記者会見で北朝鮮のサイバー攻撃について語るオバマ米大統領=2014年12月19日、ホワイトハウス |
オバマ米大統領は2日、ソニーの米映画子会社に対するサイバー攻撃への対応として、北朝鮮政府と朝鮮労働党に経済制裁を科す大統領令に署名した。米財務省が発表した。
サイバー攻撃を理由とする米国の対北朝鮮制裁は初めてとみられる。北朝鮮の情報・工作機関である偵察総局など3組織と10個人を制裁対象に追加指定した。米金融市場へのアクセスや米国民との商取引が禁じられる。
金正恩第1書記暗殺を描いたパロディー映画公開に動いた同社に対するサイバー攻撃をめぐっては、米連邦捜査局(FBI)が北朝鮮による犯行と断定したが北朝鮮側は否定。今回の米側措置は、攻撃が北朝鮮によるものであるとの強い確証を反映するとともに、厳しい態度で臨む米国の立場を強調したといえそうだ。
ルー財務長官は「北朝鮮に破壊的な行為の責任を取らせるというわれわれの決意を示すものだ」と説明した。
【私の論評】マスコミが報道しない世界の動きの背景を知り、戦後体制からの脱却は、決して非現実的でもないし、夢物語ではないことを認識せよ(゚д゚)!
オバマ大統領どうしたのでしょうか、この素早い対応。少し前のオバマからは考えられないような変貌ぶりです。
そういわれてみれば、オバマ大統領が、キューバとの国交正常化の交渉に入るという声明を発表したときから風向きが変わってきたように思います。これについては、このブログでも掲載したことがありますので、その記事を以下に掲載します。
「断固たる反対」中国外務省、米の台湾へのフリゲート艦売却に猛反発 報復措置も示唆―【私の論評】まともにニュースの背景を説明できない、メディアは、もうすでにその社会的使命を終えたか(゚д゚)!
訪問先のキューバ・ハバナでフィデル・カストロ前国家 評議会議長と会談した中国の習近平国家主席(左) |
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から、オバマ大統領がキューバとの国交正常化の交渉に入ることになった背景などを解説した部分のみ以下に掲載します。
ソ連崩壊以来、キューバにはロシアの支援はほとんどなかったため、キューバは何というか、宙に浮いた形でした。このままでは、衰退し続けてとんでもないことになるのは必定でした。
これに乗じて、習近平は、キューバを訪問して、崩壊したソ連、そうして今やGDPが日本の1/5の小国に成り果て、支援などおぼつかないロシアに肩代わりして中国が経済・軍事支援をし、米国の喉もとのキューバを親中国家に仕立てようとの目論見を企てたのです。
習近平のキューバ訪問では、習は、キューバの経済発展を「断固として支える」と表明しました。キューバを取り入れて米国の「内庭」を荒らす戦略的意図が見え見えです。米国・キューバの関係正常化交渉開始は明らかに、中国の影響力をこの地域から排除する米国の決意に基づくものです。この記事では、こうした背景を説明せず、オバマ大統領が突如として、キューバと国交回復の交渉に入ったかのような日本のマスコミの報道ぶりについて、糾弾しました。
このような中国の行動を放置しておけば、またキューバ危機の二の舞いになりかねません。オバマ大統領は、外交に消極的で、そのためシリアや、イラク、ウクラナイなどでも、失敗を重ねてきました。これらの地域では、はやめに対処していれば、あまり問題にならなくてすむようなことでも、オバマの優柔不断により、問題をより複雑化させてしまいました。
しかし、これらは、アメリカの権益にかかわることではありますが、それにしても、アメリカ本土から相当離れているため、アメリカの安全保障にはあまり影響はありませんでしたが、キューバと中国が結びつきを強め、中国がここに兵器や、軍隊を送り込んだ場合かなりの脅威となります。
米中関係が、悪くなった場合、米国本土が直接中国の脅威にさらされることになりかねません。これを放置しておけば、場合によっては、第二のキューバ危機に発展するということも考えられます。このような脅威は、アメリカ国民も許容できないと思います。
そんなことは、さすがに及び腰のオバマも許容できなかったのでしょう。それに、オバマが及び腰でも、アメリカ議会もこれを許すことはないでしょう。これを許せば、せっかくソ連が崩壊して、冷戦構造が消え去ったにもかかわらず、今度は中国による新たな冷戦構造が生まれてしまいます。
このキューバとの国交回復については、その後あまり報道されていませんが、この交渉はアメリカ議会の反対派もいて、一筋縄ではいかないかもしれません。 議員の中には、キューバとの国交回復は、キューバの人権保護と民主化の発展に何ら役立たないと考える人も多いです。彼らは、米・キューバの国交回復は、カストロ体制が何世代にもわたり、政権の座に居座りつづけるために必要不可欠な経済制裁の解除を実現するためには、多いに役立つかもしれないと考えています。
金正恩第1書記暗殺を描いたパロディー映画のポスター |
しかし、今回の北朝鮮への制裁に関しては、議会も賛成のようであり、このような素早い対応ができたと考えれます。そもそも、2014 年 7 月 28 日に、連邦議会下院は、北朝鮮に対する初の包括的な制裁法である「北朝鮮制裁強化法案」(H.R.1771)を可決しました。
これは、北朝鮮の核弾道ミサイル等の大量破壊兵器の脅威、通貨偽造やマネーロンダリングを通じた金融システムの悪用、重大な人権侵害等に対処し、金融制裁の強化により、同国の資金調達を阻止し、核兵器等開発計画の中止及び最終的な廃絶に追い込むことを目的とする。
具体的には、制裁対象となる北朝鮮高官やその協力者の入国を禁止し、米国内における全資産を凍結するのみならず、北朝鮮による核拡散、密輸や人権侵害に加担する第三国の個人や金融機関に対しても、米国政府に制裁を認めるものです。
また、北朝鮮の貨物に対する検査義務の履行が十分でない港や空港から到着する船舶や航空機に対する検査の強化等も規定しています。ただし、同法案は、来年 1 月 3 日の現議会期の終了までに上院で可決されない場合、自動的に廃案となります。
米上院のメネンデス外交委員長(民主党)は昨年12月19日、ソニーの米映画子会社を狙った北朝鮮のサイバー攻撃は「テロ行為の定義に該当するとみられる」として、北朝鮮をテロ支援国家に再指定するよう促す書簡をケリー国務長官に送りました。
メネンデス氏は北朝鮮のサイバー攻撃が「芸術の自由を圧迫する容認できない検閲」であり「危険な前例となる」と非難しました。
ロイス下院外交委員長(共和党)は声明で、オバマ政権が北朝鮮への金融制裁に及び腰になっていると批判。年明けに開会する新議会で、北朝鮮への制裁強化法案を成立させる必要性を訴えました。
さて、今回は、「北朝鮮制裁強化法案」の成立を待たずして、大統領令により、制裁措置をとることにしたものです。米財務省はこれを受け、北朝鮮の情報・工作機関の偵察総局など3団体10個人を制裁対象に指定しました。
このオバマの対応に関しては「北朝鮮制裁強化法案」が上院を今の時点では、通ってはいないものの、やはり議会の主な派閥の後押しもあったものと思います。
今回、またもやオバマが及び腰で対応していれば、北朝鮮が何かしても、アメリカは素早く対応できないということを印象づけ、北朝鮮をつけあがらせることにもなりかねないため、議会の承認がなくても、大統令で素早く動けることを印象づけたかったのだと思います。
そもそも、今回のサイバー攻撃そのものが、「北朝鮮制裁強化法案」の審議に対する牽制だったということも十分考えられます。この映画はそのための、後からの理由付けであって、もしこの映画が作成されることなく、公開発表がなかったにしても、サイバー攻撃が実施された可能性が高いです。
さすがのオバマ大統領も、今度ばかりは、及び腰で何もしなければ、北朝鮮をつけあがらせることになることを懸念して、素早い行動をとったのだと思います。
そうでなければ、またまた、オバマ大統領は、国内で外交ベタとか、外交オンチ、レームダックなどと揶揄され、本当に何もできなかった大統領としいて、歴史に汚点を残したかもしれません。
日本では、オバマ大統領の及び腰が日本にも大きな影響を与えていることがほとんど報道されませんが、尖閣問題が長期化・複雑化する真の原因はオバマにあります。
そもそも、日本もそうして、中国も戦後体制の枠組みに組み入れられているはずです。そうして、アメリは戦後体制の守護者であったはずです。そもそも、現在の中国である中華人民共和国は、日本と戦争をしたこともなく、戦後に建国された国です。日本と、戦ったのは、中華民国(現台湾)の国民党政府軍です。
この体制からすれば、尖閣は日本の固有の領土であり、日中間には領土問題は存在しません。戦後体制を守るのであれば、中国が尖閣でデモンストレーションなど行えば、すぐさま厳しい対応をすべきでした。
たとえば尖閣近くで、日米韓による、大規模な演習を行うだけではなく、その後も尖閣付近に空母や艦船を配置し、中国が領海や領空を侵犯するようなことがあれば、威嚇したり、威嚇しても収まらなければ、艦船や潜水艦など撃沈するなどのことを実施すべきでした。実際には、ここまでしなくても、その気構えさえみせれば、中国があのような挙動をすることはなかったでしょう。
にもかかわらず、オバマはこれを放置し、尖閣問題に関する声明も随分後になって、問題が複雑化した後に行っています。これでは、時期を逸していて全く意味もなく、かえって逆効果です。
このようにアメリカが、優柔不断であり、戦後体制を守る気がないということを中国側に示しているようなものです。中国としては、尖閣で日本だけではなく、アメリカの出方も試しているという面もあるということは、認識しておくべきです。
それにしても、アメリカの立場にたって、戦後体制を守りぬくという立場を貫くというのなら、尖閣では中国に対して厳しい態度をとるというのがあたり前です。
日本としても、いつまでもアメリカが優柔不断でありつづけるというのなら、戦後体制からぬけるしか道はなくなります。しかし、これはある意味日本にとっては、大きなチャンスかもしれません。
自前で自国を守るというあたり前の主張をして、実際そのようにするということも考えられます。ただし、いますぐというのは、無理があるので、現状ではアメリカとの同盟関係を保ちつつ、徐々に抜けていくというのが、最も良い選択肢だと思います。
これについては、日本にとっては、かなり良い環境が整いつつあります。それに関しては、このブログにも掲載した事がありますので、その記事を以下に掲載します。
「日本は憲法改正せよ」が米国議会で多数派に―【私の論評】憲法を改正するか、中国の属国になるか、アメリカの51番目の州になるか、あなたはどの道を選択しますか?
GHQによる日本国憲法草案 |
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、数年前から、アメリカ議会では、日本の改憲を良しとするほうが、多数派となっています。これは、日本の戦後体制から脱却を後押しするものです。
その他にも、日本の戦後体制からの脱却を促す、アメリカの国内事情があります。
「米国の抑止力、とりわけ日本に対するそれを低下させる」中国軍の戦力増強に危機感-米委員会が年次報告書―【私の論評】国内の増税見送り、解散総選挙で見逃され勝ちな世界の動き、アメリカ議会の動きを見逃すな!アメリカは、日本の改憲を望んでいることを忘れるな(゚д゚)!
海岸防衛から太陽海軍を目指す中国海軍 |
これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、アメリカの軍事費がこれからしばらくは、削減されることはあっても増えることはないことを掲載しました。以下に、グラフとそれに関わる部分のみを掲載させていただきます。
米国防総省(ペンタゴン)のヘーゲル国防長官は本年2月24日、陸軍の兵力を現在の約52万人から44万─45万人規模に削減、実現すれば、米陸軍の規模は第2次世界大戦に参戦する前の規模に縮小すると発表しました。今後10年間で約1兆ドル(約102兆円)の歳出を削減する案を模索中で、2015年度の国防予算は約4960億ドル(約51兆円)といいます。
今年(注:現時点では昨年)の3月1日、オバマ大統領は予算管理法(Budget Control Act)によって規定されていた「sequestration」条項の発動に追い込まれました。
この「sequestration」という用語は、多くのアメリカ国民にとってもなじみの薄い言葉であり、もちろん日本ではさらに聞きなれない言葉です。英和辞典にはこの単語の訳語として「隔離、流罪、隠遁、(法)係争物第三者保管、財産仮差し押さえ、接収、(医)腐骨化、(化)金属イオン封鎖」といった訳語が列挙されていますが、今回発動された「sequestration」には、「強制歳出削減」あるいは「自動歳出削減」といった訳語が与えられています(本稿では「強制削減」と呼称します)。
強制削減は、アメリカにおいて史上初めて実施されることになりました。そのため、その本当の影響はなかなか理解しにくいと言われています。
アメリカでは、今回の強制削減の発動は金融・経済界ではすでに織り込み済みであり、アメリカや世界の株式市場や経済動向に対する影響はそれほど深刻なものではないといった見方がなされています。しかし、最大の削減対象となる国防関係は極めて甚大な影響を受けることになり、アメリカ軍事戦略そのものの修正を余儀なくされかねない状況に直面しています。
今後アメリカの軍事予算はしばらく、削減されることはあっても増えることはありません。これは、当然のことながら、アメリカ軍の活動に大きく影響を及ぼします。アメリカ側としては、経済大国でも日本に対して、日本の防衛は、その大部分を日本に任せることで、かなり軍備を節約することができます。
これによって、他の重要な部分の軍備を減らさないですんだり、さらには、強化することも可能になります。
議会が日本の改憲を良しとする派が、多数派であり、軍事費が削減されるということから、これは日本の、戦後体制からの脱却への追い風となるのは間違いないです。
しかし、現状では、アメリカは世界唯一の超大国であるという事実には変わりありません。また、すぐにそうでなくなるということもありません。こうした、超大国を味方につけつつ、同盟関係は崩さず、賢く実質的に戦後体制から脱却することが、日本の進むべき道だと思います。
それにしても、戦後体制が崩れてはいない、現状においては、世界で唯一の超大国の大統領であるオバマは、中国や韓国にももっと厳しい態度をとるべきです。そうすることによって、中国や韓国は吠えまくるかもしれませんが、吠えたからといって、超大国アメリカになすすべなどありません。
日本が協力して、アメリカが本気をだせば、今でも中韓など全く敵ではありません。それは、中韓自身が良く知っていることです。だから、日本に対して反日活動をしたにしても、デモンストレーションどまりであり、戦後体制に組み込まれた日本に対しては、最後の一線を踏み外すことはできないのです。
もし、踏み外せば、超大国アメリカを敵にまわさなければならなくなります。それは、あまりにリスキーなことです。
戦後体制からの脱却など、非現実的だとか、夢物語のように考える人もいますが、このようなことを知ると、そうではないことが良く理解できます。
安倍総理は、このようなことを理解し、少なくとも戦後体制から脱却を近い将来に確かなものにするため、様々な手をうちつつあるし、長期政権が確実なものになれば、これからもさらに積極的に打っていくことでしょう。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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