中国市民からも“ラブコール”を受けるトランプ氏 |
国会に相当する全国人民代表大会(全人代)中の中国で、あの“暴言王”への待望論が起きている。今年11月に予定されている米大統領選で、共和党の有力指名候補に躍り出た実業家、ドナルド・トランプ氏(69)を「大統領に」と望む声が高まっているというのだ。背景には、言論統制を強め、独裁体制を固める習近平政権への反発があるとみられる。大統領にトランプ氏がなれば中国への圧力が強まり習政権が崩壊するきっかけになるという思惑だ。
熾烈さを極めている米大統領選の候補者選び。とりわけ注目を集めているのが共和党の指名争いで台風の目となっているトランプ氏だ。
過激な言動を繰り返し、欧米メディアから「大統領としての資質に欠ける」などと批判を受けながらも各地で快進撃を続けている。
共和党では、党主流派が「反トランプ」の立場を鮮明にしており、対立候補の一本化を急いでいるが、当のトランプ氏は今月8日、逆風をものともせずに中西部ミシガン州と南部ミシシッピ州などで勝利。勢いを維持したまま、南部フロリダなど重要州の予備選が集中するヤマ場の15日に臨む。
この情勢を中国人民の、“ある層”は興味深く見つめている。
現地事情に詳しい中国人実業家は、「中国の一部市民の間で『トランプ待望論』が出ている。中国最大のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)『微信』や中国版ツイッター『微博』では、『トランプを米大統領に』と投稿するケースもあるようだ」と明かす。
トランプ氏と言えば1月、米テレビ局CNNの取材で、国際社会の非難を無視して核開発を繰り返す北朝鮮を糾弾した上で、「北朝鮮問題を解決しないならば、中国を潰してしまえ」と発言。「貿易関税を引き上げるか、貿易そのものを中止してしまえば、2分以内に中国は崩壊する」などとぶち上げて物議を醸した。
昨年8月にも中国の習国家主席が訪米する直前、トランプ氏は、オバマ大統領が「国賓」として厚遇することを批判し、「私ならば晩餐(ばんさん)会は開かず、ハンバーガーでも出す」と言い放つなど、「反中」ぶりは際立っている。
なぜ、そんな人物が中国で支持を得ているのか。
先の実業家は「それほど、習体制への反発が強いということだ。昨年から人権派弁護士や民主活動家を大量に拘束したり、ネットの規制を強化したりするなど言論弾圧を強めている。『微信』や『微博』でも反政府的な書き込みはすぐに削除され、自由にものを言えなくなっている」と指摘する。
「多くの中国人が現在の習体制に不満を抱えており、その崩壊を望んでいる。民主党の有力候補であるヒラリー(クリントン)前国務長官は、オバマ米大統領の外交路線を踏襲する見込みで中国に強硬な姿勢で臨むとは考えにくい。それに対して『中国を潰せ』とまで言い放つ『反中』のトランプ氏なら、『習政権と対峙(たいじ)して現状を打破してくれる』と期待を寄せているようだ」(実業家)
熾烈さを極めている米大統領選の候補者選び。とりわけ注目を集めているのが共和党の指名争いで台風の目となっているトランプ氏だ。
過激な言動を繰り返し、欧米メディアから「大統領としての資質に欠ける」などと批判を受けながらも各地で快進撃を続けている。
共和党では、党主流派が「反トランプ」の立場を鮮明にしており、対立候補の一本化を急いでいるが、当のトランプ氏は今月8日、逆風をものともせずに中西部ミシガン州と南部ミシシッピ州などで勝利。勢いを維持したまま、南部フロリダなど重要州の予備選が集中するヤマ場の15日に臨む。
この情勢を中国人民の、“ある層”は興味深く見つめている。
現地事情に詳しい中国人実業家は、「中国の一部市民の間で『トランプ待望論』が出ている。中国最大のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)『微信』や中国版ツイッター『微博』では、『トランプを米大統領に』と投稿するケースもあるようだ」と明かす。
昨年8月にも中国の習国家主席が訪米する直前、トランプ氏は、オバマ大統領が「国賓」として厚遇することを批判し、「私ならば晩餐(ばんさん)会は開かず、ハンバーガーでも出す」と言い放つなど、「反中」ぶりは際立っている。
なぜ、そんな人物が中国で支持を得ているのか。
先の実業家は「それほど、習体制への反発が強いということだ。昨年から人権派弁護士や民主活動家を大量に拘束したり、ネットの規制を強化したりするなど言論弾圧を強めている。『微信』や『微博』でも反政府的な書き込みはすぐに削除され、自由にものを言えなくなっている」と指摘する。
「多くの中国人が現在の習体制に不満を抱えており、その崩壊を望んでいる。民主党の有力候補であるヒラリー(クリントン)前国務長官は、オバマ米大統領の外交路線を踏襲する見込みで中国に強硬な姿勢で臨むとは考えにくい。それに対して『中国を潰せ』とまで言い放つ『反中』のトランプ氏なら、『習政権と対峙(たいじ)して現状を打破してくれる』と期待を寄せているようだ」(実業家)
毒をもって毒を制す-の心境か。
【私の論評】トランプ大統領が実現したら、最も大きな影響を受けるのは米国でも中国でもなく日本だ(゚д゚)!
中国においては、習近平は国内を掌握できおらず、未だ激烈な権力闘争にあるというのが実体です。習政権が続けている反腐敗運動は、党官僚の汚職腐敗体質をただすというのは名ばかりで、本来の目的は政敵を倒す権力闘争です。
その王氏に関する不穏な情報が出回っていました。
これは、郭文貴氏という中国人実業家が、亡命先の米国で受けた米国メディアでのインタビューが発端でした。このなかで郭氏が、王氏自身も過去に汚職に関与していた…とほのめかしたのです。事実なら、『反腐敗運動』の取り締まり側のトップが腐敗していたことになり、運動そのもの、ひいては習政権の正当性が問われることになります。
さらに、最近では『習近平とその愛人たち』というスキャンダル本を出版しようとしていた、書店主などを拘束しています。
そうして、習近平の権力闘争の相手は、2012年の党大会で習近平党指導部が成立するのを阻もうとした反対派、薄熙来(はく・きらい、前党中央政治局委員、服役中)、周永康(前党中央政治局常務委員、服役中)、徐才厚(前党中央軍事委員会副主席、公判前の3月に病死)と、胡錦濤政権で党中央弁公庁主任という権力中枢にいた令計画の4人、通称「新四人組」とされています。
この4人組にかかわらず、習近平の反腐敗運動の対象となる人々は、習近平も腐敗にまみれていることは先刻承知です。中国の権力闘争はすざまじいですから、検挙されればとんでもないことになり、財産を剥奪されたり、拘束されたり、場合によっは命も保証の限りではありません。
自分たちと同じように腐敗にまみれている習近平に、このようにされることなど、誰も潔しとしないでしょう。
だからこそ、習近平派以外の中枢の人々や、それに連なる人々は、ブログ冒頭の記事のように、習体制への反発を強めているのです。
そうして、上の記事を理解するためには、中国は他国と比較すると驚くほど、内向きの国であることを理解しなければなりません。
多くの中国人にとって、世界は中国が中心であって、対外関係もほとんどが中国国内の都合により動いていることが多いのです。
尖閣問題が習近平が主席になってから、大きくなったもの、国内事情が大きく影響しています。これも、中国内部の権力抗争の一環であり、より先鋭的な示威行動を尖閣で行わせることにより、反習近平派に力の誇示をすることも大きな目的の一つでした。
南シナ海での暴虐ぶりが、ひどくなったのも、この方面で守勢に回れば、反習近平派につけいる隙を与えないようにするという目的もありました。
中国は、このように国内の権力闘争と、対外政策が表裏一体になっている部分があります。
だからこそ、特に反習近平派は、トランプが大統領になれば、習政権と対峙(たいじ)して現状を打破してくれるかもしれないと期待を寄せるのです。こんなことは、他国ではありえない中国に特有のことだと思います。
さて、この期待は実際にトランプが大統領になれば、実現するのでしょうか。
この話をする前に、まず、皆さんは、権力分立とか、三権分立という言葉をご存知でしょうか。
権力分立の典型例としては立法・行政・司法の三権分立(さんけんぶんりつ、さんけんぶんりゅう)が挙げられますが、地方自治制など他の政治制度にも権力分立原理はみられます。権力分立は国家全体についてみると、まず、中央と地方との権限分配がなされ(垂直的分立)、ついで中央・地方でそれぞれ水平的に分配されることになり(水平的分立)、中央では立法・行政・司法の三権に水平的に分配されていることになるとされています。
ただし、三権分立とは、モンテスキューというフランスの哲学者が、ジョージ3世(在位1760~1820年)時代のイギリスを「おお、三権分立だ、すばらしい!」と勘違いして「発明」してしまった概念です。
本人は大発見したと思い込んでいたようですが、これは、モンテスキューの頭の中で作り上げられた妄想に過ぎませんでした。
現在、三権分立をまともに実行してしまっている国は、世界の文明国の中でアメリカ合衆国ただ1国です。いつまでたっても他の文明国がアメリカの真似をしないのは、三権分立が欠陥制度だからです。
そして、アメリカ大統領はこの完全な三権分立のせいもあって、「世界“最弱”の権力者」と言われています。そうして、アメリカ大統領が最弱であることは世界の比較憲法学の常識です。
日本で「アメリカ大統領のような強いリーダーを作るために首相公選制をやろう」などと言っている人がいますが、単なる思い違いです。
このような完全三権分立制をとっているアメリカで、たとえトランプ氏が大統領になったとしても、何もかも思い通りに、できるかといえば、そんなことはありません。
ちなみに、アメリカでは、完全な三権分立となっていますが、そうはいっても、平時においては司法が最も強いといわれています。
ただし、戦時になると違います、戦争を遂行するために、いきなり大統領に権力が集中します。戦時になると、アメリカ大統領は強いリーダーシップを発揮することができるようになるのです。
しかし、戦争するにしても、大統領一人の判断ではできません。あくまで、議会の承認が必要です。
となれば、トランプ氏が大統領になったにしても、余程のことがない限り、何もかもトランプ大統領の思い通りということにはなることはありません。
さらに、アメリカは二大政党の政治体制です。この二大政党制を長らく維持してきた国ですから、それなりの慣習があります。それは政治の継続性を保証するため、政権交代しても、6割から7割は、それ以前の政権のやりかたを踏襲し、それ以外の4割から3割を政権交代をした党のカラーを出します。
今回共和党のトランプ氏が大統領になったからといって、何もかも変えるということはできず、せいぜい3割から4割を共和党のカラーを出すことになるでしょう。さらに、その中で、トランプ氏が自分のカラーを出せるのも、数割に過ぎないでしょう。
そうなると、トランプ氏が仮に大統領になったとしても、あれもこれも実施などということはできず、本当に重点的なものをいくつかできるかできないかという程度だと思います。
ただし、戦争になれば別です。中国が南シナ海などでの暴虐を続けるのを阻止するため、議会が中国との戦争を決議すれば、トランプ氏はかなりのことができます。
こう考えると、実際にトランプ氏が大統領になったとしたら、最も大きく影響を受けるのは、アメリカや中国でもなく、日本かもしれません。
そうして、日本が最も影響を受けるのは、日米安保条約です。
しかし、これはもともと米国が日本が二度と戦争をしないようにするため、日本を軍事的にも弱体化する変わりに、米国が日本の防衛を担うという形で決まったものであり、トランプ氏のように一方的に日本を指弾するのは、適当ではないと思います。
そうなると、これも以前のブログに掲載したことなのですが、やはりトランプ氏はこれは議会の承認を得たのも同じですから、非常にやりやすいということで、これを最優先事項として取り組み、早期に実現するかもしれません。
そうして、日本に憲法改正を迫る理由は、原則として日本は自国の防衛は、自国で行うことです。そうなると、米軍は全部ではないにしても、かなり大きな部分が撤退することになると思います。
ただし、新たな日米安全保障条約の枠組みが設定され、フイリピンでは米軍が撤退した途端に、中国の南シナ海への進出が加速されたという苦い経験もありますから、すぐに米軍が日本から撤退ということではなく、何年かの猶予期間を置いて実施されることになるかもしれません。
私自身は、憲法を変えなくても、憲法解釈を変えれば、日本は自衛のための武力を持ち、自衛のための戦争はできると思っています。日本の主流派の憲法学者の解釈だけが唯一無二で、絶対に正しいなどということはありません。実際、世界には日本以外にも平和憲法がありますが、それらの国々では軍隊があり、無論自衛戦争はできます。
日本は憲法改正のハードルは高い |
しかし、米軍が一部でも撤退ということにでもなれば、中国の脅威はさら増します。今のままでは絶対に駄目です。憲法解釈を変えるか、憲法を改正して、日本も防衛戦争ができる普通の国に転換しなければならなくなります。
国会では、最近でも日々平時のことばかり論議されていますが、トランプ氏が大統領になったときに備えて、こうした論議もある程進めておくべきものと思います。
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