2020年7月10日金曜日

中国ライバル視を顕著にしたEU委員長会見 — 【私の論評】到来する新世界秩序において、日本がリーダー的地位獲得するため安倍総理は党内の雑音を取り除き正しい道を進むべき!(◎_◎;)

中国ライバル視を顕著にしたEU委員長会見
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岡崎研究所

 6月22日、EUと中国はテレビ形式で首脳会談を行った。EU側からはミシェル欧州理事会常任議長(EU大統領)とフォンデアライエン欧州委員会委員長が、中国側からは李克強首相と習近平主席が参加した。会談では貿易・投資から、気候変動対策、デジタル分野、香港問題、人権、新型コロナへの対応に至る、極めて広範な問題について議論された。会談後のフォンデアライエン委員長の共同記者会見での発言から、EU側の対中不信の高まりが窺える。発言のポイントをかいつまんでご紹介すると次の通り。


 EUと中国との関係は、最も重要な戦略的関係の1つであると同時に、最もチャレンジングな関係の1つである。

・EUにとり人権と基本的自由は交渉の余地のないものである。

・EUは中国の最大の貿易パートナーであり、中国はEUにとり2番目のパートナーであるが、依然として不均衡な貿易・投資関係が続いている。昨年の首脳会談の声明に盛り込まれた市場アクセス障壁への対処は進展していない。また、投資協定の交渉を妥結させるには、国営企業の行動、補助金の透明性、技術の強制移転の問題についての中国側の中身のあるコミットメントが必要である。

・中国は、WTO改革、特に産業補助金についての将来の交渉に真剣に取り組む必要もある。

・中国の過剰生産能力(例えば、鉄鋼・金属部門、ハイテク部門)への対応を継続しなければならない。中国がこの問題で国際的な交渉の場に戻ってくることが重要である。

・我々は会談で、デジタルトランスフォーメーションの重要性、中国によるデジタルネットワークやバリューチェーンのセキュリテイ、レジリエンス、安定性に対する攻撃的なアプローチについて指摘した。病院などへのサイバー攻撃があった。ネット上での虚偽情報も増えている。こうしたことは容認できない。

・気候変動対策では、中国はリーダーを自任しているが、リーダーになることは行動する責任を伴うことである。2050年以降できるだけ早く中国が気候中立(温室効果ガスの排出ゼロ)にコミットすることを求める。中国がパリ協定の下で行動を引き上げ、模範を示すことを期待する。

・コロナウイルスのパンデミック対策では引き続き結束する。

・今や、我々の関係の極めて重要な分野について行動を加速し、前回の首脳会談以降の重要なコミットメントを果たし、相互主義と公平な競争条件に関する我々の懸念に対処する時だ。EUとして、我々は、迅速かつ実質的な進展を達成することにコミットしている。中国の指導者が我々の熱意のレベルに見合う行動をすることを期待する。

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 フォンデアライエン委員長の上記発言には、かなり強い表現も含まれている。中国の最近の行動に対する不満、不信、警戒の表れと見てよいであろう。香港問題、人権問題、貿易・投資における中国の不公正な慣行、サイバー空間における中国の無法ともいえる振る舞い(最近EUはデジタル分野を非常に重視している)は、EUの価値と利益に反するものであり、EUが警戒感を強めるのは当然である。新型コロナのパンデミックに際しての中国による情報の不透明な扱い、中国のいわゆるマスク外交、また、パンデミックに乗じた形で中国が欧州企業の買収を目指す動きなども欧州側の不信を高めている。

 フォンデアライエン委員長は、昨年9月に「閣僚」候補を決めるにあたり、自らが率いる欧州委員会を「地政学的委員会」にすると述べている。その意味には、自己主張を強める中国との関係を定義することが含まれている。その際に定義の具体的な内容は示されていない。しかし、上記会見での「EUと中国との関係は、最も重要な戦略的関係の1つであると同時に、最もチャレンジングな関係の1つである」といった発言からも察せられるように、中国を友好的なパートナーとしてよりもライバルとして見る傾向が強まるということになるだろう。

 もちろん、EUが米国のような乱暴なやり方で中国に対抗するとは考え難いし、EU加盟国の間でも中国への認識に温度差がある。それでも、EUは、従来よりも自らの主張を中国に強く伝えるようになり、両者の関係は緊張を強める場面が増えると思われる。EUと日本は、自由、人権、民主主義、国際規範の重視などの価値観を共有している。EUが中国に対しそうした価値観を明確に伝えてくれることは歓迎すべきことである。

 【私の論評】到来する新世界秩序において、日本がリーダー的地位獲得するため安倍総理は党内の雑音を取り除き正しい道を進むべき!(◎_◎;)

EUと、中国とでは、全く価値観が合わないでしょう。そもそも、EUというか、ヨーロッパの国々は、現在の自由と民主主義、法の支配、人権など西欧的価値の生みの親であり、特に第二次世界大戦では、ドイツ第三帝国の全体主義により、直接大きな被害を被っています。

ドイツ第三帝国を統治したヒトラー
そのためでしょうか、EUの価値観は日米とも異なるところがあります。例えば、いじめの問題があります。米国人に日本のいじめの問題を話すと、大抵の人は一定の理解を示していただけるのですが、EUの人々には、なかなか理解してもらえません。

理解していないどころか、国を問わず、彼らと話しているとそもそも「いじめ」に関する日本人や米国人の考え方そのものが、間違いではないかと思えてくるのです。

それに関しては、このブログにも何度か掲載したことがあります。私は、英国人、ドイツ人、フランス人あるいは他のEUの国の人たちに、「いじめとは何か」という質問を受けたことが何度かあります。

私が、説明をし始めると、彼ら全員が、個々人の表現は違っていたにしてもとにかく、私の説明には納得がいかないようで、「それは犯罪です」というのです。

何度もこのようなことを繰り返すうちに、日本人米国人とEUの人々の間には、価値観が異なるところがあることに気づきました。

それは、私達日本人や、米国人が学校という空間を、何やら治外法権のような、そこまでは行かなくとも特殊な空間だと見做しているのに対して、EUの人たちは、そうではなく、学校だろうが、職場だろうが、病院の病室などの特殊な空間も含めて、全く分けることなく、同じ価値観や、法律などによって規制されるべきことを当然のことと思っていると感じたのです。

それに比較して、陰湿ないじめも多い日本人や、日本などよりもはるかに苛烈な暴力による「いじめ」が頻繁にある米国などでは、何やら学校には、学校の価値観があったり、そもそもそれぞれの学校で異なる価値観があることを暗に認め、その結果として、不思議な法律や価値観が異なる閉鎖空間のような、治外法権の空間を生み出しているように感じられるようになりました。

最初は、EUの人たちの方が変わっていると思っていたのですが、彼らの話を聞いているうちに、自分の方がおかしいのではないか思うようになってきたのです。

確かに、自由とかそれに伴う責任とか、民主主義、法の支配、人権などの価値観が組織が変われば、変わるとみなすのは、おかしなことです。もし、そのようなことをしてしまえば、そもそも価値観なるものも、法の精神も成り立たないことになります。

よく考えてみれば、当然のことなのですが、多くの日本人は、学校という組織や空間を無意識に他の社会とは異なるものと考えがちです。今では、数が少なくなりつつあるブラック企業内では、社会常識など無視して、独自の価値で運営されています。

私は、あるドイツ人に、ドイツでの「いじめ」の対処法について聞いたことがあります。このブログの読者の方は、もうご存知からもしれませんが、それはいたってシンプルなものです。

窃盗・殺傷など明らかな犯罪の場合は、警察に通知するのには無論ですが、それとともに、警察に通知しないものついても、学校の最高責任者である、校長が問題のある生徒の親に、問題のある生徒の行動の是正を求める手紙を書くのだそうです。この手紙を三回親が受け取ると、その生徒は自動的に退学になるそうです。

これでは、「いじめ」なるもの、実は「犯罪そのものの」行為ががいずれ学校にはなくなるのも当然言えば、当然です。何しろ「いじめ」を繰り返す生徒そのものが、学校からいなくなるわけですから・・・・。

もちろん、担任の教師から当該生徒に何度か注意があったり、その後さらに校長からの注意が何回かあったりした後で、それでも改まらなかった時に、校長が手紙を出すということのようです。

校長には、そのような権限が最初から認められています。これは、学校の民主主義、法の支配、人権などの価値観を守るものとしてドイツでは従来から社会に当然のこととして受け入れられるいるようです。民主主義、法の支配、人権などの価値観は何としても守り抜かねばらないという通念が定着しているのでしょう。

いつまでも、「いじめ=犯罪」をやめない生徒にはこのような運命が待っているのです。何回も退学になれば、おそらく受け入れる学校がなくなり、その生徒は将来アウトローになる以外にないようです。しかし、それはやむを得ないという考え方なのでしょう。社会には残念ながら、少数のアウトローがいるものですが、学校だけがその例外ではないという考え方でしょう。

ちなみに、ドイツでは、未成年の生徒が、学校以外の場所でタバコをすっていたとしても、学校の教師は、注意する必要ないそうです。学校内のことは、教師に責任はあるのですが、学校外のことは教師ではなく、親が責任を取るべきものとされているようです。

ドイツの民族衣装を着たドイツの女子高生

これもシンプルです。日本の学校の先生方から見れば、本当に天国のようかもしれません。ただし、ドイツにも全く「いじめ」はないということではないです。ただし、日本のいじめは、大人や先生に隠れて、肉体的にも、精神的にもという事例が多いようですが。ドイツのいじめは、おおっぴらに。手加減なしに殴る蹴などのことが多いそうです。

ちなみに、ドイツ以外の人には、それぞれの国の「いじめ対処」を聞いたことはないですが、それにしても、EU域内の人たちのほとんどの人が「いじめ=犯罪」とするのですから、他の国の学校でも似たような制度などがあるのだと思います。

ただし、EU内に全く「いじめ」がないということではありません。例えば、日本では、フランスにはいじめがないという話が一部でまことしやかに、流通していますが、実際は、ほかの国と同様にフランスにもいじめは昔から存在していました。

いじめがなかったのではなく、いじめは「タブーとされ、存在しないものとみなされていた」ため、その存在が大きく明るみに出なかったと言った方がいいかもしれません。どちらかといえば、いじめの件数は日本では約410,000人で、児童生徒1000人あたりの認知件数は30.9件であり、児童生徒全体の約3%であるのに対し、10%存在するフランスは、日本よりもいじめが多いとも言えます。

フランスでは昨年11月7日木曜日に、いじめ撲滅キャンペーンが行われました。2010年頃から時々行われていたキャンペーンですが、2015年からは11月の最初の木曜日に毎年開催されることになり、昨年で5年目を迎えました。

フランスでは、自由と民主主義、法の支配、人権など西欧的価値が根付きすぎていて、それに違うものは、「あり得ない」という域に達しているのだと思います。それが、このような悲劇を生んできたのでしょうが、そのような悲劇を生むくらいに西欧的価値は絶対的なものなのでしょう。

EUの人々の中には、「いじめ=犯罪=あってはならないもの」という考えがあり、その背景になっているのが、自由と民主主義、法の支配、人権を当然とする価値観なのです。

米国でもこの価値観はしっかりと根付いているのでしょうが、米国では学校内でも過激な暴力がしょっちゅう起こるし、場合によっては銃を待ちいたものや、それどこか麻薬の取引などもあるため、米国人の誰もが「いじめ」という特殊な問題があることを認めないわけには行かないのでしょう。

このような価値観を持つEU域内の人々なのですから、中共によるウィグル人迫害や、香港の一国二制度の破壊や、自国内の人民対する暴力や、不公正な貿易、知的財産の剽窃などとても許容できるものではないでしょう。EU域内の人々であれば、誰も現在の中国と価値観を共有できる人などいないでしょう。

だからこそ、今回のフォンデアライエン委員長による中共に対する厳しい発言になったものと考えられます。

詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下に一部を引用します。
中国共産党はあらゆる手段を講じて西側諸国を分断し、揺さぶりをかけて、最後には支配しようとしています。日本でも鼻薬を嗅がされ、知らず知らずのうちに中国共産党の「有益な愚か者」として利用されている政治家、企業家、大学関係者は少なくありません。 
自分の利益だけを優先して自由と民主主義、法の支配、人権をないがしろにして良いわけがありません。日本でも超党派の議員で中国が関わる全ての問題を詳らかにして公に議論し、国民に知らせるプラットフォームをつくることが重要です。 
日本も、穏健でリベラルな保守主義者パッテン氏の警鐘に耳を閉ざしてはならないです。 
香港最後の総督クリストファー・パッテン氏
そうして、安倍総理自身は、これから新世界秩序の構築に日本としてもこれに乗り遅れることなく、機先を制することには、前向きなようです。
G7のアングロサクソン3カ国と欧州の独仏伊、この二つをまとめ、さらには台湾とも関係を深めコロナ後の新世界秩序の中でリーダー的地位を獲得していただきたいものです。
今、世界は次の段階に向かって激しく動いています。その段階とは、「自由主義諸国」と「中国を中心とするロシア、北朝鮮などの全体主義の国々」の闘いです。その闘いは、米国などを頂点とする新世界秩序が出来上がるまで続きます。

にも関わらず、日本では中国の習近平国家主席の「国賓」招聘の中止すらはっきり決まりません。国際情勢を見ても、国民感情からも、中国国内で多数の人民が虐殺され、世界に感染症を撒き散らし、不公正な貿易や知的財産の剽窃の仕放題、そのような国の首領が天皇陛下に謁見するなどあり得ない話なのはわかり切っているはずなのに、いまだに決められないでいます。

このような有様では、新世界秩序において、日本がリーダー的地位獲得するのはままならないかもしれません。そのようなことにならないように、安倍総理にはまずは党内の雑音などを取り除き正しい道を進んでいただきたいものです。

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