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2020年8月16日日曜日

中国の小麦買付量が1000万トン減、習近平氏は食糧を浪費しないよう呼びかけ―仏メディア―【私の論評】中国が食料危機の可能性を公表しないのは、自らの無謬性を強調のため、危機を人民のせいにするための方便か(゚д゚)!


中国の家庭料理

2020年8月13日、仏RFIの中国語版サイトは、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が国民の食習慣における食糧の浪費に注目すると同時に食糧関係機関の責任者らが頻繁に打ち合わせをし、政府メディアも食糧の安全を重視するよう求め、国民に食糧を節約し、危機意識を持ち続けるよう呼びかけたと報じた。

中国農業科学院の統計によると、2015年の統計では毎年3500トンの食べ物が浪費されているという。

記事によると、中国国営新華社通信は次のように中国の人々に理解を求めた。食糧資源が豊富な国で産業チェーンが断絶する可能性がなくはない。サプライチェーンが断絶すると、恐慌のような購買が発生する。また、昨年末からこれまでの世界各地のバッタの大量発生や山火事、さらに新型コロナウイルス感染拡大により、物流が滞ったり輸出制限を受けたりして、世界の農産物供給の不確実性が増し、食糧市場が不安定になっている。

また、フランス通信社は「中国人は盛大な食文化から節約へと移行し、習近平の呼びかけに応えている」と報じ、北京市や武漢市、西安市など多くの都市の職業飲食協会が提唱し推進している「N-1」の飲食モデルに注目した。「N-1」とは、人数分の食事から一品減らすというもので、これにより品数は多様でありながら、食糧の節約ができ、浪費を防ぐという。同時に、中国の短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」などは、プラットフォーム上のプログラムでの誇張した「大食い」を禁止すると発表したという。

記事によると、中国政府はこれまで、年間在庫は消費量に対し十分で、食糧供給に問題はないと度々強調してきた。国家食糧・物資備蓄局が今週発表したデータでは、河北省から江蘇省、山東省から河南省の多くの小麦主産地の買付量が前年同期比減となり、全体で938万トン以上減少した。だが、現在の小麦と米の在庫量は国民の1年間の総消費量に相当するという。また、米、小麦、トウモロコシの「中国三大食糧」の中国国内自給率は平均97%以上、2019年の中国の1人当たりの平均食糧占有量は470キロを超え、国際食糧安全基準より1人当たり400キロ多いという。データは、食糧の余裕への「十分な自信」を示したと記事は伝えた。(翻訳・編集/多部)

【私の論評】中国が食料危機の可能性を公表しないのは、自らの無謬性を強調のため、危機を人民のせいにするための方便か(゚д゚)!

中国の食糧事情の現状は、どうなのでしょうか。2020年8月14日、中国メディアの観察者網は、「食べ物を粗末にしないため」体重に応じたメニューを提案する湖南省長沙市内のある飲食店について伝えました。

4日、中国メディアの観察者網は、「食べ物を粗末にしないため」体重に
応じたメニューを提案する湖南省長沙市内のある飲食店について伝えた。

記事によると、この飲食店のシステムは、客が入店前に測定した体重に基づいて店がメニューを推薦し、客が注文するというもの。店は「これは客が適切な量の食事ができるように誘導するもので、浪費を根絶するためだ」としている。この店では客のために余った食事を持ち帰れるよう無料で容器を提供しているといいます。

同店の対応は、習近平(シー・ジンピン)国家主席が最近、「食べ物を粗末にしてはいけない」などとする「重要指示」を出したことと大きく関係しているとみられています。

共産党機関紙・人民日報は12日付と13日付の1面で、習氏が「飲食物の浪費は衝撃的で心が痛む」と語り、食料を無駄にしないための対策を取るように命じたと伝えました。中国都市部の外食産業で1年に出る残飯は1700万~1800万トンと推定され、3000万~5000万人分の1年間の食料に相当するといいます。

習氏は2013年から食べ残しをしないように求めています。習氏が改めて指示を出したのは、食料問題が切迫する可能性があると判断しているからです。習氏は「食料の安全確保について常に危機意識を持たないといけない。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大はわれわれに警鐘を鳴らしている」と述べました。

中国では今年、長江流域を中心に大雨による水害が起きています。食料の輸入先である米国との関係が極めて悪化していることも不安材料です。習氏は米国との対立が深まる中、「自力更生」「持久戦」を訴えてきました。今回の「食べ残し禁止」の呼び掛けも長期的な覚悟を国民に求めたものといえます。

中国の水害を伝えるテレビの画面

習氏の指示を受け、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は、飲食の浪費を抑制するための法整備について検討を開始。国営中央テレビは、ネット上で人気となっている「大食い」を誇る動画を「食べ物を無駄にする極端な事例」と批判し、食料の節約を訴えました。

米ラジオ放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、7月に四川省成都市農業農村局が近日、成都市全市における果樹園や樹林園が水稲栽培に変更する状況を調査報告するように公文書を出しました。同公文書には、水稲栽培を促すために政府は田んぼに切り替えた農民には6.667アール(約666.7平方メートル)ごとに3千人民元(約4万6千円)もらえる保証すると書かれています。

現地の農民によると、当局がこれだけの補償を出してまで、水稲栽培に切り替わるように要求したのは中国の食糧貯蔵が厳しいことが垣間見えるそうです。

四川省だけでなく、湖北省孝感(こうかん)市の地方当局も田んぼ政策を促しているそうだ。田んぼ6.667アール(約666.7平方メートル)開墾ごとに150元(約2千円)の手当てを出すという。

また、6月からイナゴの大群が農業地区である広西チワン族自治区桂林市を襲いかかり、関連映像からは密集したイナゴによる農作物の被害状況が確認できます。ウエイボーでは全市が被害に遭ったといいます。

ここ2か月、中国各地は洪水やバッタ、ペストなど様々な災害に見舞われ、下半期の食糧危機の可能性が懸念されています。中共国家統計局も、今年の夏の穀物生産量は今年の洪水同様、過去最高を記録し、豊作であると発表しました。

中国メディアも種々様々な報道をしています。いずれも最終的に判で押したかのように、様々な統計値を出した上で、最後には「食糧危機は起きない」と報道しています。

ところが、7月15日付で米国農務省(USDA)は、7月14日に米国企業がトウモロコシ176万2000トンを中国へ輸出する契約に調印したと発表しました。 

これはトウモロコシの契約規模としては過去4番目に大きく、1日の取引量としては1994年以来最高の規模でした。これより4日前の7月10日には中国向けにトウモロコシ136万5000トンの輸出契約が締結されていました。

これら2つの契約は今年中に商品の納入を完了することが予定されています。 

今年1月に米中両国は貿易協議の第1段階として、「中国が米国産品の輸入を2年で2000億ドル(約21兆円)増やすのに対し、米国は中国製品にかけた追加関税を段階的に下げること」で合意しました。 

6月30日に香港で『香港国家安全維持法』が施行されたことにより米中関係は今まで以上に悪化しているというのに、中国が依然として米国産農産物を買い付けているのは第1段階の目標達成というよりも、中国国内の食糧危機を見越した「背に腹は代えられない」事情があると考えるのが筋でしょう。

中国当局は最近、米国だけからというわけではなく、大豆やトウモロコシの輸入そのものを増やしています。中国税関当局が26日に公表した統計では、6月にブラジルから大豆1051万トンを輸入しました。5月と比べて18.6%増で、前年同月比では91%増となりました。

また、米農務省(USDA)が毎週公開する統計によれば、7月9~16日までの1週間で、中国向けのトウモロコシ輸出量(196.7万トン)は、週間統計として過去最高となりました。中国は同週、米国から169.6万トンの大豆を購入した。2019年3月以来の高水準となりました。

8月10日に公表された中国の7月の食糧価格は、12カ月連続で2桁上昇となっています。8月に入るとさらに国内の穀物価格が上昇しています。

中国国内が未曾有の大災害に見舞われる中、習近平国家主席は7月22日、天変地異とは無関係の食糧の主要生産地である東北部の吉林省を視察し、「吉林省は食糧安全保障政策を最優先課題にすべきだ。戦争の際、東北部は非常に重要だ」と異例の発言を行いました。

こうした大災害の時にこそ、民衆の苦しみを少しでも和らげ、労わろうとするのが、本来の徳ある為政者の姿のように思いますが、習主席は「災害対策本部」のような組織もろくに立ち上げず、最前線へ出向いた中央政府の責任者は一人もいないとも言われています。

吉林省のとうもろこし畑を視察する集金兵

胡春華副首相は7月27日、国内の食糧生産に関する会議で、各省の幹部に対して「食糧の生産量を増加すべきである。けっして減らしてはならない。国の食糧安全保障にいかなる手違いも許されない」と厳命しました。

中国では近い将来、レストランで好きな料理を多めに注文すると「監視員」に止められたり、食べ残しを残して出ようとすれば拘束されてしまう、というよう信じられないような話が現実となってくるでしょう。食料危機への対処として、情報を開示して国民の協力を呼びかけるのでなく、習近平が人民の「食べる自由」まで奪おうとしているのでないでしょうか。。

これは、初期段階で武漢ウイルスの感染を隠していたことを彷彿とさせます。本当は、今後食料問題がこれから深刻になっていく可能性があるのに、それを公表して人民の協力を求めるのではなく、中共や自らのの無謬性を強調したいがために、そのようなことはせずに食糧不足やそれにともなう食料の高騰が起こった場合には、それを人民のせいにし、自らの責任を逃れるための方便とするのではないでしょうか。

それを実行すれば、中共はマスク外交で諸外国から信頼を失ったように、今度は国内で人民の憤怒のマグマを直接受けることになってしまいます。これに関して、さすがに米国や、日本のせいにすることはできません。

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2016年4月12日火曜日

【米中新冷戦】中国では報道されない「パナマ文書」 人民が驚きも怒りもしないワケ ―【私の論評】パナマ文書が暴く、図体の大きなアジアの凡庸な独裁国家に成り果てる中国(゚д゚)!


習主席に「パナマ文書」が直撃したが… 
 この1週間、世界を席巻しているトピックといえば「パナマ文書」である。史上最大の機密文書漏えいで、アイスランドのグンロイグソン首相は辞任を表明し、英国のキャメロン首相は政治生命の危機を迎えている。

「米国と中国がすでに新たな冷戦に入っている」「しからば日本はどうすべきか」を論じる当連載でも、触れずにいられない大事件である。

民主的な国家では、この種のスキャンダルは政治家にとって命取りになりかねない。だが、独裁国家におけるインパクトは限定的ともみられる。

「パナマ文書」に記載のある世界各国の法人、個人の情報1100万件超のうち、実は、件数が最多なのは中国である。習近平国家主席をはじめ、最高指導部7人のうち3人の親族がタックスヘイブン(租税回避地)に登記された会社の株主に名を連ねていることが、すでに報じられた。

しかし、こうした情報は中国国内では報道されないばかりか、発覚直後、中国のインターネットでは「パナマ」という単語すら検索不可能となってしまった。

筆者は先週、来日していた中国メディア関係者と会う機会があったので、「パナマ文書」についても聞くと、彼は次のように語った。

「報道はないが、多くの国民が『パナマ文書』について知っている。外国と行き来する中国人は多いし、在外の親族や友人から情報を得る人もザラにいる。策を講じて、『壁』(=中国当局によるインターネットの検閲システム)を超え、外国のサイトを見る者も少なくない」

ただ、習氏の親族の件を知っても、中国人はさほど驚いたり怒ったりしないという。日本では「腐敗撲滅キャンペーン」を実施してきた習氏自身が、親族名義で外国に財産を隠していたとなると、国民の怒りが爆発するのではないかと報じられたが、実際はさにあらずと。なぜか? メディア関係者は続けた。

「中国では『汚職をしない政治家や官僚は、この世に1人もいない』という人間界の真理を、皆が知っているからだ。資産を外国に移すことも、程度の差こそあれ、多くの国民がやっている。あなた(筆者)が追及している、中国人が日本の不動産を買いあさっている件も同じことでしょ」

彼は一笑に付しつつ、一方で中国メディアが連日、国内のショッキングな事件報道に力を入れ、「パナマ文書」が大きな話題にならないように陽動作戦を展開していることも明かしてくれた。

中国共産党機関紙「人民日報」傘下の国際情報紙「環球時報」は「『パナマ文書』流出の最大の利得者は米国だ」という趣旨の論説を掲載した。そのまま中国政府の公式見解とはいえず、米国の陰謀というのは早計だとしても、確かに現段階での米国のダメージは意外なほど小さい。まったく的外れな見立てともいえない。「パナマ文書」をめぐる、米中の情報戦の佳境はまさにこれから、であろう。

 有本香(ありもと・かおり)


【私の論評】パナマ文書が暴く、図体の大きなアジアの凡庸な独裁国家に成り果てる中国(゚д゚)!

最近は、中国のインターネット関連の情報遮断システムである「金盾」は周知の事実となったので、あまり報道されませんが、ブログ冒頭の記事でも『壁』という言葉で報道されているように、今回ものパナマ文書に関しても「金盾」は中国国内の情報統制にかなり活躍しているようです。

金盾(きんじゅん、中国語: 金盾工程、拼音: jīndùn gōngchéng)とは、中華人民共和国本土(大陸地区)において実施されている情報化された検閲システムです。

全体主義の危険性を訴えたジョージ・オーウェルのSF小説『1984年』に登場する監視システム「テレスクリーン」になぞらえられたり、「赤いエシュロン」「サイバー万里の長城」「ジンドゥンプロジェクト」などの呼び名も存在します。

中国国内のインターネット利用者に対して、中国共産党にとって都合の悪い情報にアクセスできないようにフィルタリングする金盾のファイアウォール機能は、"Great Wall" (万里の長城)をもじってGreat Firewall(グレート・ファイアウォール)と呼ばれています。

グレート・ファイアウォールの概念図(想像図)
このシステムに拒まれて、中国では今回パナマ文書について、多くの人は知らないようです。このシステムについて、以下にそれに関する動画を掲載しておきます。保守言論人の西村幸祐氏による解説です。



この動画は、2008/04/19 にアップロードされたものです。「金盾」は2008年に完成されたとしています。このシステムは、人工知能も含むシステムのようです。そうして、もともとは中国だけではなく、全世界の情報を統制するためにつくられたようです。

この当時は、日本のインターネットに関しても中国側が検閲を入れているような内容になっていますが、現在はそのようなことはないようです。現在では、中国側の検閲が他国にまで及ばないようにされているのだと思います。実際現在だと、日本国内でチベットなどを検索するとかなりの数がでてきます。

いずれにしても、中国国内では、今でも厳重な検閲が入っています。実際に中国では「パナマ文書」関係の検索は一切できません。

しかし、今回の震源地となったICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)のサイトには様々な情報が掲載さています。そのリンクとサイトのホームページのパナマ文書関連のリンクのバナーの画像を以下に掲載します。
https://www.icij.org/

このサイト、少し前までは見ることができたのですが、アクセスが殺到しているためでしょうか、ここ何日かは見られないようです。おそらく、一部の人のみが見られるようにしているのだと思います。

特に中国関連の中身をもう一度見ようと思っていたのですが、残念なが見られなかったので、このサイトから引用した記事はないかと探していたところ、以下のような記事が見つかりました。
習近平大ピンチ!? 「パナマ文書」が明かした現代中国の深い“闇”習近平一族の資産移転も載っていた

詳細は、このサイト(現代ビジネス)をご覧いただくものとして、以下にICIJのサイトから引用した内容を以下に引用させていただきます。

まずは、習一族の資産移転に関して、次のように記されていました。
鄧家貴は、不動産開発で財を成し、1996年に斉橋橋と結婚して、「紅い貴族」となった。斉橋橋は、かつての革命の英雄でトップ・オフィシャルにいた習仲勲の娘だ。斉橋橋の弟が、中国国家主席で中国共産党トップの習近平である。ブルームバーグ・ニュースは2012年、鄧夫妻が何百万ドルもの不動産を保有していて、他の資産も保有しているという調査レポートを暴露した。 
「モサック・フォンセカ」の内部資料によれば、義理の弟が政界の出世街道を駆け上がっていった2004年に、鄧家貴は英国領ヴァージン諸島に、オフショア・カンパニーを設立した。その会社名は、シュープリーム・ビクトリー・エンタープライズで、鄧家貴が唯一の取締役で株主である。だがこの会社は2007年に、英国領ヴァージン諸島の登記から削除された。 
2009年9月、鄧は別の二つの英国領ヴァージン諸島の「転売用会社」の単独の取締役兼株主となった。会社名はそれぞれ、ベスト・エフェクト・エンタープライズと、ウェルス・ミング・インターナショナル・リミテッドである。「モサック・フォンセカ」は、鄧がそれらの会社の「判子」を得るのを手助けした。これら2社が、何のために利用されたのかは不明だ。 
時を経て、習近平は中国を統治する党中央政治局常務委員のトップ9入りした。習が2012年の共産党大会で総書記に、また2013年に国家主席に選ばれた時までに、この英国領ヴァージン諸島の2社は、休眠状態となった。
このサイトにも掲載してありましたが、この記述を読むだけでは、この習近平主席の姉夫婦が実際に行った行為が、分かったようで分かりません。

習近平のファミリービジネスはこのブログにも以前掲載したことがあります。これについては、以下にその記事のリンクを掲載しておきますので、その記事をご覧になってください。
人民解放軍に激震 習政権が軍部のカネの流れを徹底調査 聖域を破壊 ―【私の論評】習の戦いは、中国の金融が空洞化し体制崩壊の危機状況にあることを露呈した(゚д゚)!
今度は人民解放軍にメス。習氏のもくろみは吉と出るか。写真はブログ管理人挿入。以下同じ。
このブログでは、習近平のファミリービジネスの詳細を記すとともに、チャートも掲載しました。以下にそのチャートを掲載します。


この記事は、2015年5月26日のものですが、この記事にも、習主席のファミリーが海外のタックスヘイブン(租税回避地)に蓄財している一端が、一昨年のはじめに国際調査報道協会(ICIJ)のジェームズ・ボール記者と英紙ガーディアンの報道で明らかになっていたことを掲載しました。

今回のパナマ文書は、これらの情報の物的証拠ともいえるものです。これが公表されたということは、単にICIJや英紙ガーディアンのスッパ抜きどころではなく、大激震であるということです。確かに中国人の多くは、もうこのような事実自体は珍しいことでもないので、表面上では今更あまり驚き、怒ったりしないかもしれませんが、反習近平派は、大いに勢いづいていることでしょう。

なお、このブログ記事で私は以下のように結論づけました。
中国では、建国以来毎年2万件もの暴動が発生していたとされています。それが、2010年からは10万件になったとされています。中国の一般人民の憤怒のマグマは頂点に達しているということです。 
それでも、今までは幹部や、富裕層は少なくとも、巨万の富を蓄えさせてくれたということで、中国の現体制を支持してきたと思います。しかし、習近平の反腐敗キャンペーンにより、幹部や富裕層も現体制を支持しなくなることが考えられます。 
そうなると、様々な不満分子が乱立し、現体制を変えるか、潰そうという動きが本格化する可能性が高いです。そうなれば、現体制は崩壊します。その日は意外と近いと思います。 
習のこの戦いは、中国の金融が空洞化し現体制の崩壊も含む危機状況にあることを露呈したとみるべきです。
現体制の崩壊は、パナマ文書が公になってさらに加速したものと思います。ブログ冒頭の記事では、結論として、これを米中の情報戦の一環として位置づけていますが、私はその側面は否定しないものの、この情報は中国の内情をよく示すものでもあると思います。

震源地パナマの国旗柄のビキニを着用する女性

ちなみに「パナマ文書」には、習近平主席の他にも、中国共産党の新旧幹部たちの親族のケースを暴露している。ICIJのホームページから、その要旨を訳出したものも、このサイトに掲載されていたので、それも以下に掲載します。
【現役幹部】 
〈劉雲山〉
共産党トップ7の劉雲山(序列5位)の義理の娘である贾Liqingは、2009年に英国領ヴァージン諸島に登記されたウルトラ・タイム・インベストメントの取締役兼共同経営者だった。

張高麗・常務委員、筆頭副首相〉
共産党トップ7の張高麗(序列7位)の義理の息子である李Shing Putは、英国領ヴァージン諸島に登記された3つの会社の株主である。3社とは、ゼンノン・キャピタル・マネジメント、シノ・リライアンス・ネットワーク・コーポレーション、グローリー・トップ・インベストメントである。

【引退幹部】 
〈李鵬・元首相〉
李鵬は、1987年から1998年まで首相を務めた。李鵬元首相の娘である李小琳と彼女の夫は、コフィック・インベストメントという1994年に英国領ヴァージン諸島に編入された会社のオーナーである。この会社のファンドは、産業部品をヨーロッパから中国に輸入するのをサポートするためのものだと、李小琳の弁護士たちは述べている。その所有権はは長年、いわゆる「無記名株」(日本では1991年に廃止)という手法で保管されてきた。

〈贾慶林・元中国人民政治協商会議主席〉
2012年まで中国共産党序列4位だった贾慶林元常務委員の孫娘であるジャスミン・李紫丹は、スタンフォード大学に入学した2010年、ハーベスト・サン・トレイディングという名のオフショア・カンパニーのオーナーになった。以来、ジャスミン李は、20代のうちに、驚嘆すべき巨額のビジネスを行った。彼女の英国領ヴァージン諸島にある二つのペーパー・カンパニーは、北京に30万ドルの資本金の会社を創立するのに使われた。この二つのペーパー・カンパニーを使って、彼女は自分の名前を公表せずにビジネスを行うことができた。

〈曽慶紅・元国家副主席〉
2002年から2007年まで国家副主席だった曽慶紅の弟、曽慶輝は、チャイナ・カルチュラル・エクスチェンジの取締役を務めていた。この会社は当初ニウエに登記され、2006年になってサモアに移された。

【死去・失脚幹部】 
〈胡耀邦・元総書記〉
1982年から1987年まで中国共産党のトップを務めた故・胡耀邦元総書記の息子、胡徳華は、フォータレント・インターナショナル・ホールディングスの取締役であり、実質上のオーナーだった。この会社は2003年に、英国領ヴァージン諸島に登記された。胡徳華は、父親が総書記だった時代に使っていた中南海の公邸の住所で登記していた。

〈毛沢東・元主席〉
1949年の建国から1976年の死去まで中国共産党のリーダーだった毛沢東の義理の孫息子である陳東昇は、2011年、英国領ヴァージン諸島に、キーン・ベスト・インターナショナル・リミテッドを登記した。生命保険会社と美術品オークション会社のトップを務めている。陳は、キーン・ベストの唯一の取締役であり、株主である。

〈薄煕来・元中央政治局員、重慶市党委書記〉
失脚した薄煕来元中央政治局員の妻、谷開来は、英国領ヴァージン諸島にペーパー・カンパニーを所有し、その会社を経由して南フランスに豪華な別荘を購入していた。2011年に、愛人だった英国人ネイル・ヘイウッドに、このペーパー・カンパニーのことを暴露されそうになり、ヘイウッドを殺害。その2週間後に、ペーパー・カンパニーのオーナーから退いた。

以上の9人である。これからマネーロンダリングの額を始めとする具体的な情報が、どんどん出てくるに違いない。特に、現役の習近平(序列1位)、劉雲山(序列5位)、張高麗(序列7位)の動向に注目である。
この現代ビジネスのサイトには、「パナマ文書」に関する世界各国のニュースとして、英BBCによる中国と関連した興味深いレポートを掲載していましたので、それも以下に引用します。
多くの中国人は、社会的に不安定な中国から、自分の資産を移そうと、四苦八苦している。中国共産党の幹部さえ、自分の財産を海外に移している。 
今週明らかになったモサック・フォンセカ社から流出した「パナマ文書」は、その実態の一端を明らかにした。同社の最大の顧客が中国で、1万6000社にも上る中国系企業の資産を管理していたのだ。 
資産をこっそり移しているのは、政府幹部ばかりではない。多くの中国人富裕層が、香港を経由して、資産をこっそり海外に移していた。そして移した資産の多くを、不動産に変えていた。中国人は昨年、およそ350億ポンドもの海外不動産を購入した。 
中国人は、国内の法律により、年間3万5,000ポンドしか海外送金できない。だが、減速する中国経済の影響で自分の貯蓄が消えることを恐れる人や、当局から財産を隠したい人にとって、資産を密かに国外に持ち出すことは、必要なリスクなのだ。 
中国政府は資金の国外流出を、間違いなくとても不満に思っているが、これを完全に阻止するのは難しい。そのため、中国の最も裕福な人々は、今日も資金を国外に持ち出して使っている。これは彼らにとって自己保身行為と言えるが、それによって中国は、より危うくなっているのだ。
今年に入って、中国国内では、「異変」が起こっていました。習近平政権が「爆買い」を阻止する措置に着手し始めたようなのです。

中国の出入国管理法は、一般国民にパスポートを支給するようになった'90年代半ばに制定されました。それによると、一人5000米ドル以上の海外への持ち出しを禁じていますが、そんな20年も前の法律は、これまで有名無実化していました。それを今年の1月から、空港で厳格に検査するようになったのです。

海外での『爆買い』に関しても、帰国時の空港で厳格にチェックし、どんどん課税していくようです。つまり、いくら海外で免税品を買っても、中国に持ち込む際に高額の課税をされる可能性があるわけです。

これにより、中国人が海外旅行で買った腕時計の関税は、30%から60%へ、化粧品やアルコール類に関しては、50%から60%へと引き上げられました。「爆買い」を防止し、国内消費を高めようという措置です。

それでも「爆買い」が止まらなければ、この関税率を今後、もっと上げていく可能性があります。本来なら、中国製品の品質を向上させたり、偽物をなくしたりすれば、「爆買い」など自ずとなくなるはずなのに、全くもって本末転倒の措置です。

現在の中国政府のキャッチフレーズは、「中国の夢」である。でも、庶民のささやかな夢は、そうやってどんどん制限されていきます。一方で、「中国の夢」を実現した中国人は、ペーパー・カンパニーを作ったり、不動産投資などで、資産を海外に移転させるようになりました。

「パナマ文書」は、そのような現代中国が抱える深い闇を、図らずも世界に露呈させたのだった。

そうして、この闇がある限り、中国は中進国の罠(中所得国の罠)からは逃れられないでしょう。


現在中国の個人消費は、GDPの35%に過ぎません。これが日本を含めたたの先進国では60%くらいが普通です。米国に至っては70%です。

個人消費の低さを今のまま放置しておけば、中国は中進国の罠から逃れることはできません。しかし、今の中国では放置する以外に方法はありません。

ゾンビ企業の退治をしても、それだけではこの状況は変えられません。そのためには、今の中国のように、富めるものから富めなどという、トリクルダウンのようなことを期待しても、無理です。

そのためには、このブログで過去に何度か掲載してきたように、経済的な中間層を数多く輩出し、彼らが自由に社会・経済活動ができるようにする必要があります。

そのためには、民主化、政治と経済の分離、法治国家化は避けて通ることはできません。

他の先進国もこのような道を辿ってきました。日本もその例外ではなく、明治維新以降にそれを行ってきました。そのような素地があったからこそ、戦後の高度経済成長を達成できたのです。

現在でも、中国よりははるかに実体経済は強い国です。しかし、過去20年ほどは酷いデフレを放置してきたので、経済が低迷してきただけです。構造改革などせずとも、これから、追記金融緩和策を実施し、10%増税は見送り、積極財政に転ずれば、かなりの経済成長が期待できます。

しかし、中国は違います。民主化、政治と経済の分離、法治国家化という構造改革をしないかぎり、今後経済成長はできません。これは、相当困難というより、絶望的です。

そうなると、考えられる中国の将来は、「中国の夢」ではなく、いくつかの国に分裂して、そのうちの1つか2つの国が、中進国の罠から脱出するという将来と、分裂せずに、そのままの状態で、図体が大きいだけのアジアの凡庸な独裁国家になるという将来です。

「中国の夢」にはもうすでにかなりの綻びがあることが、パナマ文書で明らかになった

おそらく、中国の将来は、後のほうのアジアの凡庸な独裁国家になるということでしょう。なぜなら、中国は経済・社会は遅れる一方、人民を弾圧するための、人民解放軍、公安警察、城管などは、他の国などでは想像できないほど強力だし、情報操作・統制も格段に優れているからです。それは、これからさらにパナマ文書が解析されるうちに、より一層鮮明になることでしょう。

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2016年3月15日火曜日

中国で湧き上がる“反中トランプ”待望論 多くの人民が習体制崩壊を望んでいる ―【私の論評】トランプ大統領が実現したら、最も大きな影響を受けるのは米国でも中国でもなく日本だ(゚д゚)!

中国で湧き上がる“反中トランプ”待望論 多くの人民が習体制崩壊を望んでいる 

中国市民からも“ラブコール”を受けるトランプ氏
国会に相当する全国人民代表大会(全人代)中の中国で、あの“暴言王”への待望論が起きている。今年11月に予定されている米大統領選で、共和党の有力指名候補に躍り出た実業家、ドナルド・トランプ氏(69)を「大統領に」と望む声が高まっているというのだ。背景には、言論統制を強め、独裁体制を固める習近平政権への反発があるとみられる。大統領にトランプ氏がなれば中国への圧力が強まり習政権が崩壊するきっかけになるという思惑だ。

熾烈さを極めている米大統領選の候補者選び。とりわけ注目を集めているのが共和党の指名争いで台風の目となっているトランプ氏だ。

過激な言動を繰り返し、欧米メディアから「大統領としての資質に欠ける」などと批判を受けながらも各地で快進撃を続けている。

共和党では、党主流派が「反トランプ」の立場を鮮明にしており、対立候補の一本化を急いでいるが、当のトランプ氏は今月8日、逆風をものともせずに中西部ミシガン州と南部ミシシッピ州などで勝利。勢いを維持したまま、南部フロリダなど重要州の予備選が集中するヤマ場の15日に臨む。

この情勢を中国人民の、“ある層”は興味深く見つめている。

現地事情に詳しい中国人実業家は、「中国の一部市民の間で『トランプ待望論』が出ている。中国最大のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)『微信』や中国版ツイッター『微博』では、『トランプを米大統領に』と投稿するケースもあるようだ」と明かす。

トランプ氏と言えば1月、米テレビ局CNNの取材で、国際社会の非難を無視して核開発を繰り返す北朝鮮を糾弾した上で、「北朝鮮問題を解決しないならば、中国を潰してしまえ」と発言。「貿易関税を引き上げるか、貿易そのものを中止してしまえば、2分以内に中国は崩壊する」などとぶち上げて物議を醸した。

昨年8月にも中国の習国家主席が訪米する直前、トランプ氏は、オバマ大統領が「国賓」として厚遇することを批判し、「私ならば晩餐(ばんさん)会は開かず、ハンバーガーでも出す」と言い放つなど、「反中」ぶりは際立っている。

なぜ、そんな人物が中国で支持を得ているのか。

先の実業家は「それほど、習体制への反発が強いということだ。昨年から人権派弁護士や民主活動家を大量に拘束したり、ネットの規制を強化したりするなど言論弾圧を強めている。『微信』や『微博』でも反政府的な書き込みはすぐに削除され、自由にものを言えなくなっている」と指摘する。

「多くの中国人が現在の習体制に不満を抱えており、その崩壊を望んでいる。民主党の有力候補であるヒラリー(クリントン)前国務長官は、オバマ米大統領の外交路線を踏襲する見込みで中国に強硬な姿勢で臨むとは考えにくい。それに対して『中国を潰せ』とまで言い放つ『反中』のトランプ氏なら、『習政権と対峙(たいじ)して現状を打破してくれる』と期待を寄せているようだ」(実業家)

 毒をもって毒を制す-の心境か。

【私の論評】トランプ大統領が実現したら、最も大きな影響を受けるのは米国でも中国でもなく日本だ(゚д゚)!

中国においては、習近平は国内を掌握できおらず、未だ激烈な権力闘争にあるというのが実体です。習政権が続けている反腐敗運動は、党官僚の汚職腐敗体質をただすというのは名ばかりで、本来の目的は政敵を倒す権力闘争です。

なぜそのようなことをはっきり言えるかといえば、そもそも習近平自身が「一族が巨額資産を保有」と米紙に暴露されています。というより、中国では共産党幹部ともなれば、ぼぼ全員が汚職をしているのが当たり前だからです。そうして、その金額も、それこそ日本の官僚の汚職など、無垢な天使の戯れ言程度とでもいいたくなる程の天文学的数字であることがほとんどです。

習近平に関しては、他にもスキャンダルがあります。それは、習氏が推し進める「反腐敗運動」で、腐敗官僚たちを次々と血祭りに上げている「党中央規律検査委員会」。その書記を務める王岐山氏のものです。反腐敗運動を、政敵潰しと国民の人気集めに利用してきた習氏にとって、政権の屋台骨を支えるキーマンともいえる人物です。

その王氏に関する不穏な情報が出回っていました。

これは、郭文貴氏という中国人実業家が、亡命先の米国で受けた米国メディアでのインタビューが発端でした。このなかで郭氏が、王氏自身も過去に汚職に関与していた…とほのめかしたのです。事実なら、『反腐敗運動』の取り締まり側のトップが腐敗していたことになり、運動そのもの、ひいては習政権の正当性が問われることになります。

さらに、最近では『習近平とその愛人たち』というスキャンダル本を出版しようとしていた、書店主などを拘束しています。

そうして、習近平の権力闘争の相手は、2012年の党大会で習近平党指導部が成立するのを阻もうとした反対派、薄熙来(はく・きらい、前党中央政治局委員、服役中)、周永康(前党中央政治局常務委員、服役中)、徐才厚(前党中央軍事委員会副主席、公判前の3月に病死)と、胡錦濤政権で党中央弁公庁主任という権力中枢にいた令計画の4人、通称「新四人組」とされています。



この4人組にかかわらず、習近平の反腐敗運動の対象となる人々は、習近平も腐敗にまみれていることは先刻承知です。中国の権力闘争はすざまじいですから、検挙されればとんでもないことになり、財産を剥奪されたり、拘束されたり、場合によっは命も保証の限りではありません。

自分たちと同じように腐敗にまみれている習近平に、このようにされることなど、誰も潔しとしないでしょう。

だからこそ、習近平派以外の中枢の人々や、それに連なる人々は、ブログ冒頭の記事のように、習体制への反発を強めているのです。

そうして、上の記事を理解するためには、中国は他国と比較すると驚くほど、内向きの国であることを理解しなければなりません。

多くの中国人にとって、世界は中国が中心であって、対外関係もほとんどが中国国内の都合により動いていることが多いのです。

尖閣問題が習近平が主席になってから、大きくなったもの、国内事情が大きく影響しています。これも、中国内部の権力抗争の一環であり、より先鋭的な示威行動を尖閣で行わせることにより、反習近平派に力の誇示をすることも大きな目的の一つでした。

南シナ海での暴虐ぶりが、ひどくなったのも、この方面で守勢に回れば、反習近平派につけいる隙を与えないようにするという目的もありました。

中国は、このように国内の権力闘争と、対外政策が表裏一体になっている部分があります。

だからこそ、特に反習近平派は、トランプが大統領になれば、習政権と対峙(たいじ)して現状を打破してくれるかもしれないと期待を寄せるのです。こんなことは、他国ではありえない中国に特有のことだと思います。

さて、この期待は実際にトランプが大統領になれば、実現するのでしょうか。

この話をする前に、まず、皆さんは、権力分立とか、三権分立という言葉をご存知でしょうか。

権力分立(けんりょくぶんりつ、けんりょくぶんりゅう、英:separation of powers)とは、権力が単一の機関に集中することによる権利の濫用を抑止し、権力の区別・分離と各権力相互間の抑制・均衡を図ることで、国民の権利・自由の確保を保障しようとするシステムです。対義語は権力集中(権力集中制)です。

権力分立の典型例としては立法・行政・司法の三権分立(さんけんぶんりつ、さんけんぶんりゅう)が挙げられますが、地方自治制など他の政治制度にも権力分立原理はみられます。権力分立は国家全体についてみると、まず、中央と地方との権限分配がなされ(垂直的分立)、ついで中央・地方でそれぞれ水平的に分配されることになり(水平的分立)、中央では立法・行政・司法の三権に水平的に分配されていることになるとされています。

ただし、三権分立とは、モンテスキューというフランスの哲学者が、ジョージ3世(在位1760~1820年)時代のイギリスを「おお、三権分立だ、すばらしい!」と勘違いして「発明」してしまった概念です。

本人は大発見したと思い込んでいたようですが、これは、モンテスキューの頭の中で作り上げられた妄想に過ぎませんでした。

現在、三権分立をまともに実行してしまっている国は、世界の文明国の中でアメリカ合衆国ただ1国です。いつまでたっても他の文明国がアメリカの真似をしないのは、三権分立が欠陥制度だからです。



そして、アメリカ大統領はこの完全な三権分立のせいもあって、「世界“最弱”の権力者」と言われています。そうして、アメリカ大統領が最弱であることは世界の比較憲法学の常識です。

日本で「アメリカ大統領のような強いリーダーを作るために首相公選制をやろう」などと言っている人がいますが、単なる思い違いです。

このような完全三権分立制をとっているアメリカで、たとえトランプ氏が大統領になったとしても、何もかも思い通りに、できるかといえば、そんなことはありません。

ちなみに、アメリカでは、完全な三権分立となっていますが、そうはいっても、平時においては司法が最も強いといわれています。

ただし、戦時になると違います、戦争を遂行するために、いきなり大統領に権力が集中します。戦時になると、アメリカ大統領は強いリーダーシップを発揮することができるようになるのです。

しかし、戦争するにしても、大統領一人の判断ではできません。あくまで、議会の承認が必要です。

となれば、トランプ氏が大統領になったにしても、余程のことがない限り、何もかもトランプ大統領の思い通りということにはなることはありません。

さらに、アメリカは二大政党の政治体制です。この二大政党制を長らく維持してきた国ですから、それなりの慣習があります。それは政治の継続性を保証するため、政権交代しても、6割から7割は、それ以前の政権のやりかたを踏襲し、それ以外の4割から3割を政権交代をした党のカラーを出します。


今回共和党のトランプ氏が大統領になったからといって、何もかも変えるということはできず、せいぜい3割から4割を共和党のカラーを出すことになるでしょう。さらに、その中で、トランプ氏が自分のカラーを出せるのも、数割に過ぎないでしょう。

そうなると、トランプ氏が仮に大統領になったとしても、あれもこれも実施などということはできず、本当に重点的なものをいくつかできるかできないかという程度だと思います。

ただし、戦争になれば別です。中国が南シナ海などでの暴虐を続けるのを阻止するため、議会が中国との戦争を決議すれば、トランプ氏はかなりのことができます。

こう考えると、実際にトランプ氏が大統領になったとしたら、最も大きく影響を受けるのは、アメリカや中国でもなく、日本かもしれません。

そうして、日本が最も影響を受けるのは、日米安保条約です。

トランプ氏は、日本に対しては、集団的自衛権の片務性に関して、強く非難しています。要するに、日本が攻撃を受けた場合、米国は助っ人するのですが、米国が攻撃を受けても、日本は助っ人をしないということに対してトランプ氏は非難しています。

しかし、これはもともと米国が日本が二度と戦争をしないようにするため、日本を軍事的にも弱体化する変わりに、米国が日本の防衛を担うという形で決まったものであり、トランプ氏のように一方的に日本を指弾するのは、適当ではないと思います。

ただし、このブログでも以前掲載したように、何年も前から、「日本は憲法改正せよ」が米国議会では、多数派になっています。

そうなると、これも以前のブログに掲載したことなのですが、やはりトランプ氏はこれは議会の承認を得たのも同じですから、非常にやりやすいということで、これを最優先事項として取り組み、早期に実現するかもしれません。

そうして、日本に憲法改正を迫る理由は、原則として日本は自国の防衛は、自国で行うことです。そうなると、米軍は全部ではないにしても、かなり大きな部分が撤退することになると思います。

ただし、新たな日米安全保障条約の枠組みが設定され、フイリピンでは米軍が撤退した途端に、中国の南シナ海への進出が加速されたという苦い経験もありますから、すぐに米軍が日本から撤退ということではなく、何年かの猶予期間を置いて実施されることになるかもしれません。

私自身は、憲法を変えなくても、憲法解釈を変えれば、日本は自衛のための武力を持ち、自衛のための戦争はできると思っています。日本の主流派の憲法学者の解釈だけが唯一無二で、絶対に正しいなどということはありません。実際、世界には日本以外にも平和憲法がありますが、それらの国々では軍隊があり、無論自衛戦争はできます。

日本は憲法改正のハードルは高い

しかし、米軍が一部でも撤退ということにでもなれば、中国の脅威はさら増します。今のままでは絶対に駄目です。憲法解釈を変えるか、憲法を改正して、日本も防衛戦争ができる普通の国に転換しなければならなくなります。

国会では、最近でも日々平時のことばかり論議されていますが、トランプ氏が大統領になったときに備えて、こうした論議もある程進めておくべきものと思います。

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2015年11月25日水曜日

中国、今後5年間に1兆ドル超の対外投資へ=李首相―【私の論評】国際監視団を送り込め!経済制裁を発動せよ!中国は、人民を犠牲にさえすれば何でもできることを忘れるな(゚д゚)!

中国、今後5年間に1兆ドル超の対外投資へ=李首相

李克強
中国の李克強首相は、今後5年間に1兆ドルを超す対外投資を行い、コモディティ(商品)を10兆ドル以上輸入するとの見込みを示した。政府系メディアのチャイナ・デーリーが伝えた。

それによると、李首相は24日、蘇州で開催されている中国・中東欧諸国首脳会議で、中国製の機器・製品を使用することを条件に、中東欧諸国のインフラ(社会資本)整備向けの資金調達条件をより柔軟にする方向で協力する可能性も示した。

この会議で首相は、中国経済が、今年の成長目標7%前後を達成する軌道上にあるとし、経済は妥当な中・長期成長を維持するため調整過程にあるとの認識を示した。

【私の論評】国際監視団を送り込め!経済制裁を発動せよ!中国は、人民を犠牲にさえすれば何でもできることを忘れるな(゚д゚)!

上の記事、中国の経済は完璧にバブルが崩壊して、このブログでも掲載したように、金融は空洞化し、さらにマネーが逃避を続ける中国が何を言っているのかという感じがしました。

ましてや、このデタラメ発言がかつて、「中国の統計はデタラメ」と語った李克強のものというのが何とも皮肉なものです。

ただし、デタラメについては少し解説しなければならないと思います。李克強はブログ冒頭の記事で、デタラメを言っていることと思います。ひよっとしたら、10兆ドル以上の輸入は本当にするかもしれません。

しかし、本当はそんなことはできない状況にあるのが、金融が空洞化した中国です。しかし最近では、中国の経済についての神話もメッキがはげて、多くの人が中国経済実体本来の姿を知るようになりました。

これはすでに2013年くらいからそうだったのですが、ごく最近でも中国の経済がまともにない状況にあることが、伝わってきています。その典型的なものを以下に掲載します。
「中国売り」「韓国売り」が止まらない 欧米大手金融が撤退の動きを急加速
人民元の国際化を目論む中国だが、欧米金融機関は
撤退の動きをみせる。韓国への視線も厳しい
 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、欧米の大手金融機関が、中国と韓国から撤退や規模縮小の動きを加速させていることを掲載しています。その内容を以下に掲載します。
かつての勢いの良い中国の経済成長が止まり、期待外れとなった金融機関が投資を引き揚げているのです。さらに米国の年内利上げ観測が広がったことで、新興国から投資マネーの流出も止まらず、海外の機関投資家も一斉に「中国売り」「韓国売り」に走っています。 
中韓ともに経済の低迷から抜け出す気配はまだ見えないなか、米国の利上げが、欧米の金融機関や投資家にとっての中韓との「縁の切れ目」となるかもしれません。
さらにもう一つ、今度は中国国内のニュースがあります。
【真・人民日報】すさまじく上下動する中国株 背景に「妖怪株」の存在 富坂聰氏
一時の大暴落から落ち着きを取り戻した中国・
上海株式市場。不安定な値動きの背景に何があるのか 
これも詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では一時の大暴落から落ち着きを取り戻したように見える中国・上海株式市場ですが、その不安定な値動きの背景に何があるのかを解説しています。その部分のみ以下に掲載させていただきます。
 中国市場における株価の動きはめまぐるしい。 
 例えば暴落前の急騰局面では、少子化の影響で子供の教育に金を惜しまない社会を反映して学習塾の「全通教育」の株が大化けするなどの動きが見られた。回復基調になってからも、中国が一人っ子政策を撤廃したというニュースを受けて乳製品の大手国有企業「中国蒙牛乳業」の株価が急上昇するなどといった連動をするのだが、一方では理由もなくすさまじい株価上昇によって市場全体を引き上げる役割を果たす「妖股(妖怪株)」と呼ばれる銘柄もある。 
 特殊鋼メーカー大手の「撫順特鋼」などがその典型とされるのだが、こうした「妖股」の裏側では、常にインサイダーの疑いが絶えないのだ。事実、今回の株価乱高下の騒動後には、多くの関係者が処分をされている。 
 日本のバブル前とは違い、中国株式市場は中国経済の好調とは裏腹に、ずっと株価の低迷が続いていた。 
 それが、外国からの投資に門戸を開いたり信用取引の枠を拡大するなどの改革のなかで、突如として急騰し、急落したということなのだ。 
 不動産市場の低迷と炭鉱業の落ち込みを受けて地下マネーが流入したという要素もあるだろう。 
 背景にあるのは、中国がいよいよ金融の世界にも“外の風”を入れなければならなくなっているということだ。 
 過保護にしてきた中国の金融を外にさらすとなれば混乱は不可避だ。それは今後もしばらく変わらない傾向だろう。
先の記事では、国外では中国売が止まらないというのに、この記事では中国国内では株価が落ち着きを取り戻し、さらにすさまじく上昇する「妖怪株」の存在が指摘されています。

このような馬鹿なこと、私達のようにある程度まともな資本主義経済の中で生活しているものにはなかなか理解できません。

しかし、こんなことは簡単に理解できます。なぜなら、このブログに過去に何度も掲載したように、中国は、民主化、政治と経済の分離、法治国家化が先進国などと比較すればほとんどなされていないからです。

特に、経済面では、政治と経済の分離がなされていないということが大きいです。中国の今の体制は、無論共産主義ではありませんが、国家資本主義とも呼ぶべきとんでもない体制にあります。

政治と経済が不可分に結びついているとんでもない状況です。だから、政府が経済のあらゆる場面にしゃしゃり出て、先進国では考えられないとんでもない酷いことを平気で行います。

たとえば、上の記事で指摘されている妖股ですが、妖股でも政府以外の、個人や企業がこれを実施すれば、上の記事にもあるように、多数の関係者が処分されますが、政府主導で行う妖股は犯罪ともみなされず、政府の好き勝手に実行できます。

妖股を揶揄する中国の漫画
政府が株価を制御するのは、当然のこととして行われています。政府が株価を下げてはならないと考える銘柄については、政府が介入して、酷い場合には、勝手にいくつかの銘柄の取引を禁止にしたりします。実際上海株式市場が低迷したときに、そのような措置を政府がとりました。

取引を停止してしまえば、それ以上株価が下がることもないわけで、取引停止の間に、いろいろ政府が手を打てば、それらの株がまた値上がりするということになります。とは、いいながら、株価というものは、いくら中国の株式市場がデタラメだとはいいながら中国にも多くの投資家が存在しますし、海外の投資家も存在しますから、実体経済を反映する部分もあり、これに関してはさすがに政府も、どこまでもコントロールするというわけにはいきません。

だから、株価が他国の株式市場と比較すると、比較の対象とならないくらいの、乱高下するというわけです。

多くの人は、さすがにこんなことは、長く続かないと思うことでしょう。しかし、それは中国以外の他国を標準に考えるからであって、中国ではしばらくの間は無理やり続けることができます。

なぜなら、中国は国家資本主義の国であり、さらに共産党一党独裁の国でもあるからです。極端なことをいえば、滅茶苦茶な経済政策を実行して、人民が多数死亡したとしても、そんなことはおかまいなしに中国政府は存続できるからです。

ですから、無茶苦茶なことをやって、最初は自治区の人口が半分になっても、お構いなしに無茶苦茶な経済政策を存続するものと思います。自治区の人口が半分になっても、まだ経済の低迷が収まらない場合は、こんどは中国の多くの省の人口が多少減ってもやりぬくことでしょう。

そうして、中国の国家統計はもともとデタラメですから、滅茶苦茶な経済運営をしても、あたかもまともに運営しているように、表には公表することでしょう。しかし、これをたとえると、真夜中にサイドミラーもついていないような車で、メーター類はほとんどあてにならず、あちこち故障だらけでも、それを確認するすべを持たないドライバーが数百キロで走っているようなものです。これはいずれ大惨事につながります。これに似たようなことは以前にもありました。

それは、大躍進です。大躍進政策(だいやくしんせいさく、繁体字:大躍進、簡体字:大跃进、拼音: dàyuèjìn、英: Great Leap Forward)は、1958年から1961年までの間、中華人民共和国が施行した農業・工業の大増産政策のことです。

毛沢東は数年間で経済的にアメリカ合衆国・イギリスを追い越すことを夢見て実施しました。しかし結果は、中国経済の大混乱と、推計2,000万人から5,000万人の餓死者を出す大失敗に終わり、毛沢東は生涯でただ一度の自己批判を行って、国家主席を辞任しました。なお、大躍進でこれほどの被害者が出たことが公にされ海外にも知れ渡るようになったのは随分あとからのことです。

大躍進政策で苦しんだ中国人民

その後は中国共産党中央委員会主席毛沢東に代わって劉少奇・鄧小平などが修正主義的路線による経済再建を目指しますが、権力奪還を企図する毛沢東の動きがこの後の文化大革命を引き起こすことになりました。ご存知のように、文化大革命でも多数の死者を出しました。

ブログ冒頭の記事など見ていると、中国は金融が空洞化しているにもかかわらず、1兆ドルを超す対外投資を行うことを企図しているようですが、この無謀ぶりは、本当に毛沢東の大躍進を想起させます。今度は、農業政策ではなく無茶苦茶な経済対策を行い、人民を途端の苦しみに苛ませることになります。

それでも、大躍進のように、中国政府はさもうまくいっているように装うことでしょう。その兆候はすでにみられます。他国の中国の経済の専門家が口を揃えて、中国の6.5%成長は全くデタラメで、現実にはマイナス成長ということも考えられるとしているにもかかわらず、中国は億面もなく、6.5%成長を掲げています。

こんな馬鹿なことは絶対に繰り返させるべきではありません。中国が本格的に無茶苦茶なことをやりはじめる前に、国際社会はこれを防ぐべきです。まずは、これを防ぐために、国際監視団を送り込むべきでしょう。

これを受け入れないというのなら、経済制裁を課するべきです。

ソ連は崩壊する最後の最後まで、まともに情報を公開しませんでした。ソ連崩壊後にロシアが公開したソ連の文書などによって、末期の経済状況はとんでもないことになっていたことがわかります。中国の場合も同じで、もうすでに経済・社会はとんでもない状況になっていますが、中国政府はそれを隠蔽し続けています。

こうした中国が崩壊するときには、おそらくソ連以上にあっという間に坂道を転げ落ちるように、崩壊することでしょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年3月9日月曜日

王毅外相がまたも日本に「反省が足りない」などと強硬発言―【私の論評】王毅外相失脚間近か? いや、これが中国幹部の日常だ! 自己保身のためには、自国人民や他国のことなどはなから眼中になし(゚д゚)!

王毅外相がまたも日本に「反省が足りない」などと強硬発言

王毅は降格か左遷のおそれあり、反日強硬派のポーズは党内の生き残りを賭けて


王毅外相 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

2015年3月8日、全人代最終日に記者会見に臨んだ王毅外相は、日本に対して「日本は70年前に戦争に負けた。胸に手を当てて誠実に反省しているのか」などと、強硬な姿勢を崩さなかった。
これはNHK北京総局の記者(中国人)の質問「軍事パレードに日本の首相も招待をするのか」に答えたおり、「誠意ある国はどこでも招待する」としたもの。

しかし多くの問題がつきまとう。

第一に王毅外相の発言が中国国内の政治において、どれほどの重みを持つのか。王は党内序列が低く、先輩格の楊潔チ前外相(現在国務委員)にはるかに及ばず、しかも次の党大会で国務委員になれないだろうと言われる。つまり彼が何を言おうと報道する価値は低いのである。

王発言は党内上位に向けての胡麻すり発言でしかないからだ。

第二に最近、王毅の周囲に起きている血みどろの政争である。

失脚直前の令計画が党内理論誌『求是』に論文を書いて、16カ所も「習近平への忠誠が重要だ」などと胡麻をすっていたように、日本通の王毅は、それゆえにこそ党内の空気を読んで強い反日を示す政治的理由がある。

馬継生の逮捕を伝える中国のサイト

先週も或る北京の事情通と話し込んだ折、王毅の微妙な立ち位置に関してのインサイダー情報を得た。王が日本駐在大使のおり、右腕として仕え、日本のマスコミの中国報道をウォッチしていた馬継生が夫人とともに『重大な規律違反』として拘束された。馬は日本勤務のあと外交部報道副部長からアイスランド大使に転任していたが、スパイ容疑を問われたという。

湯本淵

また王毅が日本大使赴任中に公使参事官だった湯本淵も、14年秋に失脚したほか、中国外交部では数人がスパイ容疑として姿を消している。習近平は王毅を嫌っているという情報も飛び交っている。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)3月9日(月曜日)弐
   通巻第4483号 

【私の論評】王毅外相失脚間近? これが中国幹部の日常だ! 自己保身のためには、自国人民や他国のことなどはなから眼中になし(゚д゚)!

本日は、王毅をめぐるツイートが多いです。代表的なものをあげてみましょう。

王毅は、さらに日本メデイアに向けて以下のような矛盾した発言をしています。
中国外相「仲むつまじくあるべき」 日中関係改善に言及 
朝日新聞デジタル 2014年3月9日01時35分 
 中国の王毅外相が8日、北京で内外メディア向けに記者会見した。中国の原則的な立場を繰り返す一方で「中日は隣国であり、本来は仲むつまじくあるべきだ」と述べ、関係改善が必要との認識を示した。 
 王氏が昨年3月に外相に就任して以後、公式な記者会見の場で日中関係について考えを述べたのは初めて。中国の強い立場を示しつつも、抑制的な言葉の中に局面打開に向けた思いをにじませた。 
 安倍晋三首相らの靖国神社参拝や歴史認識について、「最近の日本の指導者の一連の言動が中日友好の基礎を壊した」と改めて批判。その一方で、関係悪化は「両国民の利益にならない」とも指摘した。 
 安倍首相が1月、日中関係を第1次大戦前の英独関係になぞらえた問題を念頭に、2014年は(第1次大戦が始まった)1914年ではないし、(日清戦争が始まった)1894年でもない」と強調。当時とは時代背景も国際環境も異なるとの見解示した。

王氏は2004~07年に駐日大使を務めた中国政府切っての知日派。昨年3月の相就任時には、日本で日中関係改善への役割に期待を寄せる声が上がった。

日中関係筋によると、12年末、北京に着任した木寺昌人・駐中国大使が最初に面会を申し込んだ中国要人も王氏だった。しかし、王氏は応じず、面会が実現したのは昨年末。安倍首相の靖国参拝への抗議の際だった。関係筋によると、木寺氏を呼びつけた王氏は「こんなことで、初めて面会するなんて残念です」と漏らしたという。

中国で対日感情が悪化する中、「知日派」の看板が王氏にとっては足かせになり、言動も慎重にならざるを得ない。日中外交筋も「王氏に頼ることを控えている」と話す。
中国外相「歴史と領土、妥協の余地なし」 日中関係で 
朝日新聞 デジタル 2014年3月8日13時13分

中国の王毅外相が8日、悪化している日中関係について、「歴史と領土の問題では妥協の余地はない」と主張した。「過去をまじめに清算し、約束を翻すようなことをやめれば、行き詰まりを脱することができる」とも述べ、日本側に関係改善へ向けた対応を求めた。

全国人民代表大会(全人代)にあたって記者会見した。王氏は「中日は隣国で、本来は仲むつまじくあるべきだ。現在の局面は我々も見たくない。両国人民の利益にもならない」とする一方、「このところの日本の指導者の一連の言動が、中日関係の基礎を壊した」と批判した。(北京)
以上のツイートや、新聞報道などみていると、ブログ冒頭の宮崎氏のメルマガ記事の王毅の降格か左遷のおそれがあるのは確かなようです。

しかし、別な角度からみれば、これは中国共産党中央政府の幹部の日常なのです。日々いつ降格、左遷されたり、場合によっては失脚させられたり、それどころか、命を奪われる危険があります。

だからいつも、上や派閥の動きに敏感で、人民や他国のことなど眼中になく、自分の都合で動いたり、発言するのが当たり前になっているのです。そうして、自己保身のために、対日強硬論をはいてみたりと、日々大忙しです。

今回の王毅の行動や発言がクローズアップされたのは、王毅の失脚が近いからだけかもしれません。根底には、幹部の自己保身にあけくる日常という現実があるのです。

そうして、これは何も中国共産党中央政府だけではなく、地方政府内部でも同じことですし、さらに地方政府の中国共産党中央政府に対する保身という事実もあります。

中国の経済統計が信用できないということが言われていますが、それは、地方政府から中央政府に対する統計数値の報告がそもそも、出鱈目であるからです。地方政府の幹部は、自己保身のため中央政府に対して、GDPの数字など、水増しして報告するからです。

そうして、その結果として、石平氏が語るように、中国中央政府の幹部は、あたかも現役の泥棒が、普通の人に対し「盗みはするな」と諭したかのような発言をするのです。そうして、中華人民共和国は、まさに「厚顔無恥」の代名詞ともなっているわけです。

そうして、厚顔無恥な中国は、沖縄にも様々な情報戦をしかけています。その結果として以下動画のようなことが起こってしまうわけです。


この動画について、石平氏は以下のようなツイートをしています。
沖縄でこのような情報戦を仕掛けることにより、中国の狡猾な官僚どもは、自己保身をはかっているわけです。

自己保身をはかるため、中国国内だけで様々な行動を繰り返したり、発言することは一向に構わないです。

しかし、日本で、上記の動画のような行動を誘発させたり、尖閣諸島周辺で示威行動をしてみたり、南シナ海の人工島を弁護してみたりなど、他国まで巻き込んで実行するなど、これは到底ゆるされるものではありません。

このような「厚顔無恥」に対処するためにも、日本でも「スパイ防止法」を制定して、中華官僚の保身のための、日本国内における中国による工作活動を停止させるべきです。このようなことは、はやめに芽を摘んでおかないと、中華官僚の自己保身の延長線上で尖閣、沖縄などへの侵略ということにもなりかねません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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