2015年10月16日金曜日

「隙間風」吹く米韓、朴大統領が国防総省へ初訪問 「強固な関係」演出に腐心―【私の論評】最早韓国の役割は日米にとって、単なる対中国・北朝鮮の防波堤くらいのものでしかない(゚д゚)!


米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙飛行センターを訪問した
韓国の朴槿恵大統領(左)=14日、米メリーランド州
訪米中の韓国の朴(パク)槿恵(クネ)大統領と米政府は、「高高度防衛ミサイル」(THAAD)の配備問題などをめぐり、“隙間風”が吹く米韓関係の強固さを演出することに傾注している。

朴大統領は15日、国防総省での歓迎式典に臨み、同行している韓民求国防相はカーター国防長官と会談。朴大統領の国防総省訪問は初めてで、それ自体に米韓同盟の強固さを印象づける狙いがうかがえる。

カーター国防長官(左)と朴槿恵
 THAADについてラッセル国務次官補は14日の記者会見で、16日の首脳会談で「取り上げられる可能性は低い」と述べた。国防相会談では協議されるとみられるが、配備に反対する中国の圧力を受ける韓国側の立場に配慮し、内容が公表されない可能性もある。

 朴大統領が9月、中国で行われた軍事パレードに出席したことに先立ち、米政府は出席を見合わせるよう働きかけた経緯がある。だが、14日の記者会見に同席したリッパート駐韓米大使は「中国との建設的な関係を構築することは、共通の利益だ」と配慮を見せた。

一方で、ラッセル次官補は「日韓の協力は米国にとり戦略的な優先事項だ」と語り、首脳会談でオバマ大統領が日本との関係改善を改めて促すと説明した。

朴大統領は14日、ワシントンの朝鮮戦争戦没者慰霊碑を訪れ、ケリー国務長官らが顔をそろえた米韓友好のイベントでは、同盟のさらなる発展を強調した。

また、メリーランド州にある米航空宇宙局(NASA)のゴダード宇宙飛行センターでは、米韓の協力を、宇宙開発などの「ニューフロンティア」(新天地)に拡大させたいと表明した。

その一環で首脳会談では、北朝鮮によるハッカー攻撃への対処を主眼に、サイバー・セキュリティー分野での協力も合意される。

【私の論評】最早韓国の役割は日米にとって、単なる対中国・北朝鮮用の防波堤くらいのものでしかない(゚д゚)!

米国側からすれば、朴槿恵は数年前から、中国に接近をはかり、さらに米国をはじめほとんどの欧米諸国が参加をみあわせた9月の中国における中国の対日戦勝70年軍事パレードにも出席したということで、今更何をしにやってきやがったというのが正直な感想だと思います。

これに呼応するように、ブログ冒頭の記事に掲載されている以外にも、朴槿恵の訪問に関して厳しい対応の数々がありました。

まずは、ベトナム戦争時における韓国軍によるベトナム人女性に対する性的暴行に関するものです。これに関しては、産経新聞の他の記事で以下の様な記事が掲載されていました。
【朴槿恵大統領訪米】ベトナム戦争時に韓国軍兵士から性的暴行 被害女性らが朴大統領に謝罪求める
 在米ベトナム人の団体が15日、ワシントンで記者会見し、ベトナム戦争当時、韓国軍兵士から性的暴行を受けたというベトナム人女性らが、訪米中の朴槿恵(パク・クネ)大統領に謝罪を求めた。記者会見にはベトナム人女性4人が、テレビ電話で参加した。 
 このうち66歳の女性は、「薪を集めていたときに兵士に襲われた。その後妊娠し1970年に出産した。働くこともできず、子供に教育を受けさせることもできなかった」と訴えた。 
 また、60歳の女性は「家族でお茶やバナナなどを売る店を営んでいた。韓国兵士が来て母親が暴行され妊娠し、69年に男の子を産んだ。その後、私も暴行を受け71年に息子を出産した」と証言した。 
 被害者を支援するノーム・コールマン元上院議員は被害者の数を「数千人」と見積もり、このうち生存しているのは「約800人」だと説明している。 
 団体と被害者の女性らは朴大統領の訪米の機会をとらえ声を上げたもので、15日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルに、被害者に対する公式な謝罪を朴大統領に求める広告も掲載した。
韓国軍は、女性に対する性的暴行に及ばずベトナム各地で虐殺事件もおこしています。それに関する図を以下に掲載します。

クリックすると拡大します

中国との関係を強化し、日本には反日を繰り返す浅ましい韓国は、さすがに米国にみはなされつつあるようです。朴槿恵をはじめ、過去に韓国の大統領は何度もアメリカを訪れていましたが、今回のようにベトナム系住民が大統領に謝罪を求めるなどのことははじめてのことだと思います。

ベトナム系アメリカ市民は、機会を狙っていたのだと思います。かつての韓国が反共の防波堤を自認して、朝鮮戦争を戦い、さらにベトナムにも派兵していたときには、この問題もアメリカではあまり大きな扱いを受けませんでした。

しかし、韓国が1990年代より、組織的な反日活動に突っ走り、それだけではなく、最近で中国に急接近したこの時期は、まさにこのような問題を訴えるのに時宜を得ていたのだと思います。

その他にも、韓国に対する冷たい仕打ちがありました。それは、米、戦闘機技術の韓国への提供拒否です。

これも、産経新聞に掲載されていましたので、その記事を引用します。
米、戦闘機技術の提供拒否 韓国に通告 国防相会談
F35
 韓国が独自開発中の戦闘機(KFX)に必要な先端技術について、韓国に提供を求められた米国が国防上の理由から拒んでいる。15日にワシントンで韓国の韓民求国防相がカーター米国防長官と会談し、あらためて協力を要請したがカーター氏は「難しい」と応じず、開発のつまずきが確実になった。韓国国防省が明らかにした。 
 米国防総省は15日、訪米中の朴槿恵大統領の訪問を栄誉パレードで歓迎し米韓同盟が強固だとアピールしたが、朴氏に同行した韓氏の求めは聞き入れなかった。 
 韓国は2014年9月に次期主力戦闘機としてロッキード・マーチンからF35を約7兆3千億ウォン(約7700億円)で40機購入する契約を交わした。その際、KFX開発に必要な25の技術の提供を韓国が受ける約束をしたとされる。

しかしことし4月、米政府が、従来のレーダーより広範囲、遠距離の標的探知が可能なレーダーなど四つの技術の提供を許可しない決定を出した。

米国がこのような対応をするのは、当たり前ですね。中国と接近している韓国です。韓国に戦闘機技術を提供すれば、韓国経由でその技術が中国に移転されてしまうことなど十分に考えられます。 ブログ冒頭の記事にあった、「高高度防衛ミサイル」(THAAD)だって同じことです。これを韓国に配備すれば、それこそ、中国にコピーされかねません。

朴槿恵は、韓国が中国と接近することの意味をわかっているのでしょうか。そんなことは理解してはいないようです。

ブログ冒頭の記事で、ラッセル次官補は「日韓の協力は米国にとり戦略的な優先事項だ」と語っていることが掲載されていました。これは、わかりやすくいえば、「いい加減、『告げ口外交』や『反日政策』はヤメロ。日本と仲良くしろ!」ということでしょうしかし、「反日」をライフワークとする朴氏は、米国の忠告に素直に従うことはないでしょう。

ラッセル次官補

日米としては、このやっかいな韓国は、単なる防波堤くらいに考えて、そうして中国・北朝鮮との緩衝地帯になればそれで良いと考えるべきと思います。

韓国への援助などは、一切断ち切るものとして、ただし防波堤の役割がありますから、防波堤が崩れた場合には、それを修理するだけであとは何もしないというのが最も良いやり方だと思います。防波堤は、韓国という国でも、韓国人でもありません、中国と北朝鮮が発する大きな波を最初に受けて立ち、日米への影響を少なくする防波堤であり、それ以上でもそれ以下でもありません。

日中韓の首脳会談が、開催されるかもしれませんが、安部総理は米国と変わらず、中韓に対しては冷たい態度でのぞみ、つけいる隙を全く与えないという姿勢で望むべきです。中国は日本にとって仮想敵国ですし、韓国はその仮想敵国に接近する国であり、日本にとっては防波堤以上の役割のない国です。

私は、そう思います。みなさんは、どう思われますか。

【関連記事】

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2015年10月15日木曜日

翁長氏、国連で「民族自決権」の危険極まる言動 H・S・ストークス氏緊急激白―【私の論評】翁長、中国におもねってどうする!馬鹿の一つ覚えしかできない中国に未来はない(゚∀゚)


翁長知事は、辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した=13日

沖縄県の翁長雄志知事は13日、米軍普天間飛行場の移設先である名護市辺野古沖の埋め立て承認を取り消した。防衛省沖縄防衛局はこれを不服として、14日中にも行政不服審査法に基づく審査請求と効力停止を石井啓一国交相に申し立てる方針。政府と沖縄県が「全面対決」するなか、翁長氏の危険極まる言動について、米紙ニューヨーク・タイムズや、英紙フィナンシャル・タイムズの東京支局長を歴任した、英国人ジャーナリスト、ヘンリー・S・ストークス氏が緊急激白した。

翁長氏がついに、辺野古沖の埋め立て承認を取り消した。

菅義偉官房長官は13日、「(仲井真弘多)前知事から行政の判断は示されており、法的瑕疵はない」と記者会見で語っていたが、まったく同感だ。翁長氏は完全に一線を越えてしまった。

これまで何度も指摘してきたが、辺野古移設は「世界一危険」といわれる普天間飛行場の危険性を除去しながら、沖縄の基地負担を軽減し、日米同盟の抑止力を維持する「唯一の策」だ。中国は1990年代以降、国防費を毎年10%前後増加させ、沖縄・尖閣諸島周辺に艦船を連日侵入させている。沖縄本島への領土的野心もあらわにしている。

翁長氏は、沖縄の地政学的重要性も考えて判断すべきだが、聞く耳を持たなかった。安全保障に対する意識が欠落しているのか、何らかの意図や背景があって目を閉ざしているかの、どちらかだろう。

こうしたなか、翁長氏の看過できない、恐ろしい発言を知った。

翁長氏は先月21日午後(日本時間22日未明)、スイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会で、辺野古移設に反対する演説を行った。日本の新聞は、翁長氏の「沖縄の自己決定権がないがしろにされている」という発言を報じていたが、正確には「自己決定権」という部分で「self-determination」という英語を使ったのだ。

この英語は、国際法上の権利用語であり、正確には「民族自決権」と訳し、「植民地や従属地域からの分離、独立」を意味する。つまり、翁長氏は国連で「沖縄県民は独立民族だ」「沖縄は植民地」「沖縄には日本から独立する権利がある」と宣言したようなものだ。

歴史的に、民族自決権を求める戦いは「武装蜂起」や「大量虐殺」など、悲惨な結果をもたらしてきた。コソボ、セルビア、ボスニア、ソマリア…。翁長氏はどういう意図で「民族自決権」という言葉を使ったのか。知恵をつけた人物や組織があるのか。沖縄が大混乱して喜ぶ国はどこか。

このような妄言を振りかざすリーダーを持つとは、沖縄の将来は暗澹(あんたん)たるものと言わざるを得ない。沖縄に迫る危険性について、日本国民、特に沖縄県民は深刻に受け止めるべきだ。
【私の論評】翁長、中国におもねってどうする!馬鹿の一つ覚えしかできない中国に未来はないぞ(゚д゚)!

 H.S.ストークス氏
翁長が国連の人権委員会でとんでもないことを語ったことはこのブログにも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「沖縄で人権侵害ない」「知事は尖閣狙う中国の脅威を無視」 国連人権理で辺野古賛成派が反論―【私の論評】完璧に習近平の走狗に成り果てた愚か者翁長(゚д゚)!
22日、スイス・ジュネーブ人権理事会で演説する名護市民の我那覇真子さん
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、翁長が人権委員会において、沖縄で人権侵害が行われていると訴えたのに対して、名護市民の我那覇真子さんがその反対の演説を行ったことを掲載しました。

この記事の結論部分のみを以下に引用します。
習政権を後ろ盾とする翁長知事が独立をチラつかせ、基地の移設だけではなく、尖閣問題に異論を唱えだす可能性も高いです。本年4月5日に普天間移設工事の対立を危惧した菅義偉官房長官が初会談に及びましたが、この裏テーマは沖縄県が中国の傘下とならないよう、翁長知事の腹を探るためでもあったと考えられます。 
それにしても、翁長は、沖縄で人権侵害しているなどと訴えるなら、その前にまずは、中国における、酷い人権侵害を訴えるべきです 
沖縄に人権侵害などありません。中国こそ、民主化、政治と経済の分離、法治国家化もなされておらず、酷い人権侵害が横行しています。先日も、人権派弁護士が大量に拘束されたばかりです。 
以上のようなことを考えると、翁長は完璧に習近平の走狗に成り果てた大馬鹿者であるということができると思います。 
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
さて、ストークス氏はブログ冒頭の記事で、翁長氏が国連の人権委員会で民族自決という言葉遣ったことについて、「歴史的に、民族自決権を求める戦いは「武装蜂起」や「大量虐殺」など、悲惨な結果をもたらしてきた。コソボ、セルビア、ボスニア、ソマリア…。翁長氏はどういう意図で「民族自決権」という言葉を使ったのか。知恵をつけた人物や組織があるのか。沖縄が大混乱して喜ぶ国はどこか」と述べています。

しかし、様々な状況証拠からして、知恵をつけた人物は中国のいずれかの高官であり、沖縄が大混乱して喜ぶ国は中国以外にあり得ません。

翁長が沖縄におもねっているのは、明々白々です。

そうして、翁長をはじめとする、沖縄民族自決派には、はっきり断言したいことがあります。

まずは、現在琉球列島に住む人々のDNAの遺伝系統は台湾や大陸の人々とのつながりはなく、「日本本土」により近いということです。

この事実は、あの反日新聞「琉球新報」の記事に掲載されていたものです。
 琉球大学大学院医学研究科の佐藤丈寛博士研究員、木村亮介准教授、北里大学、統計数理研究所の共同研究チームが、現在の琉球列島に住む人々の核ゲノムDNAを解析した結果、遺伝的に琉球列島の人々は台湾や大陸の人々とつながりがなく、日本本土により近いという研究成果を発表した。
 琉球大学が16日、発表した。また、沖縄本島から宮古、八重山諸島へ人々が移住した時期をコンピューターで計算した結果、古くても1万年前以降と推定。宮古のピンザアブ洞穴人(2万6千年前)や石垣の白保竿根田原(さおねたばる)洞穴人(2万年前)は、現代の宮古、八重山の人々の主要な祖先ではないと結論付けた。 
 これまで、骨や一部DNAの分析から、琉球列島の人々は中国や台湾より日本本土の人々と近いとする研究成果が発表されてきたが、今回、初めて全ゲノムを網羅した解析によって同様の結果が導かれた。今後の琉球列島の人々の起源を探る研究の一助として注目されそうだ。 
 研究チームは、現在の沖縄、宮古、八重山諸島出身者数百人からDNAを採取し、ヒトゲノム全域に分布する60万個の単一塩基多型(SNP)を解析した。その結果、琉球列島の人々と台湾先住民は別系統の集団で、地理的に近接する八重山諸島の人々も台湾先住民との間に直接の遺伝的つながりがないと結論付けた。 
 港川人についても同チームは「琉球列島の人々と漢族が分岐した年代が縄文時代以降であると推定されたことから、沖縄諸島の人々の主要な祖先ではない可能性が高いと思われる」と推測し、今後さらなる精査が必要としている。 
<用語>ゲノム
親と似た性質を子に伝える「遺伝」という仕組みの元になる情報のこと。細胞の核の中に、2本一組の鎖状のDNAという分子があり、鎖には塩基という物質が並んでいる。塩基はアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類で、その並び順(配列)が遺伝情報になる。配列に従って約10万種類のタンパク質や酵素がつくられ、体を形作る約60兆個の細胞の材料になったり、体の働きを制御したりする。
もともと、血縁関係も何もない、中国などに翁長などの沖縄独立派が、おもねること自体が何の根拠もないことになります。 また、系統的にも日本の本土に近いということから、沖縄が中国などの領土である必然性など全くありません。

次に言っておきたいことは、もう現中国の体制は崩壊寸前にあることです。それは、昨日このブログに掲載したばかりです。

詳細は、昨日のブログに掲載したので、それを読んでいただくものとして、かいつまんでいうと、中国のGDPに占める個人消費の割合は、現状では35%程度に過ぎないというとんでもない事実から中国の現体制の崩壊は近いうちに必ずおこるというというものです。

下のグラフをご覧ください。1998年から2011年というと、日本は酷いデフレでモノが売れず、格差がひどくなったとされています。


ところが、この期間の中国は、GDPが伸びていたにもかかわらず、個人消費は横ばいどころか、下がっています。

2010年には、中国のGDPは日本を追い抜いて世界第二位になったとされていますが、それでも上のグラフで見てわかるように、個人消費は35%前後の推移でした。

これは、何を意味するかといえば、中国のGDPのほとんどは、多額の資金を投入して、インフラ投資を行った結果であるということです。要するに、鉄道、道路、港、電気、下水道、空港などの大規模工事を行った結果であるということです。

そうして、このような工事が行われても、個人消費はほとんど伸びないというとんでもない結果に終わっており、これは何を意味するかといえば、インフラ整備を当面することがなくなれば、中国のGDPは現在の35%の個人消費の水準近くまで落ち込むということです。

そうして、最終的には、個人消費の実数は変わらないどころかさらに下がり、GDPがおちこみ、そのことによって中国の個人消費は現状の35%から、60%前後にまで増えることになるでしょう。その頃には、中国のGDPは現状の半分程度にまで落ちこむかもしれません。

そうして、日本は上のグラフでみてもわかるとおり、デフレの間であっても、個人消費が60%近くあったということを考えてみれば、これからの中国がとんでもないことになることは良く理解できます。

中国で、大規模インフラ投資が一巡したあとには、とんでもなくGDPが落ち込むことになります。

日本や欧米などでは、終戦直後から20年から30年で大規模なインフラ投資を終えていましたが、個人使用費が大きく、インフラ整備も全くなくなるというわけではないので、その後GDPが極端に落ち込むということはありませんでした。ただし、日本は例外的に、日本銀行の金融政策の大失敗でしばらくの間酷いデフレが続きましたが、それでも、個人消費は60%近くありました。

今後中国の景気がインフラ工事がなくなる分落ち込みますが、個人消費がもともと35%しかないので、日本よりもさらにかなり酷いことになりそうです。

これに対する処方箋は、昨日の記事にも掲載したように、民主化、政治と経済の分離、法治国家化をある程度すすめて、中間層を育成し、この層の社会・経済活動を活発化させることです。

しかし、習近平をはじめとする中国の共産党政府の幹部はあまりに頭が悪すぎて、このことが全く理解できておらず、経済発展というと、インフラ投資しか思い浮かばないようです。

中国の馬鹿の一つ覚えの象徴、誰もすまない住宅街を中国では鬼城と呼ぶ

そうなると、中国のGDPはいずれ、現状の半分以下になることも予想されます。そうなると、今までは儲けさせてくれた、中国共産党政府に対して忠実であった富裕層も離反することになります。そうなると、現在の体制の崩壊ということになります。さらに、中国自体が分裂するということも十分に考えらます。

こんなことは、中国の高級官僚も十分承知しているようです。中国の将来に失望した彼らは、妻子を欧米に移住させて、移住先に中国でせっせとためこんだお金を送金して、いつの日か自らも妻子の移住先に逃亡しようと企てています。こういう官僚を中国では久しく以前から、裸官と呼んでいます。実際にそうした者も多数存在します。

そんな中国におもねる、翁長などの沖縄独立派は、何といえば良いのか・・・・。はっきりいえば、時代錯誤の守旧派というところです。中国はこれからまだまだ発展するという、昔の幻想に取り憑かれたままです。まあ、一言でいえば、まともな経済対策すら覚束ない中国の馬鹿で頭が硬直した幹部と同じ、頭なしというところだと思います。

翁長などの沖縄独立派が、中国におもねったにしても、その中国は近いうちに、この地上から消え去るかもしれません。そんなときに、沖縄の最大の問題は、中国人の移民問題になるかもしれません。そんなことも翁長は、考えられないほど、頭が硬直しているのだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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余命半年の中国経済 これから中国はどうなるのか
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2015年10月14日水曜日

経済効果だけじゃない…中国人「爆買いツアー」の光と闇―【私の論評】中国爆買いツアーの終焉を、予感させる二つの厳然たる事実(゚д゚)!

経済効果だけじゃない…中国人「爆買いツアー」の光と闇
いろいろと話題になっている中国人による「爆買い」。しかし、お金を使ってくれるだけではなく、問題も表面化してきた。

■日本のいろいろな場所で中国人観光客による「爆買い」が話題になっている


15年に日本を訪れる外国人旅行者数は過去最高の1800万人前後になる見通し。日本全国の観光地の土産物店などで特に目立つのが中国人の姿だ。今年1~5月に中国から日本を訪れた人の数は171万人あまりと国・地域別では最も多い。

■だが、いろいろと問題も起こってきた

・通訳の資格を持たない「闇ガイド」の存在


中国人観光客による爆買いの裏で、資格を持たない“闇ガイド”が暗躍しています。その手口は、高額の商品を売りつける、いわゆる「ぼったくり」である。免税店等と手を組んで、お客さんに買い物をさせて、とんでもないバックチャージを得ている。

中国人の爆買いツアーの一番のボリューム層は、やはり廉価なツアー団体客だ。彼らの最大の目的は買い物だが、彼らがカネを落としていく先は、日本人の店ではなく、中国系の店が大半を占めている。“爆買い”で儲かっているのは、実は中国人なのだ。

そんなこともあってか、最近中国のネット上には、爆買いツアー参加者から続々と不満の声が上がっている。
「日本への団体旅行に注意」
「ガイドが人をだましている」(中国のインターネットサイトへの書き込み)

元闇ガイドの声によると、たとえば酵素がぼったくり商法のツールになっている。最近の中国人は、健康志向が強く、日本のいわゆる酵素食品は飛ぶように売れる。このガイドによれば、ある酵素のパッケージの売り上げが11万1000円で、そのバックマージンが3万6000円にも登るという。

高額な酵素健康食品のリベート率は、なんと3割。観光客に爆買いさせればさせるほど、ガイドも儲かる

・売上は上がったが…成田空港を悩ませる意外な問題



旅行で成田空港を訪れた中国人が出発直前まで免税店で大量の土産を購入する「爆買い」で、航空機の出発に遅れが出ている。航空会社の定める機内持ち込みの制限を超えてしまい、貨物室に預ける手荷物に変更、積み直しに時間がかかるためだ。

このために成田空港には7月に入ってから乗客に携帯品の数量を制限する警告文が登場した。ただ、爆買いは空港経営の追い風になっている。成田国際空港会社(NAA)の二〇一五年三月期連結決算では、免税店など小売事業の営業収益は伸びを見せ、全体の約33%を占めた。

客の買い物を禁止するわけにもいかず、同社幹部は「早めに搭乗ゲートに来てくれればいいのだが…」と漏らした。

・「観光マナー」も問題になっている


目につくのが、彼らのマナーの悪さだ。銀座のテイクアウト専門のスイーツ店でケーキを買い、その場で包みを開いて食べ始めた中国人を注意すると、「このくらいは普通だ」と逆ギレされたという。「買い物をしてもらえるのはうれしいのですが、高級な商品を乱暴に扱われるのはちょっと…」困り顔でこう話したのは、心斎橋筋商店街の中で時計やアクセサリーを販売する貴金属店の女性従業員。

「行列に割り込みをした、していないの小競り合いはしょっちゅう。中国の人同士で口げんかしていることもあった」中には「真っ昼間に路地で立ち小便をする姿を見た」という声も聞かれた。

■ただ、やはり大金を使ってくれるので助かっている面も多い
・赤字の代名詞のように言われてきた「静岡空港」が息を吹き返している


7月末時点で就航する国際線は13路線週47便と1年前の3路線週13便から大幅に増えた。飛行機が到着するたびに空港ロビーは中国人客らであふれる

日中間の協定で、混雑している羽田空港や成田空港を除くと、中国の航空会社は自由に航空路線を開くことができる。地方空港の失敗例とも言われてきた静岡空港は息を吹き返した。

・日本人観光客が少ない地方都市に「爆買い」ツアーで来る例もあり、経済への影響は少なくない。


中国の爆買いツアーは人数といい金額といい桁違い中国人観光客1人あたりの消費額は、外国人平均を8万円上回る約23万円。世界最大級のクルーズ船「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」(乗客定員4905人、16万7800総トン)が7月2日、鳥取・境港に寄港た。

彼らが訪れた施設で、特に「爆買い」が際立ったのが、鳥取県唯一の村で人口3450人の日吉津村(ひえづそん)。商業施設「イオンモール日吉津」には、村の人口を超える約4000人がバスで“来襲”

中国人に人気の化粧品や医薬品の仕入れを増やし、何とか常連客に迷惑がかからないようにしたという。

地元への経済効果は4000万~2億円に上る。地方の港の多くがクルーズ船の誘致に必死になるのは、ある意味で当然といえる

■中国の景気に頼るのはどうか?という意見も出ている


中国人観光の爆買いバブル、原因は中国株バブルだった、ということで、中国株バブルの崩壊とともに泡と消える可能性が大きい。

中国の株式市場は信用取引の比率が高く、株価が一旦下がり始めると、一気に逆回転が始まるリスクがある。そして海外市場から切り離されているとは言え、実は観光客の買い物を通じて、間接的に日本経済と繋がっている中国株。

中国観光客依存には怖いところがある。日中関係が改善に向かうかと思われるいまの段階では、中国政府も奨励する形で観光客が送り出されているものの、たとえば日中関係の急激な悪化など何らかの新しい状況の変化があれば、中国政府が水道の蛇口を締めるかのようにその流れを止めてしまうことも可能だ。

【私の論評】中国爆買いツアーの終焉を、予感させる二つの厳然たる事実(゚д゚)!

中国人の爆買いについて、上の記事ではあまりその本質に迫っていませんでした。中国の経済は破綻の一歩手前にあることは、このブログでも何度か掲載してきたことです。株価は下がり、不動産バブルも崩壊し、実体経済に至っては、中国の統計が出鱈目であることもあって、7%を維持しているなどと公表されているものの、実体はマイナス成長の可能性もあることをこのブログにも掲載したことがあります。

にもかかわらず、爆買がさらに増える勢いにあるというのはどういうことなのでしょうか。これには、一つには私が、ジュリアナ東京シンドロームと呼んでいる現象が深く作用していると思います。
「中国は虚偽報道が多すぎる」、中国記者協会幹部が苦言―SP華字紙―【私の論評】中国虚偽報道は建国以来のものであり、最近はじまったことではない!!
この記事は、2011年1月28日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にジュリアナ東京シンドロームについて引用します。
中国幻想にとりつかれている人たちは、日本のバブル崩壊を真摯に振り返ってほしいです。現実に日本で、バブル崩壊が始まったのは、1990年です。
ジュリアナ東京2008
あのバブルの申し子といわれる、ジュリアナ東京は、バブル景気崩壊直後の1991年5月15日に総合商社・日商岩井(当時)とイギリスのレジャー企業・ウェンブリーの共同出資により設立されました。正式名称は「JULIANA'S TOKYO British discotheque in 芝浦」。芝浦1丁目の「第三東運ビル」の1階と2階の吹き抜けを使用し、総面積は1200m²で、最大3,000人以上を収容できる規模でした。上の写真は、2008年に一日限りの復活ということで催されたときの、イベンとの模様です。
この施設ができたときのことは、はっきり覚えています。当時、バブルの崩壊を数字的には把握していた私は、かなりの違和感を覚えたものでしたが、世の中そんなものです。このあたりでは、その後失われた20年が待っていることなど予期できた人はほとんどいなかったでしょう。一時景気が悪くなっても、半年、1年で元に戻るくらいの感覚でいた人が多かったと思います。

日本では、こうした感覚の問題でしたが、中国では違うかもしれません。まさに、官製による好景気バーチャルワールドが展開されていて、本当はすでに数年前に、バブルが崩壊しているにも関わらず、ひたらすら、政府によってその事実が糊塗されているだけかもしれません。

このブログにも掲載したように、中国の公表するGDPなどの統計数値はかなり疑問です。それに、大量の大学生が就職できないでいる現実をみてください。中国では、少なくとも、GDP成長が8%を切ると、新規に生まれる労働者の雇用を吸収できなくなるといわれています。であれば、数年前から、大量の学生が就職できないということは、8%を切っていたと考えるのが当たり前だと思います。 
中国幻想に酔って、中国に投資、中国で事業などはり切っている会社や、人、ジュリアナ東京のお立ち台で踊っている女の子のようなものかもしれません。さて、いつまで、踊り続けていられることやら?
私の言うジュリアナ東京シンドロームとは、この記事をご覧いただいて分かる通り、本当は景気がかなり悪くなっているにもかかわらず、多くの人はそれを暫くの間理解できないという現象のことを言います。

この記事は2011年のものですが、この当時すでに中国幻想はまがいものであったことがはっきりしました。すでに、このあたりから中国投資は先細りしつつあり、新規投資など大規模にする人も減りつつありました。

わずか、10年ほど前までは、中国ビジネス・コンサルタントの仕事は、中国進出のコンサルティングがほんとどだったのですが、数年前からは、すでに中国に進出した企業による中国撤退のコンサルティングがほんどになっています。

もはや、大方の企業は、中国幻想から覚め、一刻もはやく中国から撤退しようとしているのです。

それだけ、中国の実体経済は酷い状況になっているし、天文学的な数字のお金が海外に逃避しているのですが、未だジュリアナ東京シンドロームに酔っている人たちが大勢います。それは、中国の株価が落ちても、実体経済がかなり悪くなっても、それを認識できずに、今の経済の落ち込みなど一時的に過ぎないと考える一部の中国人富裕層です。

また、日本に来た中国人の爆買いがまだまだこれかも続くと考える、日本人もそうです。

そもそも、日本に爆買いに来れるのは、一般中国人ではありません。彼らは、中国では富裕層です。彼らの多くは、株や経済関してあまり知識がありません。だから、株価が落ちても、実体経済が悪くなっても、政府などはまともな統計を発表しないし、株価の落ち込みも一時的なものであるとの発表があるため、将来に全く不安を感じていません。

それこそ、バブルが崩壊したことも良く理解せずに、ジュリアナ東京のお立ち台で踊っていた女の子のように、将来に関する不安が全くありません。

今後実体経済の悪化が多くの富裕層の目などの誰の目にも明らかになったとき、中国人の爆買いツアーも、影を潜めることになることでしょう。そんなことよりも、中国の富裕層の中でも飛び抜けて少数の一部の富裕層がやっているように、元をドルや円に変えて、それを海外に逃避させることを真剣に考え実行するようになると思います。

しかし、その前にそれを中国政府がそれを制限するようになるかもしれません。いずれにしても、中国人の爆買いがこれからも、爆発的に伸びるでことがないことは、はっきりしています。

ジュリアナ東京シンドロームの他にも、中国人爆買ツアーが今後伸びることは無いであろうこと実証する資料があります。それは、中国のGDPに占める消費の割合です。

これについても、過去にこのブログに掲載したことがあります。
【お金は知っている】中国金融市場の自壊は変えようがない 外貨準備は「張り子の虎」―【私の論評】馬鹿の一つ覚えの経済政策が、今日の危機を招き後は崩壊するだけ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では日本が酷い円高・デフレだった期間の、日本と中国のGDPに占める個人商品の割合を比較したグラフを掲載しました。そのグラフを以下に掲載します。

名目GDP-民間最終消費支出対GDP比 赤=日本 青=中国
このグラフでわかるのは、中国は1998年からしばらくGDPに占める個人消費の割合が、40%台であったものが、2005年には40%を切り、2008年あたりから、35%で推移していることがわかります。

この間GDPは伸びて、中国はGDPが世界第2の水準になったとして、世界第二の経済大国を自認するようになりました。

しかし、現実には、中国の経済成長によって、個人消費は全く伸びず、そのままだったので、GDPが伸びても、個人消費の割合が減ったということを意味しています。

では、なぜこのようなことになったかといえば、中国の経済発展は、個人消費以外のものが伸びたということです。そうして、その最大のものは、インフラ整備などの公共工事です。鉄道、空港、港湾などの整備です。し

インフラ投資など、最初は実施すれば、それにともない人々の経済活動が活発になり、経済も伸びますが、それにも限界があります。その後、個人消費が伸びなければ、インフラ整備だけ実施しても、実体経済は伸びません。
中国の公共投資によって建築された建物 誰も使用せず鬼城化している
今まさに、中国の実体経済はそのような状況にあります。詳細に関しては、この記事に掲載してありますので、是非ご覧担ってください。

さて、ニュースを見ていると、日本国内では国内総生産(GDP)の数字が発表されたときに、デパートや飲食店の映像が流され、「背広を新しく買う人が増えた」とか、「外食する人が増た」など、個人消費に関することが報道されることが多いです。 
これは日本では個人消費がGDPに占める割合が大きいので、こうした報道がなされるのです。日本の場合、経済成長の原動力は、あくまで、個人消費なのです。テレビなどを見ていると、政府がとてつもない天文学的な資金を投じて、道路や空港、港を整備したりして、その投資の額が頭に残って、莫大であると感じてしまうのですが、日本では、そんなことよりも、個人消費のほうが、経済発展に占める割合が圧倒的に大きいのです。 
上のグラフで示したように、デフレのまっただ中でさえ、GDPに占める個人消費の割合は、6割近くあり、最近では6割を超えています。 
さて、世界各国の個人消費がGDPに占める割合はどうかといえば、イギリス、ドイツ、フランス、ブラジル、インドなど、先進国の一部の国では、だいたい日本と同じ約6割を維持しています。 
アメリカに至っては、個人消費がGDPに占める割合が7割を超えています。これらの国では、さまざまな事情はあるものの、概して、国民が将来に対して楽観的である、と言えると思います。日本で、過去の酷いデフレの期間に、これが60%を切っていたのは、やはり将来に対する不安を感じる人が増えたことによるものと考えられます。 
一方で、ロシアの個人消費がGDPに占める割合は約5割、中国に至っては現在でも、35%しかありません。 
これもいろいろな事情はあるものの、元々国民の稼ぎが少なく、さらにその少ない稼ぎを消費に回さず、貯蓄して貯め込んだり、不動産などの投資に回してしまっている、という事情があるものと推察されます。 
これらの国では、「将来何が起こるか分からない」、「政府が何をするか分からない」、「老後は誰も面倒をみてくれない」などの大きな不安感、恐怖感が、国民を支配し、消費を控えさせ、個人消費がGDPに占める割合を、低いままにさせていると考えられます。 
そういった意味では、個人消費がGDPに占める割合が低い国の政治は、国民を不安に陥れるものであり、まさに中国は共産党の一党独裁であり、国民を蔑ろにしているということです。
これだけGDPに占める消費が低い中国では、日本わざわざ爆買に訪れる中国人は、ごく一部にすぎません。中国の人口は、13億人なので、可能性としてこの13億人がいつか日本を訪れる可能性もあると考えるのは間違いです。

これから、中国の消費が徹底的に伸びることが予想されれば、中国から撤退する企業が増えるなどということはありません。しかし、現実には中国の消費が思ったよりは、ほとんど伸びないので多くの企業が撤退するのです。

実際、進出した企業は、最初のうちは売上もすこしずつは伸びるのですが、とにかく中国人の消費は少ないので、あるところから頭打ちになってしまうというのが実体でした。

それは、中国人の爆買も同じことです。中国人の爆買いが目立つようになってから、すでに数年たちます。先に述べたように、ごく一部の人が爆買いにくるだけで、もともと消費の少ない中国人ですから、さらに爆買いに来る人が増えて消費も増えるだろうと考えるのは、間違いです。

中国のGDPは日本のように、個人による消費による伸びはほんどないのです。中国のGDPの伸びのほとんどはインフラ投資などによるものです。

中国で個人の消費を伸ばすには、現在中国にはほんど存在しない、中間層をかなり増やしその中間層が活発に社会・経済活動をできるようにする必要があります。そうして、これを実現すれば、実体経済も伸びます。だから、日本を含めた多くの国の人々は、それを期待していた時期もありました。

しかし、それを実現するためには、 まずは中間層が活動しやすいように、ある程度の民主化、経済と政治の分離、法治国家化を進めなければなりません。

それを欧米は、数百年かけて実行し、他地域に比較すると抜きん出た経済発展が可能になりました。日本の場合は、それを数十年でやってのけました。

しかし、現中国の政府は、そんなことをする気はさらさらないようです。このままでは、中国人の消費が伸びることはこれからもあり得ません。中国人の消費そのものが伸びないというのなら、もう爆買いツアーも増えないということです。

上にあげた二つの要因から、私は中国人による爆買いツアーはもう頭打ちだと思います。これをあてにして、ビジネスを拡張するなどのことは慎むべきです。そんなことよりも、もっと消費の多い、欧米や、日本人の客を大事にすべきです。上記のような内容を知った上で、本気で商売を考えるのなら、そういう結論になるはずです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【石平のChina Watch】習主席の「金満外交」に民心離反の兆候 外交的失敗だった訪米 ―【私の論評】今や逃げ場のない習近平を見ると、中国壊滅は確実か?


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日本メーカー“脱中国”加速 ホンダ、スクーター生産拠点を国内へ―【私の論評】背景には、中国の個人消費はもともと少ないし、これからさらに減速するという見込みも(゚д゚)!


【関連図書】

中国人の爆買いツアーがこれからも順調に増えることなどあり得ません。それどころか、中国の現体制は崩壊します。それを確信できる書籍を以下に掲載します。

余命半年の中国経済 これから中国はどうなるのか
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2015年10月13日火曜日

【石平のChina Watch】習主席の「金満外交」に民心離反の兆候 外交的失敗だった訪米 ―【私の論評】今や逃げ場のない習近平を見ると、中国壊滅は確実か?


ホワイトハウスでの歓迎式典で並んで立つ中国の習近平
国家主席(左)とオバマ米大統領=25日、ワシントン

先月下旬の習近平国家主席の訪米は、あらゆる意味において外交的失敗であった。念願の米議会演説はかなえられず、国賓の彼を迎えたワシントンの空気はいたって冷たく、オバマ大統領との会談では南シナ海問題や人権問題などに関する米中間の対立がよりいっそう深まった。

「サイバー攻撃しない」との合意に達したことは首脳会談の唯一の成果というべきものだが、それはあくまでもオバマ大統領にとっての成果であって、習主席にしては単なる不本意な譲歩にすぎない。その一方、主席自身が熱心に持ちかけている「新型大国関係の構築」に対し、オバマ大統領は最初から最後まで完全無視の姿勢を貫いた。

ワシントンでの1日半の滞在は、習主席にとってはまさに「失意の旅」であった。

その代わり、習主席はワシントンより先にシアトルに入り、中国と関係の深い大企業を相手に自らの訪米を盛り上げた。そのために中国企業にボーイング機300機の「爆買い」もさせたが、カネの力で「熱烈歓迎」を買うような行動は逆に、習主席の対米外交が行き詰まっていることを浮き彫りにした。

ワシントン訪問の後に続く国連外交でも、習主席はやはり「カネの力」を頼りにした。9月26日に開かれた国連発展サミットで、習主席は発展の遅れた国々などに対し、2015年末に返済期限を迎える未償還の政府間無利子融資の債務を免除すると宣言した。同時に、いわゆる「南南協力援助基金」を設立し、第1期資金として20億ドルを提供すると発表した。

いかにも習主席らしい、スケールの大きな「バラマキ外交」であるが、国民の稼いだお金をそこまで自分の外交に使ってしまうと、思わぬ波紋が国内から広がった。

同28日、人民日報の公式モバイルサイトが「中国による債務免除は“貧者の大盤振る舞い”なのか」と題する長文の論説を掲載した。論説は、習主席が発表した債務免除に対しネット上では「国内2億人貧困層の苦しみを無視した“貧者の大盤振る舞い”」とする反対意見があることをあっさりと認めた上で、それに対する反論を延々と述べた。

習主席の債務免除発表からわずか2日後に人民日報がこのような反論を出さなければならないことは逆に、国内の反発が急速に広がっていることをわれわれに教えた。

人民日報がこのような反論を発すると、当然、国内メディアは一斉に転載して「討議」を展開した。

たとえば大手ポータルサイトの「捜狐(SOHU)」はさっそくネット上の世論調査を行い、債務免除の是非を問うた。このコラムを書いた2日午前では、債務免除を批判する意見に対して、「反対意見の背後にある民心を直視すべきだ」とする回答が何と56%近くに達している。つまり回答者の半数以上が債務免除への反対意見に同調しているのだ。習主席の展開した華やかな「金満外交」に対し、国民の大半はやはり冷ややかな目で見ているのである。

習近平政権は成立以来、腐敗摘発運動の展開や民衆の声に耳を傾ける「群衆路線」の推進で国民からの一定の支持を勝ち取ってきているが、ここへ来て彼自身の独断専行が逆に国民の多くの不信を買い「民心」は徐々に離反し始めているようだ。今回の「金満外交」に対する民衆の批判はまさに、民心の「習近平離れ」の表れではないのか。

結局、彼の場合、「大国の強い指導者」という自分自身のイメージを国民向けに演じてみせるために強硬な外交路線を進めた結果、アメリカとの対立を招き、国際社会の中国に対する風当たりが強まった。そして挽回するために大盤振る舞いの金満外交を行ったわけだが、逆に国民の反発を買い、国内における彼自身の人気を落とす結果となった。独裁者のやることはいつも裏目に出てくるものだ。


【プロフィル】石平

石平氏

せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

【私の論評】今や逃げ場のない習近平を見ると、中国壊滅は確実か?

中国の貧困層といえば、ごく最近も報道されたばかりです。その内容とは、以下のようなものです。
 中国国務院(政府)は12日、年収2300元(約4万4千円)以下の貧困層が2014年の時点で7017万人だったと発表した。農村部に集中している。 
 習近平指導部は20年までに「小康社会」(いくらかゆとりのある社会)を建設することを目標に掲げており、政府関係者は同年までに貧困層を一掃するとした。
年収2300元(約4万4千円)以下といえば、これはいかに中国とはいえ、かなり酷い水準です。こういう人たちが、日本の人口の半分より多い数だけ存在するとは驚きです。

ブログ冒頭の記事では、「国内2億人の貧困層」としていますが、これはもっと上の水準も含めたものと考えて良いでしょう。年収2300元以下は、極貧層と呼ぶべきではないかと思います。

中国人の平均月収は、4万円強程度との統計もあります。無論これは、極貧層から超富裕層まで合わせたものの平均です。それにむしても、低い水準です。日本人のサラリーマンの平均月収は40万程度だったと思いますから、これは1/10の水準で、貧困層ともなれば、1/100の水準です。

こんなことでは、本当に生活できるのかどうか疑わしい感じがします。貧困層の暮らしぶりは、おそらく想像を絶するものでしょう。それこそ、地べたを這いずりまわるようなとんでもない生活だと思います。

それがどのようなものが想像できるような資料を以下に掲載します。

これは、昨年の2月の日経新聞の記事です。
中国、資産格差が深刻に 富裕層の保有が6割超す 大学機関が報告、ネットでは記事削除
中国の裕福な世帯の上位10%が、全国の総資産の63.9%を保有するとの報告書を四川省成都の西南財経大の研究機関が23日までにまとめ、発表した。中国メディアが伝えた。 
 報告書の作成に携わった研究者は「財産の多くが少数の世帯に集中している」と資産格差の深刻さを指摘。ただ、詳細を伝えるインターネット上の記事は次々と削除されており、経済格差への不満が高まることを警戒した当局が報告書を問題視したとみられる。 
 報告書によると、上位1%の富豪世帯の平均年収は115万2千元(約1900万円)に上る。2012年の中国の労働者・職員の年間平均賃金は約4万8千元。 
 所得や資産の不平等や格差を示す指標で、1に近いほど格差が大きくなる「ジニ係数」で13年の資産の偏在ぶりを数値化すると、0.7を上回るという。
昨年には、もう中国の経済は低下傾向でしたが、それにしても2月の時点ではあまり顕在化していませんでした。その時期ですら、この有様ですから、今頃はさらにとんでもないことになっていると思います。

こういうのを、本当の意味での格差社会と言うのだと思います。ひところ日本の社会を格差社会という人たちがいましたが、それは正しくは当てはまらないと思います。日本の場合は、格差は中国は無論のこと他の先進諸国よりもはるかに低いです。

これについては、面白い話があります。それは、あのトマス・ピケティ氏の著書『21世紀の資本』に関する解説をテレビでしていたときの話です。

その話をする前にトマス・ピケティ氏の書籍にある内容を以下に引用します。
議論の出発点となるのは、資本収益率(r)と経済成長率(g)の関係式である。rとは、利潤、配また当金、利息、貸出料などのように、資本から入ってくる収入のことである。そして、gは、給与所得などによって求められる。 
過去200年以上のデータを分析すると、資本収益率(r)は平均で年に5%程度であるが、経済成長率(g)は1%から2%の範囲で収まっていることが明らかになった[7]。このことから、経済的不平等が増してゆく基本的な力は、r>gという不等式にまとめることができる。 
すなわち、資産によって得られる富の方が、労働によって得られる富よりも速く蓄積されやすいため、資産金額で見たときに上位10%、1%といった位置にいる人のほうがより裕福になりやすく、結果として格差は拡大しやすい。
 上の太字の部分に注目してください。高橋洋一氏もテレビでこの10%について説明したのですが、その10%の目安として、高橋氏が提示したのが、日本では「年収1千万」以上というものでした。

これには、スタジオにいた人たちが、絶句ししまったそうです。なぜなら、この「年収1千万以上」という数字は、おそらくそのスタジオにいた人たち、特に放送関係や、その他コメンテーターとして出席している人たちの年収はそれ以上だったからです。

これらの人たちは、無意識に上位10%というと、少なくと年収2000万〜3000万以上であろうと考えていたようですが、以外の少なく年収1000万以上だったからです。

なぜ、こういうことになるかといえば、日本の場合は他の先進国などと比較しても、格差が少ないからです。少し前に良く格差社会といわれていたことがありますが、それはデフレで貧困層が若干増えたということであって、日本では欧米に比較しても格差は少なく、中国などとは比較の対象にもならないくらい、格差は少ないです。

中国の格差問題はますます深刻に・・・・

このような中国ですが、格差を是正し、さらに経済を成長させる方法はあります。それには、何をすれば良いのか、過去の先進国の歴史をみれば良く理解できます。それは、このブログにも何度か掲載したことがあります。

それは、何かといえば、もっと中間層を増やし、増えた中間層が活発に社会・経済活動ができるように、社会のインフラを整備することです。そうすることにより、中間層の消費が増え、経済が発展します。

実際、中国のGDPに占める消費の割合は、35%に過ぎません。日本などの先進国は、大体60%前後です。アメリカは70%にものぼります。中国の場合は、この消費が10%でも伸びれば、随分経済が発展するでしょうし、まだまだ伸びしろがたくさんあります。

実際、過去の西欧の先進国は、数百年をかけてそれを実現しました。日本は、数十年でそれを達成しました。

言葉でいうと簡単ですが、それを実現するためには、いくつかの条件があります。それは、今の中国では全くないがしろにされている、三つの条件である、民主化、経済と政治の分離、法治国家化を推進することです。

これがある程度確保されなければ、中国の経済は停滞するばかりです。しかし、中国の上層部は、それに気づいていません。確かに、これを急激に実現することは不可能です。しかし、何段階かにわけて、計画的にすすめることもできます。

それを実行さえすれば、中国の今後の経済の破綻も防ぐこともできます。習近平指導部は20年までに「小康社会」(いくらかゆとりのある社会)を建設するとしていますが、それを実行する手立てははっきりいって、先にあげた三つの条件について、具体的なことをする気は全くないようです。

というより、彼らは、現代的な社会・経済に関する知識がまるでなく、今の窮地を脱却するためには、これをしなければならないなどという認識は全くありません。愚かというか、馬鹿です。とにかく、彼らは、馬鹿の一つ覚えのように国内で大規模なインフラ投資をすることにより、経済成長をなしとげ、今にいたるもそれ一辺倒です。

国内では、もうめぼしい開発案件はなくなったため、アフリカ投資をしてみましたが、ことごとく失敗しました。それでも、懲りずに、AIIBを設立して、アジア投資で経済発展を目論みましたが、日米が加盟しないことで、AIIBはとても、アジア投資銀行には太刀打ちのできない状況に陥りました。

このような状況に至っても、習近平はこれに対する抜本的な対策をすることはなく、権力闘争を闘争を繰り返すばかりです。もはや逃げ場もなくなった、中国経済。

そうなると、もう今の体制の中国には全く見込みがないことになります。行き着く先は、中国の壊滅です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

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【関連図書】


今のままでは、中国は壊滅します。今の体制は必ず崩れます。いや、崩れてまともになってもらわなければ、とんでもないことになります。それを確信できる書籍を以下に掲載させていただきます。

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2015年10月12日月曜日

クラスほぼ全員でいじめ 担任は放置? 腹蹴り、トイレ閉じ込め―【私の論評】閉じた社会の凄惨さを思い起こせ(゚д゚)! 


中野区立桃園第二小学校6年生「演劇によるいじめ防止事業」2013年7月8日
ブログ管理人注:写真と、記事の内容には、直接関係はありません。
和歌山県かつらぎ町の小学校で、6年の男児2人が複数の同級生からいじめを受けていたことがわかり、事態を重く見た町教委は、弁護士や大学教授ら4人でつくる第三者調査委員会を設置し、町内で12日、初会合を開いた。うち1人は昨年11月から不登校の状態が続いており、町教委は「男児が早く登校できるよう、原因究明と再発防止に努めたい」と話している。

町教委などによると、男児は小学4年だった平成25年ごろから複数の児童に腹を蹴られたり、悪口を言われるなどのいじめをしつこく受けた。翌26年3月、男児の保護者が学校側に訴えて発覚した。

学校側は担任とは別の教員を見守り役として教室に配置するなどの対策を講じたが、休み時間中にトイレの用具入れに閉じ込められるなど、いじめが止まなかったため、男児は吐くなどの体調不良に陥り、11月以降は不登校の状態が続いている。

さらにクラスのほとんどの児童がいじめに関与していたことがわかった上、7月ごろには別の男児へのいじめも発覚。2人ともケガはないが、町教委は「いじめの根は同じ。看過できない」として、第三者委の設置を決めた。池田八主雄教育長は「学校側が主体的に取り組む姿勢は崩していないが、よりタイムリー、より効率的に行うには第三者の意見を聞くことが必要と考えた」と説明する。

初会合では、委員長に勝井映子弁護士を選任。町教委側から、いじめの経緯や、学校と町教委のこれまでの対応などの説明を受けた後、今後の取り組みについて話し合った。勝井委員長は「学校は子供が育つ場なのに、男児が登校できないことは問題。男児の気持ちを大事にすることを一番に心がけてサポートしていきたい」と話した。

不登校中の男児の父親は「なぜクラスの子供らはいじめをし、担任は放置したのか。学校や町教委の対応に問題はなかったのか。それらの点をしっかりと調査して原因を究明し、子供が安心して登校できる状態にしてほしい」と話していた。

【私の論評】閉じた社会の凄惨さを思い起こせ(゚д゚)!

いじめというか、暴行殺人事件に関して、数日前にKAZUYA氏が動画を投稿していました。その動画を以下に掲載します。



この動画でKAZUYA氏が述べているように、この動画の中で示されている事件は「いじめ」などではありません。暴行殺人事件です。KAZUYA 氏の言うとおりです。しかし、何やら

日本では、学校というと特別な社会であるかのような変な風潮があります。学校だって、社会の一部です。特別な存在とみなして、学校の中での暴力や犯罪などを見逃すなどということは到底許容されるものではありません。

ブログ冒頭の記事のような事件だって、今回はかなり規模が大きくなって、それで白日の下に晒されることになったわけですが、ここまで酷くなるのは、やはり学校が閉鎖社会ということにも原因があると思います。開かれた社会であれば、このようなことは起こらなかったか、起こったとしても、未然に防ぐことが可能だったのではないかと思います。

開きれた社会、閉じた社会については、H・ベルクソンが用いた社会類型により、定義がなされています。それについて以下に引用します。

H・ベルクソン
H・ベルクソンが用いた社会類型で、それらは異質な二つの道徳、すなわち閉じた道徳・開いた道徳morale close-morale ouverte(フランス語)に対応する。
 閉じた社会は、本能に近い習慣や制度に由来する社会的義務によって、内から個人を拘束・威圧し、外に対しては排他的であり、自衛と攻撃の用意を怠らぬ閉鎖社会である。原始社会がそれに相当するが、程度の差はあれ、文明社会もまた閉じた社会である。家族も都市も国家も、他者を選別し、排斥し、拒否と闘争を生む。 
この社会の結合原理は、静止した習慣や制度によって個人を社会に服従させる、非人格的で不変の閉じた道徳である。 
 これに対して開いた社会は、有限な、敵対的な閉鎖性を超えた、無限の、開放的な社会であり、人類愛によって全人類を包み込む社会である。ここでの結合原理は、習慣、本能などの自然力に基づく威圧や命令ではなく、自然から人間を解放し、生命の根源に触れる歓喜を目ざして絶えず前進・向上する、人類愛の道徳、開いた道徳である。 
したがって開いた道徳は、習慣や制度といった非人格的な力によって担われるのではなく、選ばれた宗教的・道徳的天才の人格的な「呼び声」(英雄の呼び声)そのものであって、家族や国家の閉じた道徳を超えた、愛において結ばれた人類社会に対応する。 
 ベルクソンは、こうした人類愛を結合原理とするイデアルな開いた社会と、家族愛や祖国愛に基づくリアルな閉じた社会とは、まったく異質の社会であるとし、静的・停滞的な後者から「生命の飛躍」によって動的・創造的な前者に超越できるとした。この2種の社会と道徳の対置によって、ベルクソンはデュルケームの社会学的宗教・道徳理論を哲学的に批判したが、同時に多くの批判を浴びた。[田原音和] 
『H・ベルクソン著、平山高次訳『道徳と宗教の二源泉』(岩波文庫)』
当然のことながら、今の日本の社会では、完璧に開かれた社会も、閉じた社会もありません。日本の社会にも、幾分閉じられている、かなり閉じられている社会が混在しているわけです。その中で、私は今の学校、特に小学校から、高校までは、かなり閉じた社会ではないかと思います。

しかし、本来学校も社会の一部を構成しているものであり、閉じた社会としてしまえば、それこそ、いじめのような問題が発生するのは当然のことです。上の引用でも「閉じた社会は、本能に近い習慣や制度に由来する社会的義務によって、内から個人を拘束・威圧し、外に対しては排他的であり、自衛と攻撃の用意を怠らぬ閉鎖社会である」とあります。

ブログ、冒頭の記事の小学校は、まさにこの「閉じた社会」です。まさに、自衛と攻撃の用意を怠ることのできない社会です。

学校がこのようなことであってはいけないはずです。「いじめ」という言葉は、今の学校という閉じられた社会の中で通用する言葉ではないかと思います。本来、学校が開かれた社会になっていれば、あのようなことにはならかったのではないかと思います。

学校も、もっと開かれた社会にして、それこそ、一般市民が気軽に訪れたり、職員会議の中に入ることができたり、教育の一部を担っても良いのではないかと思います。

そうして、学校内での、腕力などによる暴力、言葉などによる暴力、その他攻撃などに関しては、ことが起こってから、どうのこうのと会議を開いたり、責任を追求するなどということ事後処理などはやめて、最初から法律や条例などや、そこまでしなくても、全国共通の校則などで、手続きを決めておき、何がことが起こったら、粛々とその手続きにのっとり、処理したり、その範囲を超えた場合は、警察に委ねるなどの決まり事を決めておき、まずは、迅速に処理するという体制を築くべきではないでしょうか。

私達の社会にも、法律などの決め事があります。犯罪を犯せば、警察に拘束を受け、裁判を受け、量刑が決まれば、それに従うというのは当然のことです。

学校だけが、独立した社会で、暴力事件などが発生しても、その時々の学校の判断などというのでは、とんでもないです。こんなことでは、学校の先生だって、判断基準がないのも同じて、何か事が起こったとしても、迅速に対応できず、後追いでしか対処できないです。こんなことでは、子どもたちを守ることはできません。

なぜ、日本だけが学校がこのように曖昧な対応しかとれないのか、全く疑問です。外国では、日本とは随分様子が違います。このブログでは、過去にドイツの学校の事例を掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
ドイツの教師 校外で煙草吸う生徒目撃しても注意しない理由―【私の論評】何でも学校の管轄とするのはあまりにも無責任!!学校は治外法権ではなく、責任ある社会人の子供が行くところと心得よ!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は「いじめ」に関するものではありません。「体罰」に関するものです。しかし、根は同じ所にあると思います。以下にドイツの学校のシステムなどについて引用します。

体罰問題を高校野球の監督をしている友人と話していて、彼が自分のこんなエピソードを紹介してくれた。 
 若くして母校の監督に就任して初めて選手の保護者会があったときのこと。リトルリーグの監督もしているという保護者からこんな指摘を受けた。 
「私がグラウンドに来ても誰も選手が挨拶をしない。どういう指導をされているのか」 
 友人は答えた。 
「挨拶といった基本的なシツケは家庭でお願いします」 
 私は「よく言い返した」と思ったが、保護者会では「シラーとした雰囲気が漂った」という。 
 体罰問題が繰り返されで跡を絶たないのは、子どもの教育をなんでも学校に委ねる風潮も、土壌にあるのはではないか。 
「ドイツでは校門から一歩出れば学校の管轄外。煙草を吸っている生徒を目撃しても教師は注意しません」 
 というのは日独ハーフで「生きる力をつけるドイツ流子育てのすすめ」の著者、サンドラ・ヘフェリンさん。ドイツで義務教育を過ごしたサンドラさんは、1度も体罰を受けたことも目撃したこともないという。 
「ドイツでは遅くとも1980年代前半には、体罰が法律で完全に禁止されていました。基本、子供の生活態度の管理をする担当は学校ではない、というのがドイツの共通したスタンスです」 
 サンドラさんによると、ドイツで「問題行為」(授業中に騒ぐなどの行為。髪の毛を染めるような身だしなみや学校外で起こした問題ではない)を起こした生徒には、まず「口頭」で注意される。その「注意」が3回たまると、校長から生徒の家に「問題行動を起こしたことへの注意」が書面で送られる。そしてこの書面が3通たまったら退学、という。 
「ドイツでは教師の家庭訪問もありません。学校と家庭は厳格に区別されています」(サンドラさん) 
 他国のやり方が日本にそのまま適用できるとは思わない。しかし体罰問題を掘り下げていくと「学校教育と家庭教育の峻別」に行き着くのではないか。学校外で生徒を指導してくれる教師を私たちは「面倒見の良い先生」と賞賛してきた。それは教師に本来親がすべきことを押しつけたことにならないか。学校や教師の責任を非難するだけでなく、家庭を含めた私たちの教育観を問い直すべき時期に来ている。 
 冒頭の高校野球の監督をしている友人に「体罰をしたことがあるか」と訊ねると、 
「あのな、野球が下手なぐらいで人を殴れるか」 
 と苦笑した。
ドイツでは家庭に三通目の注意の手紙が行くと、自動的に退学という仕組みです。 日本の学校もこれで良いのではないかと思います。学校で、暴力を働くものに対する仕打ちは、これで良いと思います。日本では、こういう厳しさがないので、暴力行為をしても、本人もその親もあまり重大な問題であると認識しないのだと思います。暴力を繰りかえしても、何の責任も問われないようでは、いわゆる校内暴力はいつまでもはびこると思います。

問題を起こし続けて、どの学校からも放校されるようになれば、さすがに当人もその親も焦ることになります。そういう子供のみ受け付ける刑務所のような学校を作っても良いと思います。こんなところに、人権問題を持ち出す輩は、それこそ暴力を振るわれる側の人権を無視していると思います。

この程度のことは、日本でも実行できるようにしたうえで、さらに、学校を開かれた社会にする方法を導入すべきと思います。

学校も完璧に開かれた社会にすることは無理だとは思いますが、最低限このようなことをできるようにしておくべきです。そうすることによって、教師の責任も明確になります。校内暴力をするからといって、ただ単純に手紙を書いて、さっさと退学させるだけしかしない、無能な教師は、開かれた社会で糾弾されることになると思います。

それにしても、日本はかなり閉じられた社会というか、コミュニティーが多いです。それが、マイナスの現象を生んでしまうことは、昔からあったことです。たとえば、連合赤軍などの過激派はその典型例です。

閉じた社会で、その中だけで、内から個人を拘束・威圧し、外に対しては排他的であり、自衛と攻撃の用意を怠らぬことのできない社会で、最終的には内ゲバで仲間を殺すという凄惨な事件を起こしてしまいました。



閉じた社会は、最終的にはこのようなことになってしまうものです。学校の暴力事件も同じことです。放置した結果が、暴行殺人です。

日本の社会では、ここまでいかなくても、他の社会の常識が通用しない、閉鎖社会が存在しています。そうして、それがたまたま頭をもたげてきて、多くの人々の知るところとなり、大きな社会問題になります。

最近の東芝の不詳事件も同じことです。閉じた社会の中の論理だけで動いて、とんでもないことになってから、社長が陳謝するような体たらくでした。

もっと、歴史を遡れば、大東亜戦争だって同じです、日本軍は中国に進出したのですが、中国で何をするのか、どのようになれば、戦争を終結するのか、ほとんど何も考えないまま誰も責任もとることもなく、いつまでも戦争を続け、挙句の果ては、米英などとも戦をして、それだけにとどまらず、どこまでも戦線を拡大して、とんでもないことになり、敗戦の憂き目を見ました。

このような無責任体制は、当時の軍や政府があまりにも閉じられた社会の中で、誰も責任を取らない状況の中で発生したものです。

戦後も似たようなものです、日本の金融政策は日銀政策決定委員会で決定されますが、その委員が金融政策を間違ったからといって、誰も責任を取ることはありません。おかげて、日本はとんでもないデフレ型不況にみまわれましたが、それでも、日銀も閉じた社会であるため、何の責任も問われることもありません。

それは、財務省も同じことです。これも閉じた社会で、とにかく自分たちの都合で、増税して、特別会計なり複雑な仕組みを構築して、とにかくそこに金を貯めこむということをしました。これも、日本がデフレ型不況を深刻化させ、自殺者が三万人台にまでふくれあがりました。

国でいえば、中国など典型的な閉じた社会です。正当性を欠く、現中国共産党政府が、民主化も、政治と経済の分離も、法治国家化もなおざりにして、自分たちの都合で国を運営しています。そのため、毎年平均 10万件もの暴動が発生しています。無論、基本的人権などないがしろにされています。

結局、閉じた社会は、社会の外側から批判されることもなく、自分たちの社会の都合だけで、動くため無責任体制になるのです。そうして、歯止めがなければ、その無責任体制の行き着く先は、凄惨な殺し合いにまで発展するのです。

さすがに、日本などの場合は、かなり閉じた社会というのは、例外的なので、そこまで行くことは滅多にないですが、ごく一部にはそのような社会も存在して、過激派の凄惨な内ゲバ等にまで発展してしまうのです。

学校などの組織も、閉じた社会のままでは、校内暴力はなくなりません。やはり、一定の決まり事を作成した後に、開かれた社会を目指すべきでしょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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