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2020年3月3日火曜日

日本経済「コロナ恐慌」回避への“劇薬政策”投入あるか 日銀談話の影響は限定的 識者「10兆円補正」「消費減税」提案―【私の論評】コロナ対策で安倍総理がフリーハンドで経済対策に打ち込める状況が整いつつある(゚д゚)!


アベノミクスで長期政権を維持してきた安倍晋三首相の正念場だ

新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への打撃は深刻度を増している。発生源の中国では景気指標が過去最悪を記録、イベント自粛や一斉休校など非常態勢の日本も消費の大幅な落ち込みは避けられない。迫りくる「コロナ恐慌」を回避するためには、「消費税の事実上の減税」や「マイナス金利を活用した緊急融資」など劇薬政策を投入するしかない。


中国の2月の景況感を示す製造業購買担当者指数(PMI)は35・7と節目の50を大きく下回り、記録が確認できる2005年1月以降で過去最悪。リーマン・ショック直後の08年11月の38・8よりひどい水準だ。

韓国やイタリアでも大規模感染し、米国でも初の死者が出た。米調査会社ムーディーズ・アナリティクスは世界経済が今年前半に景気後退に入る可能性があるとみる。

日本も政府の要請で全国的なイベントの中止や延期を余儀なくされている。観光やサービス、小売が低迷、企業業績の下方修正も続出するとみられ、昨年10~12月期の実質国内総生産(GDP)はマイナス成長となったが、今年1~3月期も上向きの要因はない。

政府がとるべき対応策として上武大教授の田中秀臣氏は、「まず20年度の本予算をすぐ通し、3月末ないし来年度初めまでに最低でも6兆円、できれば10兆円の第2次補正予算を猛烈な勢いで通すべきだ」と主張する。

具体的手段として「クーポン券などの配布や社会保険料の減免、臨時で所得税の大幅減税などの案もある」と提案する。

「消費税の軽減税率を全品目に拡大すべきだ」と強調するのは元内閣参事官で嘉悦大教授の高橋洋一氏。昨年10月に消費税率が10%に引き上げられた際、酒類や外食を除く飲食料品は軽減税率の対象となり、税率は8%に据え置かれた。これを全品目に拡大すれば、事実上の2%減税となる。

大和総研は、個人消費が2~5月の4カ月間で3兆8000億円程度減ると試算している。

高橋氏は「全品目軽減税率を導入すれば年率換算で5兆円弱の可処分所得を増やすことができる。2~5月で3兆8000億円の消費減少は年率換算では1・3兆円程度相当なので十分カバーできる」と語る。

制度導入は「今ある制度の枠内なので、法改正も簡明だ。トイレットペーパーの買い占めなど、デマに伴う不合理な購買が収まった後に政策を発動すべきだが、国会開会中の5月に改正案を通して、キャッシュレス決済によるポイント還元事業が切れる6月30日からのスタートもありうる」と指摘する。

日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は2日、「適切な金融市場調節や資産買い入れの実施を通じて、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく」とする緊急談話を出した。

黒田日銀総裁

株式市場は好反応だったが、前出の田中氏は「談話は国民向けではなく、短期金融市場でやり取りする銀行や証券など狭い市場向けだ。本来は臨時の金融政策決定会合を開き、早急に対応を決めるべきだ」と冷ややかだ。

高橋氏も「談話はさほど強い意味はない。できることも限られるだろう」とした上で、「この際、『マイナス金利緊急融資制度』を作るほうが、より効果的だ」と提言する。

日銀は14年から短期金利の目標をマイナス0・1%とする政策を導入している。

マイナス金利下で政府が国債を発行して資金調達する際、金融機関が額面価格と利払い比の合計よりも高い額で入札するケースが多く、浮いた分が国の“儲け”になっている。

高橋氏は「政府はマイナス金利で資金調達可能という利点を生かして、政府系金融機関を通じてマイナス金利で企業に融資することが可能だ。財政投融資の仕組みを生かせば、国に損はないので法改正がなくても導入できる」と解説する。

マイナス金利融資となると、利息を払うどころか、借金すればするだけ儲かるという前代未聞の状態となる。企業としてはいくらでも借りたいところだが、そんなうまい話があるのか。

「民間銀行は当然、民業圧迫だと反対するだろうし、財務省もやりたがらないはずだ。だが、新型コロナウイルスによる経済への打撃は深刻で、現状は非常時といえ、国の儲けを民間に還元しても問題はないはずだ。融資に上限を設けたり、ある程度業種を絞ることで、国民の理解を得られるのではないか」と高橋氏。

異次元の金融緩和を軸としたアベノミクスから約7年。新たな異次元政策が必要なときだ。

【私の論評】コロナ対策で安倍総理がフリーハンドで経済対策に打ち込める状況が整いつつある(゚д゚)!

安倍晋三首相は1月28日午前、衆院予算委員会で、玄葉光一郎委員(立国社)の質問に答えて、新型コロナウイルスの内外での感染拡大による日本経済への影響について、予備費もあり、直ちに予算が不足することはないとの認識を示し、事態の推移を注視する考えを示した。その上で、日本経済に大きな下振れリスクが生じないよう、「必要なら思い切った対策をしていきたい」と語りました。

まさに、今は危急存亡の時です。すぐにでも、できる経済対策を実行、さらに時間のかかるものもあわせて、2重、3重の構えで、できることは全部実行していただきたいものです。もしそれで景気が加熱したとしても、どうにでもできます。まずは、加熱させることが重要です。

安倍晋三首相は2月29日の夕方、緊急の記者会見を開き、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた政府の取り組みなどを説明しました。



2月27日夕に、全国の小中高校に対して3月2日から春休みまで臨時休校するよう要請したことについて、
何よりも子供たちの健康、安全を第一に、多くの子供たちや教職員が日常的に長時間集まる、そして、同じ空間を共にすることによる感染リスクに備えなければならない。
とし、国民に理解を求めました。

この29日の会見で注目すべきは、「新型コロナ対策」を理由に、「何でもあり」の景気対策に道を開いたことです。

学校の一斉休校に伴って保護者が休職した場合の所得減に、「新しい助成金制度を創設」し、
正規・非正規を問わず、しっかりと手当てしてまいります。
と明言しています。また、
業種に限ることなく雇用調整助成金を活用し、特例的に1月まで遡って支援を実施します」
とも述べました。

さらに、中小・小規模事業者の強力な資金繰り支援なども行うとしました。政府が個人や企業に直接、所得補填するのは政策的には「禁じ手」で、平時ならば「ばら蒔き」との批判を受けかねないです。

今後、制度や法律を作る段階で、どこまでを新型コロナによる影響とするかなど、難題が出てくるでしょうが、それも「非常時」ということで、許容されるのでしょうか。

実のところ、新型コロナ対策を「理由」にできることは、深刻な景気減速に直面しつつあった安倍内閣にとっては、救いの船とも言えるかもしれません。

2019年10-12月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、年率換算でマイナス6.3%と大幅なマイナス成長になりました。前の消費増税直後である2014年4-6月期はマイナス7.1%、東日本大震災の影響が出た2011年1-3月期はマイナス6.9%だったので、これに次ぐ激震に見舞われたことになります。


もちろんこの段階では新型コロナの影響はあまり出ていません。2019年10月からの消費増税に伴う家計消費支出の大幅な減少が響いたのです。

そうでなくても弱い国内消費が、消費増税によって一気に悪化した格好になったのです。

そこに、さらに新型コロナによる経済停滞が加われば、国内消費は「底が抜ける」のは明らかです。消費を下支えする「唯一の期待」だったインバウンド消費が激減することは火を見るよりも明らかです。

たとえば、日本百貨店協会が発表した1月の全国百貨店売上高は、前年同月比3.1%の減少となりましたが、それでも春節による中国人訪日旅行客の増加で、免税売上高は20.9%も増加したのです。1月の全体の売上高は4703億円で、そのうち免税売上高が316億円なので、6.7%を占めたことになります。もちろん免税対象品以外も買われているので、インバウンド消費の効果は大きいです。

逆に言えば、免税売上高が2割も増える中で、全体は3.1%も減ったわけで、昨年10月の増税から4カ月たってもいかに国内消費が弱いかということが分かります。

また、春節期間(1月24日〜30日)の免税売上高は2ケタのマイナスだった百貨店が目立ったと報道されましたが、それでも1月全体のインバウンド依存は大きかったわけです。何しろ、1月の中国からの訪日旅行客は92万4800人と、前年同月に比べて22.6%も増えています。

ちなみに、春節後の2月1日まで、日本政府が武漢を含む湖北省などからの旅行者受け入れを停止せず、その後も中国からの旅行者を規制していないことにも批判が集中しています。

しかし、仮に春節前に中国からの旅行客をブロックしていたら、消費は目も当てられない悪化ぶりになっていたことは容易に想像が付きます。

なお、昨年は2月に春節があったので、対前年同月比では2月のインバウンド消費が落ち込むのはもちろん、これに新型コロナ問題が加わったことで激減することになりました。百貨店大手4社が3月2日に発表した2月の売上高速報は、大丸松坂屋百貨店が21.8%減、三越伊勢丹が15.3%減など、軒並み2ケタのマイナスになりました。

また、様々な行事が中止になっている3月は、訪日客が激減していることもあってさらに消費が落ち込む懸念が強いです。

インバウンド消費で最も影響が大きいのは、4月です。ここ数年、中国などアジア各国の人たちの間で、日本の桜を見るツアーが人気を博してきました。4月の訪日客は、実は春節の月よりも多いです。

たとえば2019年の場合、春節の2月は260万人だったが、4月は292万人。多くの国が夏休みの7月(2019年は299万人)に次いで、4月がインバウンドの稼ぎ時なのです。

現状では、4月の旅行計画を組むのは難しいでしょうし、今年の「桜の時期」は例年になく外国人観光客が少なくなるに違いないです。

2019年の訪日外国人旅行消費額は、観光庁の推計によると4兆8113億円。うち36.8%に当たる1兆7718億円が、中国からの旅行者です。まだ訪日客も増えてインバウンド効果もあった今年1月はともかく、2月以降の数値では、確実にインバウンド効果が減少しているはずです。

しかも、いまや訪日客減は中国からだけではなく世界傾向であるため、仮に全体の旅行消費が半減したとすると、2019年実績数値から単純計算すれば、2月からの3カ月間で6000億円の消費が消えることになります。

こうした消費の減少で中小企業の収入が激減し、資金繰りが悪化した場合、政府がそれを支援する、というのが今回の会見で安倍首相が示した方針です。これを融資で支援するのであれば通常の危機対応でもあるので、それほどの混乱はないかもしれないです。

しかし、収入の減少や雇用の確保に向けた人件費の負担を政府が行うことになれば、その財政負担は大きいです。それでも考えられる限りの支援を安倍首相は行うつもりに違いないです。そうして、それはこのブログで過去に主張してきたように可能です。

経済が猛烈な勢いで縮小しかねない時に政府が財政支出をするのは、伝統的な経済対策です。しかし、土木工事を中心とする公共事業では経済を底上げする力が弱くなってきていることは明らかです。政府の支出額以上に経済効果が大きくなる「乗数効果」、特に短期的な効果は下がっているのです。

経済全体のサービス化が進み、消費がGDPの55%近くを占める中で、土木や建築などの工事に従事する人の数も減り、全国的に消費を押し上げることが難しくなっているのです。

今回、「非常事態」ということで、消費産業や働く個人に直接、国の財政支援が行われる仕組みができれば、予想外に景気下支えの効果を引き出すことができるかもしれないです。

さらに新型コロナが終息した直後からの景気の立ち上げを力強くするためには、本格的な消費支援策を打ち出す必要が出てきます。

もっとも効果があるのは、「消費税の減税」でしょう。消費税だけではなく、所得税等他の税制の減税も充分に考えられます。そうなると、このブロクでも紹介してきたような、米国のトランプ減税のようなことも多いに考えられます。

このブログにも過去に掲載してきたような、減税などの一見「奇抜な案」は実現不可能とみられがちでしたが、「非常時」に乗じれば、安倍政権が実行に移すことも可能になるはずです。

平時であれば、財務省やその走狗達は、徒党を組んで、これらに大反対キャンペーンを展開し、財務省の官僚はご説明資料を持参して、マスコミ、財界、経済学者や民間エコノミストに日参して、緊縮の必要性をとき、増税を繰り返し、マスコミ、財界、エコノミストラがそれに追随しました。現状そのようなことをすれば、批判の的になるのは明らかです。

多くの国民、企業は、コロナ対策で実際に被った損失をなんとかしたいと思うはずで、それに対して財務省が国の借金がどうのこうの、国債は将来世代へのつけという嘘八百を並べ立てても、今回ばかりは共感は得られないでしょう。

まさに、安倍総理がフリーハンドで経済対策に打ち込める状況が整いつつあるのです。今後日本でも、様々な積極財政のあり方が模索されることになるかもしれません。そうして、日本でも機動的な財政政策が実行される契機となるかもしれません。

財務省とその走狗らで気をつけなければならないのは、コロナ対策で景気がコロナ直前の水準に戻った時です。緊縮脳の彼らは、もう戻ったから対策はやめるべきと主張するでしょう。そのとき、彼らの口車にのって経済対策をやめてしまうことです。

コロナ直前は決して良い状況ではなかったのですから、良い状況になるまで、経済対策を続けるべきなのです。

【関連記事】

2020年2月15日土曜日

【日本の解き方】景気悪化「台風と暖冬」理由の不可解 消費増税の影響をなぜか無視…財務省やマスコミへの忖度か ―【私の論評】財務省とその走狗らは、戦中の軍部と同じく資金を隠匿し続ける(゚д゚)!

【日本の解き方】景気悪化「台風と暖冬」理由の不可解 消費増税の影響をなぜか無視…財務省やマスコミへの忖度か 

西村康稔経済再生相

 17日に公表される昨年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値はマイナス成長になるとの見方が出ている。西村康稔経済再生相は「台風や暖冬」を理由に掲げているが、消費増税を理由にしないのは不可解だ。

 西村再生相は、「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要はそんなに大きくはなかったし、その後の落ち込みもそんなに大きくないとみていたが、10月から12月の期間は台風や暖冬の影響がある」と述べたという。

 1月にスイスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では、黒田東彦(はるひこ)日銀総裁が、「日本経済は昨年第4四半期にマイナス成長に陥った。これは主に2回の台風被害に見舞われたことに起因する」と発言している。

 昨年10~12月期の落ち込みは、各種の経済指標で裏付けられている。総務省が公表している家計調査の2人以上世帯の実質消費支出について、昨年10月で前年同月比5・1%減、11月で2・0%減だった。業界団体の12月のデータでは、全国食品スーパー売上高(既存店ベース)で前年同月比1・0%減、全国コンビニエンスストア売上高(既存店ベース)で前年同月比0・3%減となっている。日銀が発表している消費活動指数でみても消費の落ち込みは明らかだ。

 これらの要因は台風被害ではなく、消費増税であることは誰の目にも明らかであろう。
 経済産業省が発表している鉱工業生産指数の地域別数字でみても、各地域ともに低下している。台風の影響が比較的少なかった近畿も、関東と同じように低下しているので、やはり経済減速を台風のせいとはできないだろう。

 これまで、消費増税は創設時を含めて4回ある。税率は1989年4月に3%、97年4月に5%、2014年4月に8%、19年10月に10%となった。

 このうち89年4月は、個別物品税廃止との引き換えだったので、悪影響は少なかった。しかもバブル景気の最中なので、問題にならなかった。しかし、その後の消費増税は景気に悪いタイミングであるとともに、ネット(純額)での増税だったので、予想通り景気は悪化した。

 こうした予想は、消費増税により可処分所得が減少し消費が落ち込むという標準的な経済学を理解していれば容易に分かることだが、財務省とその走狗(そうく)のエコノミストは「影響は軽微だ」と口をそろえる。消費の減少は「増税前の駆け込み需要の反動減」という説明もなされるが、一面的でしかない。本質的には可処分所得減少による消費の落ち込みであるが、それは説明されない。

 前述の西村再生相の説明も、駆け込み需要の反動減はないというもので、可処分所得減少による消費落ち込みの説明を避けている。

 なぜ、西村再生相や黒田総裁がこのような発言をするのだろうか。筆者の答えは、消費増税の影響を隠したい財務省やマスコミへの「忖度(そんたく)」というものだ。これまでの消費増税と同様に、景気の悪影響があっても、別の理由にされてしまうのだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】財務省とその走狗らは、戦中の軍部と同じく資金を隠匿し続ける(゚д゚)!

昨年10~12月期の国内総生産(GDP)がマイナス成長になったのは、減税したためであるということは明らかです。それを台風と暖冬のせいにするとは、全く笑止千万と言わざるを得ません。

内閣府が昨年11月11日発表した10月の景気ウオッチャー調査では、景気の現状判断DIが前月から10.0ポイントの大幅低下となりました。その原因として、消費増税と台風の影響で家計関連の落ち込みが大きかったとしています。

さすがに、消費税増税の直後だったので、この落ち込みの原因として、台風だけにするにはどう考えても無理があるので、台風以外に消費税増税もあげたのでしょう。

しかし、今回の昨年10~12月期の国内総生産(GDP)のマイナスなるとの見方が出関して西村康稔経済再生相は「台風や暖冬」だけを理由に掲げました。

しかしおそらく、このような言い訳をするのは十分に予想できました。ただ、何を理由とするのかは、わかりませんでしたが、「台風と暖冬」とは思いもよりませんでした。その記事のリンクを以下に掲載します。
【田村秀男のお金は知っている】「新型ウイルス、経済への衝撃」にだまされるな! 災厄自体は一過性、騒ぎが収まると個人消費は上昇に転じる―【私の論評】今のままだと、新型肺炎が日本で終息しても、個人消費は落ち込み続ける(゚д゚)!

この記事では、香港の個人消費を例にあげて、まともというか、デフレから脱しきれていないうちに消費税をあげるというような馬鹿マネさえしなければ、SARSの蔓延のような事態があっても、それが終息すると消費が飛躍的に伸びることを主張しています。

であれば、台風や暖冬などがあったにしても、元々それによる被害は日本全体からすればわずかであり、しかも台風などの被害があっても、被災地においては、その後は様々な消費が急激に伸びるはずであり、それが景気に及ぼす影響はほとんど相殺されるはずです。

では、他に何が原因があるかといえば、やはり消費税以外にないのです。

この記事では、台風どころではなく、大東亜戦争のような大きな戦争ですら、経済統計を年度ベースでみていると、後世の歴史家は、大戦争があったことを気づかないかもしれないということを述べました。以下に簡単にまとめてそのことを再掲載します。

これは、日本でも欧州でもそうだったのですが、戦時中の末期に近い頃ですから、欧州でも日本ても、爆撃を受けようが何があろうが、戦争遂行のために兵器などを生産し続けるため、戦争中のGDPは、いかに生活物資が不足し国民が耐乏生活を送っていたとしてもさほど低くはなかったのです。

そうして、戦争が集結すると、戦争に勝とうが負けようが、今度は国民生活に必要な、民需が逼迫して、その解消に向けての大増産が起こり、年ベースの経済統計では、戦争があった年も、なかった年でも、GDPにさほど違いはなく、ほんの少し減ったくらいにしか見えないのです。

だからこそ、第二次世界大戦中の経済統計をみていても、後世の歴史家はそれだけみている限りでは、戦争があったことに気が付かないかもしれないのです。

日本もそのような状態だったのです。実際統計上でみれば、日本は戦争をしても直後には戦争開始時の国富の70%もが温存されていたのです。

ちなみに、国富は再生産可能な生産資産である「在庫」、「有形固定資産(住宅・建物、構築物、機械・設備、耐久消費財など)」、「無形固定資産(コンピュータソフトウェア)」と、「非生産資産(土地、地下資源、漁場など)」を足し合わせたものに「対外純資産」を加減して求められる。国民総資産から総負債を差し引いたものと同じとなります。日本の正味資産としての国富は、この10年ほど概ね3000兆円前後で推移しています。

良く、終戦直後には、日本は全部が焼け野が原になり、すべてがゼロになり、ゼロからのスタートだった等という人もいますが、統計上からみれば、日本の中核都市などは確かに焼けのヶ原になりましたが、地方都市やその他の町や村には、生産設備や田園などが、残り、そこからの出発だったのです。

だから、他のアジアの諸国などから比較すれば、はるかに有利なスタートを切ることができたのです。

大戦争のときですら、このような状況なのですから、ましてや台風や暖冬の被害など微々たるものであり、これがマイナス成長の原因とするのは、甚だしい間違いです。その原因は、はっきりしています。それは、消費増税による個人消費の落ち込みです。

戦争、そうして台風や暖冬などで、消費が落ち込んだとしても、それは一過性のものであり、戦争や台風・暖冬などで、被害があったにしても、それはすぐに回復します。そうして、年ベースでみるとさほどではないのです。

しかし、デフレから回復しきっていない時期での消費増税など、経済政策を間違ってしまえば、その影響は甚大であり、GDPの中で60%以上を占める個人消費を減衰させ、結果としてGDPが落ち込むのです。

そうして、日本ではあがった消費税は二度と下がることはないという固定観念もあり、戦争、新型肺炎などよりさらに悪影響があり、なかなか消費は回復しないのです。

現状の日本にとっては、戦争や新型肺炎よりも、消費税の増税のほうが悪影響をもたらすのです。

ちなみに、先に日本では、戦争直後でも戦前の国富の70%が温存されていて、他のアジア諸国などと比較すれば、ゼロあるいはマイナスからのスタートではなく、かなり有利なスタートきることができたと述べました。

ただし、これには日本ならではの特殊事情がありました。それは、旧軍部等による様々な物資の隠匿でした。旧軍部は、終戦直前に、金塊、医療品、食料、燃料、衣料品など莫大な物資を隠匿したのです。これは、当然のことながら、70%の国富に含まれていました。

この物資が国民すべてに、終戦直後から回されていれば、多くの国民は国富70%からのスタートを実感できたでしょう。しかし、そうではなかったため、終戦直後からしばらく、多くの国民は、耐乏どころか衣食住の食でする満足に得られない窮乏生活を強いられたため、ゼロからのスタートというイメージが定着したのです。

物資の隠匿に、多くの軍人も関わったとみられますが、それらは単に命令に従っただけで、多くは旧陸軍省・旧海軍省の高官、すなわち官僚が実行したものです。このあたりは、闇に埋もれてわからないことも多いようですが、是非とも明らかにして欲しいものです。

      NHKスペシャル「東京ブラックホール」で紹介された、1948年
      米軍に発見された日本軍の隠匿物資の夥しい量の金塊

そうして、この記事でも主張したのですが、隠匿という点では、昔の官僚も現在の官僚も変わりません。現在の財務省の官僚は、物資を隠匿はしていませんが、様々な形で資金を隠匿しています。それこそ、いっとき盛んにいわれていた財務省の埋蔵金というものです。

これは、いわゆる特別会計という複雑怪奇で一般の人にはなかなか理解できない、巨大な会計の中に隠蔽されていたりします。それは、戦時中の隠匿物資のように、一般人には見つからないように隠匿されています。

しかし、それは、終戦直後に大多数の国民が窮乏生活を送っていたときに、国富が70%もあったというのと同じく、現在でも統計資料を見ると理解できます。

まずは、政府の負債です。これについては、財務省は1000兆円などとしていますが、これは負債だけをみているわけであり、一方では日本政府はかなりの資産を持っています。これを相殺すると、日本政府の借金はさほどではありません。米英よりも低い水準です。

これについては、このブログにも何度が詳細をのべてきました。詳細を知りたいかたは、その記事をごらんになるか、高橋洋一氏、田中秀臣氏などの記事をご覧になってください。

さらに、もう一つの隠匿手段があります。それは、統合政府ベースの見方です。統合政府とは、政府と日銀などを一つにした見方です。民間企業でいうと、連結決算など連結ペースでみる見方です。

現在では、大企業は連結決算を作成し、公開する義務を追っているのですが、なぜか政府に関する統計では、連結ベースではだされていません。

しかし、統合政府ベースでみると、政府による借金は近年現象傾向にあり、2018年あたりからは、赤字どころか黒字になっているくらいです。

しかし、財務省はそのことは表に出さず、それどころは、政府の資産についても触れず、政府の借金はほとんど問題ないのに、あるように装って、消費税増税などを実行しています。

まさに、戦中の軍部の官僚が夥しい物資を隠匿していたのとそっくりです。結局日本の役人の腐った根性は、戦争中も今も変わらないようです。

日本の一番の問題は、このような腐った官僚の根性を叩き直すこともなく、放置しておいたということかもしれません。

日本の政治家もこのあたりに、そろそろ手を付けてないと、日本はとんでもないことになりそうです。

財務省の走狗?

財務省とその走狗達は、昨年の段階では景気の落ち込みは、消費増税と台風の影響で家計関連の落ち込みが大きかったとせざるを得なかったものを、現時点では、西村再生相や黒田総裁が台風のせいとか、暖冬のせいだけにしたのと同じように、今後も続く景気の落ち込み増税とは全く関係ないとし、新型肺炎だけのせいだとするでしょう。

このままでは、いつまでたっても日本ではまともな機動的な財政政策ができなくなります。

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2018年8月28日火曜日

米中は「貿易戦争」から「経済冷戦」へ―【私の論評】日本は米中新冷戦の影響なし!だが間抜け官僚の誤謬で甚大被害も(゚д゚)!

米中は「貿易戦争」から「経済冷戦」へ


激しさを増している貿易戦争が、トランプ大統領の強硬姿勢と中国の手詰まり感から早期の解決も見通せないでいる。だが、注意すべきは事態がトランプ大統領主導の「貿易戦争」から議会主導の「経済冷戦」へと深刻化している点だ。

米中関係は貿易戦争から経済冷戦へ

米中の関税の応酬による貿易戦争は第2幕を迎えた。8月23日に双方が160億ドル相当の輸入品に25%の追加関税を発動した。9月にはさらに米国は2000億ドル相当、中国は600億ドル相当の輸入品に追加関税を課す構えだ。

 貿易戦争は激しさを増しており、トランプ大統領の強硬姿勢と中国の手詰まり感から早期の解決も見通せないでいる。

進展がなかった、事務レベル協議の裏側

 8月22日、ワシントンで行われた事務レベル協議も何ら進展がないまま終わった。これは協議前から当然予想されていた結果だ。元々、この協議は中国商務次官が米国の財務次官と協議を行うという変則の形となった。中国側の発表では「米国の要請で訪米する」とのことだったが、これは中国特有のメンツを守るための発表で、実情は違う。米中双方の思惑はこうだ。
<米国側>  トランプ大統領としては中間選挙まではこの対中強硬姿勢を続けている方が国内的に支持される。今、何ら譲歩に動く必要がない。しかも、米国は戦後最長の景気拡大で、余裕綽々で強気に出られる。
<中国側>  習近平政権としては、対米強硬路線が招いた今日の結果に国内から批判の声も出始めており、それが政権基盤の揺らぎにつながることは避けたい。対米交渉の努力を続けている姿勢は国内の批判を抑えるためにも必要だろう。
また、貿易戦争による米国経済へのマイナス影響で米国国内から批判が出て来るのを待ちたいものの、時間がかかりそうだ。しかも、中国経済の減速は明確で、人民元安、株安が懸念される。金融緩和、インフラ投資での景気てこ入れも必要になっている。米中貿易摩擦の経済への悪影響はできれば避けたい。

 このように、事態打開へ動く動機は米国にはなく、中国にある。

 ただし、そこに中国のメンツという要素を考えると、取りあえず次官級で落としどころに向けての探りを入れるというのが今回の目的だ。

 トランプ政権としては、この時点で本気で協議を進展させるつもりは毛頭ない。本来の交渉者である米通商代表部(USTR)はメキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)協議のヤマ場でそれどころではない。所管外でも対中強硬論者の財務次官に、人民元問題も持ち出すことを口実に、協議の相手をさせた、というのが実態だ。

「11月、APEC(アジア太平洋経済協力)、G20(20カ国・地域)の際、米中首脳会談か」といった米紙報道も、そうした一環の中国側の観測気球だろう。

 中国としては落としどころへの瀬踏みをしていき、ある程度見通しが立った段階で、切り札の王岐山副主席が事態収拾に乗り出す、とのシナリオを描きたいのが本音だろう。

米議会主導の「国防権限法2019」に透ける対中警戒の高まり

 ただし、こうした米中双方の追加関税の応酬という貿易戦争にばかり目を奪われていてはいけない。米国議会が主導する、対中警戒を反映した動きにも注目すべきだ。

 8月13日にトランプ大統領が署名した「国防権限法2019」がそれだ。

 かつて私は、「米国」という主語をトランプ氏とワシントンの政策コミュニティを分けて考えるべきで、後者が“経済冷戦”へと突き進んでいることを指摘した。(参照:関税合戦は序の口、深刻度増す“米中経済戦争”)。

 まさに後者の動きがこれだ。

 これは米国議会の超党派によるコンセンサスで、現在のワシントンの深刻な対中警戒感の高まりを反映したものだ。トランプ大統領は短期で「ディール(取引)」をするために、その手段として追加関税という「こん棒」を振りかざすが、それとは持つ意味が違う。

 中国の構造的懸念を念頭に、貿易以外の分野も広く規制する。昨年12月に発表された「国家安全保障戦略」で明らかになった、現在の米国の対中観を政策に落とし込んだものだ。

 議会の原案に対してトランプ政権はむしろ緩和のための調整を行って、大統領署名に至った。

 メディアで特に報道されているのは、そのうちの対米投資規制の部分で、中国を念頭に置いて、対米外国投資委員会(CFIUS)による外資の対米投資を厳格化する。先端技術が海外、とりわけ中国に流出することを防ぐためだ。

 このCFIUSによる対米投資の審査は、既に2年前から権限強化を議会の諮問機関から提言されている。実態的にもトランプ政権になってからこれまでに11件の対米投資が認められなかったが、そのうち9件が中国企業によるものであった。これをきちっと制度化するものだ。

 そのほかこの法案には、中国の通信大手ZTEとファーウェイのサービス・機器を米国の行政機関とその取引企業が使用することを禁止する内容も入っている。

 また国防分野では、国防予算の総額を過去9年間で最大規模の79兆円にする、環太平洋合同演習(リムパック)への中国の参加を認めない、台湾への武器供与の増加などの方針が示された。

 ここまでは日本のメディアでも報道されているが、今後日本企業にも直接的に影響する大事な問題を見逃している。それが対中輸出管理の強化だ。
メディアが見落とす「対中輸出管理の強化」

 輸出管理については、これまで国際的には多国間のレジーム(枠組み・取り決め)があった。これに参加する先進諸国は、大量破壊兵器や通常兵器に使われる可能性のあるハイテク製品の輸出については規制品目を決めて各国が審査する仕組みだ。こうしたこれまでの仕組みが中国の懸念に十分対応できていないというのだ。

 キーワードが「エマージング・テクノロジー」である。

 「事業化されていない技術」という意味であろう。例えば、AI(人工知能)や量子コンピューターなどの技術がそうだ。

 こうした技術は未だ製品として事業化されていないので、現状では規制対象にはなっていない。しかし、そういう段階から規制しなければ、将来、中国に押さえられて、軍事力の高度化につながるとの警戒感から、規制対象にしようというものだ。今後、具体的にどういう技術を規制すべきか、商務省、国防省などで特定化されることになっている。

 問題はこの規制が米国だけにとどまらないということだ。

 当初、米国は独自にこの規制を実施する。しかし米国だけでは効果がない。そこで、本来ならば国際レジームで提案して合意すべきではあるが、それは困難で時間がかかる。そこで当面、有志国と連携して実施すべきだとしている。その有志国には当然、日本も入るのだ。

 今後、日米欧の政府間で水面下での調整がなされるだろうが、日本企業にも当然影響することを頭に置いておく必要がある。

 またこの法案とは別に、商務省は中国の人民解放軍系の国有企業の系列会社44社をリストアップして、ハイテク技術の輸出管理を厳しく運用しようとしている。中国の巨大企業のトップ10には、この人民解放軍系の国有企業である「11大軍工集団」が占めており、民間ビジネスを広範に展開している。米国の目が厳しくなっていることも念頭に、日本企業も軍事用途に使われることのないよう、取引には慎重に対応したい。

 かつて東西冷戦の時代には「対共産圏輸出統制委員会」による輸出管理(ココム規制)があった。一部に「対中ココム」と称する人もいるが、そこまで言うのは明らかに言い過ぎであることは指摘したとおりだ(ちなみに、かつてあった「対中ココム」とは、共産圏のうち、中国に対してだけ緩和するための制度である。従って「対中ココムの復活」というのは明らかに間違い)。

 ただ一歩ずつそうした「冷戦」の色合いが濃くなっているのは確かである。「冷戦」とは長期にわたる持久戦の世界である。目先の動きだけを追い求めていてはいけない。

日本が向き合うべき本質がそこにある

 こうした対中警戒感は、ワシントンの政策コミュニティの間ではトランプ政権以前からあった根深い懸念であった。しかし、習近平政権が打ち出した「中国製造2025」が「軍民融合」を公然とうたって、軍事力の高度化に直結する懸念がより高まったのだ。従って、こうした動きは、追加関税のような中国と「取引」をするような短期的なものではなく、構造的なものだと言える。

 トランプ大統領による関税合戦よりも、もっと根深い本質がある、米国議会主導の動きにこそ目を向けるべきだろう。日本がそれにどう向き合うかも問われている。

個別事件に引き続き要注意

 最後に、前出の7月11日のコラムにおいて、「今後、個別事件に要注意」と指摘したところ、その後、FBI(米連邦捜査局)による摘発が相次いでいる。7月中旬には元アップルの中国人エンジニアが自動運転に関する企業機密を中国に持ち出そうとした事件、8月初旬には元ゼネラル・エレクトリック(GE)の中国国籍のエンジニアが発電タービンに関する企業秘密を窃取した事件などだ。

 悪い予想が的中して複雑な気持ちではあるが、ハイテクの世界では、ある意味、日常的に起こっていてもおかしくない。それを捜査当局が摘発するモードになってきていることは今後も要注意だ。

 トランプ氏の言動にばかり目を奪われていてはいけない。米国議会、情報機関、捜査機関など、「オール・アメリカ」の動きが重要になってくる。それが米国だ。

【私の論評】日本は米中新冷戦の影響なし!だが間抜け官僚の誤謬で甚大被害も(゚д゚)!

私は、ブログ冒頭の記事で、トランプ大統領主導の「貿易戦争」から議会主導の「経済冷戦」へと深刻化しているという点は、ほぼ賛成です。

なぜ「ほぼ」かといえば、「深刻化」というキーワードからもうかがえるように、何やら米国の中国に対する制裁が、悪いことのような響きがあるからです。

しかし、日本にとっては、中国は尖閣諸島付近で挑発を繰り返し、多数の核兵器を所有し、それらが今も日本の主要都市に狙いをつけていますし、それに、中共の統治の正当性が脆弱であるがゆえに、日本を悪魔化することによりこれを強化するため、歴史を修正するなどして、日本を貶めるような行動を繰り返しています。いわば、日本にとっては敵です。

さらに、中国は、民主化、政治と経済の分離、法治国家化もされておらず、日米のみではなく、世界の主要先進国とも全く価値観が異なります。

その敵が経済的に弱まることは日本の安全保障にとっては良いことです。たとえ、それが日本の経済に多少悪影響があったにしても、それで中国の経済が弱体化するなら日本にとって良いことです。

さらに、米国大統領の任期は8年と憲法で定められており、トランプ政権が10年以上も続く長期政権になることはないので、ポストトランプでたとえ中国に親和的な大統領になったとしても米国議会により中国に対する制裁が長期間にわたって続くことは日本にとって望ましいことだからです。

今後米国は、トランプ大統領主導の「貿易戦争」から議会主導の「経済冷戦」に移行していくという見方そのものは正しいと思いますし、私としては望ましいことだと思います。

今後米国は、トランプ大統領主導の「貿易戦争」から議会主導の「経済冷戦」に移行していく

そうして、この新冷戦により、かつてソ連が冷戦で崩壊したように、中国の現体制が崩壊すれば、それこそ日本だけではなく、世界にとって良いことだと思います。なぜなら、ソ連や中国のような体制が世界に敷衍されるととんでもないことになるからです。

その他、上の記事では、「トランプ大統領による関税合戦よりも、もっと根深い本質がある、米国議会主導の動きにこそ目を向けるべきだろう。日本がそれにどう向き合うかも問われている」としていて、それへの対応法としては、個別事件について引き続き要注意すべきであることが掲載されていますが、肝心なことが述べられてないように思います。

それは、主に2つあります。

まず一つ目は、現在の世界は供給過多となっており、であればたとえ中国が崩壊したとしても世界経済にはほとんど影響がないという可能性が高いということです。

それについては、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
米中貿易戦争 衝撃分析! 貿易戦争で「中国崩壊」でも心配無用? 世界経済はむしろ好転か…―【私の論評】中国崩壊の影響は軽微。それより日銀・財務官僚の誤謬のほうが脅威(゚д゚)!
中国経済が変調すれば、習近平主席の地位も危うくなるが、他国にとっては歓迎すべき事態か

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事から一部を引用します。
相対的にモノが不足していた、旧来の世界とは異なり、現代の世界は貯蓄が過剰であり、その結果供給が過剰なのです。 
このような世界ではよほど世界需要が急激に拡大しない限り、供給の天井には達しない(ブログ管理人注:要するに、需要が高まり、供給能力が追いつかなるようなことはない)のです。その結果として、高インフレや高金利が近年の先進国では生じなくなったのです。
このような世界においては、確かに中国が崩壊したとしても、日本や米国のようにGDPに占める内需の割合が多い国では、ほとんど影響を受けないでしょうし、輸出などの外需の多い国々では、たとえ中国向け輸出が減ったにしても、中国になりかわり、中国が輸出して国々に輸出できるチャンスが増えるということもあり、長期的にはあまり影響を受けないことが十分にあり得ます。
要するに、中国が崩壊しても、供給過多の現在の世界ではほとんど影響がないということです。そうして、この記事でも強調したのですが、日本では、中国が崩壊することよりも、日本の官僚の誤謬のほうがよほど大きな脅威です。

何しろ、大蔵・財務官僚は過去においては、財務的には、BS(貸借対照表)レベルでは元々日本は全く何の心配ないにもかかわらず、財政破綻するなどといいふらし、過去に消費増税を推し進めた結果、日本経済は現状でもデフレすれすれの状況にあります。現在不況に陥っている韓国よりGDPの伸び率は低いです。

彼らは、あの8%増税がはっきりと大失敗だったとわかった現在でも、日銀と政府を一つにまとめた統合政府ベース(民間企業では連結決算に相当)ではすでに昨年時点で財政再建は終わっているにもかかわらず、無意味な消費増税をしなければならないと政治家やマスコミを煽っている始末です。

日銀官僚も、2013年4月より前までは、何かといえば、金融引締めを繰り返しました。特に、リーマンショックは日本にはほとんど関係なかったにもかかわらず、リーマン破綻後、他国が一斉に大規模な金融緩和をはじめたにもかかわらず、金融引締め基調を崩さなかったため、震源地の米国やEUなどの諸国がショックから立ち直ったあとも、長い間日本だけが一人負け状態デフレと超円高に苦しみました。

私は、個人的にはリーマンショックとは呼称せずに、日銀ショックとこのブログに記載しているくらいです。このようなことから、日本では中国が崩壊したり、米国による制裁よりも官僚の誤謬のほうが、はるかに脅威です。

二つ目は日本の産業構造そのものがここ数十年で変わってしまったため、日本の産業が米議会によりやり玉にあげられる可能性はかなり低下したことです。
【瀕死の習中国】中国国有企業の「負債はケタ違い」 衝撃の欧米リポート―【私の論評】米中貿易戦争にほとんど悪影響を受けない現在の日本の構造上の強み(゚д゚)!
トヨタの米国ケンタッキー工場
これも詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に一部分のみ引用します。
円高下で実現した日本のグローバル・サプライチェーンにより、日本は海外で著しく雇用を生む国になっており、それが所得収支の大幅黒字に現れています。故に日本はもはや貿易摩擦の対象にはなりえない国といえます。日本が貿易摩擦フリー化、為替変動フリー化していることがうかがえます。 
・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・ 
では日本の企業は一体どこで生き延び収益を上げているのかといえば、それはハイテク分野の周辺と基盤の分野です。 
デジタルが機能するには半導体など中枢分野だけでなく、半導体が処理する情報の入力部分のセンサーそこで下された結論をアクションに繋げる部分のアクチュエーター(モーター)などのインターフェースが必要になります。 
また中枢分野の製造工程を支えるには、素材、部品、装置などの基盤が必要不可欠です。日本は一番市場が大きいエレクトロニクス本体、中枢では負けたものの、周辺と基盤で見事に生きのびています。 
要するに、日本産業は超円高下で実現したグローバル・サプライチェーンにより、海外で著しく雇用を生む国になったので、米国の経済制裁の対象にはなりにくいということです。

さらに、日本の産業構造は、ハイテクを支える、素材、部品、装置などの基盤や周辺部分で必要不可欠とされる部分に特化しているため、米国の経済制裁の対象とはなりにくい体質になっているのです。

わかりやすく言うと、たとえばアップルがこれから、奇抜でみたこともないような、ガジェットを生み出そうとした場合、日本の素材、部品、装置などが必要不可欠であるということです。

もう一度簡単にまとめると、供給過剰の現在の世界はたとえ中国が崩壊したとしても、ほとんと影響なく、さらに日本の産業構造は米国の経済対象の対象とはなりにくい体質になっているというとです。

ということは、今後の日本は米中経済戦争には全く影響されることなく、繁栄の道を歩むことになるということです。ただし、唯一の脅威は、間抜け官僚の誤謬だということです。

いくら、産業構造が米中経済冷戦の影響を受けないからといって、日本の輸出がGDPに占める割合はたかだか10%台にすぎません、個人消費が60%台を占めているのです。

官僚の誤謬でマクロ経済政策である金融・財政政策を間違えれば、この60%がかなり減少して、とんでもないことになります。

日本では、米中新冷戦が苛烈になっても影響は受けませんが、また間抜け官僚の誤謬で国民全体が大打撃を受けるという脅威は捨てきれません。

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2017年7月3日月曜日

小池都知事の急所と安倍政権の「これからの秘策」を明らか にしよう―【私の論評】都議選敗退で国政に影響なし、首相憲法改正まっしぐら(゚д゚)!

小池都知事の急所と安倍政権の「これからの秘策」を明らか
にしよう

原点回帰」がキーワードだ



  妙手連発

2日に行われた東京都議選は、小池新党である都民ファーストの会の圧勝だった。

都民ファーストは、選挙前勢力の5からほぼ10倍の49議席をとった。都民ファーストと選挙協力を行った公明党は選挙前23と同じ23、自民党は選挙前57から大幅減の23、民進党は選挙前18から激減しての5、共産党は選挙前17とほぼ同じ19だった。

都民ファーストの大躍進は、自民と民進を食った形だ。

東京都議選は、1人区(小選挙区)と2~8人区(大選挙区)の並立制で行われている。1人選挙区は千代田区など7区、大選挙区はそのほか35区だ。これは、普通ならそれほど大きく変動の起こらない選挙制度であるが、1人選挙区7つのうち、都民ファーストは6人、大選挙区でも43人が当選した。

都民ファーストの勝因は、何にも増して小池都知事の魅力である。これは、大阪維新の会が橋下氏の人気で持っているのと同じである。政策と言うより、行政を変えていこうという姿勢や、この人なら何かをやってくれるという期待からの指示であることは言うまでもない。

地方行政の選挙の場合、たとえば公約をみると細かく生活に密着している話は多いが、テーマが多種多様にわたっているので、ワンイシューにまとめにくく、なかなか政策議論になりにくい。

東京の場合、2020年の東京五輪を控えているので、五輪の顔として小池都知事は絶対的な存在になる。であれば、議会も小池都知事をサポートするような体制が望ましいと、多くの都民が考えたのだろう。

豊洲移転問題は確かに争点であったが、これについても小池都知事は絶妙なハンドリングを行った。筆者は、本コラムで書いていたように、サンクコスト論と豊洲・築地の科学的なリスク評価のみで考えても、豊洲に移転するのが合理的な帰着であると主張してきた。

ところが、小池都知事の老獪なところは、この単純明快な答えをすぐには出さずに、政治的なタイミングをはかって、都議選の直前に打ち出したことだ。これは「一周遅れ」との批判を招いたが、そのとき同時に、「築地を再開発する」ともいっている。豊洲と築地の両方にいい顔をしただけと見ることもできるが、これが効果的だったということだ。

政策論としては、「築地再開発」は筋悪である。食のテーマパークを作るという主張についても、無理して施設を作ることは可能だが、問題はその後どのように黒字経営できるかの見通しを示せてはいない。思いつきレベルの話で、どこまで収支計算ができるかわからないし、実際、詳しい収支計算はやっていないようだ。

選挙前の話なので、方向性だけを示しておいて、その後、「やっぱりやめます」と取り消すことも可能なしろものである。しかし、選挙向けと考えれば、実に計算された「政治的な妙手」である。

なにより、小池都知事はメディアの動向を読むのがうまい。国政レベルで、森友・加計学園問題が「もりそば・かけそば」と揶揄され、本コラムで書いたようにいずれも「総理の関与」も「総理の意向」もないにもかかわらず、イメージだけは確実に悪くなるような報道がなされた。

それだけではたいしたことはなかったはずだが、都議選終盤において、豊田真由子議員の信じられない暴言、稲田朋美防衛相の失言は、あまりにわかりやすく、これが決定的に都議選へ悪影響を及ぼしたといわざるをえない。これらの暴言・失言は、小池都知事の豊洲移転の失敗を覆い隠すとともに、自民党の自滅を誘った。小池氏はとにかく運がいい。

さて、この都議選が国政へなにか影響を及ぼすのだろうか。

   結局、国政には影響なし…?

無論、自民党はこれだけの大敗をしたのだから、影響がないはずない。有権者は、国政選挙が当分ない安倍政権への「お灸」をすえたのだろう。

一方で、この影響が国政に直接響くとは言えないだろう。そもそも都議選は地方選挙であり、国政選挙でない(当たり前のことで恐縮だが)。民進党、共産党が大躍進でもしない限りは、国政での自公連立は揺らがないだろう。というのは、都民ファーストが勝ったのは、公明党の勝利という見方もできるからだ。

かなり乱暴な言い方であるが、自公連立政権としては、都民ファーストが勝っても自民が勝ってもどちらでも良かったともいえる。

都民ファーストが勝利したが、2020年の東京五輪を控えて、小池都知事が国政で自公政権と対立するとは思えず、むしろ協力関係を築くことになるだろう。都民ファーストの勝利は、自民党都議の議席を減らすと同時に、民進党にとっては「虎の子の民進党都議」を小池都知事にとられただけ、になる可能性が高いのだ。

東京都における都民ファーストの躍進は、大阪における維新の台頭と表面的には似ているとも言える。大阪では維新の会は自民党と競合しているが、大阪万博やカジノ誘致のために、国政では安倍政権と協力関係にある。小池都知事が率いる都民ファーストは、2020年東京五輪があるので、同じように安倍政権と協力関係にならざるを得ないだろう。

実際、小池都知事の発言をよく読むと、安倍政権の批判はしていない。安倍首相も、小池都知事を名指しで批判していない。このあたりは、今後の協力関係を想定しているかのようだ。

それでは、国政は今後どうなるのだろうか。安倍首相は、2020年に憲法改正を施行するというスケジュールで進めており、当然のことながら、これを中心として、今後の政治スケジュールが進んでいくだろう。

「2020年憲法改正施行」から逆算すると、憲法改正の国民投票は遅くとも2019年夏までに行われることになる。国民投票だけで憲法改正の賛否を問うことも可能であるが、政治的な常識からは、2019年夏の参院選か、2018年12月に任期終了する衆議院と同じタイミングで国民投票にぶつけるのだろう。

初めての憲法改正であるので、周知期間を長くとるために、2018年中のおそらく後半に衆議院解散をして、国民投票と総選挙との「ダブル選挙」を行うことがメインシナリオではないかと筆者は考えている。そのとき、2019年10月から予定されている10%への消費増税の是非も争点になるはずだ。安倍政権は、憲法改正、消費増税凍結で、国民投票と総選挙のダブルを仕掛けてくると筆者はにらんでいる。

国民投票の手続きには、国会の発議が必要だ。衆院議員100人以上、参院議員50人以上の賛成により、憲法改正案の原案が発議され、衆参両院の憲法審査会で審査したうえで、両院の本会議に送られる。ここで両院議員のそれぞれ3分の2以上が賛成し、可決されると、国会での憲法改正の発議となる。国民投票は発議の日から起算して60日以後180日以内に行われるが、ここも初めてのことなので、最大の180日を採ることにになるだろう。

であれば、憲法改正の発議は、2018年6月までに行われることとなる。つまり、来年の通常国会中に発議するというわけだ。

   政局を起こしたいならば…

こういう今後のスケジュールをみれば、先日、安倍首相が「秋の臨時国会で自民党の憲法改正案を示したい」と発言したのはうなずける。秋の臨時国会までに、各党の憲法改正案を示して、来年の通常国会での発議を目指しているのだ。

さて、秋の臨時国会までに必要なのが内閣改造だ。今年の通常国会では、閣僚の失言などが目立ったので、秋の臨時国会に備えて、内閣の体制強化が求められている。もっとも、内閣改造すると、どうしても「適齢期」などを考慮して処遇せざるを得ない人物も出てくるので、必ずしもいいことばかりでない。

内閣改造の後、第二次安倍政権の原点回帰ともいうべき経済政策の強化のために、秋の臨時国会で補正予算が打ち出されるだろう。通常国会では、森友学園・加計学園と、国政ではどうでもいいような話題に対してマスコミ・野党の激しい思い込みが炸裂し、政策論争が行われなかった。

秋の臨時国会では、実りある政策論争をするために、補正予算を出すだろう。と同時に、来年後半の国民投票・衆院選のダブル選に向けた環境整備も行われるだろう。

もっとも、政局的には、都議選での自民党惨敗によって、自民党内での安倍政権への逆風が吹くことのほうが、民進党、共産党等の野党の動きよりも不気味だろう。それが見えてくるのは、秋の臨時国会までに行われる内閣改造のタイミングである。

ここで、反安倍の動きが出るかどうか、ここが正念場である。強い逆風が吹くようであれば、2018年後半での、国民投票と衆院選のダブル選のメインシナリオも変化する可能性も出てくる。

しかし、ここでひとつ釘を刺しておきたいのは、政権に対して逆風を吹かせるにしても、それに政策論が伴うかどうかが重要、ということだ。政策論としては、安倍政権下の雇用環境は歴代政権の中でも最高のパフォーマンスであり、これでは政局を起こそうにも、大義名分が生じない。

政局を仕掛けるなら、アベノミクス(特に金融緩和)の成果を上回る雇用を生み出し、それを提示しなければ、国民から見ればいい迷惑であることも付け加えておこう。

【私の論評】都議選敗退で国政に影響なし、首相憲法改正まっしぐら(゚д゚)!

ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事にもあるように、今後の安倍政権の動きとしては、やはり憲法改正が最大のものとなることでしょう。以下に、2020年に改正憲法を施行する場合そうていされるいくかつのスケジュールを掲載しておきます。


安倍政権としては、その時々で政局をみながら、いずれかのスゲシュールで20年の改正憲法の施行をやり遂げることでしょう。

そうして、いずれのスケジュールを採用するにしても、憲法改正のためには、政権を安定させる必要があります。なるべく支持率が高い時に、国民投票にぶつけたいと考えるのは間違いないです。

そのためには、国民投票が行われる時期には、経済がかなり上向いているか、あるいは上向きつつあることが多くの国民に実感できるようになっている必要があります。

そのため、2019年10月から予定されている10%への消費増税は、延期もしくは景気が上向くまで無期限延期にすることが考えられます。いずれにせよ、これに関してはいずれかの国政選挙での公約にすることでしょう。

このあたりは、大規模な政局に発展する可能性があります。昨日のこのブログでも述べたように、骨太の方針から「増税」という言葉がいっさい消えました。

この動きに、消費増税を「省是」としている財務省は神経を尖らせています。表立っては動けないのですが、いろいろと手を回しているようです。その一例が、このブログでもとりあげた自民党内の「反アベノミクス」勉強会の発足支援です。

安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に否定的な自民党有志による「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」(野田毅会長)が15日、2回目の会合を国会内担当で開き、石破茂前地方創生相ら議員約30人が出席しました。講師の早川英男元日銀理事は「デフレ脱却による高成長は幻想だ」とアベノミクスを批判し、石破氏は記者団に「原油安と円安に頼る経済政策であってはならない」と述べました。

講師の早川氏は、「金融緩和するとハイパーインフレになる」と言っていたエコノミスです。今のところそのようなことは起こっていません。

一方安倍政権は、ノーベル賞学者であるスティグリッツ氏やシムズ氏の意見を参考にし、必要なのは財政健全化よりもむしろ財政出動である、としています。彼らは、政府の財政状況を見るとき、実質の「子会社」といえる日銀を含めた「統合政府」のバランスシートで見るべきで、そうすれば特に財政上の問題はないことがわかると主張しています。

ここのところ、政権と「反安倍」の政治闘争が過熱してきています。「骨太方針」で消費増税の文言が消えたのは、本格的な政治闘争が幕を切った合図であると考えられます。

この政治闘争に当然のことながら、野党、マスコミ、自民党の反対派も参戦します。いかに、安倍政権側が多勢に無勢であるか理解できます。しかし、自民党内の反対派の活動も意外と小さなものになるのではないかと思います。

何しろ、都議選では大敗したものの、国政では内閣支持率が低下したとはいうものの、まだまだ安倍自民党は強いです。最近は下がったとはいえ、過去の内閣支持率の推移をみると、特に政権末期にはどの内閣もかなり支持率を落としています。安倍第二次政権が成立以来、三年以上の月日がたっていますが、これを考えるとまだまだ驚異的に高いです。


今回の都議選では、民進党も大敗を喫しました。そうして、高橋洋一氏は今回の都議選の結果は、自民党にとっては国政にはあまり影響はないだろうとしたものの、民進党では国政レベルでも大きな影響が出てくるのは必至だと思います。

民進党は4月に党内きっての実力者である細野豪志氏が代表代行を辞任。さらに都連幹事長の長島昭久氏も党を離れました。都議選を仕切る立場の人間が直前に党を離れるようでは、勝ち目などあるわけがありません。その後も次々と離党者が相次ぐさまは、まさに沈む船からネズミが逃げるような状況です。

都議会では、『東京改革議員団』という会派名に改称し、“民進”という名前を消しましたが、民進党といえば蓮舫氏。知名度が抜群なのは政治家にとって大きな武器ですが、彼女の二重国籍問題がまだ尾をひいています。

蓮舫代表の地元・東京での敗北は結果責任をまぬがれないとの見方がありましたが、自民党への逆風が強まり、民進党は選挙前よりわずかに党勢を回復しました。党内の非主流派が「蓮舫降ろし」に動く気配はなく、蓮舫氏は代表を続投する方針です。

民進党の野田佳彦幹事長は3日の記者会見で、東京都議選で現有議席を下回った情勢に対する蓮舫代表の責任に関し「『選挙の顔』がそんなに他にいるのかどうか。(蓮舫氏は)責任を果たし続けて結果を次に渡すという確固たる決意を持っている」と述べ、引責辞任の必要はないとの認識を明らかにしました。


当初は『議席ゼロ』の予測もありましたが、それは免れたため、代表を降ろす口実はなくなったということのようです。知名度が高い彼女を切れば、民進党は本気だとアピールできたと思いますが、このまま蓮舫代表が続投ということですから、民進党が国政レベルで勢いを増すということは当面あり得なくなりました。

もし民進党が大きな力を持てば、当然のことながら、自民党内にもこれに脅威を感じて、安倍おろしなどの風も吹きかねませんが、この状況だと、少なくとも自民党内の安倍政権反対派がさほど大きな力を持つということは考えにくいです。

さらに、昨日にも述べたように、小池百合子氏は、積極財政にはあまり関心がないので、やはり小池氏を中心とする勢力も国政にはあまり大きな影響を及ぼすには至らないこととが予想できます。

そうなると、安倍政権が初心にもどり、さらなる量的金融緩和を実施したり、大規模な積極財政に踏み切れば、経済が安定し、国民の支持も増え、憲法改正はかなりやりやすくなると考えられるとともに、安倍政権が長期政権になる可能性も開けてくることになります。

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2017年6月29日木曜日

都議選の結果で国政への影響は… 民進は「虎の子」の都議を小池氏に奪われるだけかも―【私の論評】積極財政に無関心の小池知事は国政に影響を与えられない(゚д゚)!


都議選の応援をする小池知事

 7月2日に投開票される東京都議選では、何が争点となっているのだろうか。

 民進党や共産党では、トップである代表や委員長が加計学園問題や改憲など、国政問題を掲げている。一方、自民党の幹部や公明党の代表は、豊洲市場への移転問題など都政を訴えている。都議選なのに国政問題を訴えるのは場違いに思えるが、テレビに露出するだけでいいという考え方なのだろうか。

 事前の世論調査をみると、選挙戦では、都民ファーストの会と自民が熾烈な議席獲得競争を続けており、民進、共産は厳しい戦いのようだ。

 国政では、安倍晋三政権が支持率をやや失っており、地方の都議選とはいえ、本来なら民進や共産に有利に働いてもおかしくない。しかし、その批判票は今のところ都民ファーストが受け皿になっている。

 一方で、豊洲移転をめぐる迷走で、都民ファーストへ流れた批判票も一部は自民党に回帰している可能性もある。両党の競争の結果として、民進、共産が切り崩される展開となっているもようだ。それが、冒頭のように民進、共産が国政の課題を訴える背景になっている。

 都議選の現場では都民ファーストと自民は競っている。都民ファーストを率いる小池百合子知事が最近表明した「豊洲移転・築地再開発」の評判は良くない。豊洲と築地の両方にいい顔をしただけと見る人は多い。

 筆者としても、本コラムで書いたように、豊洲への移転は、サンクコスト(埋没費用)論と、豊洲・築地の科学的なリスク評価のみで合理的な帰着である。しかし、「食のテーマパーク」としての築地再開発についてはさっぱりわからない。

 無理してテーマパークのような施設を作ることは可能だが、問題はその後どのように黒字経営できるかだ。思いつきレベルでどこまで収支計算ができるか分からないし、そもそも都庁が口を出さずに、民間に売却して再開発してもらった方が政策の「打率」もいいだろう。そうした不合理性が都民に浸透すれば、都民ファーストの戦いも苦しくなる。

 逆に、今の小池ブームの勢いが続けば、自民が苦戦するだろう。しかし、これが国政に影響するとは必ずしも言えないのではないか。民進、共産が大躍進しない限りは、国政での自公連立は揺るがないからだ。というのは、都民ファーストが勝てば公明の勝利、自民が勝てば自民の勝利なので、かなり乱暴な言い方ではあるが、国政における自公政権としては、どっちが勝ってもいいともいえる。

 都民ファーストが勝利しても、2020年の東京五輪を控えて、小池都知事が国政で自公政権と対立するとは思えず、むしろ協力関係になるだろう。民進にとっては「虎の子」の都議を小池知事に奪われるだけになる恐れもあるのだ。

 いずれにしても民進や共産が期待する国政の混乱にはなりそうもない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】積極財政に無関心の小池知事は国政に影響を与えられない(゚д゚)!

高橋洋一氏の読みは正しいと思います。都民ファーストの会が大勝利したとしても、国政にはあまり影響はないでしょう。

国政に関して、なぜ安倍政権が一強になるかといえば、それは経済対策に関して、野党や自民党内の他の幹部クラスと比較して、まともであるということがいえます。

特に金融政策は未だ不十分とはいいながら、安倍政権が政権の座についてからは、緩和に転じたため、現状では若者雇用を筆頭にかなり雇用環境が良くなっています。

一方、マスコミ全部と与野党の政治家が8%増税に大賛成し、しかもこの増税は日本経済に与える影響は軽微としたため、やむなく増税に踏み切ったところ、軽微であるどころか、甚大な悪影響を与え、個人消費が伸び悩みGDPの伸びはいまいちというところで、今のままではまた何かがあればデフレに戻りかねない状況です。

実際に、8%増税の悪影響で、税収も減っています。2016年度の国の一般会計税収が55兆5千億円前後にとどまり、15年度の56兆2854億円を下回ったことが28日分かりました。前年度割れはリーマン・ショックの影響で税収が急減した09年度以来7年ぶりです。


政府は16年度税収に関し、当初予算の段階では15年度を上回り57兆6040億円に達すると見込んだが、昨年末の補正予算で1兆7440億円下方修正し、55兆8600億円に減少すると見積もり直しました。

この税収減少については、マスコミは8%増税の悪影響であることを報道しませんが、これは以前にもこのブログにも掲載したように、増税による個人消費の減退は明らかで、これが税収の減少につながつていることは明らかです。

日経新聞は、昨秋までの円高で企業収益が伸び悩み、法人税収が低迷したことが響いたなどとしていますが、これよりも個人消費の落ち込みが大きかったことは明らかです。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
なぜ日本の「実質GDP成長率」は韓国以下のままなのか?―【私の論評】緊縮会計をやめて消費税も5%に戻せ(゚д゚)!
 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では8%増税の悪影響について掲載しました。

この記事から、一部分を以下に引用します。
日本国民は、長期化するデフレの中で、ながらく消費支出を抑えてきたが、2012年終盤以降、現在の安倍政権発足と「アベノミクス」によるデフレ脱却の機運の高まりの中で、消費性向は急上昇した。 
2014年4月の消費税率引き上げ直後も、その余勢(もしくは、長年のデフレによる「倹約疲れ」も影響してか)からか、消費性向はすぐには低下しなかったが、2014年の夏場以降、急速に低下し始めた。 
この間、景気回復のモメンタムは失われたが、雇用環境の改善は続いたため、全体としての賃金(統計的には雇用者報酬)の増加は続いた。だが、賃金の回復局面にもかかわらず、消費性向の低下(及び、貯蓄率の上昇)はむしろ、加速度的に進行した。
そして、消費性向の低下の推移をみると、特に加速度的に低下が進行したのは2016年半ば以降であった。 
思い起こすと、ちょうど2016年6月に、安倍首相は、2017年4月に予定していた消費税率再引き上げの先送りを発表した。この決定自体は、当時の経済状況を考えると「英断」であったことは間違いない。ただ、問題は、次の消費税率再引き上げを2019年10月に単に「先送り」しただけであったという点だと考える。 
多くの国民は、「2017年からの消費税率引き上げはなくなったが、いずれかの時点(この場合、2019年10月)で消費税率の引き上げは実現し、場合によっては、それだけでは終わらず、将来的にはさらなる増税も実施されるに違いない」ことを想定して、「節約志向」を変えなかったと推測される。そして、この流れは現在も継続中ということなのだろう。
さて、長々と日本経済の現状について掲載してきましたが、結局何が言いたかったかといえば、確かに8%増税には失敗しましたが、金融緩和のほうはそれなりに効果がでてきて、雇用状況はかなり良くなっているということです。これが、安倍政権一強の最大の要因です。

さて、実はこの事実には、都民ファーストの会が将来国政において大躍進できる機会がったかもしれません。

そうです。東京都が日本全国に先駆けて、積極財政に踏み出せば、東京都のGDPは全国に先駆けて上昇し、金融緩和+積極財政で、経済が上向き東京都はデフレから完全に脱却して、物価も上昇、実質賃金もはっきりと上昇傾向になり、この業績をもって小池知事が国政に積極財政を標榜して再び参画すれば、都民ファーストの会は国政レベルで相当躍進したかもしれません。

さらに、積極財政を標榜し、無論さらなる量的緩和も実施することを標榜し、国政に打ってでれば、国政でキャスティング・ボードを握り、それこそ近い将来に初の女性総理大臣登場ということにもなったかもしれません。

しかし、小池知事はこのせっかくのチャンスを棒に振ったかもしれません。なぜなら、小池知事はどうも積極財施などはなから念頭にないようなのです。

たとえば、今年の2月28日、東京都議会定例会の本会議が開かれ、各会派による代表質問が行われたときに、最初に質問に立った最大会派自民党の高木啓幹事長(51)は、いきなり「個人都民税の10%削減を提案したい」と切り出したのですが、小池氏はこれを一蹴してしまったからです。

高木氏は小池百合子知事(64)が昨年、知事給与を半減させ、議会も議員報酬を2割削減することを可決したことを指摘した上で、「来年度予算案で720億円の歳出削減しているので、成果を直接都民に還元することは、都民福祉の向上に結びつく」と理由を説明。減税規模は約880億円に上るとの見通しを示ししました。

この減税提案は他会派から「知らなかった」との声が上がる完全な“隠し球”。これに対して答弁に立った小池氏は、この提案を一蹴したのです。
 「高額所得者ほど減税額大きくなる。税の公平性の観点から問題がある。都市と地方の税収格差が問題視される中で都富裕論から財政調整の動きに拍車をかけることになりかねない。慎重に戦略的な対応をすべきだ」
代表質問を終え小池知事の前を通って自席に戻る自民高木啓議員
加えて2017年度予算案で無駄なコストを削って捻出したとする720億円は、「待機児童など必要な政策に思い切って投じ、都民に還元している」とすでに使い道が決まっているとかわされました。

質問終了後、記者団に対して高木氏は「議会は自らの待遇を引き下げた。その成果が自己満足で終わってはいけない」としたうえで、「財源の問題も含め唐突なことではなく、背景があってこの問題提起した。確実にできる目標」と強調しました。

この高木議員の「個人都民税の10%削減を提案」に関しては、ひょっとすると本人は積極財政などという考えはなかったかもしれません。単に、節約できたから、それを都民に還元すべきという程度の主張なのかもしれません。

しかし、本人が意図しようとしまいと、積極財政の提案であることにはかわりありません。もし、小池氏が国政レベルでの積極財政を推進すべきであるとの考えを持っていれば、ここまではっきりと否定することはなかったと思います。

積極財政といえば、国政でなくとも、都政でもできることはあるのです。高木議員の提案はその一つにすぎません。

実は東京都には、他にもデフレ的経済と闘う手段があります。これは、経済学者の田中秀臣氏が提案していたのですが、東京都で地域通貨(アービング・フィッシャー流の日付け貨幣というもの)を発行するという方法もあります。

この地域通貨と、現在行われてる地域通貨と決定的に違うのは、これを取得したものは一定期限に利用しないと事実上のペナルティ(追加の増税)を受けることにあります。最寄りの地方自治体の窓口に行き、この「日付け貨幣」を受け取った者(希望者に限定する)は、一定の期間に消費してしまわないと、むしろ追加の税負担を要求されるのです。

そのためこの追加の税負担を避ける目的で、「日付け貨幣」を得たものは積極的に消費する、という政策の枠組みです。これに類した政策の枠組みは多数あります。要はやる気の問題なのです。

東京都の経済が活性化すれば、都の財政状況も改善し、必要な社会保障などの財源として貢献することでしょう。だが、いまの東京都の現状では、むしろ低所得者層の状況を悪化させている消費増税の負担で、社会保障を充実しようという倒錯した形になってしまっている。そしてそれは東京都だけではなく、日本全体の縮図でもあるのです。

だからこそ、東京都が何らかの手段で、積極財政に転じて、東京都が他に先んじて、全国に先駆けてデフレから完全脱却し経済を良くすれば、都民フアーストの会は国政でも勢いを増し、その結果として、小池百合子氏が国政でキャスティング・ボードを握るということもあり得たかもしれないのです。

そうして、もしそうなれば、豊洲への移転問題など、さして問題にされなくなったかもしれません。そうして、もし小池氏がこの道をすすむというなら、私としては大歓迎です。であれば、私は都民ファーストの会を応援し、日本初の女性首相の誕生を待望したかもしれません。

さて、小池百合子氏が積極財政にあまり関心がないことを示す客観的事実はこれだけではありません。

これは、2008年 にまだ自民党に属していた、小池百合子氏が、総裁選に出馬したときの公約をみると良くわかります。

当時の公約について書かれている記事を見つけました。そのリンクを以下に掲載します。
自民党総裁選:小池百合子氏の公約
9月10日、小池百合子元防衛相は自民党総裁選公約で日本が
生かしきれていない潜在力を十分発揮できるよう
戦略的に取り組むことが必要との認識を示した

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この公約から経済政策のみを以下に拾ってみます。

"
 4.「経済力」

(1)財政政策は「財政に家計の常識を入れる」ことを基本にする。

  ・「借金依存の贅沢はしません」=赤字国債増発による景気対策は打たない。

  ・「資金繰り計画を変えません」=2011年度までの財政再建目標は堅持する。

  ・「ヘソクリを今こそつかいます」=構造改革の果実や特別会計の余剰金等を使う。

(2)当面の景気対策について

  ・必要な財源は特別会計の剰余金(いわゆる霞ヶ関埋蔵金)として、財政出動の部分は「経済力」「環境力」「女性力」を強化するという観点から再検討する。

(3)今後の経済財政運営は以下のように考える。

  ・マクロ経済政策運営としては、変動相場制のもとでの財政出動には効果がないとの認識に基づき、金融政策を中心として、必要に応じて減税政策を行い、個別業界へのばらまき財政支出は行わないことを基本とする。

  ・日本がもっている「もったいない力」を生かしきれば2.5─3%以上の経済成長をする実力を持っている。

  ・名目成長率4%を巡航速度とする先進国で一般的な経済の姿を実現する。その結果10年以内に、国民一人当たりGDPを18位から5位に引き上げる。

  ・2011年度の基礎的財政収支黒字化目標は堅持し、増税の前に、無駄の削減、公務員給与の更なる削減、政府資産売却などを徹底的に行う。

(4)借金依存体質に「リバウンド」させてはいけない。

(5)税制改革については以下のように考える。

  ・現在の石油関連税制を総合的に見直して、CO2排出量に応じた一般財源としての「炭素税」に切り替える。

  ・国税は、国税の原則である「応能税、人税、累進的課税」に基づくもので構成すべき。消費税は道州制導入の際に、地方の基幹的税として州政府に税源移譲すべき。

  ・相続税は、高齢者介護の社会化が進んでいること、高齢者の資産格差が拡大しており、この格差を次世代が継承することは望ましくないとの社会的公正の観点から、広く薄い資産課税を適正に行うものとして、福祉財源に充当する。

  ・経済活性化の観点からは、法人税減税の引き下げ、ファンドマネージャー課税の撤廃等の税制の国際標準化を行うべき。法人税率については、地域振興のための法人税減税特区を実現する。

  ・中小企業向けの欠損金繰り戻し還付制度を確立する。黒字から赤字転落した中小企業の納付済み法人税を3年前までさかのぼって還付し、中小企業税制の国際標準化により競争力を高める。

(6)海外の豊かさを日本に取り込む。

  ・羽田空港を24時間化するとともに全国主要都市の国際空港機能を強化して、日本をアジアのヒト・モノ・カネの中心とする。

  ・2013年の農林水産物輸出額1兆円の政府目標を順守する。

  ・国民の豊かさの定義を拡充するため、GDPからGNI(GDP+海外からの純所得)を重視すべき。

  ・英語教育を徹底する。とりわけ公教育における小学校英語教育を拡充する。

"
なにやら、頓珍漢な内容です。特に、"財政政策は「財政に家計の常識を入れる」ことを基本にする"というのは、どういうことなのでしょうか。家計のように、とにかく借金を減らすというプライマリーバランス至上主義であるとしかうけとりようがありません。

マクロ経済政策運営としては、"変動相場制のもとでの財政出動には効果がないとの認識に基づき、金融政策を中心として、必要に応じて減税政策を行い"としてはいるのですが、ではこれと財政政策とはどう折り合いをつけようというのか、理解できません。

しかし、財政政策を筆頭にあげているので、やはり、財政政策を優位におき、マクロ経済政策による景気変動対応型の金融緩和、積極財政はあくまでも従という取扱のようです。

やはり、安倍総理が後にあげた、三本の矢である、金融政策、財政政策、成長戦略(成長戦略はとってつけたようなもので不要だったと私は思うが)とは随分異なるものです。

やはり、小池知事の頭の中は、積極財政は従という扱いであるとしか思えません。

これでは、その他大勢の国会議員と大同小異で、安倍政権に対して優位性を保ったり、キャスティングボードを握ることは不可能です。2008年から時もたっているので、小池百合子氏も考えかを変えたかもしれないと思う人もいるかもしれませんが、この時点で財政優先の考えを持っている議員でその後考えを変えた人は与党にも野党にも存在しません。小池知事だけが、例外であるとは考えにくいです。

そうなると、豊洲移転への不手際や、築地市場の失敗も目に見えるてくるでしょうし、都民ファーストの会が国政で大きな影響を与える機会も訪れることはないでしょう。今回の都議会選挙では勝利するかもしれませんが、その後は線香花火のような状況になり、少数政党として、いずれ消えていくか、他の党に吸収されて終わりということになると思います。

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2017年6月28日水曜日

米国人青年の悲惨な死が日本人拉致事件に与える影響―【私の論評】我が国は拉致被害者奪還作戦を展開できる国になるべき(゚д゚)!

米国人青年の悲惨な死が日本人拉致事件に与える影響

北朝鮮の非人道的な虐待に全米が怒り心頭

16日、北朝鮮・平壌の最高裁で判決後に法廷から出るオットー・ワームビア氏
北朝鮮による拘束からようやく解放された米国人青年が、帰国して間もなく死亡した。6月19日のことである。

この青年の悲惨な死は北朝鮮政府の非人道的な行いを改めて全世界に見せつけた。とくに米国では、トランプ大統領から一般国民まで北朝鮮に対する激しい怒りが沸き起こった。この事件は、日本人拉致事件にも意外な影響を及ぼしそうである。

   深刻な損傷があったワームビア氏の脳

 米国のバージニア大学の学生、オットー・ワームビア氏(22)は北朝鮮の刑務所から解放され、6月12日に出身地の米国オハイオ州の病院に入院した。だが同19日、その若い命が失われた。

 ワームビア氏は2016年1月、北朝鮮を観光目的で訪れ、出国直前に平壌の滞在先ホテルに貼られた政治ポスターを盗んだとして逮捕され、15年の「労働強化」という懲役刑に処せられた。オバマ政権は、北朝鮮の強制収容所に拘束された同氏の解放を水面下で求め、トランプ政権も要求を続けた。

 この6月に入って、北朝鮮政府はトランプ政権の要求に応じた形で、ワームビア氏を解放する方針を米側に伝えた。そして実際に解放したのだが、同氏はその時点ですでに昏睡状態にあった。北朝鮮側が撮影した映像には、長身の同氏が北朝鮮の係官に両脇を支えられ、やっとのことで歩を進める痛々しい姿が収められていた。

 北朝鮮政府はワームビア氏が昏睡状態にある理由を「ボツリヌス菌の感染」と発表した。ボツリヌス菌とは汚染した土壌や食品から生まれる珍しい毒性のバクテリアで、人間の体内に入ると、けいれんや麻痺の重症を起こすという。

 ところが米国の医療機関がワームビア氏の身体を検査したところ、ボツリヌス菌はまったく発見されなかった。その代わり、同氏の脳には数カ所に深刻な損傷があったという。米国側では、脳損傷の原因は、外部からの打撃、あるいは特殊な薬品の注入だとみている。入院から1週間後の6月19日午後、ワームビア氏は昏睡状態のまま病院で死亡した。

   米国の対北朝鮮政策は一段と強固に

 ワームビア氏が死亡すると、米国では、北朝鮮は自分たちの虐待によってワームビア氏の生命に危険が及んだため、あわてて同氏を解放し、昏睡の原因について虚偽の主張をしたのだとする認識が広まった。同氏の両親が記者会見をして、北朝鮮当局による虐待があったと非難したことも国民の怒りをエスカレートさせた。

 トランプ大統領は「北朝鮮当局の残虐な行為を非難する」という声明を出した。議会でも超党派で「北朝鮮の非人道的行為を許してはならない」(共和党のジョン・マケイン上院議員)という糾弾が表明された。

 米国メディアも、ワームビア氏の衰弱しきった画像を繰り返し流し、北朝鮮の責任を追及する論調を打ち出した。

 これまで米国は 基本的に北朝鮮の核兵器開発、ミサイル開発などを非難の対象としていた。しかし、今回ワームビア氏が死亡したことで、北朝鮮の人権弾圧にも批判の矛先が向けられることは避けられない。トランプ政権の対北朝鮮政策は一段と強固になるだろう。

    WSJが日本人拉致事件を詳しく解説

 米国の国政の場では、北朝鮮に拉致された疑いが濃厚な元米国人学生、デービッド・スネドン氏への関心も改めて高まりつつある。スネドン氏は2004年夏に中国の雲南省で北朝鮮工作員に拉致された可能性が高く、現在は平壌で英語を教えているという情報もある。

 米国議会下院は昨年9月、米政府にスネドン氏の本格的捜索を始めることを求めた決議を採択したが、今回のワームビア氏の悲劇によって、スネドン氏捜索の動きは加速するとみられる。

 同時にワームビア氏の死は、米国で「北朝鮮による日本人拉致事件」への関心も高める結果となった。ワームビア氏を不当に拘留し、虐待し、しかも平然と嘘をつくという北朝鮮のやり口が、日本人拉致事件と同様だからである。

 米国大手紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」(6月16日付)は「ワームビア氏は帰国したが、他の人たちはまだ帰ってこない」という見出しの記事で日本人拉致を詳しく解説した。

 この記事は、北朝鮮に拉致されたことが確認されている横田めぐみさんの事例を取り上げ、北朝鮮当局が2004年にめぐみさんの「遺骨」の偽物を送ってきた経緯を報じていた。その際、北朝鮮が日本に報告した虚偽の内容は、今回、ワームビア氏の症状について述べた嘘と同様だという。記事では、めぐみさんの母の横田早紀江さんが「ワームビア氏の悲劇に心から同情します」という趣旨の感想を述べたことも報じられた。

 ウォール・ストリート・ジャーナルの同記事は、今後、米国当局が日本との協力を深めて、外国人拉致を含む北朝鮮の人権弾圧への糾弾を強めることを訴えていた。

 他の米国メディアでも、今回の事件を報じながら日本人拉致事件に言及する報道や評論が少なくなかった。米国人青年のこの悲劇は、北朝鮮に今なお拘束されている米国人や日本人の解放を早める契機となるはずである。

【私の論評】我が国は拉致被害者奪還作戦を展開できる国になるべき(゚д゚)!

本日は、特に分析するようなことはしませんが、この事件に関する事柄を以下にまとめておきます。

北朝鮮外務省の報道官はワームビア氏が死亡した日、「ワームビア氏の送還のために北朝鮮を訪問した(米国)医師が、我々が心臓がほぼ止まったワームビア氏を救って治療したことを認めた」とし「ワームビア氏が死亡したのは労働教化中の拷問と殴打を受けたためという事実無根の世論が広まっていることについて、彼らは話す言葉があるはず」と述べています。

続いて「ワームビア氏が生命指標が正常な状態で米国に戻った後1週間も経たずに急死したのは我々にも謎だ」とし「今回の事件による最大の被害者は我々(北朝鮮)だ」と主張しました。さらに「彼が米国に戻るまで誠意を尽くして治療した」と強調しました。

一方、この日の共同通信によると、チェ・ソンリョン拉致被害者家族会代表が「平壌(ピョンヤン)の消息筋から得た情報」とし「ワームビア氏が出国しようとした日、ホテルの部屋で荷物を整理しながら靴を労働新聞に包んだが、ここに金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の写真が載っていた」と主張しました。チェ代表は「金正恩委員長の写真に土がついたためワームビア氏が拘束されたと聞いた」と話しました。

6月13日にシンシナティ大医療センターに運ばれたワームビアさん。医師らは15日、意識不明の状態で、脳に重い損傷があると発表しました。

北朝鮮が送ってきた脳の画像は昨年4月のもので、損傷はその数週間前に起きた可能性が高いといいます。

北朝鮮側は、ワームビアさんがボツリヌス菌に感染し睡眠薬を服用して、昏睡状態に陥ったと説明。ところが、診断した同医療センターの医師らはボツリヌス菌は検出されなかったと述べました。

父フレッドさんは15日に記者会見で憤りました。「ボツリヌス菌や睡眠薬で昏睡状態になったという説明は信じない。たとえ信じたとしても、どんな文明国家にも、これほど長く息子の容体を隠し、最新の医療を受けさせなかったことに正当な理由はない」

父フレッド・ワームビアさん=6月15日、オハイオ州
19日に家族が発表した声明はこう結ばれています。

「6月13日夜、オットーがシンシナティに戻ったとき、話すことも、見ることも、言葉に反応することもできませんでした。非常に心地が悪いようでした。苦悶しているかのような。息子の声を聞くことはもうありませんが、1日で息子の顔つきは変わったのです。安らかになりました。故郷に戻り、それを感じたのだと思います」

「息子とその家族を思い、祈ってくださった世界中の皆様に感謝いたします。私たちも、ふるさとに心穏やかにおります」

北朝鮮の法定で礼をするワームビア氏
米国の数多くの旅行会社が、北朝鮮旅行の取り扱いを止めたと発表しました。また先月、米国の共和党および民主党議員らは、米国人による観光を目的とした北朝鮮渡航を禁止する法案を提出しました。なぜなら北朝鮮との緊迫した関係により、政治的理由で米国人が拘束される危険性があるからです。

トランプ大統領は就任以来、北朝鮮に対する圧力を強化する意向を何度も表しています。トランプ大統領は、北朝鮮のほぼ全ての貿易額を占める中国に対し、北朝鮮経済へのサポートを拒否するよう呼びかけ、説得しました。なぜならオバマ前政権の「戦略的忍耐」政策は、効果がなかったと考えられているからです。

米国が、北朝鮮観光を手配する個人及び団体に対して再び制裁を発動する可能性も十分あります。なお、法的観点から見てそれは非常に困難であるものの、北朝鮮観光を手配する個人及び団体の多くは中国、英国、米国に拠点を置いています。

一連の専門家らは、対北朝鮮制裁は機能しておらず、北朝鮮がさらに軍備増強と攻撃的な方向へ向かうよう挑発し、状況を悪化させているだけだとの見解を示しています。

在りし日のワームビア氏
北朝鮮で長期間拘束された米国人大学生、オットー・ワームビア氏(22)が死亡した問題で、日本人拉致被害者の家族や関係者からは、米国世論が喚起され北朝鮮への圧力が高まるとの見方が出る一方、「早期解決に直結しない」「最後は日本政府の取り組みが重要だ」との声も上がりました。

救う会」の西岡力会長は、米国では核・ミサイル問題に関心が集中していると指摘。中国で北朝鮮工作員に拉致された疑いがあるデービッド・スネドンさん=失踪当時(24)=の事案もあるが、拉致問題全体への認識は皆無で「米国で関心が高まるきっかけになれば」と語りました。

北朝鮮は最近、人権問題をめぐる国際刑事裁判所への提起など国際的批判に神経をとがらせ、治安当局にも逮捕者の適正な処遇などを周知しているといい、ワームビア氏については「重症化したため、『拷問死』などの批判をかわすため焦って帰した」と分析しています。



また、米国が今回の問題で早期に軍事行動などの強硬手段に出る可能性は低いとした上で、「米国は自国民を救い出したが厳しい結果になった。日本人の被害者にも猶予はない」と救出への取り組み加速を訴えました。

家族会代表で田口八重子さん(61)=拉致当時(22)=の兄、飯塚繁雄さん(79)は「拉致問題で米国が日本とともに具体的行動をすぐ取るとは思えないが、捕らわれた国民がいるという部分で同じだ。進展の可能性があるかもしれない」と話しました。

私として、日本の拉致被害者問題のほうが、今回のワームビア氏の事件よりもより一層深刻だと思っています。

なぜなら、ワームビア氏は自らツアーで北朝鮮に出かけ上で、このような悲惨な目にあっています。しかし、日本の拉致被害者はそうではありません。日本で、普通に暮らしていたにもかかわらず、拉致され北朝鮮に強制的に連行されているのです。

ワームビア氏の場合は、今回のようにはっきりと目にわかる形で北朝鮮から戻ってきて死亡しました。日本の拉致被害者も、北朝鮮でどのような目にあっているかなど全くわかりません。

半島情勢が緊迫する今になっても、拉致被害者・特定失踪者の救出が国家的なテーマになることもありません。彼ら彼女たちは、不法上陸した戦闘工作員に拉致され、30年以上も拘禁状態に置かれているのです。

例え、金正恩が木っ端微塵になり、北の核とミサイルが処理されても、拉致被害者を奪還できなけば、我が国は朝鮮有事で大敗を喫したに等しいです。米国と協力するしないは別にして、少なくとも、我が国は拉致被害者奪還作戦を独力で展開できる国にならなければ、まともな独立国とはいえません。

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2017年1月23日月曜日

【経済インサイド】支那「経済規模2位だけど発展途上国」 日本の特恵関税継続を〝懇願〟 トランプ大統領の影響も―【私の論評】世界は支那を発展途上国にもどさなければならない(゚д゚)!

【経済インサイド】支那「経済規模2位だけど発展途上国」 日本の特恵関税継続を〝懇願〟 トランプ大統領の影響も

記者の質問に応える支那商務部の沈丹陽報道官 昨年11月24日
 日支間で、にわかに〝貿易摩擦〟の火種がくすぶっている。財務省は支那の輸出競争力が高まったとして、発展途上国支援のために輸入関税を低くする「特恵関税」の対象国から支那を除外すると表明。これに対し支那側は自ら「経済規模では世界2位だが、世界最大の発展途上国」とする持論を展開して猛反発している。支那は輸出が減少傾向で、しかもトランプ米大統領がから米国への輸出拡大を牽制(けんせい)する中、日本への輸出減の要因は、是が非でも排除したい思惑が透けてみえる。

 「支那は依然として世界最大の発展途上国だ」

 支那情報サイトのレコードチャイナによると、支那商務部の沈丹陽報道官は昨年11月下旬、日本が支那を特恵関税の対象国から除外する方針を打ち出したことを受け、こう反論した。

 沈報道官は続けて、「支那の経済規模は世界2位だが、1人当たり国内総生産(GDP)や、都市と農村部の発展、社会福祉などでは先進国と大きな格差がある」と力説。「近代化実現の道は依然として遠い」とも主張した。

 何かにつけて「大国」を主張する支那だが、“メンツ”をかなぐり捨て、支那はまだまだ特恵関税の措置による支援が必要な国との訴えを繰り返したのだ。インターネット上では、「支那は『大国』と『発展途上国』を場面に応じて使い分けている」といった指摘が上がっている。

ただ、同時に日本をくさすことも忘れていない。財務省が発表した昨年11月の貿易統計によると、対支那では57カ月連続の貿易赤字。レコードチャイナによると、支那社会科学院日本研究所の張季風研究員は、「日本経済の不振と長期的な貿易赤字から見て、日本が貿易ルールの調整によって自国経済の輸入減少と改善を図った可能性は排除できない」と指摘した。


 特恵関税制度は、途上国の輸出振興や経済支援のために多くの先進国が導入している。日本も約140カ国・地域からの輸入品で、関税を下げたり、免除したりしている。この制度は経済発展を遂げた国を外す規定があり、財務省は今回、所得要件を広げるなどの見直しを行いたい考えだ。

 現行の規定では、2016年公表の世界銀行統計で「高所得国」(14年時点の1人当たり国民総所得が1万2736ドル以上)に3年連続で該当した国・地域を対象から除外している。今回は、これに「高中所得国」(同4125~1万2736ドル)を追加。さらに、「輸出の世界シェアが1%以上」との基準も設ける。

 新規定で、支那のほかメキシコ、ブラジル、タイ、マレーシアの計5カ国が適用の対象外となる。平成27年度に優遇税率を適用されたものの6割は支那からの輸入品。今回、冷凍タコやペットボトルの原料であるポリエチレンテレフタレートなど約1000~2000品目で関税が上がるとみられる。

 昨年11月下旬に東京・霞が関の財務省で開かれた関税・外国為替等審議会の分科会では、ある委員が「そもそも途上国の経済発展に資することが趣旨で、経済が発展した国への特恵措置は廃止されていくべきだ」と主張。政府内には「経済発展しているのに関税をまけてやる必要があるのか」(関係者)との声もある。


 支那が特恵関税にこだわる背景には、輸出の低迷がある。支那税関総署が今年1月13日に発表した2016年の貿易統計によると、輸出は前年比7.7%減の2兆974億ドル。14年半ばから人民元安の傾向が続いているにもかかわらず、輸出がじり貧状態に陥っている格好だ。

 中でも鋼材の輸出が数量で3.5%減だったのに対し、輸出額は13.4%も減少。過剰生産で余剰在庫を抱える鋼材を、海外に安値で売りさばくという構図が浮き彫りになった。鉄鋼の過剰生産は国際問題に発展しており、生産削減を求める声が強まっている。

 トランプ米大統領は支那産品への関税引き上げを訴え、米中間の貿易に大きな影響を及ぼす可能性もある。こうした中、特恵関税の対象から外れ、日本への輸出が減るのは避けたいというのが支那の本音だ。

 そのすがるような思いは、支那商務部の沈報道官が、先に触れた11月の会見の中でみせた“最後の泣き落とし”ににじんでいる。

 「世界経済の回復の勢いは依然弱く、国際貿易・投資は低迷している。日中双方が共に努力し、日中の経済・貿易の健全な発展を後押しし、世界経済の成長に貢献することを希望する」(経済本部 中村智隆)

【私の論評】世界は支那を発展途上国にもどさなければならない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事の"貿易摩擦"としいう表現は不可思議だと思います。そもそも貿易摩擦なる言葉は、対等な関係で無論、いずれにも特恵関税などない国家間で生じるものです。

特恵関税という恩恵を受けている支那に対して、貿易摩擦などという言葉をつかうのは見当違いです。

日本にとって、支那への輸出および輸入は、いずれも2%程度に過ぎないものであり、いずれも他国との貿易で代替できるものばかりであって、対支那輸出・輸入がゼロになったとしても、日本としては特に何の問題もありません。また、投資に関しても1%程度に過ぎず、これも、微々たるものです。明日からゼロになっても日本経済に及ぼす影響は軽微です。たとえ、あったにしても、輸出・輸入先や投資先を支那から他国にシフトすればごく短期間でその悪影響はなくなります。

だからこそ、日本は支那を発展途上国支援のために輸入関税を低くする「特恵関税」の対象としてきたのです。財務省は支那の輸出競争力が高まったとして、発展途上国支援のために輸入関税を低くする「特恵関税」の対象国から支那を除外すると言う表明は正しいものと思います。

特恵関税が撤廃されて、はじめて両国は対等の関係になるはずです。しかしながら、支那はこのような優遇措置を日本から受けながら、南シナ海で環礁を埋め立てて軍事基地化するとか、尖閣で領海領空侵犯を繰り返すなどの暴挙を繰り返してきました。こんなことをしておきながら、特恵関税を要求するとは、本当に支那の行動は全く矛盾しています。

しかし、これほど強く、特恵関税の維持を要求するというのですから、我々としても支那に対する見方を変えなければなりません。

それに関しては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを掲載します。
中国、底なしデフレスパイラル 経済悪化→リストラ拡大→冷める消費意欲―【私の論評】中国の本質は、中所得国と発展途上国の連合体(゚д゚)!
2015年から輸入が激減、この状況だと猛烈なデフレになっているか
そもそも、GDPが出鱈目なのかいずれかのはずである・・・・・・
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より私の結論部分のみを以下に引用します。
このままだと、いずれ中国は、図体が大きいだけの、凡庸なアジアの独裁国家で終わる可能性が高くなってきました。

しかし、これはもともとの中国の本質なのかもしれません。中国の実体は、もともとはいくつかの発展途上国の集まりで、それを中国共産党中央政府が警察力や、軍事力を使って無理やり一つにまとめて、一国としてまとめてGDPを大きく見せていただけです。一人あたりのGDPではまだ日本に遠く及びません。

中国共産党中央政府は、世界各国の機関投資家などを幻惑して、これから中国は凄まじく発展すると期待させ、今投資しないと大損をするぞとばかり煽り、外貨を集め、それを国内でインフラ投資することで、大発展したのですが、もうその化けの皮が剥がれ、中国に積極的に投資するものなどいなくなりました。 
そもそも、当の中国人ですら、そのようなことは期待していません。中国の官僚や富裕層が外国に自らの金を逃避させています。習近平でさえもその例外ではありません。中国出身の海外在留者、すなわち華僑も、今では中国に投資はしません。

そんな中国には、もうキャピタル・フライトを防ぐ術はありません。いずれ中国は、凡庸なアジアの独裁国家となり、国力も衰え、いくつかの国の連合体に成り果てることでしょう。いわゆる、一つの省、もしくは複数の省が一つの国のような存在になり、それらの国々は、ある国は中所得国で、ある国は発展途上国ということになるでしょう。中国共産党政府がそれらを一つに、従来よりは緩くまとめるような連合体に成り果てるでしょう。 
というより、これが元々の本質なのですが、それが白日の下に晒されることになるでしょう。従来は、中国共産党中央政府の力が強く、省を強く支配していたというだけのことです。 
中国共産党中央政府が、従来のように締め付けを厳しくすれば、いずれの国も中進国以上には発展し得ないでしょう。あまり締め付けを厳しくしなければ、もしかすると、一国くらいは中進国の罠を抜け出る可能性もあるかもしれません。しかし、そうなれば、その国は連合体から抜け出ることになるでしょう。抜け出なければ、先進国にはなれません。永遠に、中所得国のままで終わります。
支那の本質が、発展途上国であることは支那の軍事産業をみていてもわかります。軍事産業に関しては、いずれの国もその技術の中核的部分は他国にやすやすと譲ることはありません。これに関しては、いずれの国も自国で開発するしかないのです。

国防産業の要ともいえる部品製造用の工作機械装備について、依然として日本は支那の命運を握っています。

デジタル制御工作機械や基本的な製造設備は製造業の「母」であり、その国の工作機械技術レベルと製品の品質は、設備製造業さらには国防産業の発展レベルを示す重要な指標でもあります。

とくに、カギとなる部品や加工生産ツール、現代化された工作機械や工業ロボットの分野において、中国は長きにわたり日本から制約を受けており、今後も一定期間この状況が続くことになるでしょう。

そうして、日本はデジタル制御工作機械の対中輸出を制限するのみならず、その心臓部分と言える制御装置の製造技術の支那による自己開発を実質上制限しています。日本のファナック、ドイツのシーメンスといった巨頭企業が支那制御装置市場の80%を占めています。残念ながら、このレベルの装置は支那では開発できません。

さらに、デジタル制御工作機械以外にも炭素繊維材料、電子部品に代表される工業部品においても支那は日本に依存しています。「紅旗-9」ミサイルには、日本性のリミットスイッチが使われいるし、潜水艦にも日本性のレーダーシステムが搭載されています。

紅旗-9
2015年5月に兵庫県警が「炭素繊維材料を不法に輸出した」疑いで日本人を逮捕しました。2012年にも炭素繊維「M60JB」を密輸しようとした中国人が逮捕されました。M60JBは主に日本ではスポーツ用自転車部品、釣竿などに用いられていますが、これも支那では製造することができません。

高速鉄道欠かすことの出来ない高品質レールも、日本のような高品質のものは、支那は模倣したくてもできない状況です。その他、模倣したくてもできないものはいくつもあります。

ロシアは、GDPは、日本の1/4であり、人口は日本より2千万人多い、1億4千万人です。かつての、ソ連は米国に伍して、冷戦を闘いぬいていました。しかし、現在のロシアは、往時をしのばせるような力はありません。現在は、NATOと対等に戦う力はありません。

しかし、あいかわらず、世界に存在感を示しているのは、未だに高度な軍事技術を擁しているからといっても過言ではありません。現在の支那にはそれすらも存在しないのです。

米国の天才的な破壊者でもある、新大統領トランプ氏は、貿易摩擦を正面に掲げて中国とは本気で戦うつもりです。ただし、関税を上げるのはできません。関税かける代わりに国境税という形もあり得ます。金融制裁という奥の手もあります。


すでに、トランプ氏は『一つの中国』といって今までワシントンや日本が従ってきたものをたった一言で壊しました。本当にシンプルな外交です。

支那は軍事的にも拡大してきていて、その圧力はロシアでも感じています。だからこそ、トランプとプーチンが近づくのには理由があるのです。中国をロシア、アメリカから挟み撃ちしようという考え方が根底にはあります。中国はかなり劣勢です。仮に中国軍が米軍と戦ったら歯がたちません。絶対に勝てません。

今の世界で、これからの10年、20年後を見た時にアメリカに対抗してくる可能性があるのは支那のみです。最も重要なのは今なら支那と戦争したら完勝できるということです。だからトランプ氏はいくら支那を刺激しても“暴発”はないと踏んでいることでしょう。

オバマ時代、米国は支那に寄り添うカタチで外交を進めてきましたが何一つ好転しませんでした。だから一旦は対中強行政策をトランプ氏が仕掛けることは大正解です。

この状況だと、沿岸部の一部の中進国的な地域の経済も落ち込み、支那はほとんどが発展途上国の連合体に成り果てて、図体が大きいだけの凡庸なアジアの独裁国になり果てるだけです。

また、現在の支那が海洋進出やチベット、ウイグル、内蒙古、満州など他国への侵略統治をやめないというのなら、日米を含め世界中の国々が支那をそのようにすべく努力すべきです。日本も、そのための努力を惜しむべきではありません。

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