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2019年4月6日土曜日

不安出ずる国、日本の消費増税(ウォール・ストリート・ジャーナル)―【私の論評】WSJの記事には、間違いもあるが概ね正しい。増税はすべきでない(゚д゚)!

不安出ずる国、日本の消費増税(ウォール・ストリート・ジャーナル)


日本は、経済成長の鈍化に直面する世界の多くの国々の仲間入りをしつつある。しかし、ある点において日本は異彩を放つ。安倍晋三首相は年内に消費税率を引き上げ、景気を悪化させると固く心に決めているように見えるのだ。

 日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、警戒感を助長する内容だった。企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業・製造業でプラス12となり、昨年12月の19から悪化。7ポイントの悪化は2013年以降で最大となった。中小企業の業況判断も同様に暗くなった。これより先に発表された2月の小売売上高と鉱工業生産もさえない内容だ。鉱工業生産指数は1月までは数カ月連続で低下していた。2018年の国内総生産(GDP)成長率はかろうじて0.8%増となったが、今年は同様の水準を達成するのも難しいかもしれない。

 アジア経済を巻き込んでいる米中貿易戦争を含め、外圧は日本の助けになっていない。輸出依存型の日本経済は依然として、欧州や中国の経済減速の影響を受けやすい。

 加えて、国内問題もある。安倍首相の経済再生計画「アベノミクス」は8年目に入るが、いまだに完全には実施されていない。財政支出の増加や異次元金融緩和は行われたがが、アベノミクス「第3の矢」だったはずの政策改革は全く始まっていない。これが投資と生産性の伸びを圧迫している。

 安倍首相は、今年10月に消費税率を現行8%から10%に引き上げることで日本経済に大打撃をもたらそうとしている。企業も家計も、かつての経験から消費増税がどんな結果を生むか知っている。1997年以降、政府が消費税率を引き上げるたびに景気低迷、あるいは景気後退が到来した。安倍首相は2014年の消費増税(5%から8%)で経済が停滞した後、さらなる引き上げを延期した。しかし、財政規律強化を求める財務省は安倍氏に対し、財政赤字および政府債務の削減のための増税でプレッシャーをかけている。どういうわけか、増税後も債務は増え続けている。景況感指数が悪化するのも無理はない。

 日本はこれまで、毎年のようにケインズ主義的な財政支出やマイナス金利など金融政策の力で景気停滞からの脱却を目指してきた。しかし、思うような効果はあげられていない。世界の経済成長が加速し、米国発の貿易摩擦が緩和すれば、日本を後押しするかもしれない。しかし、安倍首相の増税は自分で自分の首を絞めることになるだろう。

(The Wall Street Journal)

【私の論評】WSJの記事には間違いもあるが概ね正しい。増税はすべきでない(゚д゚)!

昨日も消費税がらみのことをこのブログに掲載したのですが、この記事はかなり気になりましたので、本日も消費税がらみを掲載させていただきます。

名門経済紙と言われるウォール・ストリート・ジャーナルにここまで書かれては、さすがの財務省も気になるかもしれません。

上の記事で、あえて反論するところといえば、日本は輸出依存型の経済ではないことと、本当は財政赤字ではないというところでしょうか。

そもそも、国内総生産(GDP)とは「国内消費(C)+政府支出(G)+国内投資(I)+輸出(X)-輸入(M)」と定義されます(支出項目別の場合。なお、本当は在庫品調整なども含まれるのですが、金額的に大きくないので、ここでは考慮しません)。

GDP=C+G+I+X-M

つまり、大きく内需部分(C+G+I)と外需部分(X-M)から構成されているのですが、外国に輸出する金額(X)の比率が大きければ、外国から貿易関税などを突きつけられた場合の打撃が非常に大きい、ということがよくわかるでしょう。

また、外需の純額(X-M)が低くても、XとMのそれぞれのGDPに対する比率が高ければ、その分、貿易依存国家であるといえます。たとえば、外国から半製品や資本財を買ってきて国内で加工し、製品化して外国に輸出しているようなケースだと、XとMがともに大きくなります。

以上を踏まえ、総務省統計局が公表する『世界の統計2018』によれば、米国、中国、その他の主要国のGDP比率は、次のとおりです(図表)。

(【出所】総務省統計局『世界の統計2018』図表3-5/図表9-3より作成。ただし、Xは輸出依存度、Mは輸入依存度であり、計算方式の違いなどにより、合計しても100%にならない)

日本の輸出(X)は13.1%であり、これは米国よりは高いですが、他国よりは低いです。これでは、日本はどう考えても、輸出依存度が高い国とはいえません。昔は、依存度が高かったと思う人がいるかもしれませんが、過去に高かったという事実はなく、8%程度のこともありました。

以下に日本の貿易依存度のグラフを掲載しておきます。



2015年あたりまでは、輸出依存度が高まる傾向にありましたが、近年はまたもとの水準に戻っています。いずれにせよ、日本は貿易立国などと思いこんでいる人は、考え方を改めるべきです。

内需(C+G+I)の比率は、米国が103%と100%の水準を超えているのですが、これは米国が貿易赤字国である以上は当然のことです。要するに、「国内の生産力が足りないから、外国から輸出している状態だ」、と言い換えても良いでしょう。

一方、「輸出立国」と呼ばれる日本については、内需の合計はほぼ100%であり、純輸出(X-M、つまり貿易黒字の比率)もGDPの0.8%に過ぎません。このため、日本は米国ほどではないにせよ、諸外国と比べ、内需の比率は高いということです。

これに対し、中国、韓国、ドイツの3ヵ国の事例は極端です。いずれも内需を合計すると100%になりません(中国は95%、韓国は94%、ドイツは93%)。ということは、これらの国は貿易黒字によってその差額を埋めているということを示しています。

さらに、輸出依存度だけで見ると、中国は20%近く、韓国とドイツに至っては40%近くに達しており、これらの国が「貿易戦争」の影響を強く受けることは明白です。日本は、これらの国ほど「貿易戦争」の影響を受けることはありません。

次に、財政赤字ですが、これについてはこのブログでは以前IMFのレポート等で紹介しましたが、日本の財政赤字だけをみると、とんでもないと思いがちですが、日本政府の負債だけではなく、資産(現金・預金が7割を超えている、他の不動産なども超優資産ばかりで、現金に替えやすいです)も加味すると、政府の借金はゼロに近いというものです。

以下に、その記事のリンクを掲載します。
コラム:日本の純資産はプラマイゼロ、IMFの新国富論―【私の論評】財務省は解体し複数の他官庁の下部組織として組み入れ、そのDNAを絶つべき(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
巨額の借金を抱える日本の場合、負債額はGDPの283%に相当するが、その半分以上を日本銀行を含めた政府機関が抱えている。他の資産も考慮に入れて試算すると、日本の「純資産」はほぼプラスマイナスゼロになると、IMFは指摘している。

IMF Fical Motitor 2018に掲載されたグラフ
一方で、財政黒字を誇るドイツの場合、純資産はマイナスだ。
資産も含めれば、日本の資産はプラマイゼロということです。これは、英米よりも良い状況です。

以上の2点は、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事は間違いだと思いますが、その他はすべて正しいと思います。

この状況を踏まえると、安倍晋三首相は年内に消費税率を引き上げ、景気を悪化させると固く心に決める必要など全くありません。

そのようなことより、さらに積極財政と金融緩和を行い、デフレから完全脱却と、世界経済の悪化に備えるべきです。

現状で、消費税を上げると、消費が減って内需を減らすということになります。日本ではGDPに占める個人消費の割合は6割台です。これが減れば、GDPも低迷するのは当然です。

現在日本経済に必要なのは、増税という緊縮財政ではなく、積極財政です。さらに現状実質的に引き締め傾向である、金融政策を改めて、さらなる量的な金融緩和策を実行することです。

どう考えても、増税などすべきではありません。そのことを理解してるからこそ、ウォール・ストリート・ジャーナルは安倍総理を揶揄するような記事を掲載したのでしょう。

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2017年2月14日火曜日

【WSJ社説】アジア外交で勝利するトランプ氏―【私の論評】日本のリベラル・左派、左翼の本来の使命は「政権・権力と戦うこと」とではない(゚д゚)!



 ドナルド・トランプ米大統領はここ数日、アジア諸国との外交活動に忙しかった。9日には中国の習近平国家主席と就任後初の電話会談。翌10日に安倍晋三首相とホワイトハウスで日米首脳会談を行い、続く週末には首相と27ホールのゴルフに興じた。北朝鮮の弾道ミサイル発射実験を受けて11日には共同記者会見も行った。これまで一部の外国首脳を相手に示してきた態度とは異なり、トランプ氏は堅実かつ慎重に練られた対応ぶりを見せ、同盟諸国に敬意を払っている。

 習氏との電話会談の注目点は、台湾に関して中国が掲げる「一つの中国」政策を長年尊重してきた米国の姿勢をトランプ氏が確認したことだ。トランプ氏は以前、この原則について貿易問題などと同様に「交渉対象」になると述べていた。この変わり身について、トランプ氏が「張り子の虎」である証しだと指摘するメディアもある。中国政府関係者の話として、習氏はトランプ氏がスタンスを軟化させるまで対話を拒否していたと報道は伝えている。ただ、こうしたトランプ氏の変わり身の中身は驚くべきことでも、劇的なことでもない。

 これは台湾が中国の一部であるとする「一つの中国原則」をトランプ氏が受け入れたということではない。台湾の国際的な立場を巡り中台が反目状況にあることを認識するという米国の政策を確認しただけであり、この問題に対する米国の判断を留保したうえで、台湾の人々の同意による平和的な解決を求めているのだ。過去数十年間においてそうであったように、これは中台の反目を認識した以上のことを意味するわけではない。ましてや、独立国家としての台湾を正式に認めること以外で続けてきた台湾への支援を中止するわけでもない。

 昨年12月にトランプ氏が電話会談を行った台湾の蔡英文総統との関係を前進させ、経済・外交・軍事的つながりの強化を図ることを止めることでもない。そうではなく、台湾の独立国家としての地位というデリケートな問題を巡って中国と衝突し、地域を不安定化するようなリスクは冒さないというメッセージを送っている。そうすることによってトランプ氏は、慎重さが要求され、しかも依然として影響力の大きい台湾問題に関して、台湾や日本をはじめとする友好国・地域のリーダーからより多くの支援が確実に得られる状況を作ってみせたのだ。

 そこに驚くほど友好的な日米首脳会談が行われた。中国はアジアの覇者を狙う野望に対する反対勢力の急先鋒が安倍首相だととらえている。その認識は正しく、今回の日米首脳会談の意味を中国の指導部が理解しているのは間違いない。「われわれの間にはとても良好な絆がある。非常にうまが合う」。共同記者会見でトランプ氏はそう熱く語り、こう続けた。「車のところで彼(安倍首相)を出迎えた際、握手したが、彼を引き寄せ肩を抱いた。そうしたいと感じたからだ」。これが、日本はただ乗りの同盟国だと選挙期間中に批判していたトランプ氏の身の変わりようだ。

 「われわれは日本の安全保障に関与する」。トランプ氏はそう宣言した。尖閣諸島は日米安全保障条約の適用範囲内だとするジム・マティス国防長官の発言と同じ認識を表明した。たとえ関係が最良の状況下にあってもトランプ氏との間では泣き所になりかねない貿易面では、マイク・ペンス副大統領と麻生太郎副総理・財務相をトップとする経済協議の枠組みを設けることで合意した。

 新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」を日本海へ向けて11日に発射した北朝鮮も、日米間の連携強化の重要性を示すことに一役買うことになった。北朝鮮がミサイルの発射実験を行ったのはトランプ氏の就任後では初めてだ。今回の発射は北朝鮮が開発を進めている大陸間弾道ミサイルではなかったものの、同国の核開発が多面的に前進しつつあることをあらためて知らしめた。トランプ氏は「米国は素晴らしい同盟国である日本を100%支持する」と述べた。まったく同感だ。

【私の論評】日本のリベラル・左派、左翼の本来の使命は「政権・権力と戦うこと」ではない(゚д゚)!

ブログ冒頭の、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事いたってまともです。

このブログでは、以前から米国のメディアは90%がリベラル・左派占められていて、特に大手新聞ではリベラル・左派が100%であり、日本にたとえると産経新聞が存在していないような状況にあることを掲載してきました。

そのためか、米国のメディアで報道される内容は非常に偏りがあって、人口でいえばおそらく半分くらいは存在するであろう、保守層の声がほとんどかき消されていて、私たちは米国の半分を知らない状況にあるといってさえ良い状況にあります。

そうして、このウォール・ストリート・ジャーナル紙も無論のこと、リベラル・左派の新聞です。

しかし、日米首脳会談に対する極めて的確な報道をブログ冒頭のWSJの社説は果たしています。日本のテレビや新聞などの偏った解説とは異なります。

日本のリベラル・左派のマスメディアや、有識者などもこの態度は見習うべきでしょう。

日本ではマスメディアも酷いですが、いわゆる有識者などと言われている人たちも酷いものです。

政治学者の山口二郎氏は13日、朝日新聞の神田大介テヘラン支局長が安倍晋三首相を中傷するような投稿を行い、インターネットで批判を受けて削除したことについて、「最高権力者をおちょくることに、何の遠慮が必要か」と自身のツイッターに書き込みました。

山口二郎氏

神田支局長は、日本時間11日未明に米ワシントンで行われた安倍晋三首相とトランプ米大統領の首脳会談を伝える映像を引用し、「安倍首相、大丈夫かな…またおなか痛くなっちゃうのでは」と自らのツイッターに書き込みました。

この投稿にネット上で批判が相次ぎ、神田支局長は投稿を削除し、「このツイートは不適切だったので削除しました。安倍首相をはじめ、病気を揶揄するつもりはなかったんですが、そのように受け取られて当然のひどいツイートでした。お詫びし、撤回します。申し訳ありませんでした」と釈明しました。

朝日新聞の神田大介テヘラン支局長
さらに神田支局長は「自分の考えの至らなさ、まったくお恥ずかしい限りです。以後、このようなことがないよう注意いたします。重ねて安倍首相をはじめ、みなさまにお詫びします」「本当に、トランプ氏の登場による首相への重圧を心配してツイートしたんですが、そのように伝わらなくて当然だったと思います」「意図が伝わらないようなツイートをしてしまったこと、記者として恥ずかしく思います」などと連続して投稿していました。

このような出来事から、やはり日本のリベラル・左派、左翼といわれる人々の中には、山口二郎氏のように、多くのリベラル・左派、左翼のマスコミや識者は「政権や権力と戦うのが使命」であり、その使命を貫徹するためには安倍総理に対する個人攻撃をすることも当然と思っているようです。

しかし、私は政権と戦うのがリベラル・左派、左翼の使命であるなどとは絶対に言えないと思います。そんなことをしていたら、リベラル・左派はいつも政権反対の立場に縛られてしまうことになります。

自民党が政権をとったら自民党反対で、民主党政権になれば民主党反対ということになってしまいます。そうではなく、リベラル・左派、左翼は政権がどうであろうと自分自身が自由に考え、意見を述べるべきです。リベラル・左派、左翼が単なる政権の逆反射に陥れば、自由に考えているのは政権の側で、リベラル・左派、左翼は思考停止になってしまうことになります。

まさに、今回の日米首脳会談ではこのことが鮮明になったと思います。日本のリベラル・左派の方々も、ウォール・ストリート紙をみならって、まともな考え方をすべきです。この新聞は、「政権や権力と戦うのが使命」などとは思っていないからこそ、自由な発想と情報源から上記のような記事が書けるのです。

そうでないと、いつも反政権の立場に縛られて、まともなことが言えなくなってしまいます。その顕著な例が、いわゆるリフレ派の政策に対するリベラル・左派の人々の考え方です。

このリフレ派という言葉は、私はあまり好きではありません。そもそも、リフレ派による積極的な金融政策を中心にデフレから脱却することを重要課題とする主張は、他の先進国では当たり前の政策であり、この政策を主張する人々を他の先進国ではわざわざリフレ派と読んで区別することもありません。

リフレ派という言葉、日本独自のものと考えても良いです。そうして、このリフレ派の主張は欧米では雇用を改善して労働者にとって良い政策であるということから、リベラル・左派、左翼、労働組合などが賛同する政策でもあります。まさに、安倍政権はアベノミクスという名称で、世界的な見地からすれば、リベラル・左派的な政策を実行しているわけです。

しかし、日本ではリベラル・左派も左翼の方々も、「政権や権力と戦うのが使命」という古いイデオロギーにしがみついているせいか、金融政策の有効性を認めません。特に、金融政策が雇用と不可分に結びついているということを絶対に認めません。

このような頑な態度をとっていれば、やがてリベラル・左派の中でも分裂が起こるのではないでしょうか。実際、その兆候は見られています。

広葉樹の移植のための畑を耕す「化学総連」の皆さん
クリ・コナラなど塩に強い品種の広葉樹も
実験的に植えるのだそうです
化学大手の労働組合でつくる全国化学労働組合総連合(化学総連)が昨年連合から離脱しました。

化学総連は昨年5月末、春闘などで連合との窓口になっていた「日本化学エネルギー産業労働組合連合会(JEC連合)」との協力関係を解消しました。事実上の連合離脱であり、産別(産業別労組)が抜けるのは、平成元年の連合発足後、初めての事態です。

この動きの根底には、リベラル・左派、左翼は「政権や権力と戦うのが使命」であるとの考え方に対する反発があるのは明らかです。

私自身は、自分はどちらかというと保守派だと思っていますが、リフレ派的な考えは正しいものであり、それは統計上も十分に証明されているものと思いますから、自分が保守であろうがなかろうが、リフレ派の主張には賛同しています。

リベラル・左派、左翼の方々も、「政権や権力と戦うのが使命」という呪縛から逃れて自由な発想をすべき時にきているのではないでしょうか。

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2013年11月2日土曜日

「オバマ政権は尖閣は日本領と表明せよ」 米紙ウォールストリート・ジャーナルが主張―【私の論評】オバマは尖閣日本領表明によって、自ら頭の中のお花畑の虚構に生きるルーピーではないことを証明せよ(゚д゚)!


かつて鳩山氏をルーピーと評したオバマ大統領だが?
1日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルは、尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる日本と中国の対立を社説で取り上げ、オバマ米大統領に尖閣諸島が日本の領土であると明確に表明するよう求めた。

社説は尖閣への脅威が米国と日本の同盟を強化させているだけでなく、米国とともに日本を「平和の擁護者」とみなすようになった東南アジア諸国と日本の結びつきも強めたと指摘した。

その上で、「事故や判断ミス、銃撃事件が起きる危険性が高まっている」ため、日本が政治的な決意や軍事能力を示すことが重要になっていると論じた。

さらに、米国が第二次世界大戦を経て尖閣を管理下に置き、1970年代に日本に返還したことで「(尖閣の)主権問題は事実上、決着している」とし、「オバマ政権が尖閣は日本のものだと明確に主張すれば、中国は引き下がる可能性がある」と強調した。

【私の論評】オバマは尖閣日本領表明によって、自ら頭の中のお花畑の虚構に生きるルーピーではないことを証明せよ(゚д゚)!

尖閣の位置

尖閣問題に関しては、その原因はいろいろあります。中国人民の中央政府に対する憤怒のマグマは建国以来常に煮えたぎっており、それがいつどこで大噴火を起こしてもおかしくない状況であり、これを防ぐため、人民と中央政府の共通の敵を中国外部に作り出すことが必要であり、その対象となったのが日本であること、その象徴としての尖閣ということです。

尖閣付近で、中国側が示威行為をすれば、それは中国内にも伝わり、人民に「憎き敵」をやつける政府という姿を演出して見せることにより、人民の怒りの刃をそらし、日本に向けてエネルギーを発散させるということにつなげています。だから、中国で暴動が減らない限り尖閣問題は今のままでは、収まりはつきません。しかし、現実には、中国では建国以来毎年2万件の暴動が発生しているといわれていましたが、ここ数年では毎年平均8万件を超えるようになっています。300人未満の暴動まで加えると、件数はうなぎのぼりだといわれています。

記憶に新しい尖閣上陸のバカ真似

この問題を一層複雑にしているのは、今の安倍政権においてはそのようなことはなくなりましたが、安倍政権以前の、民主党政権や、自民党政権のときですら、中国の尖閣に対する暴挙に対して毅然たる態度で臨まなかったことがあります。海上保安庁の船に体当たりした、中国漁船の船長をすぐに返還したことなど、中国を勢いづかせるだけの結果となりました。

そうして、忘れてならないのは、アメリカの煮え切らない態度です。尖閣は、日本の固有の領土であることは、あまりにも明らかな事実なのに、アメリカはこの問題に関して煮え切らない態度をとり続けています。尖閣問題が起こってからこのかた、未だアメリカは尖閣は日本固有の領土であり、日本と中国の間で尖閣の領土問題はないと、はっきりとした公式見解は発表していません。

上の記事のように、WSJが指摘しているように、アメリカが、はっきりとした公式見解を発表すれば、中国が引き下がる可能性は多いにあります。

無論、アメリカがそのような発表をすれば、中国は反発するでしょうが、それでも実質的に尖閣での領空・領海侵犯がかなり減るというようなことにはなる可能性は高いです。

カイロ宣言における中国代表は、国民党軍の蒋介石

そもそも、アメリカ側の立場にたっても、尖閣問題に関しては、戦後体勢を維持するという観点からも、中国の示威行動はやめさせるべぎです。ここで、アメリカが何もしなければ、中国は本来戦後体制の利得者ではないにもかかわらず、結果として戦後体制利得者であることを認めることになります。現在の中国共産党中央政府は、日本とは戦争をしていません。戦ったのは、蒋介石率いる国民党軍です。戦後の国々は、戦後体制によって三つに分類されました。第一国は、米英などの第二次世界大戦での戦勝国、第二国は、日独などの敗戦国、第三国は、そもそも戦争に参加して直接戦わなかった国々です。

現在の中国、韓国、北朝鮮は、あくまで第三国であり、戦後体制の利得者ではありません。そもそも現代中国が独立したのは、戦後のことです。にもかかわらず、もし今後も尖閣について日本の領土であると、アメリカが表明しなければ、アメリカは中国の戦後体制の利得を認めることになります。

それを許せば、中国は他の戦後体制の利得を次々と要求することになるのは必定です。そんなことは、少し考えれば理解できることです。中国は、明らかに戦後体制利得者になる道を模索しています。

アメリカがこのように、煮え切らない態度をとり続けてきたのは、最近の中国の台頭をみて、今後中国国内が世界最大の消費市場になると見込んだ米国内親中・媚中派が、中国側の巧みな誘導にのって戦後体制の次の新しい世界の体制は、米中二極体制であると思い込みこみ、アメリカ国内でも、大きな影響力を発揮しているからです。

要するに、戦後体制に替わる次世代の世界の体制は、アメリカ・中国の二極体制であるとの幻想です。しかし、特にここ20年の中国の経済的躍進の原動力は、日銀の金融引き締め政策による、デフレ・円高政策です。これなしに、中国は経済発展することはできませんでした。

そうして、現実には、昨日も示したように、現体制の中国は経済的にも、社会構造的にも持ちそうもありません。現中国が、本気で社会構造改革に取り組まなければ、分裂は必至です。そうして、これは、中国の過去の歴史が証明しています。

1993年5月、古い体制の復活を求める共産主義者達のデモ。

現在の体制は、今のままだと崩壊します。そうして、中国はいくつかの国々に分裂します。そうして、新たな社会構造秩序が生まれることになります。これはかつてのソビエト崩壊と同じことです。今の体制で、中国が経済だけ伸びて、超大国になるという筋書きは単なる幻想に過ぎません。現体制と新たな体制の分裂中国の指導層とはほんど何も関係のない人々になると考えられます。そこから、さらに超大国を目指すということになれば、100年以上の年月が必要です。

現実的・実務的観点からみれば、当面アジアの秩序は、日本が中心となって形成されていくのは自明の理です。いろいろな紆余曲折はあるかもしれませんが、おそらくそうならざる得ないでしょう。また、上の記事でも指摘している通り、中韓・北朝鮮以外のアジアの国々は、それを望んでいます。宗教などの問題を超えて、はるかに異質な中国に支配されるのは、真っ平御免であり、そんなことになれば、チベットやウィグルのように、中国の省や、自治区にされるおそれもあり、そうなれば中国の暴虐を許してしまいかねず、「平和の擁護者日本」にますます期待を深めています。日本としては、その期待に応えることによって、中国包囲網をさらに実効性のあるものにしていく必要があります。

頭の中のお花畑を歩む日本の三馬鹿大将 鳩山夫妻、菅元首相
しかしながら、 このような現実に向き合えない、頭の中のお花畑を歩む人々も大勢います。それは、日本と同様、アメリカにも多数存在します。かつて、オバマ大統領は、鳩山氏を「ルーピー」と呼びました。しかし、最近のオバマ大統領の煮え切らない態度に、オバマ氏を「三ばか大将」の一人とする論評もあります。その論評を以下に掲載します。
経済】ワシントンの「三ばか大将」:オバマ、ベイナー、ティーパーティー(10/8)
米ダラス地区連銀フィッシャー総裁
 米ダラス地区連銀のフィッシャー総裁は、債務上限引き上げをめぐる議会での攻防は、「わが国にとっての恥だ。ワシントンには『三ばか大将』がいる」と非難した。

「三ばか」とは、地元の支持者だけの意向に沿っているティーパーティー系の共和党議員、彼らを説得できないベイナー下院議長、そして、2006年の上院議員時代に、連邦政府債務上限の引き上げに反対を表明したオバマ米大統領か。 
「アメリカの債務を増やすことは、国内的にも国際的にも我が国を弱体化させます。
指導力とは、責任は私が取る、ということです。 
しかしながら、今日、ワシントンの議会では、私達の子供達、孫達に、重荷を負担させる悪しき選択を行おうとしています。 
アメリカは、債務問題を抱え、指導力の欠如を露呈しています。 
私は、ゆえに、アメリカの連邦政府債務上限の引き上げには、断固反対します。
バラク・オバマ上院議員」
アメリカの連邦政府の債務が増えるのは、ドルが基軸通貨である限り、当然のことです。何しろ、アメリカドル自体は、アメリカ国内だけで遣われるだけではなく、世界中で遣われるわけですから、かなり流通量を多くしなければ需要をまかなうことはできません。だからといって、大量に刷り増しすれば、米ドル自体は、アメリカ国内の通貨でもあり、国内がインフレになる可能性もあります。

お花畑にたたずむ鳩山氏
そうはいっても、ある程度刷り増しをしなければ、海外でも大量にドルが遣われるため国内がデフレになってしまいます。バランスをとるのが難しいです。海外でも遣われるということは、国内でドルの流通がその分少なくなりがちになります、そうすると政府は必然的にアメリカ国債を海外に売って借金をしなければならないことになります。実際、中国や日本が、アメリカ国債を大量に購入して、世界経済を支えています。これは、いわば基軸通貨の宿命でもあります。

しかし、基軸通貨であることをやめれば、アメリカの国益はかなり失われます。やはり、いずれは、世界共通で遣える世界通貨のようなものを考えなければならなくなります。しかし、現在規模や信用問題も含めて、それに耐えられる世界的な機関は存在しません。

連邦政府の債務問題については、何も今年ふって沸いたように起こった問題ではなく、昔から毎年のように論議されてきました。世界の金融システムの安定を考えた場合、当面は現体制を維持し、アメリカ連邦政府の債務上限を引き上げるというのが実践的な対処方法です。債務の状況を見て、場合によっては、ドルを刷り増しするということで当面は、さほど問題はありません。というより、そんなことはまともな人なら誰もが知っている事実であり、こんなことがいまさら問題になるのは、非常に奇異なことです。

これに対処できないオバマ政権、オバマ大統領は、無能力のそしりを受けても仕方ないと思います。アメリカの政界は、連邦政府しかも基軸通貨を発行している国の連邦政府は、基軸通貨を運用しているからこそ、借金が積み上がりやすいということを理解している人が多くはありません。これは、主に、基軸通貨を運用している政府の金融をあたかも、家庭の主婦が家計を考えるのと同次元で考えるためにおこす典型的な誤謬です。そもそも、家計ではお札を刷り増す権限はありませんが連邦銀行(FRB)には、その権限があります。

このような誤りは、アメリカでは前々からありました。貿易収支とか、国際収支をあたかも、家計のように考え、本来善悪、損得とは全く関係ない赤字は悪、黒字は善であるかのように錯覚し、主婦感覚で連邦政府の金融を家計のように考えてしまう愚かな政治家がたくさんいて、おかげて日本がやり玉にあげられて、いつのまにやら、とんでもない円高基調にされてしまったことは、記憶に新しいところです。そんなことをして、国際収支が、真っ黒にたくさんつみ上がったとしても、それだけでアメリカの景気が良くなるわけでも何でもありません。こうしうことを言う人は、リカードの比較優位性論すら理解できないなのだと思います。

国際金融、国単位の金融をあたかも家計と同じように考えてしまう誤謬、これは、米国だけでなく、日本でも顕著です。特に、日本国の財政破たんなどはその典型です。日本は、対外金融純資産(要するに日本が外国に貸しているお金)は昨年度末260兆円を超えています。これは、無論世界最大です。こんな国が財政破たんするはずがありようもありません。

それに破綻すれば、世界の中には、石器時代に戻るような国も多数でてきます。米中もその影響は甚大です。これだけの経済超大国の政府が財政破たんすれば、日本だけが、世界の表舞台からひっそりと消えていくなどということはあり得ません。多数の国々が、道連れになります。こんなことからも、軽々に日本政府の財政破綻など吹聴すべきではありません。特に政治家や、官僚などが、そんなことを吹聴するのは、あまりにも軽く浅はかというより、はっきり言って馬鹿かスパイレベルです。

お花畑には、鳩山ではなく美女がふさわしい

米国は、対外金融負債(要するにアメリカが世界から借りているお金)が300兆超円です。これだけの借金大国は他にもそうはありません。しかし、借金があるからといって、アメリカが財政破たんするわけではありません。なぜ、そのようなことになっているかといえば、ドルが基軸通貨だからです。

海外でドルが大量に遣われていて、国内でドル不足になっていれば、アメリカ政府はアメリカ国債を発行し外国からお金を借りる以外にありません。安易にドルを刷り増せば、インフレの危険があります。国内から吸い上げるような方式をとれば、国内はデフレに落ち込みます。しかし、いくらお金を借りたとて、ある意味家計における、借金とは意味合いが全く違います。いざとなれば、ドルを刷り増しすれば良いだけの話です。

ただし、のべつまくなく刷り増ししていれば、アメリカ国内はいつもインフレの脅威にさらされるわけです。だからこそ、まずは政府の借金の上限をあげて、引き続き海外から借金をして様子を見ながら調整するというのが現在考えられる最も常識的で確実で、安全な方法です。こういうと、話は単純ですが、世界経済を悪化させず、アメリカ国内をインフレ基調にしないためには、絶妙なバランス感覚が必要です。これは、基軸通貨を持つ国の宿命です。それが嫌というのなら、ドルを基軸通貨とすることをやめる以外にありません。

しかし、こんなことを言っても、マクロ経済その中でも特に国際マクロ金融を理解せず、家計発想から一歩も抜け出せない人には、何のことなのか理解できないと思います。しかし、これが、一般人なら許せますが、アメリカでは政治家でそのような人が多いということです。これは、断じて許されるべきことではありません。

オバマはいつまでさんばか大将の一人と呼ばれ続けるのか?
オバマ大統領は、多くの米国の政治家が国際金融を家計並みに考えることの誤謬を続けさせることにより、「三ばか大将」とか、「ルーピー」などと呼ばれることのないようにするためにも、まずは、野党を含む多くの政治家らに、国際金融の常識を身につけさせ、債務上限問題などすぐに解消して、そうして外交問題については何をさておいても、同盟国のうち最大の国である日本の問題を解消するため、まずは「尖閣は日本領」とはっきり表明すべきです。そうしないから、馬鹿な中国が勢いづいて、世界米中二極支配などの妄想を抱くとともに、憎しみの対象を自分たちから逸らすという国内事情も重なり、尖閣への挑発、示威行為をいつまでも続けるのです。こんな馬鹿を許し続ければ、オバマも馬鹿と言われ続けるだけだし、現在の世界におけるアメリカのリーダー的地位も脅かされることになります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2012年12月25日火曜日

アベノミクスに外交構想 安倍氏に注がれる熱い視線―【私の論評】日本国内の批判は的外れどころか、危険でさえある!!そうして、各国の評価をみていると各々の国の本音がみえてくる!!

アベノミクスに外交構想 安倍氏に注がれる熱い視線:


安倍晋三次期政権の外交や経済政策の具体的な方向性に、海外メディアが強い関心を示している。「アベノミクス」と呼ばれる安倍氏のデフレ克服策に欧米紙が期待を寄せたり注文をつけたり。近隣諸国では「日本の右傾化」を警戒する論調がなお目立つ中で、インドは、安倍氏が提唱したアジア太平洋地域の外交構想の実行に熱い視線を注いでいる。


▼フィナンシャル・タイムズ(アジア版)

■チャンスを逃すな

・・・・・・・・・・・・・・< 略 >・・・・・・・・・・・・・・・・

具体的には安倍氏が「日銀に2~3%のインフレ目標を設定するよう提案」したことを「良いアイデアであり、日銀の独立性を傷つけることなく実施できる」と指摘。日銀総裁人事についても「(経済)成長回復とデフレサイクルの終結に熱心に取り組む」人物を選出するべきだと主張した。

その理由として、「インフレは万能薬ではないが、それ抜きで建設的なことを多く成し遂げることはできない」と解説。消費税増税が経済成長の実現を前提としていることを踏まえ、「通常、極度な倹約家の財務省も、増税実施のために十分な経済成長を手に入れるために、財布のひもを緩める」と、財政支出が可能になると分析した。そして2013年に日本で「わずかな成長のほとばしり」が起きうると予測した。

社説はインフレによる資産の目減りや金利上昇の危険性にも言及しつつ、「これが、残された唯一の賢明な道」とし、「安倍氏は今回のチャンスを逃すべきではない」と強調した。(黒川信雄)


▼ウォールストリート・ジャーナル(米国)

■アベノミクスには構造改革も

「アベノミクス」への期待が先行する日本に比べ、米国ではその成否に注目しながらも、一歩引いた慎重な見方も目立つ。

・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・

アメリカン・エンタープライズ政策研究所(AEI)のマイケル・オースリン日本部長も同紙への寄稿で、金融緩和はデフレ脱却に役立つ可能性はあるが、「投資を促す政策や過剰な規制を突き崩す改革がなければ真の回復は見込めないことに安倍氏は気づくかもしれない」とし、前首相時代に挫折した構造改革の断行が求められると注文をつけている。(ワシントン 柿内公輔)


▼ヒンズー(インド)

■「拡大アジア戦略」実行を

インドの新聞の多くは、自民党の安倍晋三総裁の首相就任を日印関係を深化させる好機ととらえ、安倍氏に強い期待を寄せている。安倍氏を好感する大きな理由の一つは、安倍氏が首相として2007年8月に訪印した際にインド国会で行った演説が、強烈な印象を残したことにある。

安倍氏は「太平洋とインド洋は、今や自由の海、繁栄の海として、1つのダイナミックな結合をもたらしている。従来の地理的境界を突き破る拡大アジアが、明瞭な形を現しつつある」と主張。日本とインドの戦略的グローバルパートナーシップをユーラシア大陸の外縁に沿う自由と繁栄の弧の「要をなす」として、日印関係重視を明確にした。インド各紙は衆院選後、この演説を何度も引用して安倍氏を紹介している。

・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・

(ニューデリー 岩田智雄)

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【私の論評】日本国内の批判は的外れどころか、危険でさえある!!そうして、各国の評価をみていると各々の国の本音がみえてくる!!


昨日も、前原氏の筋違いの日銀批判について、掲載しました。日本では、いわゆるアベノミックスに対して、懐疑的な見方や、批判的な意見が多いですが、その大半は、傾聴にも論評にも値しないものが多いです。しかし、海外では、いわゆるアベノミックスと呼ばれ、あたかも特殊で珍奇な経済対策と思い込まれている政策は、珍奇でもなく、当たり前のことと受け取られています。

そのため、上の各国のメディアの報道も、いわゆる日本での報道などとは随分違います。それにしても、各国の見方は、それぞれで、各々の国の本音が良くでていると思います。その本音について、私の見方を掲載させていだきます。

英エコノミスト紙に掲載された安倍総裁のアベノミクスに関する記事
まずイギリスのフィナンシャル・タイムズですが、さすがにイギリスの経済一流紙であり、日本の経済のことを良く理解していると思います。インフレによる資産の目減りや金利上昇の危険性にも言及しつつ、「これが、残された唯一の賢明な道」とし、「安倍氏は今回のチャンスを逃すべきではない」と強調しています。

イギリスは、これは後で詳細を述べますが、アメリカなどとは立場が違い円高メリットなどを享受しているわけではないので、日本が円安になってもあまり影響を受けることもないし、特にフィナンシャル・タイムズは、国際経済を良く知っているので上記のような論調になっているのだと思います。それに、円安になったとしても、日本の経済が復活して、内需が拡大すれば、世界経済を牽引する可能性もあり、それに期待をしているのだと思います。


米ウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された安倍総裁のポートレート

一方アメリカのウォールストリートジャーナルは、アベノミックスに対して慎重な姿勢をみせています。これは、やはりアメリカの国益を考えた場合、日本が円高基調にあったほうが、都合が良いということが背後にあると思います。しかし、金融緩和に対して真っ向から批判的論調はありません。これは、アメリカが、過去にQE1、QE2そうして、現在はQE3と大規模な金融緩和政策を実施しており、日本だけが金融緩和政策をするなともいえないからだと思います。

ご存知のように、日本は、アメリカの国債を大量に購入するなどのことをしてアメリカの経済を支えてきたという面があります。それに、円高により、アメリカ経済に寄与してきたということもあります。アメリカが大規模な金融緩和をしても、日本がそれをしなければ、ドルは増え、円はそのままということで、かなりのドル安傾向になるのは、当然のことです。

そうなれば、当然のこととして、現状では、輸出などでもアメリカのほうが圧倒的に有利ということになります。それに、円高であれば、日本で作った車を日本からアメリカに輸出するよりは、トヨタなどでも、アメリカに工場をつくり、アメリカ人を雇って、アメリカで車を作って、アメリカ売ったほうが有利ということになります。

そうなれば、アメリカは、国内で雇用も創出でき願ったりかなったりの状況になります。最近は、アメリカは、EQ3による大幅な金融緩和政策を実施しています。このEQ3の目標は、雇用環境の改善です、雇用率がある水準に達するまで、無制限に緩和を続けます。そのようなときに、日本が、大規模な金融緩和政策を行った場合、せっかくのEQ3が、あまり奏功しなくなるおそれが十分あります。だから、アメリカは、日本が本格的な金融緩和政策をしないことを望んでいるのです。だから、上記のWSJのような論調になるのです。

これは、中国にも同じようなことがあてはまるどころか、中国は固定相場制ですから、日本の円高は、中国人にとって、打ち出の小槌のようなものです。これに関しては、本日は、本題ではないので、これは、以下にこのことについて掲載したブログの記事のURLをコピペしておきますので、詳細を知りたい方は、こちらをご覧になって下さい。

中国人民銀、日銀の追加緩和にいら立ち 過度の資本流入懸念−【私の論評】中国の経済破綻が始まる?!日銀を何とかしなければ、日本は草刈場になる!!

インドのヒンズー紙は、もともとかなり親日的であるインド国民の考えを代弁しています。これは、このブログにも以前掲載したことがあります。

インドのヒンズー紙の紙面

インド人監督がインパール作戦題材にメガホン―【私の論評】正しい歴史観を反映した映画とみた!!

 詳細は、上記の記事をご覧いただくものとして、以下に上の記事の結びのところだけ掲載させていただきます。
このインド映画が放映されることを期に私達日本人自身が、これらの、愚かな国々の悪い政府が、自国人民からの、非難や、暴動、革命などを恐れるあまり、その矛先を日本に向けるために、体系的に反日教育をしていることを理解すべきです。
私は、このような負け戦であっても、なお上記のような「「気品にあふれた真の日本兵の姿」と記述されたように、無能な牟田口 廉也中将などにより、多数餓死者、病死者で人員を失ったにも関わらず、最期まで、「気品にあふれた」態度をとられた、英霊の皆様に誇りを感じるとともに、後世に伝承していくべきと考えていますので、今回のこの映画の放映は、誠に慶賀に耐えない、素晴らしいことだと思います。日本で、放映されるなら、是非みたいです。皆さんは、どう思われますか?
インドは、このようにもともと親日です。日本が大東亜戦争をしなかったら、インドのイギリスからの独立は、40年は遅れただろうともいわれています。それに、インドは、経済発展した日本の経済システムにも共感を覚えています。さらに、日本との取引ももっと増やしたいと思っています。それに、昨今では、中国の脅威があります。

インドというと、ずっと南の国であり、中国などとはあまり関係ないと思われているかたもいらっしゃるかもしれません。しかし、そうではありません。実は、インドと中国は、4,000km強にもわたって、国境を接し、数カ所で未解決な領土問題を抱えています。

インド側は、旧宗主国であるイギリスが設定したマクマホ・ラインを主張していますが、中国は独断的主張を固持しています。特にチベット系民族が住む地域に関する中国側の強固・強硬な態度、チベット民族、及び旧チベット領土に関する中国の完全支配戦略が、インドとの国境問題を複雑にさせています。このような国インドは、日本が軍備を拡大して、中国の脅威となってくれれば、インドの安全保障上も良いことであると思っています。

以上、同じアベノミックスについて述べるにしても、それぞれ、お国柄が反映されていると思います。それにしても、国内では、マクロ財政も、金融政策も良くわからないような連中があいかわらず、変な批判をしています。上の外国の新聞では、それぞれ自国の利益を念頭にいれて論評しています。しかし、日本国内のマスコミなどの、論評はそうではなく、結局、馬鹿か、何かへの遠慮か、それともスパイなのかとでも考えないと、納得のいかないものばかりです。

コミンテルン(スパイ)は、昔から今にいたるまで、日本に害をなしている。そして、日本はスパイに弱い!

特に本日の朝日新聞の『アベノミクス―「危ないミックス」は困る』は酷いものです。これに関しては、政治評論家の上念氏が微に入り細に入り、論評を加えています。以下にURLをコピペしておきますので、是非ご覧になってください。

『アベノミクス―「危ないミックス」は困る』がコミンテルンの指令文書になっている件

これなど、みていると、的外れどころか、意図して意識して、アベノミックスを叩きのめそうという意図がありありと見えます。本当に危険です。日本のマスコミ、もう好い加減に、日本国弱体化の立場を捨ててもっと、まともに報道して欲しいと思うのは私だけでしょうか? 日本国を良くするために、批判することと、日本国を弱体化されることとは、全く別次元のことです。最近、警察官が30年来のつきあいのある人を殺害するなどの全く理解不能の事件がいくつか起こっていますが、マスコミも狂っていると思います。一体、日本を弱体化させて、誰が得するというのでしょうか?自分たちを含めた日本人でないことだけは、確かです。皆さんは、どう思われますか?




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