2015年9月13日日曜日

日本メーカー“脱中国”加速 ホンダ、スクーター生産拠点を国内へ―【私の論評】背景には、中国の個人消費はもともと少ないし、これからさらに減速するという見込みも(゚д゚)!


 2010年のホンダ部品工場のスト 写真はブログ管理人挿入。以下同じ。 

 日本の製造業の「脱中国」が一段と加速している。これまで、ミニバイクの9割を中国など海外生産していたホンダは新型ミニバイク「ジョルノ」の生産を、同社熊本製作所(熊本県大津町)で始めた。人件費高騰や円安で中国生産のメリットが薄れるなか、生産拠点を国内に戻すメーカーは増える一方だ。

 ホンダは円高が進んだ2002年ごろから中国やベトナムでの海外生産に切り替えたが、アベノミクスによる円安を受けて輸送コストなどを検討した結果、国内生産の場合でも大差はなく、商品の保管でも効率が良いと判断した。

 同社は「ジョルノは国内生産回帰の第1弾」としており、段階的に国内生産に移し、国内8割、海外2割の生産体制にする。

 日本の大手メーカーでは、パナソニックが中国でほぼ全てを生産していた日本市場向け空気清浄機の半数を、国内生産に切り替えることを明らかにしているほか、ダイキン工業も家庭用エアコンの一部を中国から国内の工場に移管。キヤノンやTDKも国内回帰を進めている。

 中国では2012年の反日暴動も記憶に新しいうえ、株や不動産バブルが崩壊し、実体経済も失速するなど、市場としての魅力も薄れつつある。中国リスクを回避する日本メーカーは今後も増えそうだ。

【私の論評】背景には中国の個人消費はもともと少ないし、これからさらに減速するという見込みも(゚д゚)!

上の記事では、触れられていませんが、日本のメーカーが中国での生産を日本に切り替える動きの中には、円安以外にも要因があります。

まずは、中国人労働者の賃金が今やさほど安くもないということがあげられます。とはいっても、日本に比較すればはるかに安いのですが、それにしても、製造業のコストに占める割合は相当低くなっているので、これ自体はさぼと大きな要因ではありません。

一番大きいのは、やはり、中国の個人消費はもともと少ないし、この少ない消費が今後さらに低くなる可能性が高いということがあげられると思います。

これについては、以前のブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【お金は知っている】中国金融市場の自壊は変えようがない 外貨準備は「張り子の虎」―【私の論評】馬鹿の一つ覚えの経済政策が、今日の危機を招き後は崩壊するだけ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では日本が酷い円高・デフレだった期間の、日本と中国のGDPに占める個人商品の割合を比較したグラフを掲載しました。そのグラフを以下に掲載します。

名目GDP-民間最終消費支出対GDP比 赤=日本 青=中国
このグラフでわかるのは、中国は1998年からしばらくGDPに占める個人消費の割合が、40%台であったものが、2005年には40%を切り、2008年あたりから、35%で推移していることがわかります。

この間GDPは伸びて、中国はGDPが世界第2の水準になったとして、世界第二の経済大国を自認するようになりました。

しかし、現実には、中国の経済成長によって、個人消費は全く伸びず、そのままだったので、GDPが伸びても、個人消費の割合が減ったということを意味しています。

では、なぜこのようなことになったかといえば、中国の経済発展は、個人消費以外のものが伸びたということです。そうして、その最大のものは、インフラ整備などの公共工事です。鉄道、空港、港湾などの整備です。

インフラ投資など、最初は実施すれば、それにともない人々の経済活動が活発になり、経済も伸びますが、それにも限界があります。その後、個人消費が伸びなければ、インフラ整備だけ実施しても、実体経済は伸びません。

中国の公共投資によって建築された建物 誰も使用せず鬼城化している

今まさに、中国の実体経済はそのような状況にあります。詳細に関しては、この記事に掲載してありますので、是非ご覧担ってください。

さて、ニュースを見ていると、日本国内では国内総生産(GDP)の数字が発表されたときに、デパートや飲食店の映像が流され、「背広を新しく買う人が増えた」とか、「外食する人が増た」など、個人消費に関することが報道されることが多いです。

これは日本では個人消費がGDPに占める割合が大きいので、こうした報道がなされるのです。日本の場合、経済成長の原動力は、あくまで、個人消費なのです。テレビなどを見ていると、政府がとてつもない天文学的な資金を投じて、道路や空港、港を整備したりして、その投資の額が頭に残って、莫大であると感じてしまうのですが、日本では、そんなことよりも、個人消費のほうが、経済発展に占める割合が圧倒的に大きいのです。

上のグラフで示したように、デフレのまっただ中でさえ、GDPに占める個人消費の割合は、6割近くあり、最近では6割を超えています。

多くの人々は、日本は輸出立国という誤ったイメージを抱いていますが、輸出から輸入を差し引いた額が、日本のGDPに貢献している割合はかなりひくく、日本のGDPの個人消費以外の4割は何によって構成されているかといえば、約2割が政府最終消費支出、約2割が総固定資本形成となっています。

輸出に関しては、もともとパイが少なし外国の状況に左右される。もともと、
大きい個人消費の落ち込みは、完璧な国内問題であり、その影響は甚大である。

このため、個人消費が少し上向いたり、少し落ち込んだりするだけで、日本経済に与える影響は非常に大きくなります。だからこそ、8%増税は個人消費を落ち込ませ、今年の4月から6月期の経済成長がマイナスに落ち込んだのです。

さて、世界各国の個人消費がGDPに占める割合はどうかといえば、イギリス、ドイツ、フランス、ブラジル、インドなど、先進国の一部の国では、だいたい日本と同じ約6割を維持しています。

アメリカに至っては、個人消費がGDPに占める割合が7割を超えています。これらの国では、さまざまな事情はあるものの、概して、国民が将来に対して楽観的である、と言えると思います。日本で、過去の酷いデフレの期間に、これが60%を切っていたのは、やはり将来に対する不安を感じる人が増えたことによるものと考えられます。

一方で、ロシアの個人消費がGDPに占める割合は約5割、中国に至っては現在でも、35%しかありません。

これもいろいろな事情はあるものの、元々国民の稼ぎが少なく、さらにその少ない稼ぎを消費に回さず、貯蓄して貯め込んだり、不動産などの投資に回してしまっている、という事情があるものと推察されます。

これらの国では、「将来何が起こるか分からない」、「政府が何をするか分からない」、「老後は誰も面倒をみてくれない」などの大きな不安感、恐怖感が、国民を支配し、消費を控えさせ、個人消費がGDPに占める割合を、低いままにさせていると考えられます。

そういった意味では、個人消費がGDPに占める割合が低い国の政治は、国民を不安に陥れるものであり、まさに中国は共産党の一党独裁であり、国民を蔑ろにしているということです。

日本では、最近では8%増税によって、将来に対して不安感を抱いた人々が増え、個人消費が落ち込み、経済が減速したということです。それにしても、中国の人民の不安や、不満から比較すれば、さほどではないので、GDPに占める個人消費の割合は60%程度を維持しているということです。しかし、10%増税などしてしまえば、また国民の不安がまし、60%をまた下回る水準に戻ってしまうかもしれません。

さて、話をまた元に戻します。

結局、中国では個人消費がもともと少なく、その原因は中国政府の共産党一党独裁による、国民不在の政治による国民の将来不安によるものであり、これは構造的な問題であり、なかなか直せるものではなく、さらに最近の中国経済は落ちこんでいますから、もともと少なかった個人消費が消費が伸びる可能性はさらに低くなりました。それどころか、さらに、個人消費が落ち込むと思います。

中国に進出した、個人消費向けの製造業など、進出当初は製品の消費量が増えていったでしょうが、中国が経済発展を続けていたにもかかわらず、個人消費が頭打ちのため、製品の消費が一度頭打ちになると、そこからはほとんど伸びないという状況が続いていたと思います。

小松製作所などの土木関係の機材を販売する会社は、中国の経済発展は、主に公共工事による発展であったため、中国の経済発展により、売上を伸ばすことができたと思います。しかし、これも中国の経済の減速にともない、業績を落とすことになるのは、必定です。



実は、製造業が消費地の近くで製造をするということには、本来的には大きな意味があります。消費地の近くであると、顧客のウォンツやニーズをつかみやすく、さらに、それを製品に短時間で反映しやすいというメリットがあるのです。

ファスト・ファションなどまさにその典型です。これは、最新の流行を採り入れながら低価格に抑えた衣料品を、短いサイクルで世界的に大量生産・販売するファッションブランドやその業態をさします。

ファッションの先進地の渋谷などに、店舗や製造工場を構えて、ファッション・トレンドを素早くとらえて、それを製造にフイードバックして、素早く製品化して、店頭に並べることにより、大きな利益を得ることができます。

渋谷のファスト・ファッションの店舗
一般の製造業も、ファスト・フアッション業界ほどではありませんが、同じような側面があります。だから、本来中国で製品を販売するというのなら、中国に拠点を置いておく意味もあります。

しかし、そのようなことをするにしても、条件があります。個人消費がある程度大きいか、あるいはあまり大きくなくても、これからどんどん伸びいていくことが期待されるという条件です。

今の中国では、個人消費がもともと少ないし、これからも伸びることはあまり期待できず、それどころかさらに縮小することさえ考えられます。であれば、わざわざ中国に製造拠点を置いておく必要性はないわけです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年9月12日土曜日

鬼怒川の越水箇所は以前から危険が指摘されていた ソーラーパネル設置のため自然堤防削る―【私の論評】ソーラーパネルを含む、代替エネルギーは本当に大丈夫なのか?


鬼怒川で越水した場所の一部は、ソーラーパネル設置のため自然堤防が削られていたことが分かった。以前から危険が指摘されていたが、なぜ止められなかったのか。

越水した茨城県常総市の若宮戸地区は、なんと人工堤防のない場所だった。1キロほどにもわたるその場所は、民有地になっている鬼怒川沿いの丘陵地が自然堤防の役を果たしていた。

河川区域未指定だった  写真はブログ管理人挿入 以下同じ
河川区域外で、届け出の必要がなかった

ところが、千葉県の業者が2014年3月下旬、ソーラーパネル設置のため横150メートル、高さ2メートルにわたって自然堤防を削ってしまった。不安に思った地元住民から市などに通報があり、河川管理者の国交省下館河川事務所と市、業者が話し合いをして、元あった丘陵地の一番低い高さまで、国が大型土のうを積んで応急対応をした。

その後、市は、国に対し人工堤防を作るよう要望した。国は、それを受けて、予算のメドはまだ立っていないものの、堤防の設計に入っていた。その矢先の越水だった。

下館河川事務所などによると、この自然堤防は、河川法が適用されない河川区域外になっている。このため、業者が堤防を削ったり建築物や工作物などを設置したりする場合でも、届け出の必要はない。今回は、堤防を削ったことで治水上好ましくないと考えて、土のうを積むことをお願いしたという。

人工堤防計画があると、区域指定せずに放置

河川区域は、原則として堤防と堤防の間とされているが、今回は、なぜ自然堤防まで区域にしていなかったのか。

この点については、河川事務所によると、以前は鬼怒川沿いまで小高い山になっており、そこまでが河川区域になっていた。その後、川側の山が削られて現在の丘陵地になったため、丘陵地が区域から外れた。

なぜその後に丘陵地も区域に含めなかったかについては、「鋭意、計画を進めて、人工堤防を作ろうと考えていた」からだと説明した。つまり、ずるずると放置したままの状態だったわけだ。

なお、ソーラーパネルは、2011年の建築基準法改正などで、建築物でも工作物でもない取り扱いになり、原則として、設置に際して行政に確認申請をする必要はなくなった。しかし、河川事務所などによると、建築物でも工作物でもなくても、河川区域に物を設置する場合は規制対象になり、許可が必要だという。

【私の論評】ソーラーパネルを含む、代替エネルギーは本当に大丈夫なのか?

鬼怒川の氾濫をテレビでみていたとき、決壊箇所のすぐ近くに大量のソーラパネルが設置してあったことは、すぐに認識できました。そうして、なにやら不思議な光景だと思いました。

なぜなら、私自信は、ソーラーパネルが川のすぐそばに設置されているのをあまり見たことがないからです。海のそばに設置されているのは見たことがありますが、それでも、海のすぐそばということはなく、さらに小高い丘陵の上であり、これであれば、少なくとも海の水をかぶることはないような場所ばかりでした。

だから、テレビで大量のソーラーパネルが水に浸かっているのをみて、非常に奇異な光景に見えました。

結局、太陽光をソーラーパネルにあてるようにするため、川側の山を削り、現状の丘陵地になったということなのでしょう。そうして、それが鬼怒川氾濫の原因となったということです。

この件につき、太陽光発電協会(JPEA)は11日、太陽光発電設備が水害によって被害を受けた場合の対処について注意喚起を発表しました。

この注意喚起では、太陽光発電設備のパワーコンディショナや、太陽電池パネルと電線との接続部は、水没・浸水している時に近づいたり、接触したりすると感電する恐れがあるとしています。同協会が発表した注意では、太陽電池パネルや集電箱、パワーコンディショナが破損したり、電線が切れたりしている場合の対処方法について触れています。

以下は、JPEAの注意喚起の中に示された図です。


ソーラーパネルなどの太陽光発電設備が水没・浸水している時に近づいたり、接触したりすると感電するので大変危険だということです。通常の火力・水力発電ではこのような注意喚起が発表されたことなど、私の記憶の範囲の中ではありません。

ソーラーパネルでできたビキニ。これで、ガジェトの電力をまかなえるというが、実用的ではない
こんなビキニで、プールに入ったり、海に入ったらどうなるか考えるだに恐ろしいです。
このソーラパネルにはこうした感電の危険の他、さらに危険なことがあります。

欧米では長寿命・安価ということでテルル化カドミウムの太陽電池が普及していますが、カドミウムは毒物で テルルも毒物です。そのため、いずれ使用済み核燃料のように後始末が問題になるでしょう。

日本では、テルル化カドミウムを含むものは少ないので、これはあまり問題ではありませんが、有機薄膜はペット樹脂とフッ素樹脂があり、フッ素は塩素と同じくらい毒で、その有機化合物も毒物もあり後始末が難しいです。一方、ペット樹脂の有機薄膜やシリコン系ガラスパネル太陽電池などは有害物質をほとんど含みません。

しかし、化石燃料が枯渇して、メガソーラーがあったとしても、化石燃料が枯渇した場合、製鉄所も、セメントキルンも、ガラス窯業も石炭やガスがなくて止まり、プラスチックも作れなくなり、ジェット機もDiesel船も動かせなくなります。

現在の技術水準で、廃プラ油化をすると、廃プラ油化油1kgを作るために、重油3kg焚いて油化釜を熱する必要があり、これでは全く油化しても経済的に成り立ちません。それを無視してこれを実行すれば、さらに化石燃料の枯渇をはやめるだけです。

そうなると、メガソーラーやシリコンガラス太陽電池や、風力タービンを建てられなくなります。こんなことを考えれば、 実は、現状の再生可能エネルギーは無限永久エネルギーではないのです。

結局のところ、化石燃料が尽きてしまえば、原子力製鉄・原子力船・水素燃料電池漁船などを研究実用化しない限り、我々は木製風車と木製帆船に逆戻りなので、我々の文明は砂上楼閣にのように思えます。

埋蔵量を調べてみれば、一目瞭然ですが、実は炭素はチタンよりもレアな元素で、リンと同じくらいしか埋蔵されていません。しかし、ガスも石油も石炭もそんなことはおかまいなしに、乱掘されているのが実情です。

そうして今世紀中盤には、我々の目の前に、大量の「使用済み有機薄膜ソーラーシート」「使用済み風力タービン羽」「使用済み海水ウラン吸着モール」などが山積みになるはずずです。

そうして、貴重な埋蔵炭素を燃やさず鉄のように循環使用する、プラスチックリサイクルを実現せねば、太陽パネルを含む、再生可能エネルギー発電所は埋蔵炭素枯渇とともに設備の更新できなくなり 再生可能詐欺で終わってしまいます。

こうした事実を無視して、全国にソーラーパネルが設置され、今回のような事件まで発生してしまいました。

今回の鬼怒川の氾濫に関しては、どこまでも責任を追求して、責任の所在を明らかにすべきです。そうでないと、今回の水害による犠牲者の方々が浮かばれません。

今回の水害での被災者と、被災犬

仙台では、以下の写真のようにソーラーパネル設置場所だけが、崩落してあわや大惨事になりかけたという事例もありましした。これは今回たまたま、水害に遭遇したため、表にに出てきた氷山の一角に過ぎないと思います。

今後の安全対策のためにも、全国の太陽光パネルを総点検して、不備があるものは発電停止にして、架設構造物ではなく「建築物」として厳しく審査をやり直すべきです。




さらに私は、いずれ先に述べたような、代替エネルギー詐欺の事実が公に認識されるときがくるだろうと思っています。そうして、今回の鬼怒川の氾濫等を期に、こうしたことも検討され、将来のエネルギーに関するまともで、活発な議論が行われるようになることを期待しています。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年9月11日金曜日

【お金は知っている】中国金融市場の自壊は変えようがない 外貨準備は「張り子の虎」―【私の論評】馬鹿の一つ覚えの経済政策が、今日の危機を招き後は崩壊するだけ(゚д゚)!


中国の外貨準備と資金流出入の推移

 八方ふさがりの中国経済だが、宣伝工作だけはさすがにたけている。先週末、トルコ・アンカラで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、不透明な中国当局の市場操作を厳しく追及する麻生太郎財務相に対し、中国人民銀行の周小川総裁は「市場は安定に向かっている」と言い抜けた。

 周発言の要点は以下の通りだ。

 ▽政府の措置により株式市場は崖から落ちるのを免れた。株式市場の調整はほぼ終わった。

 ▽8月の元切り下げ後に一時は元安圧力が高まったが、長期的に下落する根拠はない。

 いずれも現実とは遊離しており、麻生氏が周氏らの説明に納得しなかったのは当然だ。株価は、日本円換算で70兆円にも上るとみられる政府や政府系機関による株式買い支えや当局による厳しい投機の取り締まり、メディアへの締めつけにもかかわらず、乱高下が起きている。

 人民銀行は8月下旬に預金金利を追加利下げした。通常は「金融緩和策」のはずだが、結果からみると「金融引き締め」である。短期金融市場では銀行間融通金利上昇が止まらず、6月初めに1%強だった翌日もの金利は預金金利より高くなった。銀行は低い金利で集めた預金を銀行間で回せば儲かることになる。

 量のほうはどうか。中国人民銀行は一貫して発行する資金量(マネタリーベース)を増やす量的緩和を続けてきたが、この3月以降は減らし続けている。つまり、量的収縮策である。めちゃくちゃな金融政策で市場が安定するはずはない。

 元相場の下落圧力は強くなるばかりだ。8月中旬、元相場を切り下げた後は元相場の押し上げにきゅうきゅうとしている。主因は資本の対外逃避である。周氏がいくら詭弁(きべん)を弄しようと、中国の金融市場の自壊に拍車がかかる現実を変えようがない。

 グラフは中国からの資金流出と外貨準備の減少の加速ぶりを示している。中国は厳しい資本の流出入規制を敷いているのだが、抜け穴だらけだ。党の特権層を中心に香港経由などで巨額の資金が持ち出される。預金金利が下がれば、あるいは人民元安になりそうだと、多くの富裕層が元を外貨に替えて持ち出す。

 貿易収支など経常収支は黒字を維持しているのに、外貨準備はこの8月、昨年6月のピークに比べ4358億ドル(約52兆円)減となった。経常収支黒字と外貨準備の増減からみて、年間で6000億ドル(約72兆円)近い資金が外に流出している。

 外貨準備はそれでもまだ3兆5000億ドル(約420兆円)以上あり、日本の3倍以上になるとの見方もあるが、中国の外準は「張り子の虎」でしかない。対外債務は5兆ドル(約600兆円)を超えている。いわば、外から借金して外準を維持しているわけで、外国の投資家や金融機関が一斉に資金を引き揚げると、外準は底を突く恐れがある。

 株式、元相場と金利・量と続く金融市場自壊はその予告なのだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】馬鹿の一つ覚えの経済政策が、今日の危機を招き後は崩壊するだけ(゚д゚)!

上の田村氏の記事、以前にも似たようなものをこのブログに掲載したことがあります。其の記事のリンクを以下に掲載します。
【日曜経済講座】インフラ銀…その正体は「共産党支配機関」 参加論を斬る―【私の論評】中国主催のインフラ投資銀行に出資すれば、敵に塩を送るようなものどころか、振り込め詐欺の誘いに乗っかるようなものである(゚д゚)! 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は今年の3月30日のものです。このときにも、田村氏は中国の外貨準備高のグラフを掲載しつつ、中国金融の空洞状況を解説していました。そのグラフを以下に掲載します。



このグラフと、ブログ冒頭のグラフを比較していただきたいです。上のグラフでは、外貨準備と資金流出入とを比較しています。下のグラフでは、外貨準備と対外銀行借り入れを比較しています。

昨年の12月を比較してみると、外貨準備はかなり減少しているものの、それでも両方のグラフとも、一応はプラスです。 それにしても、上のグラフでは、資金流出入がマイナス、下のグラフでは、対外銀行借り入れが大幅なプラスで、この傾向は平成13年の12月あたりから続いていることがわかります。

とにかく、資金が海外に出て枯渇したため、対外銀行借り入れで、平成ぬ14年の12月あたりまでは、何とかしのいできたことが伺われます。

上のグラフでは、平成14年12月からは、中国の資金は流出傾向となり、平成15年にはいってから少したってから、外貨準備もマイナスになっていることがわかります。

今年になってから、このような状況にある中国が、なぜAIIB(アジアインフラ投資銀行)などを設立したのか、良く理解できます。

要するに、金融が空洞化どころか、正味では枯渇も通り越して、大幅なマイナスになってしまったので、とにかくどこからか、金を借りたか、前に借りてきた金をAIIBに見せ金として突っ込み、それで海外から出資を募り、その金を使って、海外へのインフラ投資を行い、儲けて、設けた金で借金を返そうとしたということです。

しかし、習近平の目論見は見事にはずれました。結局AIIBには日米が参加しませんでした。資金というと、日米ともに潤沢です。この二国で世界の大半の資金を担っており、他の国はその他大勢という程度のものです。

特に、日本は長い間デフレが続いたため、国内経済は疲弊しましたが、それでも、対外金融純資産は、未だ世界一の水準です。アメリカは、基軸通貨が、ドルということもあって、対外金融負債が300兆円超もありますが、それでも資金は他国に比較すれば、潤沢です。

日米が加入しなかったということで、AIIBは最初から失敗です。他の国々がいくら出資したとしても、今の中国にとっては、焼け石に水程度のもので、中国の借金を解消する手段とはならないでしょう。

それにしても、なぜこのようになってしまったかといえば、過去の一つ覚えともいえるような、経済政策の積み重ねによるものです。

中国の経済対策は、本当に簡単で、どんぶり勘定です。景気が停滞すれば、金融緩和と財政出動を実施し、それを元手に、インフラ投資を大規模に行い、公共工事をどんどん行い、景気を回復させ、景気が加熱してくると、金融引き締めと、緊縮財政を行い、これを継続して、景気が悪化すると、またまた、金融緩和をし財政出動を実施し、インフラ投資を大規模に行い景気を良くするということの繰り返しです。

中国の発展の原動力は国内へのインフラ投資のみでした。しかし、インフラ投資を繰り返して、橋をつくり、道路をつくり、住宅を建てたにしても、最初はそれで経済発展をすることができましたが、おそらく今から10年以上前から、インフラ投資をしても、それだけでは経済発展がしにくい状況になっており、極最近では不動産バブル崩壊に象徴されるように、公共工事をしても、ほんど経済成長ができない状況に陥ったのです。

そんなことは、当たり前のどまんなかです。公共工事で、道路や、橋、トンネルなどつくったにしても、それを多くの人々が活用して、経済活動を活発化させなければ、経済的には何の見返りもなくなります。

高層住宅や、高級住宅をつくったにしても、そこに人が住みつき、経済活動が活発になって、はじめて、経済的な見返りがでてきます。しかし、中国政府は馬鹿の一つ覚えで、住宅建設を繰り返し、結局のところ中国全土に鬼城と呼ばれる、誰も人が住まない住宅街をつくってしまいました。

誰も住まない中国の鬼城 中国全土の至るところにこのような鬼白がある
このようなことを繰り返し、結局中国国内で、公共投資をしても、もう経済成長できないと、悟った馬鹿の一つ覚えの中国政府がとった次の経済発展の次の手は、海外へのインフラ投資でした。

しかし、過去においてはこれはほとんど失敗しています。中国のアフリカ投資などは、結局全部失敗です。そもそも、中国は公共工事をすることはできますが、公共工事に加えて当該地区住民を豊にする術などありません。

中国国内でも、公共工事を実施するだけで、後はそれを活用して儲ける人が儲けて、その地域の住民などはなおざりでした。そんな中国が、アフリカで公共工事を実施して、地域住民を豊にすることなどできません。結局、中国や当外国の一部の人が儲けることだけを優先して、アフリカ諸国から反発をかってしまい、ほとんど失敗に終わりました。

そんな中国が、AIIBで、アジアのインフラ投資を行ったにしても、結局のところ、中国と開発当該国の一部の人が儲けるだけで、アフリカと同じ失敗を繰り返し、アジアの人々から反発を買うだけで終わることになります。

要するに、中国がやりたいのは、過去に大成功した中国国内での経済成長の成功体験を、中国内ではもう無理になったので、海外で実施したいというだけの話です。これでは、最初から成功などおぼつきません。

それに、アジア投資ということになれば、強力なアジア開発銀行といライバルが存在します。こちらの国際投資銀行は、地域の人々を豊にする様々なノウハウを持っています。そうして、日米が参加しています。とても、AIIBがかなうような相手ではありません。

このような中国、インフラ投資ばかり繰り返すようでは、もう経済成長は見込めません。本来ならば、実体経済を良くすれば、さらに経済成長をすることもできるとは思います。

しかし、そのためには、日本や、他の先進国と同じように、中間層を増やし、中間層に活発な社会・経済活動を行えるようなインフラを整備し、そのインフラの上で実際に中間層が活動できるようにもっていけば良いのですが、中国政府にはその気は、全くありません。

これは、統計資料からも裏付けられています。日米欧の先進国では、GDPの6割以上を国民の消費が占めるのが普通です。しかし、中国のその比率は4割未満です。以下に日本のデフレ期のGDPに占める消費の割合と、中国のそれとを比較するグラフを掲載します。


クリックすると拡大します

日本は、この期間はデフレが深刻だったので、ほぼ60%未満でしたが、それでも2011年には60%になっています。一方中国は、40%を超えていたものが、2005年あたりに40%を切り、その後35%台に落ちています。

日本では、この期間デフレで、モノが売れないということで、とんでもない状況で、失われた20年などともいわれていましたが、中国はもともと低い水準が最近ではさらに落ちているということです。国民の消費がこのように構造的に落ちている国が、これから先経済発展を続けるなどということはあり得ません。

現状でも似たような水準です。日本の景気が低迷したのは、日銀の金融政策があまりにもお粗末で、金融引き締めばかりしていたことが原因で、日銀が金融政策を改さえすれば、すぐにも解消するものですが、中国のそれは構造的な問題です。その構造を根本的に変えなければ今後の経済発展はあり得ません。

そもそも、平均賃金が、平均では今でも4万程度ですから、桁が違いすぎます。いかに、格差が酷いものか、中国では先進国のように中間層が形成されていないのは明らかです。

このように、本来中国では個人消費はまだまだ伸びる余地があるはずです。だから、世界中の国々がそれに期待して、過去には中国に多大な投資をしていたのです。しかし、中国ではなかなかそうはなりません。なぜなら、これを実行するためには、中国では全く不十分な、民主化、政治と経済の分離、法治国家化をある水準までは実現しなければならないからです。

これについては、最近もこのブログに掲載したばかりです。以下にリンクを掲載します。詳細は、この記事をご覧下さい。
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中国・天津市で発生した大規模爆発
いずれにせよ、中国の現政府が、中間層を増やし、それらの経済・社会活動を活発化させることを考えず、これからも馬鹿の一つ覚えのように、インフラ投資のみで経済成長をしようとするなら、それは全く無理です。

この体制が変わらない限り、中国はこれから100年たっても、経済は停滞し続けるでしょう。今の体制のままで、中国がさらに経済発展を続け、いずれアメリカなみになるなどの考えは、単なる幻想です。このままだと、個人消費はさらに減り、いくつ先は現体制の崩壊です。中国の外貨準備の大幅な減少は、そうした未来を暗示しています。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年9月10日木曜日

【栃木、茨城大雨・動画あり】動画投稿サイトに被害映像が続々―【私の論評】このような自然災害はこれからも起こる、その備えにネパールで活躍したオスプレイはかなり期待できる(゚д゚)!

【栃木、茨城大雨・動画あり】動画投稿サイトに被害映像が続々

台風18号の影響による大雨は10日、栃木や茨城両県に未曽有の水害を招いた。動画サイトの「ユーチューブ」には住民から生々しい映像が投稿され、被害の甚大さが伝わってくる。





【私の論評】このような自然災害はこれからも起こる、その備えにネパールで活躍したオスプレイはかなり期待できる(゚д゚)!

今回の水害、甚大な被害が出ています。被災されたかは本当にお気の毒です。一日も早い、救援と、復興がなされることを希望します。 今回の水害では、やはり被災者の救助にヘリコプターが大活躍です。ヘリコプターの救助活動の状況を撮影した動画を以下に掲載します。





このような水害などの自然災害時においては、日本では特に災害発生初期にはヘリコプターが大活躍します。震災の時にもそうでした。
しかし、ヘリコプターには欠点もあります。それは、飛行するためにはローターを回して浮力を得ているため、飛行機よりもはるかに燃料を大量に必要とするため、飛行機と比較すると、航続距離や滞空時間が非常に短いということです。
とはいいながら、飛行機の場合は、ヘリコプターのように空中でホバリングすることはできませんし、飛行場もヘリコプターのように狭いところに着陸はできず、長い滑走路を必要とします。
そのため、飛行機は、ヘリコプターのように救援活動には不向きです。このヘリコプターのような能力を持つとともに、航続距離や滞空時間を長くすることができれば、救助活動などにとてつもなく効果を発揮できることになります。
そうして、そのようなものは、もうすでにこの世に存在しています。それがオスプレーです。
さて、オスプレーに関しては、このブログでも何度か掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

ネパール地震救援に普天間基地のオスプレイが出動―【私の論評】オスプレイ導入反対の中国スパイの皆様に悲報!なぜ中国が嫌がるかが明々白々に(゚д゚)!
アメリカ国際開発庁 (USAID)より、カトマンズに到着したオスプレイ
この記事は、今年の5月のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より災害時の救援活動などにオスプレーが優れている点を示すことがのみ、ピックアップして以下に掲載させていただきます。
ネパール地震救援の為に、普天間基地に所属するアメリカ海兵隊の垂直離着陸機MV-22オスプレイが出動しました。オスプレイは艦船や大型輸送機に搭載されずに、沖縄から自力で飛行してネパールまで到着しています。第一陣の4機は日曜日に現地に到着しています。 
ネパールの国際空港には各国から救援隊の航空機が殺到し処理能力を超えたために、近隣のインドに引き返す事例が多発しています。そのような場合でもオスプレイならば自力で長距離を飛行し、尚且つもしも空港が過密状態であったとしても付近の空き地に降りる事が可能です。

ネパールのような山岳地帯はもともと道路事情が悪い上に、地震で道路が寸断されて救援物資が届けられないため、救援にはヘリコプターを用いなければなりません。ヘリコプターは幾らあっても足りない状態です。しかし標高の高い高地で使えるエンジンが大出力のヘリコプターは数が限られる上に、航続距離の短いヘリコプターを現地に集める為には艦船か輸送機で運ぶことになります。ネパールは海から離れている為、大型輸送機に頼ることになりますが、上記の通り空港の処理能力を超えてしまった場合には、空港で大型輸送機から梱包状態のヘリコプターを取り出して組み立てて・・・といった長時間掛かる作業が滞ってしまう事になります。その点についてオスプレイは自力で飛んで行ける上に垂直離着陸できる為に問題となりません。

またオスプレイのチベット山岳地帯での運用に付いて、過去にインド軍が興味を示していたことを航空専門誌フライトグローバルが2012年1月18日に報じています。その当時からオスプレイの長い航続距離と高い巡航高度は、ヘリコプターの展開を阻む広大なチベット山岳地帯で有用となるだろうと見越されていました。そして今、オスプレイのその実力が発揮されようとしています。
オスプレイの航続距離については、どれほどのものなのか、ピンとこない人もいると思います。そのような人向けに、ヘリコプターとオスプレイの航続距離の比較をした図をこの記事に掲載していたので、その図も以下にコピペさせていただきます。


このいくつかある同心円の、一番小さなものが、ヘリコプターの航続距離を示すものです。140kmです。中の大きさの円が、オスプレイの楮距離を示すものです。何と、600kmもあります。そうして、一番大きい円は、空中給油1回の航続距離であり、1100kmです。

この後続距離では、無論一回の空中空輸では、とてもネパールまではいけませんが、空中空輸一回と、数回陸上で空輸すれば、ネパールにも十分行くことができます。ヘリコプターにはできない芸当です。

ヘリコプターの場合は、航続距離が短すぎるので、給油しながらネパールに行くとしたら、数十回給油しなければならなくなると考えられ、とても実用的ではありません。だから、分解して、船に載せて運ぶということになるのでしょうが、それでは、緊急のときには役にはたちません。

この素晴らしい性能を活用して、オスプレイはネパールの震災救援活動でその実力を遺憾なく発揮しました。アメリカ軍のネパール地震被害救援作戦「サハヨギ・ハート(ネパール語で助けの手という意味)」で、海兵隊のMV-22オスプレイは連日出動していました。

オスプレイは到着早々にローターの風圧で建物の屋根を壊してしまいましたが、直ぐに運用方法を見直して慎重に行動し、休みなく連日活動している様子がアメリカ軍の運営するインターネットメディア「DVIDS」に毎日投稿されていました。オスプレイは救援物資やネパール兵の輸送の他に、5月10日にはネパール救援に派遣された日本陸上自衛隊の輸送を行っている事も報じられていました。

とにかく、オスプレイなら、大量の人員や物資を運ぶことができますから、救援活動においては、本日動画で示したような、被災地に取り残された人を吊り上げるような初動の作業には、中型・小型のヘリコプターが活躍することになるでしょうが、その後の物資の運搬や、人の運搬にはかなり威力を発揮することでしょう。

ネパールで救援活動にあたるオスプレイ

 被災地の人々に迅速に物資を届け、救助隊員や怪我人、病人を大量に運ぶこともできます。この特性を活用しない手はありません。 こうすることにより、自然災害に万全の体制を築くことができます。 それに、軍事的な側面からみても、ピンポイントで、本当に的のウィークポイントのところに、ある程度の人数の兵士を迅速に派遣し、制圧することができます。

これは、中国にとっては、本当に脅威に感じるに違いありません。 給油などすれば、沖縄周辺はもとより、中国本土も含めて、かなりの広範な地域に兵士をピンポインで送り込み、制圧できます。だからこそ、中国は、沖縄でオスプレイ反対運動を間接的に支援しているのだと思います。 日本でも、最初はアメリカなどから購入するなどして、自衛隊に配備すべきと思います。いずれ自己開発で、導入できるようにすべきと思います。 私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年9月9日水曜日

大新聞 安保法制反対デモは報じるが世界の賛成の声は報じず―【私の論評】中国のため日本国内で報道統制をする習近平応援メデイアには、もううんざり(゚д゚)!

大新聞 安保法制反対デモは報じるが世界の賛成の声は報じず

表および写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 この国のメディアでは、時として不思議なことが起こる。政府が9月中旬までの法案成立を目指し、参議院で大詰めの審議を迎えている安全保障法案に関する報道だ。8月下旬、安保法案に反対するデモが全国で行われると、一斉にこう報じられた。

 〈安保法案 一斉「NO」〉〈「ウォッチ安保国会」若者発デモ、悩んで学んで〉(ともに朝日新聞8月24日付朝刊)

 〈黙っていたら「戦争法案」採決される 全国一斉デモ 64カ所〉(毎日新聞8月24日付朝刊)

 さらに、各地の地方版でも、〈学生ら安保法案反対訴える〉(朝日新聞同日付、宮城県版) 〈安保法案「9条を壊すな」1100人参加し集会 岐阜〉(毎日新聞同日付、岐阜県版)などと、反対の声が報じられた。

 デモが行われたことは確かにニュースではある。だが、朝日の8月の世論調査では30%、読売調査では31%いるはずの「賛成」派の声は、ほとんど聞こえてこない。

 報道が持つ役割の一つに「権力の監視」があることは論を俟たない。だからといって「反対」の声ばかりが取り上げられ、3人に1人はいるはずの「賛成」の声が黙殺されているのは不可思議だ。普段は「少数派の声」を取り上げるのが得意な朝日が、今回に限ってどうしてそれを無視するのか。

 賛成派がなぜ安保法案を必要と考えているのか、あるいは賛成でも反対でもない人々が法案や国会審議をどう見ているのかをすくい上げ、国民的議論にすることが必要であるはずだ。

 その意味でさらに不可解なのは、新聞各紙が海外の安保法案賛成の声をほとんど伝えていないことである。

 目の前の南シナ海で中国の脅威を肌で感じているフィリピンのアキノ大統領は、6月に参院で演説し、「日本との関係は地域の自由を確保するための最前線にある」「日本は平和維持のため、国際社会に責任を果たす上でより積極的な立場を取っている」と安保法案を評価した。やはり南シナ海で中国の攻勢に晒されているベトナム、マレーシアも、「日本の平和への貢献を歓迎」すると表明している。

 ほかにもアメリカはもちろん、イギリス、フランス、オーストラリアなど先進国各国が安保法案に賛成の立場を示しており、ドイツのメルケル首相は「国際社会の平和に積極的に貢献していこうとする姿勢を100%支持する」とまで述べている。

 5月に開かれた日EU定期首脳協議の共同声明では、〈「積極的平和主義」に示された世界の平和と安全の促進と維持における取組を歓迎し、支持する〉との評価が盛り込まれた。そうした国々をはじめ、世界40か国以上が安保法案や日本が掲げた「積極的平和主義」を支持するとしている。

 アキノ大統領の参院演説についてはさすがに朝日や毎日も報じたが、日本各地の反対デモを逐一報じるように、「世界の賛成の声」を詳細に報じた記事は見当たらない。

 本誌は、憲法を形骸化させる安倍政権の手法には賛成できない。憲法を都合良く解釈し、小手先の法改正で国を守るあり方を変えようする強引な姿勢は、日本の針路を危うくするものだと考える。

 ただ、だからこそ今、日本国内の声とともに、法案に賛成している国はどのような理由で賛成しているのか、そして、日本に期待されている国際的な役割は何なのかを海外の声からすくい上げ、議論の材料にすることが必要なのではないか。それがないまま議論を進めても、いつまでもイデオロギー対立を繰り返すばかりだ。

【私の論評】中国のため日本国内で報道統制をする習近平応援メデイアには、もううんざり(゚д゚)!


最近、参院で審議中の憲法解釈の変更による、集団的自衛権の行使を含む安保法制に関しては、国内でも多くの議論がなされましたが、おおむね国外(とくにASEAN諸国)では「支持」「歓迎」の声が数多く聞かれます。ブログ冒頭の表にはありませんがイギリスでも「支持」が表明されており、一部に懸念する声もあるものの、世界的な安全保障に対する日本への期待は大きいです。

国内の世論調査では、「憲法改正した上で集団的自衛権の一部行使容認すべき」という声がもっとも多く、その気持ちもよく分からなくはありません。でも、今回各国から「支持」の声を引き出せた背景には憲法改正ではなく、解釈の変更によって進められたものだからこそという側面もあることを忘れてはならないはずです。いずれにしても、日本はやっと普通の国になろうとしているというのが海外の多くの見方であり、今後の日本の世界に対する行動がその評価を決めていくことになるでしょう。

以上について、新聞はもとより、テレビなどのメディアもほとんど報道しません。

このような世界情勢をほとんど報道しないメディアによって、現在多くの人々が誤った認識に基づき、安保法制の成立に反対しています。

このことに及ばず、マスコミは安保問題に関しては、明らかに一つの意図にもとづき、報道統制をしています。

マスコミが安保法制に関して重要なことで、ほとんど報道しないことは他にもあります。それは、あげればきりがないほど、多数に及びます。それを全部とりあげていては、膨大なものとなるので、ここでは、安全保障に関するものだけあげます。

これらはこのブログでも過去に掲載してきたことですが、まとめて掲載したことはなのです、簡単に以下にまとめておきます。

憲法9条に関する憲法学における京都学派の見解

まずは、日本では憲法学者のほとんどが、安保法案を違憲としていますが、別の見方もあります。それは憲法学でも、京都学派に属する憲法学者らの見方です。

佐々木惣一氏は憲法第九条の条文そのものに即して以下のように詳述しました。

佐々木惣一氏
憲法によれば、国家は、戦力、武力による威嚇及び武力の行使については国家が国際紛争を解決する手段としてする、というものという標準を設け、かかる戦争、武力による威嚇及び武力の行使を放棄している。 
故に、国際紛争を解決する手段としてではなく、戦争をし、武力による威嚇をし、武力を行使することは、憲法はこれを放棄していない。即ち禁じているのではない。このことは、前示憲法第9条第一項の規定を素直に考究すれば、明瞭である。 
同条項によりて、国家は、戦争、武力による威嚇及び武力の行使の三者を放棄する。換言すれば、してはならぬ、と定めている。が、併し、これらの行動を全般的に放棄しているのではなく、その行動を、国際紛争を解決する手段として、することを放棄する、のである。 
故に、国際紛争を、解決する手段以外の手段として、戦争することは、憲法により禁ぜられているのではない。国際紛争を解決する手段以外の手段として、戦争をする、という場合としては、例えば、わが国が突如他国の侵略を受けることがあって、わが国を防衛するために、その他国に武力を以て対抗して、戦争をするが如きは、明らかにこれに属する。(略)故に、いわゆる自衛戦争は憲法の禁ずるところではない。(佐々木惣一『憲法論文選(三)』)
この見解は、現在全く顧みられることもなく、そうしてマスコミもほとんど報道しません。

憲法解釈による集団的自衛権の行使に関する誤解

さて、次には、メディアでは、「戦後一貫した憲法解釈を守ってきた内閣法制局」と「それを変えようとしている安倍内閣」との構図で報道されています。しかし、これはそもそも大嘘です。

それどころか、岸信介・池田勇人内閣では核武装まで容認し、集団的自衛権の行使など自明でした。そもそも、日米安保条約など、集団的自衛権を行使するための条約であるという理解が当たり前でした。

そうして、現実には、日本はアメリカの基地を日本に置くということで、集団的自衛権を行使しています。アメリカ軍の基地を日本国内に設置することそのものが、すでに集団的自衛権の行使であることを日本のマスコミはほんど報道しません。

日本に米軍基地が存在すことそのものが、集団的自衛権の行使である
朝鮮戦争勃発から池田内閣までの解釈をすべてひっくり返したのは佐藤栄作内閣の高辻正己法制局長官です。法制局がのたまう「戦後一貫した憲法解釈」など、せいぜい佐藤内閣・高辻長官以来の話にほかなりません。

佐藤栄作政権期に境に集団的自衛権の解釈は明らかに変わっています。佐藤内閣以前の「(集団的自衛権を)持っているから行使できる(あるいはその都度考慮する)」から、「持っているが行使はできない」への変化が始まりました。

この時代には、ベトナム戦争がありました。日本に集団的自衛権はあるが、米国のために他国に自衛隊を派兵することはできないということで、社会党との国会運営をめぐる調整で、佐藤政権が妥協したためこのような妥協が行われました。

集団的自衛権の行使ができないなどという見解は、単なる妥協の産物に過ぎないのですが、今のマスコミはまるで日本が終戦直後から集団的自衛権に関しては、「日本は行使できない」という考え方を貫き通してきたような報道ぶりで、これを正しく伝えません。

そのため、日本では多くの人々が、憲法解釈による集団的自衛権の行使に関して正しい認識を持っていません。

さらにまだあります。

安倍総理の「アジアの安全保障のダイヤモンド」

それは、安倍総理の独自の構想である、「アジアの安全保障のダイヤモンド」です。これについてもほとんど報道されていません。これについては、このブログでも何度か掲載したことがあります。その中の一つのリンクを以下に掲載します。
安倍首相の「安保ダイヤモンド構想」、対中抑止へ完成間近-【私の論評】鳩山の構想は報道しても、安部総理の構想は一切報道しない日本のマスコミの存在意義を問う(゚д゚)!
昨年会談した安倍晋三首相とインドのモディ首相
安倍総理は、民主党からの政権交代により、自民党政権が成立する直前の衆院選挙後に、この構想を海外のサイトに海洋安全保障強化を図るための、日本とハワイ(米国)、オーストラリア、インドの4カ所をひし形に結ぶ「安全保障ダイヤモンド構想」を提唱していました。

安倍総理は、この構想を発表するだけではなく、政権発足後から、外遊をかさねて、各国のリーダーたちに対して、この構想を実現するための努力を継続してきました。

このような外交の努力があったからこそ、このブログの冒頭に掲載されているように、安倍政権による安保法案が、海外から高い評価を得ているのです。もし、この構想や安倍総理の外交がなければ、このような高評価を得ることはできなかったでしょう。

憲法解釈の変更による、集団的自衛権の行使を含む、安全保障法制の成立は、「アジアの安全保障のダイヤモンド」の実行を担保するものでもあるのです。

国連憲章と、他国憲法等に関して

マスコミが報道しないことは、まだあります。それは、国連憲章の第51条にはすべての国が、自国
を防衛する手段として、自然権としての集団・個別の両方を含む自衛権を行使できる旨の条文が定められています。

さらに、他国の憲法では、集団的自衛権に関しては、あまりのも当然の権利であり、それをわざわざ憲法の条文にしていない国々が多いです。

ドイツの集団的自衛権について

集団的自衛権とは、同盟に属するほかの国が攻撃された場合、自国が攻撃されたことと同等にみなして、他国を防衛するために戦う権利です。

例えば、ドイツが加盟している北大西洋条約機構(NATO)は、典型的な集団的自衛組織です。もしポーランドが外国から攻撃された場合、ドイツはほかのNATO加盟国とともに、ポーランドを防衛するために戦う義務を負います。その代わり、ドイツが他国に攻撃された場合は他国の防衛援助を受けられます。

ドイツ連邦軍のヴィーゼル空挺戦闘車
このようにしておけば、ポーランドも、ドイツもロシアなどから攻撃される確率はかなり低くなります。もし、ロシアがポーランドを攻撃しようと企てたとして、実際に攻撃をはじめれば、ロシアがポーランドのみを攻撃するつもりであっても、これはNATOに属する国々全部を相手にすることになるわけですから、余程のことがない限りこのような冒険はしません。だから、戦争の抑止になるのてす。

このように集団的自衛権とは、元々は、戦争を抑止するためのものです。現在世界では、過去のように、ロシア(当時はソ連)がポーランドを攻撃するようなことは考えられませんが、さりとて、そのような状況が未来永劫にわたって続くとは限らないので、抑止力としての集団的自衛権を行使することが安全という考えかたです。

それから、ドイツは個別的自衛権を認められていません。ドイツには、ドイツ独自の軍隊であるドイツ連邦軍もありますが、基本的にはNATOの指揮下でしか動けません。 そのた、個別的自衛権行使出来ません。

これは、根底には、個別的自衛権の方危険だという考えがあります。個別的自衛権の行使は、当外国の判断だけで、実施することができるので、戦争になりやすいという理屈です。

集団的自衛権の場合は、周りの同盟国が、ある国が戦争をしようとしたとしても、それが同盟国の利益に相反する場合など、戦争を思いとどまらせるという行動に出ることが、考えられますから、集団的自衛権のほうが安全という理屈で、ドイツは個別的自衛権を行使しないようにしているのです。 

以上全部で6つの論点は、日本の安全保障を考える上で、不可欠であり必ず理解しておくべき事柄です。これらの、論点を知らなければ、まともに議論することはできません。

この重要な論点をマスコミはほとんど報道しません。これでは、多くの国民がまともに安全保障を語ることができないのが当たり前です。

そうして、マスコミにだけにおよばず、多く野党もこの論点を欠いています。そのため、国会の審議もまったく見当外れの不毛な時間の無駄遣いになっています。

このような重要な論点を全く報道しないということは、ある意味報道統制と同じです。これは、一体どこの国のための報道統制でしょうか。

とう考えても、日本国民や、日本政府のための報道統制とはいえないです。これは、安保法制が成立しなかった場合誰が一番得をするかを考えてみれば、すぐに理解できます。

一番、得するのは、中国です。そうして、このブログにも過去に掲載してきたように、中国は現在権力闘争のまっただ中です。習近平は苦しい立場に追い込まれています。中国の現体制は崩壊する可能性もあります。

そんな最中に、日本で安保法制が成立しなかった場合、中国はますます南シナ海や、東シナ海で暴虐の限りを尽くすことが簡単になります。そうなると、習近平にとっては、願ったりかなったりです。海外に対して、強く出て、中国の権益を増加させ、国内でも地盤を強化できます。

日本のメディアは、習近平応援メディア
何のことはない、結局日本のマスコミは、習近平応援のため、日本国内で情報統制をしているのです。その情報統制により、重要な論点を知らず、今回の安保法制を「戦争法案」として反対しデモをする人だちは、習近平応援デモをしているだけです。

こんなマスコミもういりません。本当に、ほとほと愛想が尽きました。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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