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2020年8月3日月曜日

李登輝氏、終生訴えた「自信持て、日本人」— 【私の論評】台湾民主化の道筋を見ると、大陸中国の民主化も、不可能ではない!大陸中国こそ、現在の台湾のあり方を学ぶべき!(◎_◎;)

李登輝氏、終生訴えた「自信持て、日本人」

関西空港に到着し、出迎えの人々に手を振る台湾前総統の李登輝先生=2001年4月22日

台湾の李登輝元総統が7月30日、台北市内の病院で亡くなった。97歳だった。総統任期期間には、台湾の民主化に多大な貢献を果たした。経済面でも、農業経済学者だった素養を生かし、1990年代の台湾の飛躍的な経済成長を支えた。日本統治時代の台湾で生まれ育ったことから、晩年は日台関係の強化に尽力。関係者によると、「日本人よ、自信を持て」と訴え続けていたという。

台湾民主化の父、李登輝元総統が7月30日に死去した=18年6月、沖縄(李登輝基金会のウェブサイトより)

李氏は30日午後7時24分、入院していた台北栄民総医院で、多臓器不全などのため死去した。台湾メディアによると、李氏は今年2月8日の食事中に、喉を詰まらせて入院。その後、肺や腎臓などの機能不全を併発したことで、入院は長期化。7月23日以降は昏睡状態に陥っていた。
台湾内外から哀悼の声が寄せられた。民主進歩党(民進党)の蔡英文総統は30日に李氏を追悼する声明を発表。「台湾民主化の過程で、李氏がもたらした貢献は他に取って代わることのできないもの」として、李氏の功績をたたえた。李氏が2001年まで籍を置いた中国国民党も同日、「李元総統は人々に新しい人生をもたらした」とする声明を発表した。

日本の安倍晋三首相は31日、「痛惜の念に堪えない」などとコメント。同時に「日本と台湾の親善関係に多大なご貢献をされた方」と李氏をしのんだ。

■無血の民主化推進

李氏は1971年に国民党に入党。88年に本省人(台湾出身者)として初めて総統に就任した。00年に退任するまでの約12年間で6度の憲法改正を行うなど、大々的な政治改革を推進。94年には初の旧台湾省長と直轄市長の直接選挙、96年には初の総統直接選挙(李氏自身が当選)をそれぞれ実施。就任時は中国国民党の事実上の独裁下にあった台湾を民主主義社会へと変貌させた。

李元総統の最大の功績は、血を一滴も流さず民主化を進めたこと――。そう指摘するのは、李氏が主催する李登輝基金会の早川友久顧問。当時の国民党幹部の多くは、戦後に中国から台湾に渡った外省人。早川氏によると、党内で孤立しそうな環境下にあっても、李氏は内部の保守派と対話をしつつ、政治改革に着手したという。

■1人当たりGDP約2.3倍に

李氏は政治面だけでなく、経済面でも台湾に多大な貢献を果たした。任期中の年間の経済成長率はおおむね6~9%を確保。88年に6,370米ドル(約67万円)だった1人当たり域内総生産(GDP)を00年には1万4,908米ドルまで押し上げた。

中国への投資規制を緩和し、中国経済の拡大を台湾経済の成長につなげた。一方、任期後半には中国への資金流出による台湾経済の空洞化を危惧。中国投資に制限を設ける「戒急用忍政策」を打ち出した。米中貿易摩擦を経て問題視された経済的な中国依存に、早くから警鐘を鳴らしていた人物とも言える。


早川氏は、「李氏は元々農業経済学者であり、国民党内では経済政策で結果を出すことで、地位を上げてきた部分がある」と説明。政治改革の陰に隠れがちだが、経済面でも成果を収めた政治家だった。

■「日本統治の光を見てほしい」

李氏は日本が統治していた1923年の台湾で生まれた。京都帝国大学(現在の京都大学)に進学するなど、日本語で教育を受けていることから、終生日本との関わりを重視してきた。

早川氏によると、特に晩年は日台の交流活動に心血を注いでいた。李登輝基金会は毎年2回、日本人50人前後を台湾に招き、台湾への理解を深めてもらう研修活動を開催。李氏は同研修で必ず講演を行い、日台の相互理解促進に尽力した。

中でも繰り返し口にしたのが、「日本の若者にもっと自信を持ってほしい」とのメッセージ。早川氏によると、李氏が日台交流を促進する背景には、日本人に日本統治が台湾にもたらした功績を見せ、自信を持ってもらいたいとの思いがあった。

日本の台湾統治に影がないとは言わない。ただ、より多くの光を与えてくれた――。日本語世代が減少し、日台の相互理解が希薄化することへの危機感を胸に、李氏は生前そう訴えていたという。


【私の論評】台湾民主化の道筋を見ると、大陸中国の民主化も、不可能ではない!大陸中国こそ、現在の台湾のあり方を学ぶべき!(◎_◎;)

李登輝総統が誕生する前までの台湾はどうだったのか、ということが意外と知られていないようです。上の記事にも掲載されていません。これはあまりにも当たり前なのか、それとも意図して意識して裂けたのかわかりませんが、その現実を知れば、さらに李登輝氏の偉大さがわかります。

日本時代の1919年に立てられた堅牢なレンガ造りの台湾総督府の建物(同時期に作られた東京駅にも似ている)は、国宝級古跡にまで指定され、現在は台湾総統府として大事に使われています。

こうした台湾のインフラ整備に意欲を傾けた偉人達と、台湾全土で忠実に任務にあたった警察官や学校教師達のおかげで、台湾人は次第に日本人を敬愛するようになっていきました。

しかし周知の通り、大東亜戦争は日本の敗北で幕を閉じました。台湾は領土未帰属の状態となり、とりあえずの措置として中華民国(国民党軍)がやってきて支配することになりました。台湾人は、当初は同じ漢民族である(と誤認していた)中華民国を歓迎するつもりでしたが、軍規粛正な日本軍とのあまりの落差にショックを受けることとなりました。

国民党政府は1947年から、全土に戒厳令を敷き、台湾人を白色テロにより殺害しました。 特に、元日本軍人や知識人などが狙われたため、このあと台湾は文化、経済的に大きく停滞することになりました。この虐殺による死者は3万人近いとも言われますが、正確な数字は未だに不明です。戒厳令が解除されたのは、何と1987年です。

3万人というと、現在の台湾の人口が、約2400万人ですから、当時はもっと人口が少なかったはずですし、夥しい数の人々が、虐殺されたのは間違いありません。この事実が今でも、台湾の人々に大きな影を落としています。

このような歴史を経て、日本統治時代を直接経験している世代は、流暢な日本語を話し、「自分は元日本人である」と胸を張ってくれている人が多いです。李登輝元総統や、司馬遼太郎『台湾紀行』にも出てくる蔡焜燦氏らの世代(2017年死去)です。これらの方々が徐々に亡くなられていることは、本当に寂しいです。

蔡焜燦先生
しかし、台湾の全人口が親日的なわけではありません。戦後やってきた外省人は、もちろん反日的です。外省人は少数派ですが、政権を掌握してきた彼らは中華民国の反日史観で国民を教育し、メディアを支配してきました。

これによって、本省人にも戦後世代には反日史観に影響されている人も増えてしまいました。

しかし台湾の民主化以降は言論、政治にも日本統治時代の自由な空気が戻り、1997年には日本統治時代を客観的に評価する『台湾史』の教科書が制定されました。それまでは「中華民国は大陸全土を支配している」という蒋介石の妄想に従って『中華民国史』しか教えられていなかったのですが、ようやく台湾を台湾として教えられる教育が始まったのです。

このようなことを考えると、李登輝氏がいかに偉大であったのか、良く理解できます。李登輝氏の前までが、現在の大陸中国ともあまり変わりないようにも見られる、政権が台湾を統治していたものを、そこから武力も行使せずに、民主台湾を築いたのです。

こうして、台湾民主化の道筋を見ると、大陸中国の民主化も、不可能ではないと思えてきます。大陸中国こそ、現在の台湾のあり方を学ぶべきです。

そうして、李登輝先生がおっしゃったように、日本人はもっと自信を持つべきです。

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2020年7月25日土曜日

中国品質の時代が終焉し、日本品質の時代がやってくるシンプルな理由—【私の論評】あらゆる分野で、日本人が「霊を重んじる文化」を見直せば、コロナ以降の世界で日本は黄金期を迎える!(◎_◎;)

中国品質の時代が終焉し、日本品質の時代がやってくるシンプルな理由


パンデミックで価値観の転換


 アフターパンデミックの世界について色々な予測・議論が行われている。  ビジネス面では、7月8日の記事「じつは日本でいま『管理職』の仕事が消え始めている…!  その残酷な現実」、7月4日の記事「『コロナ後』の世界で、じつは『日本の製造業』が大復活しそうなワケ…!」などで述べた変化が起こる可能性がある。 【写真】大人気「ユニクロのマスク」を超える「凄いマスク」があった…! 

 また、精神面では6月26日の記事「コロナで人生の終末を意識するようになった人に贈る『完全燃焼の心得』」、6月10日の記事「コロナ、暴動に満ちた今こそ『苦しいときの神頼み』の効用を見直そう」などの流れが主流になっていくと思われる。

  そして、その2つの「物質(経済・ビジネス)」と「精神」が合体した形として我々の目にはっきり見えるようになると思われるのが、「中国品質から日本品質へ」の大きな流れである。  例えば、Tシャツやデジカメで不良・欠陥があれば腹立たしいことだが、購入した人の命には別条がない。  それに対して、最近話題になった中国製のマスクや人工呼吸器のずさんな品質……このような生命や安全に直結する商品での「中国品質」は致命的だ。いくら安くてもそのような商品は購入できない。相当な値段を払ってでも「日本品質」の商品を求めるであろう。

  もちろん、この流れは日本だけで起こっているのではない。マスクや医療器具が不足して困難な状況に陥った欧米諸国が、それでも「中国品質」のあまりのひどさに、次々と「返品」を行ったことからも明らかだ。

安さよりも安心・安全

 また、自動車などの商品も欠陥が致命的(事故による死亡)になりえる商品である。「安かろう悪かろう」の安売り戦略でいくら中韓を始めとする国々が攻勢をかけても、結局日本製には太刀打ちできす、6月16日の記事「やはり独り勝ち、世界の自動車メーカーはトヨタにひれ伏すのか?」で述べたような状況になるのは、自動車という製品に「日本品質」が強く求められるからである。

  そして、今回のパンデミックは、その他の多くの商品にも「安心・安全」が必要であるということを思い起こさせた。

  また、安心・安全は「製造における日本品質」だけではなく「物流などのサービスにおける日本品質」においても大事だ。トイレットペーパー騒動のように、生産能力がきちんとあるのに、中間流通が滞って手元に届かないこともある。

  さらには、4月17日の「マスク不足の真犯人は誰だ!  中国共産党政権の火事場泥棒を許すな」の記事のように、日本国内での自給自足も「安心・安全」の重要な要素であることを痛感させた。有事になればどの国も自国優先が当たり前で、マスク(医療機器)や食糧などの必需品の調達を自国内でできるようにすることはとても大事だ。

取引相手も「日本品質」へ

 今回のパンデミックにおける中国共産党の「マスク外交」のような「他人の足元を見る卑劣な行為」を見ると、「調子のいい時の友達などあてにできない。自分がどん底に落ちたときに寄り添ってくれる人が真の友人だ。」という言葉を思わず思い起こしてしまう。

  「中国品質」から「日本品質」への流れは、「製品」だけではなく、「取引相手」の選定などあらゆる分野で起こる。

  少し前のことになるが、マスク不足騒動が深刻化した頃、アマゾンのサイトで「お届け日」がかなり先日付の「洗えるマスク」を注文した。手元にまだ在庫はあったが、今後のマスク供給に不安があり、価格も当時としては「まとも」であったからだ。

  ところが、配達予定日になっても品物が届かない。サイトを見ると、「配達日を確認できない状態です」という表示になっている。普通ならここで注文キャンセルだが、当時の状況なので、一応そのままにしておくと、何の前触れもなく商品が届いた。しかも、サイトの表示では「日本企業」だと思っていたのだが、中国大陸からの直送便である。

  思わず荷物を受け取った手をごしごしと石鹸で洗った。そして恐る恐る中身を見ると、マスクが、ビニールで丁寧に個包装されている。しかも、「お客様へ」と描かれたきれいな絵が書かれたカードも同封されている。

  少し安心したのだが、個包装を開けて中身を確認すると、なんと6個のうち3個が穴が空いたりした(ひどいのは1枚のマスクの半分しか入っていなかった……)不良品で使いものにならなかった。欧米で中国の医療製品の返品が相次いだ理由も良くわかる。

  アマゾン経由であったので、「配達が確認されなければ代金が入金されない」仕組みであったであろうから一応商品は届いたが、そうでなければ商品が届いたかどうかさえ疑わしい。

  それに対して日本のドラックストアでは、いくら品不足になっても(一部で抱き合わせ販売があったと報道されたが)、不当な価格で売りつけるなどということは行われなかった。 

 中国大陸の日本風に見せかけた企業は、混乱時に売りつけてがっぽり儲ければ、また同じ相手と商売しようなどとは思わない。しかし、日本のドラッグ・ストアがマスクを高値で売りつけたら、買わされた顧客は、混乱が収まった時に、そのドラッグ・ストアには2度と行かないであろう。

  「中国品質」と「日本品質」の差が生まれるのは、「目先の利益だけに執着」するのか、それとも「長期的信頼関係の中で少しずつ利益を得ていく」のかという違いによるところが大きいと思う。

日本品質」は見てくれよりも中身

 日本人はディベート・プレゼンが下手であるとよく非難されるが、「口がうまくて中身のない人間」と「口下手だが中身の濃い人間」とどちらが有能なのだろうか?

  「欧米品質」は「中国品質」と「日本品質」の間にあることは間違いがないと思うが、どのあたりかは微妙だ。

  新型肺炎の影響で少々状況は変わったが、EUは域内であれば「一見さん」との取引を奨励する考えである。米国は、元々移民の国で、文字通り「どこのだれかわからない一見さん」と取引をするのが当たり前の文化だ。

  だから、「信頼できる特別な相手先との継続的取引」よりも「たくさんの一見さんとの短期的取引」が中心となるのも当然だ。

  そのような社会では、相手(取引先)の本当の中身を時間をかけて知ることは難しいから、「見た目」が重要視されるのも仕方がない。

  特に著しい「一見社会」である米国で、人目を引くディベートやプレゼンの技術が発達し、彼らがそれに長けているのも不思議ではない。

  確かに中身を知ることができなければ、包装紙や箱で判断するしかない。あるいは大きさで推測するしかないだろう。花さか爺さんの話は日本人ならだれでも知っていると思うが、「大きいつづら」を選んだ悪いお爺さんがどうなったかを考えるべきではないだろうか? 

  もちろん、見た目=イメージがビジネスの上で重要なことは否定しない。しかし我々の持つ時間や資源は限られている。「中身を磨く」ことと「見た目を飾ること」のどちらに配分すべきなのか?

 多くの日本人・日本企業は前者を重要視しているから、後者までなかなか手が回らないのは致し方ないと言える。

  「中国品質」では、見た目で他人を引き付けることに重点が置かれるが、「日本品質」は中身を充実させ、長期的な信頼を得ることを大事にする。

  例えば、日本の中古車が海外市場で絶大な人気があるのは、おおよそ10万キロの耐用年数を過ぎても、きちんとメンテナンスすれば30万キロ以上楽勝で走るからである。 

 そのような高品質の自動車を製造しても、自動車メーカーに目先の利益があるわけではない。むしろ故障しないでいつまでも走ったら、買い替え需要がなくなるので不利だ。実際、以前は、日本の家電製品は品質が高すぎてなかなか壊れないので(中国資本が入ってきたりして状況が変わっている様だが……)、わざと壊れるようなプログラムが仕組まれているという都市伝説があったほどだ……  しかし、6月16日公開の「やはり独り勝ち、世界の自動車メーカーはトヨタにひれ伏すのか?」で述べたように、自動車産業でトヨタを始めとする日本勢が圧倒的なのは「日本品質」によって世界中の人々の信頼を勝ち得たからである。

  目先では「中国品質」が有利なように思えても、長期的に見れば「日本品質」のほうが圧倒的に強いのだ。

日本型経営、日本型社会も再び世界中の脚光を浴びる

 「日本品質」と密接につながる「日本型経営」は1400年の歴史がベースだ。  

 一時期日本型経営が世界的ブームになって、米国を始めとする多くの国々が日本に学ぼうとした。しかし、日本のような1400年にわたる歴史の中での「相互の信頼関係」がない国が、表面的なことだけをまねしようとしても機能せず、「うまくいかないから……」ということで、忘れ去られてしまった。 

 それどころか、1990年頃のバブル崩壊の後、日本でも業績が悪いことが「日本型経営」のせいにされてしまい、外来の血も涙もないリストラなどの悪弊がもてはやされるようになってしまった。

  実は、日本の長期にわたる低迷は「日本品質」と密接に結び付いた「日本型経営」をないがしろにした結果なのである。

  残念ながら、バブル後の世知辛い時代を経て、日本人同士の信頼関係が弱まってしまったが、それでも海外の国々に比べれば、1400年の歴史を経たお互いの絆は強い。

  つまり、「日本品質」は日本の伝統と文化に根ざした「日本型経営」によって生み出され、他国には簡単にまねできない武器なのである。

  ビジネスにおいて、得意分野にフォーカスすることの重要性は、ピーター・ドラッカーやウォーレン・バフェットも強調するところである。

大原 浩(国際投資アナリスト)

【私の論評】あらゆる分野で、日本人が「霊を重んじる文化」を見直せば、コロナ以降の世界で日本は黄金期を迎える!(◎_◎;)

私も冒頭の記事を書いた、大原氏と同じような経験をしました。マスク不足、アルコール洗浄液など騒動が深刻化した頃、アマゾンのサイトで「お届け日」がかなり先日付の「アルコール洗浄剤」「洗えるマスク」を注文しました。

その後、届くはずの日になっても届かなかったのですが、そのままにしていました。その後もコロナ禍はどんどん深刻になっていたので、フェイスシールドを購入しようと、これもアマゾンで注文しました。

その「洗えるマスク」と「アルコール洗浄剤」が、ほとんど忘れた頃に届きました。開けてみると、マスクの方はまともそうですが、アルコール洗浄剤に関しては、想像したよりも遥かに安っぽいプラスチック製の小さなボトルに入った物が4本でした。

説明書の文字があまりに小さいのと、英語・中国語・ハングルの表記はあるものの、日本語表記はなかったので、説明書はほとんど読みませんでした。一本一本が異なる香りになっているようでした。

その当時、韓国製のアルコール洗浄剤で、ほとんどアルコールが入っていなくて、ウイルス感染症対策にはならないものも販売されているとの報道がなされていたので、何やら不安感を感じて、結局このアルコール洗浄材は使いませんでした。

マスクの方も、品薄ではあったのですが、何とかして節約して使えば、使えたので、もしも本当に無くなつた時に使おうと思い、未だパッケージの封も切らないでそのままになっています。ただし、パッケージの大部分は、透明なので、外から見た限りでは、まともそうです。

そうして、ある日、これもほとんど忘れた頃に、フェイスシールドが届いたのですが、これは完璧に欠陥品とも呼べるものでした。なんと、シールドの素材が、透明ではなく、曇った素材でできいたのです。曇ったとは言っても、磨りガラスのように完璧に曇って、何も見えないというものではないですが、それにしても結構な曇りでした。

本来は、外出用に購入したのですが、曇りがあれば、危険な目に遭うことも予想さるとともに、このフェースシールドをした場合、曇りにより、パソコンなどに表示される、文字や写真が見辛いこともあり、これも結局使わず、押し入れに入れたままになっています。

以下写真は、このフェイスシールドの写真です。パソコンのディスプレイの前に配置して撮影しました。

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アマゾンの見本の写真では、透明だったので、これは本当に裏切られた思いがしました。ある日、テレビを見ていると、確か釧路だったと思いますが、ある店で魚介類をドライプスルーで販売を始めたという報道の中で、販売員の一人が、私が購入したのと同じと思しきフェイスシールドをしていました。他の人は、マスクだけでした。

おそらく、このファースシールドをした販売員の人は、私と同じく、アマゾンで購入したのでしょう。曇りは気になったでしょうが、店舗から車まで、魚介類を運ぶくらいには、使えるだろうし、それでコロナ感染が防げればと、判断して、仕方なし使っていたのでしょう。

このようなことがあったので、家族からも「何で、中国製なんか買うの。もうやめらた」と言われました。「アマゾンで購入したので、中国製とは知らなかった」など苦しい言い訳をしました。

現在この販売履歴をアマゾンで見ようとすると、「故障中(CS11)」のメッセージが出できます。この販売業者は、既に販売やめているのでしょう。それに、購入者から多くのクレームが入ったのかもしれません。私自身は、返品も面倒そうなので、そのままにしてあります。価格は5個入りで1449円でした。

最近このようなことが続いたので、やはり私自身も中国製品の品質にはかなり疑念を抱くようになりました。安いとは言ってもこれでは、用を為しません。

その後、感染症・花粉予防のメガネ(私は目は悪くないので度は、入っていない)を購入したのですが、その時は、近所のスーパーに入っている、メガネ屋さんで、日本製であることを確認してから購入しました。

以上のような経験をしたので、冒頭の記事で、大原氏が主張していたことは良く理解できます。

その上で、日本の産業は、パンデミックを経て、自らの強みを再確認して、それに集中するのは良いことだと思います。特に、医療や人の命に直接関わるようなものであれば、日本の独壇場になる可能性が大です。

 さらに、大原氏は、”ビジネスにおいて、得意分野にフォーカスすることの重要性は、ピーター・ドラッカーやウォーレン・バフェットも強調するところである”と結論を述べています。これも本当にそうだと思います。

ドラッカー氏
ドラッカーは成長のための戦略について以下のように語っています。
ほとんどの会社が成長を望む。だがそれらの中で、成長のための方策を講じているものはわずかしかない。成長のための戦略をもつものはさらに少ない。(『実践する経営者』)
まず行なうべきは、何を捨てるのか決めることであり、どこで成長したいかを決めることではないというのです。

成長戦略の基本は、機会に備えて資源を自由にしておくことだと、ドラッカーは言います。そのためには、見返りが急速に減少しつつある製品、サービス、市場、技術から、資源を引き揚げなければならないのです。

したがって、2~3年ごとに「この製品を生産していなかったとして、あるいはこのサービスを行なっていなかったとして、今われわれが知っていることを知っているとして、それを始めるか」を問う必要があるとしています。

成長は、機会を利用することからもたらされます。特に貴重な資源である有能な人材が、昨日の仕事の若干の延命、陳腐化したものの防戦、失敗したもののアリバイづくりに投入されていたのでは、機会を利用することは不可能だというのです。

IBM、ゼロックス、GEなど優れた企業の成長戦略は、今日最も成功している製品は明日には最も早く陳腐化する、との前提からスタートしているのです。
成長のための戦略は、機会あるところに的を絞らなければならない。自らの強みが、異常なほどに大きな成果を生む分野に集中しなければならない。(『実践する経営者』)
コロナ後の世界では、まずは人の生命を大事にする製品・商品にこそ大きな機会があることは言うまでもありません。今までもそうではあったのですが、コロナ後の世界では、それがさらに強調されることになるでしょう。

そうして、考えていくと、この世の中全てのもの、何もかもが人の生命に関係しています。食べ物、飲み物も、品質が悪ければ、人の生命にとって危険なものになります。車などの交通手段だって、通信手段も、人の命を左右することもあり得ます。

全ての製造物は、人の生命に無関係ではありません。大原氏は 「日本品質」は中身を充実させ、長期的な信頼を得ることを大事にするとしていますが、その中身には当然のことながら、人の生命を大事にするという観念が含まれています。しかし、コロナ後の世界では、特にそれが、大事にされることになるでしょう。

そうすると、産業の全分野で、「人の生命を大事にする」という重要な部分があります。それに特化して、掘り下げていけば、日本品質は産業の全ての分野で世界中から支持されることになります。

いや、政治の世界でも、学問の世界も、宇宙開発から、海洋開発から、ありとあらゆる、この地球に存在するもの、宇宙に存在するもの全てに関して、「人の生命を大事にする」という観点から見直されることになるでしょう。

そうして日本の伝統と文化には、それが最初から組み込まれています。「人の生命を大事にする」だけではなく、それどころか万物には霊が宿るという考えや、霊を重んじるという、日本独自の「霊性の文化」です。

考えてみると、このような考え方が失われたからこそ、今日人類は、文明が進み、特に先進国では疫病とは無縁にやったように思われていたにも関わらず、コロナウイルスによる惨禍に見舞われたのかもしません。しかも、それがこのような考え方からは、最も程遠い中国共産党の隠蔽により、世界に広まったことは、象徴的です。

他国にも、霊を重んじる文化が、宗教が勃興する以前にはあったのですが、それはほとんど消えてしまいました。日本は、それを近代国家になった以降も維持し、現在見られる日本人の精神構造や生活習慣や文化にまで昇華してしまいました。

多くの日本人は、それがあまりにも当たり前過ぎるので、ほとんど意識しませんが、日本人の精神には、それが世代を超えてかなり深くにまで精神の奥深くまで刻み込まれています。これは、八百万の神とか、お正月の初詣とか、験(げん)かつぎをするなどの様々な形で残っています。

こうしたことより日本人は、自然の力を畏れたり、古の人々の想いや、この世の中には、自分よりはるかに大きなものや、価値や情念などが厳然として存在していることを潜在意識の中に埋め込まれます。

しかし、これに普段は気づかなくても、いざというときには出てきたりします。これを全く意識しない鈍感な人や組織は、どんなに成功しているように見えても、最終的には道を誤ると思います。中共はその典型かもしれません。

毎年80万人以上が初詣に訪れる北海道神宮

産業界に限らず、あらゆる分野で、この精神を見直し、無意識ではなく、意図して意識して生かすことに全日本人が注力すれば、日本は国内だけではなく、世界の中で黄金時代を迎える可能性も大です。

コロナ禍以前では、日本の「霊性の文化」も様々な雑音が入って、他国からは理解しにくいもだったかもしれませんが、コロナ禍後には理解されやすいかもしれません。宗教によって、全く消え去ったと思われる他国の文化や言語にも霊性に関する事柄が残っていたりします。日本でも知られているのは、ハロウィーンです。これは、キリスト教とは全く関係ありません。

私は、「人の命を大事にする」という考え方は、敷衍していけば、「霊性」やそれを重んじるということにつながっていくと思います。

私は、日本を起点として、世界で「霊」を重んじる方向に向かっていけば、人類は疫病などの災厄から救われることになると信じます。

【関連記事】

2020年7月13日月曜日

「国安法」施行で日本人が注意すべき“危険な国”は? 石平氏「習主席には地球全体を支配しようという思惑が? もし日本人が香港民主派に賛同する言動すると…」— 【私の論評】先進国は国際法を守らない中国の高官が自国を訪問したら、逮捕して裁判せよ!(◎_◎;)

「国安法」施行で日本人が注意すべき“危険な国”は? 石平氏「習主席には地球全体を支配しようという思惑が? もし日本人が香港民主派に賛同する言動すると…」

香港への統制を強める習近平氏はあまりに危険だ。国際社会は警戒感を強める

中国政府による統制を強化する「香港国家安全維持法(国安法)」施行に伴い、自由主義諸国は「自国民に影響が出かねない」と警戒している。同法が定める違法行為を、外国人が香港だけでなく、香港以外の場所で行った場合でも、香港・中国側が求めれば拘束・移送される危険性があるのだ。香港や中国と「犯罪人の引き渡し条約」を結んでいる国は大丈夫なのか。日本人が注意すべき国を調べてみた。


 「中国が香港に国安法を導入した結果、香港との関係が根本的に変わった。『犯罪人引き渡し条約』は停止する。中国にも伝えた」

 オーストラリアのスコット・モリソン首相は9日の記者会見で、こう表明した。

 国安法は、中国への抗議活動などを取り締まるため、国家分裂や政権転覆、外国勢力と結託して国家の安全に危害を及ぼす行為だけでなく、それらを扇動、教唆することも禁止している。

 これらは香港で適用されるだけでなく、「香港の永住権を有しない者が、香港以外の場所で本法律に規定する罪を犯した場合、本法律が適用される」(38条)という。

 つまり、外国人が香港以外で「香港は独立すべきだ」と発言しても、同法が適用される可能性があるのだ。

 このため、冒頭のオーストラリアだけでなく、カナダのジャスティン・トルドー首相も3日、同様の条約停止を発表した。ニュージーランドも9日、引き渡し条約の見直しを表明した。



  日本は幸い、香港や中国と「犯罪人引き渡し条約」は結んでいない。ただ、同様の条約を、香港や中国と結んでいる国は多い=別表。ビジネスや観光で訪れる際は注意すべきだ。

 中国事情に詳しい評論家の石平氏は「習主席には、国際法や国際関係の基本ルールが通用しない。地球全体を支配しようという思惑でもあるのではないか。日本人が香港の民主派に賛同する言動をすれば、香港や中国はもちろん、香港や中国と親しい国で拘束される危険性がある。日本政府は『国安法は受け入れられない』と断固たる声明を出すべきだ。中国の属国になるわけにはいかない」と語っている。

【私の論評】先進国は国際法を守らない中国の高官が自国を訪問したら、逮捕して裁判せよ!(◎_◎;)

香港で国安法が導入された当初から、上の記事で示されている懸念については、私もこのブログで表明しました。

これ一つを持ってみても、もはや習近平は世界の指導者にでもなったつもりで、世界中を自分に従え、世界中のいかなる国において誰かが中国や香港を批判しても、それを罰するつもりです。

すでに、多くの国々が犯人引渡し条約を破棄するか、その方向で、進めているのも当然出す。まともな民主国は、この条約を破棄することでしょう。

この中国の暴挙には、まずはほとんどの国で条約を破棄することで、ある程度対応することができます。条約を破棄しない国は、ロシアなどのわずかの国々になることでしょう。

ロシアなどのわずかな国々に、行かなければ良いのです。これは、米国などに行けなくなるのとは違いますから、個人に取っては、ほとんど問題にならないでしょう。

ただし、企業などでは、中国や、中国と「犯人引渡し条約」を結んでいる国に、拠点がある場合は、深刻な問題になりそうです。

しかし、これも中長期的には拠点を引きあげれば良いと思います。現状では、中国や中国と関係の深い国々でのビジネス展開は非常に危険です。一時的に利益が出たとしても、この先どうなるかわかりません。

そうして、この件に関して、中国を牽制する手段は他にもあります。それは、かつて台湾が行ったことです。それに関しては、随分前ですが、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

【日本で報道されない激レアニュース】台湾訪問中の中共高官2人、相次ぎ刑事告訴される―【私の論評】及び腰日本はなぜこのようなことをしないのか?

  スペインの国家裁判所に、ジェノサイドと拷問の罪で
  刑事告訴された江沢民・元国家主席を含む5人の中共高官

この記事は、2010年のものです。詳細は、この記事をご覧いただくもとして、この記事では当時台湾訪問中の中共高官2人が相継ぎ刑事告訴されたことを掲載しました。以下に一部を引用します。
中国宗教事務局の王作安・局長は、先週15日(2010年9月15日)に台湾を訪問した際、台湾法輪大法学会に、法輪功への集団弾圧を陣頭指揮した罪で告訴された。前日の14日、台湾を訪問中の陝西省趙正永・代理省長が同団体に刑事告訴されたばかり。 
台湾法輪大法学会は、台湾の高等裁判所の検察署にジェノサイドと民権公約違反の罪状で二人をそれぞれ刑事告訴し、身柄拘束を要求した。同検察署は訴状を受理した。
この時の台湾総統は、当然のことながら現在の蔡英文ではなく、中国寄りの馬英九でした。そのこともあって、これは大ごとにはならず、二人の中国高官も結局早期に釈放されたようです。それにしても、台湾検察が刑事告訴をしたということ事態が今から考えると、とてつもないことです。もしこの時に、本格的裁判をしていたらどうなったでしょうか。

2013年には、スペインの裁判所がチベット族の虐殺に関与した疑いで、中国の江沢民元国家主席(当時:87)ら元幹部5人に出した逮捕状が波紋を呼びました。

このようなことがあった後に、2013年3月14日には、習近平政権が成立しました。このようなことがあったせいでしょうか、習近平が初めて、米国の当時のオバマ大統領を訪問した時には、ひょっとして自分は米国司法当局に逮捕されるのではないかという危惧の念を抱いていたようです。

2013年オバマ大統領と習近平主席の初会談

なぜなら、法輪功信者は米国にも大勢いて、習近平の米国訪問の反対運動をしていたという事実があります。実際にオバマ政権の時の司法当局がそのようなことをしていたら、その後の中国の暴走を防げたかもしれません。

台湾やスペインがこのようなことをしているのですから、中国が実際に、国安法で他国に、中国を批判した個人などの引渡しを求めるようなことをした場合は、その報復として、中国人高官が米国などを訪れた場合、司法当局が身柄を拘束して、起訴して裁判を行えば良いのです。

習近平が日本を訪問したいというなら、訪問させて、検察が身柄を拘束して、裁判を行うというようなことをすれば良いです。そのようなことをすると、意外と現在の八方塞がり中国は、喜んでそれを受け入れ、八方塞がりの原因を作った習近平はあっさり失脚するかもしれません。

何しろ、これから、米国は中国に対する制裁をさらに強化し、多数の中国高官の資産を凍結しようとしています。そうなれば、金の切れ目が縁の切れ目で、習近平は中国の幹部からも敵ということになります。

理想も信念もない中国共産党幹部たちの、結びつきは金だけです。金を儲けさせてくれるから、習近平について行ったものを、その金がなくなれば、習近平に忠義立てする必要もなくなります。その習近平が身柄を拘束されるということになれば、大喜びする幹部も多いことでしょう。

中国の高官であれば、過去に虐殺や虐待に関わっているものも多いはずです。だから、起訴理由はいくらでもあります。そうして、それを米国だけが行うというのではなく、多くの国々で行うようにすれば良いでしょう。

国際法を守らない中国は、それくらいのことをされても当然です。

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2020年6月13日土曜日

「日本は成功例の先駆け」米国が大絶賛したコロナレポートの衝撃内容— 【私の論評】日本人は「ジャパン・ミラクル」は連帯感によるものと認識するだけではなく、それを誇るべき!(◎_◎;)

「日本は成功例の先駆け」米国が大絶賛したコロナレポートの衝撃内容

まさに「ジャパン・パラドックス」だ

米国から見た日本のコロナ禍対策

ワシントンDCから米国人の目で日本の金融・財政政策を分析・解説する在米金融アナリスト、斎藤ジン氏がパートナーの一人である「OBSERVATORY VIEW」をほぼ毎号、読み参考にしている。

ニューヨークを本拠とする有名なユーラシア・グループのイアン・ブレマー代表が編集・発行する「eg update」も必読のニューズ・レターである。その他にも、DCで政治コンサルタントを務めるカール・アイゼルバーグ氏の「Monitor」も定期送付してもらっている。

本来、いずれも高額な購読料を支払うべきであるが、零細事務所を運営するジャーナリストに免じて贈呈扱いになっている。

日常が戻りつつあるニューヨーク市街地

さて、直近の「OBSERVATORY VIEW」(6月9日付)に斎藤氏が寄稿した「日本公衆衛生政策―コロナ、政治、ジャパン・パラドックス」は日本のコロナ禍対策を分析した秀逸のレポートである。

同レポート冒頭の長文リードは次のように始まっている。

<コロナに関して市場は以下を確認したがっている:(1)金融政策によって確実な信用フローが維持される、(2)財政政策が蒸発した需要を穴埋めする、(3)コロナを封じ込め、経済活動を再開する、この三つだが、現在(3)が最大の不透明要素だ。我々は感染症そのものについては何の付加価値も生み出せない。しかし感染症研究に基づいているとしても、公衆衛生政策は最終的に政治判断である。>

「日本はその成功例の先駆けと言える」

途中のパラグラフを割愛して、リードの最後を紹介する。

<日本は(感染症学分野で)主流派の予言を忠実に守らなかったことから、強い批判に晒されてきたが、その(新型コロナウイルス感染者の)死亡率は0.73と相対的に成功した国の一つだ。そして将来、日本のように政治的な裁量判断を多用する国が増え、社会の様々な側面(=公衆衛生危機、経済コスト、個人の自由とプライバシーに対する懸念など)を政治指導者の政治資本の範囲の中で考えるようになるだろう。日本はその成功例の先駆けと言える。>

レポートの見出しにある「ジャパン・パラドックス」とは、まさに我が国の政治指導者、即ち安倍晋三首相がコロナ危機当初、感染症学の専門家の助言よりも独自の裁量判断を重視するアプローチを追求し、国内外の専門家やコメンテーターから批判されていたが、様々な側面のバランスをどう取るのかと、政治資本の中で考えて優先順位を付けてきたのでコロナ感染者数と死亡者数の低さを得たことを指す。

日本は、韓国や台湾のように個人の自由とプライバシーの侵害の懸念よりもデジタル追跡ツールの使用を優先させ、且つ広範なPCR検査や感染者隔離のために民間施設徴用などが実施できなかった。それ故に、声高に日本のコロナ禍対策は間違っていると断じられたのである。

だがしかし、人口密度が高い大都市圏を抱えるだけでなく、約1億3000万人もの人々が米モンタナ州と同程度の広さの国土に住んでおり、しかも最も高齢化が進んでいる社会である日本の死亡率0.73は韓国(0.53)より若干高く、ドイツ(10.48)を大幅に下回っているのだ。

PCR検査の優先順位が低くなるのは不可避

斎藤氏の指摘はこうだ。確かにラッキーな面があったかも知れない。しかし、日本のアプローチの起点は「限られた能力でできるだけ多くの命を救うために医療崩壊だけは回避しなければならない」ということであり、そこから全ての優先順位付けを行ったと言う。

換言すれば、戦術的優先事項(1)クラスター(感染者集団)を最小限に抑え、(2)一定の症状(持病を含む)を持つ患者を優先的に治療する、の2つであった。であるならば、PCR検査の優先順位は低くなるのは不可避というのである。

斎藤氏の数多い指摘の中でも得心した件があった。<日本は先端医学の分野では決して米国と比肩することは出来ないと考えている。しかし感染症との闘いは結局、トップレベルの「ベスト・アンド・ブライテスト」ではなく、現場の名もない一兵卒の頑張りにかかっている。>

同氏が言う「現場の名もない一兵卒」とは、各地の保健所に監視と追跡のプロを含む様々な医療専門家で構成される現場の実行部隊であり、彼らがクラスターの特定と感染経路を愚直に追跡した影のヒーローであると讃えている。

そうであっても、コロナウイルスの「第2波」「第3波」は必ず襲来する。そのためにはSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)を含めて一連の相対的な成功体験に満足するのではなく、感染症対策の最新技術や医療システムを導入すべきだ。支給するマスクの数やPCR検査件数を競うのではない。いつの日か痛い目に遭って世界の笑いものにならないためにも、それは必要である。

【私の論評】日本人は「ジャパン・ミラクル」は連帯感によるものと認識するだけではなく、それを誇るべき!(◎_◎;)

コロナに限らず病気は、命を保つことができれば克服できます。どれくらいの方が亡くなるか、逆から言えば病気にかかった方のうちどのくらいが生き残るかということがいちばん重大なことです。

客観的な数字として人口100万人当たりで考えると、日本ではコロナ肺炎で亡くなった方は、英国の100分の1です。米国と比べても50分の1以下です。それを考えると、いままでの国民の努力は政府の要請と合致して、大成功していまい。海外の方からは、今回の日本の対応について「ジャパンミラクル」とか「ジャパンミラクル」と言われるのです。


WHOの首脳陣は、テドロス事務局長をはじめ、中国に支配されていると以前から批判しているのですが、現場には非常に優れた方々がいらっしゃいます。日本の方もいらっしゃるのですが、そういう人たちの共通の言葉も「日本の奇跡に学べ」です。

まもなくコロナによる異常事態は終息して行きますから、国民の方々は自信を持たれて、最後の踏ん張りとして、いままでのペースを守っていただきたいと思います。

まだまだ不安であることには変わりはありませんが、不安があってこそ対応策を考えるので、不安そのものにこだわらず、不安があることは自然だと考えていただきたいです。

諸外国と異なり、都市を強制封鎖するなどの強権的なことを行ったわけでもなく、ある意味で国民の連帯によって、ここまで押さえ込んで来たということは、何か日本にだけ特殊なことがあるのでしょうか。

同じアジアでも、韓国は個人情報を追跡してスマホも使い、トレースして行ったのですが、日本はそれすら一切やっていないのです。ではなぜかと言えば、やはり日本人の「連帯感」によるものではないでしょうか。

しかし、このようなことを言うと「いや、そんなはずはない、政府不審の声が溢れかえっていたじゃないか」と言う方も多いかもしれません。確かに、コロナウイルスが引き起こした心の病の1つが政府不審でした。

政府に対する指摘や批判が自由にできることが民主主義なのですが、政府に対する不審が世界的に高まっていることが、中国が引き起こした問題の根底にあります。そのため日本だけで特殊な政府批判が起きているわけではありません。

日本人の連帯は今回のコロナウイルスに対するものが初めてということではありません。2009年に日本列島を襲った新型インフルエンザのことを覚えておいででしょうか。感染力は強く、とりわけ高齢者の致死率が高いとして恐れられました。

当初政府は、新型インフルエンザウイルスの上陸を阻止する水際作戦に力点を置いていました。しかしそうした中で海外渡航歴のない人々の集団感染が判明しました。

過去の空港での水際作戦

その時点で政府の対処方針は、今回のコロナウイルスと同様、水際作戦から重症化を防ぐ作戦へと転換しました。軽症患者には十分な注意と指導を徹底して、地元の病院、或いは自宅で療養してもらい、重い症状の人をふやさないという作戦でした。

当時私も、手洗い、ウガイを励行し、外出時と会社内ではマスクを必ずつけ、自身を守り、周囲の高齢者や弱い存在を守れるよう心掛けました。そしてそれは成功しました。その頃の習慣が残っているため、その時から今まで一度もインフルエンザや風邪を患ったことがありません。

自分の健康と周りの人、他者、さらに社会全体の健康を重ね合わせて考えることが大事なのです。それは連帯意識と助け合いの精神に直結します。

あの3.11の東日本大震災で大地震と大津波に襲われたとき、東北地方の人々を中心に、日本人は全員が助け合いました。自分の身を守ったうえで、自分より弱い人たち、お年寄りを、皆が助けました。
日用品を買い求める人たちの行列=仙台市青葉区で2011年3月20日午前11時8分
一緒に頑張りました。こうした日本人の資質から見ても、やはり「コロナミラクル」は、日本人の連帯に負うとこが間違いなくあります。

今回のコロナでは、政府への不審もありましたが、それを乗り越えて、結局多くの日本人が連帯したことが、今回のジャパンミラクルにつながったと考えるべきでしょう。政府不審で反対の方々も多くは結局は従ったのでしょう。

ブログ冒頭の記事では、「いつの日か痛い目に遭って世界の笑いものにならないためにも」などと第2波、第3波の懸念を表明していますが、第2波、第3波は必ずあります。それがない大きな感染症はありません。

ただし、第1波の経験、100段上り切った経験があります。人の体で喩えれば、どこで膝が痛んだのか、どの人が弱かったのかということを経験しているので、第2波、第3波ではその経験を活かせます。

特に失敗を活かすことで乗り越えやすくなります。備えることは必要ですが、不安を増幅させる必要はありません。それに私は、第2 波、第3波でも、日本人の連帯が十二分に、発揮されることを信じて疑いません。

それと、私達日本人は、「ジャパン・ミラクル」に関して、もっと誇りを持つべきです。日本人の連帯が、コロナ・ウイルス封じ込めに効果があることは、間違い無いと思います。

私自身は、海外の人には、「ジャパン・ミラクル」は日本人の連帯によるものと、話しています。2009年に日本列島を襲った新型インフルエンザの時の日本人の連帯や、東日本大震災の時の日本人の連帯についても話をすると大抵は理解していただけます。

ここで、日本人は過度に謙虚になる必要はないと思います。なぜなら、日本人の連帯が世界に理解されれば、世界は変わるかもしれないからです。世界の国々でも、日本人の連帯が理解され、受けいられれれば、世界の他の国々にも将来また感染症が発生した時にミラクルが起こるかもしれないからです。

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2020年5月9日土曜日

新型コロナ、日本人の低死亡率に新仮説…すでに“集団免疫”が確立されている!? 識者「入国制限の遅れが結果的に奏功か」―【私の論評】日本がクラスター対策で成功している背景には、他国にはない日本ならではの事情が(゚д゚)!


新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真
(米国立アレルギー感染症研究所提供)

 日本の新型コロナウイルス対策は「PCR検査が少ない」「自粛措置が甘い」などの批判もあり、厚労省は8日、感染の有無を調べるPCR検査や治療に向けた相談・受診の目安を見直し、公表した。ただ、欧米諸国に比べて、日本の死者数や死亡率がケタ違いに少ないのは厳然たる事実である。この謎について、京都大学大学院医学研究科の上久保靖彦特定教授と、吉備国際大学(岡山県)の高橋淳教授らの研究グループが「日本ではすでに新型コロナウイルスに対する集団免疫が確立されている」という仮説を発表して注目されている。感染力や毒性の異なる3つの型のウイルス(S型とK型、G型)の拡散時期が重症化に影響したといい、日本は入国制限が遅れたことが結果的に奏功したというのだ。

 「2週間後はニューヨークのようになる」など悲観的な予測もあった東京都、そして日本の新型コロナ感染だが、別表のように現時点ではニューヨークにもロンドンにもなっていない。中国や韓国、表にはないが台湾など東アジアが総じて欧米よりも死者数や死亡率が抑えられている。


 理由を解き明かすには、新型コロナウイルスの型を押さえておく必要がある。中国の研究チームが古い「S型」と感染力の強い「L型」に分けたことは知られている。

 研究プラットホームサイト「Cambridge Open Engage」で発表した京大の研究チームは、新型コロナウイルスに感染した場合、インフルエンザに感染しないという「ウイルス干渉」に着目。インフルエンザの流行カーブの分析で、通常では感知されない「S型」と「K型」の新型コロナウイルス感染の検出に成功した。「S型やK型は感知されないまま世界に拡大した。S型は昨年10~12月の時点で広がり、K型が日本に侵入したピークは今年1月13日の週」だという。やや遅れて中国・武漢発の「G型」と、上海で変異して欧米に広がったG型が拡散した。

 集団感染が最初に深刻化した武漢市が封鎖されたのは1月23日。その後の各国の対応が命運を分けた。イタリアは2月1日、中国との直行便を停止。米国は同2日、14日以内に中国に滞在した外国人の入国を認めない措置を実施した。

 これに対し、日本が発行済み査証(ビザ)の効力を停止し、全面的な入国制限を強化したのは3月9日だった。旧正月「春節」を含む昨年11月~今年2月末の間に184万人以上の中国人が来日したとの推計もある。

 ここで集団免疫獲得に大きな役割を果たしたのがK型だった。上久保氏はこう解説する。

 「日本では3月9日までの期間にK型が広がり、集団免疫を獲得することができた。一方、早い段階で入国制限を実施した欧米ではK型の流行を防いでしまった」

 欧米では、中国との往来が多いイタリアなどで入国制限前にS型が広まっていたところに、感染力や毒性が強いG型が入ってきたという。


 上久保氏は「S型へのTリンパ球の細胞性免疫にはウイルス感染を予防する能力がないが、K型への細胞性免疫には感染予防能力がある」とし、「S型やK型に対する抗体にはウイルスを中和し消失させる作用がなく、逆に細胞への侵入を助長する働き(ADE=抗体依存性増強)がある」と語る。

 専門的な解説だが、結論として「S型に対する抗体によるADE」と、「K型へのTリンパ球細胞性免疫による感染予防が起こらなかったこと」の組み合わせで欧米では重症化が進んだという。

 日本で4月に入って感染者数が急増したことについても説明がつくと上久保氏は語る。「3月20~22日の3連休などで油断した時期に欧米からG型が侵入し、4月上旬までの第2波を生んだと考えられる」

 現状の日本の感染者数は減少傾向だが、課題も残る。「病院内で隔離されている患者には集団免疫が成立していないため、院内感染の懸念がある。また、高齢者や妊婦などは、K型に感染しても感染予防免疫ができにくい場合がある」

 さらに「無症候性の多い新型コロナウイルス感染症では、間違ったカットオフ値(陰性と陽性を分ける境)で開発された免疫抗体キットでは正しい結果が出ない」と警鐘を鳴らす。

 上久保氏は「日本の入国制限の遅れを問題視する声もあったが、結果的には早期に制限をかけず、ワクチンと同様の働きをする弱いウイルスを入れておく期間も必要だったといえる」と総括した。

【私の論評】日本がクラスター対策で成功している背景には、他国にはない日本ならではの事情が(゚д゚)!

冒頭の記事の仮設は、非常に興味深いものです。ただし、矛盾も感じます。感染者数の少ない、死亡者数とも少ない韓国はMersのときの反省もあって、比較的早い時期に海外からの渡航を制限しました。

さらに、上の記事にはなぜか例示されていませんが、日本よりも感染者数や死者数が少ない、台湾でも早い時期に海外からの渡航を禁止していました。

ただし、韓国も台湾もかなり中国とは関係が深く、仮に日本よりも早い時期に、海外からの渡航を禁止したとしても、かなり中国などからの感染者がすでに国内に入り込んでおり、免疫を獲得していた可能性もあります。

このあたりは、今後さらに研究をすすめて、明らかにしてほしいところです。

それにしても、一つ言えることは、まずは人口100万人あたりの感染者数や死者数等をみたうえで、評価しないと、客観的に日本の感染者数や死者が多いのか、判断などできないということです。

日本国内でも、都道府県別の感染者数や、死者数をみるときでも、10万人あたりの感染者数や死者数等をみないと客観的に比較などできないのは当然のことです。

日本のマスコミ、特にワイドショーなどでは、最初から100万人あたりとか、10万人あたりの見方をせずに、単に実数だけで、多くのコメンテーターが「ああでもない、こうでもない」と当て推量を言い合うというような展開で、いたずらに脅威を煽るような結果になっていました。

挙げ句の果に、「イタリアを見習え」「韓国を見習え」「ドイツを見習え」などと語っていたコメンテーターもおり、まさに噴飯ものの状況が日々続いていました。

このようなコメンテーターらの発言などは問題外として、やはり、日本のコロナ感染者数と死亡者数が少ないことは、やはり何か原因があるものと考えられます。

私としては、それについてはこのブログですでに述べてきたとは思うのですが、体系的に述べてはいなかったので、一つの仮設として再度はっきりさせておきたいと思います。

まず考えられるのは、日本社会の特徴です。例えば、近年は高齢者が「高齢者のみの世帯」で生活している率が高く、若い世代との接触を遮断するのが容易だということです。

例えば、日本の高齢者入居施設の場合は2月の早い段階から家族を含めた入所者以外の訪問を停止して厳格な管理をし、大規模感染は起きていません。また、大家族が比較的残っている地方は人口密度が低く、反対に人口密集地域では2世帯、3世帯の同居は少なくなっていることが理由として上げられます。

他にも、公衆衛生の概念が浸透しているとか、手洗いの習慣、マスク着用など生活様式の特徴も理由になりそうです。漠然と説得力を感じるストーリーですが、例えば同じように高齢者の命を奪う季節性のインフルエンザの場合は、例えばアメリカで毎年1万5000人前後の死亡者を出している一方で、日本は3,000から5,000の死亡者数で推移しています。しかし、米国の人口は約3億人、日本は1億2千万にですから、あまり有意な差異はありません。

そうなると、社会の特異性だけでは説明できません。その他、死亡者数の隠蔽とか、PCR検査数が少ないなどというのは単なるフェイクにすぎません。(これについては、過去の記事などを参照していただくものとしてここでは、詳細の説明はしません)

であれば、日本と外国で差異が最も顕著なのは何かといえば、やはりクラスター対策です。

この戦略は、3月19日の専門者会議以降、関係者が徐々に説明を始めていますが、要するにSARSを制圧したのと同じ手法で、感染の連鎖を潰していく作戦です。

PCR検査の投入方法も、限りある検査キットを感染者とその濃厚接触者に集中させ、クラスターを抑え込むことを優先して決めているようですし、例えば「ダイヤモンド・プリンセス」下船者については、100%クラスターの発生は抑止されたという説明もされています。

さらに、日本ではCTの普及率が世界1であることも奏功していると思います。コロナ感染者の中にはほとんど自覚症状のない人がいて、咳の症状すらない人もいます。しかし、そういう人の中には肺の異常がみられる人もいます。そういう人の場合でも、CT検査をすると肺に異常がみつかることがあるそうです。

とにかく、CT検査をすると、コロナであろうかなかろうが、肺炎なのかそうでないのか、肺炎だとして、重篤なのか、軽症なのかもすぐにわかります。肺に異常が見られた人で、症状が重い人、これから重くなりそうな人は、PCR検査を優先的に実行するとか、入院させるということが、医師の判断でかなり迅速にできます。


だからこそ、日本ではクラスターを抑え込むことができたともいえると思います。これは、CTが普及しており、総合病院ては大体設置してあるどころか、診療所レベルの小さな医療施設でも設置している場合もある日本だから、可能だったのです。

CTの普及率が日本よりも相対的に少なく、精度の低いPCR検査自体に頼らなければならない他の国と日本の根本的違いです。

そうだとしても、仮に今後「感染経路の見えない」形で、多数の感染者が発生し、クラスターを抑え込むことができなくなる可能性は残っています。専門家会議の言う「オーバーシュート」とはそうした事態であり、これを恐れて警戒を強めようという趣旨は理解できます。

仮にこの仮設が相当程度にあたっているにしても、専門家委員会が声高にそれを誇るのではなく、警戒を促しているというのは正しい姿勢だと思います。

今後、日本や、台湾などの感染者数が低い理由は、本格的に研究を進めていくべきと思います。

なお、中国の場合は、死者数が少ないことにはなっていますが、中国は1月にコロナの統計のとりかたを3回も変えたという事実があることと、その後もコロナ感染者でも症状が出ていない人は、コロナ感染者数に含めないなどの措置をとっていることから、全く信用ができず、疫学的調査には信頼にたるデータを得られる可能性は低いです。

韓国・ソウルの朴元淳市長は9日、市庁で記者会見し、市内繁華街・梨泰院のクラブを訪れた後、新型コロナウイルスへの感染が発覚した20代男性に関連し、同日正午時点で計40人の感染が確認されたと発表しました。感染封じ込めが期待されてきた韓国は、再び増加に転じた感染者数を前に緊迫感が漂っています。

メルケル首相が6日、新型コロナウイルスに絡む規制の大幅緩和を打ち出したドイツ各地で、クラスター(感染者集団)発生が確認されています。どこまで規制を緩和するかは14州と2特別市ごとに決めるが、難しい地域も生まれそうです。

まだまだ、予断を許さない状況であることは間違いないようです。

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2020年3月8日日曜日

日本は韓国を“反面教師”に脱中国を進めよ! 国際社会は結局「自国第一主義」 識者「日本国民を売って自らの利権を確保する政治家らに裁きを」 ―【私の論評】日本人の武漢肺炎ウィルスへの脅威が、「脱中国」を促す(゚д゚)!


マスクを生産する中国・青島市の労働者。日本は過度な中国依存から脱却する必要がある

政府は新型コロナウイルス感染が拡大している中国と韓国に対する入国制限を決めた。だが、習近平政権への配慮から当初の対応が甘く、遅きに失した感は否めない。国際社会の「自国第一主義」があぶり出されるなか、国際投資アナリストの大原浩氏は寄稿で、日本は韓国のような中国依存の脆弱(ぜいじゃく)な構造の国を反面教師とし、ビジネス面でも脱中国を進めるべきだと強調する。


 安倍晋三首相の要請による小中高校などの一斉休校については、要請そのものを考えれば、それなりに妥当な判断だと思う。また、5日には中韓からの入国制限を公表したのだが、もっと前から「中国からの入国全面禁止」を行うべきだったという非難から免れることはできない。

 法律うんぬんで官僚が頑強に抵抗したという議論があるが、それならば習主席に「団体旅行だけではなく、個人旅行やビジネスでの訪問も禁止」にするよう要請すればよかったのだ。当時の状況で、「国賓招待」との交換条件なら、習氏も断れなかったはずだ。

 現状は、燃え盛る家から自分の家に飛び火するのを傍観していて、燃え移るのを確認してから命がけで消火活動を行っているようなものである。

 マスク売り切れ騒動も「転売屋」やドラッグストアの抱き合わせ販売が非難されているが、本当の問題点は過度の輸入依存だ。2018年に日本で約55億枚流通したマスクのうち、国産は約11億枚で残りの約44億枚は輸入品だ。輸入比率がなんと80%にのぼる。輸入品の多くが「メイド・イン・チャイナ」と推定されるが、彼らが自国の緊急事態において「思いやり精神」や「恩返し」で日本への輸出を続けているだろうか。

 その他の国も「自国民優先」が当然であるから輸出に回すとは考えられない。このような状況で、共産主義中国や韓国に、「日本国民の安全・安心・生命」を犠牲にして、血税で備蓄していたマスクどころか防護服まで贈呈する政治家、官僚、役人、企業は、「日本国民を売って」自らの利権を確保しているとしか言いようがない。緊急事態が終わった後に、彼らは日本国民から厳しく裁かれるべきである。

 政府はメーカーに大増産を依頼しているというが、供給の80%が消えたと考えられるから、日本メーカーがこれまでの5倍のマスクを生産して通常の需要をやっと賄えるに過ぎない。極度に需要が増加した現在の需要を満たせるはずがないのは当然だ。

 問題は、マスクに限らない。2018年度の食料自給率は、カロリーベースでは37%にとどまっている。生産額ベースでは66%というのも決して高い数値ではない。

 もちろん、現代の農業は産業化されており、農業機械の稼働や食糧を運ぶトラックなどのガソリン、化学肥料、農薬が入手できなければ生産・供給を維持できなくなる。

 1973年の第1次オイルショック後、日本が世界をリードする省エネ国になったのも、この時経験した「石油供給が途絶する恐怖」のトラウマの結果である。

 日本の目の前に反面教師もいる。フッ化水素などの3品目の「輸出管理の強化」を日本の国防上の必要から限定的に行っただけで、大騒ぎをした韓国である。半導体製造装置や各種材料など、韓国経済が日本に依存した脆弱な構造であることは明らかだ。

 対中国において、製造業の先端技術分野では、おおむね日本が輸出側で優位に立っているが、原油を始めとするエネルギー資源や鉱物資源では弱い立場だ。特にレアアースの生産は中国に偏っており、政治的に利用されて日本企業が大変困ったこともあった。

 グローバル化は「お互いに助け合う」スタンスでなければ成り立たない。「いいとこどり」をして「恩をあだで返す」国々が、世界貿易の枠組みに紛れ込んで来れば維持できなくなるのは当然だ。その意味で、「トランプ米大統領が『国民ファースト』の政策を推進し、自由貿易を破壊する国々にお灸をすえた」のは正しかったといえる。

 すでに米国は、コストうんぬん以前に戦略上重要な製造業を国内回帰させる方針であることを明言している。日本もこれに遅れてはならない。

 経済・社会の基本単位が「国家」であることはこれから、ますます意識されるであろう。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

【私の論評】日本人の武漢肺炎ウィルスへの脅威が、「脱中国」を促す(゚д゚)!

大原浩氏が上の記事で語っていることは正しいです。ただし日本人としては、その前に若干理解して置かなければならないことがあります。

中国発の新型コロナウイルスが今まさに日本でも猛威を振るおうとしていた矢先の2月17日、免税家電量販店のラオックスが「希望退職者を募集する」と発表した。その数、全従業員の20%にあたる140人(子会社のシャディを含めると160人)。

ラオックスと言えば、昔は激安のパソコンショップとして名を馳せた企業ですが、不況の影響で10年程前に中国企業である蘇寧(そねい)の傘下に入り、社長も中国人の羅怡文氏が務めています。

LAOX THE DIGITAL館がオープンして大賑わい(1999年10月)約3年後の2003年1月13日、様々な事情に
より閉店してしまいました。現在はパチンコ店と飲食店が入居する複合ビルとして営業

昨年から既にインバウンド需要に翳りが見え始めていましたが、ここに来て、中国で伝染病が発生したため、更なる企業業績の悪化は避けられないとの判断なのでしょう。インバウンド需要の変化(減少)は一過性のものではなく、ある程度は長期化すると見越した上での人員削減なのだろうと思われます。

日本経済はバブル崩壊後、「失われた30年」とも言われ、バブル期には土地や株式などの資産価格は上昇していたものの、一般物価の値上がりさほどでもなかったにも限らず、その当時の、とち狂った日銀が、金融引締に展示、その後も平成年間のほとんどの期間を引き締め続け、これに輪をかけてとち狂った財務省が、増税などの緊縮財政を続けたため、日本は深刻なデフレに陥りました。

日本は誤った財政・金融政策のためGDPは横ばいだった

当然のことながら、将来の先行き不安から多くの人々が財布の紐を固く締め、お金を散財しなくなりました。一方で、バブル経済の真っ只中にあったお隣の中国人の一部は、どんどんとお金持ちになり、日本に訪れて、高性能で安全な日本の商品を日本人に成り代わってゴッソリと購入しました。

その景気の良い姿に気を良くした日本の商売人達は「お客様(中国人)は神様」と言わんばかりに、我先にと中国人旅行者の獲得に努めました。

日本のバブル期を彷彿とさせる中国人の購買姿勢は、いつしか「爆買い」と呼ばれるようになり、「インバウンド消費」という言葉がテレビや新聞のタイトルとして踊り、お茶の間を賑わせました。識者の中には、景気浮遊=インバウンド消費であるかのように、したり顔て語る識者も大勢いました。

デフレ真っ只中の日本では、日本の製造業が日本で製造して日本国内で販売するよりも、中国や韓国で製造したものを輸入して日本国内で販売したほうが、コスト的に優位という異常事態が発生しました。

そのため、日本企業は中国と合弁企業を設立して、中国人従業員を大量に雇用して、中国で商品を製造し、日本に輸入するという方式をすすめました。そのため、中国は随分と潤ったわけです。

そうして豊かになった中国の富裕層や準富裕層などが、日本を訪れ爆買をしたのです。政治的には、日本の尖閣諸島を乗っ取ろうという思惑を抱いた中国に「ノー」を突き付けても、日本企業は中国に進出し、中国を豊かにし、さらにその中国からの一般旅行客は別物とばかりに「ヨイショ」するというような異常な事態が繰り広げられていたのです。

政治と経済で明らかな二重基準(ダブルスタンダード)を貫いてきた日本でしたが、今回の新型コロナウイルス騒ぎによって、その二重基準は改められようとしているかに見えます。

多くの日本人には、唯物論者が多いせいもあるのでしょうか、殊更に目に見えないものを恐れる傾向があります。原発の放射能と同じように、ウイルスも目には見えません。

こういう場合、正しい判断をするには科学的に冷静になることが求められるのですが、原発事故の時に判明したように、日本では、人体に全く悪影響が無い微量な放射線でも頭から、と言うよりも、脊椎反射で科学的事実を受け付けないという人が大勢いました。無論、それは過去形ではなく、現在進行形で存在しています。

今回のウイルスも放射能と同じような感覚で、脊椎反射で否定する人々は大勢出てくるものを思われますし、既にそういった人々は存在しています。

彼らが抱いている恐怖は、ウイルスだけでなく、ウイルスを運んでくる中国人や中国という国そのものにも向いています。

尖閣諸島を乗っ取ろうとする中国、核兵器で日本を狙っている中国、組織的で体系化された中国の反日教育等にはあまり危機感を抱かなかった人々が、ウイルスを日本国内に持ってくる中国には断固として「ノー」を突き付けています。特に、中国政府が当初武漢肺炎の感染を隠蔽していたことに、不条理を感じている日本人は多いでしょう。

実に皮肉な現象ですが、多くの日本人は自分自身に被害が直接及ぶと思われるもので、目に見えるものにはそうでもないのですが、目に見えないものには実に厳しい態度に変化します。それに気づいていないのは、日本の政財界の愚かな親中派どもだけです。

最近では、自分達に直接害を与える国のリーダー習近平が日本国賓で訪れるというスケジュールをなかなか変えず、多くの日本人が不信感をつのらせていました。さらには、中国全域からに日本への入国制限を安倍政権はなかなか実施しませんでした。その結果安倍政権への支持率が低下しました。



遅きに失した感はあったものの、習近平の訪日は延期され、結局中国全域からの日本への入国制限は実行されることになりましたが、中止ではなく延期であること、やはり遅すぎた入国制限などで、安倍政権の支持率の低下はすぐに解消されるかどうかは、不透明です。

これを機会に多くの識者が中国の真の脅威を説けば、中国に対して危機感を抱くだけではなく、不条理を感じる人も多くなるのではないかと思います。そうして、その不条理は、放射能への恐怖とは異なり正鵠を射たものなのです。

安倍政権としては、支持率が落ちたことを真摯に反省し、党内政治等のために党内親中派や財界親中派に忖度し続けるのか、それとも国民の声を聴くべきなのか、選択を迫られているとと捉えるべきです。

日本は、政治的にも経済的にも、ようやく「中国依存」から「脱中国」に舵を切ろうとしているようです。それは、短期的には大きな衝撃ですが、長期的には良いことです。

2019年10月3日木曜日

プーチンの国ロシアの「ざんねんな」正体―【私の論評】将来の北方領土交渉を有利に進めるためにも、日本人はもっとロシアの実体を知るべき(゚д゚)!

プーチンの国ロシアの「ざんねんな」正体

外交官の万華鏡河東哲夫


こわもてで鳴らすプーチンだが、実は「愉快な」人かも

<独裁者が君臨するこわもてロシアの素顔は実は「ずっこけ」――この国に振り回されず、うまく付き合う方法は?>

ロシアと言うとすぐ「おそロシア」とか、もろ肌脱いだこわもてのウラジーミル・プーチン大統領といった話になるが、まじめくさった議論はもう飽きた。実はこの国の人たちはかなりずっこけた「ざんねんな」存在。ロシアを知る者には、それがまたたまらない味なのだ。

世界を席巻する人工知能(AI)やロボット技術について、プーチンの腹心である元財務相アレクセイ・クドリンは、「この開発に遅れれば、ロシアは永遠に遅れることになる」と決まり文句のように言う。奇想天外なことを考えるのが好きなロシア人だから、AIやロボットの開発には向いている。だが経営・技術要員の致命的な不足や製造技術、品質管理、サプライチェーンの遅れによって、多くはアイデア倒れに終わってしまう。

2013年には角速度センサーを逆向きに付けたため、ロケットが発射直後に反転して地上に激突した。開発中のロボットが研究所から迷い出て、大通りの真ん中でバッテリー切れになったこともあった。プーチンは「原子力で長期間、空中待機する巡航ミサイル」を造ると豪語していたが(簡単に撃墜されると思うのだが)、今年8月にはそれが開発中に爆発して技術者を5人も殺し、放射能をまき散らした。

プーチンはじめロシア政府のお歴々は口をそろえて、「いつまでも経済・財政を石油に依存していてはいけない。製造業を何とかしないとロシアはやっていけない」と言うのだが、製造業はロシアのアキレス腱であり続ける。数年前、プーチンは友人の実業家が開発した国産乗用車の試乗会に招待された。ハンドルを握る友人の隣に乗り込むプーチンは冗談半分、「おい、君。大丈夫だよね。この車バラバラにならないよね」と聞いたのだった。

プーチンは独裁者にあらず

ロシア人は契約や規則より、まず自分の都合を優先する。きちんと仕事をしてもらいたかったら、いつも電話で友情を確認し、月に1度は飲みに行くくらいでないといけない。

知識層の地金は西欧のリベラリズムだが、人間の常でロシア人も汚いところは、どうしようもなく汚い。例えばモスクワの墓地は利権の塊だ。「いい場所」は、顧客から袖の下を巻き上げる黄金の小づちでもある。今年6月には、警察幹部が絡む墓地利権の調査をしていた新聞記者が警官からポケットに麻薬を突っ込まれ、麻薬密売未遂の容疑で逮捕される事件があった。非難の声が巻き起こり、事件を仕組んだ警察幹部2人が懲戒免職になっている。

12年前のある日、ビクトル・ズプコフ首相は閣議で部下を叱り飛ばした。「サハリンの地震復興予算は既に送金したはずなのに、現地からはまだ届いていないと言ってくる。調査して是正しろ」。ところが、2カ月たっても問題は解決されなかった。どうも予算は送金の途中で、何者かによって「運用に回されて」しまうらしい。

この国では悪い意味での「個人主義」がはびこっていて、国や国民、会社や社員全体のことまで考える幹部は数えるほどもいない。多くの者にとって公共物は、自分の生活を良くするために悪用・流用するものだ。

そんなわけだから、14年3月、介入開始からわずか2週間ほどでクリミア併合の手続きが完了したとき、プーチンは冗談半分で部下に言った。「本当かい、君たち。これ本当に、われわれがやったのかね?」

プーチンはこのようなロシアにまたがる騎手のような存在だ。公安機関という強力な手綱はあるが、馬が暴れだせば簡単に放り出される。「独裁者」とは違うのだ。ドナルド・トランプ米大統領と同じく、(まがいものの)ニンジンで馬をなだめているポピュリストの指導者なのだ。

そして18年10月、年金支給年齢を5年も引き上げる法案に署名したことで、プーチンは国民の信頼を裏切った。男性の平均寿命が67歳のロシアで、年金支給を65歳から(女性は60歳から)にするというのだから無理もない。

それから1年がたち、プーチンの顔色は冴えない。老いの疲れも見える。ロシアの国威を回復しようと、家庭も犠牲にして20年間頑張ってきたのに、できたことはボリス・エリツィン時代の大混乱を収拾し、ソ連時代のようなけだるい安定を取り戻しただけ。プーチンが政権を握った00年当時に比べると、モスクワは見違えるほど美しく清潔になり、スマートフォンを活用した利便性は東京を上回るほどだ。だが、ロシアに上向きの勢いはない。24年にプーチン時代は終わるので、彼の周辺は利権と地位の確保を狙ってうごめき始めている。

2つの「ソ連」を生きる人々

プーチンはロシアを復活させるに当たって、西側の影響を受けたいわゆる「リベラル」分子を政権から遠ざけた。そのため彼の時代には、エリツィン時代に冷や飯を食わされたソ連的なエリートが復活した。彼らは昔の共産党さながらの万年与党「統一ロシア」に糾合され、その硬直した官僚主義と腐敗は国民の反発を買っている。

政権の柱である公安機関と軍も利権あさりが目に余る。今年4月には、連邦保安局(FSB)の銀行担当の複数の幹部が拘束された。銀行から賄賂を受け取って、中央銀行による免許停止措置を免れさせていたためだ。

7月にモスクワで起きた民主化要求デモをきっかけに、プーチンは公安機関への依存を強めている。約1カ月半の間に全国で3000人が一時拘束され、首謀者の自宅には深夜に公安が踏み込んで逮捕する。まるでスターリン時代のような取り締まりだ。


ロシアは高齢者が少なく、35歳以下の若い世代が人口の約半数を占める。彼らの多くは自由な西側文化に染まり、強い権利意識と上層部の汚職に対する厳しい意見を持ち、SNSの呼び掛けで集会・デモを繰り広げる。何ともちぐはぐだが、現在のロシアでは上層部と政府依存体質の大衆が「ネオ・ソ連時代」を、知識人層は「ネオ・ペレストロイカ時代」を生きている。

ロシアの歴史は繰り返す。支配と富の分配構造が固まって70年もたつと、ひずみと不満が増大して暴力的な革命が起きる。1917年のロシア革命、そして1991年のソ連崩壊がそれだ。ソ連崩壊の結果生まれた現在の構造は、今また破断する定めなのかもしれない。ただロシアの場合、革命は進歩をもたらさない。特権階級が交代するだけだ。

このような国とは、「適当」に付き合うべきだ。極東ロシアは政治・経済両面で日本にとって大きな意味を持たない。極東ロシア軍は人員、装備とも手薄で、日本の脅威ではない。北方領土は当面返さないだろうから、この問題でこちらから譲歩することは避ける。諦めて平和条約を結んでも、見返りに得られるものはない。

ロシアに反日感情はない。むしろ自らの対極とも言える日本文化、日本人に憧れている面もある。きちんとしていないロシア人に振り回されないように気を付けさえすれば、ロシアは「愉快な」相手なのだ。

<ニューズウィーク日本版2019年10月01日号:特集「2020サバイバル日本戦略」より>

【私の論評】将来の北方領土交渉を有利に進めるためにも日本人はもっとロシアの実体を知るべき(゚д゚)!

日本では、ロシアを未だにに超大国と見るむきも少なくないですが、やはり等身大にみるべきでしょう。このブログでは過去に、ロシアの実体を何度か掲載してきたことがあります。

ロシアの経済力は、現状では韓国と同程度です。韓国と同程度とは、どのくらいなのかということになりますが、詳しくはGDPを調べていただくもとして、大体東京都と同じくらいです。

東京都のGDPは日本全体の1/3くらいです。ロシアの経済の現状はこの程度です。この程度の国ができることは、経済的にも軍事的にも限られています。

さらに、人口は1億4千万人程度と、あの広大な領土に比較すると、人口では日本よりもわずかに2千万人しか多くないのです。人口密度がいかに低いのか、よく理解できると思います。

中国と国境を接する極東では、さらに人口密度が低いので、中露国境をまたいで、著しい人口密度の差があります。

この人口密度の極端な違いから、多くの中国人が国境を越境して、物販はもとより様々なビジネスを行い、まるで国境がなきがごとくの状態になっています。これを国境溶解と呼ぶ人もいるくらいです。

ただし、最近では変化も見られます。最近では、ロシア人も中国に出稼ぎにでかけるといいます。情勢は驚くほどに変化しているのです。ただ、国境溶解がより鮮明になっていることは確かです。

このように、現在のロシアは、中国ともまともに対峙できる状況ではありません。かつての中ソ国境紛争など信じられないくらいです。

とはいいながら、ロシアはソ連の核兵器と、軍事技術の直接の継承者であり、あなどることはできません。

特にICBM、SLBMなど、これは軍事技術的にはすでに米露では、数十年前から、成熟した技術であり、両国とも40年も前の核兵器が今でも現役です。

たとえば、米国防総省によると初期のフロッピーディスク規格となる8インチフロッピーディスクが未だに現役だといいます。大陸間弾道ミサイル、戦略爆撃機、空中給油・支援機など一連の核兵器を運用、調整する指揮統制系統だとしており、現場では今から40年前に発売された1976年「IBMシリーズ/1」や当時普及し始めていた8インチフロッピーディスクが運用に用いられているといいます(2017年現在)。

弾道ミサイル発射管制センターで撮影された写真。8インチフロッピーディスクが使用されている

ロシアでも同じ状況です。ソ連時代に開発された、核兵器が未だに現役なのです。それを考えると、確かに軍事的には未だにロシアは侮れない相手であるのは確かです。

とは、いいながら、ICBMやSLBMなどは、実際にはなかなか使用できない兵器であるのも確かです。しかし、ソ連時代の軍事技術を継承したロシアはいまでも、軍事的には侮れないことは確かですが、経済的には見る影もありません。

考えてみてください、仮に東京都が日本から独立して、軍事国家に豹変したとして、世界に向かってどの程度のことができるでしょうか。米国あたりが本気になれば、あっという間に潰されます。さらに、将来的にも経済が伸びる要素はほとんどありません。今のロシアはまさにそのような状況なのです。

経済的にみても、プーチンの国ロシアは、まさに「ざんねんな」国なのです。この、ずっこけた「ざんねんな」ロシアと付き合うには、たしかにもっと鷹揚に構えたほうが良いのかもしれません。

日本では目を疑う熊の散歩もロシアでは日常風景の一つ

北方領土交渉についても、このブログにも過去に掲載しているように、現在帰ってこないからといって、慌てる必要は全くないと思います。

中国が経済的に弱体化してくれば、今は表面化していない、ロシアの中国に対する不満が爆発します。そうなると、過去の中ソ対立のように、中露対決が再現することになります。

経済的に弱体化した中露が激しく対立すれば、ますますロシアの経済力は落ち込みます。そのときこそ、日本は北方領土交渉を強力に推し進めるべきなのです。今は鷹揚にかまえるべきです。とはいいながら、北方領土に関しては、ロシアに一切譲歩すべきではありません。

日本としては対ロシアでは、北方領土が最重要ですが、その他では、経済的にも技術的にもロシアに頼ることはないです。北方領土以外はもっと鷹揚に構えてつきあって行くべきと思います。

ただし、ロシアというと、日本人は強面の「おそロシア」を思い浮かべたり、ロシアマフイアの凄惨さを思い浮かべたり、第二次世界大戦末期や、その後の日本に対する卑劣極まる振る舞いが忘れられない面もあります。確かに、ロシアにはそういう一面はあります。かといつて、それが全部というわけでもありません。

北方領土交渉を将来日本に有利にすすめるためにも、日本人はもっとロシアの実体を知るべきと思います。少なくとも、かつてのソ連時代の超大国のイメージは早々に捨て去るべきです。

北方領土は、一昔前なら戦争して取り返すしかありませんでした。しかし、現在では戦争に変わる方法もありますが、一昔前の戦争と同じくらいの、気構えと機知がないと到底叶うものではありません。それを実行するためにも、現在のロシアを熟知する必要があるのです。

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2019年8月25日日曜日

大陸客の個人旅行禁止から2週間強、それでもあわてぬ台湾―【私の論評】反日の韓国より、台湾に行く日本人が増えている(゚д゚)!

大陸客の個人旅行禁止から2週間強、それでもあわてぬ台湾

蔡英文台湾総統

中国政府が8月1日に中国大陸から台湾への個人旅行を停止してから半月あまりが経過した。台湾メディアによれば、足元では、中国個人客が1日単位で貸し切ることの多い観光タクシーの利用に落ち込みが目立っているとのことだが、ホテルや飲食店などへの影響はなお未知数のようだ。

今回の中国政府の動きには2020年1月に実施予定の台湾総統選が背景にあると考えられている。「一つの中国」原則を認めない蔡英文政権に圧力をかけることで、彼女の再選を阻止しようとする狙いがあると言われている。また7月に蔡総統がカリブ海諸国への外遊の途中、米ニューヨークに長期滞在したり、米国から武器を購入したりと、米トランプ政権と親密な関係をアピールする動きも、中国の強硬姿勢につながった。

加えて、多くの台湾メディアが、香港の民主派市民のデモとの関係を報じている。中国大陸から台湾に渡航すると、本土では流れていない香港デモの情報に接する機会が多くなる。情報統制の観点から自由な渡航を制限しようとする意図があるとの見方だ。

もっとも、台湾側は今回の中国大陸の個人観光客の渡航禁止を冷静に受け止めている。08年に当時の馬英九総統が中国大陸の観光客の台湾訪問を認めて以降、中国大陸からの旅行者数は増加の一途をたどってきた。12年には200万人を突破し、15年には343万7000人まで増加した。

しかし、16年に蔡英文政権が発足すると、16年284万人、17年209万人、18年205万人と減少した。旅行者数の減少は、中国政府が台湾へのけん制を目的に、意図的にビザの発給を抑制した結果ではないかとも言われている。それでも台湾を訪れる旅行者数は中国大陸からがナンバーワン。台湾交通部観光局の統計によると2位の日本(144万人)を大きく引き離している。

16年に中国大陸からの客足が遠のいた際、台湾の観光産業は大きなダメージを受けた。台湾では中国大陸からの観光客を「陸客」と呼ぶが、「陸客専門」をうたうホテルやレストランの中には倒産したところもあった。当時の反省を踏まえ、台湾では韓国や東南アジアからの旅行客を中心にビジネスを展開する動きが加速した。

台湾の当局も、中国大陸に依存しない経済成長を目指すスローガン「新南向政策」を掲げ、こうした動きを後押ししている。対象となる東南アジア、南アジア、ニュージーランド、オーストラリアの計18カ国に対し、観光分野のプロモーションを強化。現在、東南アジア諸国から台湾を訪れる旅行客に対してビザ申請手続きを簡素化したり、免除したりする動きを加速させている。

大陸からの旅行客の落ち込みを東南アジアで補う構図は、訪台旅行者数の推移からも見て取れる。16年に1000万人を突破して以降、その勢いは衰えず、17年1072万人、18年は1106万人と大陸からの旅行者数の減少にもかかわらず、全体の訪台旅行者は増えている。

中国当局による今回の措置がいつまで続き、どの程度影響が出るのかは、まだ分からない。一つだけ言えるのは、台湾の観光業は中国大陸に依存しない構造へと転換しつつあるということだ。

【私の論評】反日の韓国より、台湾に行く日本人が増えている(゚д゚)!

最近は、日本では韓国の観光客は減りましたが、外国人観光客全体の数は増えています。台湾でも、中国人観光客が来なくなっても、外国人観光客は増えているそうで、結局日本と同じようなことが起こっているようです。

各国の統計機関によるデータにもとづき、2018年1年間の日本人出国者数を韓国・台湾・香港の3市場でみると、韓国は27.6%増の294万8500万人、台湾は3.7%増の196万9200人、香港は4.7%増の128万7800人。韓国は2年ぶりに約3割増の大きな伸びを記録。台湾と香港は1ケタ台の伸びにとどまる結果となりました。

2018年までの10年間推移は以下のとおりです。なお、中国については2016年3月以降の数字が未発表のため、本グラフの更新対象から除外しています。


なお、2018年12月単月では、韓国が33.5%増の25万8500人、台湾が6.7%増の20万人、香港が15.2%増の12万6200人。韓国は2018年3月以降連続して前年を超える伸びを記録し、10月には同年最高となる6割増に達しました。香港と台湾は3月以降、ほぼ前年並みで推移しています。

2018年の12カ月推移は以下のとおりです。


 昨年年末には、日韓関係が悪化しつつあったので韓国への出国者は減って、香港への出国者が若干増えています。台湾もほんの少し増えているようですが、ほんの少しです。

ただし、台湾観光協会によると、2018年(1〜12月)に日本から台湾を訪れた訪台日本人旅行者数は、前年比3.7%増の196万9151人と、過去最高に達したことがわかっています。

目標の200万人にはわずかに届かなかったのですが、西日本豪雨や台風21号による西日本エリアからの出国者減少という逆風もあった中で秋以降は回復し、力強さを見せました。

台湾観光協会の鄭憶萍東京事務所所長は、「関係者の協力のおかげで、2018年は過去最高の約197万人を達成できた。今年は200万人という目標に、3回目の再チャレンジをする」と述べ、新規航空路線の就航や増便も追い風に、日台交流をさらに拡大していきたいと意欲を示しました。

最近では、香港ではデモが発生したので、おそらく香港への出国者は減っていると思います。日韓関係は昨年よりは、確実に悪化しているので、かなり減っていることと思います。

実際韓国で、日本人向けの商売をしている人たちの、日本人の客が減ったとの嘆きの声が、テレビなどで報道されています。

こうなると、おそらく台湾への出国者が増えていると考えられます。2019年は、台湾を訪れる日本人が200万人を上回りそうです。それについては、また新しい統計がでたときに、掲載させていただきます。

台湾の有名ビーチ「墾丁・白沙灣 (White Sand Bay)」

これは当然の流れだと思います。日韓関係が悪くなり、香港でデモということになると、日本の近隣で行きやすいところとなると、一番は台湾です。

それに、台湾は元々日本人が行きやすくなる環境が整っています。まずは、韓国とは違い親日国ということがあります。東日本大震災のときに、世界で一番多額の義援金を送ってくれたのは、台湾でした。無論台湾にも大陸中国に親和的で反日的な人々もいないわけではありません。しかし、現政権そのものは至って親日的です。

であれば、日本人としては台湾に行きたくなるし、私も韓国にいくくらいだったら台湾に行くべきと思います。

私としては、海外旅行初心者にまずはお勧めできるのが台湾だと思います。日本からの飛行時間は3~4時間、時差もマイナス1時間ですので、気軽に行くことができます。

親日的としても知られていますので、親切に対応してくれる方も多いと思います。台湾はグルメにショッピング、夜市が楽しい「台北」、赤い提灯が美しい「九フン」、願い事を書いて空に放つ"天燈上げ"が楽しい「十分」など、見どころがいっぱいです。格安ツアーから豪華ホテルに泊まるツアーまで、たくさんのプランが用意されています。

皆さんも一度訪れてみては?

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