに、財務省が掲載している日本政府のバランスシートを見るすぐに分かることですが、日本政府の債務、つまり負債は948.7兆円もあります。しかし、同時に資産もかなり大きいです。なにしろ政府の金融資産だけで491兆円近くもある。これだけ巨額の資産をもっている政府は、世界中で日本だけです。アメリカですらこんなにありません。債務額から金融資産を 差し引いた純債務額で見れば、日本の政府の債務はGDPよりも少なくなり、普通の先進国並みです。
下のBSを見ていただければ、わかりますが(クリックすると大きく見られます)、国債を発行すると、BSの純資産合計の中の、政府の部分のマイナスが増えていくといういうことになります。では、どこまでが限度というかと、金利があがらない限り家計の1083.4兆円くらいまでです。もっと、マクロに見ると、純資産合計の299.8がゼロになるまでということです。そこを超えれば、確かに財政は破綻する可能性がありますが、この家計の大きさを見てください。こんなに大きな家計をもっている国はありません。
まさに、わが国は他国と違って打ち出の小槌を持っているといっても過言ではありません。財務省やマスコミは、このBSの負債合計の項の政府の948.7億円のことしか話題にしません。これは、全くバランスを欠いた見方です。このBSには、年金の1000兆円とも言われる隠れ債務はでていませんが、この年金隠れ債権を負債合計の項にのせると、その場合は、それに対応する資産の家計のほうに隠れ債権がのってくることになりますので、ここでは省きました。また、このBSは、金融資産だけで、神社仏閣などの資産などは、掲載していません。念のために。
だから、麻生総理がいうように、国債をここしばらく発行し続けても、すぐに財政破たんすることなどあり得ません。この程度の国債発行で破たんするというのなら、もうすでに、アメリカは数十年前に財政破たんしています。さらには、こうしたことを無視して、消費税の増税などの論議は全くバランスを欠いています。消費税などの論議は、これも含めて、総合的なバランスを考えて行うべきと考えます。日本の国民は、もっともっと日本の経済の底力を信じるべきだと思います。この打ち出の小槌私たちの先祖や親や、無論現在働いている人の分も加えて、日本国民が営営と築いてきた、世界に誇るべきものです。
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17 件のコメント:
その通りだと思います。麻生首相は元々経営者ですから、バランスシートの問題と今の日本が抱えている問題を理解しているのでしょう。解散なんかせず景気浮揚と財政出動に力を注いでもらいたいものです。
鳥海麻耶様コメント有り難うございます。今赤字国債を発行しないで、いつ発行するのでしょうか?マスコミや、野党は反対ばかりしていないで、もっと真面目に、真摯に、そうして、憶測だけでものを語らないないで、きちんとデータに基づいて、語ってもらいたいものです。
私のブログにコメントをいただき、ありがとうございました。現状からすれば景気対策は必要ですからね。ただ、国の発表している数字がどこまで本当かとかもっと合理化できるのではないかといった気持ちはありますけどね。
http://japanc.exblog.jp
BMI適正化計画様 コメント有難うございます。
中国などとは違い、日本国政府の発表している数字は、信憑性に足るものだと思います。そうでなければ、いろいろ矛盾がでてきますから。日本の場合は、特に資産などは内容が良すぎるくらいですから、粉飾する必要などないと思います。
それよりも、国民や外国の人々にもわかりやすくビジュアルなどで丁寧に示すというプレゼンテーションが足りなすぎると思います。
そうはいっても、アメリカ、中国、ロシア、その他ヨーロッパ諸国など、アナリスト達は、きっと日本の経済を分析していて、「恐るべし日本」と思っているでしょう。
とにかく、大方の日本人は、お金を貯めこみすぎで使いません。なんとかもっと使うようにすれば、株価もどんどん上昇するでしょうし、景気などすぐに良くなると思います。
私のブログの方にコメントを頂いたので、早速、記事を読ませていただきました。
理路整然としていて大いに納得させられました。学ばせて頂きます。これからも頑張ってください。
ゆうき蘭
当方のブログへのコメントありがとうございました。
非常に興味深く読ませていただきました。
アメリカの例と比較して、日本がすぐに財政破綻を起こさないということが分かって安心しました。
ふと思った質問を2点書かせていただきます。
会計学には造詣が浅いため、的外れな質問かもしれませんが、ご了承ください。
ブログで紹介されているバランスシートの方を見ますと、
政府の純資産は-457兆円と実質的負債はGDPの8割強の値ということでよろしいでしょうか?
しかし、他の国々も、内向けの国債を少なからず発行しているはずなので、
同様のバランスシートを用いた分析を、見てみたいですね。
GDP対政府負債の割合は日本では140%、欧米先進国では大体40~80%であるものが、
バランスシートの分析を受け、日本では先述の通り純資産のマイナスはGDPの80%程度と出ましたが、
他の国々ではどのようになっているのか…
非常に興味深いところです。
そこで他の国と比べた、日本の財政状況が初めて明らかになるのではないでしょうか。
もし、参考になるようなサイトがあれば、お教えください。
時間があれば当方でも分析を行います。
加えて1点質問です。
バランスシートを見ると、日本の純資産がプラスの大きな要因として、
「家計」の存在があることが分かります。
もし、追加国債の発行を、この家計の資産を担保に行うとしたら、
国が国民の財産を自由にする権利があるということでしょうか?
この点について、お考えを聞かせていただきたいです。
まぁ、国が倒れるようなことになれば、
その保有している資産も無価値になってしまいますし、
その時は、国民も資産を出すでしょうが…
と、非常に長くなってしまい、申し訳ありません。
時間がある時で結構ですので、返答いただければ幸いです。
ゆうき蘭様 コメント有り難うございます。
日本の経済力はかなりのものだと思います。だからこそ、世界は日本を頼りにしているのだと思います。
これからも、よろしくお願いします。
麻生太郎氏は、骨材屋出身の生コン会社出身と聞いています。
確かに、2代目世襲議員としては、優秀なのでしようか・・??
アジア諸国に対する見識・アジア各国訪問時の認識は正しいようです。
ただ、求心力に欠ける一面も持ち合わせている。
金権政治を世襲しないでいられるのは、祖父のお陰と・・・しかし、このままだと麻生氏は、担当当番制の総理大臣に終わる。
優秀なブレーンを持ち合わせる事こそが肝要
だと感じます。
現在の仲良し子良しの組閣では、内閣の業務は、縦割りで、相関せずを感じずにはいられない。
厳しく自覚責任を持って、やって頂きたいと思います。
社長であれば、専務・平取締・部長クラスの動向までは、自分に追随させるべきです。
ブログへの書き込みありがとうございます。
記事やB/Sを見させていただいて、内部資産がかなりあることがわかりますね。
しかし、私的に一番不安なのは政治家は首相を含め、今の危機的状況も自分たちの選挙用票集めにしか興味がないように感じます。
過去の優秀なご先祖様達が蓄えてきた資産を含め、政治屋達は生かし切れていないのでは・・・><
仰るとおりですね。私も本やネットなどから「財政赤字は大問題。もうすぐ破綻する」というのは大嘘と分かりました。(いつまでたっても破綻しない)
テレビではつい最近もミヤネ屋で、国の財政状態を一般家庭の家計に比べると…などの意味不明な説明をしておりました。
一般家庭は紙幣発行権もなければ、借金は借金です^^;日本の場合、国債(国の借金)=国民の資産ですから借金だ借金だと大騒ぎする必要はないのです。
赤字国債も辞さず・贈与税減免措置は大賛成です。
yutakarlson様
初めて、ブログを拝見し大変驚いております。B.S.についての一般的理解は凡そ間違ってはいませんが、財政に関する記述は、それが「一般人の理解」だとしても訂正が必要な部分もあるように見受けました。特に、"国債を発行したとしても実は赤字ではありません"のくだりは明確な錯誤ではないでしょうか。国の一般会計の経常赤字を補うため、特例法によって発行される国債のことを「赤字国債」と呼びます。1975年に、石油危機が原因の景気低迷とそれに伴う税収の落ち込みに対処するために大量発行を行ったのが、現在の財政破綻状態の始まりだと言うのが、識者のほぼ一致した見解だと理解しております。
yutakarlsonさん こんばんは
先日は私のプログにご訪問とコメントを戴きましてありがとうございました。
赤字国債と日本の財政破綻についての記事、拝見しました。
私は「日本が財政破綻しない」理由は、あくまで国民の家計をアテにした「増税」という手段があるからであり、政府がすぐに国債や赤字国債に頼ろうとするのも、イザとなれば増税すればいいや、という国民軽視の心理の表れなのではないかと思っています。
今の政府や与党の行っている政治
「政府の財政がない→すぐに赤字国債の発行、または埋蔵金頼り」、
というのは、いかにも短絡的で安易すぎるように思えます。
自民党や公明党は、今までなんの節約も工夫も反省もせず、ひたすら国民の財布をアテにし続けて、政策を行ってきました。
拙ブログにも書きましたが、私は今までのそのような政治手法や霞ヶ関の官僚の言いなりの不透明な支出を一刻も早く改めることが景気対策・雇用対策と並行して行われるべきだと思っています。そうしなければ、結局、そのツケは全部、国民に押し付けられることになるでしょう。それを回避するためにも、
例えば財源として、
民間より平均3割高いと言われ、いかなる不況下でもホボ保障されている公務員給与について「税収の増減に応じて変動し、民間と同じレベルまで引き下げる」ことができるように、サッサと法を改正するとか、
本当にあいまいな特殊法人の優遇制度についても精査し、所得の多い特殊法人にはもっと課税できるように法を改正するとか、
天下りや渡りなどの温床でしかない、不要な特殊法人については即刻廃止する、とか。
まず「赤字国債ありき」ではなく、政府や霞ヶ関のムダを廃止する作業を併行することによって、はじめて財政の健全化がなされると思うのですが。
長くなってしまってすみません。。。。。
皆様、コメントが途中から遅れて申し訳ありません。
最近また、この記事に関連するものも掲載しています。こちらも是非ご覧になってください。
http://yutakarlson.blogspot.com/2009/04/blog-post_10.html
さて、遅れた、コメントへの対応まとめて掲載させていただきます。
ゆうき蘭さまコメント有り難うございます。
コスケ様コメント有り難うございます。
まず、実質的な負債は、GDPの8割程度という認識で間違いないと思います。他国特に先進国ではも似たようなものである認識しています。このへんは、国のBSという形は、以前米国のものはみたことがあるのですが、どこのサイトだったか失念しました。他国のものはみたことはありません。自分で実際作るか、頭の中で考えてみるしか方法はないと思います。しかし、日本あたりは、こうしたものを統計資料として海外にも出し日本の優位性を訴求する手段にすべきものと思います。中国のBSなどは、悲惨なものになると思います。
国債は、もともと、国が自由に使うことを承知の上で発行するものですから、何も問題はないと思います。実際、旧大日本帝国の戦時国債は、すべて反故となりました。それに対して、意義を申し立ててももうどうにもなりません。もともと、自己責任ですらから。日本という国を信じるしか他ありません。
しかし、今の日本の国債であれば、安全ですし、ローリスク・ローリーターンの典型ですが、多くの人が安全だとおもうからこそ、保有しているのだと思います。まさに、この点がまさに日本の強みです。私自身も、国債を所有していますが、現状だと、他に投資したいものものないので、そのまま保有しています。余裕が出てくれば、日本国内しかも、東京関連に投資してみたいです。
匿名さまコメント有り難うございます。
全くおしゃる通りだと思います。私自身も、赤字国債を無制限に発行すれば、良いなどとは思っていません。ただし、今のマスコミや野党の考え方がおかしいので、それを指摘しているだけです。
じゃすてぃす様 全く私もおっしゃるとおりだと思います。私の意図するところは、マスコミや野党のいうように、日本が国債を発行すれば、すぐにも財政破綻をきたすような言い方はおかしいということを指摘することでした。政治家たちは、国債を発行するにしても、襟を正すべきと思います。
シルス様、全くおしゃる通りだと思います。麻生さんの真意も、赤字国債を連発しますというのではなく、場合によっては、赤字国債も辞さないで、今の景気を短期間に浮揚させます。ということだと思います。
気弱な地上げ屋様 コメント有り難うございます。私は赤字国債そのものの定義を否定しているわけではありません。しかし、現在のマスコミや、野党などが無責任にすぐにも財政破綻をきたすような言い方をして、国民を惑わせていることに対して、それは違うということを言いたかったということです。実際、アメリカは何十年も赤字国債を発行していますが、未だに財政破綻などしていません。今回の金融危機もいずれ克服すると思います。
らだ様 コメント有り難うございます。私自身は、政府、地方自治体、民間日営利企業、民間営利企業とも、今は大変革をしなければならない時期にあると思います。変革といった場合、人を取り替えるのではなく、システムを変えることが肝要だと思っています。
しかしこのブログでは、今の日本の状況が、赤字国債を発行すれば、すぐにも財政破綻をきたして大変なことになるというマスコミや、野党の論調を正したかっただけです。
文書読ませて頂きました。
質問です。今回の景気対策で一般国民に何のメリットがあるのですか?今のところ、何も変化ないのですが。
今回の支出で後世に負担を強いることはないのでしょうか?一般企業が1兆稼ぐのに、どれだけの努力が必要かご存知ですか?
e-ma様 コメント有り難うございます。今回の景気対策、これから功を奏してきます。7月あたりからそろそろ兆しが見え始めてきて、年度末には完全に景気回復基調になっていることでしょう。
年内くらいは、バラマキに近い対策で十分効果があります。それよりも、バラマキも何もしないことのほうが、悪いということになると思います。
それから、私は、私企業の役員をしていますから、一般企業が1兆円稼ぐのに、とれだけの努力が必要かは熟知しているつもりです。
経営者の立場にたってみてみると、今の日本は、お金がストックされるばかりで、フローのお金が少なすぎます。もう少し、流動性を増す必要があります。そのためには、国債を発行していろいろな方面に投資するというのも一つの手法です。企業の話をすれば、おそらく、日本が一つの株式会社だったとしたら、これだけお金をためこむばかりで、投資をしないような企業は、良い企業とはいえません。投資といっても株式投資のことではなく、たとえば、人材育成とか、イノベーションに関する投資などです。さらに、その企業の経営者も無能といわれても仕方がないです。
私は、無論これだけが、唯一の方法などとは思っていません、ただし今のマスコミなどの論調で、赤字国債を発行するとすぐにも財政破綻をきたすような論調で報道しているので、そうではなということを強調したまでです。
他の方法としては、たとえば、
http://yutakarlson.blogspot.com/2009/04/blog-post_10.html
にも書いてありますので、是非ご覧になってください。
yutakarlson様
丁寧なご返答、有難うございます。もちろん会社と国家は全く異なった組織ですから、不況時の今回の対策は十分理解できます。
ただ、マネーの流れを良くする唯一の方法が今回のバラマキなのか疑問に思っています。小泉改革のように、経済のルールを変えることで経済を活性化させることは、今回の場合は不可能なのでしょうか?
今回の巨額の補正予算が何をねらいにしているのか、一般庶民にはサッパリ理解できないのです。
e-ma様 コメント有難うございます。資金の流動化の一番手っ取り早いのが今回のような、景気対策だと思います。信用収縮などが主な原因のときは、カンフル剤的に十分効き目があると思います。というより、今の時期はカンフル剤を早めに打った方が良いです。それこそ、百年に一度といわれる金融危機ですから。そう滅多やたらにやってはいけない禁じ手も打つべきと思います。これが、他国のようにやろうにもできないというわけではないのですから・・・・。
ただし、1年を過ぎ、2年目あたりも過ぎるとそういうわけにはいきません。おそらく、経済のルールを変えるだけでもうまくはいきません。
私自身は、やはり、社会改革が必要不可欠だと思っています。今の日本は、世界の中から見ると非常識だといってもいいかもしれません。
その、非常識とは、社会問題を解決する主なセクターが政府しかないからです。
他の先進諸国の場合は、社会問題を解決したり、変革したりするのは、NPOであり、すでに市民権を得ています。
日本の不況は、国民の間に社会不安があって、消費をしたくてもできないことが大きな原因の一つだと重います。そこにきて、社会問題の解決する主体が政府だけというのでは、八方塞がりの状況です。政府がやってきた社会救済はことごとく失敗しています。これらかも、失敗します。もともと、政府はインフラづくりなどはできるのですが、そのインフラの上にのって実際に行動するのは政府であってはいけなてのです。
それこそ、民間の営利企業ならびに非営利企業が実施すべきなのです。
営利企業がやって効果的なものは営利企業が、そうではないものに関しては、非営利企業がやるべきなのです。
このへんの論調、日本ではなかなか理解されないことですが、外国では当然のこととされています。このブログにも、いろいろNPOについてはかいてありますので、このブログの頭のほうにある、ブログ検索でNPOなどと検索して記事を読んでいただけたら幸いです。
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