2018年5月18日金曜日

「殺人タックル」日大アメフト部・内田正人監督、学内No.2の実力者だった! 常務理事で人事掌握 “鉄の結束”背景に上意下達の気風―【私の論評】アメフト監督が大学の常務理事を兼ねるのは統治論的にはあり得ない(゚д゚)!

「殺人タックル」日大アメフト部・内田正人監督、学内No.2の実力者だった! 常務理事で人事掌握 “鉄の結束”背景に上意下達の気風

日大アメフト部・内田正人監督

アメリカンフットボールの日大の選手が定期戦で関学大のクオーターバック(QB)に「殺人タックル」をした問題で、カギを握る人物が日大の内田正人監督(62)だ。アメフト部のみならず、大学の常務理事で人事を握り、実質的なナンバー2とされる。「上意下達」(関係者)の気風が影響したとの指摘もある。

 内田氏は日大豊山高校出身で、日大アメフト部では、レシーバーが散弾のように散らばりパス攻撃に有利な「ショットガンフォーメーション」で黄金時代を築いた篠竹幹夫監督の下でセンターとして活躍し、国際試合にも出場した。卒業後も職員として大学に残り、コーチとして篠竹監督を支え、4度の日本一、17度の学生王座に貢献した。

 44年にわたり監督を務めた篠竹氏が2003年に定年で勇退した後を継いで監督に就任。16年には一度勇退したが、チームの成績低迷を受け17年に監督に復帰した。

 練習前にトータルで2500ヤード(約2・3キロメートル)のダッシュを課すなどスパルタ練習で、約20人の大量退部者を出したが、昨年12月の甲子園ボウルで関学大を下し、27年ぶりの学生王座に返り咲いた。

 この甲子園ボウルの再戦となった春の定期戦で起きたのが、前代未聞の悪質タックルだった。

前代未聞の悪質タックル

アメフト部と関わりの深い日大OBの男性は、「内田監督は、相手選手に不必要なタックルをさせるような指令は出さないはずだ」と困惑する一方、「普通なら悪質なタックル1回で選手を引っ込めて叱るが、監督やコーチには選手のプレーをとがめる様子がなかった」と首をひねる。

 内田氏の指示があったのかについて日大は「大学内での調査の結果、そのような事実は確認されなかった」(広報課)との立場だ。アメフト部OBも「内田監督はいい人。部員もきっと何も気にしていないはず」。

 日大、そしてアメフト部の“鉄の結束”の背景について、ある関係者は「日大は上意下達が徹底している組織という印象が強い」と話す。

 アメフト部で絶対的な存在の内田氏だが、大学内でもトントン拍子に出世している。14年に理事に選出された内田氏は、17年には4期目の田中英壽理事長と3期目の大塚吉兵衛学長体制の下で常務理事となり、人事を担当するなど学内有数の実力者だ。

 前出のOBは「篠竹監督時代には、相手校に対するリスペクトがあった。今回の騒動も監督がきちんと顔を出し、正式に謝罪するべきだ」と話すが、判断を下せるのは内田氏本人だけなのか。

【私の論評】アメフト監督が大学の常務理事を兼ねるのは統治論的にはあり得ない(゚д゚)!

さて、この問題連日デレビで報道され、識者なども様々な意見を述べているのですが、残念ながら私からすればまともな意見を言っている識者はおらず、どれも核心をついていません。このままではこの日本の社会で似たようなことがこれからも度々繰り返されるとの危機感をいだきました。

問題の本質は、内田正人氏がアメフト部の監督という、企業でいえばいわば現場の監督のような仕事をしつつ、一方ではトップマネジメントを担っているというあり得ないようなことが、日大という組織でまかり通っているということです。

企業ではトップマネジメントと、現場監督を同時に兼ねるようなことはまずありません。特に上場企業であれば、そのようなことはそもそも、許されることではありません。

なぜそうなのかといえば、そのようなことでは、企業の統治に支障をきたすからです。統治に関しては以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
ただ事ではない財務省の惨状 同期ナンバーワン・ツー辞任 ちやほやされてねじ曲がり…―【私の論評】統治と実行は両立しない!政府は統治機能を財務省から奪取せよ(゚д゚)!
57年財務省入省組の記念写真 佐川氏、福田氏の他片山さつき氏も・・・・・
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の組織の「統治」に関わる部分のみを引用します。

"
経営学の大家ドラッカー氏は政府の役割について以下のように語っています。
政府の役割は、社会のために意味ある決定と方向付けを行うことである。社会のエネルギーを結集することである。問題を浮かびあがらせることである。選択を提示することである。(ドラッカー名著集(7)『断絶の時代』)
この政府の役割をドラッカーは統治と名づけ、実行とは両立しないと喝破しました。
統治と実行を両立させようとすれば、統治の能力が麻痺する。しかも、決定のための機関に実行させても、貧弱な実行しかできない。それらの機関は、実行に焦点を合わせていない。体制がそうなっていない。そもそも関心が薄い。
 といいます。
しかし、ここで企業の経験が役に立ちます。企業は、これまでほぼ半世紀にわたって、統治と実行の両立に取り組んできました。その結果、両者は分離しなければならないということを知ったのです。
企業において、統治と実行の分離は、トップマネジメントの弱体化を意味するものでありませんでした。その意図は、トップマネジメントを強化することにありました。
この事例は、無論政府の役割についてですが、統治ということでは、企業も大学のような組織でも同じことです。実際、ドラッカー氏はマネジメントの原則があてはまるのは企業のような営利組織だけではなく、あらゆる組織にあてはまるものであるとしています。

ですから、上の政府の役割の政府の部分を、企業なら「取締役会」、大学なら「理事会」と言い換えても成り立つのです。

実際に入れ替えてみます。
大学の理事会の役割は、社会のために意味ある決定と方向付けを行うことである。大学という組織のエネルギーを結集することである。問題を浮かびあがらせることである。選択を提示することである。
この政府の役割をドラッカーは統治と名づけ、実行とは両立しないと喝破しました。
統治と実行を両立させようとすれば、統治の能力が麻痺する。しかも、決定のための機関に実行させても、貧弱な実行しかできない。それらの機関は、実行に焦点を合わせていない。体制がそうなっていない。そもそも関心が薄い。
 理事会は大学の統治をするところです。そうして、内田正人氏が、アメフトの監督をしながら、常務理事をするということは、まさに統治と実行を両立させようとすることに他なりません。

この統治の原則からすれば、内田氏はアメフトの監督をしながら、常務理事をすることはさけなければならないです。アメフトの監督を続けるなというなら、そもそも理事になるべきではないのです。理事を続けたいなら、アメフトの理事をやめるべきなのです。

両方を掛け持ちすれば、統治の能力が麻痺するのです。実際、日大は統治能力が麻痺しているようです。内田氏は、あの事件から10日以上もたっているのにもかかわず、会見を開いて説明責任を果たすということもしていません。

これが、統治と実行がはっきり分離されていて、内田氏がアメフトの監督をのみをしているか、あるいは内田氏は常務理事だけをしていて、アメフトの監督は別の人物が行うなどのことをしていれば、そもそも、あのような事件はなかったか、あったにしても、未だに説明責任すら果たさないというお粗末なことはなかったでしょう。

統治と実行を両立させようとすると、このような不祥事が頻繁に起こることが、経験的に知られており、企業などの民間営利組織では、特に大企業では統治と実行は両立できないように、会社法などで定められています。

日本の官庁でも同じようなことが行われています。たとえば、財務省は、本来政府が定めるべき日本国の財政の方針を中途半端に定めるなど、統治をしておきながら、一方では徴税するなどの実行も行っています。これでは、日本国の財政に関わる統治能力が麻痺するのは当たり前のことです。

企業でも、中小企業の場合は、このあたりが曖昧になっているところが多いです。以下は北海道にある中小企業での実話です。本格的な春も近い3月のある日、季節外れの大雪が降ったので、社員や役員も含めて、駐車場の除雪をしたそうです。

除雪は専務取締役の仕事か・・・・・

その作業中に、専務取締役もいたそうです。専務も他の社員に入り混じって、2時間近くも除雪作業をしていたそうです。その姿を見たその会社の社長は後でその専務に対して「除雪作業をやらせるために君に高い給料を支払って、専務にしているわけではない。やるべきことをやれ」と叱ったそうです。

この事例では、社長は専務にこのような注意をするくらいですから、自分たちが主に実行すべきことは「統治」であると気づいているようですから、まともです。

しかし、そのようなことに気付かずに、自分も営業や作業に追われる中小企業の社長もいます。こうなると悲劇です。無論、社長がある程度、営業や作業をするのは規模の小さな企業では仕方ないことです。しかし、社長が企業統治のことなど全く頭になく、営業や作業に拘泥するような会社は早晩潰れます。

また、統治と企画の区別がつかない人もいるようです。これは、全くの別物です。企画とは、統治によって決定と方向付けを行なわれている状態で、その方向付けにしたがって、具体的に資源を割り当てる計画です。

その意味では、企画も実行の一部といえます。ただし、大企業では企画と、企画に基づいた実行をするのも別組織で行われるのが普通です。たとえば、大企業では、財務と経理が別組織になています。これを一緒にすると腐敗を助長するようなものです。

統治と企画を、取り違えると大変なことになります。本人は統治しているつもりでも、実は企画をしているということもあり得ます。そうなると、会社は方向性を失いいずれ機能しなくなくなります。

本来企画をするべき人たちに、統治をまかせようとする経営者もいます。これは、良く丸投げなどともいわれています。経営者があまり方向性など示すこともなく、部下に企画を立案させるような行為です。これも、部下が育たなかったり、部下が方針まで決定しなければならない状態に追い込まれ、混乱しいずれ企業が機能しなくなります。

財務省や、日大などは大所帯ですが、明らかに統治と実行が分離されていないので、財務省はまともな財政ができず、日大は今回のような不祥事を起こしてしまいました。

考えてみれば、最近の角界の度重なる不祥事も、統治と実行が区分されていないことに原因があるといえるかもしれません。相撲界の理事会の理事は、相撲取りの経験しかない人が大半です。それで本当に統治ができるのかどうか、はなはだ疑問です。

ものごとが、実行されている、現場を熟知していないと経営者はつとまらないと良くいわれます。それは事実です。しかし、現場しか知らない人は経営者などつとまりません。組織を統治すべき経営者にはそれ以外の知識や経験、洞察力、統合的思考などが欠かせません。

統治と実行は、厳密に区分されるべきものなのです。この当たり前の原則について、あまりテレビなどで報道されないのは、あらゆる組織において統治に関わる人は圧倒的に少数だからでしょう。さらに学校でもまともに教えられないことにも問題があると思います。

多くの人は、ガバナンス=統治であることくらいは知っているようですが、では統治とは何なのかということを具体的には理解していないようです。何しろ、日本では官僚や政治家、マンモス大学の理事でもそれを理解していないようですから、多くの人が理解しないのも無理はないかもしれません。

しかし、私達は、統治をすべき人がこれを理解していないような組織では今回のような不祥事がいつでも起こり得ることを認識すべきです。これが、問題の本質です。

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