全国民に12桁の番号を割り当てるマイナンバーカードをめぐるシステムが危機に直面している。カードを発行する地方公共団体情報システム機構のサーバーで原因不明のシステム障害が1カ月以上にわたり1日に1回のペースで発生していることが1日、判明。1月25日までの約2週間に6回発生した公表済みの障害以降も続いていた。機構は、原因不明の障害を起こした既存サーバー2台の欠陥を知りながら追加導入した同機種3台全てに障害が発生したが、リスクを抱えた運用を続ける構えだ。
機構によると、1月26日から2月29日までに、カード作成のための「中継サーバー」のデータ処理が、平均で1日1回遅滞する障害が発生。カード交付に必要な情報を自治体に伝達できなくなった。そのたびに再起動を繰り返し毎回数分間サーバーの機能が停止した。1月末には1日に3回も障害が発生したことがあった。
結局、1月25、28、2月5日に追加導入した3台全てに障害が相次ぎ再起動を余儀なくされたが、いずれも原因は判明していない。サーバーは、トラブルがなければ再起動せずに常時稼働しているはずだった。
機構は2月1日、各自治体に対し、障害時の対応として「サーバーを再起動し、事象を解消するよう努める」と説明。具体的には自治体と交信中のサーバーを再起動した場合、自治体の処理が無効になるため別のサーバーを活用する考えを伝達した。再起動が実際に頻発し、再処理に迫られた自治体が複数あった。
障害をめぐり、機構は1月22日、それまでの1、2号両機のシステム障害を受け「契約上の望んだ機能がない」と納品した情報通信会社に抗議した。両機で計6回も障害が起こったものの、同機種のサーバーでも複数あればデータ処理を補えると判断し、相次ぎ追加導入した。現在、障害が深刻な2号機を切り離し、追加サーバーを含めた4機態勢で運用を続けている。
【用語解説】地方公共団体情報システム機構
住基ネットなど個人認証業務を全国の自治体から請け負う地方自治情報センターが平成26年に組織改編し、地方共同法人として発足。マイナンバーカード発行を独占するが、省庁のように情報公開制度の対象になっていない。
【私の論評】この体たらくは、政治主導ではなく官僚主導ですすめられた制度だから(゚д゚)!
私自身としては、マイナンバー制度自体には、税金を確実に収めさせるとか、反社会的な組織の資金源をつきとめたり、断ったりすることもでき、非常に良い制度だと思います。
これにあからさまに反対する人は、脱税しているか、反社勢力とのお付き合いがあることを告白しているようなものではないかと思います。
以下にマイナンバー制度の意義に関する動画を掲載させていただきます。
さて、ブログ冒頭の記事のように、マイナンバー制度の運用が始まる中、カード発行を担う地方公共団体情報システム機構のプログラムに誤りがあったことが分かりました。
また、システム障害の情報開示について、マイナンバーを管理する地方公共団体情報システム機構が拒否していたことも明るみになり、機構の隠蔽体質が浮き彫りになった形となりました。
機構は平成26年、マイナンバー業務など公的個人認証業務を専門に行う「地方共同法人」として発足しましたが、秘匿性の高い個人情報を取り扱うため、省庁や地方自治体のように情報公開制度の対象になっていません。
個人情報を扱うので、情報開示制度の対象外というのはわからなくもないです。しかし、運用方法などが法律で定めれられているとしても、システムトラブルやにバグについては公開しても良いのではないと思います。
実際にバグがあるのであれば、運用を延期するか、管理情報の内容を浅くするべきです。かつて会社のシステムを組んでいた経験もある私としては、多少のバグはやむを得ないと思います。
ウィンドウズのOSでも、バグ修正のアップロードしないといけないということもありますし、原子力のプラントとかシステムにも、バグがあると書いてある読み物もあるくらいですから・・・・。
しかし、データのアップロード程度ことで、バグがあるとすれば、セキュリティーに関しても脆弱な部分があると疑うべきでしょう。
対策としては、マイナンバーの運用材料を最小限(税金と保険・年金に限るとか)にして、安定したシステム運営が確立してから、膨大な情報(銀行預金データ・パスポート・本籍など)とのリンクを開始すべきではないでしょうか。
税金や保険・年金に関する個人情報が多少漏れたとしても、さほど大きな問題になるとは思えません。
しかし、パスポート情報や運転免許証にリンクされている本籍の情報などは、それこそ、当の本人が拉致・抹殺された後に第三者が当人成り変わることもできるようなことも可能になる重要なデータです。
これらのリンクは、セキュリティーの完成度を確認してからにすべきです。それにしても、情報開示もしない組織ですから、すでにそのような重要な情報を既にリンクしているかもしれません。これは、恐ろしいことです。
さて、これはこれとしてこのマイナンバー制度の推進機関でもある、地方公共団体情報システム機構について、触れます。
この組織、実は総務省の天下り機関として有名な「財団法人地方自治情報センター」が、マイナンバー制度の導入をきっかけに形を変えたのものです。略称として、「機構(きこう)」や「J-LIS(ジェイリス)」と呼ばれています。
ですから、機構の運用費用は、この法律に従い市などの自治体から機構へ、その市町村が負担する分の費用を支出するという形になります。
機構の業務範囲も法律で定められていて、マイナンバー制度に関する事務もその一つです。マイナンバー以外にも、住基ネットや公的個人認証など、自治体の情報システムに関する業務のほとんどを、機構が取り仕切っていると言って良いでしょう。
マイナンバー制度は、国の事業ですから、国から市に対して補助がありますが、他の機構の業務も国の補助を受けるものが多いので、「国から市に入ったお金(補助)を右から左へ機構に(機構運営の自治体負担分として)支出」と見えることがあります。
役員の報酬及び退職金については、自治体の首長等で構成される「代表者会議」の議決を経る必要があるので、市の議会で「理事長の報酬が高いのではないか」といった議論を行い、その結論を踏まえて、機構の「代表者会議」に提言することは当然に認められます。
財団法人(公益法人)から「地方共同法人」になったことで、機構の経営についても自治体の権限が強化されたのですが、依然として総務省の所管(総務大臣への届出等が必要)であり、その影響を強く受けているのが実態です。実際、機構の役員情報(PDF)を見ると、副理事長と理事の一人は旧自治省出身者となっています(注意]現在は閲覧できません)。
機構の役割は何かと言えば、「国や地方の税金を財源とする自治体情報システム市場のハブとしての機能」です。
国(総務省)の配下に機構があり、その機構に全国の自治体がぶら下がっていて、さらにその下にITベンダーやシンクタンクがぶらさがっているという「エコシステム(生態系)」が出来上がっているわけです。「ITや情報システム」の名目で集められた税金を、官民学の関係者に再分配するということです。
さて、総務省では、マイナンバー導入にかこつけて2016年度予算に向け「自治体支援費」を計上しようと検討が進められていました。
全国の自治体には、個人情報を扱っているパソコンを、インターネット接続できる系統から完全分離している自治体は1割弱しかありません。サポートが切れたウィンドウズXPをまだ使っている自治体もかなりあります。マイナンバーの個人情報漏れを防ぐためには、各自治体で新しいパソコンを増やし、システムを更新しなければならない。しかし地方では予算がないから、国が支援する必要があるとの理由で、検討がすすめられ、番号制度の円滑な導入と利活用の促進ということで 204.3 億円の予算がつきました。
地方自治体ではサポートの切れた、ウィンドウズXPを使用している場合も・・・ |
そもそも、「地方公共団体情報システム機構」に組織改編されたときの、予算書を見ると本年度は700億円もの事業費を計上しており、うち500億円以上がマイナンバー関連事業とされています。同機構の副理事長と理事は、もちろん総務省出身の天下りです。
内閣官房には、「政府CIO(チーフ・インテリジェンス・オフィサー)」なる聞き慣れない肩書きを持つ「内閣情報通信政策監」を長とする、「IT総合戦略室」という組織がある。ここにもマイナンバーを担当する班が存在する。
こう見てくると、“マイナンバー特需”に沸いているのは官僚たちだけだということがよく分かる。
今後、会社員は家族分を含めたマイナンバーを会社に提出し、2016年1月からは証券口座開設の際に番号を求められ、2018年からは預貯金口座のマイナンバー登録も始まる。企業には厳しい個人情報管理が要求され、従業員100人の企業のコスト負担は初期費用で1000万円、毎年400万円ほどになるという試算もある。
本当に「国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現する」仕組みになるか、監視が必要です。
こうした「エコシステム」が良いか悪いかは賛否の分かれるところですが、各自治体がバラバラに情報システムを構築・運用している現状を考えると、「お金の分配」はそれなりに上手くやってきたものの、「費用対効果の高い効率的で持続可能な自治体の情報システム」は結局のところ、ブログ冒頭の記事もわかるように、実現できなかったわけで、機構のガバナンスについても経営・運営についても課題が多いです。
総務省エコシステムは、官僚にとって最適のシステムであり国民にとって最適なシステムではない |
これでは、当然のことながら、官僚にとって都合の良いシステムになるのが当然のことです。そうして、これからも、「地方公共団体情報システム機構」は官僚の天下り先としての役割を果たし、官僚のハッピーライフのために奉仕します。
それを是正するためには、政治主導にするしかありません。それを打破するためには、まずは役所の中の役所ともいわれる財務省を解体する必要があります。
ただし、この財務省、単純に解体すると、解体された組織を時間をかけて植民地化するという習性があり、それを放置しておくと、解体したときよりもさらに自分たちの権益を増大するという恐ろしい怪物です。
これは、経済学者の田中秀臣氏が私にツイッターで教えていただいたことです。田中氏は、これを防ぐ手段として、解体した財務省の各々を、他の省庁の下部組織として配置することを提案していました。これだと、完璧です。
そうして、ここからは、私の提案ですが、これにプラスして、さらにマイナンバー制度などを実施するにあたっては、各省庁が直接行うというのではなく、政治主導で、NPOに委託する形として、競争入札で民間NPOに実施させる形とすべきです。
これで、完璧に官僚主導は終焉し、政治主導の政治を推進することができるようになります。
NPOというと、日本では、善意で集まった人々が手弁当で実施する奇特な事業くらいの感覚しかありませんが、欧米では違います。特にアメリカでは、全NPOの予算は国家予算に匹敵するほどで、かなり大型のプロジェクトも手がけています。
アメリカでは、たとえば、大きな建築会社や、銀行などもNPOのメンバーに入っていて、アメリカ各地で、貧困層住宅の包括的プログラムで、住宅だけではなく、雇用のための教育・訓練や雇用までも含む、包括的パッケージで貧困層を支援するなどということが手広く行われています。
そうして、NPOは大学や大学院を卒業した前途ある若者の、雇用先としても注目されている、立派な組織でもあります。
それにしても、このようなことを推進するにしても、やはり最初の崩さなければならない本丸は財務省です。
日本で、なぜ欧米型のNPOが成り立たないかといえば、それは寄付金の文化がないためです。そうして、寄付金の文化がない理由は、大量の寄付がなされるということは、財務省からすれば、財政民主主義の立場から良くないとして、様々な制限があるからです。
いずれにせよ、まずは財務省を解体して、他省庁の下部組織にしてしまうことが、ブログ冒頭の記事に書かれているような過ちを防ぐための第一歩となることは確かなようです。
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