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2020年1月26日日曜日

沖縄・豚コレラ殺処分で自衛官が流した涙―【私の論評】すっかり忘れさられたもう一つの疫病「豚コレラ」!中国は元々カントリーリスクが高いことを再認識せよ(゚д゚)!

沖縄・豚コレラ殺処分で自衛官が流した涙

     飼育豚が豚コレラに感染した沖縄県うるま市の養豚場で、防疫作業をする
     県職員と自衛隊員ら=8日午後0時1分(小型無人機から)

陸上自衛隊の松田みずき陸士長(23)は一児の母だ。沖縄県南風原(はえばる)町の出身。敵のミサイルや戦闘機を撃ち落とす03式中距離地対空誘導弾(中SAM)を運用する同県沖縄市の第15高射特科連隊第3中隊に所属している。息子は2歳になった。

1月8日、松田陸士長に思わぬ任務が舞い込んだ。うるま市と沖縄市の養豚場で豚コレラ(CSF)の感染が確認されたたため、県が第15旅団に災害派遣を要請した。これを受け、同旅団は隷下の第15高射特科連隊を中心に部隊を編成した。任務の内容は、豚の殺処分支援や消毒活動だ。

自衛官数人が豚をベニヤ板で囲い込み、獣医のもとへ誘導する。獣医が電気ショックを与えた後、心臓に注射して安楽死させる。死体を仮置き場に運ぶのは自衛官の役割だ。松田陸士長が最初に担当した豚は、おなかに赤ちゃんがいる母豚だった。

「自分も同じ一人の母親として、すごく心が痛かった」

松田陸士長はこう振り返る。周囲には泣いている同僚もいた。第15高射特科連隊本部管理中隊の野上光3等陸曹(29)も涙を流した一人だ。「豚を育てていらっしゃる方のことを思うと涙が出てしまった。最初はちょっと、やっていけるのかなと思った」と語る。

ベテラン自衛官にとっても緊張を強いられる任務だった。自分の地元が危機にさらされているなら、なおさらだ。第15後方支援連隊整備中隊の安慶名光明1等陸曹(49)は豚コレラが発生したうるま市出身。「初めてのことだったので戸惑いもあった」と打ち明ける。同級生の県庁職員を現場で見つけて気持ちが軽くなったが、若い隊員が養豚場の臭いに慣れることができず、気を配らなければならなかった。

殺処分を受ける豚が暴れることも隊員を悩ませた。豚は大きいもので体重300キロを超える。農林水産省担当者は「映画『もののけ姫』にでかいイノシシが出てくるでしょ。あんな感じです」と解説する。松田陸士長と同じ中隊の金城保享1等陸曹(36)は堂々とした体格の自衛官だが、「押さえ込むときにものすごい力を要した」という。

心のケアが課題

第15旅団は8日から20日までの13日間、豚コレラ対策支援のため、約570人の隊員を派遣した。同県内で殺処分された豚は20日時点の県発表で7農場の計9043頭。各養豚場では約35人の小隊規模で6時間交代のローテンションを組み、24時間態勢で「有事」に対処した。

15旅団にとって、懸案の一つは隊員の心の問題だった。昨年、岐阜県や愛知県で豚コレラ感染を受けて殺処分が行われた際は、精神的苦痛を訴える隊員が相次いだという。今回の派遣では心理ケアを専門とする自衛官3人を投入し、一日の任務が終わるたびにミーティングを開いた。どうしても耐えられない隊員は配置転換するなどして対応した。

現地指揮官を務めた第15高射特科連隊長の内村直樹1等陸佐(47)は「その日の任務が終わった後にどう感じたか、つらかったことがないかということを吐き出せた。一人ひとりの隊員に異常がないか、細やかに確認を取った」と説明する。殺処分の際に泣いた野上3等陸曹は、上官から「それは、おかしいことではないんだよ。みんなそうなんだよ」と声をかけられたという。

対象となった7農場の防疫措置が終了したことを受けて陸自の災害派遣が終了した20日、玉城デニー知事(60)は中村裕亮旅団長(54)に「誠にありがとうございました。本当にありがとうございました」と頭を下げた。県畜産課の担当者も「今回ここまでこられたのは、自衛隊の協力があってのことだと実感している」と語る。

活動に疑問の声も

ただ、こうした活動に自衛隊を使うことには疑問の声もある。元陸自東部方面総監の渡部悦和氏(64)は「南西諸島に対する中国の脅威が高まる中で、沖縄を取り巻く状況は非常に厳しい。訓練すべきときに、豚コレラの災害派遣は本当に適切だったのだろうか」と話す。

自衛隊の災害派遣は「公共性」「緊急性」「非代替性」の3要件が満たされたときに都道府県知事が要請できる。「非代替性」とは、自衛隊が派遣される以外に適切な手段がない状態を指す。「各自治体の体力によって『非代替性』があるかどうかの判断は異なる」というのが、防衛省統合幕僚監部の説明だ。

渡部氏は平成16年に京都府で鳥インフルエンザが発生した際の殺処分支援で現地指揮官を務めた経験から「自治体だけではなく、農協や建設業界には人も機材もある中で、すぐに自衛隊にやらせるのはおかしい」と批判する。

ただ、災害派遣は自衛官にとって目に見えて「県民の役に立った」と実感できる貴重な機会ともいえる。

「任務から帰ってきたら、県庁の皆さんから『ありがとうございました』との言葉をいただいて、グッとくるものがあった。『多少きつくてもしようがないやろ』という現場の意見はあった」

派遣隊員ら(左から安慶名1曹、安田1曹、野上3曹、松田陸士長)=20日午後、県庁

第15旅団隷下第51普通科連隊第3中隊の安田翔一1等陸曹(35)はこう語る。

第15高射特科連隊第2中隊長の斎藤祐太3等陸佐(34)は「国民の安心と安全のためにこのような任務につくことができ、任務を完遂できたことをとても誇りに思う」と胸を張った。

【私の論評】すっかり忘れさられたもう一つの疫病「豚コレラ」!中国は元々カントリーリスクが高いことを再認識せよ(゚д゚)!

最近は、中国の新型肺炎ウイルスの蔓延により、日本では豚コレラのことはすっかり忘れラさられたかの如くですが、これも重大な事件です。そうして、後で詳細を述べますが、この豚コレラも中国が発生源とみられています。

陸自の災害派遣が沖縄で終了しました。これは、沖縄豚コレラの新たな発生は食い止められたことを意味します。

上の記事にもある通り、これまでの過程において、自衛隊員はとてつもなく、大変な目にあったようです。自衛隊員の皆様本当にご苦労さまでした。

それにしても、自衛隊が災害派遣されている最中に、本州方面からいつもいらしている、左翼活動家の方々は一体何をしていたのでしょう。沖縄県民のことを本当に考えていらっしゃるなら、沖縄の豚コレラ防疫活動に、ボランティアの形でも参加すべきではなかったでしょうか。

沖縄県としても、自衛隊に頼る前に、これらの人々をボランティアとして、防疫活動に携わさせることなど考えなかったのでしょうか。沖縄といえば、基地反対派の方々が、元気一杯に市民活動に従事されている様子、YouTubeなど(下の動画など)でみかけますが、あの方々は何をしていらしたのでしょうか。


それにしても、何もかも、自衛隊に依存する行政とは何なのでしょうか。災害も豚コレラも鳥インフルエンザも、本来なら行政の仕事のはずです。多くの職員を低賃金の非正規雇用にして、その場しのぎの行政をやっているから、事が起これば自衛隊頼みとなってしまうのでしょう。

自衛隊も大幅に定員不足が続き、個々の隊員の負荷は重いです。本来の訓練に支障も出ることでしょう。本当に沖縄に限らず、各自治体はもしもの場合にどうするのか普段から考えておいていただきたいものです。普段から、各自治体の正職員が、リーダーとなり、ボランティアなどを動員して、いざというときに適切な行動ができるように、普段から訓練しておくべきものと思います。

それでも、災害などの規模大きすぎて、自分たちの手ではどうにもならなかったときに、自衛隊に頼るべきです。沖縄の場合は無論正規職員の一部は防疫活動に従事していてはいたようでしたが、どうだったのか、この観点からも国会などで論議をすべきです。

豚コレラ、アフリカ豚コレラ対策チームとして農水省のみならず、法務省、財務省、法制局、調査室との打ち合わせが連日続いています。来週も予算委員会で与野党対決の場面ばかりが取り上げられると思いますが、食料の安全保障に関しては国会の審議を横目でにらみながら、地道な作業を続けています。具体的にはいかのようなことが実施されています。
・家畜伝染病予防法改正法第一弾(予防的殺処分の対象にアフリカ豚熱を入れる)
・家畜伝染病予防法改正法第二弾(国家防疫体制の強化も含めた総合的な見直し)
・出入国管理及び難民認定法改正法(水際対策のさらなる強化)
・養豚農家振興法の見直し検討など
それにしても、今回の新型肺炎は、無論のこと、この豚コレラの発生源もまだはっきり特定されてわけではないですが、中国だといわれています。

一昨年9月に26年ぶりに発生し、現在も猛威を振るっている豚コレラの感染経路について、農林水産省の疫学調査チームが昨年中間とりまとめを公表しました。中国やその周辺国からの旅行客が不正に肉を持ち込むなどしてウイルスが日本に入り、ウイルスを含む肉が廃棄されて野生イノシシに感染したのが発端になった可能性があるとしています。

豚コレラより致死率が高く、有効な治療法やワクチンがない、アフリカ豚コレラが中国や北朝鮮などで発生し、新たな脅威にもさらされています。


中間とりまとめでは、発生源の特定はできていないようですが、今後も調査を継続して、発生源をつきとめていただきたいものです。ただし、中国が感染源でない可能性もありますが、今回の豚コレラの感染源が中国だったとしても全くおかしくはありません。

中国とのビジネスには、中国固有のカントリーリスクがあります。日本国内でも、中国のインバウンド消費に糠喜びしていると、今回の新型肺炎ウイルスや、豚コレラで足元をすくわれかねません。

実際中国ではアフリカ豚コレラ感染のまん延で、今年に入って飼育数の3分の1に当たる2億頭を超える豚が処分されるなど、食卓に欠かせない豚肉の価格が急騰しているのですが、これにいま、中国マフィアが目を付けているといいます。アフリカ豚コレラに感染した豚を安く買い取って、他の省に運び、健全な豚の肉と偽って、高く売りつけたりして荒稼ぎしているというのです。

このブログでもかねてから主張しているように、現状の日本におけるインバウンド消費など、GDPの1%にすぎません。消費税増税をした現在、大型の経済対策をすぐに行い、物価目標を未だに達成できない日銀も従来の異次元の金融緩和の姿勢にもどすべきです。

それなしに、単純にインバウンド消費を増やせば、日本国内がニセコ化するだけです。

今回の新型肺炎、豚コレラ騒動で、日本人いかに不確かな中国のインバウンド消費に頼ることが危険なのかを学ぶべきです。そのような危機から日本を守るには、日本国内の景気を良くして、インバウンド消費に頼らなくて良くすることです。

無論「来る者拒まず」という格言にもあるとおり、わざわざ日本に来たいとする外国人を拒む必要はないですが、それにしても、外国人にだけ特化した施設をつくり、日本人を受け付けないようなことまで、無理して行うことは全くありません。日本には、もともとそのようなことをしなくても、国内を豊かにできる潜在能力が十分有り余るほどあることを忘れるべきではありません。

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2018年10月1日月曜日

米中貿易戦争が「流血戦争」になる可能性 歯止めは沖縄、台湾 国際投資アナリスト・大原浩氏―【私の論評】トランプは、中国の覇権阻止とナショナリズムへの回帰へと国家戦略を大転換しつつある(゚д゚)!

米中貿易戦争が「流血戦争」になる可能性 歯止めは沖縄、台湾 国際投資アナリスト・大原浩氏

習氏率いる中国に攻勢を強めるトランプ氏 
写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 米トランプ政権が仕掛けた対中貿易戦争は、長期戦の様相を呈しているが、これが「血を流す戦争」にエスカレートしかねないと警鐘を鳴らすのが、中国事情に詳しい国際投資アナリストの大原浩氏だ。緊急寄稿で大原氏は、9月30日に県知事選が投開票された沖縄、そして台湾が米国にとって極めて重要な「防衛線」だと指摘する。

 米中の貿易戦争が無血戦争(冷戦)の一部であることは、これまでにも述べてきたが、冷戦が本物の「流血戦争」になる可能性はないのだろうか。結論から言えば少なからずある。ただし、それは習近平国家主席が米国に逆らい続けたときに限る。

国際投資アナリストの大原浩氏

 1962年のキューバ危機は、旧ソ連が米国の目と鼻の先のキューバにミサイル基地を建設したことがきっかけとなり、核戦争の一歩手前までいった事件である。

 実のところ、当時のソ連の指導者、フルシチョフは米国を甘く見ていたフシがあり、ケネディ大統領の「核戦争も辞さない」との強硬な態度に青ざめて、表面上強気を装いつつも、核ミサイルの撤去という譲歩(降伏)をしたのである。

 今回、キューバに相当するのが台湾だ。第二次大戦末期、蒋介石率いる中華民国(台湾)は連合軍の一員だった。米国とともに血を流して戦ったのは中華民国であり、少なくとも米国の共和党にとっての中国とは、民主主義・資本主義を守る台湾を意味する。

 1971年のキッシンジャー氏の電撃的中国訪問から始まった米中国交回復が、78年12月の第2次米中共同声明までかかったのには、米国内に根強い反共ムードや大量虐殺を行った毛沢東の存在など数多くの要因があるが、台湾問題が一番大きい。

 58年8月から中国人民解放軍が中華民国福建省金門島に侵攻すべく砲撃を行ったのが金門砲戦で、実質的な戦闘は2カ月以内に終わった。しかし、米中国交回復時の79年1月1日まで、なんと21年間にもわたって砲撃が続けられた。



 つまり、米中国交回復は「台湾問題棚上げ」によって実現されたのである。だから、この棚上げ問題にうかつに触れれば米中国交回復はご破算になる。トウ小平はそれをよくわかっていて「能あるタカは爪を隠す」路線を続けたのだが、現在の習主席は、航空会社に「台湾」表記を改めさせようとするなどの圧力を加えた上に、米国が嫌悪する独裁者の毛沢東を目指すなどと発言して虎の尾を踏んだといえる。

 民主主義国家がなかなか戦争に踏み切れないのは事実ではあるが、「民主主義防衛」の大義のためであれば、米国民は血を流す覚悟がある。

 沖縄の米軍基地問題も台湾問題とリンクする。沖縄の与那国島と台湾との間は直線距離で100キロ強しかなく、戦前は小舟で住民が行き来していたそうだ。

 垂直離着陸輸送機オスプレイは時速約500キロで飛行するから、台湾まではおおむね20分ということになる。共産主義中国政府、左翼系マスコミらが「反基地」「反オスプレイ」の大合唱を歓迎するのも当然だ。

 沖縄の米軍基地が極めて重要なのは、台湾に米軍基地を置けないという事情がある。米軍そして米国政府は当然、中国の台湾侵略の野心を承知しており、彼らが騒げば騒ぐほど、台湾防衛のために沖縄の基地を強化し、同時に中国に無血制裁を加え続けるのである。

【私の論評】トランプは、中国の覇権阻止とナショナリズムへの回帰へと国家戦略を大転換しつつある(゚д゚)!

米国と中国が、軍事的衝突を発生する潜在的な可能性に対する政治学的議論は従来からなされてきています。過去60年にわたり、米国の多くの人びとが米国と中国が衝突する可能性が大いにあると指摘し、米中間の軍事的衝突の可能性(いわゆる米中戦争)に対する議論がなされてきました。

米中間の軍事的衝突の舞台としては、過去には朝鮮半島ないしベトナム、現在では台湾海峡が想定されています。それぞれ詳細な考察が行われており、1960年代のベトナム戦争、冷戦の終結に続き、中国は軍事的優位性及び経済的存在感を増し続けている事を背景にして中国脅威論のひとつとして、米中冷戦が、なんらかのきっかけで軍事的衝突に繋がるかに対する危惧があるという潜在的可能性が指摘されています。

現在では主にネオコンといった政治的傾向を持つ識者が主張する場合が多いです。

ベトナム戦争の間、毛沢東をはじめとする中国の指導者は、米国のベトナムにおける戦略を大規模な核戦争の序章であると考えていました。1960年代を通して、中国人民解放軍海軍と空軍は中国の領空を侵犯した米軍機と衝突しました。

米軍の爆撃機が北ベトナムの6つの海軍基地を攻撃した後、1964年8月5日、周恩来と羅瑞卿は北ベトナムのホー・チ・ミン大統領、ファム・ヴァン・ドン首相、軍の幹部であるヴァン・ティエン・ズンと会談し、両国は米国の脅威に対抗するため軍事的な協力を行うことを約束しました。

その晩、人民解放軍海軍、空軍及び北京軍区の首脳が集まり、緊急ミーティングを開きました。彼らは北ベトナムでの爆撃が直ちに米国との戦争を意味するわけではないが、米軍の軍事的脅威が増加し広州や昆明の軍隊が警戒状態に入る必要があるという結論に達しました。

日本では、1965年には朝日新聞による世論調査が行われ、その年の8月24日に発売された朝日新聞は、日本人の半分以上である57%がベトナム戦争が米中戦争へエスカレートすることを恐れているという記事を掲載しました。

しかし、実際には中国と米国のリチャード・ニクソンはソビエト連邦に対する利害で一致したため、1972年にニクソン大統領の中国訪問が行われ、米中国交樹立が図られました。

最近では、多くの人は米中間が台湾独立をしたときに衝突し、日本はその戦争に巻き込まれるだろうと予想しています。

この戦争で核兵器が使われる可能性があるため、米国はEUが中国に対して武器を輸出することに反対しています。 スタンフォード大学のキム・チャンヨン教授は、そのようなシナリオにおいて中国が勝利を収める可能性は15%であり、米国が勝利を収める可能性は23%、相互確証破壊の可能性は62%であると推測しています。

近年では、将来危惧される第三次世界大戦の可能性のひとつとして「米中戦争」が論じられることがあります。

これはジョージ・W・ブッシュ政権で要職にあったネオコンのコンドリーザ・ライスやリチャード・アーミテージが論文で中華人民共和国が将来的には脅威になるとした中国脅威論を記したほか、それに影響された日本の保守論壇の一部が同様の可能性を主張しています。

これらによれば台湾に対し中国が軍事的制圧を実行する台湾侵攻作戦が米中間の軍事的衝突の引金になるというものです。

この手の議論では、最近ではやはりピーター・ナバロを忘れるべきではないです。そのナバロの書いた『米中もし戦わば』で彼は、米中戦争が起きる可能性は70パーセントとしています。

『米中もし戦わば』の表紙

本書を読めばなぜトランプ大統領は就任以来、中国叩きをしているのかその根本にある「ナバロ思想」が理解できます。400ページ近い分厚い本ですが、特にP332~339に書かれている「経済による平和」部分にその思想が詰まっています。
[経済力による平和の要約]
中国は、通貨操作や違法な輸出補助金、知的財産権侵害などの不公正な貿易方法で経済力と軍事力の強化をしている。特に中国がWTOに加盟して米国市場に参入してきてからは、米国は製造業が衰退し軍事力を維持することは困難になってきている。(実際、米貿易赤字の約半分は中国である。) 
つまり、現状のように中国製品への依存度が高い状態だと、米国は中国製品を買うたびに中国の軍事力増強に手を貸していることになる。よって中国の経済と軍拡を弱体化させる方策は、中国からの貿易関係を縮小すべきだ。米国が国際舞台でリーダーシップを維持するために最も重要なのは米国経済を健全化することで、そのために貿易赤字を削減しなければ中国に対抗できない。
このナバロ思想が的を射ているのか否かは別として、重要なのはこのナバロ思想を根幹にしてトランプ政権が通商政策を進めており、最近では対中国貿易戦争を開始したことです。

よくトランプ大統領のtwitter上での発言は思い付きで呟いているだけだという意見を目にすることがありますが、本書を読むとこうしたナバロ思想に基づいた一貫した発言であることが伺えます。

「アメリカ第一主義」を全面に出すトランプ政権とは逆に、自由貿易を提唱し始めているのが習近平国家主席です。これは極めて意外でした。習近平国家主席は2017年1月17日、スイスのダボス会議で基調講演をして、経済のグローバル化を指示し、保護主義を批判しているのです。

ダボスで基調講演した習近平

ただし、知的財産権を守ろうなどという気のない中国の習近平がこのような批判を行うこと自体が噴飯ものです。

そもそも、貿易に目を向けると、中国に拠点を置く外国企業は様々な規制にさらされ、市場へのアクセスも不足しているうえ、中国企業との合弁や技術共有なども義務づけられています。またEUとアメリカはこれまで何度、中国をダンピングでWTO(世界貿易機関)提訴したかわからないです。中国は、輸出大国であると同時に保護主義大国です。。

ダボス会議には中国は通常、首相が出席するのが慣例らしいのですが今回は国家主席が初めて出席しました。ダボス会議は資本主義の牙城と呼ばれているので、共産主義のトップが出席するのは驚きです。

その意図するところは、「米国に代わって世界の覇権国に君臨する」ことに他ならないです。習近平国家主席はダボス会議で「中国は外国人投資家の中国市場へのアクセスを拡大し、高度で実験的な自由貿易圏を作る」と述べ、「中国市場をより透明化して、安定した経済活動を行えるようにする」とできもしない約束をしました。

トランプ大統領がTPP撤退を決めたことを習近平はチャンスと思ったのかもしれません。中国が中国という国の構造上の問題から入りたくても入れないTPPにより、日米を含めた環太平洋諸国が繁栄することは、習近平にとって脅威だったに違いありません。

習近平が言及している自由貿易や経済のグローバル化とは「一帯一路」というユーラシア大陸やアジア諸国をひとつの経済圏とする思想を指すのだったと考えられます。しかし、そのようなまやかしだったことが今年なってから明らかになっています。

中国は世界貿易機関(WTO)に加盟したことで、世界のどこの国にも輸出できるようになりました。WTOには自由貿易のルールがあります。そのうちの一つは、「輸出補助金の禁止」。国家が企業の輸出促進のために補助金を出したら、企業のコストは下がり、輸出先での価格も下がるります。公平な自由市場を歪めるため、こうした行為は禁じられています。

ところが、中国は大量の輸出補助金を出し、実質的な国有企業として市場介入しています。

また、外国企業が中国に進出してきたら技術を公開させ、それを盗み、堂々と自国のものにします。国際ルールを破って、やりたい放題なのです。

そんな中国に対して、WTOも国連も過去のアメリカ大統領たちも無策でした。そこに待ったをかけたのがトランプ政権です。

世界を驚かせたのが、トランプ大統領が金正恩委員長に会った直後に、中国に対して、2000億ドルの制裁関税を言い出したことです。今起きていることは、単なる貿易紛争ではなく、米中の熾烈な覇権争いなのです。覇権争いという文脈でみれば、トランプ大統領や習近平の行動が良く理解できます。

それにしても、なぜアメリカは中国にこれほどの貿易赤字を許してきたのでしょうか。

1990年代の米国は、「製造業が海外に移転しても一向に困らない。これからのアメリカは"ものづくり"ではなく、金融とハイテクの大国になる」という風潮でした。

その結果、製造業の工場は国内からなくなり、労働者は職を失いました。そこにトランプ大統領が現れ、「工場をアメリカに戻す」と公約し、それを果たすために、減税と今回の関税政策を行いました。

関税のない「自由貿易」は、グローバリズムという資本主義の発展形に見えました。しかし、現実は、庶民と労働者を貧しくし、代わりに、中国に莫大な貿易黒字を許したのです。

トランプ大統領は、この反省に基づき、反グローバリズムへ、そして、中国の覇権阻止、自由貿易は尊重しながらも、ナショナリズムの回帰へと、国家戦略を大転換しているのです。これは、トランプ政権が終わった後にも、大部分が継承されるでしょう。

この大転換の中で、中国との軍事衝突はなるべく避けるという姿勢ではありながら、必要があれば、軍事的衝突も辞さないでしょう。そのためにこそ、海軍を大増強を目指し、先日はこのブログでもお知らせしたように、空軍力の大増強も目指しているのです。

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2018年6月24日日曜日

沖縄の米軍、朝鮮半島のためだけではない 在韓米軍撤退すれば在日米軍拡充も―【私の論評】安保に無頓着な翁長知事には、沖縄を任せられない(゚д゚)!

沖縄の米軍、朝鮮半島のためだけではない 在韓米軍撤退すれば在日米軍拡充も

沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場
写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 朝鮮半島が緊張緩和すれば、辺野古移設は必要なくなる-。沖縄県の翁長(おなが)雄志(たけし)知事は23日の沖縄全戦没者追悼式で、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する理由として「東アジアをめぐる安全保障環境の変化」を挙げた。だが、沖縄に駐留する米海兵隊は朝鮮半島有事のためだけに存在するのではない。朝鮮半島情勢の変化に基づく在沖米軍の縮小論は十分な根拠に裏付けられているとはいえない。

 翁長氏はこれまで、辺野古移設が「沖縄の基地負担軽減に逆行している」と訴えてきた。しかし、住宅密集地に位置する普天間飛行場が移設できれば、周辺住民の負担軽減につながる面は否定できない。

23日の沖縄全戦没者追悼式にて

 そこで、辺野古移設に反対する新たな理由として加えたのが朝鮮半島情勢の変化だ。米政府は12日の米朝首脳会談を受け米韓合同軍事演習の一部を中止しており、これにからめた議論は耳目を集めやすい。

 23日の式典でも、翁長氏が朝鮮半島情勢を引き合いに辺野古移設を批判すると、大きな拍手を浴びた。翁長氏は20日の県議会でも米朝首脳会談に関連し「10年以上かかるような基地を着々と造る状況は、東アジアの安全保障という面からも心配だ」と述べていた。

 しかし、朝鮮半島の緊張緩和が即座に在日米軍の削減にはつながらない。防衛省幹部は「在日米軍の駐留根拠は朝鮮半島だけではない」と語る。在沖米海兵隊は、日本の防衛支援や台湾、南シナ海有事への対応など広範な任務も有する。

 小野寺五典防衛相は23日、翁長氏の発言について「在日米軍基地は北朝鮮のみならず、この地域の安全保障上の重要な役割を果たしている」と反論した。

 韓国に駐留する陸軍主体の米軍約2万8千人も、朝鮮半島有事への対応だけが任務ではない。昨年6月の米韓首脳会談で署名した共同声明には「米韓はアジア太平洋地域でルールに基づく秩序を維持するため協働する」と明記しており、マティス米国防長官も今年5月に在韓米軍がアジア太平洋全体の安定に貢献していると説明した。

 仮に在韓米軍が撤退しても、どこかで穴埋めをしなければならない。日米外交筋は「在沖米海兵隊の重要性が高まりこそすれ、必要なくなるということはあり得ない」と断言する。

 韓国陸軍とも交流がある元陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏は「在韓米軍が撤退するなら在日米軍を増やさなければならない」と指摘する。翁長氏の発言は「結論ありき。辺野古移設が嫌だから朝鮮半島の緊張緩和が米軍縮小につながると思い込んでしまう」と述べた上で、こう続けた。

 「安全保障で一番危険なのはウィッシュフル・シンキング(希望的観測)だ」

 沖縄県では11月に知事選が予定されている。朝鮮半島の緊張緩和で米軍が不要になるという認識が浸透すれば、辺野古移設に反対する候補に有利に働くことは間違いない。選挙目当ての希望的観測で安全保障を損なうことがあれば事態は深刻だ。(杉本康士)

【私の論評】安保に無頓着な翁長知事には、沖縄を任せられない(゚д゚)!

朝鮮半島が緊張緩和すれば、辺野古移設は必要なくなるなどと、翁長知事は語っていますが、本当にそうなるかどうかなど全く予測がつきません。特に在韓米軍の撤退もあり得る現在、沖縄の米軍基地の存在意義はますます高まりつつあります。

北朝鮮が核兵器を廃棄するにしても、体制存続の保証と在韓米軍撤退という結果を勝ち取れば、北の「外交上の大勝利」と位置付けられることになります。これはスポンサー的立場にある中国やロシアにとっても、歓迎すべき米国側の譲歩といえます。

特に中国としては、朝鮮戦争以来の頭痛の種が1つ取り去られることになります。

この前提となるのが、韓国がいまや、米国にとって「信頼できる同盟国」ではなく、「厄介なお荷物」に過ぎなくなっているという現実です。

米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備では、保守と呼ばれた朴槿恵(パク・クネ)政権ですら反対しました。

左派の文在寅(ムン・ジェイン)政権は昨年10月、(1)米国のミサイル防衛システムには加入しない(2)日米韓の安全保障協力は軍事同盟に発展しない(3)THAADミサイルを追加配備しない-という3条件をチャイナに確約してしまいました。米国にとっては「同盟国への裏切り」としか言いようのない従中外交です。

文在寅

文氏は昨年8月、「朝鮮半島で米国に軍事行動をさせない」と明言しました。トランプ氏は同11月に訪韓しましたが、韓国の大統領補佐官は直後の記者会見で、米韓共同声明を否定する発言をしました。

文氏は、北朝鮮を攻撃しようとする米国を止めるのが使命だと信じています。こうした事実を冷徹に認識し、トランプ氏が「北朝鮮の非核化」の代償として、「在韓米軍の撤退」を決断する可能性は十分にあります。文政権も歓迎することでしょう。

そうなれば、日本の国防最前線は、38度線から対馬海峡に南下することになります。日本は国家存続のため「自主防衛の強化」と「日米安保の充実」で臨むしかありません。そうなれば、当然のことながら、沖縄の米軍基地の存在はさらに大きなものになります。

日本の国防最前線は、38度線から対馬海峡に南下することに?

さらに、将来北朝鮮と韓国が連邦化されたり、場合によっては統一される可能性も捨てきれません。そうなれば、ますます沖縄の米軍基地は、存在価値を増すことになります。

さらに、最近では米中の貿易戦争が話題となっていますが、その他にも、このブログで指摘してきたように、北の問題がある程度収束すれば、今度は台湾をめぐる米中の争いがあらわになるのは目にみえています。

その原因をつくったのは、南シナ海の環礁を実効支配するだけでなく、埋め立てをし、自らの軍事基地にした中国です。その中国は尖閣列島付近でも、日本に対する示威行動を続けていて、収まる気配もありません。

今や、中国は米中にとって仮想敵国です。日米は、否が応でも、中国に対峙するように、中国に仕向けられているといっても過言ではありません。

このようなときに、沖縄から米軍が基地がなくなるようなことでもあれば、中国が沖縄に進出するのがたやすくなり、それこそ中国が尖閣どころか沖縄に侵攻し、沖縄は日本本土攻略のための、中国の最前線基地になるかもしれません。

このような危険が迫っている可能性も捨てきれないにも関わらず、翁長知事は、23日の追悼式典で、選挙目当ての希望的観測で安全保障を損なうような発言をしているのです。これでは、安保に無頓着と謗られても致し方がないです。

翁長知事は、日本の安全保障のことはもとより、沖縄県民の安全保障なども全く考えていません。そんなことより、選挙のことで頭がいっぱいのようです。このような人物は沖縄県知事とふさわしくはありません。冒頭の記事にもあるように、沖縄県では11月に知事選が予定されています。沖縄県民の賢明な判断を期待したいです。

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2018年1月1日月曜日

ウーマンラッシュアワーの村本大輔氏、テレ朝の「朝生」に出演 「侵略されたら降参する」 「沖縄はもともと中国から取ったんでしょ」―【私の論評】保守は村本氏のような人物こそ仲間に引き入れよ(゚д゚)!

ウーマンラッシュアワーの村本大輔氏、テレ朝の「朝生」に出演 「侵略されたら降参する」 「沖縄はもともと中国から取ったんでしょ」


お笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔氏(37)がテレビ朝日系討論番組「朝まで生テレビ元旦スペシャル」(1日午前1時から同5時50分)に出演した。

村本氏は、尖閣諸島問題に議論が及んだ際、「非武装中立論」を説き、「(尖閣が)侵略されたらどうするの」との問いに「白旗をあげて降参する」と主張。「なぜ中国や北朝鮮が日本を侵略するのか、意味が分からない」などと述べた。 また「尖閣諸島は人を殺して国を守るなら、(尖閣を)取られてもいい」と答えた。龍谷大の李相哲教授が「沖縄をくださいと言ったら、あげるわけですか」と問いかけると「もともと(沖縄は)中国から取ったんでしょ」と答えた。


尖閣諸島の部分の主な討論内容は以下の通り

井上達夫・東京大大学院教授「村本さん、非武装中立が多くの人は何を意味するか理解しないでいっているわけね。じゃあ、攻撃されたらどうしますか」

村本氏「なぜ攻撃されるんですか」

井上氏「侵略されないに越したことはない。じゃあ、もし侵略されたらどうするの。白旗を挙げて降参するの」

村本氏「僕はそっちかなと思います」

井上氏「そしたら侵略者に対して、侵略者に侵略のインセンティブを与えちゃうよね」

村本氏「なぜ、侵略されるのか、意味が分からないです。なぜ、中国や北朝鮮が日本を侵略するという発想になるのか、私、分からない」

井上氏「それは君が問題を避けているの。君の良いところは問題を逃げないことだと思ったけど、今までの非武装中立論は皆、そうやって…」

村本氏「手を挙げて言います。白旗を挙げて…」

司会の田原総一朗氏「例えば具体的に言うと、もしも日本が、米軍と自衛隊がいなかったら、尖閣は、中国は取るよ」

村本氏「分かりました。じゃあ、僕は逃げずに答えますけども、僕は…僕の意見は…」

田原氏「取られても良いわけね」

村本氏「僕は取られても良いです。僕は明け渡します。僕はですよ」

田原氏「何で」

村本氏「だって、だって…、もし皆さんの身内に自衛隊とか軍隊がいて、その身内が人を殺して国を守ることって…」

井上氏「じゃあ、自分の身内が殺されるってときに、敵を殺さないで自分が殺される状況に置かれたらどうする? 」

村本氏「じゃあ、殺されます」

井上氏「何で」

村本氏「だって、誰かを殺すわけでしょ」

井上氏「そういうこと、言う人は多いの」

村本氏「分かりました」

李相哲・龍谷大教授「尖閣諸島をよこせと言ったら大丈夫だと言ったけど、じゃあ、沖縄を下さいと言ったらあげるんですか」

村本氏「もともと中国から取ったんでしょ」(WEB編集チーム)

【私の論評】保守は村本氏のような人物こそ仲間に引き入れよ(゚д゚)!

ウーマンラッシュアワー
村本氏というと以前から物議をかもしていました。つい最近も、12月17日放送の『THE MANZAI』(フジテレビ系)でウーマンラッシュアワーが演じた漫才が大反響を巻き起こしていました。彼らが披露したのは、社会問題をテーマにした漫才。村本大輔が早口でまくし立てるようにしゃべりまくり、中川パラダイスが合いの手を入れていく。取り上げる話題は、原発問題、沖縄の米軍基地問題など、多岐にわたっていました。

芸人が社会問題や時事ネタを漫才で扱うこと自体は、それほど珍しいことではありません。爆笑問題やナイツもそういうネタをやっています。ただ、この時のウーマンラッシュアワーの漫才がそれらと違うのは、ネタの端々にメッセージ性が感じられたことです。単に漫才の素材として社会問題を取り上げているだけではなく、それについて自分たちがどう考えているのか、受け手にどう感じてほしいのか、ということがはっきり伝わってくる内容でした。

ウーマンラッシュアワーでネタ作りを担当している村本は、かつて『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)に出演したときにも、自身のレギュラー番組『ウーマンラッシュアワー村本大輔の土曜The NIGHT』(AbemaTV)でも、社会問題について自由に意見を発信してきました。この漫才もそんな彼の活動の延長線上にあったようです。

ただ、ここで注目すべきは、彼らがメッセージ性の強い漫才を演じて、観客から拍手混じりの大きな笑いを取った、ということです。安易な政治風刺ネタは、感心されることはあっても、笑いにつながることはないです。日本人の国民性には馴染まないような政治色の強いネタで、若い世代の観客をきちんと満足させたのが何よりも評価すべきことだったかもしれません。

中でも圧巻だったのは、漫才の結末部分。被災地の復興問題、沖縄の基地問題、北朝鮮のミサイル問題など、大事な問題はたくさんあるのに、ニュースで取り上げられるのは芸能人の不倫ネタばかり。本当に危機感を持つべきなのは「国民の意識の低さ」である、とビシッと言い切りました。そして、村本は「お前たちのことだ!」と捨て台詞を残して舞台を去っていきました。このオチの部分からは、村本が常日頃から人々に対して抱いている苛立ちのようなものがダイレクトに伝わってきました。



村本は、漫才や漫談において、自分の言いたいことを言って笑いを取ることを信条としています。自分の頭で考え、自分の体で感じたことでなければ、他人の心を動かすことはできないからです。

ところが、そのような芸風を続けていると、業界内では反感を買うことも多いです。同業者から「アイツはトガっている」「大人げない」などと陰口を叩かれたり、テレビ制作者からは「扱いづらい」「めんどくさい」などと思われたりします。村本はそんな現状への不満を募らせているようです。

また、このような芸人はともすると左翼系からも利用されてしまいがちです。実際「反安倍」を掲げる左翼が同氏を利用しようと躍起になっているようですが、当の本人はこういった動きに応じる様子もなく、むしろ批判的な考えも持っているようで以下のようなツイートをしています。


社会問題について、タレントがテレビで何らかの主義主張を口にしたりすることは、基本的にタブー視されています。ただ、それは明らかにメディア側の自主規制です。余分なトラブルが起こることを避けたいだけなのです。

村本が仕事で沖縄を訪れた際に、基地問題をネタにした漫才を披露したところ、大いに盛り上がった上に、ネタが終わった後で観客からの拍手が鳴り止まなくなったといいます。この経験から村本が学んだのは、社会的な問題の当事者こそが、それをネタにして笑い飛ばしてくれることを誰よりも望んでいる、ということでした。

村本大輔氏
それは、なぜアメリカではコメディアンが政治風刺ネタをやるのか、ということにも関係しています。多くのアメリカ人にとっては、政治、人種、宗教が身近で切実な問題なのです。だから、それを笑いのネタにすることが求められているのです。

しかし、日本人の多くは、人前で政治的な主張をしたり、議論を交わしたりすることを好まないです。政治風刺ネタにニーズがないので、ほとんどの芸人はそれに取り組もうとしません。

しかし、村本はあえてそこに切り込んだのです。ニーズがないなら、作ればいい。笑いという武器を使って、自分の言いたいことを全力で言う、というのが彼の本当の狙いのようです。いわば、観客のレベルに合わせるのではなく、観客を自分の求めるレベルまで高めようとしているのです。こんなにも壮大な野望を抱えて漫才をやっている芸人はほかにいないかもしれません。

ウーマンラッシュアワーの漫才は、単に題材として社会問題を扱っているだけの「社会派漫才」でありません。それは、事なかれ主義の日本人の意識を根底から変えようとする、前代未聞の「啓蒙漫才」のようです。

番組終了後、村本さんが自らのツイッターで、
2018年になりましたが、いま2018年の一年分くらいネットで叩かれてると思います。。
とつぶやいたように、ネット上では番組の一部分を切り出した動画が拡散するなどして、かなりの賛否両論が巻き起こっている。しかし本人は、
あとおれが前から自分は無知だ、と言ってて、今回の朝生のオファーあった時に、小学生以下のバカ丸出しの質問して話し止めるけどそれでいいなら出るってのが条件だったから、おれ的にはなんでも質問できて、最高に楽しかった。元旦から何見せられてんだって方、クレームは田原さんと朝生へ。 
テレビで無知晒してバカ晒してまわりにブチ切れられて誰かが学べばいいんじゃない?自ら賢いなんか一言も言ってないおれを呼ぶってのはそういう番組だってこと。その理由に終わりで田原さんが最高だった、ってわざわざ声かけて来てくれた。
と胸を張っています。ただ「中国から......」の部分だけは、琉球王国と中国王朝が冊封関係にあったことを「拡大解釈」してしまったと反省を口にしていたようです。

1月1日の「朝ナマ」に出演中の村本氏
確かに今回の非武装中立に関して、村本大輔氏の考えはいただないものでした。この点は、私もそう思います。批判が多いこともある程度仕方ないとは思います。

しかし、ここで私が一ついいたいのは、未だに「非武装中立論」が絶対善であると信じている人たちも少なからず存在するという事実を思い起こしていただきたいです。

これらの間違いを指摘したとしても、これらの人たちを変えることはできないでしょう。今回は、村本氏自身が「非武装中立」の立場から語ったため、大きな批判をうけているといことですが、もし村本氏が「非武装中立」の非合理性に気づいたとしたら、彼は、彼なりのパフォーマンスで、芸人としてその非合理性を訴えるようになると思います。

村本氏は、「権力を振りかざすやつもすごく苦手だが反権力を高らかに叫び自分と同じものは大歓迎、違うものは許さないという自分の中の独裁者に気付いてないやつも同じくらい苦手」としています。

いわゆる右翼系やいわゆる保守系の人々の中にも、「自分と同じものは大歓迎、違うものは許さない」という人も多いです。

私自身は、完璧に言葉の意味どおりの「保守」(本来の保守の意味は「中庸」に近い)であり、常日頃から「敵を増やすよりも、仲間をふやそう」という主義です。だから、自分と違うものでも許せます。

無論、私は譲ることができない部分もありますが、何から何まで自分の思うのと同じでないと駄目というような考え方はしません。たとえば村本氏であれば、何か一つでも自分と同じような考え方をしていれば、それを多くの人に広めていただければ、それはそれで良いことではないかと思います。

だから、村本氏のような人物を単に批判するだけではなく、できら仲間にしたいと考えてしまいます。

私は、常日頃から、マクロ経済や金融政策と雇用の密接な関して理解をしていない人が多いことに憤りを感じたり、安全保障の面でもお花畑のような人たちに憤りを感じていたりしますが、村本氏のような芸をもっていたら、あっと言う間に大勢の人にそれらの真の意味を伝えられるのではないかと思います。


金融政策の波及経路

しかし批判するだけでは、何も変わりません。村本氏のような人物こそ、仲間に引き入れるべきではないのかと思います。

「テレビで無知晒してバカ晒してまわりにブチ切れられて誰かが学べばいいんじゃない?」という村本氏は語っています。自分は知識が豊富で、優秀で、自分の考えていることは、何から何まで絶対善だと思い込むような全体主義者と比べれば、村本氏のほうが余程まともです。

世の中いわゆるインテリを自称する人、あるいは自称しないまでも自認する人は、少数派です。世の中を動かそうと思えば、普通の人たちを動かさなければならなのです。

本年は、真性保守として、このような人物を一人でも多く仲間にひきいれる努力をしていきたいもです。これを今年の抱負にしようと思います。

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2017年2月24日金曜日

「辛淑玉氏の抗議行動は言論弾圧」「ニュース女子」出演の沖縄県民らが会見 基地反対派の「暴力動画」に息をのむ会場―【私の論評】沖縄で何が起こっているのかは、明らか(゚д゚)!

「辛淑玉氏の抗議行動は言論弾圧」「ニュース女子」出演の沖縄県民らが会見 基地反対派の「暴力動画」に息をのむ会場

のりこえネット共同代表の辛淑玉氏が講演で「爺さん、婆さんは嫌がらせをしてきて下さい」
と話している場面の動画。写真・動画はすべてブログ管理人挿入。
東京新聞の長谷川幸洋論説副主幹が司会を務める東京MXテレビ「ニュース女子」の番組内容が虚偽の内容にあたり、自身の名誉を毀損(きそん)されたとして、市民団体「のりこえねっと」の辛淑玉(シン・スゴ)共同代表が放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会に番組内容の審議を申し立てたことについて、沖縄県民として同番組に出た「琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会」代表運営委員の我那覇真子(がなは・まさこ)さんらが24日、東京都内で会見し、「辛淑玉氏らの行為は言論弾圧だ」と批判した。

我那覇さんら沖縄県民3人は、同番組にインタビュー映像で登場。この日の会見で、我那覇さんは「辛氏には公開討論を申し入れたが、回答期限を過ぎても連絡がない」とし、「人権を悪用してMXテレビを弾圧し、人身攻撃をしている」と批判した。

会見に出席したタレントで弁護士のケント・ギルバート氏は「沖縄に行けばこうした事態はすぐに目につく。なぜメディアは報じないのか」と憤った。

会見中には、沖縄平和運動センター議長の山城博治被告(64)=器物損壊などの罪で起訴=らが沖縄防衛局職員に暴行する場面、米軍関係者の車を取り囲んで「米軍、死ね」と何度も罵声を浴びせる場面などの動画も流された。(ブログ管理人注:以下にその動画を掲載します)



質疑で朝日新聞の編集委員が「いつ、どこであったことなのか。どうやって入手した動画なのか。それが分からないと記事が書けない」と質問し、ケント・ギルバート氏が「自分で見てくればいいじゃないか」と返す場面もあった。

我那覇さんによると、2月13日付で公開討論の申し入れと公開質問状を送ったが、24日までに回答がなかったという。

質問状では、(1)反対派活動家が沖縄県東村高江地区で違法で私的な車両検問を行っている(2)同地区で多数の車両を縦横に放置し、地元住民の生活を脅かしている(3)日常的に反対派住民が職務中の防衛局、機動隊、建設作業員らに暴行したり、ヘイトスピーチを行っている(4)立ち入り禁止区域に不法侵入したこと(5)機動隊員が宿泊するホテルで、脅迫などを行っている-とし、これらの事実を討論するよう申し入れていた。

我那覇真子(がなは・まさこ)さん
我那覇さんは「東京MXテレビへの抗議は、言論弾圧、人身攻撃だ。沖縄を分断させる反日工作活動につながっている。なぜ北朝鮮による日本人の拉致事件や人権弾圧に声をあげずに、こうしたことばかりするのか」と辛氏らを批判。

沖縄の報道については「ニュース女子問題は沖縄タイムス、琉球新報ともに連日大きく報じられている。デマだと決めつけているが、私たちには一度も取材がないのはどういうことなのか」とも語った。(WEB編集チーム)

【私の論評】沖縄で何が起こっているのかは、明らか(゚д゚)!

東京MXテレビ「ニュース女子」の沖縄特集の番組の動画を以下に以前もこのブログで掲載しましたが、再度掲載します。



この動画を以前このブログにも掲載したように、この番組がどうして問題なのか、全く理解できません。以下に掲載した動画の数々をご覧いただれば、誰もこの動画に問題があるとは言わないでしょう。

上の記事で、のりこえネット共同代表の辛淑玉氏が講演で「爺さん、婆さんは嫌がらせをしてきて下さい」と話している場面の動画を以下に掲載します。



上の記事の、質問状の4つの項目を裏付けるような内容の動画は、YouTubeをみれば、いくらでも転がっています。以下に一部を掲載します。





質疑で馬鹿な朝日新聞の編集委員が「いつ、どこであったことなのか。どうやって入手した動画なのか。それが分からないと記事が書けない」と質問したそうですが、これはいくつかのそれも別々の動画を見れば、少なくとも沖縄で何が起こっているのかくらいはわかるはずです。

何かとてつもないことが起こっていることだけは、いくつかの動画をみただけでわかるわけです。以下にそれらを掲載します。







これらは、別々の人たちが撮影した動画です。これを見ても、何かとんでもないことが起こっているかもしれないと認識できない人は、異常です。

朝日新聞をはじめとする、日本のメディアのほとんどはこのようなことがわかつていながら、何も報道しないわけです。これは、左翼だとか、リベラルだとか、立場の違いを超えてメデイアの使命として、何度か沖縄に足を運び自ら取材すべきでしょう。

それをせずに、報道をしない自由を行使しているのが、日本のメデイアなのです。そうして、米国の大統領選挙の報道では、クリントン有利、トランプは問題外という報道を続けてきたのが、日本のメディアです。

そもそも、沖縄でこんなようなことがあることがわかっいても書かないのです。南京虐殺や、慰安婦問題などでは、証拠を捏造してまで記事を書いたのに、沖縄の基地反対派の異常性には全く報道しません。

高江でのデモで逮捕者がでていますが、その比率は沖縄県外の人がほとんどです。県外出身者が沖縄における基地反対闘争の「コア」を形成していることは間違いないでしょう。逮捕者の中には韓国籍の者もいますが、高江の反対派テントに常駐するパク・ホンギュン事務局長も、関西出身の在日韓国人と言われています。

「闘争」の最前線に見られるこうした現実を突き付けられると、「沖縄の声を聴け」「沖縄の民意を無視するな」という彼らのスローガンが虚しく響いてきます。沖縄の新聞は好んで「住民」という言葉を使って辺野古や高江の抗議運動をサポートするのですが、この場合の「住民」には地元住民は殆ど含まれていません。

沖縄県民を「住民」と見做すには無理がありますが、例えその主張を認めたとしても、本土から駆けつけた相当数の応援団まで「住民」に含めることはできません。こうした「住民」が、非合法活動に平然と手を染めていることも併せて考えると、この運動の性格を、県民による純粋な平和運動・基地反対運動とは見做せないことは明らかです。

外国籍の活動家の存在も無視できません。以前から在日朝鮮人や韓国籍の一時滞在者が、辺野古や高江の活動に積極的に関わっていることは指摘されていましたが、ある在日関係者によれば、在日韓国人・朝鮮人の団体が、組織的に沖縄での活動を支援しているといいます。その関係者によれば、彼らの間でこうした活動は「離日運動」と呼ばれているらしいです。日本から離れる運動ではなく、国際社会における日本の品位を落とすための活動だというのです。

辺野古漁港を不法占拠し続けるテント村の前にハングルの横断幕
もしこうした情報が事実であれば、一連の活動は、沖縄の米軍基地負担を軽減するためのものなどではなく、既に別次元の領域に足を踏み入れつつあると言わざるを得ません。「反差別運動」と言えば聞こえはいいのですが、その差別とは、日本という国のシステムを全否定するための「虚構の差別」です。

そうであるなら、これは住民運動でも平和運動でもなく、単なる「反日運動」です。「土人発言」を前面に出して、「沖縄140万県民は、差別と抑圧の中で辛うじて生きる少数民族であり、日本政府と日本人は植民者・抑圧者だ」と主張する反日運動は、日本の安全保障とは何の関係もありません。実体のない「差別」が、基地問題に強引に結び付けられているだけです。

高江のヘリパッド移設工事は年内は終わり、北部訓練場の半分は昨年12月22日に返還されました。この返還式には、翁長知事は欠席しました。辺野古訴訟も負けました。

翁長雄志沖縄県知事は、運動側のこうした転換を十分認識しているはずですが、その流れを食い止めるのではなく、逆に加速する政治姿勢を採っています。知事が願う沖縄の幸福とは何なのでしょうか。知事は県民の命と暮らしを守る意思があるのでしょうか。

これだけ、混乱を招いたことに翁長知事はどのようにして、責任をとるというのでしょうか?そうして、このような翁長知事の暴挙を報道しない自由を行使して協力したメディアはどう責任をとるのでしょうか。

そうして、沖縄で何が起こっているかなど、マスコミが報道しなくても、YouTubeやニコ動でもみれば誰にでもわかります。にもかかわらず、マスコミが報道しない自由を追求しつづけるというのなら、問題外です。ますます、多くの人が、購読したり視聴しなくなるでしょう。

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2016年12月21日水曜日

「そんな軽い話ではない」菅義偉官房長官が翁長雄志知事に不快感 返還式典欠席で抗議集会参加の意向で―【私の論評】沖縄だけ治外法権のように振る舞わせるな(゚д゚)!

「そんな軽い話ではない」菅義偉官房長官が翁長雄志知事に不快感 返還式典欠席で抗議集会参加の意向で

翁長知事のTwitterのプロフィール写真
菅義偉官房長官は21日午前の記者会見で、沖縄県の翁長(おなが)雄志(たけし)知事が名護市で22日に開かれる米軍北部訓練場(東、国頭両村)の返還式典に出席せず、米軍の新型輸送機オスプレイによる不時着事故の抗議集会に参加する意向を示していることに関し「『歓迎する』と言っていたではないか。そんな軽い話ではない」と不快感を示した。

 翁長氏は10月、菅氏と面会した際に米軍北部訓練場の年内返還を目指す政府方針に対して「歓迎する」と発言。しかし、その後「不適切だった」として自身の発言を撤回した。

【私の論評】沖縄だけ治外法権のように振る舞わせるな(゚д゚)!

翁長知事は、一体何を考えているのでしょうか。県民の希望にもかなう基地返還の式典ではありませんか。

しかも、事前に「歓迎する」と行っていたはずではありませんか。本当に沖縄県民は、翁長知事を支持しているのでしょうか。このような知事一日でも早くやめてほしいとは思わないのでしょうか。

沖縄県知事・翁長氏の娘は中国・北京大学に留学後、上海の政府機関で働く男性と結婚。その男性は中国共産党・太子党幹部の子息だといいます。太子党といえば、習近平国家主席も属している派閥です。


中国では、太子党派閥の習近平が、反腐敗運動という名の、権力闘争を他の派閥に対して仕掛けています。

翁長知事の親中路線は「娘婿の親の顔を立てるために中国に配慮した」ように見えますが、悪く見れば「中国に人質をとられて、中国の言いなりになっている」ようにも見えます。

沖縄県知事選で当選を確実にし、娘たちと抱き合って喜ぶ翁長雄志氏

こういう人物が「日本国沖縄県の知事」であってもよいのでしょうか?このことは、沖縄県の皆様はご存知なのでしょうか。

それにしても、沖縄は県知事もそうですが、市役所などの他の自治体も異常です。下の写真をご覧下さい。

以下は、市役所の職員がオスプレイノーバッジをつけて、業務をしていたことを示す写真です。



以下に、この写真に関連した新聞記事を掲載します。これらは、残念ながら、現在ではリンク切れになっています。
オスプレイ「NOバッジ」着用 中城、宜野湾の役所職員(2012年10月23日 琉球新報)

 【中城・宜野湾】中城村と宜野湾市の職員が22日、普天間飛行場へのMV22オスプレイ配備反対を示す赤いバッジを着けて業務を始めた。中城村職員労働組合が200個、宜野湾市職員労働組合が1500個を職員に配布した。
 中城村では浜田京介村長が賛同し、管理職や臨時職員にも着用を呼び掛けた。配備以降、村内での飛行が始まったことから、稲嶺盛昌・村職労執行委員長は「公務の職場で働く職員の立場から強行配備の撤回につなげたい」と話した。 
 宜野湾市では川上一徳市職労委員長が佐喜真淳市長に管理職のための100個を手渡した。バッジはオスプレイの絵と「NO」の文字で配備に反対する意思を示している。 
オスプレイ:反対の特製バッジ着けて業務(2012年10月22日 10時02分 沖タイ)

 【宜野湾・中城】宜野湾市と中城村では22日から、職員がオスプレイ反対の特製バッジを着けて、業務に当たる。配備が強行されたことを受け、宜野湾市職労が1500個、中城村職労は200個を準備した。組合員だけでなく、管理職にも着用を呼び掛ける。

 両市村とも同じバッジで、オスプレイの黒い影の上に、「NO!」の文字や「×」マークがプリントされている。中城村では浜田京介村長が快諾。稲嶺盛昌執行委員長は「復帰40周年のプレゼントがオスプレイなんていうことは許されない。村民の生命・財産を守るために一丸となって取り組みたい」と話している。
これは、公務員にあるまじき行為であり、特定の思想を公職の立場を利用して、流布するのはいかがなことか思います。これは、完璧に公務員法35条、36条ともに違反です。

この異常な状態、そのまま放置しておくわけにはいかないでしょう。沖縄は、日本なのですから、沖縄だけあたかも治外法権のように振る舞わせておくべきではありません。

無論、多くの沖縄県民の多くは、翁長知事の行動を快く思っていないでしょうし、県庁や市役所の職員が公務員にあるまじき行動をしていることを快く思っていないでしょう。

いずれ、橋下徹氏のような人を、沖縄県知事や市長になって、馬鹿な県庁職員や、市役所職員と対峙して、これを改めていただきたものです。

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2016年6月19日日曜日

沖縄県民大会 革新にのみこまれた翁長氏 ついに「海兵隊撤退」言及―【私の論評】オール沖縄は、すでに骨抜き状態(゚д゚)!


沖縄で米軍属が逮捕された女性暴行殺害事件に抗議し、被害女性を追悼する「県民大会」で、
「怒りは限界を超えた」と書かれた紙を掲げる参加者たち=19日午後、那覇市の奥武山公園
那覇市で開かれた県民大会のメーン会場となった奥武山公園の陸上競技場は那覇空港からモノレールで約10分で着く。開会の30分前、最寄り駅の改札は会場に向かう人たちで長蛇の列ができていた。

平成7年に米兵少女暴行事件に抗議し、主催者発表で約8万5千人(県警発表は約5万8千人)を集めた県民大会の会場は宜野湾海浜公園だった。空港から車で30分以上かかる。

今回の大会に出席を見送った市長の一人は「県外からの動員を期待して会場を決めたはずだ」と指摘する。

声を張り上げて演説する翁長雄志・沖縄県知事=19日
午後3時10分、沖縄県那覇市の奥武山陸上競技場

■参加のハードル

「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾」

大会名にはこんなスローガンが掲げられ、採択した決議には「海兵隊の撤退」が盛り込まれた。これは翁長雄志知事が参加する上で高いハードルだった。翁長氏の公約は米軍普天間飛行場(宜(ぎ)野(の)湾(わん)市)の名護市辺野古移設阻止で、革新勢力が訴える海兵隊の撤退までは求めていないからだ。

翁長氏は苦肉の策で、辺野古移設阻止や、自民党が主張する基地の整理・縮小も「海兵隊撤退という言葉の中に含まれる」との方便を持ち出し、大会参加に踏み切った。政府高官は「海兵隊の撤退要求は日米安保体制を否定するもので、(翁長氏が)保守政治家として日米安保に理解を示すというのであれば明確に一線を画すべきだ」と批判する。

ただ、オール沖縄会議の支援を受ける翁長氏にとって大会に不参加という選択肢もなかった。今月5日の県議選で議席を増やし、発言力を高める革新政党に決議内容を固められた末に大会に引きずり出され、海兵隊撤退要求にも言及せざるを得ず、保守政治家を自称する根拠はさらに乏しくなったといえる。

会場に集まった人たち=19日午後1時半、沖縄県那覇市の奥武山陸上競技場
 ■砂上の楼閣は
翁長氏を支持する勢力のうち唯一の保守系議員の集まりである那覇市議会会派「新風会」の2人は県議選で共倒れし、会派も分裂。翁長氏は日米安保や米軍基地を指して「砂上の楼閣」という言葉を好んで使うが、「(翁長氏は)革新にのみこまれ、保革融合のオール沖縄こそ砂上の楼閣」(県幹部)と指摘される。

革新政党の主張が前面に掲げられた大会に自民、公明両党が参加できるはずもなく、翁長氏が望んだ超党派での開催も実現しなかった。超党派開催だった7年の大会が普天間飛行場の返還合意へと日米両政府を突き動かしたのに対し、今回の「政治集会」の訴求力は格段に弱い。

【私の論評】オール沖縄は、すでに骨抜き状態(゚д゚)!

この県民大会は共産、社民両党や労働組合などでつくる「オール沖縄会議」が主催し、参加者は5万人を目指し、市町村長にも参加を求めていました。決議文には海兵隊撤退のほか、普天間飛行場の県内移設断念の要求も盛り込みました。

自民党沖縄県連は14日、米軍属女性暴行殺人事件に抗議する19日の県民大会について、党派を超えた実行委員会が組織されていないことや、米軍普天間飛行場の県内移設断念などを盛り込む見込みの大会決議内容が一方的だなどとして「今の状況では参加することができない」との見解を発表していました。

会見で県連の照屋守之副会長は、大会を主催するオール沖縄会議から正式な協力依頼がないとして「開催や大会決議を決める前の段階で、超党派の取り組みを模索すべきだった」と批判。「県民大会を選挙の最中に行うことにも一つの疑問を感じる」などと超党派での取り組みを求めました。

これに先立つ14日午前、島尻安伊子沖縄担当相は閣議後会見で県民大会について「自民党県連としては出席しない」と述べ、参加しない考えを明らかにしていました。

島尻安伊子沖縄・北方領土担当相

公明党沖縄県本部は、11日に現状では参加できないとの意向を主催者側に伝えていました。
おおさか維新の会沖縄県総支部は17日に記者会見し、 政党間の協議も行われないまま超党派でない集会の開催が決定したとした上で、

「自民党や公明党の参加もなく本物の県民大会にしようとした努力がみられなかった」

として集会への不参加を表明していました。

県民大会と位置づけるには首長の参加も不可欠ですが、翁長知事は参加したものの、県内11市長のうち9市長は参加しませんでした。市長の一人は「偏った主張の決議文に賛同しろという姿勢は納得できず、何をもって県民大会と強弁しているのか」と批判し、参院選後に経済界も含めた実行委員会形式で県民大会を開く構えだそうです。

19日には、会場となる陸上競技場と同じ公園内にある沖縄セルラースタジアム那覇では全国高校野球選手権沖縄大会の試合が行われる予定でしたが、県高校野球連盟は県民大会開催を受け、選手や応援の生徒の安全に万全を期す必要があると判断し、別の球場に変更しました。同スタジアムはプロ野球公式戦にも使われ、球児の聖地とされるだけに、県民大会が試合の機会を奪ったことへの批判も強いです。

ほかにも公園内では高校生の柔道大会や中学生の軟式野球大会が予定されており、影響が懸念されていました。

この会議「オール沖縄会議」が主催といいながら、保守系の政党は参加せず、沖縄の12ある市のうち、9つもの市の市長が参加しなかったということです。
オール沖縄は、既に骨抜き状態と言っても良いです。
この兆候はすでにみられていました。それについては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「オール沖縄」崩壊の兆し 那覇市議会議長の不信任案可決 唯一の保守系に亀裂―【私の論評】中国の傍若無人と弱体化とともに下火になる沖縄左翼運動(゚д゚)!
沖縄県那覇市議会
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事より一部を転載します。
沖縄県那覇市議会の金城徹議長に対する不信任決議案が17日、自民、公明両党などの賛成多数で可決された。金城氏は翁長(おなが)雄志(たけし)知事の側近で、翁長氏を支える勢力のうち、県内の市町村議会で唯一となる保守系議員会派「新風会」に所属していた。 
翁長氏は自身の支持勢力について保革融合の「オール沖縄」と喧伝してきたが、唯一の保守系議員会派に亀裂が入り、県政界では「オール沖縄崩壊の兆し」との声が上がっている。 
6月5日の県議選には新風会系として市議2人が出馬したが、ともに落選。しこりが残ったとされ、知念氏は6日に新風会を離脱して無所属となった。金城氏も議長のため現在は無所属。
さらに、翁長知事は、最近の度重なる尖閣諸島などの接続水域に中国海軍の艦船が侵入してきたことについても、未だに何の声明も出していません。

それに、沖縄県民集会と銘打っておきながら、この集会では中国海軍の侵入に関しては何の声明も発表していません。それをすれば、沖縄の基地の正当化につながることを懸念しているのかもしれませんが、沖縄県にはこれに脅威を感じている県民も多数存在しているはずです。まったく無視とはいかがものでしょうか。

今後、翁長知事や「オール沖縄」が何の声明も懸念も表明しないということであれば、これではとても全沖縄を代表しているとはいえません。

この状況が改善されなければ、沖縄県の保守も中国に脅威を抱く県民も、「オール沖縄」の呼びかけには応じないです。

「オール沖縄」はもともと沖縄県民全員を代表するものではないという声がありましたが、今回の出来事で、それがさらに明確になりました。

今回のことで「オール沖縄」は骨抜きになりました。そうして、今後「オール沖縄」は完璧に有名無実となることでしょう。

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2016年6月1日水曜日

【沖縄リポート】沖縄県民も違和感を覚える女性遺棄事件の政治利用 兼次映利加氏―【私の論評】惻隠の情を忘れた暴挙は、多くの日本人の共感を得ることはできない(゚д゚)!

【沖縄リポート】沖縄県民も違和感を覚える女性遺棄事件の政治利用 兼次映利加氏

島袋里奈さん(20)が行方不明になったときに沖縄県警が公開した顔写真
沖縄県うるま市で女性会社員(20)が遺体で見つかった事件で、元米海兵隊員で軍属のシンザト・ケネス・フランクリン容疑者(32)が死体遺棄容疑で逮捕された。容疑者は当初、暴行と殺害を認める供述をしていたと報じられた。事実なら、卑劣極まる犯行であり、同じ女性として絶対に許せない。厳罰を望みたい。ただ、事件の原因を「沖縄に米軍基地があるせいだ」とする流れには、県民の中にも違和感を覚える人は多い。

米軍普天間飛行場がある宜野湾市で電気工事会社を経営するAさんは「被害者がかわいそうだ。悔しいし残念でしようがない。ただ、このような事件があると盛り上がる『反基地運動』の先に、本当の平和があるのかは疑問だ」といい、続けた。

「日米同盟がアジアの平和と安定を守り、日本の成長を支えてきたのは事実だ。オバマ米大統領の被爆地・広島訪問でも分かるが、日米両国は悲惨な先の戦争を乗り越えて、世界のために協力している」

「例えば、県庁や警察に務める人間が事件を起こして『県庁はいらない』『警察はいらない』となるかといえば、そうではないはず。過剰な『基地反対運動』は、子供たちの判断力や自立心を奪いかねない」

沖縄メディアの中には「日米両政府の沖縄差別」といった表現を使って、県民の被差別感情を高めて「米軍基地撤去」につなげようとする動きが見られる。事件を、沖縄県議選(6月5日投開票)に利用しようとする人々もいる。

だが、尖閣諸島を含む東シナ海や南シナ海での軍事的覇権を強める隣国が存在するなか、日本とアジアの安全保障の要である米軍基地の撤去を主張することは、「力の空白」を生み、地域秩序の乱れを招きかねない。

同じく、普天間市の自営業者Bさんは「今回の事件は、国籍や職業にかかわらず、悪魔の所業であり、絶対に許されない。重い罰を受けるべきだ」といい、続けた。

「沖縄メディアは、これが別の国籍の在日外国人や、軍関係者以外の犯罪でも、ここまでの批判を展開するだろうか? 県民の間でも『反対運動家=全国から集まった労組などの関係者』という認識は広まっている。抗議デモは民主主義で認められた権利だが、事件を政治的目的に利用するのは考えものだ」

事件への怒りは、二度と悲劇を繰り返さない取り組みに向けながら、冷静に、沖縄と日本、アジアを守る安全保障を考えたい。

兼次映利加(かねし・えりか)

【私の論評】惻隠の情を忘れた暴挙は、多くの日本人の共感を得ることはできない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事の兼次さんの主張は、もっともなことです。このような悲惨な事件を政治利用するのは、正しいことではありません。

兼次映利加
20歳の女性、島袋里奈さんの死体遺棄事件で沖縄の元海兵隊員が逮捕されるや、沖縄県知事は米軍基地批判の声明を出しました。

その後、事件の真相解明には、ほど遠いまま、反基地運動だけが大きくなっています。

そう動きを被害者の父親はどうみていたのでしょうか。

「今は里奈を成仏させてあげたい。あとは憎しみと悲しみがあるだけです。」

と胸中を語りました。

女性会社員の遺体発見現場付近に供えられた花束=21日午前、沖縄県恩納村
島袋さんの、大叔父は、

「基地問題と関連づけた報道が連日のように行われていますが、遺族としては政治利用しないでほしいという思いがあります。葬儀が終わり、もう帰ってくることのない里奈の思い出を大切にしながら静かな時間を過ごしたいのです。どうして、マスコミはそーっとしておいてくれないのでしょうか。」

と遺族の思いと世間の感覚の隔たりを語っていました。

沖縄では、6月5日の県議選、7月の参院選と選挙の季節を迎えます。反基地の人々は、有利な状況を作り出そうと、6月19日には、数万人規模の抗議集会を開くことになっています。

島袋さんの父親は事件を政治利用するかのようなこのような動きに対して

「里奈の死を基地問題に関連付けるそうした報道があることは知っています。しかし、私は里奈の父親ですから、娘が1番なんです。マスコミのかたからも基地問題について聞かれますが私は、其の前に里奈の父親なんです。沖縄を変えたいというマスコミの方もいますが、今は娘のことしか考えられないんです。四十九日がおわるまで、そっとしておいてくれないものかと思います。」

左翼反基地活動の皆さんは、この遺族の悲痛な叫びにも耳を傾けるべきです。
それにしても、この事件では、米軍基地の方々も相当心を痛めています。しかし、そのことはマスコミはほんど報道しません。テレビでも、新聞でも全くノータッチです。これは、本当に公平性を欠いていると思います。残念ながら、それに関してはツイートでしか知ることができません。そのツイートをいくつか掲載します。



このような報道、新聞もテレビも全くしないので、一体この運動は誰が主催し、どのくらいの規模で行われているのかもわかりません。米軍基地やその関係者の方々が善意ではじめた運動なのでしょう。このようなことも、報道してほしいものです。

それにしても、沖縄の新聞の報道も酷いものです。5月21日の紙面を以下に掲載します。


これは、21日の紙面ですから、ご遺体が見つかった19日の翌々日の紙面です。これでは亡くなった被害者はうかばれません。殺害原因究明や犯人の責任追及や罪を問うべきであるにもかかわらず、別次元の問題にすり替えられています。これは報道機関でなくプロパガンダ機関の紙面としか言いようがありません。

そうして、沖縄ではあろうことか、米軍基地関係者に対する、左翼らの威嚇が始まっています。これも、テレビや新聞などではほとんど報道されません。以下にそれを伝えるツイッターをいくつか掲載します。


沖縄在住の男性によると、現在、沖縄には、米軍基地の撤退を求める日本人が全国から集まり始めているそうです。

そして、アメリカ人の子供が乗ったスクールバスを囲んだり、米軍や軍属、その家族の車両であることを示す「Yナンバー」の車を止めて威嚇するなどして、大混乱に陥っているそうです。


これを裏付ける、ツイートもあります。以下にそれを掲載します。



沖縄でこのような事件が起きると、「沖縄に米軍基地があるせいだ」という感情論が幅を利かせるが、ある興味深いデータがあります。

このほど発刊された、東日本大震災のトモダチ作戦の立案に携わった、元在沖海兵隊幹部のロバート・D・エルドリッヂ氏と、幸福実現党・釈量子党首の対談本『一緒に考えよう! 沖縄』の中で、エルドリッヂ氏は「海兵隊の犯罪率は、実は低い」と指摘しています。

「2014年では、沖縄の刑法犯の人口比率が0.24%であるのに対し、米軍関係者の刑法犯の人口比率は0.05%です。ですから、むしろ、米軍関係者の人口を増やせば、沖縄県の犯罪率を減らせるということになります」(エルドリッヂ氏)

さらに、エルドリッヂ氏によると、海兵隊が罪を犯したときの刑罰は、日本の刑罰よりも厳しいそうです。

たとえば、強姦なら日本では懲役20年だが、米軍では死刑、もしくは終身刑になるそうです。
エルドリッジ氏
米軍関係者の犯罪率は相対的に低い上に、日本以上に厳しい刑罰があるのであれば、「在日米軍がいると、犯罪が増える」という指摘は間違いです。

こうした事実を無視して、米軍人やアメリカ人に罵声を浴びせることは、「ヘイトスピーチ」や「人種差別」そのものです。

小学校の先生が、殺人をしたからといって、「その教師の努めている小学校をなくせ」というのでは筋が通らないのと同じように、米兵の犯罪などのマイナス面ばかりに注目して、大局を見失うべきではありません。

現在、中国は、国営メディアを使って、「中国の明と清の時代には、沖縄は中国の属国だった」という真っ赤な嘘の沖縄領有論を展開しています。南シナ海の中国の環礁の埋め立てと軍事基地化に関してはもう、かなり報道され多くの人が知るところになっています。

この海域に中国は、九段線という線を引いて、この線の中は中国の領海であると主張していました。しかし、これはこのブログでも過去に掲載したように、大東亜戦争中に中華民国(現台湾)の軍の高官が酒に酔って書いたものであり、何の根拠もありません。しかし、現在の中国はこの九段線より北は中国の領海だと主張するだけではなく、環礁を埋めてて軍事基地化し、力による現状変更を実行しています。



沖縄に米軍が駐留していることが、このような中国などに対する抑止力となることを忘れるべきではありません。

中国や北朝鮮がミサイルなどで日本を脅している中で、もし、沖縄から米軍を撤退させたら、日本はすべて自力で防衛体制を築かなければならなくなります。しかし、そのような体制はすぐにつくれるわけでありません。

もし、沖縄から米軍が退いて、中国軍がなだれ込んできたりしたら、それこそ、沖縄で、悲惨な事件があちこちで起きることは想像に難くなです。

今回のような米軍関係者の犯罪に対して、しっかりと対処する一方で、こうした事件があったからといって、「やはり基地はない方がいい」という感情論に走ると、国そのものが危なくなります。

それに、日本人にはもともと、惻隠の情という言葉あるように、犠牲になったかたの家族や親族の気持ちをおもんばかって、亡くなった方を亡くなった直後に政治利用するなどということはできないはずです。このような日本人の感性を無視した、故人の政治利用は、決して許されるものではなく、沖縄県民をはじめとする多くの日本人の共感を得ることはできません。

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