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2018年4月1日日曜日

「ヤバい数字」を隠すため…?中国全人代の幹部人事のウラを読む―【私の論評】李克強の力を削いでも、中国の経済社会の矛盾がさらに蓄積されるだけ(゚д゚)!

「ヤバい数字」を隠すため…?中国全人代の幹部人事のウラを読む

中国経済が抱える爆弾

ドクターZ

デタラメを暴く、ナンバー2

3月19日、中国の全人代(全国人民代表大会)は政府機能を担う国務院の副首相や閣僚を選出した。

中国副首相 左より 韓正、孫春蘭、胡春華、劉鶴 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

筆頭副首相には共産党序列7位で政治局常務委員の韓正氏が就き、その他の副首相は習近平氏の側近で経済ブレーンの劉鶴氏らが担う。また、中国人民銀行の総裁は同行副総裁の易綱氏が昇格するなど、経済政策に強い人物を中央に固めた形となった。

この人事は、習近平国家主席の「一強独裁」体制が色濃くなるなか、長期政権の運営には経済政策の強化が欠かせないと政府が考えてのことだろう。だがもうひとつの側面から見れば、習氏の独裁を維持するため、強力な「ナンバー2」の登場を阻止するためとも見てとれる。

これまで、経済政策は李克強首相が主導してきた。李氏は遼寧省の党委員会書記だったころ、「李克強指数」で有名になった。

これは、中国が発表するGDP統計は信頼できず、それよりも鉄道貨物の輸送量、銀行融資残高、電力消費の各統計から経済指数を導き出したほうが、信頼度が高いと発言したことに由来する。実際欧米のシンクタンクでは「李克強指数」を使って中国の経済の実力を測ろうとしてきた。

李克強氏

このエピソードが示すとおり、李氏は中国の経済の実態に通じていて、なかなか指摘しづらい政府のごまかしを率直に指摘してきた人物でもある。

しかし、劉氏の副首相起用で、李首相の影響力は一段と低下するだろう。筆頭副首相に共産党序列7位の韓正氏をあてたのも、政権運営で反抗分子となる存在を作らないためだと考えれば合点がいく。

「不良債権」問題

ところで、中国の経済問題として懸念されるのは、膨らみ続ける債務の問題である。ありていにいえば「不良債権」なのだが、中国政府の言い分では、「不良」ではなくあくまで「大き過ぎる」債務なのだそうだ。

欧米の不良債権問題への対応はシンプルで、回収可能性を国際的な会計基準から判定し、回収不能となれば債権償却する。このプロセスには裁量の余地は少なく、機械的に処理していくだけだ。

一方、中国の過剰債務に関する処理は国際基準から程遠い。そもそも中国は会計基準も国際的なものから遅れている。

たとえば証券市場には適切な会計基準が不可欠だが、中国の証券市場には根本的に根付いていない。証券市場では企業による自由な証券の売買が認められることが資本主義の常識だが、中国では「管理されるべきもの」との考え方が残っている。

また、証券市場の発展は国有企業の民営化をもたらすものなので、一党独裁かつ社会主義の中国では、なかなか国際標準化しないという事情もある。

きちんとしたGDPの統計も持たない中国では、当然会計基準も国際レベル未満だし、結果として正確な不良債権の額すら把握できていない。

中国の公式統計では、金融機関が保有する資産の2%程度が不良債権額としているが、海外のあるシンクタンクによればその10倍に膨れ上がっていると指摘される。

こうした中国経済のデタラメを暴く存在になるかもしれない李首相の封じ込めが、今回の全人代の人事には意図されているのだ。

『週刊現代』2018年4月7日号より

【私の論評】李克強の力を削いでも、中国の経済社会の矛盾がさらに蓄積されるだけ(゚д゚)!

さて李克強指数と公に公表されている統計数値の比較によって最近の中国の経済成長をみてみます。



中国では2月の株価下落で市場が動揺しましたが、さほど大きな問題とはなっていないようです。しかし、今年に入って中国の内モンゴル自治区、天津市が域内GDP(域内総生産)の「水増し」を認めるという出来事がありました。

中国のGDP(国内総生産)統計に対する疑念は今に始まったことではありませんが、ほかの地域や国全体の統計にも少なからず不正があることでしょう。この疑念が強くなったのは上海株の暴落などによって景気が悪化していた2015年あたりからでした。

ここで注目すべきは、過去に水増しが行われていたことそれ自体ではなく、2015~2016年の水増しの影響が今も残っている可能性が高いという点です。この影響が、2018年の世界経済にとって思わぬリスクとなる可能性があるということです。

過去の水増しが残るというのは、たとえば2016年に1%ポイントだけ成長率が水増しされていたとすれば、成長率を計算する際の「発射台」がカサ上げされるため、2017年の成長率が低くなってしまうというテクニカルなものです。

本当の2017年の成長率は公式統計が示す以上に高かった可能性があります。さらに、このような過去の水増しによるテクニカルな影響だけでなく、「水増し分のつじつま合わせ」のために、各地域が2017年にあえて低い成長率を設定したとすれば、本当はさらに成長率が高かった可能性があります。

実際に、GDPと連動するといわれている李克強指数(鉄道貨物輸送量、電力生産量、銀行融資残高の前年比〈%〉を平均したもの)との連動性は2015年あたりから失われ、2015~2016年の公式GDPの伸び率は李克強指数よりも高かった一方、2017年はむしろ公式統計のほうが弱い結果となっていました。

実際の中国GDP成長率は、李克強指数が示すように2015年は2~3%台、2016年は4~5%台まで鈍化していた可能性があります。そして、2017年は逆に8~9%台まで成長率が加速していたとみられます。

なお、李克強指数もまた実際の経済成長率を反映できていないという批判があることには留意が必要です。一般に経済が成熟化すればサービス業のシェアが拡大するが、鉄道貨物輸送量ではサービス業の成長をとらえることができない、などの指摘があります

とはいえ、ほかに適当な指標もないことから、今回はこの李克強指数をベースに中国経済鈍化が世界経済に与える影響を探ってみます。

さて中国の2018年の経済成長率目標は2017年と同じ「6.5%前後」となる見込みです。公式統計を信じ、仮にこの目標どおりの成長を達成したとすれば2018年のGDP成長率は2017年の6.9%から0.4%ポイントの鈍化にとどまることになります。現状では世界経済全体に対して中国経済の動向があくまでもテールリスク(市場において、ほとんど起こらないはずの想定外の暴騰・暴落が実際に発生するリスク)としてしかみられていないのは、成長鈍化が小幅にとどまると予想されているからです。

しかし、李克強指数が正しいとすれば、0.4%ポイントではすまないことになります。数%は確実であり、これは予想範囲外ということになります。さらに、中国経済に不安が生じた場合に金融市場(特に2017年後半に急上昇した各国の株式市場)に与える影響もあり、これらを含めて考えれば、2018年の世界経済のリスクは一段と大きいことが予想されます。

胡錦濤派である李克強氏の封じ込めは、このようなことを中国内外に悟られないようにするための措置なのでしょう。ただし、いくら李克強氏を封じ込めてこうした危機がないかのように装ったとしても、実際に経済が落ち込めば、そのリスクは顕在化することになります。

ただし、来年には特に国内向けに、習近平にとって都合の良い形で、またGDPの数値が公表されることになると考えられます。ただし、そんなことをしても、国内外の市場関係者の中国に対する不信感を増幅させることになるだけのことです。

さらに、中国にはこの問題だけではなく、ブログ冒頭の記事にもあるように、不良債権の問題もあります。こちらのほうは、GDPよりもさらに分析しがたいものになっています。

なぜこのようなことがおこるのかといえば、中国では民主化、政治と経済の分離、法治国家化が十分になされていないからです。

北京の人民大会堂で、3月5日~15日まで開かれた第12回全国人民代表大会。
5日の開幕式に参加した習近平国家主席と李克強首相 

民主化ということでいえば、中国には選挙制度というものがなく、共産党の幹部を選ぶのも指名です。こういうことから、中国には正式には他の先進国などにみられる、政治家は存在しません。存在するのは、すべて官僚です。官僚だけが、中国を動かしているのです。

そうして、官僚組織でもある中国共産党は憲法よりも上に位置している存在です。結局気共産党の都合により何もかも共産党の恣意というか、現実的には共産党内の権力闘争の結果に帰するということです。

そうして、それは経済すらも例外ではありません。そのため、中国では政治と経済は分離されておらず、共産党が経済を管理します。しかし、一国の経済など管理しきれるものではありません。そのため、どんどん上記で述べたような矛盾が蓄積していくことになります。

さらには、先に述べたように、中国共産党は憲法より上の存在ですから、当然のことながら、法治国家化も十分ではなく、法律に基づいて行われるのは、共産党にとってそれが都合の良いときだけです。

ということは、共産党の管理により経済上の矛盾が蓄積したとしても、それを止める手立てはないということです。矛盾を解消するために、さらなる矛盾が蓄積していくことになり、ますますカオスの世界に突入するだけです。

それでも、中国が過去に崩壊しなかったのは、どれだけ矛盾が発生しても、共産党にとって都合が良くなるように、国家権力によって、むりやりにそれを解消してきたからです。

しかし、国内ではそれはできても、外国にまでそれを拡張することはできません。中国国内では、それができるのかもしれませんが、それを恐れて外国企業などは中国国内から資金を引き上げることになります。中国政府がそれを妨害したとしても、今度は海外からの投資はなくなることになります。

この中国共産党が外国でも、国内と同じように何でも共産党の思い通りにできるようすることを目指したのが、習近平の一帯一路であり、それを金融的に裏付けるものがAIIBなのですが、この試みも最初から頓挫するのが目に見えていることは、このブログでも何度か掲載してきましたので、ここでは詳しくは述べません。

このままだと、中国には社会的にも、経済的にも、ますます矛盾が蓄積していきます。さらに、この矛盾が海外にまで飛び火することになります。実際、南シナ海、尖閣諸島、インド国境その他多くの地域に飛び火しています。中国社会はすでに崩壊していますが、それは共産党が無理やりに繕って何とか機能させています。

しかし、経済・金融はそのようなわけにはいきません。中国の官僚は自由主義経済の本質などには無知ですから、中国経済・金融や対外関係を管理できるものとの幻想を抱いていますが、それは不可能です。いずれ、矛盾に矛盾が積み重なり管理不能の状態になります。何かの弥縫策を打ったとしても、今度は別の何かが悪くなり、それに対して弥縫策を打つと今度は別の何かが悪くなるというモグラたたきのようなことを繰り返すことになります。

もうその時期が近づいていると考えられます。過去のように共産党により無理やり繕って機能させることはできなくなります。いくら管理しようとしても、中国共産党の管理能力を超えた矛盾の蓄積はいかんともしがたいものになります。

今のままでは、習近平の独裁は10年持たずに崩壊します。この後には、中国共産党も統治の正当性を完璧に失い崩壊することになります。

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2015年11月25日水曜日

中国、今後5年間に1兆ドル超の対外投資へ=李首相―【私の論評】国際監視団を送り込め!経済制裁を発動せよ!中国は、人民を犠牲にさえすれば何でもできることを忘れるな(゚д゚)!

中国、今後5年間に1兆ドル超の対外投資へ=李首相

李克強
中国の李克強首相は、今後5年間に1兆ドルを超す対外投資を行い、コモディティ(商品)を10兆ドル以上輸入するとの見込みを示した。政府系メディアのチャイナ・デーリーが伝えた。

それによると、李首相は24日、蘇州で開催されている中国・中東欧諸国首脳会議で、中国製の機器・製品を使用することを条件に、中東欧諸国のインフラ(社会資本)整備向けの資金調達条件をより柔軟にする方向で協力する可能性も示した。

この会議で首相は、中国経済が、今年の成長目標7%前後を達成する軌道上にあるとし、経済は妥当な中・長期成長を維持するため調整過程にあるとの認識を示した。

【私の論評】国際監視団を送り込め!経済制裁を発動せよ!中国は、人民を犠牲にさえすれば何でもできることを忘れるな(゚д゚)!

上の記事、中国の経済は完璧にバブルが崩壊して、このブログでも掲載したように、金融は空洞化し、さらにマネーが逃避を続ける中国が何を言っているのかという感じがしました。

ましてや、このデタラメ発言がかつて、「中国の統計はデタラメ」と語った李克強のものというのが何とも皮肉なものです。

ただし、デタラメについては少し解説しなければならないと思います。李克強はブログ冒頭の記事で、デタラメを言っていることと思います。ひよっとしたら、10兆ドル以上の輸入は本当にするかもしれません。

しかし、本当はそんなことはできない状況にあるのが、金融が空洞化した中国です。しかし最近では、中国の経済についての神話もメッキがはげて、多くの人が中国経済実体本来の姿を知るようになりました。

これはすでに2013年くらいからそうだったのですが、ごく最近でも中国の経済がまともにない状況にあることが、伝わってきています。その典型的なものを以下に掲載します。
「中国売り」「韓国売り」が止まらない 欧米大手金融が撤退の動きを急加速
人民元の国際化を目論む中国だが、欧米金融機関は
撤退の動きをみせる。韓国への視線も厳しい
 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、欧米の大手金融機関が、中国と韓国から撤退や規模縮小の動きを加速させていることを掲載しています。その内容を以下に掲載します。
かつての勢いの良い中国の経済成長が止まり、期待外れとなった金融機関が投資を引き揚げているのです。さらに米国の年内利上げ観測が広がったことで、新興国から投資マネーの流出も止まらず、海外の機関投資家も一斉に「中国売り」「韓国売り」に走っています。 
中韓ともに経済の低迷から抜け出す気配はまだ見えないなか、米国の利上げが、欧米の金融機関や投資家にとっての中韓との「縁の切れ目」となるかもしれません。
さらにもう一つ、今度は中国国内のニュースがあります。
【真・人民日報】すさまじく上下動する中国株 背景に「妖怪株」の存在 富坂聰氏
一時の大暴落から落ち着きを取り戻した中国・
上海株式市場。不安定な値動きの背景に何があるのか 
これも詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では一時の大暴落から落ち着きを取り戻したように見える中国・上海株式市場ですが、その不安定な値動きの背景に何があるのかを解説しています。その部分のみ以下に掲載させていただきます。
 中国市場における株価の動きはめまぐるしい。 
 例えば暴落前の急騰局面では、少子化の影響で子供の教育に金を惜しまない社会を反映して学習塾の「全通教育」の株が大化けするなどの動きが見られた。回復基調になってからも、中国が一人っ子政策を撤廃したというニュースを受けて乳製品の大手国有企業「中国蒙牛乳業」の株価が急上昇するなどといった連動をするのだが、一方では理由もなくすさまじい株価上昇によって市場全体を引き上げる役割を果たす「妖股(妖怪株)」と呼ばれる銘柄もある。 
 特殊鋼メーカー大手の「撫順特鋼」などがその典型とされるのだが、こうした「妖股」の裏側では、常にインサイダーの疑いが絶えないのだ。事実、今回の株価乱高下の騒動後には、多くの関係者が処分をされている。 
 日本のバブル前とは違い、中国株式市場は中国経済の好調とは裏腹に、ずっと株価の低迷が続いていた。 
 それが、外国からの投資に門戸を開いたり信用取引の枠を拡大するなどの改革のなかで、突如として急騰し、急落したということなのだ。 
 不動産市場の低迷と炭鉱業の落ち込みを受けて地下マネーが流入したという要素もあるだろう。 
 背景にあるのは、中国がいよいよ金融の世界にも“外の風”を入れなければならなくなっているということだ。 
 過保護にしてきた中国の金融を外にさらすとなれば混乱は不可避だ。それは今後もしばらく変わらない傾向だろう。
先の記事では、国外では中国売が止まらないというのに、この記事では中国国内では株価が落ち着きを取り戻し、さらにすさまじく上昇する「妖怪株」の存在が指摘されています。

このような馬鹿なこと、私達のようにある程度まともな資本主義経済の中で生活しているものにはなかなか理解できません。

しかし、こんなことは簡単に理解できます。なぜなら、このブログに過去に何度も掲載したように、中国は、民主化、政治と経済の分離、法治国家化が先進国などと比較すればほとんどなされていないからです。

特に、経済面では、政治と経済の分離がなされていないということが大きいです。中国の今の体制は、無論共産主義ではありませんが、国家資本主義とも呼ぶべきとんでもない体制にあります。

政治と経済が不可分に結びついているとんでもない状況です。だから、政府が経済のあらゆる場面にしゃしゃり出て、先進国では考えられないとんでもない酷いことを平気で行います。

たとえば、上の記事で指摘されている妖股ですが、妖股でも政府以外の、個人や企業がこれを実施すれば、上の記事にもあるように、多数の関係者が処分されますが、政府主導で行う妖股は犯罪ともみなされず、政府の好き勝手に実行できます。

妖股を揶揄する中国の漫画
政府が株価を制御するのは、当然のこととして行われています。政府が株価を下げてはならないと考える銘柄については、政府が介入して、酷い場合には、勝手にいくつかの銘柄の取引を禁止にしたりします。実際上海株式市場が低迷したときに、そのような措置を政府がとりました。

取引を停止してしまえば、それ以上株価が下がることもないわけで、取引停止の間に、いろいろ政府が手を打てば、それらの株がまた値上がりするということになります。とは、いいながら、株価というものは、いくら中国の株式市場がデタラメだとはいいながら中国にも多くの投資家が存在しますし、海外の投資家も存在しますから、実体経済を反映する部分もあり、これに関してはさすがに政府も、どこまでもコントロールするというわけにはいきません。

だから、株価が他国の株式市場と比較すると、比較の対象とならないくらいの、乱高下するというわけです。

多くの人は、さすがにこんなことは、長く続かないと思うことでしょう。しかし、それは中国以外の他国を標準に考えるからであって、中国ではしばらくの間は無理やり続けることができます。

なぜなら、中国は国家資本主義の国であり、さらに共産党一党独裁の国でもあるからです。極端なことをいえば、滅茶苦茶な経済政策を実行して、人民が多数死亡したとしても、そんなことはおかまいなしに中国政府は存続できるからです。

ですから、無茶苦茶なことをやって、最初は自治区の人口が半分になっても、お構いなしに無茶苦茶な経済政策を存続するものと思います。自治区の人口が半分になっても、まだ経済の低迷が収まらない場合は、こんどは中国の多くの省の人口が多少減ってもやりぬくことでしょう。

そうして、中国の国家統計はもともとデタラメですから、滅茶苦茶な経済運営をしても、あたかもまともに運営しているように、表には公表することでしょう。しかし、これをたとえると、真夜中にサイドミラーもついていないような車で、メーター類はほとんどあてにならず、あちこち故障だらけでも、それを確認するすべを持たないドライバーが数百キロで走っているようなものです。これはいずれ大惨事につながります。これに似たようなことは以前にもありました。

それは、大躍進です。大躍進政策(だいやくしんせいさく、繁体字:大躍進、簡体字:大跃进、拼音: dàyuèjìn、英: Great Leap Forward)は、1958年から1961年までの間、中華人民共和国が施行した農業・工業の大増産政策のことです。

毛沢東は数年間で経済的にアメリカ合衆国・イギリスを追い越すことを夢見て実施しました。しかし結果は、中国経済の大混乱と、推計2,000万人から5,000万人の餓死者を出す大失敗に終わり、毛沢東は生涯でただ一度の自己批判を行って、国家主席を辞任しました。なお、大躍進でこれほどの被害者が出たことが公にされ海外にも知れ渡るようになったのは随分あとからのことです。

大躍進政策で苦しんだ中国人民

その後は中国共産党中央委員会主席毛沢東に代わって劉少奇・鄧小平などが修正主義的路線による経済再建を目指しますが、権力奪還を企図する毛沢東の動きがこの後の文化大革命を引き起こすことになりました。ご存知のように、文化大革命でも多数の死者を出しました。

ブログ冒頭の記事など見ていると、中国は金融が空洞化しているにもかかわらず、1兆ドルを超す対外投資を行うことを企図しているようですが、この無謀ぶりは、本当に毛沢東の大躍進を想起させます。今度は、農業政策ではなく無茶苦茶な経済対策を行い、人民を途端の苦しみに苛ませることになります。

それでも、大躍進のように、中国政府はさもうまくいっているように装うことでしょう。その兆候はすでにみられます。他国の中国の経済の専門家が口を揃えて、中国の6.5%成長は全くデタラメで、現実にはマイナス成長ということも考えられるとしているにもかかわらず、中国は億面もなく、6.5%成長を掲げています。

こんな馬鹿なことは絶対に繰り返させるべきではありません。中国が本格的に無茶苦茶なことをやりはじめる前に、国際社会はこれを防ぐべきです。まずは、これを防ぐために、国際監視団を送り込むべきでしょう。

これを受け入れないというのなら、経済制裁を課するべきです。

ソ連は崩壊する最後の最後まで、まともに情報を公開しませんでした。ソ連崩壊後にロシアが公開したソ連の文書などによって、末期の経済状況はとんでもないことになっていたことがわかります。中国の場合も同じで、もうすでに経済・社会はとんでもない状況になっていますが、中国政府はそれを隠蔽し続けています。

こうした中国が崩壊するときには、おそらくソ連以上にあっという間に坂道を転げ落ちるように、崩壊することでしょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年4月13日月曜日

中国貿易統計、3月輸出は‐15%で予想以上の減少 元高が影響―【私の論評】中国経済終わりましたというのは大きな間違い、デフレ・円高魔王白川の支援がなくなり元の姿に戻ったというだけ(゚д゚)!

李克強首相は、中国経済への下方圧力が強まっているとの認識を示した

中国税関当局が発表した3月の輸出は前年同月比15%減と、市場予想の12%増に反し、大幅なマイナスとなった。減速する中国経済への懸念が強まりそうだ。

人民元の上昇が一因で、欧州連合(EU)向けは19.1%減、日本向けは24.8%減となった。

内需の弱さを反映し、輸入も同12.7%減少した。市場予想は11.7%減だった。

貿易収支は30億8000万ドルの黒字で、黒字幅は市場予想の454億ドルを大幅に下回った。

2014年の輸出と輸入を合わせた貿易の伸びは3.4%で、政府の通年目標である7.5%を下回った。これを受けて、政府は2015年の貿易伸び率予想を約6%に引き下げている。

第1・四半期では輸出は前年比4.7%増。前年は3.4%減だった。一方輸入は17.6%減、前年は1.6%増だった。

この記事は要約です。詳細ははこちらから(゚д゚)!

【私の論評】中国経済終わりましたというのは大きな間違い、デフレ・円高魔王白川の支援がなくなり元の姿に戻ったというだけ(゚д゚)!

上の記事のいわゆる経済アナリストなどの解説に関しては、うざいので、全部カットしました。いろいろなことを並べ立てていますが、ほとんど外れています。中国の経済の不振のその要因は、日本が金融緩和に転じたことです。ほぼ、それだけです。

日銀は白川総裁までは、金融引締め一辺倒で、これが日本のデフレ・超円高を招き、固定相場制の中国や韓国は、インフレ政策をとっても元安・ウォン安を維持することができ、まるでぬるま湯に浸かったような天国のような状況だったけです。

中韓の救世主、日本のデフレ・円高魔王だった白川方明日銀元総裁

日本国内はとんでもないことになり、超円高で輸出は振るわず、デフレで国内ではものが売れず、それだけに及ばず、日本国内で部品を製造して、それを組み立てるよりも、中国や韓国などで部品を作成し、それを組み立て日本に輸入したほうが、低コストですむという異常な状況にありました。

そうして、何故中国韓国か、ということになれば、特に中国は賃金が安かったし、さらに両国とも日本から近いからです。運賃など国内並ですみますから、これは日本企業にとっても、中国や韓国などに進出して、そこに工場を建てて部品を製造して、日本や海外に輸出したほうがはるかに低コストということになります。

そうして、それは、無論日本企業だけではなく、中国や韓国の企業にとっても、自国がわざわざ高い開発費をかけて、部品を開発するのではなく、日本や自国内の日本の工場などから、部品を購入して組み立てて国内や、国外に売ったほうがはるかに低コストで、高利益を生むということが可能でした。

要するに、多くの日本人は日銀の誤った金融政策により、中国や韓国の富裕層に大奉仕させられてきたということです。とんでもないことです。

湖北省武漢市にある武漢外国語学校の高校生らの卒業記念ダンスパーティー 中国版プロム?

しかし、こんなことを二十年近くも続けてきて、日本はそれに耐えに耐え、中国や韓国は、それに胡座をかいてきたため、ここに来て日銀が金融緩和に転じたため、両者にとてつもない差が出てきたというのが、今の状況です。

本年2月、中国全国の電気消費量は前年同期比で6.3%減り、産業用電気消費量は前年同期比で9.5%も減っていました。この二つの数字から、中国経済は確実にマイナス成長となっていることを推測することができました。

李首相は以前、中国では地方政府から中央政府にあげてきた成長率は、全くあてにならないので、電力消費量が伸びているかどうかを見て経済の実態を判断すると語ったことがありました。李克強も、中国の電気消費量が6.3%減との数字を見たからでしょうか、先週金曜日、「 中国経済への下方圧力が強まっている」との認識を示していました。

そうしてこれを裏付ける数字が、3月の中国の輸出の前年同月比15%減と大幅なマイナスであり、輸入も12.7%の激減となったことです。これらは、生産と消費が急速に冷え込んでいることを示しており、過去の中国にはこのようなことはなかったということで驚異的なものです。

それから、貿易黒字も大幅減になっています。これに関しては今年2月に以下のような記事をこのブログに掲載したばかりでした。その記事のURLを以下に掲載します。
中国:1月の貿易黒字は過去最高-内需の弱さ浮き彫りに―【私の論評】安倍政権批判のためには何でもする日本の敵マスコミ諸氏! 中国は貿易黒字で大躍進ではないのですか! 嘘つき日本マスコミの実体が良く理解できる記事(゚д゚)!
中国の輸入は激減して、それが過去最高の貿易黒字になっているという、日本は?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は、内需が弱まり、輸入よりも輸出が激減したため、貿易黒字が過去最高になっていることを掲載しまた。この記事は、中国経済がどうこうというよりも、貿易黒字や、国際収支の赤字、黒字をあたかも、家計か何にかのようにとらえ、とにかく黒字であれば、良いこと、赤字であれば、悪いことのように報道する、馬鹿なマスコミを揶揄ことを目的としました。

それにしても、今思えば、この頃から中国経済は本当にかなり危ない状況にあったということかもしれません。

この時点では、過去最高の貿易黒字だったのですが、現状では輸出も減り、貿易黒字幅もかなり減少しています。

しかし、これを見て、中国の経済は終わったと単純に思い込むのは、間違いです。そうではありません。中国の経済は、上で述べたように、日銀による円高・デフレ政策によりぬるま湯に浸かってきたのですが、日銀が金融緩和に転じたため、円安・インフレ傾向になったため、ぬるま湯のなかった元の状態に戻りつつあるということです。

今後日本が、金融引締めばかり実施して、円高・デフレ政策に転ずることがない限り、中国経済は元の状態に戻り、そこから一歩もはみ出ることのない時期が相当続くものと思います。それは、韓国も同じことです。

これらの国々がまた経済を良くするには、もっと中間層を増やしこれらが、活発に活動できるようにすることです。そうして、民間企業がもっとイノベーティブになって国内のあらゆる産業を活性化することです。

しかし、両国とも今の体制のままでは、これはできません。かといって、今後日本がまたデフレ・円高政策に転じて、両国に天国のような環境を提供するなどという甘い考えは捨てるべきです。自分たちの実力や身の丈を知るべきです。

それにしても、日本の少し前までのあり得ないような超円高・超デフレ政策がなくなった現在、今まで胡座をかいていたぶん、中韓は大変なことになります。しばらく立ち直れなくなるどころか、この先何十年も発展途上国程度まで落ちて、そこから這い上がることもできないかもしれません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年6月19日木曜日

【石平氏ツイート】中国経済の硬着陸は現実味を帯びてきた―【私の論評】中国経済はもともとすでに破綻している、ただ体裁を繕ってきただけ(゚д゚)!

【私の論評】中国経済はもともとすでに破綻している、ただ体裁を繕ってきただけ(゚д゚)! 

エリザベス女王に謁見した李克強

中国の李克強首相のイギリス訪問に関しては、日本国内では、エリザベス女王との謁見などのことが話題になったようです。

これに関しては、以下の記事をご覧下さい。
中国の李首相が英女王との面会を要求した理由とは?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、李首相が英女王との面会を要求した理由は、2009年に当時まだ国家主席にはなっていなかった習近平氏が、天皇との面会にこだわったのと同じような理由であるとしています。

その理由とは、結局のところ、両方とも、中国国内での、政治的な権威を誇示するためには、必要であったというわけです。

どうせ、その程度のことだと思います。それにしても、中国の共産党内部などその程度のことで外国に対してゴリ押しをするということで、相変わらずというところです。国内政治を海外にも持ち出すという中国特有の低次元の馬鹿さ加減が露呈したというだけの話であると思います。

習近平も李克強も日本やイギリスからいえば、建国70年程度の新興野蛮国家の、氏素性もわからないような馬の骨に過ぎないわけですから、日本やイギリスの権威を利用して、国内で泊をつけようとの魂胆が見え透いています。

中国幻想も終末に近づきつつある?


こんなことは、さほど重要なことではありません。やはり、このブログの冒頭に掲載した、石平氏のツイートで述べられていた事実のほうが余程重要です。

石平氏の言うように、中国経済の硬着陸は現実味を帯びてきました。

それは、以下のような事実からも明らかです。
 「事実上破綻状態」にある中国・天津市 筆者 鳥羽賢 | 05/05/2014 - 19:48

 ここ10~20年で目覚ましい発展を遂げてきた中国経済だが、一方で最近数年は「バブル崩壊」の噂も少しずつ広がっている。そんな中、中国第5の都市である天津市が「事実上破綻状態」にあるという衝撃的なニュースが流れている。

開発計画が不況のため頓挫

まず天津市という都市の場所と役割を再確認しよう。天津は中国の首都・北京のすぐ南東にあり、海に面している港湾都市である。そして天津は都市としての経済規模で言えば、上海、北京、広州、深センに次いで中国全土でも第5位の規模を持つ。ところが中国の汪洋副首相は2月の国務院の会議で「天津は事実上破綻している」と述べていた。一体どうしてこうなってしまったのか? 
 こうなった経緯は、少し前の2006年頃にさかのぼる。2006年に中国は天津において「東洋のマンハッタン」建設を目指した、大規模プロジェクトを開始した。このプロジェクトには中国は約600億元(日本円で1兆円弱)も投資されることとなった。日本円で1兆円弱だが、中国のお金の価値を考えると、日本で言えば数兆円にも匹敵するであろう巨額の数字だ。600億元ものお金を投資し、39のプロジェクトによって49棟の超高層ビルを建設する予定であった。 
 しかし「東洋のマンハッタン」プロジェクトは、2008年のリーマンショック後の世界的不況、そして地価の伸び悩みの末に、頓挫することになる。天津には建設途中で放棄された多くのビルなどが残っており、さながらゴーストタウンのようになっているという。しかしこのようなゴーストタウンは、すでに中国各地に存在する。 
 そして先月の19日に、天津の破綻を象徴するような出来事が起こる。「東洋のマンハッタン」プロジェクトを手掛ける主要な不動産会社の1つである北方信託公司の劉恵文会長が、自宅で自殺したのだ。これは会社の経営難を苦にしての自殺であろうと見られている。 
天津市の夕暮れ
 天津はプロジェクトの失敗によってすでに多額の債務を抱えており、直接的な債務だけでも2246億元(約3兆6600億円)に上るというデータがすでに出ている。さらに前述の汪洋副首相の話では、その他の債務も含めると天津市の債務総額は約5兆元(約81兆6000億円)にもなるとのことだ。 
 しかしさらに問題なのが、このような開発プロジェクトの失敗が天津市に留まるものではないことだ。中国はここ数年無鉄砲な大規模開発プロジェクトを全国的に行っており、その多くが「東洋のマンハッタン」プロジェクトのように、リーマンショック後の世界不況や地価の下落で利益を出せずに頓挫してしまっている。このようなプロジェクトの多くは地方が行っているので、その債務は地方財政にのしかかってくる。そして、それらを全て把握できている人間などほとんどいない。すでに知られていることだが、中国の統計は正確さにかなり欠けるものであるからだ。 
 GDP規模で中国第5位の天津が「事実上破綻状態」にあるという事実は、かなり重く受け止められなければならない。しかもこの言葉は、外国のメディアではなく中国の汪洋副首相から出たものだ。今後中国投資をするなら、慎重にしていきたい。
天津市はどうしようもなくなって、表に浮上したのですが、地方政府が繕いをしているの表にはまだでてきませんが、中国各地がこのように状態になっています。中国の経済は、本当はリーマン・ショック時に破綻していたのです。

中国の厚化粧は女の子だけではない! 発展する中国経済も厚化粧そのものだった!

これを何とか繕うため、少し前までは元を多量に刷り増しなどしましたが、これをやり過ぎたたため、現状さらに大量に刷り増し等したりして、大規模な金融緩和をすると、ハイパーインフレになるおそれがあるので思い切って実行することができません。

かといってそのまま放置しておけば、熱銭が入り込まなくなるということで、これでは、先日もこのブログに掲載した中国のポンジ・スキーム(投資詐欺)が成り立たなくなるということで、これは自転車操業もそろそろ継続できない状況に陥りつつあります。

リーマンショッ後から継続してきた、厚化粧・見かけのとりつくろいによる投資詐欺もそろそろ、終わりに近づいています。もう、なるようにしかなりません。

こんなときに、中国投資をするのは愚かしいことです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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