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2020年8月16日日曜日

中国の小麦買付量が1000万トン減、習近平氏は食糧を浪費しないよう呼びかけ―仏メディア―【私の論評】中国が食料危機の可能性を公表しないのは、自らの無謬性を強調のため、危機を人民のせいにするための方便か(゚д゚)!


中国の家庭料理

2020年8月13日、仏RFIの中国語版サイトは、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が国民の食習慣における食糧の浪費に注目すると同時に食糧関係機関の責任者らが頻繁に打ち合わせをし、政府メディアも食糧の安全を重視するよう求め、国民に食糧を節約し、危機意識を持ち続けるよう呼びかけたと報じた。

中国農業科学院の統計によると、2015年の統計では毎年3500トンの食べ物が浪費されているという。

記事によると、中国国営新華社通信は次のように中国の人々に理解を求めた。食糧資源が豊富な国で産業チェーンが断絶する可能性がなくはない。サプライチェーンが断絶すると、恐慌のような購買が発生する。また、昨年末からこれまでの世界各地のバッタの大量発生や山火事、さらに新型コロナウイルス感染拡大により、物流が滞ったり輸出制限を受けたりして、世界の農産物供給の不確実性が増し、食糧市場が不安定になっている。

また、フランス通信社は「中国人は盛大な食文化から節約へと移行し、習近平の呼びかけに応えている」と報じ、北京市や武漢市、西安市など多くの都市の職業飲食協会が提唱し推進している「N-1」の飲食モデルに注目した。「N-1」とは、人数分の食事から一品減らすというもので、これにより品数は多様でありながら、食糧の節約ができ、浪費を防ぐという。同時に、中国の短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」などは、プラットフォーム上のプログラムでの誇張した「大食い」を禁止すると発表したという。

記事によると、中国政府はこれまで、年間在庫は消費量に対し十分で、食糧供給に問題はないと度々強調してきた。国家食糧・物資備蓄局が今週発表したデータでは、河北省から江蘇省、山東省から河南省の多くの小麦主産地の買付量が前年同期比減となり、全体で938万トン以上減少した。だが、現在の小麦と米の在庫量は国民の1年間の総消費量に相当するという。また、米、小麦、トウモロコシの「中国三大食糧」の中国国内自給率は平均97%以上、2019年の中国の1人当たりの平均食糧占有量は470キロを超え、国際食糧安全基準より1人当たり400キロ多いという。データは、食糧の余裕への「十分な自信」を示したと記事は伝えた。(翻訳・編集/多部)

【私の論評】中国が食料危機の可能性を公表しないのは、自らの無謬性を強調のため、危機を人民のせいにするための方便か(゚д゚)!

中国の食糧事情の現状は、どうなのでしょうか。2020年8月14日、中国メディアの観察者網は、「食べ物を粗末にしないため」体重に応じたメニューを提案する湖南省長沙市内のある飲食店について伝えました。

4日、中国メディアの観察者網は、「食べ物を粗末にしないため」体重に
応じたメニューを提案する湖南省長沙市内のある飲食店について伝えた。

記事によると、この飲食店のシステムは、客が入店前に測定した体重に基づいて店がメニューを推薦し、客が注文するというもの。店は「これは客が適切な量の食事ができるように誘導するもので、浪費を根絶するためだ」としている。この店では客のために余った食事を持ち帰れるよう無料で容器を提供しているといいます。

同店の対応は、習近平(シー・ジンピン)国家主席が最近、「食べ物を粗末にしてはいけない」などとする「重要指示」を出したことと大きく関係しているとみられています。

共産党機関紙・人民日報は12日付と13日付の1面で、習氏が「飲食物の浪費は衝撃的で心が痛む」と語り、食料を無駄にしないための対策を取るように命じたと伝えました。中国都市部の外食産業で1年に出る残飯は1700万~1800万トンと推定され、3000万~5000万人分の1年間の食料に相当するといいます。

習氏は2013年から食べ残しをしないように求めています。習氏が改めて指示を出したのは、食料問題が切迫する可能性があると判断しているからです。習氏は「食料の安全確保について常に危機意識を持たないといけない。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大はわれわれに警鐘を鳴らしている」と述べました。

中国では今年、長江流域を中心に大雨による水害が起きています。食料の輸入先である米国との関係が極めて悪化していることも不安材料です。習氏は米国との対立が深まる中、「自力更生」「持久戦」を訴えてきました。今回の「食べ残し禁止」の呼び掛けも長期的な覚悟を国民に求めたものといえます。

中国の水害を伝えるテレビの画面

習氏の指示を受け、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は、飲食の浪費を抑制するための法整備について検討を開始。国営中央テレビは、ネット上で人気となっている「大食い」を誇る動画を「食べ物を無駄にする極端な事例」と批判し、食料の節約を訴えました。

米ラジオ放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、7月に四川省成都市農業農村局が近日、成都市全市における果樹園や樹林園が水稲栽培に変更する状況を調査報告するように公文書を出しました。同公文書には、水稲栽培を促すために政府は田んぼに切り替えた農民には6.667アール(約666.7平方メートル)ごとに3千人民元(約4万6千円)もらえる保証すると書かれています。

現地の農民によると、当局がこれだけの補償を出してまで、水稲栽培に切り替わるように要求したのは中国の食糧貯蔵が厳しいことが垣間見えるそうです。

四川省だけでなく、湖北省孝感(こうかん)市の地方当局も田んぼ政策を促しているそうだ。田んぼ6.667アール(約666.7平方メートル)開墾ごとに150元(約2千円)の手当てを出すという。

また、6月からイナゴの大群が農業地区である広西チワン族自治区桂林市を襲いかかり、関連映像からは密集したイナゴによる農作物の被害状況が確認できます。ウエイボーでは全市が被害に遭ったといいます。

ここ2か月、中国各地は洪水やバッタ、ペストなど様々な災害に見舞われ、下半期の食糧危機の可能性が懸念されています。中共国家統計局も、今年の夏の穀物生産量は今年の洪水同様、過去最高を記録し、豊作であると発表しました。

中国メディアも種々様々な報道をしています。いずれも最終的に判で押したかのように、様々な統計値を出した上で、最後には「食糧危機は起きない」と報道しています。

ところが、7月15日付で米国農務省(USDA)は、7月14日に米国企業がトウモロコシ176万2000トンを中国へ輸出する契約に調印したと発表しました。 

これはトウモロコシの契約規模としては過去4番目に大きく、1日の取引量としては1994年以来最高の規模でした。これより4日前の7月10日には中国向けにトウモロコシ136万5000トンの輸出契約が締結されていました。

これら2つの契約は今年中に商品の納入を完了することが予定されています。 

今年1月に米中両国は貿易協議の第1段階として、「中国が米国産品の輸入を2年で2000億ドル(約21兆円)増やすのに対し、米国は中国製品にかけた追加関税を段階的に下げること」で合意しました。 

6月30日に香港で『香港国家安全維持法』が施行されたことにより米中関係は今まで以上に悪化しているというのに、中国が依然として米国産農産物を買い付けているのは第1段階の目標達成というよりも、中国国内の食糧危機を見越した「背に腹は代えられない」事情があると考えるのが筋でしょう。

中国当局は最近、米国だけからというわけではなく、大豆やトウモロコシの輸入そのものを増やしています。中国税関当局が26日に公表した統計では、6月にブラジルから大豆1051万トンを輸入しました。5月と比べて18.6%増で、前年同月比では91%増となりました。

また、米農務省(USDA)が毎週公開する統計によれば、7月9~16日までの1週間で、中国向けのトウモロコシ輸出量(196.7万トン)は、週間統計として過去最高となりました。中国は同週、米国から169.6万トンの大豆を購入した。2019年3月以来の高水準となりました。

8月10日に公表された中国の7月の食糧価格は、12カ月連続で2桁上昇となっています。8月に入るとさらに国内の穀物価格が上昇しています。

中国国内が未曾有の大災害に見舞われる中、習近平国家主席は7月22日、天変地異とは無関係の食糧の主要生産地である東北部の吉林省を視察し、「吉林省は食糧安全保障政策を最優先課題にすべきだ。戦争の際、東北部は非常に重要だ」と異例の発言を行いました。

こうした大災害の時にこそ、民衆の苦しみを少しでも和らげ、労わろうとするのが、本来の徳ある為政者の姿のように思いますが、習主席は「災害対策本部」のような組織もろくに立ち上げず、最前線へ出向いた中央政府の責任者は一人もいないとも言われています。

吉林省のとうもろこし畑を視察する集金兵

胡春華副首相は7月27日、国内の食糧生産に関する会議で、各省の幹部に対して「食糧の生産量を増加すべきである。けっして減らしてはならない。国の食糧安全保障にいかなる手違いも許されない」と厳命しました。

中国では近い将来、レストランで好きな料理を多めに注文すると「監視員」に止められたり、食べ残しを残して出ようとすれば拘束されてしまう、というよう信じられないような話が現実となってくるでしょう。食料危機への対処として、情報を開示して国民の協力を呼びかけるのでなく、習近平が人民の「食べる自由」まで奪おうとしているのでないでしょうか。。

これは、初期段階で武漢ウイルスの感染を隠していたことを彷彿とさせます。本当は、今後食料問題がこれから深刻になっていく可能性があるのに、それを公表して人民の協力を求めるのではなく、中共や自らのの無謬性を強調したいがために、そのようなことはせずに食糧不足やそれにともなう食料の高騰が起こった場合には、それを人民のせいにし、自らの責任を逃れるための方便とするのではないでしょうか。

それを実行すれば、中共はマスク外交で諸外国から信頼を失ったように、今度は国内で人民の憤怒のマグマを直接受けることになってしまいます。これに関して、さすがに米国や、日本のせいにすることはできません。

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2019年6月13日木曜日

習近平氏“失脚”危機!? 香港流血デモ、負傷者70人超…中国共産党は“内紛”状態 専門家「G20前にヤマ場」―【私の論評】習近平が、かつての華国鋒のような運命をたどる可能性がかなり高まった(゚д゚)!

習近平氏“失脚”危機!? 香港流血デモ、負傷者70人超…中国共産党は“内紛”状態 専門家「G20前にヤマ場」

香港で、学生らと警官隊が激しく衝突した。中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の撤回を求め、立法会(議会)を包囲していた学生らに対し、警官隊が12日、多数の催涙弾やゴム弾などを撃ち込んだのだ。負傷者は79人に上ったという。30年前の「天安門事件」の悪夢は繰り返されるのか。香港は13日朝も緊迫している。「自由」と「法の支配」を守ろうとする学生らの抗議運動に対し、中国共産党幹部が香港入りしたとの報道もある。米国務省は、学生らの行動に理解を示した。今後の展開次第では、習近平国家主席の政権基盤が揺らぐ可能性もありそうだ。

「学生らの自発的行動(デモ)は『雨傘革命』以上だ」「香港の良さ(=自由や権利の保障、公平な裁判など)を、破壊しているのは、今の香港政府と中国共産党政権だ」

香港の民主化を求めた2014年の「雨傘革命」で学生団体幹部だった周庭(アグネス・チョウ)氏(22)は12日、東京・神田駿河台の明治大学での講演で、こう語った。その内容は後述するとして、香港の現状は深刻だ。

2018年12月に来日した周庭(アグネス・チョウ)氏

「逃亡犯条例」改正案の成立を阻止するため、立法会周辺の道路を占拠していた学生らに対し、12日午後、盾や警棒などを持った警官隊が出動し、催涙弾やゴム弾を発射した。頭から血を流して倒れ込む学生。SNSでは、無抵抗の学生らに襲いかかる警官隊の動画も拡散されている。

催涙弾の発射は「雨傘革命」以来で、市民や民主派らが強く反発するのは確実だ。緊張が高まっており、さらなる衝突が起きる懸念も強まっている。改正案は当初、立法会で20日にも採決される予定だったが、今回の衝突を受けて、不透明な状況になった。

中国共産党政権が支持する香港政府トップ、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は12日、地元テレビ局のインタビューで、改正案を撤回しない方針を改めて表明した。同日夜には声明を発表し、デモについて「公然と暴動を起こした」と非難し、催涙弾の発射などを正当化した。

これに対し、国際社会の見方は違う。

米国務省のモーガン・オルタガス報道官は12日の記者会見で、「根源的な権利をめぐって中国の支配下に入りたくないから抗議している」といい、若者らの行動に理解を示した。香港政府に対しては表現や集会の自由を守るよう求めた。

 EU(欧州連合)の欧州対外活動庁(外務省に相当)の報道官も同日、多くの負傷者が出たことを受けて、「平和的で自由に集まり、意見を表現する権利は尊重されなければならない」「香港市民の多くの懸念を共有する」とする声明を発表した。

香港は1997年に中国へ返還された後も、「一国二制度」に基づく「高度な自治」を約束されてきた。ところが、共産党独裁の習政権による強権支配が強まっており、「自由」や「司法の独立」が奪い取られようとしている。

前出の周氏は、明治大学での講演で「中国は法治国家でもなく、人権の保証もない」と訴え、続けた。

「香港は法治社会だったが、(『逃亡犯条例』改正案の可決で)身の安全すら保障されなくなる可能性がある。国際金融都市としての『特別な地位』もなくなる。社会や経済にも悪影響を及ぼす」「香港に来る外国の観光客や記者が逮捕されて、中国本土に引き渡される可能性がある。日本にも無関係でない法案だが、日本政府は意見を言っていない。日本の政府や政治家も、改正案に(反対の)意思をはっきり示してほしい」

共産党独裁国家にのみ込まれる危機に直面した、切実な訴えというしかない。

中国事情に詳しいノンフィクション作家の河添恵子氏は「学生たちは、香港にあったはずの『人権』と『自由』と『民主』がなくなってきていることを実感している。ここ数年、(共産党に批判的な)出版社店主などが次々と拘束されている。香港が監視社会になってきている」と語る。

習氏は今月末、大阪市で開かれるG20(20カ国・地域)首脳会合に出席するため来日する予定だが、激化するデモの展開次第で、どうなるか。

河添氏は「現在、中国共産党は内紛状態にある。習氏がデモ制圧のために軍を動かす判断をしなくても、反習派によって動く軍はたくさんある。万が一、軍が動いて大きな被害が出れば、国際社会は習政権を厳しく批判することになる。そのなかで、習政権の責任論が浮上する可能性もある。国内でクーデターが起こる可能性もある。G20前にヤマ場が来るのではないか」と分析している。

【私の論評】習近平が、かつての華国鋒のような運命をたどる可能性がかなり高まった(゚д゚)!

米国は、今回の香港の流血デモの直前に、習近平を追い詰める措置をとっていました。それは、事実上台湾を国として認めたことです。

米国防総省が最近発表した「インド太平洋戦略報告書」で、台湾を協力すべき対象「国家(country)」と表記しました。これは、米国がこれまで認めてきた「一つの中国(one China)」政策から旋回して台湾を事実上、独立国家と認定することであり、中国が最も敏感に考える外交政策の最優先順位に触れ、中国への圧力を最大限引き上げようという狙いがうかがえます。

ちなみにこの報告書では、昨日もこのブログに掲載したように、「北朝鮮による日本人拉致事件の解決への支援」も明記しています。トランプ政権の日本人拉致事件解決への支援はすでに広く知られてきましたが、政府の公式の文書で明記されたことはこれが初めてだといいます。

また同文書は同時に北朝鮮を「無法国家」と断じ、米朝間で非核化交渉を進めているにもかかわらず、同国が相変わらず日米両国にとって軍事脅威であることを強調していました。

インド太平洋戦略報告書の表紙

国防総省は報告書で、「インド太平洋地域の民主主義国家として、シンガポール、台湾、ニュージーランド、モンゴルは信頼でき、能力がある米国のパートナー」とし、「4国は世界で米国のミッション遂行に貢献しており、自由で開かれた国際秩序を守護するために積極的な措置を取っている」と強調しました。

これらの国は、米国のインド太平洋戦略のパートナー国家として、既存の同盟国家である韓国、日本、オーストラリア、フィリピン、タイに触れ、追加で協力を拡大・強化する対象国として言及されました。

米国は1979年、中国との国交を正常化した後、「一つの中国」政策に基づいてこれまで台湾を国家と認定しませんでした。その米国が事実上、米国に対抗する公式報告書で台湾を国家と表記したのです。

香港サウスチャイナ・モーニン・ポストは7日、関連内容を報じ、「米国が一つの中国政策を事実上、廃棄した」と指摘しました。同紙は、「これは中国を狙った最近の米国の挑発的な措置の一つ」とし、「米中両国が貿易、セキュリティ、教育、ビザ、技術だけでなく『文明』競争を行う過程でトランプ政権が出した奇襲攻撃」と強調しました。

これに先立ち、ロイター通信によると、米国は台湾に対戦車兵器など20億ドル規模の兵器販売も推進しています。台湾との外交関係修復と協力強化、軍事的支援を通じて、台湾を中国封鎖政策に参加する域内プレーヤーに引き込むということです。米中間の覇権競争が激化する状況で、中国の激しい反発が予想されます。

トランプ米大統領は6日(現地時間)、今月末の大阪での主要20ヵ国・地域(G20)首脳会議で、中国の習近平国家主席と首脳会談を行った後、中国製品に追加関税をするかどうか決めると明らかにしました。ロイター通信によると、欧州を歴訪中のトランプ氏は同日、フランスのマクロン大統領との昼食前に記者団に、中国に3千億ドル(約354兆ウォン)規模の新たな関税を課す時期を問われ、「G20の後、2週間以内に決定する」と話しました。

米国が、中国の世界貿易機関(WTO)内の開発途上国の地位剥奪を推進中という報道もあります。7日、「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)の中国語版によると、米下院外交委員会所属のテッド・ヨーホー議員(共和党・フロリダ州)は同日、米外交政策委員会(AFPC)の主催で開かれた中国関連会議で、「米議会は政府とともに中国の開発途上国地位の剥奪を推進しており、ポンペオ長官と議論した」と明らかにしました。


今回の混乱により、香港立法会(議会)の梁君彦議長は、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を13日に審議しないことを決めました。立法会がウェブサイトで発表しました。改正案は当初、12日に審議が再開される予定でしたが、13日に延期されていました。審議日程は議長が決定し次第、発表されるとしています。

混乱がさらに続き、「逃亡犯条例」改正の審議が長引き、米国により対中国冷戦が発動されるとともに、台湾が事実上米国に国家として認められたことなどから、習近平は相当追い詰められています。

上の記事にあるように、今回の出来事ですぐにクーデターが起きて、習近平がすぐに失脚ということもあり得るとは思いますが、もしそうならなくても、習近平がかつての華国鋒のような運命をたどる可能性は、今回の一連の出来事でかなり高まっ

華国鋒

1976年10月、毛沢東の後継者として中国の最高指導者の地位に就いた華国鋒は、自らに対する個人崇拝の提唱や独断的な経済政策を推進したため、当時の党内の実力者、鄧小平ら長老派と対立しましたた。

78年末に開かれた党の中央総会で華が推進する政策が実質的に否定されたあと、影響力が低下し始めました。華はその後も党内から批判され続け、側近が次々と失脚するなか、約3年後に自らが辞任する形で政治の表舞台から去りました。

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2018年11月17日土曜日

米中間選挙 フロリダ州の「清き一票」集計でお粗末な実態―【私の論評】米国では不正選挙はお家芸だが、選挙のない中国よりははるかにまとも(゚д゚)!

米中間選挙 フロリダ州の「清き一票」集計でお粗末な実態

米上院選フロリダ州選挙区は、民主党現職のビル・ネルソン議員(左)と
共和党のリック・スコット候補(右)による接戦となったが・・・・・

 米中間選挙(6日投開票)で大接戦となり上院選と知事選の勝敗が決まっていない南部フロリダ州で16日、上院選の投票結果について手作業の再集計が始まった。近く結果が判明するが、トランプ大統領はすでに共和党候補の勝利を宣言。票の集計をめぐっては選挙管理当局のお粗末な実態も明らかになり、「世界の笑いぐさ」になることへの危機感も出ている。

 フロリダ州では15日まで機械による再集計が実施され、上院選で共和党のスコット州知事が民主党現職のネルソン上院議員を約1万2600票上回った。得票率差は0・15ポイントで手作業の再集計が義務づけられる0・25ポイント以下だった。

 知事選では共和党のデサンティス氏が黒人初の同州知事を目指す民主党のギラム氏を上回った。得票率差が0・41ポイントのため手作業の再集計は実施されないが、ギラム氏は有効票の定義などをめぐり法廷闘争を展開。敗北を認めていない。

 フロリダ州での集計に対する不信感の背景には「清き一票」がずさんに扱われている実態がある。

 FOXニュースによると、登録されたものと違う署名があるため無効になった郵便投票が4千票近くあったが、一般人が集計に当たったため十分に本人確認をできない問題が生じた。また、地元紙によると民主党関係者が有権者にわざと投票締め切り後の間違った郵送投票の期限を伝えたり、郡選管が共和党の地盤からのメールやファクスの投票を受理したりするケースもあるという。

 フロリダ州では僅差となった2000年大統領選でもパンチ式投票用紙の穴の開き具合などが問題となり、再集計をめぐり激しい法廷での闘争に発展した。今回、再集計に関する審理を担当する連邦地裁判事は「選挙のたびに世界の笑いぐさになっているのに、改善されない」と嘆いた。

 トランプ氏は根拠を示さず、民主党がフロリダ州で不正投票していると主張しており、16日にもツイッターで、上院選のフロリダ州での勝利を前提として、「共和党は上院(定数100)で53対47の大勝利になる」と書いた。

 一方、接戦のため勝敗が確定していなかった南部ジョージア州知事選は16日、トランプ氏が支持した共和党のケンプ氏の当選が決まった。史上初の黒人女性知事を目指した民主党のエイブラムス氏がケンプ氏の勝利を認めた。

【私の論評】米国では不正選挙はお家芸だが、危機のときは支配層も干渉できない!選挙のない中国よりはるかにまとも(゚д゚)!

米国人には記憶力はあるのだろうかと、 私は時折疑問に思うことがあります。米国での不正選挙は随分前から明らかになっていました。無論、まだ記憶に新しい、トランプ氏が大統領になったときの選挙でも、不正選挙がありました。にもかかわらず、今回の選挙でも、ブログ冒頭の記事のような有様です。

ここで、大統領選挙を振り返ります。米国大統領となるには、ヒラリー・クリントンには山積する問題があったにもかかわらず、巨大な政治力を有する米国の人口の0.1パーセントを占めるエスタブリッシュメント(支配層)が、ヒラリーを選んだのは事実だったようです。

このエスタブリッシュメントについては、このブログでは過去に何度か掲載したことのある以下の動画をご覧いただくと良く理解できます。この動画は、2015/11/19 に公開されたものです。この時点では、米国の現大統領は当然ヒラリー・クリントンであり、トランプ氏など圏外であり、泡沫候補と考えられてました。



この動画をご覧いただけれは、まずは、米国はいわゆるエスタブリッシュメントといわれる、一般の米国人はもとより、我々日本人などの外国人など全く会う機会もない、ほんの一部の支配層が支配する国であることが良く理解できます。そのエスタブリッシュメントのうちの多数派の中国に対するエンゲージメント派は、いずれ中国は民主化するであろうと見ていたようで、中国は将来的にアメリカにとって自分たちが御せる良い市場になると信じていたようです。

この動画で伊藤貫氏は、米国には親中派のエンゲージメント派と中国反対派のコンテインメント(封じ込め)派が存在しており、アメリカの富の大きな部分を握ってるわずか上位0.1%エスタブリッシュメントの多くがエンゲージメント派であるため、エンゲージメント派が圧倒的に有利であると語っています。

ちなみに、伊藤貫氏のこの動画で語っていることは、軍事面も含めてトランプ大統領登場とともに全く崩れたと言って良いです。

ただし、2015年時点では、伊藤貫氏の見方は正しかったといえます。トランプ大統領登場とともに米国は大きく変わったのです。現在伊藤氏が米国の情勢を語れば、当時とは全く異なったものになると思います。世界情勢は日日変わっているのです。

さて、話を元に戻します。ヒラリーのスタッフ連中は大統領選挙前に、ホワイト・ハウス事務所に引っ越ししているという報道もあったくらいです。投票前に、これだけの確信があることが、事が万事仕組まれていることを示唆していたように思います。

当時は、もしも不正だったように見えた場合には、選挙結果を受け入れないかも知れないという、トランプの条件付き発言に対する批判が注目されていました。マスコミは、すぐさま「米国民主主義の信用を傷つける」とか、「人々の意思を受け入れる米国の伝統に反する」等といって、トランプ候補を激しく非難していました。

何というたわごとだったことでしょう。 不正選挙は、米国のお家芸です。地方、州、連邦、あらゆるレベルでかなり以前から不正選挙が行われていました。シカゴ市長リチャード・J・デイリーが、シカゴ、そして、イリノイ州の票を、ジョン・F・ケネディのために誤魔化したのは有名です。

当時のシカゴ市長リチャード・J・デイリー、いかにも悪徳市長の風貌?

共和党のアメリカ最高裁が、2000年大統領選挙で、フロリダ州投票の再計数を阻止して、アル・ゴア当選をはばんだのも 、もう一つの有名な事例です。出口調査と、密かにプログラムした、紙の記録が残らない電子投票装置による投票数との間の矛盾も有名です。

トランプ氏は大統領選のときには、不正選挙の疑念を持っていました。それは、どのようなものだったのでしょうか。

たとえば、米国の歴史を遡ると黒人公民権運動は、不正選挙と何十年も戦ってきました。不正は様々な手口で行われました。そもそも、公民権運動の頃の黒人は、有権者として、登録されませんでした。登録されたとしても、地域にはわずかな投票所しかありませんでした。

などなど。何十年もの戦いの結果、投票することが彼らにとっていかに困難だったのかを知らない黒人はいませんでした。このような事実があるにもかかわらず、ラジオ局NPRは、ヒラリーに忠実なアンクル・トム(忠実の下僕などに対する米国での蔑称)連中が、トランプが、アメリカの選挙結果の信頼性を中傷したのは、なんと酷いことかと語っていました。

NPRのアナウンサーが、ロシアは、ヒラリーの電子メールをハッキングしたのみならず、無害な電子メールを、有罪な内容にするため書き換えたと示唆していました。

マスコミ、その中でも米国の9割を占める、リベラル・マスコミは、不正選挙が行われる事実を知っており、連中は不正を隠蔽する仕事をすることになっているようなので、連中はトランプや、不正選挙に触れる言説を、やっきになって悪魔化していたのでしょう。

大統領選挙ではヒラリー・クリントンが優勢だと報道されていたが・・・・

多くの人々は、ヒラリーが、大統領選の質問コーナーのやりとりで勝ったという世論調査や、ヒラリーが選挙で先行しているという世論調査を信じ込んでいました。

世論調査会社は、政治団体のために働いていたようです。もし、世論調査会社が好ましからぬ結果を出せば、お客はいなくなってしまいます。望ましい結果は、ヒラリー勝利だったのです。

ヒラリーが先行しているという不正世論調査の狙いは、トランプ支持者の投票に行く気を削ぐことだったのです。

米国では、期日前投票をすべきではないようです。期日前投票の狙いは、米国のエスタブリッシュメントの0.1パーセントが、投票結果がどういうことになるかを知ることです。この情報を利用して、巨大な政治力を有するごく少数の連中が、望んでいる候補者を選出するには、どのように電子投票装置をプログラムすれば良いかを知ることができるのです。

ところが、このような不正行為があったにもかかわらず、実際には、トランプ大統領が誕生してしまいました。さすがのエスタブリッシュメントも、元々富豪であり、自ら選挙運動を資金を自前で用意できる、トランプ氏を自分たちの操り人形するすることはできなかったようです。

誰がオバマを操っているのかを風刺した漫画

トランプ大統領は、元々実業界の人間であり、それまでの大統領とは毛色がかなり異なること、それからトランプ氏は米国の口汚い軍人の口調真似て話しをして、正直者をアピールしているのでしょうが、それを逆手に取ったマスコミは、トランプ氏をまるで「気狂いピエロ」のように報道しましした。

しかし、トランプ大統領が誕生したところをみると、このトランプ氏のアピールは功を奏したのだと思います。実際、米国では一見口汚く、自分の思ったことをズケズケといい放つ人のことを正直者とみなす風潮があります。

米国の多くの国民は、当時0.1%のエスタブリッシュメントに動かされ、ヒラリーに投票したのでしょうが、このエスタブリッシュメントにも動かされない、保守層が米国には少なくとも人口の半分は存在したのでしょう。そうでなければ、トランプ氏誕生の説明がつきません。

選挙でも独自のパフォーマンスを披露したトランプ氏


ただし、このエスタブリッシュメントは、トランプが中国に反発するのを最初は、脅威に感じたのでしょうが、過去の中国のやり方を見て中国に対して疑問を感じ始めていたところに、トランプ氏が中国を批判している内容を精査してみて、トランプ氏の言うことももっともだと認識したようです。

これは、トランプ氏の挙動などから良く理解できます。トランプ氏が中国に対して本格的に対抗心をむき出しに実行動に出たのは、今年からです。昨年は、中国を非難しつつも、エスタブリッシュメントの動向を伺っていたのでしょう。さすがに、トランプ氏もエスタブリッシュメントを敵に回し続けていては、政権運営に支障をきたしたことでしょう。

トランプ大統領が就任直後すぐに、中国に本気で対抗する姿勢をみせていれば、エスタブリッシュメントはこれを脅威に感じて干渉して、できないようにしたかもしれません。しかし、トランプ大統領は、1年くらいをかけて、中国の悪辣さを徹底的に暴いていきました。

これによって、中国の悪辣さは、非民主的とか非法治国家的というだけではなく、政治と経済が分離していないことから、経済分野にも及んでおり、現在のままの体制では、エスタブリッシュメントにとっても決して良いことではないと理解したのでしょう。

だからこそ、現在、トランプ政権の始めた貿易戦争は、すでに貿易戦争を次元を超え、冷戦レベルになり、さらにこの冷戦はトランプ政権の枠を超えて、超党派の議会による「冷戦Ⅱ」の次元にまで高まっています。

こうしたことから、米国の選挙制度は確かに欠陥はあるものの、危機に直面したときは、ある程度まともに機能することが実証されたと思います。

そうして、何よりも、建国以来一度も選挙がなされたこともないような中国のような国とは全く異なることが実証されたと思います。少なくとも、危機の時には、中国にたとえると、国家主席をすぐに失脚させることができるようなものです。

そうして今回の中間選挙は、マスコミは民主党の下院奪還に注目するも、トランプ大統領にとってはこれは織り込み済みです。トランプ氏が勝ちたかった上院と州知事選では、共和党が優勢となりました。民主党は下院しか奪還できず、トランプ政権のあら探しを始めるのが関の山というところです。これでは、共和党は勝ったとまではいえませんが、民主党は負けたといえると思います。

ただし、今回の中間選挙で、エスタブリッシュメントがどちらに加勢したのか、あるいは何もしなかったのかは定かではありません。

私はトランプ大統領の誕生は、米国のエスタブリッシュメントの凋落の第一歩なのかもしれないと思っています。

トランプ大統領の誕生は、エスタブリッシュメントの屈服でもあまりす。おそらく、天文学的な数字の資金をもってしても、マスコミによる印象操作をもってしても、ヒラリーを当選させることができなかったのです。さらには、現状でも、彼らはトランプ氏を操り人形にすることはできていないようです。

いつまでも、一握りのエスタブリッシュメントが選挙や、大統領などを操るようなことはすべきではないと思います。それは当然のことです。

財力のある大富豪のエスタブリッシュメントは確かに、強大な財力・権力を背景にあらゆる情報源を持つことができるでしょうが、それにしても、いつも正しい判断ができるとは限りません。実際、中国を増長させてしまったのは、米国のエスタブリッシュメントの判断違いのせいでもあったといえます。

まともな神経をしていれば、多くの情報源があるのですから、少なくと10年前くらいには、中国が自分たちにとっては利益をもたらす相手ではないと判断すべきだったでしょう。その頃そのような判断をしていれば、今日あれほど中国を増長させることはなかったでしょう。

おそらく、トランプ大統領は任期の中で、このエスタブリッシュメントが政治に介入できないような仕組みを政治の中に組み込んでいくのではないかと期待しています。無論、これにはエスタブリッシュメントは必死で反撃しようとするでしょう。結果がどのようになるのか、今から楽しみです。

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2018年6月6日水曜日

【高論卓説】信用不安が広がるドイツ銀行 共存の大株主・中国企業も経営危機 ―【私の論評】ドイツ銀行の中国へのデリバティブ残高は7000兆円、破綻すればリーマンショック級の危機に(゚д゚)!

 【高論卓説】信用不安が広がるドイツ銀行 共存の大株主・中国企業も経営危機 

ドイツ銀行

 ドイツ銀行への信用不安が広がっている。米国の連邦預金保険公社が米国のドイツ銀の子会社を「存続が脅かされるほどに財務に弱さがある銀行」のリストに加え、昨年、米連邦準備制度理事会(FRB)も同様の判断をしたと報じられたからである。また、米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、ドイツ銀の格付けを「BBB+」に引き下げた。この2つの要因からドイツ銀行の株が売られ、株価が過去最安値を記録したのである。

 ドイツ銀危機の背景には、ヨーロッパの金融機関が抱える構造的な問題が潜んでいる。リーマン・ショック直後の2008年10月、ヨーロッパの金融機関は会計基準の変更を行った。保有する債権を「満期目的」と「その他」に再分類し、「満期目的」については所得原価をベースに資産計上ができるようにした。ドイツ銀は約8億4500万ユーロに上る評価損を約8億2500万ユーロの黒字(08年第3四半期の税引き前)に転換させた。この会計のマジックによって黒字化したドイツ銀は経営を大きく誤ってしまったのである。

 リーマン・ショック後、英米の金融機関は経営危機対応と金融当局の指導により、積極的な資産の売却とハイリスク部門からの撤退を進めた。これを買い進め、投資銀行部門を拡大させたのがドイツ銀だった。その後、欧州でもギリシャ危機などソブリンショックが発生、15年に中国の株価が暴落したことで、この問題が表面化してしまったのである。

 ドイツ銀は欧州ソブリンショック後の資本増強を「CoCo債」という一種の転換社債で行った。この債券は経営が健全な際は、一般の債券よりも高い金利が得られるが、自己資本が危機的状況になった場合、自動的に株式に転換される社債である。つまり、借金が自己資本に変わるという非常に便利な債券であるが、これにも大きな問題がある。それは転換されることによって株式が希薄化し、株価暴落の要因になることだ。

 16年、ドイツ銀はこの問題に大きく揺れた。この問題に関しては、積極的な資産の売却などにより何とかごまかすことができたが、本質的な収益の改善には程遠く、赤字決算が続く中で、今回の危機が起きた。

中国の海航集団

 また、この問題の背景には中国との問題も絡んでいる。実はドイツ銀の筆頭株主は中国の海航集団であり、海航集団も経営危機に陥っており大規模な業務再編の最中にある。つまり、共依存の関係にあるともいえるのだ。どちらかが破綻すればそれが連鎖する可能性もある。ドイツ銀は排ガス問題を抱えるフォルクスワーゲン(VW)グループと世界最大の自動車部品、素材メーカーであるボッシュのメインバンクであり、このどちらもが中国が最大の顧客なのである。つまり、中国の製造業の要の一つでもあるのだ。

 そして、ドイツ政府としては、自国の産業基盤の破壊ともいえるドイツ銀の破綻を許すわけにもいかず、非常時には国有化を含む資本注入を含めた対応を行うものと思われる。トランプ米大統領はこれをドイツと中国との貿易戦争の交渉カードに利用する可能性もある。


【プロフィル】渡辺哲也

 わたなべ・てつや 経済評論家。日大法卒。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。著書は『突き破る日本経済』など多数。48歳。愛知県出身。

【私の論評】ドイツ銀行の中国へのデリバティブ残高は7000兆円、破綻すればリーマンショック級の危機に陥る可能性も(゚д゚)!

中国にのめり込み、筆頭株主が中国の企業となっていたドイツ銀行が信用不安に揺れています。ドイツ銀行はサブプライムローンで経営危機に落ち、2015年の中国株暴落でも損失を食らって瀕死の状態でした。中国にのめり込んだドイツは、そのツケを払うことになるでしょう。

ドイツ銀行の中国へのデリバティブ残高が、ユーロ圏GDPの9倍の64兆ドル(約7000兆円)に達しています。これは、チャイナが経済破綻かドイツ銀行デフォルトの危機です。

この危機的な状況以下のグラフをご覧いただければ、わかります。まずは、ドイツ銀行の信用危機を示すグラフです。2016年の時点で161を超えています。この状況現在も悪化しつつあります。


次に、ドイツ銀行の中国へのデリバティブ残高を示すグラフです。ユーロ圏全体のGDPの9倍のお64兆ドル(約7000兆円)に達しています。

以下はリーマンショックのときのリーマン・ブラザースの株価とドイツ銀行の株価の推移を比較したものです。


ドイツ銀行あともう少しで、破綻したリーマン・ブラザーズと同水準まできています。

さて、紛らわしいですが、ドイツ銀行(Deutsche Bank)は日銀のような中央銀行ではなく、ドイツ最大ではありますが単なる商業・投資銀行です。日本で言えば東京三菱UFJ銀行や三井住友銀行みたいなものです。

日銀に相当するドイツの中央銀行はドイツ連邦銀行(Deutsche Bundesbank)で、ユーロ導入以降は欧州中央銀行のドイツ支店のような機能を果たしています。ドイツ連銀は、ドイツマルクの現金の保管もしており、今でもそこに行けばドイツマルク紙幣をユーロに両替してくれます。

米連邦準備理事会(FRB)が昨年、ドイツ銀行(DBKGn.DE)の米国内事業を「問題のある状態」と判定していたことが、31日付の米紙報道で明らかになった。自国ではなく米国の監督当局からこのような警告を受けたことで、ゼービング最高経営責任者(CEO)の事業縮小計画は一段と切迫感を増してきました。

米当局は何年も前からドイツ銀の米国事業に懸念を抱いてきました。2013年にはニューヨーク連銀がドイツ銀の報告体制を批判。16年のFRBのストレステスト(健全性審査)では、リスク管理に欠陥があるとして米子会社が不合格となっています。

こうした経緯を踏まえても「問題のある」との認定は警戒レベルがさらに引き上げられたことを示しており、リスク管理の強化などにつながる可能性があります。機密情報が漏れたことは、監督当局との関係が緊迫化していることの証左でもあります。ドイツ銀の株価がこの日7%も下げ、25年ぶりの安値となったのも無理はないです。

ゼービングCEOは最近、米国での貸し出しと、ヘッジファンドを相手にするプライムブローカレッジ部門のレバレッジ縮小を決めています。FRBの判定は、さらに事業縮小を進める十分な誘因となります。株主からは、米国事業からの完全撤退を望む声さえ出ています。つまり20年前のバンカース・トラスト買収から始まった、米投資銀行と張り合う路線を巻き戻すということです。

ドイツ銀行ゼービングCEO

もっとも、撤退が望ましいことなのか、あるいは実現可能かどうかは、まったく定かではありません。欧州の顧客に集中するというドイツ銀の目標を満たすには、米資本市場へのアクセスが必要となります。しかも米国での新規事業を中止しても、既存投資の管理コストは背負わなければならないのです。ドイツ銀の米持ち株会社の資産は昨年末時点で1480億ドル。これらを処分することは、さらに大きなリスクを伴うことでしょう。

とはいえ、FRBの警告によりゼービング氏の選択肢が狭まったのは確かです。警告対象から外れるには長い時間とコストを要しそうですが、差し当たってはウォール街からの撤退スピードを速める以外に道はないでしょう。

それにしても、このようなことでは、先の中国への天文学的デリバティブ残高を解消するにはいたらないでしょう。一体どうするのでしょうか。

ドイツ銀行が破たんすると、世界経済への影響があまりに大きすぎる為、国有化以外ないと思われます。 この場合、他国がいろいろと条件を付けると思われるわけです。特にサブプライムでドイツにいじめられた英国は、ブレグジットでの条件闘争のカードに利用するでしょう。

ドイツ銀行危機のお陰で、英国の金融センターシティは安泰になる可能性が高くなったといえるでしょう。 ユーロの為替拠点を金融が危機的状態にある国には移せないわけで、今まで通りになる可能性が高まったわけです。

ドイツ銀行の大株主は、先にも述べたように、中国の海航集団です。そうして、海航集団は習近平の右腕でもある、王岐山中国共産党副主席が後ろ盾になっています。フォルクスワーゲンVW、そしてVWの排ガス規制回避不正プログラムを作った世界最大の自動車部品会社ボッシュのメインバンクはドイツ銀行です。中国とドイツは軍事産業でも一蓮托生の関係です。 中国に対抗することを決めた、トランプ大統領がこれを見逃すはずがありません。

王岐山(左)と習近平(右)
  
ドイツ銀行が危機的な状況になり、米国が中国の1300品目に制裁関税をかけると報じられています。トランプ大統領はドイツ銀行の実体を理解すれば、これを狙い撃ちすることにより、中国に大きな打撃を与えることも十分考えらます。

ドイツ銀行の破綻があれば中国への飛び火は必然です。そうなると、リーマンショック級の経済危機が世界を襲うことも十分に可能性があります。安倍総理は昨年10月22日夜、民放のテレビ番組に出演し、2019年10月に予定している消費税率の10%への引き上げについて「すでに法律で決まっていること」と述べていました。そのうえで「リーマン・ショック級の危機がないかぎり予定通り行う」との考えを改めて述べていました。

だとすると、延期というシナリオも十分ありえるということになります。いずれにしても、もしこれがリーマン・ショック級の危機となれば、増税は絶対駄目ですし、むしろ減税し、他国が量的金融緩和を行うなら、日銀もさらなる量的緩和を行うべきです。

リーマン・ショック時は他国が大規模な金融緩和を行っているにもかかわらず、日銀は実施せず、そのため他国は危機からはやめに脱出したにもかかわらず。日本だけが一人負けの状態に陥ってしまいました。ドイツ銀行の破綻の際には、その二の舞いを舞うことはだけは避けるべきです。

【私の論評】

2016年5月21日土曜日

舛添都知事“絶命”危機 都議「6月辞任不可避」 都議会各会派徹底追及へ ―【私の論評】上下左右から辞任に王手で新潮流が生まれる可能性も(゚д゚)!




   東京都の舛添要一知事(67)の「政治とカネ」をめぐる問題で、新事実が次々と明らかになっている。まさに“疑惑の総合商社”状態だ。そんな中、都議会各会派も、6月議会で「豪華海外出張」や「公用車での別荘通い」「韓国人学校への旧都立高校貸し出し」など、数多の疑惑・問題を徹底追及する方針を固めた。都庁周辺では「6月辞任」説が流れ始めており、舛添氏は絶体絶命の危機を迎えている。

    前回会見(13日)以降、発覚した主な疑惑・問題は以下の通り。

    まず、舛添氏が代表を務めていた資金管理団体「グローバルネットワーク研究会」(現在は解散。以下、グローバル研究会)の収支報告書に、2012年8月、栃木県日光市の「宿泊費」約8万4000円が支出されていた。お盆の時期にあたり、「千葉県の温泉施設同様、政治資金を家族旅行に流用したのでは」という疑惑が浮上した。

    参院議員時代の13年、政治資金を使ってネットオークションサイト「ヤフーオークション(ヤフオク)」で、ブロンズの裸婦像や竹久夢二のリトグラフなどを購入していたことも分かった。「財テク疑惑」が投げかけられたが、舛添氏は「海外の方と交流する際のツールとして活用している」と説明した。

    政党交付金の「ネコババ疑惑」(週刊文春)も強烈だ。

    舛添氏関係の政治資金収支報告書によると、代表を務めていた新党改革比例区第4支部が解散する直前の14年1月、前出の「グローバル研究会」に計約526万円が寄付されていた。このうち、約429万円は税金が原資の政党交付金だった。

    グローバル研究会は14年7月末に解散したが、資金は現在の舛添氏の資金管理団体「泰山会」に寄付されていた。違法性はないようだが、事実上、国民の血税を還流したものといえる。

    事務所費の問題も重大だ。舛添氏は少なくとも新党改革の代表に就任した10年以降、自宅に事務所を構える自身の複数の政治団体から、毎月44万2500円、年間計531万円の家賃の支払いを受けていた。

    これらの疑惑・問題は、舛添氏に定着した「セコイ」「卑しい」「小さい」というイメージを、さらに補強した。

舛添氏の「韓国優遇」姿勢を決定付けるような資料も見つかった。

    夕刊フジは18日、独自入手した都の資料「都内外国人学校(認可校)の状況」をもとに、韓国人学校の充足率が100%未満で、「旧都立高校を貸し出すことに緊急性がない」(都議)という問題を報じた。

    舛添氏に対する不信感・嫌悪感の高まりを受け、都議会も放置できなくなってきた。6月1日に議会が開会されるが、野党会派を中心に徹底追及の機運が高まっている。

    こうしたなか、同月9日から始まる総務委員会での質疑が注目される。

    医療法人「徳洲会グループ」から現金5000万円を受け取ったとして、14年12月に知事を辞任した猪瀬氏も、総務委員会で窮地に追い込まれた。5000万円を模した白い箱をカバンに押し込もうとして、チャックが閉まらない“醜態”をさらした、あの委員会である。質疑は「一問一答」形式で行われる。

    舛添氏の辞職を求める文書を知事室に提出している、おおさか維新の会傘下の「東京維新の会」代表、柳ケ瀬裕文都議は「舛添氏の『6月辞任』は不可避の情勢だ」といい、続けた。

    「6月7日の代表質問と、8日の一般質問での厳しい追及は避けられない。舛添氏の答弁が不十分となれば、9日と13日に予定されている総務委員会が舞台となる。もし、舛添氏を担いだ自民、公明の両会派が総務委員会への招致を断ったら、都民が『何をやっているんだ!』と黙っていない。舛添氏をかばうことはできないだろう」

    都庁関係者も「自公会派には『参院選へのダメージを避けたい』という思いもある。一気に『舛添降ろし』の流れができるのではないか」と語った。

    永田町も注視している。

    自民党都連のメンバーで、危機管理に精通する警察庁出身の平沢勝栄衆院議員(東京17区)は「都民の信頼なくして知事職は続けられない。信頼がなければ誰もついてこない。神奈川県湯河原町の別荘に毎週通っていたのは、危機管理上も組織掌握上も大問題だ。首都直下地震などに即応できないうえ、都庁の組織は弛緩(しかん)し、緊張感がなくなる。ともかく、多くの都民は、舛添氏の説明にまったく納得していない」と語った。

【私の論評】上下左右から辞任に王手で新潮流が生まれる可能性も(゚д゚)!

舛添氏というと、最近では政治資金の問題ばかりが指摘されますが、それ以外にも問題があったことは事実です。そうして、それらの問題から、舛添氏が東京都知事には元々ふさわしくない人物であったと思います。

まず第一に、舛添氏は2010年当時、自民党を出て新党を旗揚げしています。その時自民党は舛添氏を離党ではなく、除名処分にしています。それについては以下の動画をご覧ください。



除名されるには、されるだけの理由があります。その理由は、比例当選したにもかかわらず、離党しようとしたからです。

舛添要一前厚生労働相が「離党-新党結成」の意向を固めたのは、執行部批判を先鋭化させるあまり党内で孤立、引くに引けなくなったという事情がありました。以下に、当時の新党結成に関する桝添氏のインタビューの動画を掲載します。



ただし、東京知事選では他に有力な候補者がいなかったため、自民・公明は舛添氏を応援しました。そもそも、これが失敗だったと思います。他にも、探せば舛添氏以上の候補者などいくらでもいたと思います。なぜ、他の候補者を擁立しなかったのか、今考えても本当に不思議でなりません。比例で当選したにもかかわらず、脱党したので除名した人間を応援ということは通常はあり得ません。

このようなことをしたことが、その後舛添氏を増長させてしまったことは、否めません。このことが、舛添氏に後でも述べる自身への万能感をさらに増長させたものと思います。増長した人間は、碌なことをしないと昔から決まっています。

次に、離婚2回、結婚3回という過去があります。確かに、結婚、離婚は個人のプライバシーに関わることであり、個人の問題であることです。しかし、個人の問題とはいいながら、一般人ならともかく、知事の候補者としてはいかがなものかと思います。

結婚生活もまともに送れない人が、知事として勤まるかどうかは甚だ疑問です。それも、二度も失敗しています。


これに関する記事を以下に掲載します。この記事は週刊ポスト2014年1月24日号のものです。舛添知事が知事になったときの東京都知事選の直前のものです。
『舛添要一の凄すぎる「女」と「カネ」 結婚3回、離婚2回、子供2人に愛人の子3人、現在「隠し子、養育費裁判」係争中』
首都の顔を決める都知事選挙。有力候補の一人と見られているのが無所属での出馬を表明した舛添要一・元厚労相(65)だ。実は舛添氏、類い稀な男性的魅力を持っているようで、「永田町イチの艶福家」として知られているのだ。 
舛添氏の最初の結婚は1978年、相手はフランス人女性だった。出会いは、舛添氏が東大法学部政治学科を卒業後、パリ大学研究所やジュネーブ高等国際問題研究所の研究員を歴任したヨーロッパ留学中のことだった。帰国後の1979年、舛添氏は31歳の若さで東大教養学部の助教授に就任。だが、プライベートも順風満帆とはいかず、1981年に破局を迎えている。 
1986年に再婚した相手はというと、いまや政治家として全国区の知名度がある片山さつき・参院議員だ。片山氏は大蔵省(現・財務省)入省後、フランス国立行政学院に留学。帰国後の27歳の時、東大助教授の舛添氏とお見合い結婚した。結婚当時は“ミス大蔵省”との呼び声も高く、後に女性初の主計官も務めた。そんな片山氏は結婚生活について、最近のインタビューでこう振り返っている。 
<舛添さんと結婚したことがそもそも間違いであったと思います。愛のない結婚をしてはいけないということ。私の人生における大変大きな間違いだった>(『婦人公論』2013年2月22日号) 
そう振り返る結婚生活はわずか2年3か月で終わりを告げる。離婚の理由を片山氏はこう打ち明けている。 
<慌しく始まった結婚生活でしたが、「平穏」だったのは最初の数週間だけ。「遅く帰ってきやがって!」突然、彼は怒鳴り始めたんです>(『週刊新潮』2010年5月6・13日号) 
一旦怒り始めると、舛添氏は怒鳴る、手当たり次第にモノを投げつける、そして、ある時にはいくつものサバイバルナイフを片山氏の目の前にズラーッと並べたこともあったという。 
<彼は、ナイフの収集が趣味だったんです。しかも、そのうちの一つの刃先を私に向けたことまであります。(中略)結局、結婚から3か月ほどで、弁護士に離婚を相談しました。すると、弁護士の調査で彼には愛人が、そして彼女が妊娠中であることも分かった>(同前) 
その「妊娠中の愛人」を仮にA子さんとしよう。A子さんが東大の学生だった時、舛添氏が指導教官という立場で知り合った。すぐに「もう妻(片山氏)とは別れるから」と舛添氏がA子さんに猛アプローチ。押されるまま付き合い始めたA子さんは1988年、男児を出産した。A子さんの知人が当時の状況を振り返る。 
「A子さんの存在を知って激怒した片山さんが、バッグに包丁を忍ばせてA子さんと舛添氏がいた部屋に怒鳴り込んできたことがありました。真っ先に部屋を飛び出した舛添氏が逃げ込んだ先は、もうひとりの愛人B子さんの部屋だったそうです」 
A子さんの子供を舛添氏が認知したのは1990年。認知するまでの2年間に、B子さんが女児を出産、さらに同時期に他に2人の女性とも交際していたことがわかったという。目まぐるしい女性遍歴の末、舛添氏が15歳年下の現在の夫人である雅美さんと再々婚したのは1996年だ。 
なお、その前年にB子さんは2人目の女児を出産した。もちろん父親は舛添氏。その後、雅美夫人との間には、2000年に長女、2003年に長男が生まれている。振り返ると、結婚は3回、離婚は2回。2人の愛人が産んで認知した子3人と、雅美夫人との間の子2人を合わせると、舛添氏には計5人の子供がいることになる。
週刊誌の記事ですから、大衆受けするように面白おかしく掲載しているのでしょうが、それを割り引いてみても酷いです。こういうハチャメチャな人が、東京都知事としてまともに勤まるとはとても思えません。

さらに、舛添氏は実務能力に関しても問題があったと思います。それは、舛添氏が高労働大臣であったときの、いわゆる「消えた年金」問題に関する方針です。この問題に関して、当時の舛添厚生労働大臣は、「最後の一人まで」年金問題をはっきさせると語っていたことです。そもそも、こんなことは絶対に不可能です。

これに関しては、当時のこのブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
舛添大臣の窮地-年金問題への報道姿勢やブログの論調は誰の思う壺か?
この記事は、2007年12月16日のものです。当時は「消えた年金問題」で舛添大臣は窮地にたっていました。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部をコピペします。
それと、舛添大臣と福田総理大臣にも欠けていた視点が一つだけあります。それは、いかに現代のような情報化社会になったとしても、科学技術が進んだとしても、人の記憶や事務処理には常にあいまいさが付きまとうということです。ですから、「最後の一人」まで、年金をハッキリさせるということは、絶対にありえないということです。 
これは、いわゆる戦後処理について歴史を紐解いてみるとわかることです。戦後処理とは、一端戦争が始まり、 戦争終結後の処理をいいます。その中には、 賠償問題や友好回復、治安回復、経済復興などです。第二次世界大戦、日本にとっては、大東亜戦争(太平洋戦争)の戦後処理は完全に終わったとはいえない状況です。戦後60年たった今でも厚生労働省の中で、どこかの部署で国内の事務手続きは継続されていると思います。人の記憶や、戦争当時の事務処理など誤りがつきものですから、なかなか終わらないのです。 
それどころか、大東亜戦争からすると、戦争そのものの規模や奥行きがはるかに狭い日露戦争の戦後処理が、大東亜戦争中、その後もしばらくは行われていたそうです。結局は終了しなかったようです。ただし、もうその当時の人で生き残っている人は誰もいませんし、その当時の関係者の子供にあたるような人でもすでにほとんどが死亡しているか、かなりの高齢になっているかで、事実上実施しても意味がないので、もうやっていないというのが実情です。大東亜戦争の戦後処理もなかなか終わらないでしょう。今後数十年は続くと思われます。そうして、解決されない案件をかなり残したまま、戦後処理自体をやっても意味がなくなる時代に入ったときに、戦後処理は未処理案件を多数残しながら、やめることになるでしょう。 
無論年金問題に関しては、戦後処理などとは根本的に違うし、簡単に比較することはできません。しかし、人間が行う事務処理という意味では同じです。平和な時代の、科学技術がどんなに進んでも、人間のやることですから、事務処理ミス、年金受給者が行方不明になるとか、記憶喪失なるとか、あるいはどこかに拉致されるとかは考えられます。自然災害で亡くなっている人もいるかもしれませ。健康で生きていたとしても、アルツハイマーになっているということも考えられます。戦後処理も年金問題も最後の一人まで、明確にできる時代は未来永劫にわたってこないでしょう。このような背景を持つ年金問題を舛添大臣を糾弾することで、解消されると思うのは完全な間違いです。糾弾の矛先が違っています。 
年金問題も簡単な事務処理ミスに関しては、問題外だし、これは責任を追及すべきですが、上記のような背景から最後の一人までハッキリさせるというのは無理だということを前提とし、新たに取り組むという姿勢が必要だと思います。そうして、ミスはいつでも起こりえるということを前提としながらも、ミスを生じさせるようなシステムは完全に破壊して、新たなシステム作りに取り組むべきです。
この記事に書いたように、そもそも年金のミスなど、最後の一人まで確認するなどということはほとんど不可能に近いことです。しかし、それを実行すると公言したのが、当時の舛添厚労大臣です。これでは、実務能力がないのではと疑われても仕方ないと思います。

この「消えた年金」ですが、最後の最後まで計算して全部あわせるなどのこと、とてもできるものではありません。結局、どうしてもわからないものが出てくるのは仕方ないことです。

この記事を書いた後、私はアメリカの年金では、このような「消えた年金」をどのように処理しているのか調べてみました。結局のところ、簡単にいうと、税務計算上で損金扱いできるようにして、処理していることがわかりました。

とにかく、一定のルールを定めて、ある程度のは調べてみて、そこから先どうしてもわからないだろうとルーリに照らしあわせて判断した場合、損金のような扱いをして、それ以上のことはしないのです。

これが、まともな判断だと思います。最後の一人、一円も違わないようにするようになどしたら、そのための経費と時間は膨大なものが必要になります。そんなことをすれば、役人が喜ぶだけです。こんなところから、実務能力には当時からかなり疑問符がつきました。

舛添氏の著書『赤いバラは咲いたか―現代フランスの夢と現実』
(弘文堂、1983年)の著者紹介 クリックすると拡大します
舛添氏というと、子供のころは「神童」といわれ、東大の学生時代の成績は抜群だったそうです。東大助教授の国際政治学者としてテレビに出始め、テレビ朝日系「朝まで生テレビ」などに出ていた頃は、舌鋒鋭い有能な学者に見えました。

しかし、それは所詮学者としての舛添氏の一側面に過ぎず、まともな企業でまともに働いたこともないためか、実務能力には欠けているといわざるをえません。しかし、自分ではそれを認識せず、自分は万能だと思い込んでいるのだと思います。

そのおごりが、記者会見などにも現れています。今回の疑惑が発覚した当初は、この自己万能感から、なんとでもなると高をくくっていたようです。しかし、やっと最近になって、そうではないことに気づきつつあるようです。しかし、腹の中では今でも何とかなると思っていると思います。

2009年9月17日 舛添前厚生労働大臣から事務引継を受ける長妻新厚生労働大臣

さて、次に舛添氏が、知事になってからリコール運動がありました。2014年当時、舛添知事が韓国を訪問し、朴槿恵大統領と会談しました。会談の時の様子が卑屈に見えたことや、 朴大統領に再度歴史問題について切りだされたり、「都民の90%は韓国が好き」といった趣旨の発言をしたことを受け、 都庁にはクレームが殺到しました。さらには舛添氏が国会議員でも外交官でもないのに外交に首を突っ込んだことへの反発もありました。

舛添知事が就任した2014年に都が策定した「東京都都市外交基本戦略」は中身が空っぽで、何を目指しているのかさえわかりません。これまでの外遊で成果を都に持ち帰ったことなどありません。そもそも外遊の目的自体が不明確で、遊びに行っているようなものでした。
骨子とはいえ、あまりに抽象的な東京都市外交基本戦略

舛添氏は、知事になる前から、韓国に対して常軌を逸したような、おもねる態度が何度も批判されていました。  

朴槿恵を訪問した舛添知事
これを受け、ネットでは舛添氏のリコール(解職請求)運動が始まっていました。ツイッターではハッシュタグ「#舛添東京都知事リコール」が登場し

「集まると思うし、集まって欲しい…舛添自身が国益を損なうようなことをしたわけで、
都民に限らず日本人なら怒る理由がありますからね」

などの意見が書き込まれていました。

さらには、2014年8月10日の16時から「日本侵略を許さない国民の会」による「(仮)舛添都知事リコールデモ」実施されました。

「日本の侵略を許さない国民の会」による舛添知事リコールデモ

無論、この時はまだリコールは解禁されていなかったので、署名などはおこなわれませんでしたが、舛添知事の解職請求(リコール)運動が就任後1年を経過した2015年2月12日に解禁されたことを受け、ネット上の右派系ブログや『ニコニコ動画』を中心に署名活動への参加を呼び掛ける動きが活発になっていました。

リコール運動への参加を呼び掛けている意見の多くは、舛添知事が「都市外交」を掲げて2か月に1回の割合で外遊を実施しており、特に姉妹都市であるソウル市長との会談で打ち出された道路陥没対策のノウハウ提供を始めとして中央レベルでの関係が冷え込んでいる韓国との関係改善に積極的な姿勢が攻撃対象とされていました。

このリコールを成立させるためには、結局のところ予め定められた期間である選挙管理委員会に届け出た当日から2か月以内に、予め定めらた150万以上の署名を集めなければならず、これは不可能に近く、今のところリコール申請書は、選挙管理委員会には提出されていません。

先月あたりから、舛添氏はかなり厳しく追求されるようになりましたが、その前からかなり問題のあったことは事実です。そうして、それは主にいわゆる右派のほうから、糾弾されてきました。


さて、先に掲載したリコール運動は右派系のブログ主宰者などのいわゆる「ネット右翼」系の人物が中心になっています。そのため、リコールを請求する理由も舛添知事が掲げる「都市外交」に対する反発が前面に打ち出されたものになっていますが、こうした主張が幅広い支持を集められるかには疑問がありました。

2年前の知事選挙で今回のリコール請求理由と政策的に最も近い公約を掲げていたのは田母神俊雄候補だと思われますが、田母神候補への投票者が全員署名したとしても成立ラインには遠く及びません。成立ラインを視野に入れるならば2位の宇都宮健児・3位の細川護熙両候補に投票した層からも支持を集められるような請求理由を掲げるのが現実的だと思われますが、リコール運動の中にそうした「呉越同舟」を模索する動きはほぼ見られない状態でした。

この運動とよく似た形でネットから立ち上がって成功を収めたものには、2005年(平成17年)に各方面からの猛反対を押し切って成立するも施行に至らないまま凍結・廃止された鳥取県人権侵害救済条例への反対運動がありました。

鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例は鳥取県の条例です。 2005年(平成17年)10月12日、鳥取県議会で可決・成立。2006年(平成18年)6月1日施行・2010年(平成22年)3月までの時限条例としていましたが、施行前の2006年3月28日に公布施行された「鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例等の停止に関する条例」により、「別に条例で定める日」までの間その施行を凍結。2009年4月1日に施行された「鳥取県人権尊重の社会づくり条例の一部を改正等する条例」により、施行されないまま廃止されました。

この際に反対運動の中心を担っていたのは右派・保守系のグループでしたが「条例に問題がある」と言う認識で一致する左派・革新系のグループと「呉越同舟」の協力関係を築くことに成功したのが大きな勝因の一つでした。

鳥取県人権条例について報道する当時の新聞

舛添氏に対するリコール運動は、今年の4月以前には、このような調子で絶望的でしたが、4月以降は、舛添氏の政治資金問題等が発覚して、状況は変わりました。4月に舛添知事の豪華海外出張の批判、韓国政府に都有地「貸し出し」の批判さらに政治資金にまつわる種々の批判が相次いでいます。

そうなると、これはいわゆるネット右翼の問題だけではなく、いわゆる左派・革新系の市民グループへもアピールできます。舛添知事の問題は、それこそ、左右上下関係なく、共有できる、都政の政治改革にもつながるかもしれません。

鳥取の人権救済条例を阻止したときのように、右派・保守系のグループが「舛添知事に問題がある」と言う認識で一致する左派・革新系のグループと「呉越同舟」の協力関係を築くことができたら、舛添知事リコールなどよりもはるかに強力な、都政の政治改革への道が開かれるかもしれません。

現在、いわゆる右派・保守系グルーブも、左派・革新グループもこの活動は停滞気味ですし、結局のところどちらもあまり成果を挙げられていないようです。

私は、敵を増やすより、仲間を増やすべきと常々思っています。これは、政治の世界でも、ビジネスの世界でも同じことです。都内の、左派・革新も、右派・保守も自分たちの目指すことで、一致点が見出すことができれば、舛添知事を辞任に追い込むために「呉越同舟」も厭わない態度が必要ではないかと思います。

都議会

都議会においては、野党は追求の構えを見せていますが、ブログ冒頭の記事とは異なり、与党側の自公はそうではないようです。以下にこれに関する日刊スポーツの記事を掲載します。
舛添知事に辞職求める声も「辞めさせられない」都議

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を掲載します。
 自らの政治資金疑惑を第三者の調査に委ねる考えを示した東京都の舛添要一知事。都民からは辞職を求める声も高まっているが、都議会の過半数を占める自民、公明両党は静観の構えだ。住民による解職請求(リコール)は成立のハードルが高く、都議の一人は「知事が職務を続ける意向を示す限り、辞めさせることはできないのではないか」と話す。

野党の各会派は20日の記者会見を受け、「知事の資質に欠けている」として一斉にアピールを出した。6月1日からの議会では、説明責任を果たすよう求める考えだが、野党は知事に直接質問できる機会は少なく、都議の一人は「調査を待つという回答を繰り返すのではないか」と指摘する。 
 地方議会は、地方自治法に基づき関係者の出頭や証言、記録の提出を請求できる調査特別委員会(百条委員会)を設置できるが、目的は自治体の事務の調査に限られる。これまでに判明した政治資金の私的流用は知事に就任する前で、別の野党議員は「百条委で調べるのは難しく、まずは議会でただすしかない」と話す。 
 高額な海外出張費や公用車での別荘通いについてならば、百条委の設置も可能だ。しかし、本会議で出席議員の過半数の賛成が必要で、与党側の同意を得ることが難しいことから実現する可能性は低い。 
 住民によるリコールは都の場合、2カ月間で約150万人の署名を集めなければならず、これまで都知事に対するリコールが成立した例もない。 
 ある与党都議は「知事は致命傷が出ない限り、このまま逃げ切れると思っているのだろう。ただ、都民の批判が高まればわれわれも対応を考え直さなければならない」と話している。
このように、東京都議会も舛添知事を辞任に追い込むことは難しいようです。しかし、先ほど述べたように、都内の、左派・革新も、右派・保守も自分たちの目指すことで、一致点が見出すことができれば、舛添知事を辞任に追い込むために「呉越同舟」も厭わなければ、150万人分の署名を二ヶ月で集めることも、あながち不可能とばかりはいっておられない状況になってきています。

日本の政治の変革を促す発火点に?
これを成就させるためには、上下左右関係なく、それぞれの代表者が話し合いの場を持ち、半年から1年かけて、リコールの実施関する、戦略を練りに練って、目標を一つにして、密に連携して、迅速に行動すれば、あながち不可能ではありません。もし、都議会が結局何もできないようであれば、この動きに拍車がかかることになります。

このような行動をするようになれば、都政に上下左右関係なく、変革のための一致点がみいだされば、「呉越同舟」で協力しあう、土壌が生まれるかもしれません。

そうして、リコールがうまくいけば、それが、最初の都政変革の一里塚になるかもしれません。しかし、仮に失敗したとしても、次の段階では次の選挙ではさら増長した舛添が立候補したとしてもそれを阻むことに成功する確率はかなり高いというか100%に近いです。

そうすると、すくなくともオリンピックの頃には、舛添知事ではなく、他の知事で迎えられることになります。

いずれにせよ、この舛添騒動で、都政に新たな変革の風が吹くかもしれません。そうなれば、鳥取県の人権救済条例を阻止に関しては、全国に影響を与えるにはいたらなかったのですが、日本で最大の都市、世界でも有数の都市の東京での変革は、日本の政治にも大きな影響を与えます。

都議会が絡むより、都民の「呉越同舟」が、舛添氏辞任で一致して、動くようになれば、舛添氏が思わぬ形で、日本の政治の変革を促す発火点になるかもしれません。

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2016年4月1日金曜日

【スクープ最前線】オバマ政権を見くびる習政権 「尖閣・台湾」危機の衝撃情報―【私の論評】習近平が国内での統治の正当性を強化するために、尖閣・台湾侵攻は十分にあり得る戦略(゚д゚)!




狙われる沖縄県・尖閣諸島 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
習近平国家主席率いる中国が、東アジアで軍事的覇権を強めている。南シナ海の島に、米海軍をけん制する対艦巡航ミサイルを配備しただけでなく、上陸作戦などで運用する「強襲揚陸艦」の整備を進めているのだ。特に、沖縄県・尖閣諸島や台湾周辺を含む東シナ海を担当海域とする東海艦隊の強化が目立つという。オバマ米大統領の残り任期が約10カ月となるなか、中国は何を狙うのか。ジャーナリストの加賀孝英氏が迫った。

 日米同盟の抑止力を強化し、日本の防衛体制を強固とする安全保障関連法が29日施行された。同法をけん制するかのように、中国海軍の最新鋭フリゲート艦など2隻が前日、鹿児島県の南にある大隅海峡を通過した。

 防衛省のシンクタンク「防衛研究所」は今月公表した「中国安全保障レポート2016」で、中国海軍について「今後も領土や海洋権益問題での優位確立を目指し、海空域でのプレゼンス強化を図るだろう」と強い警鐘を鳴らした。

 ご存じのように、国際社会の関心は、朝鮮半島と南シナ海の軍事的緊張に集中している。だが、わが国固有の領土である尖閣諸島にも危機が迫っている。以下、複数の米軍、米情報当局関係者から入手した衝撃情報だ。

 「日米防衛当局は昨年末、中国の習主席が『東シナ海での軍事作戦に備えよ』という極秘指令を、東シナ海を統括する東部戦区に出した、という情報をつかんだ。中国は年明け、東海艦隊を中心に、上陸作戦で使用する強襲揚陸艦をバタバタと配備した。日米当局は『尖閣や台湾を狙っている』と緊張している」

 事実、人民日報系ニュースサイト「人民網」は1月、新型の戦車揚陸艦(排水量約5000トン)1隻が東海艦隊で運用を開始したと報じた。「中国網」(日本語版)は今月、新型強襲揚陸艦(排水量約5000トン)が、3隻同時に同艦隊に配備されたと伝えた。人民網は「大量のヘリコプターと戦車、水陸両用車、兵員を上陸地点にまで輸送する」とした。

中国海軍の新型戦車揚陸艦「武夷山」「徂徠山」「五台山」の
就役・命名式が7日午前、東海艦隊の某軍港で行われた。
 さらに、カナダの民間軍事研究機関によると、満載排水量約3万5000トンという新型強襲揚陸艦も近く完成するという。海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」(基準排水量約1万9500トン)をはるかに上回る。脅威どころではない。これは「尖閣・台湾」危機だ。

 衝撃情報はこう続いている。

 「中国は世界最大級の民間漁船による海上民兵を組織し、情報収集や領有権を主張する島々への侵入、上陸活動をさせてきた。彼らに最近、『指揮系統の確認作業が行われた』という極秘情報がある。中国は約20万隻の漁船を有し、数は約1400万人とされる。最悪の場合、すさまじい数の海上民兵が、尖閣や台湾に向かう可能性がある」

 尖閣危機については、まず民間漁船に偽装した海上民兵が尖閣に上陸し、中国海軍が「自国民保護」を名目に出動して局地戦に発展-という分析がある。このとき、次々に配備された強襲揚陸艦が使用されるのか。

中国海上民兵
 日本の外事警察関係者にこうした話をぶつけると、「東シナ海の危険は承知している」といい、次のように付け加えた。

 「台湾も危ない。独立志向が高い民主進歩党の蔡英文・次期総統による新政権が5月に発足する。この政権は8年続く可能性があるが、『台湾統一』を掲げる習氏は、これを放置できない。昨年7月、中国軍の特殊部隊が、台湾総督府をコピーした建造物で『斬首訓練』(=奇襲攻撃による政府首脳排除)をしていたことが発覚した。経済の低迷で、人民は爆発寸前だ。習氏は追い詰められている。何が起こるか分からない」

 こんな暴挙が許されていいのか。そもそも習政権は信用できない。

 習氏は昨年9月に訪米した際、「南シナ海を軍事基地拠点にする意図はない」とオバマ氏に約束したが、人工島を軍事基地化し、地対空ミサイルや戦闘機まで配備した。

 旧知の米軍関係者は「中国は今後、南シナ海に強引に航空識別圏(ADIZ)を設定して、シーレーンを牛耳るつもりだ。オバマ氏を『何もできない』と見くびっている。南シナ海や中東の混乱、北朝鮮の増長も、『世界の警察官』を降りたオバマ米国の責任が大きい」と明かす。

 31日から米ワシントンで、世界各国の首脳と国際機関代表が集まる核安全保障サミットが開催される。これに合わせて、米中首脳会談と、日米韓首脳会談などが開かれる。

 日本は、東アジアの危機回避のためにも、「自国の領土・領海・領空を守る」断固たる覚悟を示し、世界各国との連携強化に総力を挙げなければならない。

 ■加賀孝英(かが・こうえい)

【私の論評】習近平が国内での統治の正当性を強化するために、尖閣・台湾侵攻は十分にあり得る戦略(゚д゚)!

上の記事では、中国の最近の中国の軍備の様子に関して、掲載し、迫りつつある現実的な脅威を強調しています。

私のブログでは、中国の海軍力は恐るに足らずということを何度か掲載してきました。その代表的なもののリンクを以下に掲載します。
中国“威嚇”か 鹿児島県沖に最新鋭のフリゲート艦 安保関連法施行―【私の論評】安保法制施行を機に日本は、中国の海洋進出を弾く壁になれ(゚д゚)!
鹿児島県沖を通過した中国のジャンカイII級フリゲート艦 写真はブログ管理人挿入
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、特に日本の場合中国と比較すると、潜水艦に関しては絶対的に優位があります。技術水準が高くて、中国の潜水艦は日本の「そうりゅう型」の敵ではありません。同時に、対潜哨戒能力も段違いに優勢であることを掲載しました。

現在通常型としては世界で最も先進的な潜水艦である日本の「そうりゅう型」
日中の海軍が戦った場合、中国に勝ち目はありません。日本の海上自衛隊と対峙しても、この程度ですから、これが、日米同盟軍であれば、箸にも棒にもかからない中国の海軍力であることを掲載しました。

特に、軍事技術に関しては、中国の技術水準はかなり劣っているので、いくら中国が尖閣を侵攻しようとして、揚陸艦や空母や艦船、海上民兵など送り込んできても、日本側に海上で撃破されてしまい、海の藻屑と消え、そもそも尖閣に到達することなど無理です。

このことは、中国側も周知の事実で、それに関しては、この記事でも中国メディアの記事を引用して掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
海上における軍事力、中国は日本にはるかに劣るのが現状
このようなことから、いくら中国が軍備を増強したとはいっても、すぐに尖閣などに攻めこむということは考えにくいです。

ただし、これは、物理的な問題です。物理的には、今中国が海軍や海上民兵を尖閣に送り込み、尖閣を奪取できるかといえば、それは無理です。

しかし、日本には特殊事情があります。自民党の危機管理プロジェクトチームが以前まとめた中間報告は、自衛隊が外国の武装集団に対抗するにしても、防衛出動以外では国際法規や慣習に基づく軍隊としての実力行使を行えず、国内の泥棒を捕まえる警察法規でしか武器を使用できないことを鋭く見据えていました。

警察官職務執行法が準用される武器使用は正当防衛や緊急避難などに限られます。相手が攻撃したあとに許される武器使用で、どうして重武装した人民解放軍に立ち向かえるでしょうか。
自衛権の発動である防衛出動もがんじがらめです。「わが国に対する武力攻撃が発生した場合」かつ「他国による計画的、組織的な武力攻撃」という条件付きです。国ではなく組織的な武力攻撃とはいえない海上民兵などのテロはあてはまりません。

列国の軍隊は国民を守り、不法な主権侵害行為を排除する「平時の自衛権」を持っています。ところが日本はこの当たり前の権限が許されていません。

現状では憲法第9条は「陸海空軍その他の戦力」保持を認めていないと解釈しているからです。これは、自衛隊を軍隊でも警察でもない、あいまいな「実力組織」と位置付けてきたためでもあります。9条を改正するか、9条の解釈を変更して、自衛隊を軍隊として正当に評価すればよいのですが、当面の方策としては成り立ちません。

日本の自衛隊は軍隊ではない。その身分は「特別職国家公務員」である
このあたりを、中国側に見透かされ、海上民兵などにより、尖閣に上陸され、実行支配され、その後南シナ海のように、軍事基地化され、次の段階で沖縄侵攻の前哨基地にされるというシナリオは十分に考えられます。

そうして、最近では、中国に異変がみられ、習近平がこうしたことを実行する決意を固める可能性も十分にあります。

その異変とは、どのようなものかといえば、2つほどあります。まず一つ目は、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【石平のChina Watch】習主席、頓挫した「独裁者」への道 衆人環視の中で目撃された異様な光景 ―【私の論評】刎頚の友で、独裁者になりそこねた習!だが、中共の本質は変わらない(゚д゚)!
習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけた王岐山氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、先月4日に開かれた全国政治協商会議(全国政協)の開幕式で、委員たちは異様ともいうべき光景を目撃したことを掲載しました。

この式典が終わって、最高指導部のメンバーたちが順次、ひな壇から退場するとき、党の規律検査委員会の王岐山主任が前を歩く習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけたのです。

これにより、中国の影の本当の実力者は、王岐山であるかもしれないことが、公に示されたことになります。本当の実力者とまでいなくても、王岐山はいつの間にか、習近平と対等の権力を手中に収め習近平を諌めることができるものとみられます。

異変は、さらにあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

「あなたは指導力に欠ける」 中国主席辞任要求する公開書簡がニュースサイトに掲載 当局が捜査
この記事の内容、以下にそのまま引用します。 
 中国新疆ウイグル自治区政府系のニュースサイト「無界新聞」に、習近平国家主席の外交や経済面などの「失策」を指摘し、辞任を求める公開書簡が17日までに掲載され、当局が捜査に乗り出した。中国語ニュースサイト「博訊」(本部・米国)などが報じた。 
 報道によると、「忠誠なる共産党員」を名乗る投稿者による書簡は全国人民代表大会(全人代)の開幕を控えた4日夜に掲載され、すぐに削除されたという。 
 書簡は「習近平同志、ニーハオ。われわれは忠誠なる党員です」との書き出しで始まり、習氏が権力を集中させて、国家機関の独立性を弱体化させたと政治面の問題を指摘。言論締め付けは文化大革命の再発を懸念させると批判した。 
 外交面でも、能力を隠して自重するという故トウ小平氏の外交戦略「韜光養晦」路線を捨て、日本や米国との関係を悪化させたなどと非難。「あなたは党や国家の指導力に欠ける」と辞任を求めた。
無界新聞が掲載した習氏を批判する記事
この習近平批判記事を掲載したとされる、中国の著名コラムニスト、賈葭氏が行方不明になっていることが明らかになています。

賈葭氏は15日夜以降、連絡が取れなくなったとといます。同氏は同日に北京から香港に飛行機で向かう予定でした。賈葭氏の妻は、夫の行方が分からなくなったと当局に訴えています。

政府系ニュースサイトに掲載された習近平国家主席の辞任を求める匿名の手紙をめぐって、賈葭氏に対する当局の疑いが高まっていたとみられます。手紙はサイトから間もなく削除されました。

今回の失踪も、習主席のイメージを守ることを目的とした、最近注目を集めるメディア関係者への締め付けの一環だとみられます。

賈葭氏
さらに別の動きもありました。中国共産党員を名乗り、習近平国家主席の辞任を求める公開書簡が米国の中国語サイトに1日までに投稿され、波紋が広がりました。国家主席の辞任を求める声が立て続けに公になるのは異例で、強まる言論統制への反発との見方が出ています。

米政府系放送局ラジオ自由アジアなどによると、新たな書簡は3月29日にニュースサイト「明鏡新聞網」系のブログに掲載されました。「171人の中国共産党員」を名乗る投稿者が自分ですぐに削除したもようですが、ネット上で一気に拡散しました。

書簡は「習同志の独裁と個人崇拝が党内組織をひどい状態にした」と批判。共産党に「習同志を一切の職務から罷免し、党と党員を救済するよう要求する」と訴えました。

ニュースサイト「明鏡新聞網」系のブログに掲載された習近平批判
この一連の動きをみていると、習近平は国内の権力闘争で当初は腐敗撲滅運動で、かなり成果をあげたのですが、習近平自身が不正を働いていたのは周知の事実で、これに対する反発も相当なものだったことがうかがえます。

そうして、現在間違いなく習近平の権力基盤は揺らぎつつあります。習近平は、この状況を変えて、自らの統治正当性を強調するため、これから一気に過激な示威行動に出る可能性があります。

しかし、南シナ海において、新たな動きをするということになれば、アメリカと本格的に対峙しなければならないことになります。これは、全く勝ち目がないので、習近平も避けたいところでしょう。

しかし、周囲をみまわせば、アメリカ程強力ではないどころか脆弱なところがあります。それは、どこかといえば、軍事力は強大ながら、憲法上の制約があり、まともに戦えないかもしれないと目される自衛隊が守る日本の尖閣諸島です。

さらに、防衛力では日本より格段に劣る台湾への侵攻です。これらに成功し、国内で反対派を再度徹底的に弾圧できれば、習近平の国内での統治の正当性はかなり高まることが考えられます。

そうして、これはオバマ政権下のうちに、実行される可能性も十分にあります。ご承知にように、オバマは外交などの非常に及び腰なので、オバマ政権下で尖閣や、台湾に侵攻したとしてもオバマは烈火のごとく怒り、中国を激しく非難するかもしれませんが、それ以上のことはしないと見られるからです。

習近平が事を起こすならオバマ政権下の時に起こすのが有利
オバマ政権が終了し、次の大統領になった場合、誰がなったとしても、少なくともオバマよりは及び腰ではないことが考えられます。習近平が示威行動をするなら、この機を逃すのは、明らかに不利です。

日本としては、やはり憲法9条を改正するか、改正しないまでも、憲法学における京都学派の憲法解釈を採用して、防衛戦争をできるようにする必要があります。

京都学派の憲法解釈に関しては、このブログにも掲載したことがあります。そのリンクを以下に掲載します。
佐々木惣一の「憲法第九条と自衛権」―【私の論評】安保法制=戦争法案としてデモをする人々は、まるで抗日70周年記念軍事パレードをする人民解放軍の若者と同じか?
憲法学における京都学派の重鎮 佐々木惣一氏
詳細は、この記事をご覧いただくもとして、佐々木惣一氏をはじめとする、京都学派の解釈では、憲法9条は、日本は国際紛争を解決する手段として、戦力を用いたり保持することは禁じているが、防衛戦争そのものを禁じたり、防衛戦争のための戦力を用いたり保持することまでは禁じていないと解釈しています。

この解釈に従えば、自衛隊を軍隊にし、中国が尖閣に侵攻してきた場合、普通の国の軍隊と同じく、防衛戦争をすることは違憲ではありません。

ブログ冒頭のような成果情勢があり、さらに最近ではアメリカの大統領候補トランプ氏が、日米安全保障における日本の片務性(米国が攻撃されても日本はこれを守ることはしない)に苦言を呈するとともに、核武装も許容するとしている今日、日本も防衛戦争くらいできるようにしておくべきものと思います。

中国の海上民兵に尖閣列島を占拠され、尖閣が中国に実効支配されるようになり、南シナ海のように軍事基地化され、沖縄侵攻の橋頭堡にされたり、尖閣付近の間隙をぬって、中国のさらなる海洋進出を許すことがあってはなりません。

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