2018年6月15日金曜日

「在韓米軍撤退すれば日本が最前線」 安保パニックに陥った日本―【私の論評】日本は北と韓国を拮抗させ日本の国益を最大化せよ(゚д゚)!

「在韓米軍撤退すれば日本が最前線」 安保パニックに陥った日本

朝鮮日報日本語版

トランプ大統領は今年の3月にも在韓米軍の撤退について言及している

「ドナルド・トランプ米大統領が在韓米軍の撤退に言及したが、絶対に言ってはならないことだった。在韓米軍が撤退するということは韓国の軍事境界線が対馬海峡になるということで、日本の安全保障にとって計りしれない危機だ」(深谷隆司・元国家公安委員長)

 「(在韓米軍撤退の話を聞いて)目と耳を疑った。米国自ら将棋の駒を捨てたような行動だ」(香田洋二・元自衛艦隊司令官)

 トランプ米大統領が在韓米軍撤退の可能性に言及して以降、日本列島が「安保パニック」に陥っている。首相官邸、外務省、防衛省、それぞれが記者会見するたびに「在韓米軍が撤退すれば日本の安全保障にも影響が出るのではないか」との質問が相次ぎ、官房長官、外相、防衛相が「米国は今すぐ撤退すると言っているわけではない」と火消しに躍起になっている。

 菅義偉官房長官は14日の定例記者会見で「米国は現時点で在韓米軍の撤退・縮小を検討しているわけではない」として「韓米同盟に基づく抑止力が、北東アジアの安全保障に不可欠な役割を果たしている」と述べた。河野太郎外相は「韓米同盟と日米同盟はアジアの平和と安定を維持してきた『公共財』だ」と述べ、小野寺五典防衛相は「在韓米軍の縮小はあってはならない」と強調した。

 政界やメディア、官僚、安全保障専門家の間でも「韓米軍事演習の中止や在韓米軍の撤退はあってはならない」「中国と北朝鮮だけがホクホク顔だ」などという声が噴出している。

 日本経済新聞は「米朝会談の合意には、非核化のプロセスが北朝鮮ペースにはまりかねない三つのわながある」と指摘した。一つ目のわなは、米朝が非核化を段階的に進めるということを明言しなかった点だ。北朝鮮が非核化の措置に一つ着手するごとに、韓米日は「見返り」を支払わなければならない一方、北朝鮮は時間を稼ぐ上にカネももらえるというわけだ。二つ目のわなは、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は米国本土まで到達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験発射を中止するとは言ったが、韓日を狙った短・中距離ミサイル1000基については一言も言及していない点だ。三つ目のわなは、米国が自国の利益だけを手にしたまま在韓米軍の縮小や撤退を実施した場合、北東アジアの勢力バランスが急激に中国側に傾きかねないという点だ。

 このような「安保パニック」の裏には「トランプ氏を信じすぎた」という自責の念もある。日本政府は今回の米朝首脳会談に合わせ「安倍首相の外交ブレーン」とされる谷内正太郎・国家安全保障局長をシンガポールに派遣した。朝日新聞は「谷内局長が米国の実務チームと接触した際『在韓米軍の話は出ないだろう』という話を聞いたため、日本政府が安心していた」と報じた。トランプ氏の口からどんな言葉が出てくるのか、日本も知らなかったというわけだ。

 これまで安倍首相は日本国民の前で「私とトランプ大統領は『ドナルド』『シンゾー』とファーストネームで呼び合う関係」「いつどんな話でもできる仲」と何度も強調してきた。しかし、いざ米朝首脳会談が近づくと、トランプ大統領は11月に行われる米国の中間選挙を意識してICBMの発射実験を中止させることに集中し、「(非核化の見返りである)北朝鮮への経済支援は韓国と日本がやるだろう」と韓日に請求書を突き付けた。今回の会談で、中国だけが今以上に強くなるとの分析も出ている。

米国の軍事力評価機関、グローバル・ファイヤーパワー(GFP)が発表した2018年の世界の軍事力ランキングで、日本は8位、中国は3位だったが、日本は中国に比べ人口は10分の1、兵力は9分の1、防衛予算は3分の1にすぎない。経済も既に中国に抜かれた。慶応大の渡辺靖教授は「今は北朝鮮について議論しているが、中長期的に見れば日本にとって問題の核心となるのは中国の存在」だとして「台湾と南シナ海での中国の振る舞いを考えると、(今回の米朝首脳会談によって)日本が中国と対峙(たいじ)する最前線の国になるか、日米同盟で今以上の負担を強いられる可能性がある」と指摘した。

【私の論評】日本は北と韓国を拮抗させ日本の国益を最大化せよ(゚д゚)!

今回の米朝会談ではっきりと分かったのは、米国が韓国を見捨てることであり、米韓合同演習も中止されて、在韓米軍も近いうちに撤退する可能性も出てきたことです。韓国政府や国民の反応が気になりますが、朝鮮日報では自国のことよりも日本を心配をしているようです。

在韓米軍

このように、米韓同盟が危機的状態にあるのに韓国のマスコミの動きは意外に小さな反応しかありません。米韓合同演習の中止は韓国にとっては、米朝会談よりも大きなニュースだと思うのですが、どうも韓国はそう受け止めていはいないようです。

米韓同盟はすでに空洞化しており、トランプ大統領は旗幟を鮮明にしない韓国を見捨てて、北朝鮮と手を組むつもりなのかもしれません。

このブログでも最近、トランプ大統領は金正恩が米対中国戦略の駒として動くつもりなら、北を存続させるだろうし、もしその気がないなら、制裁をさらに強化して北を自滅させるか、場合によって軍事オプションを使うこともあり得るだろうことを掲載しました。

そうして、米朝首脳会談においては、トランプ大統領は、そのことついて会談中に金正恩に対して因果を含めたであろうということを主張しました。さらに、トランプ大統領は、金正恩が、米朝首脳会談以降半年以内くらいに中朝会談が開催されれば、トランプ大統領は金正恩は米国の駒ではなく、中国の駒でいることを選択したとみなすであろうことも掲載ました。

まさに、今後すぐに中朝会談を開催するかしないかが、金正恩の踏み絵になるということを掲載しました。

すぐに中朝会談を開催すれば、金正恩はトランプに見限られるだろう

北朝鮮の外交は従来から、二つの大国をうまく操ってバランスをとるというスタイルでしたが、ソ連崩壊とともに中国一国に頼らざるを得なくなりました。それとともに北朝鮮は核とミサイル開発に全力を注いで、米国を挑発し続けてきました。ところが現実には、米国向けに核とミサイルを開発していると見せかけつつ、中国に対抗できる軍事力を身につけてきたという側面は否めません。

米国としては、北朝鮮が核とミサイルをほぼ手にした段階で、トランプが手を伸ばしてきたわけですが、中国にはバレないように金正恩とトランプは派手なプロレスを中国の前で演じてきました。北朝鮮は中国の鉄砲玉として振舞ってきたわけですが、このままでは米国に蹂躙されるとみせかけたのです。

金正恩は、米国に「どうか攻撃しないでください」とお願いするように会談を呼びかけました。これはトランプと金正恩の猿芝居であり、中国を騙すためのプロレスショーなのです。その状況は、現状も続いているのですが、そのようなことも知らず中国の習近平は今回の米朝会談で「よくやった」と喜んでいるに違いありません。なぜなら、金正恩はなんの具体的な約束も米国と結ばなかったからです。

しかし二人だけの秘密会談では、トランプと金正恩はがっちりと手を組んで、米国の対中包囲網に加わる事を合意したのでしょう。その為には米国は対北朝鮮への経済制裁を解除して、大規模な経済援助をしなければならないのですが、そのカネは韓国と日本に出させるつもりのようです。

中国の習近平はそのような動きを察知して見抜いているのでしょうか。中国は今頃その動きに気がついても、トランプと金正恩はすでにがっちりと手を組んでしまいました。中国が金正恩を何とかしようと思っても、殺してしまえば北朝鮮は大混乱して大量の難民が中国に押し寄せることになりかねません。

金正恩は、まさに中国と米国との間を綱渡りしているのです。中国に対抗できるのは世界の中では、現状では米国だけであり、米中との間の綱渡り外交で行くことを金正恩は決断したのでしょう。これからあらわになる米中冷戦体制の現実を目にして、金正恩はトランプに対中包囲網で協力をすることを約束したのです。金正恩は現在は冷戦においては、中国の勝ち目は全くないとみているのでしょう。


今回の米朝会談は、中国の一人勝ちと言う人もいますが、実際はそうではなく北朝鮮が米国に寝返ったと見れば、そうではないということが理解できます。韓国は韓国で米国から中国に寝返ったとも言えるような状況であり、実際に米国よりも中国の言いなりになっている部分があります。というより、どっちつかずで、米国からも中国からも信頼されていません。

このような状況から、トランプ大統領は、北朝鮮が対中包囲網に加入ることを引き換えに、日本からのカネを出させることを約束したのでしょう。無論、カネを出させる条件としては、核の完全放棄、拉致問題の完全解決を外せないことをしっかり伝えたのでしょう。

さらに南北統一についても言及する人もいますが、北朝鮮の核とミサイル廃棄と南北統一は別問題です。米国としては、本土に届き中東に渡る可能性がある核とミサイルは許せないわけです。日中を含めた、周辺諸国も北朝鮮の難民を望んでいません。

金正恩は、国の枠組みは変えたくはありません。金体制維持に最も邪魔なものは自由や人権です。南北統一で人の往来が始まれば政権が脅かされることになります。当面は、南北統一はないでしょう。平昌五輪で、北が南北統一を演出したのは単なる猿芝居に過ぎません。

そうなると、朝鮮半島は米国の駒となった北朝鮮と、中国の駒か米国の駒か良くわからない韓国が対峙するという奇妙な状況ができあがるわけです。北朝鮮が日本や韓国から資金援助を受けるということになれば、この奇妙な状態がしばらく続くことになるのでしょう。

日本が北に対して援助をするということになれば、韓国での失敗を反省して、援助にもさまざまな条件をつけるべきです。拉致問題の解決は絶対条件です。さらには、人権擁護に関しても、ある程度の基準を満たすようにさせるべきです。それと、いきなり巨大な額を一度に援助とするというのではなく、様子をみながら少しずつ援助し、約束を守らないなら、中止するというような方式をとるべきです。

それと、韓国に対しては、援助にしても何にしても、目の前に北という協力なライバル現れて、慰安婦問題などでグズグズすれば、すべて北にかっさらわれてしまうという脅威を与えるべきです。

また、北に援助をしてもなかなか約束など破らないなどのことがあれば、すぐに援助を打ち切り、韓国への援助を厚くするなどのことをすべきです。

両方を拮抗させ、日本の国益にとって最も良くなるように、バランスをとって援助をしていくべきです。ただし、あまり長い間朝鮮半島にはかかわらないようすべきです。そもそも、ここしばらくは朝鮮半島には上で述べたような奇妙な状態が続くでしょうが、このような状態がいつまでも続くと考えるべきではありません。

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