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2019年6月13日木曜日

習近平氏“失脚”危機!? 香港流血デモ、負傷者70人超…中国共産党は“内紛”状態 専門家「G20前にヤマ場」―【私の論評】習近平が、かつての華国鋒のような運命をたどる可能性がかなり高まった(゚д゚)!

習近平氏“失脚”危機!? 香港流血デモ、負傷者70人超…中国共産党は“内紛”状態 専門家「G20前にヤマ場」

香港で、学生らと警官隊が激しく衝突した。中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の撤回を求め、立法会(議会)を包囲していた学生らに対し、警官隊が12日、多数の催涙弾やゴム弾などを撃ち込んだのだ。負傷者は79人に上ったという。30年前の「天安門事件」の悪夢は繰り返されるのか。香港は13日朝も緊迫している。「自由」と「法の支配」を守ろうとする学生らの抗議運動に対し、中国共産党幹部が香港入りしたとの報道もある。米国務省は、学生らの行動に理解を示した。今後の展開次第では、習近平国家主席の政権基盤が揺らぐ可能性もありそうだ。

「学生らの自発的行動(デモ)は『雨傘革命』以上だ」「香港の良さ(=自由や権利の保障、公平な裁判など)を、破壊しているのは、今の香港政府と中国共産党政権だ」

香港の民主化を求めた2014年の「雨傘革命」で学生団体幹部だった周庭(アグネス・チョウ)氏(22)は12日、東京・神田駿河台の明治大学での講演で、こう語った。その内容は後述するとして、香港の現状は深刻だ。

2018年12月に来日した周庭(アグネス・チョウ)氏

「逃亡犯条例」改正案の成立を阻止するため、立法会周辺の道路を占拠していた学生らに対し、12日午後、盾や警棒などを持った警官隊が出動し、催涙弾やゴム弾を発射した。頭から血を流して倒れ込む学生。SNSでは、無抵抗の学生らに襲いかかる警官隊の動画も拡散されている。

催涙弾の発射は「雨傘革命」以来で、市民や民主派らが強く反発するのは確実だ。緊張が高まっており、さらなる衝突が起きる懸念も強まっている。改正案は当初、立法会で20日にも採決される予定だったが、今回の衝突を受けて、不透明な状況になった。

中国共産党政権が支持する香港政府トップ、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は12日、地元テレビ局のインタビューで、改正案を撤回しない方針を改めて表明した。同日夜には声明を発表し、デモについて「公然と暴動を起こした」と非難し、催涙弾の発射などを正当化した。

これに対し、国際社会の見方は違う。

米国務省のモーガン・オルタガス報道官は12日の記者会見で、「根源的な権利をめぐって中国の支配下に入りたくないから抗議している」といい、若者らの行動に理解を示した。香港政府に対しては表現や集会の自由を守るよう求めた。

 EU(欧州連合)の欧州対外活動庁(外務省に相当)の報道官も同日、多くの負傷者が出たことを受けて、「平和的で自由に集まり、意見を表現する権利は尊重されなければならない」「香港市民の多くの懸念を共有する」とする声明を発表した。

香港は1997年に中国へ返還された後も、「一国二制度」に基づく「高度な自治」を約束されてきた。ところが、共産党独裁の習政権による強権支配が強まっており、「自由」や「司法の独立」が奪い取られようとしている。

前出の周氏は、明治大学での講演で「中国は法治国家でもなく、人権の保証もない」と訴え、続けた。

「香港は法治社会だったが、(『逃亡犯条例』改正案の可決で)身の安全すら保障されなくなる可能性がある。国際金融都市としての『特別な地位』もなくなる。社会や経済にも悪影響を及ぼす」「香港に来る外国の観光客や記者が逮捕されて、中国本土に引き渡される可能性がある。日本にも無関係でない法案だが、日本政府は意見を言っていない。日本の政府や政治家も、改正案に(反対の)意思をはっきり示してほしい」

共産党独裁国家にのみ込まれる危機に直面した、切実な訴えというしかない。

中国事情に詳しいノンフィクション作家の河添恵子氏は「学生たちは、香港にあったはずの『人権』と『自由』と『民主』がなくなってきていることを実感している。ここ数年、(共産党に批判的な)出版社店主などが次々と拘束されている。香港が監視社会になってきている」と語る。

習氏は今月末、大阪市で開かれるG20(20カ国・地域)首脳会合に出席するため来日する予定だが、激化するデモの展開次第で、どうなるか。

河添氏は「現在、中国共産党は内紛状態にある。習氏がデモ制圧のために軍を動かす判断をしなくても、反習派によって動く軍はたくさんある。万が一、軍が動いて大きな被害が出れば、国際社会は習政権を厳しく批判することになる。そのなかで、習政権の責任論が浮上する可能性もある。国内でクーデターが起こる可能性もある。G20前にヤマ場が来るのではないか」と分析している。

【私の論評】習近平が、かつての華国鋒のような運命をたどる可能性がかなり高まった(゚д゚)!

米国は、今回の香港の流血デモの直前に、習近平を追い詰める措置をとっていました。それは、事実上台湾を国として認めたことです。

米国防総省が最近発表した「インド太平洋戦略報告書」で、台湾を協力すべき対象「国家(country)」と表記しました。これは、米国がこれまで認めてきた「一つの中国(one China)」政策から旋回して台湾を事実上、独立国家と認定することであり、中国が最も敏感に考える外交政策の最優先順位に触れ、中国への圧力を最大限引き上げようという狙いがうかがえます。

ちなみにこの報告書では、昨日もこのブログに掲載したように、「北朝鮮による日本人拉致事件の解決への支援」も明記しています。トランプ政権の日本人拉致事件解決への支援はすでに広く知られてきましたが、政府の公式の文書で明記されたことはこれが初めてだといいます。

また同文書は同時に北朝鮮を「無法国家」と断じ、米朝間で非核化交渉を進めているにもかかわらず、同国が相変わらず日米両国にとって軍事脅威であることを強調していました。

インド太平洋戦略報告書の表紙

国防総省は報告書で、「インド太平洋地域の民主主義国家として、シンガポール、台湾、ニュージーランド、モンゴルは信頼でき、能力がある米国のパートナー」とし、「4国は世界で米国のミッション遂行に貢献しており、自由で開かれた国際秩序を守護するために積極的な措置を取っている」と強調しました。

これらの国は、米国のインド太平洋戦略のパートナー国家として、既存の同盟国家である韓国、日本、オーストラリア、フィリピン、タイに触れ、追加で協力を拡大・強化する対象国として言及されました。

米国は1979年、中国との国交を正常化した後、「一つの中国」政策に基づいてこれまで台湾を国家と認定しませんでした。その米国が事実上、米国に対抗する公式報告書で台湾を国家と表記したのです。

香港サウスチャイナ・モーニン・ポストは7日、関連内容を報じ、「米国が一つの中国政策を事実上、廃棄した」と指摘しました。同紙は、「これは中国を狙った最近の米国の挑発的な措置の一つ」とし、「米中両国が貿易、セキュリティ、教育、ビザ、技術だけでなく『文明』競争を行う過程でトランプ政権が出した奇襲攻撃」と強調しました。

これに先立ち、ロイター通信によると、米国は台湾に対戦車兵器など20億ドル規模の兵器販売も推進しています。台湾との外交関係修復と協力強化、軍事的支援を通じて、台湾を中国封鎖政策に参加する域内プレーヤーに引き込むということです。米中間の覇権競争が激化する状況で、中国の激しい反発が予想されます。

トランプ米大統領は6日(現地時間)、今月末の大阪での主要20ヵ国・地域(G20)首脳会議で、中国の習近平国家主席と首脳会談を行った後、中国製品に追加関税をするかどうか決めると明らかにしました。ロイター通信によると、欧州を歴訪中のトランプ氏は同日、フランスのマクロン大統領との昼食前に記者団に、中国に3千億ドル(約354兆ウォン)規模の新たな関税を課す時期を問われ、「G20の後、2週間以内に決定する」と話しました。

米国が、中国の世界貿易機関(WTO)内の開発途上国の地位剥奪を推進中という報道もあります。7日、「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)の中国語版によると、米下院外交委員会所属のテッド・ヨーホー議員(共和党・フロリダ州)は同日、米外交政策委員会(AFPC)の主催で開かれた中国関連会議で、「米議会は政府とともに中国の開発途上国地位の剥奪を推進しており、ポンペオ長官と議論した」と明らかにしました。


今回の混乱により、香港立法会(議会)の梁君彦議長は、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を13日に審議しないことを決めました。立法会がウェブサイトで発表しました。改正案は当初、12日に審議が再開される予定でしたが、13日に延期されていました。審議日程は議長が決定し次第、発表されるとしています。

混乱がさらに続き、「逃亡犯条例」改正の審議が長引き、米国により対中国冷戦が発動されるとともに、台湾が事実上米国に国家として認められたことなどから、習近平は相当追い詰められています。

上の記事にあるように、今回の出来事ですぐにクーデターが起きて、習近平がすぐに失脚ということもあり得るとは思いますが、もしそうならなくても、習近平がかつての華国鋒のような運命をたどる可能性は、今回の一連の出来事でかなり高まっ

華国鋒

1976年10月、毛沢東の後継者として中国の最高指導者の地位に就いた華国鋒は、自らに対する個人崇拝の提唱や独断的な経済政策を推進したため、当時の党内の実力者、鄧小平ら長老派と対立しましたた。

78年末に開かれた党の中央総会で華が推進する政策が実質的に否定されたあと、影響力が低下し始めました。華はその後も党内から批判され続け、側近が次々と失脚するなか、約3年後に自らが辞任する形で政治の表舞台から去りました。

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