http://journal.mycom.co.jp/news/2010/12/08/078/index.html
【私の論評】とうとう姿せを見せ始めたOS、一体何を狙っているのか?
Google Chrome OSを搭載したマシン、噂は前からあったのですが、なかなか姿を現さないのて痺れを切らしている人は多かったと思います。私も、その一人ですが・・・・・・。
第1弾製品はAcerとSamsungから発売ということですが、やはり、一見外見だけは、普通のノートパソコンのようですね。
8月あたりには、タブレットPCになるという噂がでておりワイヤレス調査会社J.Gold Associatesのアナリスト、Jack Gold氏はHTCが以下のように述べています。
「Chrome OS」を採用したタブレット端末が登場する可能性自体について十分、考えられることである。
そして「Chrome OS」を採用した製品はiPadのようにApp Storeからダウンロードしたアプリケーションを利用するといったものではなく、あらゆるものがブラウザ上で完結するため、iPadと競合するものとはならず、成功を収めるためには200ドル(約1万7000円)を下回るような低価格な製品であることが必要だと述べています。Acer、Sumsungから発売されるということから、価格はきっとあっと驚くような低価格なのではないかと思います。そうして、タブレット型であるとか、ノートパソコン型、デスクトップ型であるとかはさして重要なことではないのだと思います。
タブレット型という噂は、単に、iPadに引きづられただけであり、きっと、既存の概念を打ち砕くような、完全にWEBを使うことに特化したマシンになるのだと思います。アプリやユーザーデータはクラウドに置く仕組みとして、高速で簡単、安全なWebアクセスを提供することを目指すものになるようです。
さて、このようなマシンを発表する、Googleの狙いはなんでしょうか?このブログを前から呼んでいる方はもうおわかりだと思います。そうです。Googleの水道の蛇口戦略を徹底的に強化するためです。
この水道の蛇口戦略とは、「iPhone、iPad、iPodは水道の蛇口のようなもので、水道管を通じて様々な個人や企業が制作したステキなコンテンツがその蛇口に注ぎ込まれていきます。今はまだユーザーはこれらのコンテンツを有料(少額)で購入しているのですが、もし、iPhone、iPad、iPodそのものが広告媒体になったら、広告媒体であるiPhone、iPad、iPodの無料化(低価格化)だけではなく、コンテンツそのものも無料化するかかなり低廉にする戦略」ということです。
これは、アップルについて書いたものですが、これは、Googleにもあてはまることです。それどころか、この戦略に先鞭をつけたのは、Googleのほうです。Googleは、検索エンジンの会社として発足しましたが、何も検索そのものから収益をあげているわけではありません。
検索エンジンを使うユーザーに広告を提供して、その広告を見てそのユーザーがその商品・サービスを購入すれば、広告主から収益が入るという仕組みのビジネスモデルを実践しています。これは、今でも基本的には変わらず、今日でも、Googleの収益の95%以上が広告によるものです。
従来、Googleは、検索エンジン、その他の先進的なクラウドサービスをユーザーに提供することで、ユーザーを集めることを可能にしていましたが、より速く、より、使いやすいブラウザとして、Google Chrome OSを提供するようになりました。これにより、さらに、多くのユーザーを集めるという目論見だと思います。
今回は、さらにこれを強化して、Googleのサービスを利用するのに特化した、格安のマシンを提供してさらに多くのユーザーを獲得して、より、水道の蛇口戦略を強化しようとしているのです。
なぜそんなことをするかといえば、もうすでに先進国などの豊な国では、かなり多くの人々が日々インターネットを使用するようになっています。もう、これらの国では、さらに、Googleのクラウドを訪れるユーザーを増やすことは困難です。
しかし、世界に目をてんずれば、まだまだ、Googleのクラウドを訪れていない人々はたくさんいます。それは、いわゆる貧困層と呼ばれる人々です。
世界には、1日2ドル未満で生活する貧困層が40億人います。先進国では経済が成熟化していますが、経済ピラミッドの底辺に位置するこの貧困層(Bottom of the Pyramid=BOP)こそ、今後急速に成長する魅力的な市場になることでしょう。現在、企業は彼らを、慈善や援助の相手としてはなく、ビジネスの対象として重視すべきです。
貧困層を「顧客」や「消費者」に変えるには、先進国向けの製品・サービスに少し手を加えるといった対応では不十分。技術、製品・サービス、ビジネスモデルそのもののイノベーションが欠かせなのです。
BOP市場の基本となるのは、「パッケージ単位が小さく、1単位当たりの利潤も低い。市場規模は大きいが、少ない運転資本でも利益を出せる」ビジネス。例えば、米P&Gは低収入で現金不足のBOPに消費力を作り出すため、「使い切りパック」のシャンプーを販売しました。ブラジルの家電チェーンは無理のない利子とカウンセリングで、BOPにも高品質な家電が買えるようにしました。その他、にもいろいろあります。
まさに、Googleは世界に多数存在するBPOの人々を自分たちのクラウドに呼び寄せるために、新たなマシンを提供しようとしているのだと思います。そうして、このような人達にも広告を見てもらい、このBPOビジネスを活発化させることを視野にいれているのだと思います。
いままで、全くインターネットの恩恵にあずかることのなかった人たちにも、その機会を提供して、自分たちのクラウドを訪れるユーザーを幾何級数的に増やすことが目的なのです。
そう考えれば、iPad、iPhoneなどとは、そもそも、設計思想が全く異なることがうかがえます。なお、こうしたマシンなどは、何も、開発途上国の人にとってだけ便利なわけではありません。もちろん、先進国の人にも恩恵があります。先進国だって、貧困層はいます。そういう人たちも、これからは、インターネットの恩恵にあずかることができる世界がやってくるのです。
たとえば、BPOビジネスで、ヤマハは船外機をスリランカの人々に販売して大成功しています。スリランカの漁師は、流木に当たっても壊れない、耐久性の高いヤマハの船外機を使うことによって、漁場が広がり生活も豊になりました。そうして、スリランカのようにインフラの整っていない国でも、十分に使える船外機は、他の国でも十分に使えます。だからこそ、ヤマハの船外機のシェアは世界ナンバーワンです。無論、日本でもシエアナンバーワンです。
Googleは、これに近いことをITの世界で実現しようとしているに違いありません。多少通信環境が悪くても十分に使え耐久性の高いマシンに搭載するOSということです。そうして、これによって、まずは、BPOの人々にとって、有用な商品・サービスを提供しつつ、さらに有益な情報を提供して、人々の生活を豊にするためのインフラを提供しようとしているのだと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿