2018年6月6日水曜日

【高論卓説】信用不安が広がるドイツ銀行 共存の大株主・中国企業も経営危機 ―【私の論評】ドイツ銀行の中国へのデリバティブ残高は7000兆円、破綻すればリーマンショック級の危機に(゚д゚)!

 【高論卓説】信用不安が広がるドイツ銀行 共存の大株主・中国企業も経営危機 

ドイツ銀行

 ドイツ銀行への信用不安が広がっている。米国の連邦預金保険公社が米国のドイツ銀の子会社を「存続が脅かされるほどに財務に弱さがある銀行」のリストに加え、昨年、米連邦準備制度理事会(FRB)も同様の判断をしたと報じられたからである。また、米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、ドイツ銀の格付けを「BBB+」に引き下げた。この2つの要因からドイツ銀行の株が売られ、株価が過去最安値を記録したのである。

 ドイツ銀危機の背景には、ヨーロッパの金融機関が抱える構造的な問題が潜んでいる。リーマン・ショック直後の2008年10月、ヨーロッパの金融機関は会計基準の変更を行った。保有する債権を「満期目的」と「その他」に再分類し、「満期目的」については所得原価をベースに資産計上ができるようにした。ドイツ銀は約8億4500万ユーロに上る評価損を約8億2500万ユーロの黒字(08年第3四半期の税引き前)に転換させた。この会計のマジックによって黒字化したドイツ銀は経営を大きく誤ってしまったのである。

 リーマン・ショック後、英米の金融機関は経営危機対応と金融当局の指導により、積極的な資産の売却とハイリスク部門からの撤退を進めた。これを買い進め、投資銀行部門を拡大させたのがドイツ銀だった。その後、欧州でもギリシャ危機などソブリンショックが発生、15年に中国の株価が暴落したことで、この問題が表面化してしまったのである。

 ドイツ銀は欧州ソブリンショック後の資本増強を「CoCo債」という一種の転換社債で行った。この債券は経営が健全な際は、一般の債券よりも高い金利が得られるが、自己資本が危機的状況になった場合、自動的に株式に転換される社債である。つまり、借金が自己資本に変わるという非常に便利な債券であるが、これにも大きな問題がある。それは転換されることによって株式が希薄化し、株価暴落の要因になることだ。

 16年、ドイツ銀はこの問題に大きく揺れた。この問題に関しては、積極的な資産の売却などにより何とかごまかすことができたが、本質的な収益の改善には程遠く、赤字決算が続く中で、今回の危機が起きた。

中国の海航集団

 また、この問題の背景には中国との問題も絡んでいる。実はドイツ銀の筆頭株主は中国の海航集団であり、海航集団も経営危機に陥っており大規模な業務再編の最中にある。つまり、共依存の関係にあるともいえるのだ。どちらかが破綻すればそれが連鎖する可能性もある。ドイツ銀は排ガス問題を抱えるフォルクスワーゲン(VW)グループと世界最大の自動車部品、素材メーカーであるボッシュのメインバンクであり、このどちらもが中国が最大の顧客なのである。つまり、中国の製造業の要の一つでもあるのだ。

 そして、ドイツ政府としては、自国の産業基盤の破壊ともいえるドイツ銀の破綻を許すわけにもいかず、非常時には国有化を含む資本注入を含めた対応を行うものと思われる。トランプ米大統領はこれをドイツと中国との貿易戦争の交渉カードに利用する可能性もある。


【プロフィル】渡辺哲也

 わたなべ・てつや 経済評論家。日大法卒。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。著書は『突き破る日本経済』など多数。48歳。愛知県出身。

【私の論評】ドイツ銀行の中国へのデリバティブ残高は7000兆円、破綻すればリーマンショック級の危機に陥る可能性も(゚д゚)!

中国にのめり込み、筆頭株主が中国の企業となっていたドイツ銀行が信用不安に揺れています。ドイツ銀行はサブプライムローンで経営危機に落ち、2015年の中国株暴落でも損失を食らって瀕死の状態でした。中国にのめり込んだドイツは、そのツケを払うことになるでしょう。

ドイツ銀行の中国へのデリバティブ残高が、ユーロ圏GDPの9倍の64兆ドル(約7000兆円)に達しています。これは、チャイナが経済破綻かドイツ銀行デフォルトの危機です。

この危機的な状況以下のグラフをご覧いただければ、わかります。まずは、ドイツ銀行の信用危機を示すグラフです。2016年の時点で161を超えています。この状況現在も悪化しつつあります。


次に、ドイツ銀行の中国へのデリバティブ残高を示すグラフです。ユーロ圏全体のGDPの9倍のお64兆ドル(約7000兆円)に達しています。

以下はリーマンショックのときのリーマン・ブラザースの株価とドイツ銀行の株価の推移を比較したものです。


ドイツ銀行あともう少しで、破綻したリーマン・ブラザーズと同水準まできています。

さて、紛らわしいですが、ドイツ銀行(Deutsche Bank)は日銀のような中央銀行ではなく、ドイツ最大ではありますが単なる商業・投資銀行です。日本で言えば東京三菱UFJ銀行や三井住友銀行みたいなものです。

日銀に相当するドイツの中央銀行はドイツ連邦銀行(Deutsche Bundesbank)で、ユーロ導入以降は欧州中央銀行のドイツ支店のような機能を果たしています。ドイツ連銀は、ドイツマルクの現金の保管もしており、今でもそこに行けばドイツマルク紙幣をユーロに両替してくれます。

米連邦準備理事会(FRB)が昨年、ドイツ銀行(DBKGn.DE)の米国内事業を「問題のある状態」と判定していたことが、31日付の米紙報道で明らかになった。自国ではなく米国の監督当局からこのような警告を受けたことで、ゼービング最高経営責任者(CEO)の事業縮小計画は一段と切迫感を増してきました。

米当局は何年も前からドイツ銀の米国事業に懸念を抱いてきました。2013年にはニューヨーク連銀がドイツ銀の報告体制を批判。16年のFRBのストレステスト(健全性審査)では、リスク管理に欠陥があるとして米子会社が不合格となっています。

こうした経緯を踏まえても「問題のある」との認定は警戒レベルがさらに引き上げられたことを示しており、リスク管理の強化などにつながる可能性があります。機密情報が漏れたことは、監督当局との関係が緊迫化していることの証左でもあります。ドイツ銀の株価がこの日7%も下げ、25年ぶりの安値となったのも無理はないです。

ゼービングCEOは最近、米国での貸し出しと、ヘッジファンドを相手にするプライムブローカレッジ部門のレバレッジ縮小を決めています。FRBの判定は、さらに事業縮小を進める十分な誘因となります。株主からは、米国事業からの完全撤退を望む声さえ出ています。つまり20年前のバンカース・トラスト買収から始まった、米投資銀行と張り合う路線を巻き戻すということです。

ドイツ銀行ゼービングCEO

もっとも、撤退が望ましいことなのか、あるいは実現可能かどうかは、まったく定かではありません。欧州の顧客に集中するというドイツ銀の目標を満たすには、米資本市場へのアクセスが必要となります。しかも米国での新規事業を中止しても、既存投資の管理コストは背負わなければならないのです。ドイツ銀の米持ち株会社の資産は昨年末時点で1480億ドル。これらを処分することは、さらに大きなリスクを伴うことでしょう。

とはいえ、FRBの警告によりゼービング氏の選択肢が狭まったのは確かです。警告対象から外れるには長い時間とコストを要しそうですが、差し当たってはウォール街からの撤退スピードを速める以外に道はないでしょう。

それにしても、このようなことでは、先の中国への天文学的デリバティブ残高を解消するにはいたらないでしょう。一体どうするのでしょうか。

ドイツ銀行が破たんすると、世界経済への影響があまりに大きすぎる為、国有化以外ないと思われます。 この場合、他国がいろいろと条件を付けると思われるわけです。特にサブプライムでドイツにいじめられた英国は、ブレグジットでの条件闘争のカードに利用するでしょう。

ドイツ銀行危機のお陰で、英国の金融センターシティは安泰になる可能性が高くなったといえるでしょう。 ユーロの為替拠点を金融が危機的状態にある国には移せないわけで、今まで通りになる可能性が高まったわけです。

ドイツ銀行の大株主は、先にも述べたように、中国の海航集団です。そうして、海航集団は習近平の右腕でもある、王岐山中国共産党副主席が後ろ盾になっています。フォルクスワーゲンVW、そしてVWの排ガス規制回避不正プログラムを作った世界最大の自動車部品会社ボッシュのメインバンクはドイツ銀行です。中国とドイツは軍事産業でも一蓮托生の関係です。 中国に対抗することを決めた、トランプ大統領がこれを見逃すはずがありません。

王岐山(左)と習近平(右)
  
ドイツ銀行が危機的な状況になり、米国が中国の1300品目に制裁関税をかけると報じられています。トランプ大統領はドイツ銀行の実体を理解すれば、これを狙い撃ちすることにより、中国に大きな打撃を与えることも十分考えらます。

ドイツ銀行の破綻があれば中国への飛び火は必然です。そうなると、リーマンショック級の経済危機が世界を襲うことも十分に可能性があります。安倍総理は昨年10月22日夜、民放のテレビ番組に出演し、2019年10月に予定している消費税率の10%への引き上げについて「すでに法律で決まっていること」と述べていました。そのうえで「リーマン・ショック級の危機がないかぎり予定通り行う」との考えを改めて述べていました。

だとすると、延期というシナリオも十分ありえるということになります。いずれにしても、もしこれがリーマン・ショック級の危機となれば、増税は絶対駄目ですし、むしろ減税し、他国が量的金融緩和を行うなら、日銀もさらなる量的緩和を行うべきです。

リーマン・ショック時は他国が大規模な金融緩和を行っているにもかかわらず、日銀は実施せず、そのため他国は危機からはやめに脱出したにもかかわらず。日本だけが一人負けの状態に陥ってしまいました。ドイツ銀行の破綻の際には、その二の舞いを舞うことはだけは避けるべきです。

【私の論評】

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