2018年5月17日木曜日

威圧的な軍事演習で台湾を脅かす中国──もうアメリカしかかなわない―【私の論評】北朝鮮問題が収束すれば、米中対立でアジアの緊張は極限まで高まる(゚д゚)!

威圧的な軍事演習で台湾を脅かす中国──もうアメリカしかかなわない

トム・オコナー

南シナ海で行った演習でミサイルを発射したZ−9ヘリ(5月11日、正確な場所は明かされていない)

<戦闘機編隊が台湾島上空を周回。台湾の高速砲艦を想定した演習も>
中国が4月に南シナ海と台湾海峡で行った実弾演習は台湾に対する警告であり、必要ならば武力で台湾を併合するという意思表示だと、中国当局者が語った。

中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は「一つの中国」原則を認めない台湾への締め付けを強めており、南シナ海で史上最大規模の観艦式を実施するなど、このところ盛んに軍事力を誇示している。中国の国務院台湾事務弁公室の安峰山(アン・フォンシャン)報道官は5月16日の記者会見で、一連の軍事演習は「二つの中国」に固執する台湾当局に対するメッセージだと語った。

「(軍事演習は)『台湾独立』を目指す分離主義一派とその活動に対する強い警告であり、国家主権と領土の一体性を断固として守る我々の決意と能力を示すためのものだ」

「我々はどんな形であれ『台湾独立』を目指す分離主義の動きを封じ込める。『台湾独立』は絶対にあり得ない」と、安は語気を強めた。

5月15日には中国の国営テレビ、中国環球電子網が、南シナ海に展開する中国海軍の艦隊からZ-9対潜ヘリが飛び立つ映像を公開した。これは11日に実施された演習の模様で、中国の軍事専門家、宗忠平(ソン・チョンピン)が中国共産党機関紙人民日報系のタブロイド紙、環球時報に語ったところによると、紛争が勃発した場合、台湾など他国の高速砲艦が中国の空母を攻撃するというシナリオを想定したものだ。

牽制できるのは米軍だけ

5月11日バシー海峡を飛び越えたSu-35戦闘機とH-6K爆撃機
写真はブログ管理人挿入 以下同じ

中国国防省の発表によると、5月11日にはまた、中国空軍はロシア製のSU-35戦闘機を初めて、H-6K爆撃機編隊と共に台湾とフィリピンを隔てるバシー海峡に飛ばした。編隊にはJ−11戦闘機、KJ-2000早期警戒管制機が含まれ、台湾島を周回して空軍力の向上を見せつけた。

KJ-2000早期警戒管制機

これらは4月に台湾海峡で実施された実弾演習と南シナ海での史上最大規模の観艦式に続く演習だ。観艦式では習主席も閲兵し、海軍の現代化は「差し迫った」課題だと演説した。

オーストラリアのシンクタンク、ロウイー国際政策研究所が先日発表した包括的な指数によると、中国はアジアでは第2位の軍事力を保持しているが、首位のアメリカが中国の勢力拡大を黙認することはまずあり得ない。

米太平洋軍司令官フィリップ・デービッドソン海軍提督

米軍幹部は、海上における中国の軍事的プレゼンスをアメリカの国益に対する脅威とみなしている。米太平洋軍司令官に指名されたフィリップ・デービッドソン海軍提督は、4月に米上院軍事委員会の公聴会で、「中国は今や、アメリカと戦争になる場合を除き、あらゆるシナリオで南シナ海を制覇できる軍事力を保有している」と警告した。

アメリカは1972年以降「一つの中国」政策をとる一方で、民間レベルでは台湾との関係を保ってきた。ドナルド・トランプ米大統領は中国との貿易摩擦がピークに達した3月半ば、アメリカと台湾の閣僚や政府高官の相互訪問の活発化を目指す「台湾旅行法」案に署名。中国はこれに強く反発している。

【私の論評】北朝鮮問題が収束すれば、米中対立でアジアの緊張は極限まで高まる(゚д゚)!

北朝鮮問題は、何らかの収束を迎えそうな気配があります。米国は、先日もこのブログで掲載したようにイランをはじめとする中東の問題も抱えているため、北朝鮮問題に関しては早期解決をはかるでしょう。

その後に、中東の問題を解決する可能性が高まっています。だから、北朝鮮問題を長引かせることはないでしょう。どんな形であれ、数ヶ月以内に決着をつけることになるでしょう。

それについては、以前もこのブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
イラン・イスラエル戦争が始まる? 核合意離脱で一気に不安定化する中東―【私の論評】北朝鮮との和平に向けた動きが加速すればするほど、イラン攻撃が近くなる(゚д゚)!
イスラエル軍のダマスカスへのミサイル攻撃(5月10日)

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分のみを掲載します。
トランプ政権としては、まずは北朝鮮に核を放棄させるとともに、北朝鮮とイラン、シリアなどの中東諸国との関係を絶たせ、北と和平を結ぶか和平交渉のテーブルにつかせ、その後にイスラエルを支援し、イスラエルがイラン・シリアを攻撃し、様子を見て介入すべきと判断した場合は介入することでしょう。

トランプ大統領は、何としてもオバマ前大統領の「戦略的忍耐」を正す腹でしょう。
現在のところ、中東問題がどの方向に進んでいくのか、米国の介入があり得るかどうかは、未だ判然としないところがあります。

だからこそ、米国は北の問題を長引かせることないでしょう。金正恩が米国の要求をすべて飲むか、要求を飲まなければ、米軍が北に軍事攻撃をして少なくとも核関連施設をすべて破壊することになります。

その後中東情勢を睨み、米軍が介入するかどうかを決めるでしょう。

そうして、アジアでは北朝鮮問題など単なる前哨戦にすぎないことが明らかになります。台湾を巡っての中国と米国の対立が顕になります。

すでにその兆候はみられています。米国の対台湾交流窓口である米国在台協会(AIT)台北事務所の新庁舎が今年6月に開所後、米海兵隊が警備に就く可能性が出ています。

元AIT台北事務所長のステファン・ヤング氏が先にメディアへの投書で、新庁舎の警備には、他国の米在外公館と同様、海兵隊員を派遣するよう米政府に提案したことを明らかにしました。

台湾の対米窓口機関、台北経済文化代表処の米首都ワシントンの事務所の
警備に、憲兵ら台湾軍人の派遣を復活する案も出ている

米国側は海兵隊の派遣の有無を明らにしておらず、台湾外交部も確認を避けています。しかし、新庁舎建設工事の競争入札の募集広告に「警備隊営舎」と書かれており、海兵隊の派遣は確実との見方が広がっています。

一方、台湾の対米窓口機関、台北経済文化代表処の米首都ワシントンの事務所の警備に、憲兵ら台湾軍人の派遣を復活する案も出ています。AITの海兵隊派遣に対し、対等を立場を示すためです。

同代表処のワシントン事務所は、以前は憲兵が武器を携行せず館内で警備を行っていましたが、民進党の陳水扁政権時代に、経費節約を理由に中止になりました。馬英九政権時代に再び、憲兵の派遣が提案されましたが、中国への配慮から見送られました。憲兵は、国家主権の象徴であり、中国を刺激する恐れがあったからです。

台湾の外交関係者は、海兵隊と憲兵隊の相互派遣について「台米関係に影響を与えないようにするとともに、中国が反発して報復を招かないよう気をつけなければならない。利害とバランスは複雑で、すぐに結論は出せない」と話しています。 

いずれにせよ、米海兵隊のAITの派遣は規定の事実なので、これが実際に実施された場合、中国の反発を招くのは必至です。

しかし、これを皮切りに台湾をめぐり米中の対立が顕になるのは、必定です。

昨今の台中関係を鑑みるに、潜水艦は台湾の中国に対する抑止力を高めるためのカギとなる存在の一つであることが理解できます。航空戦力は既に圧倒的に中国側が有利であり、中国から台湾への攻撃があった場合、単純に両国間の戦力差を比較すると台湾は2、3日で制空権を失うと言われています。

これに関しては台湾の中国に対する、「A2AD(接近阻止・領域拒否)」的な能力の向上が重要ですが、実現には新鋭の潜水艦が不可欠です。しかし、現在台湾が保有する4隻の潜水艦(2隻は米国製、2隻はオランダ製)は、老朽化が進んでいます。これに対し、中国は約60隻もの潜水艦を保有しています。

2001年に米国のブッシュ(子)政権は、台湾に8隻のディーゼル推進式潜水艦の売却を決めたものの、結局、実現していません。そこで蔡英文政権は米国からの購入を断念し、自主建造に方向転換、2026年までに1隻目を就役させることを目指しています。

台湾の王定宇・立法院議員は、台湾の海中戦闘能力向上のための防衛計画は10年前に始まっていて然るべきものであり、潜水艦建造は既に予定より20年遅れている、と強い懸念を示しています(4月9日付、台北タイムズ)。また、船体は自主建造できるにせよ、エンジン・武器システム・騒音低減技術等は海外から導入する必要があります。

状況を俯瞰すると、米国から台湾に潜水艦技術が供与されることが望まれます。この点、4月9日、台湾国防部は、台湾の潜水艦自主建造計画を支援するために米企業が台湾側と商談をすることを米政府が許可したと明らかにしています。

10日、台湾・高雄市で開かれた「台米国防産業フォーラム」

台湾と米国の防衛関連企業の協力強化を目指す初の「台米国防産業フォーラム」が10日、台湾南部高雄市のホテルで開かれました。米国が台湾との高官往来を促進する法律を制定するなど米台の接近が目立つ中、中国が警戒感を強めそうです。

台湾政府は防衛産業の育成を重視し、フォーラムを通じて台湾企業が米国の防衛産業により深く関与することを狙っています。潜水艦や軍用機の自主建造も進めており、必要な技術協力にもつなげたい考えです。

フォーラムには米航空防衛機器大手ロッキード・マーチンや米軍需大手レイセオンなど10社以上の米企業や台湾企業約40社の代表らが参加。航空や造船、サイバーセキュリティー分野での協力の可能性について意見交換しました。

トランプ政権は米台関係を重視しており、米側は「防衛協力のチャンス」と期待。ただ、中国に進出している台湾企業は多く、中国への防衛機密漏えいを懸念し、法的な防止措置が必要との指摘も聞かれました。

米国では台湾企業と交流する米台国防工業会議が毎年開かれていますが、台湾ではこうした場がありませんでした。

ただ、商談が成立したとしても、実際に輸出されるには米政府の許可が必要となります。この点は不透明な要因ですが、最近の米国の潮流は台湾への武器供与に積極的になっているように思われます。

2016年7月、米議会では、台湾関係法と「6つの保証」(1982年にレーガン大統領が発表)を米台関係の基礎とすることを再確認する両院一致決議が採択されています。台湾関係法は、台湾防衛のために米国製の武器を供与することを定めています。

「6つの保証」の内容は、1.台湾への武器売却の終了時期は合意されていない、2.台湾と中国の間で米国が仲介することはない、3.台湾に中国と交渉するよう圧力をかけることはない、4.台湾の主権に関する立場を変更することはない、5.台湾関係法の規定を変更することはない、6.台湾への武器売却決定に当たり事前に中国と協議することはない、となっています。

トランプ政権は、昨年6月、14億ドル相当の武器を台湾に売却すると議会に通知し、同12月に発表された米国の「国家安全保障戦略」では、台湾関係法に基づく台湾への武器供与が明記されています。

台湾は、日本の潜水艦技術にも強い関心を持っていると言われています。日本の潜水艦技術は世界でもトップクラスであり、特に騒音軽減技術が優秀である。台湾が最新鋭の潜水艦を導入することは、日本の安全保障にとっても当然プラスになります。

通常動力型潜水艦としては世界最高峰の「そうりゅう型潜水艦」

日本は通常動力型潜水艦の分野で世界をリードする立場にあり、同分野で日本と比類する技術力を持つ国はありません。

中国にも039型などの通常型潜水艦がある一方排水量などの点から見ても通常動力型潜水艦としては世界最高峰の「そうりゅう型潜水艦」には到底及ばないのが現状です。

そうりゅう型潜水艦は「X舵」を採用しており、海底付近での機動性が向上しています。浅海区や沿岸で機動できる場所が多く、簡単に侵入されやすい日本周囲の海峡において威力を発揮する潜水艦です。海洋進出を進めている中国にとって、そうりゅう型潜水艦は脅威です。

日本としては、台湾の港に「そうりゅう型」潜水艦を寄港させたり、バシー海峡で、「そうりゅう型」潜水艦も含めた、日米台の軍事訓練を行うことも考えられます。

いずれ、台湾が要望すれば、日本はこれを提供することも今から検討をしておくべきです。

いずれにせよ、北朝鮮問題が何らかの形で収束を見た場合、しばらくアジアの平和と安定が続くとみるべきではないです。

次の段階では、台湾を巡って、米中の争いが顕になります。これに関して、日本は無関係ではないどころか多いに関係があります。

台湾が中国に飲み込まれてしまえば、日本も危険です。もしそのようなことが起こったとすれば、米国は台湾を見捨てたということです。勢いづいた中国は、台湾を日本侵攻の基地として、次の段階では尖閣諸島を我が物にし、その次の段階で沖縄、その次の段階では西日本、その次の段階では東日本を我が物にしようとするかもしれません。

一方、台湾の独立が維持された場合には、米国は台湾に海兵隊を進駐させるかもしれません。そうなると、かつてないほど緊張が高まることになります。

北朝鮮問題は、米国が中国に制裁の強化を依頼するなど、米中が直接対決ということではありませんでしたが、それでも大きな問題でした、しかしこの問題がある限りは、米中の直接対決はあまり目立たないものでした。しかし、北の問題が収束すれば、米中の対立が露わになりアジアの緊張は北の問題のときよりも一層苛烈なものとなります。

これが、お花畑頭の日本のマスコミや識者が伝えない事実です。その時に日本が、平和憲法を理由に、これを傍観することは許されることではありません。

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