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2020年8月21日金曜日

習近平も恐れ震える…米の経済制裁から始まる「中国崩壊」のシナリオ―【私の論評】中共の幹部は考え方を180度転換しなければ米国の制裁は続き、枕を高くして寝ることはできない(゚д゚)!




共産党幹部への「個人制裁」

米国のドナルド・トランプ政権が中国と香港の高官に対する制裁を連発している。空母2隻を動員した南シナ海での軍事演習や中国総領事館の閉鎖などと比べると、一見、地味で小粒な対抗手段のように見えるが、中国共産党には、実はこれが一番効くかもしれない。

まず、最近の動きを確認しよう。

第1弾は米国務省と財務省が7月9日、新疆ウイグル自治区での人権弾圧を理由に実施した制裁だった(https://www.state.gov/the-united-states-imposes-sanctions-and-visa-restrictions-in-response-to-the-ongoing-human-rights-violations-and-abuses-in-xinjiang/https://home.treasury.gov/news/press-releases/sm1055)。

グローバル・マグニツキー人権説明責任法に基づいて、中国共産党中央政治局委員であり、同自治区の党委員会書記でもある陳全国氏のほか、同自治区の現・元公安部ら計4人を対象に、米国内の資産を凍結し、米国企業との取引を禁止した。

続いて、7月31日には新疆ウイグル自治区の準軍事組織である新疆生産建設公団と、その幹部である彭家瑞氏と元幹部の孫金竜氏の2人を制裁した(https://www.state.gov/on-sanctioning-human-rights-abusers-in-xinjiang-china/https://home.treasury.gov/news/press-releases/sm1073)。トランプ政権は、公団がイスラム系少数民族の大量強制収容に直接関与した、とみている。

さらに、香港に国家安全維持法が施行されると8月7日、米財務省は香港の自治と自由、民主主義に対する弾圧を理由に、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官や香港警察トップら11人を制裁した(https://home.treasury.gov/news/press-releases/sm1088)。


トランプ大統領は7月中旬、中国との関係を極端に悪化させたくないという理由で一時、中国高官に対する制裁を見送る方向に傾いた、と報じられた。だが、以上を見れば、制裁続行は明らかだ。むしろ、今後も制裁は追加されていく可能性が高い。

こうした制裁は本人と中国に、どれほど打撃になるのか。

クレジットカードが使えない香港高官

米財務省には、制裁実務を監督する外国資産管理局(OFAC)という部局がある。制裁対象に指定された個人は「特別指定人物(SDN)」と呼ばれ、OFACの公開リストに掲げられる(https://www.treasury.gov/resource-center/sanctions/OFAC-Enforcement/Pages/20200807.aspx?src=ilaw)。

リストを見れば、各国政府はもちろん世界中の企業や個人、団体は、だれが米政府の制裁対象になっているか、ひと目で分かる仕組みだ。企業や個人は、自分が制裁されないように、SDNになった人物とは取引を中止せざるをえない。実際に、クレジットカード会社は林鄭月娥長官のカードを使用停止にした。


その点は、彼女自身が8月18日の記者会見で「個人的なことで多少の不便はあるが、気にするものではまったくない。たとえば、クレジットカードの利用が妨げられる」と認めた。この発言を受けて、米ブルームバーグはVISAとマスターカードにコメントを求めたが、返事はなかったという(https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-08-18/hong-kong-s-leader-has-credit-card-trouble-after-u-s-sanctions)。

クレジットカードの使用停止くらいなら、大した痛手ではないかも知れないが、次に大きな制約は、たとえば住宅ローンだ。SDNに指定された人物と銀行が住宅ローン契約を結んでいると、その銀行が制裁対象になる。それだけでなく、ローンごと住宅も没収されかねない。ローンが凍結されたら、銀行は担保の住宅を差し押さえざるをえないからだ。

では、どうするか。香港紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストは8月18日付の記事で「制裁された香港警察のトップは、制裁の発動直前に別の中国系銀行にローンを乗り換えた」と報じている(https://www.scmp.com/business/banking-finance/article/3097848/hong-kongs-police-chief-shifted-his-mortgage-bank-china)。

同紙によれば、彼は2017年3月、ローンで香港のマンションを購入したが、トランプ政権が制裁を発表する3日前にローンを別の銀行に移し替えた、という。事前に制裁情報が漏れていたか、危険を察知したのかもしれない。

ちなみに、このマンションは広さ41平方メートルで80万6000米国ドル(約8500万円)という。警察トップが住むマンションにしては狭すぎる、と思われるだろうが、これは居住用でなく、投資用だった可能性が高い。記事は、彼が過去20年間に不動産取引で数百万香港ドルを稼いでいた、と報じている。

習近平政権は「内側から」崩壊する

話は、制裁される個人だけにとどまらない。

彼のローンはもともとHSBCが提供していたが、中国銀行(香港)に移された。HSBCは国家安全維持法を導入した香港当局を支持する姿勢を表明したが、一方で、米政府にも逆らえない。彼との取引を続けていたら、HSBCは米国に制裁されてしまう。そうなったら事実上、国際金融界から追放されたも同然になる。

中国銀行は中国政府の機関のようなものなので、米政府の意向を無視できるが、HSBCはそうもいかず、中国と米国の間で股割き状態になってしまった。同じようなケースはこれから、頻発するだろう。金融機関だけでなくホテルや航空会社など、高官が利用しそうな企業は、いずれも「中国をとるか、米国をとるか」二者択一を迫られるのだ。

クレジットカードや住宅ローンより強烈なのは、もちろん米国内にある資産の凍結、それから米国への入国制限である。中国共産党幹部の多くが米国に不動産などの資産を保有しているのは、よく知られている。これらの資産が凍結され、事実上、米国に没収されたら、彼らは怒り狂うに決まっている。

もともと米国の不動産を入手したのは、引退後、あるいは逃亡した後、米国で暮らすためだ。そのうえ、入国まで制限されたら、彼らの人生設計は完全に狂ってしまう。しかも、である。本人だけでなく、多くの場合、制裁は家族にも及ぶ。つまり、留学の形で先に逃した子弟や愛人の生活までが破綻しかねない。

トランプ政権は高官制裁を通じて、本人はもとより、本人と家族の日常生活に関わる、あらゆる「米国コネクション」を断ち切ってしまおうとしているのだ。

以上から、米国の制裁がいかに中国要人を痛めつけるか、分かるだろう。だが、米国の真の狙いは制裁そのものではない可能性もある。制裁によって、中国共産党内部の対立と分断を促して、習近平体制の基盤を揺るがそうとしている。

制裁された個人が「オレがこんな目に遭うのは、習近平のせいだ」と不満を募らせれば、政権の求心力が失われていく。真綿で首を絞めるように、ジワジワと周辺から締め上げて、最後にトップを倒す。トランプ政権はまさに、そんな作戦を展開しているように見える。1発の銃弾も使わずに、自己崩壊を狙っているのだ。

中共の浸透工作が日本にも…

さて、最後に私の身近で起きた中国共産党の浸透工作を紹介しておこう。中共が世界にばらまいている英字紙、チャイナ・デイリーが私の自宅に配られてきたのだ。

最初は購読している日本の新聞配達店が読者サービスでポストに入れたのか、と思った。そこで、配達店に聞いてみると「そんな新聞は配っていない」という。ご近所にも配られている形跡があり「これは誰かがポストに入れたのだ」と分かった。中共の工作員が1軒1軒、配って歩いていたのである。

英字紙だから、誰もが読むわけでもないだろうが、ご近所は外国人も多い。ちらっと目を通してもらうだけでも効果はある、と踏んでいるのだろう。

私は、見覚えのある著名エコノミストの写真が付いた解説記事に目が止まった。モルガン・スタンレー・アジアの元議長でイェール大学教授のステファン・ローチ氏だ。「エコノミストは『ギャング・オフ・フォー』を非難する」とタイトルにある。

ローチ氏は記事で最近、相次いで中国批判の演説をしたマイク・ポンペオ国務長官らトランプ政権の要人4人をやり玉に挙げて「彼らは米国経済のお粗末さから目を逸らすために、中国を攻撃しているのだ」と批判していた(ネット版は、https://epaper.chinadaily.com.cn/a/202008/10/WS5f309d28a3107831ec754257.html)。

これまで幾多の経済危機に際して、ローチ氏は鋭い見解を発信しつづけてきた。そのローチ氏がトランプ政権を厳しく批判し、中国の肩を持つとは、ファンの1人としてやや意外ではあった。
だが、考えてみれば「経済合理性に至上の価値を見い出すエコノミストとすれば、イデオロギー闘争の次元に行き着いた米中冷戦など、とんでもないと思うのだろう」と合点もいった。これは日本のエコノミストも同じである。
というわけで、タダで配られてきたチャイナ・デイリーはすぐゴミ箱行きにならず、こうしてコラムのネタにもなっている。暑い最中、誠にご苦労さまだが、ぜひ工作員の方は引き続き、私の自宅に配っていただけたら、と思う。
ただし、私はエコノミストではなく、ひたすら経済合理性重視でもない。中国批判の矛先が鈍るのを期待したら、がっかりするだろう。
8月18日に配信予定だった「長谷川幸洋と高橋洋一の『NEWSチャンネル』」は、政策工房社長の原英史さんをゲストにお招きし「コロナ下の規制改革」をテーマに議論する予定でしたが、高橋さんが軽い熱中症にかかったため、来週に延期となりました。高橋さんはすでに回復し、元気です。8月11日公開版は、大阪大学大学院の森下竜一寄附講座教授と学究社社長で元一橋大学客員教授の河端真一氏をゲストにお招きし、新型コロナワクチン開発の現状などについて徹底議論しています。ぜひ、ご覧ください。
【私の論評】中共の幹部は考え方を180度転換しなければ米国の制裁は続き、枕を高くして寝ることはできない(゚д゚)!

香港関連の制裁者名簿を以下に掲載します。
林鄭月娥(キャリー・ラム:Carrie Lam)香港特別行政区行政長官
陳國基(エリック・チャン:Eric Chan)香港特別行政区の国家安全保障委員会の事務局長 
鄭若驊(テレサ・チェン:Teresa Cheng)香港司法長官
李家超(ジョン・リー:John Lee Ka-chiu)香港特別行政区安全保障担当長官
鄧炳強(クリス・タン:Chris Tang)香港警察(HKPF)署長
盧偉聰(ステファン・ロー:Stephen Lo)元HKPF委員
曽国衛(エリック・ツァン:Erick Tsang)香港特別行政区憲法・本土問題担当秘書
駱恵寧(ルオ・フーニン:Luo Huining)香港連絡弁公室主任
夏宝龍(シア・バオロン:Xia Baolong)国務院香港・マカオ事務局長
張暁明(チャン・シャオミン:Zhang Xiaoming)国務院香港・マカオ事務局副局長
鄭雁雄(ツェン・ヤンシォンZheng Yanxiong)国家安全維持公署署長
⇒参照・引用元:『アメリカ合衆国 財務省』公式サイト「Treasury Sanctions Individuals for Undermining Hong Kong’s Autonomy(財務省、香港の自治を阻害したと個人に制裁を科す)」(原文・英語)

米国の制裁は過酷で、合衆国の金融機関の手の届く本人の資産、口座は全て凍結。新しく口座を作ることもできません。これは合衆国の金融機関だけではなく、イギリスの『HSBC』、さらには中国の金融機関も協力を始めています。


なぜかといえば、合衆国の制裁に協力しない金融機関もまた同様に制裁を受けるからです。合衆国に持つ口座を凍結されたりしたら、その金融機関の死活問題です。つまり、この11人、およびその家族は中国国内の金融機関においてもお金の移動などが制限される可能性が高いです。

合衆国の制裁について、「香港連絡弁公室」トップの駱恵寧主任は「海外に資産を持っていないので制裁は無意味」とうそぶいたそうですが、自分の家族にも累が及び、中国内の金融機関も制裁に協力するとしたらどうなることでしょうか。それでもうそぶいていられるでしょうか。

これは、日本で普通に暮らしている人や、中国人でもあまり資産を持たない一般人民には、想像できないところがあるでしょう。

多くの一般的な日本人は、貯蓄など円で行っています。わざわざドルに替える人は、特殊です。日本の円は国内では、無論のこと、海外でも信用力が高いので、その時々で為替の変動はあるものの、多くの日本人はそのようなことを気にしません。日本円で貯蓄するのが普通です。

日本国債は、ほとんどが日本の機関投資家が購入し、その金利はゼロに近いものや、マイナスになっているものもあるくらいです。この状況では、財務省やその走狗たちが、いくら財政破綻するなどといっても、多くの機関投資家は国債を購入します。

なぜでしょうか。円は非常に信用力があるので、国債を持っている限りにおいては、為替のリスクヘッジなど考慮する必要がないからです。わざわざドルにかえたり、米国債を大量に購入したりすれば、常に為替リスクがあるからです。日本円による貯蓄や、国債を所有することはこの為替リスクをヘッジ(避ける)ことになるがらです。

このような通貨を持つ日本と、中国の人民元とではまるで違います。人民元もある程度の信用がありますが、それはあくまで中国が所有するドルと、米国国債が信用の裏付けになっています。

仮に、中国政府のドル保有高や、米国債保有が少なくなれば、人民元の価値はかなり落ちます。

それと、貿易はほとんどの場合ドルで決済されています。人民元ではほとんど行われていません。中国政府のドル保有残高がなくなれば、ほとんどの貿易ができなくなります。

そうして、中国では、政府高官や富裕層は、ほとんどどの場合、ドルベースで蓄財しています。なぜなら、人民元は紙切れになる恐れがあるのですが、ドルはそうではないと信じているからです。

ここで、注目すべきは、米国はドル取引のほとんど全てに関する情報を把握できます。ということは、ドルベースのお金の流れは、ほとんど把握しているということです。

無論米国は、中国高官のドルベースでの預金や、金の流れなどほとんどを完璧に把握しています。

米国は、まずは香港関連の、高官などから、ドルベース資産の凍結や、米国への渡航禁止などの措置をはじめましたが、これは、どんどん対象が広がっていくのは目に見えています。

これに対して中国は米国に対して報復はできません。なぜなら、米国人で中国に大量を蓄財をしている人などいません。さらには、中国は米国高官の金の流れや信用情報など全く把握できていません。できることといえば、中国への渡航を禁止することくらですが、これはあまり意味を持ちません。

中国高官が、米国に入国できないことに比較すれば、米国高官が中国に入国できないことは、それほど深刻な問題ではありません。一生入国できなくても、ほとんど困ることはないでしょう。

「香港国家安全維持法」が施行された現状では、米国高官が中国に足を踏み入れれば、逮捕される可能性すらあるので、誰も行きたがらないでしょう。

さらに、米政府は米国在留中の中国共産党員とその家族のビザを取り消すことができ、そのうえ該当者の国外追放へと続けていく可能性もあります。こうなると、中共幹部の家族が米国から国外追放になり、さらに、資産も凍結ということで、二重苦、三重苦になるのは目に見えています。

私は米国がマグ二ツキー法を施行し始めた頃から、中共もこのような目にあうことを十分に予想できました。

米国には、まだまだ奥の手があります。究極の制裁は、米ドルと人民元の交換を禁止することと、中国の米国債を無効化することです。ここまで、実施された場合、中国経済は間違いなく、毛沢東時代に戻ることになるでしょう。贅沢に慣れ親しんだ、中共幹部にはこの状況は耐え難いものに違いありません。

中共もこれを十分に予想できたと思います。にもかかわらず、中共が新たな世界秩序をつくることを、わざわざ2018年時点で公表したのは、本当に愚かとしか言いようがありません。

先日もこのブログに書いたばかりですが、まさに中共高官は選択を迫られています。その記事より、以下に引用します。
中国共産党幹部は、厳しい選択を迫られているようです。習近平に従い続け、いずれ米国などにある個人資産を凍結されてしまい、家族がいる米国などに入国できなるどころか家族が米国から追い出されることを許容するのか、さらには米国による対中国冷戦により、経済が落ち込むだけではなく、あらゆる面で生活そのものが制約されるようになることを許容し続けるのか。
あるいは、習近平を失脚に追い込み、米国に親和的な体制に戻すのか?ただ一ついえることがあります。米国としては、まず習近平を失脚させることがすべての前提条件のようですが、その後に中共が根本的に体制を改めなければ、冷戦を継続するでしょう。
中国が、ドルの裏付けなしに、人民元を大量に刷りまくることもできますが、そのようなときに予想されるのは、深刻なインフレです。とてつもない、インフレが生じ中国国内は混乱の巷となることでしょう。

人民元を数える中国の銀行員
そのようなことを避けるには、二つに一つしかありません。一つは、中国を中心とした人民元を基軸通貨とする経済圏をつくり、細々と生きていく道です。この場合、米国や日本などの他の先進国との貿易はほとんどできず、日本から先端的な工作機械などを輸入できなくなり、中国はハイテク製品などは製造できなくなります。「中国製造2025」は絵に描いた餅にすぐなくなります。

二つ目は、まず習近平を失脚させ、中国の国内体制を変える道です。ただし、米国は中国の過去の裏切りには、ほとほと愛想がつきているでしょうから、習近平が失脚したくらいでは、制裁を継続することでしょう。

では、どうすれば、米国が制裁を解除できるかといえば、まずは中国共産党一党独裁をやめ、他の政党もつくり、全体主義をやめることです。

さらに、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を先進国並みに実施して、経済社会活動を自由にすることです。これをもって、多くの中間層を輩出して、自由に社会経済活動を実施させることです。

ここまで、実行するとおそらく、中国共産党は、統治の正当性を失い、崩壊することでしょう。

無論一足飛びにそれはできないでしょうが、それにしてもこの方向性で着実に前進していることを米国に示すことができなければ、米国は制裁を継続することでしょう。

ここで、大陸中国におおいに参考になるのは、台湾の民主化でしょう。とにかく、中共の幹部は考え方を180度転換しないかぎり、米国の制裁はおさまらず、いつまでも枕を高くして寝ることはできないでしょう。

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2017年10月19日木曜日

「もっと経済制裁が強化されたら嬉しい」北朝鮮庶民から意外な声―【私の論評】北朝鮮制裁は富裕層を狙い撃ちせよ(゚д゚)!


金正恩
北朝鮮に対する国際社会の制裁圧力は、じわじわとその効果を表している。北朝鮮国内からはガソリンや食料価格の上昇が伝えられており、庶民の生活が心配される段階に入りつつある。

現在の北朝鮮の食糧事情は、かつてに比べ大幅に改善されている。ただ、国民経済のなし崩し的な資本主義化が進行し、貧富の格差が広がっている今、貧困層は食べ物などの価格がわずかに上昇しただけでも大きな影響を受ける。

(参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

地方では餓死者発生の噂も出ており、1990年代の大飢饉「苦難の行軍」の再発を懸念する声も出始めた。

(参考記事:「街は生気を失い、人々はゾンビのように徘徊した」…北朝鮮「大量餓死」の記憶

しかしその一方、北朝鮮国内の一部から、これとはまったく異なる反応が出ているもようだ。

中国は今年8月、安保理制裁決議2371号に基づき、北朝鮮産の石炭などの輸入を完全に禁止するとの通告を出した。これが北朝鮮庶民を大喜びさせている。その理由を米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)の情報筋によると、制裁で契約が解除され中国に輸出できなくなった石炭が炭鉱地帯に山積みになっている。無煙炭は、政府、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)、国家保衛省(秘密警察)系の外貨稼ぎ機関などが独占していたが、輸出ができなくなったため、採掘権を一般の貿易会社にも与えるようになった。

石炭の価格は今年の初めごろまで1トンあたり90ドル(約1万円)だったが、今では17ドル(約1900円)にまで暴落。それでも中国の業者からは声がかからないため、外貨稼ぎ機関はほとんど中国から撤収したという。

こんな状況に「制裁さまさま」だと大喜びしているのが、北朝鮮の一般庶民だ。例年なら越冬準備に入る今頃は石炭価格が上がるが、今年は行き場を失った石炭が国内で大量に流通しているため、価格が暴落している。

ヌクヌクと冬を越せそうだと喜ぶ庶民は「制裁がもっと強化されたらいいのに」と喜んでいるという。北朝鮮当局がいかに人民の暮らしを犠牲にして飢餓輸出を行っていたかのあらわれだろう。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の庶民も、石炭価格の暴落で温かく冬を越せそうだと喜んでいると現地の情報筋が伝えた。こちらでは1トン250元(約4250円)から150元(約2550円)に暴落した。また、それに合わせて薪の価格も下落した。

昨年12月に中国当局が北朝鮮からの海産物の輸入を一時的に停止させた時には、北朝鮮の国内市場に大量のサケ、マス、カレイなど普段なら手が届かない高級魚が安値で入荷し、庶民の胃袋を大いに満足させた。同様の現象は、中国当局が北朝鮮産海産物の輸入を完全禁止した今年8月にも起きたと情報筋は伝えた。

このような状況に対して、庶民は「朝鮮労働党より、国際社会の制裁が人民の暮らしを助けてくれている」と喜ぶという皮肉な状況に陥っている。

(参考記事:「米軍が金正恩を爆撃してくれれば」北朝鮮庶民の毒舌が止まらない

【私の論評】北朝鮮制裁は富裕層を狙い撃ちせよ(゚д゚)!

北朝鮮に対する経済制裁はそれなりに成果をあげているようです。そうして、上の記事にあるように、中国が北朝鮮産の石炭を輸入しなくなってから、北朝鮮国内で石炭が安くなり、庶民にとっては良い結果も招いているようです。

このような経済制裁はかえって北朝鮮の一般庶民には幸いしているようです。北朝鮮は中国に石炭などの地下資源を売り、その代金で石油や食料、それに核やミサイルの開発に必要な物資を調達しています。この制裁は、ボディーブローのように北朝鮮に対して徐々に効いてくることでしょう。

次に、中国が食料の輸出を止めると北朝鮮は本当に困窮するのでしょうか。ブログ冒頭の記事では、「現在の北朝鮮の食糧事情は、かつてに比べ大幅に改善されている」としています。全くその通りです。

これについては、以下の記事を参照していただくと良くわかります。
統計データから見えてくる北朝鮮の意外な食料事情
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、FAO(国連食糧農業機関)などのデーターからこの記事では、以下のような結論を出しています。
FAOデータを基に考えると、北朝鮮の食料事情は次のようになる。 
(1)1人当たりの穀物供給量は220キログラム程度であり、それほど豊かではないが飢餓に苦しむレベルでもない。穀物を腹いっぱい食べることはできるが、飼料がないから肉はほとんど食べられない。牛乳もたまにしか飲めない。 
(2)ソ連が崩壊するまでは、農産物の輸出が可能な状況にあった。食料に困るようになったのはソ連が崩壊してからである。現在の状況は1990年代よりも良いが、食料をほとんど輸出していないことから、ソ連崩壊以前の状態には戻っていない。 
(3)北朝鮮は食料をほぼ自給している。人々は貧しい食事に慣れていると思われるから、禁輸による兵糧攻めを行っても、政権に大きな打撃を与えることはできないだろう。
北朝鮮では、穀物などは何とか自給自足できているようです。だから、兵糧攻めはできないということです。

しかし、確かに一般庶民に対しては兵糧攻めができないものの、様々な食料の輸出を止めれば、金一族をはじめ、北朝鮮のいわゆる幹部や富裕層に対しては兵糧攻め等ができるかもしれません。

食料でも、贅沢なものたとえば、肉、牛乳など、あるいは他の高級食材・飲料などを禁輸すれば、北朝鮮の富裕層には打撃でしょう。酒や、清涼飲料数その他必需品と思われるようもの以外を禁輸すれば富裕層にとっては打撃です。

吉林省長春市の北朝鮮レストラン
石油をある程度禁輸すれば、一般庶民は、石炭で暖を取れるのであまり不便や不自由を感じないですが、富裕層は暖房などの設備を石油から石炭に変えなくてはならなくなります。これはとても不便なことなので、石炭を燃料とするためには、人を雇わなければならなくなります。そうなると、北朝鮮の一般人民の雇用が増えることになります。

そうして、石油が値上がりすれば、富裕層は自家用車を動かすことができなくなりますが、自家用車を持たない庶民にとってはあまり影響はありません。ただし、バスなど庶民の使う交通機関にまで影響が及ぶまでにはしないようにすべきです。

このようにして、庶民にとっては、あまり影響のないように、北朝鮮の生活水準を落としていけば、庶民にとってさほど影響がないものの、富裕層には影響がでるような禁輸をどんどん実行していくべきです。

北朝鮮の一般住民は、慢性的な食糧難に苦しんでいますが、一方、平壌の富裕層は、一般住民とは別世界の住民のように、各種娯楽施設を楽しみ豪華な生活をしています。なかには、わずか一時間に一般労働者の平均賃金の25倍もの大金を払って、スポーツを楽しむ女性も少なくないです。

北朝鮮のプールでくつろぐ女性
金正恩体制になって新しくオープンした文殊(ムンス)ウォーターランドやクムヌン体育館を、北朝鮮当局は『人民のための体育文化施設が素晴らしく出来上がった』と大々的に宣伝しましたが、内実は富裕層のためのものに過ぎないです。文殊ウォーターパークも入場料が高く、とても一般住民が気軽に行ける遊び場ではありません。

これはいわば富裕層御用達のスポーツクラブのようなものです。スポーツクラブで1時間に7ユーロを支払い、高級レストランやカフェで、その数倍の金額を支払って優雅な時間を過ごします。その財力は、今の北朝鮮の経済事情から見ると想像以上です。
富裕層の女性たちが、スカッシュ1時間で支払う7ユーロは、北朝鮮の一般労動者の平均賃金(3000ウォン)の25倍。コメ価格に換算すると15キロ(1キロ=5000ウォン)だ。
北朝鮮の屋内プール
彼女たちの多くは、朝鮮労働党高級幹部や外貨獲得の貿易会社社長など、羽振りのいい会社の妻たちです。また、大規模な貿易や商売で一発当てたトンジュ(金主)と呼ばれる新興富裕層も多いです。平壌の中区域や牡丹峰区域の高層アパートなどで豪華な生活をしてます。

夕焼け空に映える平壌市中区域万寿台地区・倉田通りの近代的な高層マンション群
このような生活をしている、富裕層が中国などの禁輸措置により、北朝鮮の一般庶民と同じような生活をしいられたら、どうなるでしょうか。とても耐えられないと思います。

北朝鮮の富裕層は、国際社会による経済制裁下においても、不自由のない生活を維持していると伝えられています。とくに、金正恩党委員長との距離が近ければ近いほど、その傾向は顕著のようです。

2013年に開設された北朝鮮のゲームセンター
とはいえ、いくら金持ちであると言っても、そうした人々が海外で目立つようなことはほとんどありませんでした。サイトで検索してみても、北朝鮮の富裕層の生活ぶりはほとんどでてきません。たまに彼らが海外に出ることはあっても、その動きが北朝鮮ウォッチャーに伝わるのは、彼らが帰国したずっと後のことであるケースがほとんどでした。

ところが最近、北朝鮮富裕層の子供たちと思われる若者のグループが、中国の地方都市で優雅な暮らしを送る姿がリアルタイムで補足されるようになりました。それも数人とか十数人ではなく、200人もの若者たちが中国へ出てきているもようなのです。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は北朝鮮と国境を接する中国・丹東市在住の朝鮮族の情報筋の話として、次のように伝えています。
今年の3月初め頃から、瀋陽にある北朝鮮領事館の近辺と丹東の高級住宅街で北朝鮮の若者をよく見かけるようになった。中国が北朝鮮への経済制裁を強化しているにも関わらず、彼らは現金を湯水のように使い、地元で自然と注目を集めるようになった。
情報筋によれば、丹東にいる若者たちが暮らすのは、最近開発された商業施設と一体型の高級マンションで、建物1階にある彼らのオフィスは70坪もあります。中国のちょっとした金持ちでもなかなか手の出ない物件だというのですが、別の見方もあります。中国の複数の不動産サイトによると、このマンションの3LDKの1ヶ月の家賃は1600元(約2万7000円)前後で、市内中心部に比べるとかなりお手頃です。

また瀋陽市在住の情報筋によれば、
北朝鮮領事館の周辺には10代後半から30代半ばに見える北朝鮮の男女が百人ほども固まって暮らしている。今年の初めまでは10人ほどだったのが、6月初めから急に人数が増えた。皆が洗練されたスーツ姿で、普通の北朝鮮の人々とはかなり違って見える」と言います。
一方、中国に派遣されている北朝鮮のある駐在員はRFAに対し、「今年の6月から瀋陽と丹東に出てきた若者たちは、中央の最高位クラスの幹部の子供たちだ。瀋陽と丹東に合わせて200人ほどがいるようだ」と説明したといいます。

これに関しては、「米国の攻撃に備えた避難か」という見方もありますが、私自身はそれだけではないと、思います。

これは、そろそろ富裕層に制裁の影響がでてきたという兆候でもあると考えられます。特に貿易などで富を手に入れた、富裕層が今後北朝鮮では今までの生活水準は維持していけないと考えて、子どもたちを避難させ、その後に自分たちも避難しようと考えているのではないかとも推測されます。

そもそも、北朝鮮ではまもなく、まともな教育を受けさせることも困難になります。特に、貿易関係などで富裕層になった人々にとっては、北朝鮮にとどまり続ける理由がなくなります。

北朝鮮への制裁は、あまり効き目がないともいわれていますが、そろそろ影響がでてきたようです。そうして、石炭の禁輸にみられるように、庶民にあまり影響の出ない制裁方法をとれば、庶民をあまり苦しめることなく、富裕層に対して相当苦しい制裁が可能だと思います。

ここは、世界中で知恵を絞って、そのような制裁をどんどん進めていけば、かなり富裕層にとって効き目のある制裁ができるはずです。

次の段階では、金融制裁も実施すべきでしょう。一般庶民にはほとんど影響はなく、富裕層にだけ大打撃のある制裁もあるはずです。

このような制裁を強化していけば、北朝鮮からは富裕層は消え失せるかもしれません。そのときには、金正恩は自らも生活水準を維持することができずに、北朝鮮を脱出しなければならなくなるかもしれません。その時が北朝鮮の体制を崩壊に導くチャンスです。

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2015年11月25日水曜日

中国、今後5年間に1兆ドル超の対外投資へ=李首相―【私の論評】国際監視団を送り込め!経済制裁を発動せよ!中国は、人民を犠牲にさえすれば何でもできることを忘れるな(゚д゚)!

中国、今後5年間に1兆ドル超の対外投資へ=李首相

李克強
中国の李克強首相は、今後5年間に1兆ドルを超す対外投資を行い、コモディティ(商品)を10兆ドル以上輸入するとの見込みを示した。政府系メディアのチャイナ・デーリーが伝えた。

それによると、李首相は24日、蘇州で開催されている中国・中東欧諸国首脳会議で、中国製の機器・製品を使用することを条件に、中東欧諸国のインフラ(社会資本)整備向けの資金調達条件をより柔軟にする方向で協力する可能性も示した。

この会議で首相は、中国経済が、今年の成長目標7%前後を達成する軌道上にあるとし、経済は妥当な中・長期成長を維持するため調整過程にあるとの認識を示した。

【私の論評】国際監視団を送り込め!経済制裁を発動せよ!中国は、人民を犠牲にさえすれば何でもできることを忘れるな(゚д゚)!

上の記事、中国の経済は完璧にバブルが崩壊して、このブログでも掲載したように、金融は空洞化し、さらにマネーが逃避を続ける中国が何を言っているのかという感じがしました。

ましてや、このデタラメ発言がかつて、「中国の統計はデタラメ」と語った李克強のものというのが何とも皮肉なものです。

ただし、デタラメについては少し解説しなければならないと思います。李克強はブログ冒頭の記事で、デタラメを言っていることと思います。ひよっとしたら、10兆ドル以上の輸入は本当にするかもしれません。

しかし、本当はそんなことはできない状況にあるのが、金融が空洞化した中国です。しかし最近では、中国の経済についての神話もメッキがはげて、多くの人が中国経済実体本来の姿を知るようになりました。

これはすでに2013年くらいからそうだったのですが、ごく最近でも中国の経済がまともにない状況にあることが、伝わってきています。その典型的なものを以下に掲載します。
「中国売り」「韓国売り」が止まらない 欧米大手金融が撤退の動きを急加速
人民元の国際化を目論む中国だが、欧米金融機関は
撤退の動きをみせる。韓国への視線も厳しい
 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、欧米の大手金融機関が、中国と韓国から撤退や規模縮小の動きを加速させていることを掲載しています。その内容を以下に掲載します。
かつての勢いの良い中国の経済成長が止まり、期待外れとなった金融機関が投資を引き揚げているのです。さらに米国の年内利上げ観測が広がったことで、新興国から投資マネーの流出も止まらず、海外の機関投資家も一斉に「中国売り」「韓国売り」に走っています。 
中韓ともに経済の低迷から抜け出す気配はまだ見えないなか、米国の利上げが、欧米の金融機関や投資家にとっての中韓との「縁の切れ目」となるかもしれません。
さらにもう一つ、今度は中国国内のニュースがあります。
【真・人民日報】すさまじく上下動する中国株 背景に「妖怪株」の存在 富坂聰氏
一時の大暴落から落ち着きを取り戻した中国・
上海株式市場。不安定な値動きの背景に何があるのか 
これも詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では一時の大暴落から落ち着きを取り戻したように見える中国・上海株式市場ですが、その不安定な値動きの背景に何があるのかを解説しています。その部分のみ以下に掲載させていただきます。
 中国市場における株価の動きはめまぐるしい。 
 例えば暴落前の急騰局面では、少子化の影響で子供の教育に金を惜しまない社会を反映して学習塾の「全通教育」の株が大化けするなどの動きが見られた。回復基調になってからも、中国が一人っ子政策を撤廃したというニュースを受けて乳製品の大手国有企業「中国蒙牛乳業」の株価が急上昇するなどといった連動をするのだが、一方では理由もなくすさまじい株価上昇によって市場全体を引き上げる役割を果たす「妖股(妖怪株)」と呼ばれる銘柄もある。 
 特殊鋼メーカー大手の「撫順特鋼」などがその典型とされるのだが、こうした「妖股」の裏側では、常にインサイダーの疑いが絶えないのだ。事実、今回の株価乱高下の騒動後には、多くの関係者が処分をされている。 
 日本のバブル前とは違い、中国株式市場は中国経済の好調とは裏腹に、ずっと株価の低迷が続いていた。 
 それが、外国からの投資に門戸を開いたり信用取引の枠を拡大するなどの改革のなかで、突如として急騰し、急落したということなのだ。 
 不動産市場の低迷と炭鉱業の落ち込みを受けて地下マネーが流入したという要素もあるだろう。 
 背景にあるのは、中国がいよいよ金融の世界にも“外の風”を入れなければならなくなっているということだ。 
 過保護にしてきた中国の金融を外にさらすとなれば混乱は不可避だ。それは今後もしばらく変わらない傾向だろう。
先の記事では、国外では中国売が止まらないというのに、この記事では中国国内では株価が落ち着きを取り戻し、さらにすさまじく上昇する「妖怪株」の存在が指摘されています。

このような馬鹿なこと、私達のようにある程度まともな資本主義経済の中で生活しているものにはなかなか理解できません。

しかし、こんなことは簡単に理解できます。なぜなら、このブログに過去に何度も掲載したように、中国は、民主化、政治と経済の分離、法治国家化が先進国などと比較すればほとんどなされていないからです。

特に、経済面では、政治と経済の分離がなされていないということが大きいです。中国の今の体制は、無論共産主義ではありませんが、国家資本主義とも呼ぶべきとんでもない体制にあります。

政治と経済が不可分に結びついているとんでもない状況です。だから、政府が経済のあらゆる場面にしゃしゃり出て、先進国では考えられないとんでもない酷いことを平気で行います。

たとえば、上の記事で指摘されている妖股ですが、妖股でも政府以外の、個人や企業がこれを実施すれば、上の記事にもあるように、多数の関係者が処分されますが、政府主導で行う妖股は犯罪ともみなされず、政府の好き勝手に実行できます。

妖股を揶揄する中国の漫画
政府が株価を制御するのは、当然のこととして行われています。政府が株価を下げてはならないと考える銘柄については、政府が介入して、酷い場合には、勝手にいくつかの銘柄の取引を禁止にしたりします。実際上海株式市場が低迷したときに、そのような措置を政府がとりました。

取引を停止してしまえば、それ以上株価が下がることもないわけで、取引停止の間に、いろいろ政府が手を打てば、それらの株がまた値上がりするということになります。とは、いいながら、株価というものは、いくら中国の株式市場がデタラメだとはいいながら中国にも多くの投資家が存在しますし、海外の投資家も存在しますから、実体経済を反映する部分もあり、これに関してはさすがに政府も、どこまでもコントロールするというわけにはいきません。

だから、株価が他国の株式市場と比較すると、比較の対象とならないくらいの、乱高下するというわけです。

多くの人は、さすがにこんなことは、長く続かないと思うことでしょう。しかし、それは中国以外の他国を標準に考えるからであって、中国ではしばらくの間は無理やり続けることができます。

なぜなら、中国は国家資本主義の国であり、さらに共産党一党独裁の国でもあるからです。極端なことをいえば、滅茶苦茶な経済政策を実行して、人民が多数死亡したとしても、そんなことはおかまいなしに中国政府は存続できるからです。

ですから、無茶苦茶なことをやって、最初は自治区の人口が半分になっても、お構いなしに無茶苦茶な経済政策を存続するものと思います。自治区の人口が半分になっても、まだ経済の低迷が収まらない場合は、こんどは中国の多くの省の人口が多少減ってもやりぬくことでしょう。

そうして、中国の国家統計はもともとデタラメですから、滅茶苦茶な経済運営をしても、あたかもまともに運営しているように、表には公表することでしょう。しかし、これをたとえると、真夜中にサイドミラーもついていないような車で、メーター類はほとんどあてにならず、あちこち故障だらけでも、それを確認するすべを持たないドライバーが数百キロで走っているようなものです。これはいずれ大惨事につながります。これに似たようなことは以前にもありました。

それは、大躍進です。大躍進政策(だいやくしんせいさく、繁体字:大躍進、簡体字:大跃进、拼音: dàyuèjìn、英: Great Leap Forward)は、1958年から1961年までの間、中華人民共和国が施行した農業・工業の大増産政策のことです。

毛沢東は数年間で経済的にアメリカ合衆国・イギリスを追い越すことを夢見て実施しました。しかし結果は、中国経済の大混乱と、推計2,000万人から5,000万人の餓死者を出す大失敗に終わり、毛沢東は生涯でただ一度の自己批判を行って、国家主席を辞任しました。なお、大躍進でこれほどの被害者が出たことが公にされ海外にも知れ渡るようになったのは随分あとからのことです。

大躍進政策で苦しんだ中国人民

その後は中国共産党中央委員会主席毛沢東に代わって劉少奇・鄧小平などが修正主義的路線による経済再建を目指しますが、権力奪還を企図する毛沢東の動きがこの後の文化大革命を引き起こすことになりました。ご存知のように、文化大革命でも多数の死者を出しました。

ブログ冒頭の記事など見ていると、中国は金融が空洞化しているにもかかわらず、1兆ドルを超す対外投資を行うことを企図しているようですが、この無謀ぶりは、本当に毛沢東の大躍進を想起させます。今度は、農業政策ではなく無茶苦茶な経済対策を行い、人民を途端の苦しみに苛ませることになります。

それでも、大躍進のように、中国政府はさもうまくいっているように装うことでしょう。その兆候はすでにみられます。他国の中国の経済の専門家が口を揃えて、中国の6.5%成長は全くデタラメで、現実にはマイナス成長ということも考えられるとしているにもかかわらず、中国は億面もなく、6.5%成長を掲げています。

こんな馬鹿なことは絶対に繰り返させるべきではありません。中国が本格的に無茶苦茶なことをやりはじめる前に、国際社会はこれを防ぐべきです。まずは、これを防ぐために、国際監視団を送り込むべきでしょう。

これを受け入れないというのなら、経済制裁を課するべきです。

ソ連は崩壊する最後の最後まで、まともに情報を公開しませんでした。ソ連崩壊後にロシアが公開したソ連の文書などによって、末期の経済状況はとんでもないことになっていたことがわかります。中国の場合も同じで、もうすでに経済・社会はとんでもない状況になっていますが、中国政府はそれを隠蔽し続けています。

こうした中国が崩壊するときには、おそらくソ連以上にあっという間に坂道を転げ落ちるように、崩壊することでしょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年1月3日土曜日

【北サイバー攻撃】北朝鮮に責任取らせる オバマ氏、経済制裁の大統領令に署名―【私の論評】マスコミが報道しない世界の動きの背景を知り、戦後体制からの脱却は、決して非現実的でもないし、夢物語ではないことを認識せよ(゚д゚)!


記者会見で北朝鮮のサイバー攻撃について語るオバマ米大統領=2014年12月19日、ホワイトハウス














オバマ米大統領は2日、ソニーの米映画子会社に対するサイバー攻撃への対応として、北朝鮮政府と朝鮮労働党に経済制裁を科す大統領令に署名した。米財務省が発表した。

サイバー攻撃を理由とする米国の対北朝鮮制裁は初めてとみられる。北朝鮮の情報・工作機関である偵察総局など3組織と10個人を制裁対象に追加指定した。米金融市場へのアクセスや米国民との商取引が禁じられる。

金正恩第1書記暗殺を描いたパロディー映画公開に動いた同社に対するサイバー攻撃をめぐっては、米連邦捜査局(FBI)が北朝鮮による犯行と断定したが北朝鮮側は否定。今回の米側措置は、攻撃が北朝鮮によるものであるとの強い確証を反映するとともに、厳しい態度で臨む米国の立場を強調したといえそうだ。

ルー財務長官は「北朝鮮に破壊的な行為の責任を取らせるというわれわれの決意を示すものだ」と説明した。

【私の論評】マスコミが報道しない世界の動きの背景を知り、戦後体制からの脱却は、決して非現実的でもないし、夢物語ではないことを認識せよ(゚д゚)!

オバマ大統領どうしたのでしょうか、この素早い対応。少し前のオバマからは考えられないような変貌ぶりです。

そういわれてみれば、オバマ大統領が、キューバとの国交正常化の交渉に入るという声明を発表したときから風向きが変わってきたように思います。これについては、このブログでも掲載したことがありますので、その記事を以下に掲載します。
「断固たる反対」中国外務省、米の台湾へのフリゲート艦売却に猛反発 報復措置も示唆―【私の論評】まともにニュースの背景を説明できない、メディアは、もうすでにその社会的使命を終えたか(゚д゚)!
訪問先のキューバ・ハバナでフィデル・カストロ前国家
評議会議長と会談した中国の習近平国家主席(左)
 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から、オバマ大統領がキューバとの国交正常化の交渉に入ることになった背景などを解説した部分のみ以下に掲載します。
ソ連崩壊以来、キューバにはロシアの支援はほとんどなかったため、キューバは何というか、宙に浮いた形でした。このままでは、衰退し続けてとんでもないことになるのは必定でした。 
これに乗じて、習近平は、キューバを訪問して、崩壊したソ連、そうして今やGDPが日本の1/5の小国に成り果て、支援などおぼつかないロシアに肩代わりして中国が経済・軍事支援をし、米国の喉もとのキューバを親中国家に仕立てようとの目論見を企てたのです。 
習近平のキューバ訪問では、習は、キューバの経済発展を「断固として支える」と表明しました。キューバを取り入れて米国の「内庭」を荒らす戦略的意図が見え見えです。米国・キューバの関係正常化交渉開始は明らかに、中国の影響力をこの地域から排除する米国の決意に基づくものです。

このような中国の行動を放置しておけば、またキューバ危機の二の舞いになりかねません。オバマ大統領は、外交に消極的で、そのためシリアや、イラク、ウクラナイなどでも、失敗を重ねてきました。これらの地域では、はやめに対処していれば、あまり問題にならなくてすむようなことでも、オバマの優柔不断により、問題をより複雑化させてしまいました。

しかし、これらは、アメリカの権益にかかわることではありますが、それにしても、アメリカ本土から相当離れているため、アメリカの安全保障にはあまり影響はありませんでしたが、キューバと中国が結びつきを強め、中国がここに兵器や、軍隊を送り込んだ場合かなりの脅威となります。

米中関係が、悪くなった場合、米国本土が直接中国の脅威にさらされることになりかねません。これを放置しておけば、場合によっては、第二のキューバ危機に発展するということも考えられます。このような脅威は、アメリカ国民も許容できないと思います。

そんなことは、さすがに及び腰のオバマも許容できなかったのでしょう。それに、オバマが及び腰でも、アメリカ議会もこれを許すことはないでしょう。これを許せば、せっかくソ連が崩壊して、冷戦構造が消え去ったにもかかわらず、今度は中国による新たな冷戦構造が生まれてしまいます。
この記事では、こうした背景を説明せず、オバマ大統領が突如として、キューバと国交回復の交渉に入ったかのような日本のマスコミの報道ぶりについて、糾弾しました。

このキューバとの国交回復については、その後あまり報道されていませんが、この交渉はアメリカ議会の反対派もいて、一筋縄ではいかないかもしれません。 議員の中には、キューバとの国交回復は、キューバの人権保護と民主化の発展に何ら役立たないと考える人も多いです。彼らは、米・キューバの国交回復は、カストロ体制が何世代にもわたり、政権の座に居座りつづけるために必要不可欠な経済制裁の解除を実現するためには、多いに役立つかもしれないと考えています。

金正恩第1書記暗殺を描いたパロディー映画のポスター

しかし、今回の北朝鮮への制裁に関しては、議会も賛成のようであり、このような素早い対応ができたと考えれます。そもそも、2014 年 7 月 28 日に、連邦議会下院は、北朝鮮に対する初の包括的な制裁法である「北朝鮮制裁強化法案」(H.R.1771)を可決しました。

これは、北朝鮮の核弾道ミサイル等の大量破壊兵器の脅威、通貨偽造やマネーロンダリングを通じた金融システムの悪用、重大な人権侵害等に対処し、金融制裁の強化により、同国の資金調達を阻止し、核兵器等開発計画の中止及び最終的な廃絶に追い込むことを目的とする。

具体的には、制裁対象となる北朝鮮高官やその協力者の入国を禁止し、米国内における全資産を凍結するのみならず、北朝鮮による核拡散、密輸や人権侵害に加担する第三国の個人や金融機関に対しても、米国政府に制裁を認めるものです。

また、北朝鮮の貨物に対する検査義務の履行が十分でない港や空港から到着する船舶や航空機に対する検査の強化等も規定しています。ただし、同法案は、来年 1 月 3 日の現議会期の終了までに上院で可決されない場合、自動的に廃案となります。

米上院のメネンデス外交委員長(民主党)は昨年12月19日、ソニーの米映画子会社を狙った北朝鮮のサイバー攻撃は「テロ行為の定義に該当するとみられる」として、北朝鮮をテロ支援国家に再指定するよう促す書簡をケリー国務長官に送りました。

メネンデス氏は北朝鮮のサイバー攻撃が「芸術の自由を圧迫する容認できない検閲」であり「危険な前例となる」と非難しました。

ロイス下院外交委員長(共和党)は声明で、オバマ政権が北朝鮮への金融制裁に及び腰になっていると批判。年明けに開会する新議会で、北朝鮮への制裁強化法案を成立させる必要性を訴えました。



さて、今回は、「北朝鮮制裁強化法案」の成立を待たずして、大統領令により、制裁措置をとることにしたものです。米財務省はこれを受け、北朝鮮の情報・工作機関の偵察総局など3団体10個人を制裁対象に指定しました。

このオバマの対応に関しては「北朝鮮制裁強化法案」が上院を今の時点では、通ってはいないものの、やはり議会の主な派閥の後押しもあったものと思います。

今回、またもやオバマが及び腰で対応していれば、北朝鮮が何かしても、アメリカは素早く対応できないということを印象づけ、北朝鮮をつけあがらせることにもなりかねないため、議会の承認がなくても、大統令で素早く動けることを印象づけたかったのだと思います。

そもそも、今回のサイバー攻撃そのものが、「北朝鮮制裁強化法案」の審議に対する牽制だったということも十分考えられます。この映画はそのための、後からの理由付けであって、もしこの映画が作成されることなく、公開発表がなかったにしても、サイバー攻撃が実施された可能性が高いです。

さすがのオバマ大統領も、今度ばかりは、及び腰で何もしなければ、北朝鮮をつけあがらせることになることを懸念して、素早い行動をとったのだと思います。

そうでなければ、またまた、オバマ大統領は、国内で外交ベタとか、外交オンチ、レームダックなどと揶揄され、本当に何もできなかった大統領としいて、歴史に汚点を残したかもしれません。

日本では、オバマ大統領の及び腰が日本にも大きな影響を与えていることがほとんど報道されませんが、尖閣問題が長期化・複雑化する真の原因はオバマにあります。

そもそも、日本もそうして、中国も戦後体制の枠組みに組み入れられているはずです。そうして、アメリは戦後体制の守護者であったはずです。そもそも、現在の中国である中華人民共和国は、日本と戦争をしたこともなく、戦後に建国された国です。日本と、戦ったのは、中華民国(現台湾)の国民党政府軍です。

この体制からすれば、尖閣は日本の固有の領土であり、日中間には領土問題は存在しません。戦後体制を守るのであれば、中国が尖閣でデモンストレーションなど行えば、すぐさま厳しい対応をすべきでした。

たとえば尖閣近くで、日米韓による、大規模な演習を行うだけではなく、その後も尖閣付近に空母や艦船を配置し、中国が領海や領空を侵犯するようなことがあれば、威嚇したり、威嚇しても収まらなければ、艦船や潜水艦など撃沈するなどのことを実施すべきでした。実際には、ここまでしなくても、その気構えさえみせれば、中国があのような挙動をすることはなかったでしょう。

にもかかわらず、オバマはこれを放置し、尖閣問題に関する声明も随分後になって、問題が複雑化した後に行っています。これでは、時期を逸していて全く意味もなく、かえって逆効果です。

このようにアメリカが、優柔不断であり、戦後体制を守る気がないということを中国側に示しているようなものです。中国としては、尖閣で日本だけではなく、アメリカの出方も試しているという面もあるということは、認識しておくべきです。

それにしても、アメリカの立場にたって、戦後体制を守りぬくという立場を貫くというのなら、尖閣では中国に対して厳しい態度をとるというのがあたり前です。

日本としても、いつまでもアメリカが優柔不断でありつづけるというのなら、戦後体制からぬけるしか道はなくなります。しかし、これはある意味日本にとっては、大きなチャンスかもしれません。

自前で自国を守るというあたり前の主張をして、実際そのようにするということも考えられます。ただし、いますぐというのは、無理があるので、現状ではアメリカとの同盟関係を保ちつつ、徐々に抜けていくというのが、最も良い選択肢だと思います。

これについては、日本にとっては、かなり良い環境が整いつつあります。それに関しては、このブログにも掲載した事がありますので、その記事を以下に掲載します。
「日本は憲法改正せよ」が米国議会で多数派に―【私の論評】憲法を改正するか、中国の属国になるか、アメリカの51番目の州になるか、あなたはどの道を選択しますか?
GHQによる日本国憲法草案

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、数年前から、アメリカ議会では、日本の改憲を良しとするほうが、多数派となっています。これは、日本の戦後体制から脱却を後押しするものです。

その他にも、日本の戦後体制からの脱却を促す、アメリカの国内事情があります。
「米国の抑止力、とりわけ日本に対するそれを低下させる」中国軍の戦力増強に危機感-米委員会が年次報告書―【私の論評】国内の増税見送り、解散総選挙で見逃され勝ちな世界の動き、アメリカ議会の動きを見逃すな!アメリカは、日本の改憲を望んでいることを忘れるな(゚д゚)!
海岸防衛から太陽海軍を目指す中国海軍
これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、アメリカの軍事費がこれからしばらくは、削減されることはあっても増えることはないことを掲載しました。以下に、グラフとそれに関わる部分のみを掲載させていただきます。



この、グラフを見てもわかるように、アメリカの国防予算は、減少傾向です。
米国防総省(ペンタゴン)のヘーゲル国防長官は本年2月24日、陸軍の兵力を現在の約52万人から44万─45万人規模に削減、実現すれば、米陸軍の規模は第2次世界大戦に参戦する前の規模に縮小すると発表しました。今後10年間で約1兆ドル(約102兆円)の歳出を削減する案を模索中で、2015年度の国防予算は約4960億ドル(約51兆円)といいます。 
今年(注:現時点では昨年)の3月1日、オバマ大統領は予算管理法(Budget Control Act)によって規定されていた「sequestration」条項の発動に追い込まれました。 
この「sequestration」という用語は、多くのアメリカ国民にとってもなじみの薄い言葉であり、もちろん日本ではさらに聞きなれない言葉です。英和辞典にはこの単語の訳語として「隔離、流罪、隠遁、(法)係争物第三者保管、財産仮差し押さえ、接収、(医)腐骨化、(化)金属イオン封鎖」といった訳語が列挙されていますが、今回発動された「sequestration」には、「強制歳出削減」あるいは「自動歳出削減」といった訳語が与えられています(本稿では「強制削減」と呼称します)。 
強制削減は、アメリカにおいて史上初めて実施されることになりました。そのため、その本当の影響はなかなか理解しにくいと言われています。 
アメリカでは、今回の強制削減の発動は金融・経済界ではすでに織り込み済みであり、アメリカや世界の株式市場や経済動向に対する影響はそれほど深刻なものではないといった見方がなされています。しかし、最大の削減対象となる国防関係は極めて甚大な影響を受けることになり、アメリカ軍事戦略そのものの修正を余儀なくされかねない状況に直面しています。
今後アメリカの軍事予算はしばらく、削減されることはあっても増えることはありません。これは、当然のことながら、アメリカ軍の活動に大きく影響を及ぼします。アメリカ側としては、経済大国でも日本に対して、日本の防衛は、その大部分を日本に任せることで、かなり軍備を節約することができます。

これによって、他の重要な部分の軍備を減らさないですんだり、さらには、強化することも可能になります。

議会が日本の改憲を良しとする派が、多数派であり、軍事費が削減されるということから、これは日本の、戦後体制からの脱却への追い風となるのは間違いないです。

しかし、現状では、アメリカは世界唯一の超大国であるという事実には変わりありません。また、すぐにそうでなくなるということもありません。こうした、超大国を味方につけつつ、同盟関係は崩さず、賢く実質的に戦後体制から脱却することが、日本の進むべき道だと思います。

それにしても、戦後体制が崩れてはいない、現状においては、世界で唯一の超大国の大統領であるオバマは、中国や韓国にももっと厳しい態度をとるべきです。そうすることによって、中国や韓国は吠えまくるかもしれませんが、吠えたからといって、超大国アメリカになすすべなどありません。

日本が協力して、アメリカが本気をだせば、今でも中韓など全く敵ではありません。それは、中韓自身が良く知っていることです。だから、日本に対して反日活動をしたにしても、デモンストレーションどまりであり、戦後体制に組み込まれた日本に対しては、最後の一線を踏み外すことはできないのです。

もし、踏み外せば、超大国アメリカを敵にまわさなければならなくなります。それは、あまりにリスキーなことです。

戦後体制からの脱却など、非現実的だとか、夢物語のように考える人もいますが、このようなことを知ると、そうではないことが良く理解できます

安倍総理は、このようなことを理解し、少なくとも戦後体制から脱却を近い将来に確かなものにするため、様々な手をうちつつあるし、長期政権が確実なものになれば、これからもさらに積極的に打っていくことでしょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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