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2016年4月1日金曜日

【スクープ最前線】オバマ政権を見くびる習政権 「尖閣・台湾」危機の衝撃情報―【私の論評】習近平が国内での統治の正当性を強化するために、尖閣・台湾侵攻は十分にあり得る戦略(゚д゚)!




狙われる沖縄県・尖閣諸島 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
習近平国家主席率いる中国が、東アジアで軍事的覇権を強めている。南シナ海の島に、米海軍をけん制する対艦巡航ミサイルを配備しただけでなく、上陸作戦などで運用する「強襲揚陸艦」の整備を進めているのだ。特に、沖縄県・尖閣諸島や台湾周辺を含む東シナ海を担当海域とする東海艦隊の強化が目立つという。オバマ米大統領の残り任期が約10カ月となるなか、中国は何を狙うのか。ジャーナリストの加賀孝英氏が迫った。

 日米同盟の抑止力を強化し、日本の防衛体制を強固とする安全保障関連法が29日施行された。同法をけん制するかのように、中国海軍の最新鋭フリゲート艦など2隻が前日、鹿児島県の南にある大隅海峡を通過した。

 防衛省のシンクタンク「防衛研究所」は今月公表した「中国安全保障レポート2016」で、中国海軍について「今後も領土や海洋権益問題での優位確立を目指し、海空域でのプレゼンス強化を図るだろう」と強い警鐘を鳴らした。

 ご存じのように、国際社会の関心は、朝鮮半島と南シナ海の軍事的緊張に集中している。だが、わが国固有の領土である尖閣諸島にも危機が迫っている。以下、複数の米軍、米情報当局関係者から入手した衝撃情報だ。

 「日米防衛当局は昨年末、中国の習主席が『東シナ海での軍事作戦に備えよ』という極秘指令を、東シナ海を統括する東部戦区に出した、という情報をつかんだ。中国は年明け、東海艦隊を中心に、上陸作戦で使用する強襲揚陸艦をバタバタと配備した。日米当局は『尖閣や台湾を狙っている』と緊張している」

 事実、人民日報系ニュースサイト「人民網」は1月、新型の戦車揚陸艦(排水量約5000トン)1隻が東海艦隊で運用を開始したと報じた。「中国網」(日本語版)は今月、新型強襲揚陸艦(排水量約5000トン)が、3隻同時に同艦隊に配備されたと伝えた。人民網は「大量のヘリコプターと戦車、水陸両用車、兵員を上陸地点にまで輸送する」とした。

中国海軍の新型戦車揚陸艦「武夷山」「徂徠山」「五台山」の
就役・命名式が7日午前、東海艦隊の某軍港で行われた。
 さらに、カナダの民間軍事研究機関によると、満載排水量約3万5000トンという新型強襲揚陸艦も近く完成するという。海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」(基準排水量約1万9500トン)をはるかに上回る。脅威どころではない。これは「尖閣・台湾」危機だ。

 衝撃情報はこう続いている。

 「中国は世界最大級の民間漁船による海上民兵を組織し、情報収集や領有権を主張する島々への侵入、上陸活動をさせてきた。彼らに最近、『指揮系統の確認作業が行われた』という極秘情報がある。中国は約20万隻の漁船を有し、数は約1400万人とされる。最悪の場合、すさまじい数の海上民兵が、尖閣や台湾に向かう可能性がある」

 尖閣危機については、まず民間漁船に偽装した海上民兵が尖閣に上陸し、中国海軍が「自国民保護」を名目に出動して局地戦に発展-という分析がある。このとき、次々に配備された強襲揚陸艦が使用されるのか。

中国海上民兵
 日本の外事警察関係者にこうした話をぶつけると、「東シナ海の危険は承知している」といい、次のように付け加えた。

 「台湾も危ない。独立志向が高い民主進歩党の蔡英文・次期総統による新政権が5月に発足する。この政権は8年続く可能性があるが、『台湾統一』を掲げる習氏は、これを放置できない。昨年7月、中国軍の特殊部隊が、台湾総督府をコピーした建造物で『斬首訓練』(=奇襲攻撃による政府首脳排除)をしていたことが発覚した。経済の低迷で、人民は爆発寸前だ。習氏は追い詰められている。何が起こるか分からない」

 こんな暴挙が許されていいのか。そもそも習政権は信用できない。

 習氏は昨年9月に訪米した際、「南シナ海を軍事基地拠点にする意図はない」とオバマ氏に約束したが、人工島を軍事基地化し、地対空ミサイルや戦闘機まで配備した。

 旧知の米軍関係者は「中国は今後、南シナ海に強引に航空識別圏(ADIZ)を設定して、シーレーンを牛耳るつもりだ。オバマ氏を『何もできない』と見くびっている。南シナ海や中東の混乱、北朝鮮の増長も、『世界の警察官』を降りたオバマ米国の責任が大きい」と明かす。

 31日から米ワシントンで、世界各国の首脳と国際機関代表が集まる核安全保障サミットが開催される。これに合わせて、米中首脳会談と、日米韓首脳会談などが開かれる。

 日本は、東アジアの危機回避のためにも、「自国の領土・領海・領空を守る」断固たる覚悟を示し、世界各国との連携強化に総力を挙げなければならない。

 ■加賀孝英(かが・こうえい)

【私の論評】習近平が国内での統治の正当性を強化するために、尖閣・台湾侵攻は十分にあり得る戦略(゚д゚)!

上の記事では、中国の最近の中国の軍備の様子に関して、掲載し、迫りつつある現実的な脅威を強調しています。

私のブログでは、中国の海軍力は恐るに足らずということを何度か掲載してきました。その代表的なもののリンクを以下に掲載します。
中国“威嚇”か 鹿児島県沖に最新鋭のフリゲート艦 安保関連法施行―【私の論評】安保法制施行を機に日本は、中国の海洋進出を弾く壁になれ(゚д゚)!
鹿児島県沖を通過した中国のジャンカイII級フリゲート艦 写真はブログ管理人挿入
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、特に日本の場合中国と比較すると、潜水艦に関しては絶対的に優位があります。技術水準が高くて、中国の潜水艦は日本の「そうりゅう型」の敵ではありません。同時に、対潜哨戒能力も段違いに優勢であることを掲載しました。

現在通常型としては世界で最も先進的な潜水艦である日本の「そうりゅう型」
日中の海軍が戦った場合、中国に勝ち目はありません。日本の海上自衛隊と対峙しても、この程度ですから、これが、日米同盟軍であれば、箸にも棒にもかからない中国の海軍力であることを掲載しました。

特に、軍事技術に関しては、中国の技術水準はかなり劣っているので、いくら中国が尖閣を侵攻しようとして、揚陸艦や空母や艦船、海上民兵など送り込んできても、日本側に海上で撃破されてしまい、海の藻屑と消え、そもそも尖閣に到達することなど無理です。

このことは、中国側も周知の事実で、それに関しては、この記事でも中国メディアの記事を引用して掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
海上における軍事力、中国は日本にはるかに劣るのが現状
このようなことから、いくら中国が軍備を増強したとはいっても、すぐに尖閣などに攻めこむということは考えにくいです。

ただし、これは、物理的な問題です。物理的には、今中国が海軍や海上民兵を尖閣に送り込み、尖閣を奪取できるかといえば、それは無理です。

しかし、日本には特殊事情があります。自民党の危機管理プロジェクトチームが以前まとめた中間報告は、自衛隊が外国の武装集団に対抗するにしても、防衛出動以外では国際法規や慣習に基づく軍隊としての実力行使を行えず、国内の泥棒を捕まえる警察法規でしか武器を使用できないことを鋭く見据えていました。

警察官職務執行法が準用される武器使用は正当防衛や緊急避難などに限られます。相手が攻撃したあとに許される武器使用で、どうして重武装した人民解放軍に立ち向かえるでしょうか。
自衛権の発動である防衛出動もがんじがらめです。「わが国に対する武力攻撃が発生した場合」かつ「他国による計画的、組織的な武力攻撃」という条件付きです。国ではなく組織的な武力攻撃とはいえない海上民兵などのテロはあてはまりません。

列国の軍隊は国民を守り、不法な主権侵害行為を排除する「平時の自衛権」を持っています。ところが日本はこの当たり前の権限が許されていません。

現状では憲法第9条は「陸海空軍その他の戦力」保持を認めていないと解釈しているからです。これは、自衛隊を軍隊でも警察でもない、あいまいな「実力組織」と位置付けてきたためでもあります。9条を改正するか、9条の解釈を変更して、自衛隊を軍隊として正当に評価すればよいのですが、当面の方策としては成り立ちません。

日本の自衛隊は軍隊ではない。その身分は「特別職国家公務員」である
このあたりを、中国側に見透かされ、海上民兵などにより、尖閣に上陸され、実行支配され、その後南シナ海のように、軍事基地化され、次の段階で沖縄侵攻の前哨基地にされるというシナリオは十分に考えられます。

そうして、最近では、中国に異変がみられ、習近平がこうしたことを実行する決意を固める可能性も十分にあります。

その異変とは、どのようなものかといえば、2つほどあります。まず一つ目は、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【石平のChina Watch】習主席、頓挫した「独裁者」への道 衆人環視の中で目撃された異様な光景 ―【私の論評】刎頚の友で、独裁者になりそこねた習!だが、中共の本質は変わらない(゚д゚)!
習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけた王岐山氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、先月4日に開かれた全国政治協商会議(全国政協)の開幕式で、委員たちは異様ともいうべき光景を目撃したことを掲載しました。

この式典が終わって、最高指導部のメンバーたちが順次、ひな壇から退場するとき、党の規律検査委員会の王岐山主任が前を歩く習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけたのです。

これにより、中国の影の本当の実力者は、王岐山であるかもしれないことが、公に示されたことになります。本当の実力者とまでいなくても、王岐山はいつの間にか、習近平と対等の権力を手中に収め習近平を諌めることができるものとみられます。

異変は、さらにあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

「あなたは指導力に欠ける」 中国主席辞任要求する公開書簡がニュースサイトに掲載 当局が捜査
この記事の内容、以下にそのまま引用します。 
 中国新疆ウイグル自治区政府系のニュースサイト「無界新聞」に、習近平国家主席の外交や経済面などの「失策」を指摘し、辞任を求める公開書簡が17日までに掲載され、当局が捜査に乗り出した。中国語ニュースサイト「博訊」(本部・米国)などが報じた。 
 報道によると、「忠誠なる共産党員」を名乗る投稿者による書簡は全国人民代表大会(全人代)の開幕を控えた4日夜に掲載され、すぐに削除されたという。 
 書簡は「習近平同志、ニーハオ。われわれは忠誠なる党員です」との書き出しで始まり、習氏が権力を集中させて、国家機関の独立性を弱体化させたと政治面の問題を指摘。言論締め付けは文化大革命の再発を懸念させると批判した。 
 外交面でも、能力を隠して自重するという故トウ小平氏の外交戦略「韜光養晦」路線を捨て、日本や米国との関係を悪化させたなどと非難。「あなたは党や国家の指導力に欠ける」と辞任を求めた。
無界新聞が掲載した習氏を批判する記事
この習近平批判記事を掲載したとされる、中国の著名コラムニスト、賈葭氏が行方不明になっていることが明らかになています。

賈葭氏は15日夜以降、連絡が取れなくなったとといます。同氏は同日に北京から香港に飛行機で向かう予定でした。賈葭氏の妻は、夫の行方が分からなくなったと当局に訴えています。

政府系ニュースサイトに掲載された習近平国家主席の辞任を求める匿名の手紙をめぐって、賈葭氏に対する当局の疑いが高まっていたとみられます。手紙はサイトから間もなく削除されました。

今回の失踪も、習主席のイメージを守ることを目的とした、最近注目を集めるメディア関係者への締め付けの一環だとみられます。

賈葭氏
さらに別の動きもありました。中国共産党員を名乗り、習近平国家主席の辞任を求める公開書簡が米国の中国語サイトに1日までに投稿され、波紋が広がりました。国家主席の辞任を求める声が立て続けに公になるのは異例で、強まる言論統制への反発との見方が出ています。

米政府系放送局ラジオ自由アジアなどによると、新たな書簡は3月29日にニュースサイト「明鏡新聞網」系のブログに掲載されました。「171人の中国共産党員」を名乗る投稿者が自分ですぐに削除したもようですが、ネット上で一気に拡散しました。

書簡は「習同志の独裁と個人崇拝が党内組織をひどい状態にした」と批判。共産党に「習同志を一切の職務から罷免し、党と党員を救済するよう要求する」と訴えました。

ニュースサイト「明鏡新聞網」系のブログに掲載された習近平批判
この一連の動きをみていると、習近平は国内の権力闘争で当初は腐敗撲滅運動で、かなり成果をあげたのですが、習近平自身が不正を働いていたのは周知の事実で、これに対する反発も相当なものだったことがうかがえます。

そうして、現在間違いなく習近平の権力基盤は揺らぎつつあります。習近平は、この状況を変えて、自らの統治正当性を強調するため、これから一気に過激な示威行動に出る可能性があります。

しかし、南シナ海において、新たな動きをするということになれば、アメリカと本格的に対峙しなければならないことになります。これは、全く勝ち目がないので、習近平も避けたいところでしょう。

しかし、周囲をみまわせば、アメリカ程強力ではないどころか脆弱なところがあります。それは、どこかといえば、軍事力は強大ながら、憲法上の制約があり、まともに戦えないかもしれないと目される自衛隊が守る日本の尖閣諸島です。

さらに、防衛力では日本より格段に劣る台湾への侵攻です。これらに成功し、国内で反対派を再度徹底的に弾圧できれば、習近平の国内での統治の正当性はかなり高まることが考えられます。

そうして、これはオバマ政権下のうちに、実行される可能性も十分にあります。ご承知にように、オバマは外交などの非常に及び腰なので、オバマ政権下で尖閣や、台湾に侵攻したとしてもオバマは烈火のごとく怒り、中国を激しく非難するかもしれませんが、それ以上のことはしないと見られるからです。

習近平が事を起こすならオバマ政権下の時に起こすのが有利
オバマ政権が終了し、次の大統領になった場合、誰がなったとしても、少なくともオバマよりは及び腰ではないことが考えられます。習近平が示威行動をするなら、この機を逃すのは、明らかに不利です。

日本としては、やはり憲法9条を改正するか、改正しないまでも、憲法学における京都学派の憲法解釈を採用して、防衛戦争をできるようにする必要があります。

京都学派の憲法解釈に関しては、このブログにも掲載したことがあります。そのリンクを以下に掲載します。
佐々木惣一の「憲法第九条と自衛権」―【私の論評】安保法制=戦争法案としてデモをする人々は、まるで抗日70周年記念軍事パレードをする人民解放軍の若者と同じか?
憲法学における京都学派の重鎮 佐々木惣一氏
詳細は、この記事をご覧いただくもとして、佐々木惣一氏をはじめとする、京都学派の解釈では、憲法9条は、日本は国際紛争を解決する手段として、戦力を用いたり保持することは禁じているが、防衛戦争そのものを禁じたり、防衛戦争のための戦力を用いたり保持することまでは禁じていないと解釈しています。

この解釈に従えば、自衛隊を軍隊にし、中国が尖閣に侵攻してきた場合、普通の国の軍隊と同じく、防衛戦争をすることは違憲ではありません。

ブログ冒頭のような成果情勢があり、さらに最近ではアメリカの大統領候補トランプ氏が、日米安全保障における日本の片務性(米国が攻撃されても日本はこれを守ることはしない)に苦言を呈するとともに、核武装も許容するとしている今日、日本も防衛戦争くらいできるようにしておくべきものと思います。

中国の海上民兵に尖閣列島を占拠され、尖閣が中国に実効支配されるようになり、南シナ海のように軍事基地化され、沖縄侵攻の橋頭堡にされたり、尖閣付近の間隙をぬって、中国のさらなる海洋進出を許すことがあってはなりません。

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2015年7月1日水曜日

【世界を斬る】オバマ政権の対中弱腰外交で米政府は危機的状況 相次ぎ辞任する専門家―【私の論評】世界の平和はオバマに脅かされている!日本も現実に真摯に向き合い、まともな安保論議を(゚д゚)!

2015.07.01

2年前の米中首脳会談。9月会談の中身は…

米国防総省から最近、ハドソン研究所に移ってきた中国専門家が私にこう言った。

「この9月、2年ぶりに米国で米中首脳会談が開かれる。オバマ大統領が、習近平主席に対して中国の不法な領土侵略やサイバー攻撃を厳しく非難し、『止めなければ断固たる措置をとる』と警告しなければ、米国の国際的な指導力は一挙に失われる」

ワシントンでこうした意見が出始めているのは、習主席の訪米の前触れともいえる中国の恫喝外交がすでに始まっているからだ。

6月23日から2日間にわたって、ワシントンの国務省で開かれた米中経済戦略会議の席上、米側が米政府機関に対する中国の無法なサイバー攻撃について抗議したところ、中国側は強圧的な態度でこう反撃した。

「米国は事実をしっかり調査したのか。感情的にならず、対応策を考えてから提案を行うべきだ。一方的に中国を攻撃し続ければ、事態は悪くなるだけだ」

米側は最新技術を駆使して、一連のサイバー攻撃が民間企業を装った中国軍の情報機関によって行われたことを突き止めている。そのうえで、抗議したが、中国側は傲慢な姿勢を崩さなかった。

このように中国が、国際法から、とうてい認められない行動をとり続けているにもかかわらず、オバマ大統領は中国との友好関係を強調し、迎合的な姿勢を崩そうとしない。この結果、米政府内では深刻な混乱が始まっている。

オバマ大統領は、基本的に米国の経済的な利益のみを考えて中国との協力関係を強化しようとしている。中国とのビジネス関係が悪化すれば、立ち直り始めた経済が再び後退すると心配しているのである。そのうえ、米国には、中国と肩を組んで世界秩序を維持するのが現実的な国際政策であると考えている指導者も少なくない。

中国の脅威に直面している日本や東南アジアの国々は、米国に頼るだけでなく、まず中国の不法行為を阻止するという確固たる政治的姿勢を示し、自らその能力を持つ必要に迫られている。

■(ひだか・よしき)

この記事の詳細は、こちらから!

【私の論評】世界の平和はオバマに脅かされている!日本も現実に真摯に向き合い、まともな安保論議を(゚д゚)!

このブログでも何度か、オバマの弱腰については指摘してきました。結論から言うと、ウクライナ問題を複雑化させ、ロシアのプーチンをして軍事的冒険にださせたのはオバマです。

ISISに対しても、煮え切らない態度を取り続け、対応が遅れてしまったため、結果としてISISを台頭することになってしまったのもオバマのせいです。

上記の問題に関しては、多くの専門家が、早めに対応すべきとしてきたものをオバマはすべて後手、後手にまわって、結局問題をより複雑化させてしまいました。

尖閣問題もそうです。本来オバマは、より問題が複雑化する前に日中間にはもともと、領土問題などないとはっきり声明を発表すれば良いものを、またまた時期を完璧に逸したタイミングで懸念は示したものの、未だに日中間に領土問題は存在せずという声明は発表していません。

そもそも、アメリカは第二次世界大戦の戦勝国であり、終戦直後の国連の分類では、第二次世界大戦に参加し、勝利した第一国であるはずです。日本は、第二次世界大戦に参加し、負けた第二国です。

現在の中韓は、この分類でいえば、第二次世界大戦に参加しなかった国、すなわち第三国です。

第二次世界大戦で、ドイツや日本と真っ向から戦い、多大な犠牲を出して、戦後体制が築かれ、アメリカはその戦後体制の中でダントツのトップの座を占めているはずです。

にもかかわらず、オバマ大統領は、第三国の今の中国風情に、はっきりとモノが言えないのですから、呆れて二の句が継げないです。

完璧にレイムダックと化したオバマ
一体どうなっているのかと言いたいです。日本はいわば、残念ながらアメリカの持ち物のようなものであり、自分の持ち物なら持ち物で、それなりの対応をとるべきです。中国が尖閣周辺で示威行動をするようになった時点で、はっきりと声明をだし「俺の持ち物に手を出すな」という意思表示をはっきりして、軍事的にもそれ相当の対応をしていれば、尖閣問題の恒常化、より一層の複雑化は防げたはずです。

中国の軍事力など、アメリカには到底及ばないことははっきりしており、もし米中が戦争にでもなった場合、中国はなすすべもなく負けてしまうことははっきりしています。空母や艦船も、戦闘機も、戦車も、前近代的なものばかりで、日本近海での海戦、空戦では、中国は日本の自衛隊にも惨敗してしまう程度の実力です。

サイバー部隊も、アメリカのほうがはるかに優秀です。優秀な人材の、奥行きも幅も、到底中国には及びもつきません。

中国は将来の有望な市場になるという考えもありますが、そんなのはいつのことになるやらわかりません。それにもともと、アメリカのGDPに占める輸出の割合など、数%に過ぎません。

その数%のうちのさらに中国向けということになれば、ほんの微々たるもので、世界一の経済大国のアメリカからすれば、中国向け輸出があろうが、なかろうが、そんなものは誤差の範囲に収まる程度のものです。

アメリカの対中国輸出は誤差の範囲内


たとえ、これから10倍に伸びたとしても、誤差の範囲のようなものが10倍に増えたからといって、そんなものは微々たるものです。そのようなものを当て込んで、中国にモノが言えないとしたら、本末転倒も甚だしいです。

それに、このブログでも何度も掲載しているように、中国の現体制はとうていこれからも継続するとは考えられません。おそらく、中国は分裂するとみるのが妥当です。分裂しなかったにしても、現体制は近い内に崩れます。昨日も示したように、中国の西端には第二イスラム国の脅威が忍び寄っています。

そんな現体制の中国に、遠慮したりおもねたりするのは、全く愚かなことです。そんなことは、インテリジェンス面でも、優れたアメリカはしっかりと認識していると思います。しかし、オバマは理解していないようです。

それにしても、オバマの前まではまだ良かったです。たとえば、ブッシュ大統領のときは、悪いこともありましたが、少なくとも中国に対しては、一線を引いていしました。

ブッシュ大統領は、少なくとも年一回くらいは、会見を開いて、中国に対して、民主化、政治と経済の分離、法治国家化に関して、注文をつけ、まともになるように促していました。

ブッシュ大統領

このまま、オバマが中国の習近平と9月の会談にのぞめば、またまた及び腰で、まともな対応は期待できません。

このブログでも示したように、アメリカは今後しばらく、軍事費を削減します。その記事のリンクを以下に掲載します。
「米国の抑止力、とりわけ日本に対するそれを低下させる」中国軍の戦力増強に危機感-米委員会が年次報告書―【私の論評】国内の増税見送り、解散総選挙で見逃され勝ちな世界の動き、アメリカ議会の動きを見逃すな!アメリカは、日本の改憲を望んでいることを忘れるな(゚д゚)!
海岸防衛から大洋海軍を目指す中国海軍
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にアメリカの軍事予算はすでに減っているし、これからしばらくは削減されることはあっても、増大することはないことを示す部分のみ引用します。

 

この、グラフを見てもわかるように、アメリカの国防予算は、減少傾向です。 
米国防総省(ペンタゴン)のヘーゲル国防長官は昨年2月24日、陸軍の兵力を現在の約52万人から44万─45万人規模に削減、実現すれば、米陸軍の規模は第2次世界大戦に参戦する前の規模に縮小すると発表しました。今後10年間で約1兆ドル(約102兆円)の歳出を削減する案を模索中で、2015年度の国防予算は約4960億ドル(約51兆円)といいます。 
昨年の3月1日、オバマ大統領は予算管理法(Budget Control Act)によって規定されていた「sequestration」条項の発動に追い込まれました。 
この「sequestration」という用語は、多くのアメリカ国民にとってもなじみの薄い言葉であり、もちろん日本ではさらに聞きなれない言葉です。英和辞典にはこの単語の訳語として「隔離、流罪、隠遁、(法)係争物第三者保管、財産仮差し押さえ、接収、(医)腐骨化、(化)金属イオン封鎖」といった訳語が列挙されていますが、今回発動された「sequestration」には、「強制歳出削減」あるいは「自動歳出削減」といった訳語が与えられています(本稿では「強制削減」と呼称します)。 
強制削減は、アメリカにおいて史上初めて実施されることになりました。そのため、その本当の影響はなかなか理解しにくいと言われています。 
アメリカでは、今回の強制削減の発動は金融・経済界ではすでに織り込み済みであり、アメリカや世界の株式市場や経済動向に対する影響はそれほど深刻なものではないといった見方がなされています。しかし、最大の削減対象となる国防関係は極めて甚大な影響を受けることになり、アメリカ軍事戦略そのものの修正を余儀なくされかねない状況に直面しています。
及び腰のオバマはこれからも任期中は、まともな外交は期待できません。さすがに、9月の習近平との会談では、一方的におもねるようなことはないでしょうが、さりとて、厳しく抗議するということもないでしょう。

オバマ大統領の任期は2017年1月までです。まだ結構あります。これまでの期間、アメリカはまともな外交はできないでしょう。

尖閣問題では、オバマはこれからも、結局何もしないでしょう。そうなると、日本は今国会でも論争になっている安保法案を成立させて、米国だけではなく、インド、オーストラリア、ASEAN諸国なども含めて、集団的自衛権を行使できるようにして、中国を封じ込めなければならないはずです。

次の大統領はオバマよりはましでしょうが、それでも、どの程度まともに中国に対峙するかはまだ見えません。及び腰オバマの在任中にどれだけ、中国がつけあがり、何をしでかすかなど分かったものではありません。

転ばぬ先の杖という言葉もあります。かねてより、このブログでは集団的自衛権は、人権と同じく、自然権であり、憲法や法律が成立する以前の根源的な権利であることを主張してきました。日本でも、これを当然として、議論をすすめなければなりません。

オバマにより、世界の平和は危機にさらされています。今こそ、野党もマスコミも、そうして無論国民も、日本の安全保証に関する問題を真摯に論議し、日本の平和や安定はもとより、アジアの平和と安定と繁栄を確かなものにするため、現実に真摯に向き合うべきだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【中国・ベトナム衝突】緊張高まる南シナ海 オバマ米政権、再均衡戦略の「決意」試される事態も―【私の論評】安部首相は、優柔不断オバマの尻を叩き、東シナ海で近隣諸国をも含む大合同演習を行い日本のアジアにおけるプレゼンスを増すべきだ(゚д゚)!

米国防長官が辞任 シリア政策で大統領と対立―【私の論評】レームダック化したオバマの振る舞いは危険ではあるが、アメリカ議会が超党派で動き出しているし、日本にとってはアジアでの存在感を高め「戦後体制から脱却」を推進する良いきっかけになると心得よ(゚д゚)!

【関連図書】

本日のブログ冒頭の記事を書かれた、日高氏の最近の著書を以下にピックアップしました。

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2015年6月7日日曜日

【日曜経済講座】ウォール街・中南海コネクション遮断へ オバマ政権の対中政策に変化 編集委員・田村秀男―【私の論評】厳格な三権分立で平時に極端に権力のないアメリカ大統領、米中はすぐにも戦争状態に入ったほうが良いかも(゚д゚)!

【日曜経済講座】ウォール街・中南海コネクション遮断へ オバマ政権の対中政策に変化 編集委員・田村秀男



北京に対して柔弱との評判がある米オバマ政権が「ウォール街・中南海(中国共産党中枢)コネクション」の遮断に向け、重い腰を上げた。

直接のきっかけは米司法省と証券取引委員会(SEC)が捜査中の米金融大手、JPモルガン・チェースに対する米海外腐敗行為防止法(FCPA)違反容疑事件だ。その捜査対象の筆頭に挙げられたのが王岐山・党中央常務委員(66)である。

王岐山・党中央常務委員
米ウォールストリート・ジャーナル電子版5月27日付によると、当局はモルガンに対し、王氏とやりとりしたすべての情報の提出を求めた。当局は4月下旬、中国側の“贈収賄高官”35人をリストアップした。

王氏に次いで高虎城・商務相、王氏の配下で党幹部不正捜査担当の公安部長、中国銀行副行長、中信集団など国有企業大手のトップも含まれる。高商務相の場合、商務次官当時の08年、モルガンに在籍していた息子・高●(=王へんに玉)氏の雇用継続を条件に、同社のために「一肌も二肌も脱ぐ」と申し出ていたという。

王氏の場合は自身に子はなく、周囲の党幹部の子弟の就職で米金融大手に「口利き」した嫌疑で、立証は困難だが、最重点ターゲットに仕立てた。

米政府の対外情宣メディア、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の中国語版「美国之音」は5月29日付インターネット番組で、反体制派の在米中国人専門家4人を登場させ、習氏や王氏の不正蓄財取り締まりのいいかげんさを余すところなく語らせた。同放送は中国本土では禁止だが、自由に視聴できる海外の中国人社会で瞬く間に評判になった。王氏と習氏のメンツは丸つぶれである。

オバマ政権は図らずも、ワシントンとウォール街の政治・金融複合体と王氏に代表される北京とのパイプにメスを入れる形になった。オバマ政権は中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)問題を機に、膨張する中国の脅威にやっと立ち向かう気になり始めたのだろうか。単なる政治的駆け引きのゲームに終わらせてはならない。

習政権の対外膨張戦略とは、実のところ、ドルとウォール街によって支えられてきた。そのからくりはこうだ。

リーマン・ショック後の米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和政策開始後、巨額のドル資金が中国に流れ込んだ。中国人民銀行はその外貨を全面的に買い上げ、それを担保に人民元資金を発行する。人民銀行の人民元発行と外貨資産の膨張に合わせて軍拡を進める。この推移をグラフが物語る。

統計学の回帰分析をしてみると、ドル発行量と人民元発行量の相関係数は0.95、人民元発行に対する中国の軍事支出の相関係数は実に0.99である。相関係数は1の場合、完璧な連動を示すのだから、増発されてきたドルが人民元資金と中国軍拡の源泉になったともいえる。

スプラトリー(中国名・南沙)諸島を例にとると、中国の本格的な軍事基地建設は12年秋に習氏が党総書記に就任して以来である。サンゴ礁の砂地に巨大な構造物を構築するには高度な土木技術が必要だが、中国はカネにものを言わせて外国技術を導入した。

中国の外貨資産はもとより、ウォール街にとっては垂涎(すいぜん)の的である。資産運用で難なく巨額の手数料が金融大手に常時、転がり込む。

中国は今、不況だ。資金の対外流出が激しくなり、人民銀行の外貨資産が減り始めた。AIIBは、習政権が進める対外戦略に必要な巨額の資金を国際金融市場で調達するためのダミー機関である。

事態の重大さにやっと気付いたオバマ政権は、「まず隗(かい)より始めよ」とばかり、王・米金融大手ルートの撤去に取りかかった。ウォール街出身者が要職を占めるオバマ政権だけに、どこまでやるか、気にはなるが。

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【私の論評】厳格な三権分立で平時に極端に権力のないアメリカ大統領、米中はすぐにも戦争状態に入ったほうが良いかも(゚д゚)!

オバマ大統領の及び腰については、このブログでも過去に何度か掲載してきました。それについては、この記事の一番下の【関連記事】のところに掲載しておきますので、是非ご覧になってください。

さて、オバマ大統領に関しては、外交問題に関してはいつも及び腰で、それがより問題を複雑化させてきました。日本にも関連するものとしては、あの尖閣問題があります。

尖閣諸島付近で、日本の巡視船に体当たりした中国漁船

尖閣問題が大きくなりはじめたころに、オバマが「尖閣諸島は、日本固有の領土であり、日中間に現状では領土問題は存在しない」とはっきりと言明して、それに対する具体的な対抗措置などを打っていれば、尖閣問題はあれほど大きな問題にはなりませんでした。

中国側としては、尖閣諸島付近で中国が領海・領空侵犯を繰り返すのは、どの程度やれば、日米がどのような行動をとるのかそれを試すという意味もあります。繰り返し、示威行動をして見せて、それでも日米、それも米国がそれに対して何も手を打たないのであれば、さらに示威行動をエスカレートしていくというのが、中国のやり口です。

そうして、中国の本音は、軍事的には日米には到底太刀打ちできないため、このようなことを繰り返し、あわよくば日米両国に「中国は面倒だから、尖閣などくれてやれ」という世論が巻起こり、それでも日米両政府が何ら具体的な手を打たなければ、いずれ南シナ海のように、領有権を主張するという腹積もりです。

ただし、南シナ海の問題と尖閣問題の違いは、南シナ海の周辺諸国とは異なり、中国の人民解放軍の空・海軍は、米国は無論のこと、日本の自衛隊にすら対抗できないくらい軍事的能力しかないということです。

しかし、上の田村氏の記事でも理解できるように、スプラトリー(中国名・南沙)諸島をではのサンゴ礁の砂地に巨大な構造物を構築するには高度な土木技術が必要ですが、中国はカネにものを言わせて外国技術を買い取ったという前科があります。

このまま放置しておけば、軍事的にも高度な技術を他国から買い取って、尖閣列島諸国付近で、日米に対抗しうるような軍事技術を入手する可能性もなきにしにもあらずです。

ただし、こと軍事技術となると、その流出には日米はもとより、他国もその流出にはかなり神経を尖らせていて簡単に流出するものではありません。それは、中国のあの空母「遼寧」を見ていてもわかります。

中国の空母「遼寧」

ロシアから買い入れて改造し、鳴り物入りで登場させた空母「遼寧」は、南シナ海で試運転を一回しただけで、エンジン主軸が壊れて使い物にならなくなってしまった。中国の工業力では、空母を動かす二十数万馬力のエンジンを製造できません。

また、遼寧には日米では大東亜戦争当時から空母に標準的に配備されていた、航空機を発射し、短い距離で発鑑させるための蒸気カタパルトが装備されていません。そのため、遼寧には垂直離着陸のできる航空機しか搭載できません。

米空母から蒸気カタパルトで射出される戦闘機

だから、当面は中国はどうあがいても、日米に軍師的に勝つことはできません。しかし、ウォール街の中南海コネクションを放置しておけば、10年後、20年後はどうなるかは保証の限りではありません。だからこそ、オバマはこれを遮断する動きにでたと考えられます。

それにしても、他の歴代の大統領と比較して、オバマは確かにかなり及び腰なのですが、オバマが及び腰になざるを得ないアメリカの特殊事情もあります。アメリカは議会が承認して、戦争に突入した場合には、その戦争を遂行するために、大統領には強力な権限があります。

しかし、平時においては、極端に厳格な三権分立が障害となり、大統領にはほとんど権限がありません。それどころか、その結果として平時には司法が最も強力になるという歪な構造になっています。司法が強いというアメリカの特殊事情は、アメリカ映画などご覧になっていれば、いわゆる「司法取引」が頻繁に行われていて日本とは異なることでもお分かりになると思います。

これは、以下の図をご覧いただければ、良くお分かりになると思います。


アメリカは、完全な三権分立となっており、日本のように議会と内閣が協力関係にはありせん。これが、平時のアメリカ大統領の権限を極端に弱くしています。

これに関しては、さらに以下の動画を参照していただれれば、良くご理解いただけるものと思います。



軍事力では日米には到底かなわない、中国がどのようなことをして、海洋進出を可能にしようとするのか、それははっきりしています。軍事が駄目なら金融と、情報戦です。そうして、当然のことながら、米国に対しては、平時の大統領の権限の少なさを活用して、日本に対しては、いわゆる平和憲法を活用して、最大限に自分たちが有利になるように動き回っています。

その一環として、中国は金融においては増発されてきたドルが人民元資金と中国軍拡の源泉となるように、ウォール街に中南海コネクション築きあげてきました。日本に対しては、日銀が金融引き締めを政策を実施して、中国に有利になるように、働きかけてきました。

情報戦においては、多く人々が認知しているのは、いわゆる中国のサイバー攻撃です。また、中国の日米両国に仕掛けるハニートラップも多くの人が知っていると思います。

中国にある上海駐在の韓国領事館の3人の男性が同一の女性と交際していた
ことが報道されたことがある。これは完璧に中国のハニートラップである。

しかし、それだけではありません。日本に対しては、尖閣にでの示威運動も含めた、体系的組織的な反日活動があります。米国に関しては、オバマをはじめ、リベラル派に対する親中派転向政策です。

中国は、あらゆる方面で、日米両国に金融戦争、情報戦を仕掛けてきています。日本の安部総理は、アベノミクスの第一の矢である、金融緩和によって中国の金融に大打撃を与えました。

軍事面では、就任当初に掲げた安全保障のダイヤモンド構想を実現すべく、外交に力を入れ着実に成果をあげてきました。さらに、最近では、米国議会の演説で公言した安全保障法制関連法案の閣議決定をして、現在国会で審議中です。

安部総理の中国に対する金融戦争は、2013年から日本の金融緩和として実行され、現状では中国の金融は混乱状況が続いていて、大打撃を与えることに成功しました。

上に述べたように、安部総理は、対中国政策を着実に実行しつつありますが、米国はそうではありません。今頃になって、ようやっとアメリカの安全保障から見て当然のウォール街の中南海コネクション遮断をしようと動き出したというような有様です。

米国の中国対策はあまりにテンポが遅すぎです。それは、やはりオバマ優柔不断が大きく影響していると思います。それに、もともと平時ではアメリカ大統領の権限は小さいということもあります。

しかし、こんなことてば、アジアの平和と安定は中国の海外進出の野望により、脅かされるのは明らかです。そんなことは、米国も許すことはできないはずです。であれば、アメリカ議会は、中国と戦争する議決をするしかなくなります。そうすれば、中国に対して大統領はあらゆる手段を講じることができます。

中国海軍の女性水兵

そうなれば、軍事的に脆弱な中国はどうすることもできません。おそらく、すぐに戦闘能力がなくなり、国内では内乱がおこり、幾つかの国に分裂し、海洋進出どころではなくなるでしょう。これで、完璧現在の中国のとんでもない体制は破壊することができます。

しかし、そうなれば、中国側の被害は甚大となるでしょうが、米国側にもわずかながらも被害が出るのは明らかです。そんなことになる前に、アメリカ議会も司法当局も、たとえ大統領が及び腰であっても、中国への対抗措置ができるようにし、そうして日本のように着実に実行して欲しいものです。

そうして、アメリカ国民は、アジアにおける中国の海洋進出は、当然のこととして米国の利益を損なうものであるとの認識を持ち、次の大統領選挙でぱ"Yes, We can"等の掛け声に騙されることなく、まともな大統領を選出していただきたいものです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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米国防長官が辞任 シリア政策で大統領と対立―【私の論評】レームダック化したオバマの振る舞いは危険ではあるが、アメリカ議会が超党派で動き出しているし、日本にとってはアジアでの存在感を高め「戦後体制から脱却」を推進する良いきっかけになると心得よ(゚д゚)!


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2014年5月10日土曜日

【中国・ベトナム衝突】緊張高まる南シナ海 オバマ米政権、再均衡戦略の「決意」試される事態も―【私の論評】安部首相は、優柔不断オバマの尻を叩き、東シナ海で近隣諸国をも含む大合同演習を行い日本のアジアにおけるプレゼンスを増すべきだ(゚д゚)!



南シナ海で、領有権を争う中国とベトナム、フィリピンとの緊張が高まり、米政府は情勢の激化を阻止するため、各国に自制を促している。オバマ大統領は先のアジア4カ国歴訪で、安全保障の重心をアジア太平洋地域に移す再均衡(リバランス)戦略を、補強したばかり。これに反発する中国の、今回の事案に対する出方を注視しており、ウクライナ情勢も抱え、新たな火種をもみ消したいというのが本音だ。

今回のパラセル諸島周辺海域における中国の動向について、米戦略国際問題研究所(CSIS)のアーネスト・バウアー氏は、オバマ大統領のアジア歴訪による再均衡戦略の補強を踏まえ、「中国はベトナムの(中国に抵抗する)決意を試している」と指摘。「米国がウクライナ情勢に気を奪われている間に、中国は南シナ海で現状の変更を企てている」と、懸念を示す。

米国の同盟国であり、先に新たな軍事協定に署名したフィリピンはもとより、非同盟国のベトナムもオバマ政権の再均衡戦略上、極めて重要な存在だ。

それだけに、中国の動向はオバマ政権の「決意」も試すものだといえる。仮に、1988年に中国がベトナムと南シナ海で軍事衝突したような事態に発展し、何より、米国と相互安全保障条約を結ぶフィリピンとの間で軍事衝突に至れば、尖閣諸島(沖縄県石垣市)で有事が発生した場合のオバマ政権の行動を占うものともなるだろう。

一方でベトナムは、装備を主にロシアから調達しており、カムラン湾の再開発でもロシアに資金、技術支援を仰いでいる。ウクライナ情勢をめぐる米露の対立は、ベトナムを挟んでの米露の力関係を微妙なものにしている。再均衡戦略の一角に組み込まれている同盟国タイの政情不安も、米政府には懸念材料だ。

上の記事は、要約記事です。この記事の詳細をご覧になりたい方は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】安部首相は、優柔不断オバマの尻を叩き、東シナ海で近隣諸国をも含む大合同演習を行い日本のアジアにおけるプレゼンスを増すべきだ(゚д゚)!

私は、このブログで、オバマの優柔不断が、いずれ中国ロシアのクリミア侵攻が中国に影響を及ぼす可能性を指摘してきまし。今回のこの事件は、わずか2ヵ月で早くもそれが現実になった形となりました。中国は「力による現状変更」の意思を変えるつもりはまったくないようです。

これに関しては、以前このブログにも掲載したので、その記事のURLを以下に掲載します。

オバマ大統領の「チキンキエフ」の瞬間 ウクライナ危機、外交を武器にプーチン大統領に立ち向かえるか?―【私の論評】キエフは、日本の将来にもおおいに関わりのある、オバマ外交の力量を見る良い機会か(゚д゚)!
私たちは、今回のような緊急事態に対する、これらの対策を見極める必要があります。これに対する対応が適切であれば、アジアの中国に対する出方にも期待が持てるでしょう。しかし、その対応が結果として不味いものであれば、アジアの安定にもアメリカが寄与できるのかどうか疑わしくなります。 
そもそも、以前からこのブログで警鐘してきたように、オバマ大統領は、尖閣問題に関して、「尖閣諸島は日本の領土であり、日中間に領土問題存在せず」などの公式見解を発表していれば、さほど複雑でも深刻にもならなかった可能性がかなり高いです。南シナ海についても、同様の声明を発表すべきでした。 
煮え切らない態度をとっていたからこそ、中国はオバマの意図を探るという意味あいもあり、日本の尖閣列島沖や、南シナ海での挑発行動が絶えなくなってしまいました。 
これは、日本や、ASEAN諸国の立場など全く無視したとしても、理解に苦しみます。いわゆる、戦後レジームの立場を守るという立場からいっても、このレジームにおいては、第三国でしかない中国に対して厳しい態度をとるのが当たり前です。 
これに対して、プーチン氏はかなり強硬です。しかし、これはロシアの立場からすれば、理解できるし、当然のことでもあると思います。ここで、ウクライナがEU側陣営に入ることを許すか、許したにしても、ロシアとの関係も重要視しないで入ってしまえば、その後周辺諸国もそのような動きに追随する可能性も高いです。 
美人が多いと定評のあるウクライナ女性

先日も、このブログに掲載しましたが、
現在のロシアは小国にすぎず、もしそのような動きが加速すれば、さらにロシアの小国化に弾みをつけることになります。それだけは、防ぎたいというのがプーチン大統領の真意です。 
この真意を理解しつつ、オバマ大統領は超大国アメリカとしての意地をみせる必要があります。 
この意地をみせつけられなければ、アメリカは今後オバマ大統領の任期中には、確実に世界での超大国としての存在感を失うことになります。 
そうなれば、アジアの不安定化も避けられなくなります。 
この場合、日本もこの不安定の荒波にさらされることになります。日本としては、憲法がどうのこうのという前に、身近に迫った荒波を自ら防ぐ体制を、現体制化で模索していく必要迫られることになります。
こうした中国の力づくの挑戦は遠からず、東シナ海の尖閣諸島をめぐっても現実になるとみるべきです。日本は集団的自衛権の見直しはもとより、漁民を装った尖閣侵攻などの問題への対応も急ぐべきです。

現場付近では、中国最大の石油探査会社である中国海洋石油(CNOOC)が約750億円を投じて、動く石油空母とも言われる深海掘削リグ「海洋石油981」を稼働させ、探査活動を始めています。この地点は、ベトナム沿岸から120海里しか離れておらず、ベトナムの排他的経済水域(沿岸から200海里)内ですが、中国は「完全に自国の水域」と主張しています。

中国は南シナ海のほぼ9割を自国の水域と主張し、今年1月には「南シナ海で操業する漁船は中国の許可が必要」という勝手な規制まで発表していました。

こうした最中、ウクライナにおける「ロシアの実力行使」がたいした痛みを伴わずに成功し、中国の背中を押した形になったと思います。中国にとっては、ベトナムが全方位外交で多少、中国に配慮していようとも、石油資源確保の重要さに比べれば「おかまいなし」なのです。

フィリピンは衝突事件と時を同じくして、南沙諸島付近でウミガメを密猟していた中国の漁船を拿捕しました。4月28日には米国のオバマ大統領がフィリピンを訪問し、新しい米比軍事協定を結んだばかりでした。フィリピンは米国の後ろ盾を得て「もう中国の無法を許さない」と強腰に出たようです。

フィリピンのアルバート・デルロサリオ外相はかつて「フィリピンは日本が平和憲法を改正し、再軍備することを歓迎する」と表明しています。また、インドネシアの外相も同様の態度を示していました。

ベトナム、フィリピンと緊張関係を高めている中国はこれから、どう動くのでしょうか。さらに大胆になることはあっても緊張緩和に動くのは望み薄です。なぜなら、米国と欧州は欧州本体の危機と世界経済に直結するウクライナ情勢のコントロールで事実上、手が一杯の状況です。

米国務省は「危険な行為や威嚇を強く懸念している。すべての当事者に自制を求める」との声明を発表しました。しかし、これは、裏返せば、それ以上、とても手を広げる余裕がないことの表れでもあります。ということは、中国にとっては絶好のチャンスになります。これは日本にとって非常に危険な状況にあると認識しなければなりません。

そうして、日本がこの状況を打開する手段の一つとして、東シナ海で近隣諸国をも含む大合同演習を行うのです。

仮想敵国として、無論のこと中国として、日米韓はもちろん、インド、インドネシア、フィリピン、その他アセアン諸国で参加できる国すべて、それから、オーストラリア、フランス(南太平洋に基地あり)、イギリスなどの海軍を結集して東シナ海で大演習を行うのです。

そうして、こんなことは一見不可能のようにもみえますが、ロシアにも大演習に参加できるのであれば、参加してもらうようにもっていくべきです。小国ロシアは、そんなことはおくびにも出さず、ウクライナ問題では、現在世界唯一の超大国であるアメリカのオバマが優柔不断なオバマ大統領を尻目に、ウクライナ問題では起死回生をはかりました。しかし、依然として中国の脅威が厳然としてあります。

小国ロシアは、プーチンの決断により今でも超大国的プレゼンスを
維持している(写真はロシアの国旗を柄にしたビキニ)

考えてみても下さい、経済的にも軍事的にも人口的にも、小国に成り果てた、そのロシアが中国と国境を接しているわけです、近年中国からロシアに移住する中国人がかなり増えているという事実もあります。

過去のソ連時代も、ロシアになってからも、今まではロシアは中国に対して一歩も譲らないという行動をとってきましたが、小国に成り果てたロシアでは、いつまでもこれを単独で維持することはできないことはプーチンも十分理解していると思います。

こうしたこともあるし、オバマの優柔不断さもあったからこそ、プーチンは、ウクライナでの大冒険をやったのだと思います。ロシア側からすれば、あのタイミングでやらなければ、ロシアのプレゼンスは確実に低下し、二度と立ち上がれなくなると踏んだのだと思います。

であれば、今すぐは無理でも、いずれロシアも加えた大演習をするということで、今から準備すべきです。

海上自衛隊の観艦式の模様

最初、日米韓、フイリピン、インドネシアくらいからはじめて、毎年スケールを大きくし、最終的には、ロシアをも含めた、大演習を毎年開催するのです。そうして東シナ海での演習が定例化すれば、南シナ海や、インド洋でも実施するのです。

その演習では、いずれボロ船「遼寧」程度の空母や、中国の古いタイプの潜水艦やら何やらを模した、前近代的な艦船を並べて撃沈してみせるとかのショーをやっても良いと思います。また、尖閣を模した島に、中国の強襲揚陸艦などを模したものを上陸させて、粉砕しても良いです。

とにかく、米国や日本には、現状でもとても太刀打ちできないし、さらにこれらが、ASEANやインド、オーストラリア、ロシア、フランス、イギリスと結託していることを印象づけ、海洋進出など、土台最初から無理な妄想にしか過ぎなかったことを自覚させるのです。

そうこうしているうちに、馬鹿な中国共産党幹部は、中国を崩壊させ自滅します。この体制を整えて、現中国政府に海洋進出は無理であることを自覚させて、中国政府の国内での求心力をなくし、中国を分裂させ、まともな民主国家にするように仕向けるのです。

現在では、世界唯一の超大国のアメリカだが、オバマの
優柔不断のせいで、超大国的動きができなくなっている

そうして、本来このようなことは、オバマが実施すべきなのでしょうが、現在の優柔不断なオバマにはできません。だとすれば、日本の安倍総理が、オバマの尻を叩いて実施すべきです。

今後、中国が動けば、それに対して近隣諸国の海軍がすぐにでも対応できる体制を整えるべきです。そうして、これが安部総理の掲げている安全保障のダイヤモンドの最終形です。

そうでないと、中国がアジアの平和と安定を脅かす存在になることは必定です。中国のなすがままにまかせておけば、アジア全域が、現在の中国のような暗黒大陸になります。それだけは、避けなければなりません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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中国の海洋進出―混迷の東アジア海洋圏と各国対応

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2013年11月2日土曜日

「オバマ政権は尖閣は日本領と表明せよ」 米紙ウォールストリート・ジャーナルが主張―【私の論評】オバマは尖閣日本領表明によって、自ら頭の中のお花畑の虚構に生きるルーピーではないことを証明せよ(゚д゚)!


かつて鳩山氏をルーピーと評したオバマ大統領だが?
1日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルは、尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる日本と中国の対立を社説で取り上げ、オバマ米大統領に尖閣諸島が日本の領土であると明確に表明するよう求めた。

社説は尖閣への脅威が米国と日本の同盟を強化させているだけでなく、米国とともに日本を「平和の擁護者」とみなすようになった東南アジア諸国と日本の結びつきも強めたと指摘した。

その上で、「事故や判断ミス、銃撃事件が起きる危険性が高まっている」ため、日本が政治的な決意や軍事能力を示すことが重要になっていると論じた。

さらに、米国が第二次世界大戦を経て尖閣を管理下に置き、1970年代に日本に返還したことで「(尖閣の)主権問題は事実上、決着している」とし、「オバマ政権が尖閣は日本のものだと明確に主張すれば、中国は引き下がる可能性がある」と強調した。

【私の論評】オバマは尖閣日本領表明によって、自ら頭の中のお花畑の虚構に生きるルーピーではないことを証明せよ(゚д゚)!

尖閣の位置

尖閣問題に関しては、その原因はいろいろあります。中国人民の中央政府に対する憤怒のマグマは建国以来常に煮えたぎっており、それがいつどこで大噴火を起こしてもおかしくない状況であり、これを防ぐため、人民と中央政府の共通の敵を中国外部に作り出すことが必要であり、その対象となったのが日本であること、その象徴としての尖閣ということです。

尖閣付近で、中国側が示威行為をすれば、それは中国内にも伝わり、人民に「憎き敵」をやつける政府という姿を演出して見せることにより、人民の怒りの刃をそらし、日本に向けてエネルギーを発散させるということにつなげています。だから、中国で暴動が減らない限り尖閣問題は今のままでは、収まりはつきません。しかし、現実には、中国では建国以来毎年2万件の暴動が発生しているといわれていましたが、ここ数年では毎年平均8万件を超えるようになっています。300人未満の暴動まで加えると、件数はうなぎのぼりだといわれています。

記憶に新しい尖閣上陸のバカ真似

この問題を一層複雑にしているのは、今の安倍政権においてはそのようなことはなくなりましたが、安倍政権以前の、民主党政権や、自民党政権のときですら、中国の尖閣に対する暴挙に対して毅然たる態度で臨まなかったことがあります。海上保安庁の船に体当たりした、中国漁船の船長をすぐに返還したことなど、中国を勢いづかせるだけの結果となりました。

そうして、忘れてならないのは、アメリカの煮え切らない態度です。尖閣は、日本の固有の領土であることは、あまりにも明らかな事実なのに、アメリカはこの問題に関して煮え切らない態度をとり続けています。尖閣問題が起こってからこのかた、未だアメリカは尖閣は日本固有の領土であり、日本と中国の間で尖閣の領土問題はないと、はっきりとした公式見解は発表していません。

上の記事のように、WSJが指摘しているように、アメリカが、はっきりとした公式見解を発表すれば、中国が引き下がる可能性は多いにあります。

無論、アメリカがそのような発表をすれば、中国は反発するでしょうが、それでも実質的に尖閣での領空・領海侵犯がかなり減るというようなことにはなる可能性は高いです。

カイロ宣言における中国代表は、国民党軍の蒋介石

そもそも、アメリカ側の立場にたっても、尖閣問題に関しては、戦後体勢を維持するという観点からも、中国の示威行動はやめさせるべぎです。ここで、アメリカが何もしなければ、中国は本来戦後体制の利得者ではないにもかかわらず、結果として戦後体制利得者であることを認めることになります。現在の中国共産党中央政府は、日本とは戦争をしていません。戦ったのは、蒋介石率いる国民党軍です。戦後の国々は、戦後体制によって三つに分類されました。第一国は、米英などの第二次世界大戦での戦勝国、第二国は、日独などの敗戦国、第三国は、そもそも戦争に参加して直接戦わなかった国々です。

現在の中国、韓国、北朝鮮は、あくまで第三国であり、戦後体制の利得者ではありません。そもそも現代中国が独立したのは、戦後のことです。にもかかわらず、もし今後も尖閣について日本の領土であると、アメリカが表明しなければ、アメリカは中国の戦後体制の利得を認めることになります。

それを許せば、中国は他の戦後体制の利得を次々と要求することになるのは必定です。そんなことは、少し考えれば理解できることです。中国は、明らかに戦後体制利得者になる道を模索しています。

アメリカがこのように、煮え切らない態度をとり続けてきたのは、最近の中国の台頭をみて、今後中国国内が世界最大の消費市場になると見込んだ米国内親中・媚中派が、中国側の巧みな誘導にのって戦後体制の次の新しい世界の体制は、米中二極体制であると思い込みこみ、アメリカ国内でも、大きな影響力を発揮しているからです。

要するに、戦後体制に替わる次世代の世界の体制は、アメリカ・中国の二極体制であるとの幻想です。しかし、特にここ20年の中国の経済的躍進の原動力は、日銀の金融引き締め政策による、デフレ・円高政策です。これなしに、中国は経済発展することはできませんでした。

そうして、現実には、昨日も示したように、現体制の中国は経済的にも、社会構造的にも持ちそうもありません。現中国が、本気で社会構造改革に取り組まなければ、分裂は必至です。そうして、これは、中国の過去の歴史が証明しています。

1993年5月、古い体制の復活を求める共産主義者達のデモ。

現在の体制は、今のままだと崩壊します。そうして、中国はいくつかの国々に分裂します。そうして、新たな社会構造秩序が生まれることになります。これはかつてのソビエト崩壊と同じことです。今の体制で、中国が経済だけ伸びて、超大国になるという筋書きは単なる幻想に過ぎません。現体制と新たな体制の分裂中国の指導層とはほんど何も関係のない人々になると考えられます。そこから、さらに超大国を目指すということになれば、100年以上の年月が必要です。

現実的・実務的観点からみれば、当面アジアの秩序は、日本が中心となって形成されていくのは自明の理です。いろいろな紆余曲折はあるかもしれませんが、おそらくそうならざる得ないでしょう。また、上の記事でも指摘している通り、中韓・北朝鮮以外のアジアの国々は、それを望んでいます。宗教などの問題を超えて、はるかに異質な中国に支配されるのは、真っ平御免であり、そんなことになれば、チベットやウィグルのように、中国の省や、自治区にされるおそれもあり、そうなれば中国の暴虐を許してしまいかねず、「平和の擁護者日本」にますます期待を深めています。日本としては、その期待に応えることによって、中国包囲網をさらに実効性のあるものにしていく必要があります。

頭の中のお花畑を歩む日本の三馬鹿大将 鳩山夫妻、菅元首相
しかしながら、 このような現実に向き合えない、頭の中のお花畑を歩む人々も大勢います。それは、日本と同様、アメリカにも多数存在します。かつて、オバマ大統領は、鳩山氏を「ルーピー」と呼びました。しかし、最近のオバマ大統領の煮え切らない態度に、オバマ氏を「三ばか大将」の一人とする論評もあります。その論評を以下に掲載します。
経済】ワシントンの「三ばか大将」:オバマ、ベイナー、ティーパーティー(10/8)
米ダラス地区連銀フィッシャー総裁
 米ダラス地区連銀のフィッシャー総裁は、債務上限引き上げをめぐる議会での攻防は、「わが国にとっての恥だ。ワシントンには『三ばか大将』がいる」と非難した。

「三ばか」とは、地元の支持者だけの意向に沿っているティーパーティー系の共和党議員、彼らを説得できないベイナー下院議長、そして、2006年の上院議員時代に、連邦政府債務上限の引き上げに反対を表明したオバマ米大統領か。 
「アメリカの債務を増やすことは、国内的にも国際的にも我が国を弱体化させます。
指導力とは、責任は私が取る、ということです。 
しかしながら、今日、ワシントンの議会では、私達の子供達、孫達に、重荷を負担させる悪しき選択を行おうとしています。 
アメリカは、債務問題を抱え、指導力の欠如を露呈しています。 
私は、ゆえに、アメリカの連邦政府債務上限の引き上げには、断固反対します。
バラク・オバマ上院議員」
アメリカの連邦政府の債務が増えるのは、ドルが基軸通貨である限り、当然のことです。何しろ、アメリカドル自体は、アメリカ国内だけで遣われるだけではなく、世界中で遣われるわけですから、かなり流通量を多くしなければ需要をまかなうことはできません。だからといって、大量に刷り増しすれば、米ドル自体は、アメリカ国内の通貨でもあり、国内がインフレになる可能性もあります。

お花畑にたたずむ鳩山氏
そうはいっても、ある程度刷り増しをしなければ、海外でも大量にドルが遣われるため国内がデフレになってしまいます。バランスをとるのが難しいです。海外でも遣われるということは、国内でドルの流通がその分少なくなりがちになります、そうすると政府は必然的にアメリカ国債を海外に売って借金をしなければならないことになります。実際、中国や日本が、アメリカ国債を大量に購入して、世界経済を支えています。これは、いわば基軸通貨の宿命でもあります。

しかし、基軸通貨であることをやめれば、アメリカの国益はかなり失われます。やはり、いずれは、世界共通で遣える世界通貨のようなものを考えなければならなくなります。しかし、現在規模や信用問題も含めて、それに耐えられる世界的な機関は存在しません。

連邦政府の債務問題については、何も今年ふって沸いたように起こった問題ではなく、昔から毎年のように論議されてきました。世界の金融システムの安定を考えた場合、当面は現体制を維持し、アメリカ連邦政府の債務上限を引き上げるというのが実践的な対処方法です。債務の状況を見て、場合によっては、ドルを刷り増しするということで当面は、さほど問題はありません。というより、そんなことはまともな人なら誰もが知っている事実であり、こんなことがいまさら問題になるのは、非常に奇異なことです。

これに対処できないオバマ政権、オバマ大統領は、無能力のそしりを受けても仕方ないと思います。アメリカの政界は、連邦政府しかも基軸通貨を発行している国の連邦政府は、基軸通貨を運用しているからこそ、借金が積み上がりやすいということを理解している人が多くはありません。これは、主に、基軸通貨を運用している政府の金融をあたかも、家庭の主婦が家計を考えるのと同次元で考えるためにおこす典型的な誤謬です。そもそも、家計ではお札を刷り増す権限はありませんが連邦銀行(FRB)には、その権限があります。

このような誤りは、アメリカでは前々からありました。貿易収支とか、国際収支をあたかも、家計のように考え、本来善悪、損得とは全く関係ない赤字は悪、黒字は善であるかのように錯覚し、主婦感覚で連邦政府の金融を家計のように考えてしまう愚かな政治家がたくさんいて、おかげて日本がやり玉にあげられて、いつのまにやら、とんでもない円高基調にされてしまったことは、記憶に新しいところです。そんなことをして、国際収支が、真っ黒にたくさんつみ上がったとしても、それだけでアメリカの景気が良くなるわけでも何でもありません。こうしうことを言う人は、リカードの比較優位性論すら理解できないなのだと思います。

国際金融、国単位の金融をあたかも家計と同じように考えてしまう誤謬、これは、米国だけでなく、日本でも顕著です。特に、日本国の財政破たんなどはその典型です。日本は、対外金融純資産(要するに日本が外国に貸しているお金)は昨年度末260兆円を超えています。これは、無論世界最大です。こんな国が財政破たんするはずがありようもありません。

それに破綻すれば、世界の中には、石器時代に戻るような国も多数でてきます。米中もその影響は甚大です。これだけの経済超大国の政府が財政破たんすれば、日本だけが、世界の表舞台からひっそりと消えていくなどということはあり得ません。多数の国々が、道連れになります。こんなことからも、軽々に日本政府の財政破綻など吹聴すべきではありません。特に政治家や、官僚などが、そんなことを吹聴するのは、あまりにも軽く浅はかというより、はっきり言って馬鹿かスパイレベルです。

お花畑には、鳩山ではなく美女がふさわしい

米国は、対外金融負債(要するにアメリカが世界から借りているお金)が300兆超円です。これだけの借金大国は他にもそうはありません。しかし、借金があるからといって、アメリカが財政破たんするわけではありません。なぜ、そのようなことになっているかといえば、ドルが基軸通貨だからです。

海外でドルが大量に遣われていて、国内でドル不足になっていれば、アメリカ政府はアメリカ国債を発行し外国からお金を借りる以外にありません。安易にドルを刷り増せば、インフレの危険があります。国内から吸い上げるような方式をとれば、国内はデフレに落ち込みます。しかし、いくらお金を借りたとて、ある意味家計における、借金とは意味合いが全く違います。いざとなれば、ドルを刷り増しすれば良いだけの話です。

ただし、のべつまくなく刷り増ししていれば、アメリカ国内はいつもインフレの脅威にさらされるわけです。だからこそ、まずは政府の借金の上限をあげて、引き続き海外から借金をして様子を見ながら調整するというのが現在考えられる最も常識的で確実で、安全な方法です。こういうと、話は単純ですが、世界経済を悪化させず、アメリカ国内をインフレ基調にしないためには、絶妙なバランス感覚が必要です。これは、基軸通貨を持つ国の宿命です。それが嫌というのなら、ドルを基軸通貨とすることをやめる以外にありません。

しかし、こんなことを言っても、マクロ経済その中でも特に国際マクロ金融を理解せず、家計発想から一歩も抜け出せない人には、何のことなのか理解できないと思います。しかし、これが、一般人なら許せますが、アメリカでは政治家でそのような人が多いということです。これは、断じて許されるべきことではありません。

オバマはいつまでさんばか大将の一人と呼ばれ続けるのか?
オバマ大統領は、多くの米国の政治家が国際金融を家計並みに考えることの誤謬を続けさせることにより、「三ばか大将」とか、「ルーピー」などと呼ばれることのないようにするためにも、まずは、野党を含む多くの政治家らに、国際金融の常識を身につけさせ、債務上限問題などすぐに解消して、そうして外交問題については何をさておいても、同盟国のうち最大の国である日本の問題を解消するため、まずは「尖閣は日本領」とはっきり表明すべきです。そうしないから、馬鹿な中国が勢いづいて、世界米中二極支配などの妄想を抱くとともに、憎しみの対象を自分たちから逸らすという国内事情も重なり、尖閣への挑発、示威行為をいつまでも続けるのです。こんな馬鹿を許し続ければ、オバマも馬鹿と言われ続けるだけだし、現在の世界におけるアメリカのリーダー的地位も脅かされることになります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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