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2020年7月13日月曜日

「国安法」施行で日本人が注意すべき“危険な国”は? 石平氏「習主席には地球全体を支配しようという思惑が? もし日本人が香港民主派に賛同する言動すると…」— 【私の論評】先進国は国際法を守らない中国の高官が自国を訪問したら、逮捕して裁判せよ!(◎_◎;)

「国安法」施行で日本人が注意すべき“危険な国”は? 石平氏「習主席には地球全体を支配しようという思惑が? もし日本人が香港民主派に賛同する言動すると…」

香港への統制を強める習近平氏はあまりに危険だ。国際社会は警戒感を強める

中国政府による統制を強化する「香港国家安全維持法(国安法)」施行に伴い、自由主義諸国は「自国民に影響が出かねない」と警戒している。同法が定める違法行為を、外国人が香港だけでなく、香港以外の場所で行った場合でも、香港・中国側が求めれば拘束・移送される危険性があるのだ。香港や中国と「犯罪人の引き渡し条約」を結んでいる国は大丈夫なのか。日本人が注意すべき国を調べてみた。


 「中国が香港に国安法を導入した結果、香港との関係が根本的に変わった。『犯罪人引き渡し条約』は停止する。中国にも伝えた」

 オーストラリアのスコット・モリソン首相は9日の記者会見で、こう表明した。

 国安法は、中国への抗議活動などを取り締まるため、国家分裂や政権転覆、外国勢力と結託して国家の安全に危害を及ぼす行為だけでなく、それらを扇動、教唆することも禁止している。

 これらは香港で適用されるだけでなく、「香港の永住権を有しない者が、香港以外の場所で本法律に規定する罪を犯した場合、本法律が適用される」(38条)という。

 つまり、外国人が香港以外で「香港は独立すべきだ」と発言しても、同法が適用される可能性があるのだ。

 このため、冒頭のオーストラリアだけでなく、カナダのジャスティン・トルドー首相も3日、同様の条約停止を発表した。ニュージーランドも9日、引き渡し条約の見直しを表明した。



  日本は幸い、香港や中国と「犯罪人引き渡し条約」は結んでいない。ただ、同様の条約を、香港や中国と結んでいる国は多い=別表。ビジネスや観光で訪れる際は注意すべきだ。

 中国事情に詳しい評論家の石平氏は「習主席には、国際法や国際関係の基本ルールが通用しない。地球全体を支配しようという思惑でもあるのではないか。日本人が香港の民主派に賛同する言動をすれば、香港や中国はもちろん、香港や中国と親しい国で拘束される危険性がある。日本政府は『国安法は受け入れられない』と断固たる声明を出すべきだ。中国の属国になるわけにはいかない」と語っている。

【私の論評】先進国は国際法を守らない中国の高官が自国を訪問したら、逮捕して裁判せよ!(◎_◎;)

香港で国安法が導入された当初から、上の記事で示されている懸念については、私もこのブログで表明しました。

これ一つを持ってみても、もはや習近平は世界の指導者にでもなったつもりで、世界中を自分に従え、世界中のいかなる国において誰かが中国や香港を批判しても、それを罰するつもりです。

すでに、多くの国々が犯人引渡し条約を破棄するか、その方向で、進めているのも当然出す。まともな民主国は、この条約を破棄することでしょう。

この中国の暴挙には、まずはほとんどの国で条約を破棄することで、ある程度対応することができます。条約を破棄しない国は、ロシアなどのわずかの国々になることでしょう。

ロシアなどのわずかな国々に、行かなければ良いのです。これは、米国などに行けなくなるのとは違いますから、個人に取っては、ほとんど問題にならないでしょう。

ただし、企業などでは、中国や、中国と「犯人引渡し条約」を結んでいる国に、拠点がある場合は、深刻な問題になりそうです。

しかし、これも中長期的には拠点を引きあげれば良いと思います。現状では、中国や中国と関係の深い国々でのビジネス展開は非常に危険です。一時的に利益が出たとしても、この先どうなるかわかりません。

そうして、この件に関して、中国を牽制する手段は他にもあります。それは、かつて台湾が行ったことです。それに関しては、随分前ですが、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

【日本で報道されない激レアニュース】台湾訪問中の中共高官2人、相次ぎ刑事告訴される―【私の論評】及び腰日本はなぜこのようなことをしないのか?

  スペインの国家裁判所に、ジェノサイドと拷問の罪で
  刑事告訴された江沢民・元国家主席を含む5人の中共高官

この記事は、2010年のものです。詳細は、この記事をご覧いただくもとして、この記事では当時台湾訪問中の中共高官2人が相継ぎ刑事告訴されたことを掲載しました。以下に一部を引用します。
中国宗教事務局の王作安・局長は、先週15日(2010年9月15日)に台湾を訪問した際、台湾法輪大法学会に、法輪功への集団弾圧を陣頭指揮した罪で告訴された。前日の14日、台湾を訪問中の陝西省趙正永・代理省長が同団体に刑事告訴されたばかり。 
台湾法輪大法学会は、台湾の高等裁判所の検察署にジェノサイドと民権公約違反の罪状で二人をそれぞれ刑事告訴し、身柄拘束を要求した。同検察署は訴状を受理した。
この時の台湾総統は、当然のことながら現在の蔡英文ではなく、中国寄りの馬英九でした。そのこともあって、これは大ごとにはならず、二人の中国高官も結局早期に釈放されたようです。それにしても、台湾検察が刑事告訴をしたということ事態が今から考えると、とてつもないことです。もしこの時に、本格的裁判をしていたらどうなったでしょうか。

2013年には、スペインの裁判所がチベット族の虐殺に関与した疑いで、中国の江沢民元国家主席(当時:87)ら元幹部5人に出した逮捕状が波紋を呼びました。

このようなことがあった後に、2013年3月14日には、習近平政権が成立しました。このようなことがあったせいでしょうか、習近平が初めて、米国の当時のオバマ大統領を訪問した時には、ひょっとして自分は米国司法当局に逮捕されるのではないかという危惧の念を抱いていたようです。

2013年オバマ大統領と習近平主席の初会談

なぜなら、法輪功信者は米国にも大勢いて、習近平の米国訪問の反対運動をしていたという事実があります。実際にオバマ政権の時の司法当局がそのようなことをしていたら、その後の中国の暴走を防げたかもしれません。

台湾やスペインがこのようなことをしているのですから、中国が実際に、国安法で他国に、中国を批判した個人などの引渡しを求めるようなことをした場合は、その報復として、中国人高官が米国などを訪れた場合、司法当局が身柄を拘束して、起訴して裁判を行えば良いのです。

習近平が日本を訪問したいというなら、訪問させて、検察が身柄を拘束して、裁判を行うというようなことをすれば良いです。そのようなことをすると、意外と現在の八方塞がり中国は、喜んでそれを受け入れ、八方塞がりの原因を作った習近平はあっさり失脚するかもしれません。

何しろ、これから、米国は中国に対する制裁をさらに強化し、多数の中国高官の資産を凍結しようとしています。そうなれば、金の切れ目が縁の切れ目で、習近平は中国の幹部からも敵ということになります。

理想も信念もない中国共産党幹部たちの、結びつきは金だけです。金を儲けさせてくれるから、習近平について行ったものを、その金がなくなれば、習近平に忠義立てする必要もなくなります。その習近平が身柄を拘束されるということになれば、大喜びする幹部も多いことでしょう。

中国の高官であれば、過去に虐殺や虐待に関わっているものも多いはずです。だから、起訴理由はいくらでもあります。そうして、それを米国だけが行うというのではなく、多くの国々で行うようにすれば良いでしょう。

国際法を守らない中国は、それくらいのことをされても当然です。

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2020年6月4日木曜日

「種苗法改正」はなぜ必要なのか 改正案の中身は農家の知的財産保護に主眼 「外資に支配される」も杞憂 ー【私の論評】TPP芸人に変わって、種苗法芸人たちが出てくるか(゚д゚)!

「種苗法改正」はなぜ必要なのか 改正案の中身は農家の知的財産保護に主眼 「外資に支配される」も杞憂

高橋洋一 日本の解き

平昌冬季五輪で、カーリング女子日本代表の選手が休憩時間に食べて話題になったイチゴ

種苗法改正案について、ネットを中心に「海外への不正な流出を防ぐ」として賛成する意見と、「農家が苦しくなる」などと反対する声で二分されている。改正案は、今国会での成立が見送られるとの観測もある。

 著名人がSNSで取り上げたという経緯もある種苗法の改正案だが、農林水産省のサイトはなかなか丁寧に解説していた。江藤拓農水相の記者会見(2020年5月19日)も掲載されており、そこにある法案概要などの方も分かりやすい。

 なお、筆者は政治関係などでよく分からないものについてツイートすることを非難するつもりはないことをあらかじめ断っておく。どのようなものであれ、興味を持って発言するのはいいことだ。

 農水相の話でも言及されていたが、今回の改正法のきっかけになった一つの事件は、2018年の韓国・平昌(ピョンチャン)冬季五輪で、カーリング女子日本代表の選手が休憩時間に食べて話題になったイチゴが、日本から流出した品種を元に韓国内で交配されたものだったという事実だ。このほかにも、高級ブドウのシャインマスカットなど、果物の国外流出が後を絶たない。

 今回の改正案の中身は、農家の知的財産権の保護だ。新たな植物品種を育成した者は国に登録することにより、知的財産権の一つである「育成者権」(著作権と同様のもの)を得て、登録品種の種苗、収穫物、加工品の販売などを独占し権利を保護する。

 ちょっと信じがたかったが、現行法では合法的に取得した種苗には育成者権が及ばないため、海外にも容易に持ち出せてしまう。この穴を埋めるため、農水省は昨春から有識者の検討会を開き、法改正案をまとめた。

 今回の改正案では、育成者権の届け出時に輸出できる国などを指定することで、指定国等以外での農作物収穫を制限することができ、結果として新しいブランドの確立に尽力してきた農家を保護することができる。

 ネット上では、今回の改正案で、農家が次期作に備え、収穫物から種や苗を採る「自家増殖」ができなくなるという不安を表明している。たしかに、改正案には、農家の権利保護のため、自家増殖の見直しが含まれている。従来は原則自由だったが、誰が自家増殖をしているか把握できるよう開発者の許諾を必要とした。

 しかし、対象はあくまでも登録品種だ。米の84%、みかんの98%で、リンゴの96%、ブドウの91%、ばれいしょの90%、野菜の91%など主要作物の9割前後は一般品種であり、それらの一般品種は自家増殖しても問題ない。家庭菜園は規制の対象外だ。

 法案の反対理由として「外資に支配される」というものもあるが、これまで日本の農家は利益を失い、その犠牲の上で外資が儲けていた。法改正されれば日本の農家に適正な利益をもたらすので、逆に国内品種で漁夫の利を得ていた外資は、困ることになるだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】TPP芸人に変わって、種苗法芸人たちが出てくるか(・Д・)!

今回の改正が影響するのは、上の高橋洋一氏の記事にもあるように、「登録品種」です。ゆめぴりかやつや姫、サツマイモの紅はるか、シャインマスカット、イチゴのあまおうなどが該当する。これらについて、これまでは農家の権利として、自家採種や自家増殖ができたのが、改正されると、こうした行為に育成者の許諾が必要になります。

改正案は一般には「自家採種の原則禁止」だとして騒がれています。ただ、「登録品種」の自家採種はそもそも難しいです。なぜなら、ほとんどがF1種だからです。このF1に関しては、中学や高校の生物学の教科書にも出ていたと記憶しています。

高校の生物学のテキストより

これは、雑種強勢を利用したもので、2つの異なる親の優れた形質を発揮する。固定種に比べ、生育や形状がそろいやすく、病気に強い性質を持つものが多いです。F1は「雑種第一代」という呼び方が示すように、その種をとって繁殖させても、初代ほど優れた形質が均一には現れません。

そのため、たとえ種が採れる登録品種であっても、実際に採種する農家は少ないと見られます。手間がかかる上に、本来の品質からのズレが起きやすいからです。

たとえば、コメだと種もみの更新率(毎年新たに購入する割合)は9割に達します。一般品種も含めての話なので、登録品種の更新率はより高いと推測されます。農家にとって種もみは基本的に毎年買うものです。

効率的な生産を目指す農家ほど、育苗のアウトソーシングをする傾向があります。これは、農業そのものの市場がしぼみつつあるにもかかわらず、野菜の購入苗(育てずに買ってくる苗)の市場がまだ伸びているとされることからも明らかです。

改正が影響するとしたら、それは主に自家増殖の部分になることは間違いないです。ただし、影響範囲はかなり限られそうです。

専門的に見ていくと細かな条件や例外のようなものがあって判り難い部分もありますが、一般家庭でガーデニングや家庭菜園を楽しむ分については、音楽やマンガの著作権と同様に考えておけばトラブルになることはほとんどないと思われます。 私たちがたとえ、誰か有名人の唄を歌ったにしても、それが単なる楽しみであり、それで利益を得るということがなければ、犯罪にはならないのと同じです。

また、自家採種を行っている農家の場合であっても「開発者の権利を一定期間保護して、開発者に適正な利益を還元する」という常識的な判断基準で行動すれば問題になることもありません。また「この行為は微妙かな???」と思える事案については公的な機関の発表したQ&Aの中に回答がある場合がほとんどです。

ネット上(ブログのまとめ記事、Twitterなど)では公的機関の発表した情報(一次情報)すら確認せずに、デマ情報をそのまま拡散している人が多いので要注意です。必ず公式情報を確認しましょう。

*より正確な情報を知りたい方は農研機構 (種苗管理センター/品種保護対策/よく寄せられる質問)などでご確認ください。

種苗法などに興味を持ってSNSなどに書き込むこと自体は、悪くないと高橋洋一氏は語っていますし、私自身もそうは思うのですが、ただ、あまり事実確認をしないで他の人のSNS 記事などを読んだだけで、反射的に反応するのは、良いことではないと思います。


このことについては、私はTPPのことを思い出してしまいます。日本がTPPに加入することを検討していた時期には、多くの人がこれに反対していました。

とにかく、TPPに加入したり、検討しただけでも、米国に良いようにされてしまう、米国に支配されてしまうとか、とにかく大変なことになると大騒ぎしていました。ところが、米国でトランプ大統領が登場すると、大統領選挙の公約に挙げていたTPPからの離脱を本当に実行してしまいました。


トランプ氏の脱退の理由は、TPPに加入すれば、日本などに良いようにされてしまう、日本に支配されてしまうとか、とにかく大変なことになるというものでした。これで、日本がTPPに加入するととんでもないことになると騒いでいた人たちの主張は間違いであることがはっきりしました。

このブログでも、このような人たちを揶揄してTPP芸人と呼びました。

種苗法にも似たようなところがあります。種苗法が改正されるととんでもないことになると騒いでいる人たちは、いずれ種苗法芸人と言われるようになるかもしれません。


2016年3月30日水曜日

約2年間少女監禁、その支配実態とは 容疑者男、実家周辺では「頭のエエ子」―【私の論評】誘拐された少女だけでなく、民進党も『学習性無力感』に陥っているのでは?


ストリートビューに掲載されていた、寺田容疑者の借りていたアパート(赤い矢印部分)
撮影日が2015年の6月なのでこの時点で中に監禁されていた可能性が高い。
下は、容疑者が借りていたアパートの間取り。



埼玉県警が未成年者誘拐容疑で指名手配し、28日に身柄を確保された東京都中野区の職業不詳、寺内樺風(かぶ)容疑者(23)=同容疑で逮捕状=は、千葉大学工学部に通いながら女子生徒(15)を監禁していたとみられる。大学に隣接するアパートで約2年もの間、誰にも悟られずに女子生徒の自由を奪い続けられたのはなぜか。大阪府池田市の実家周辺で「頭のええ子」と神童扱いだった同容疑者の猟奇的犯行に、関係者は言葉を失っている。

■監禁部屋

「秋葉原に携帯電話を買いに行く」

寺内容疑者は27日昼前、女子生徒にこう言って東京・東中野のマンションを外出した。この日は鍵が掛かっておらず、女子生徒は部屋から逃げ出し、JR東中野駅の公衆電話から110番した。

2014年3月に行方不明になってから2年、事件が大きく動いた瞬間だった。

女子生徒は27日に保護されたが、数週間前までは、寺内容疑者が東中野に転居してくる前の住居、千葉市稲毛区の3階建てアパートの最上階で監禁されていたとみられている。

アパートは千葉大学に隣接し、最寄り駅のJR西千葉駅から徒歩15分。不動産サイトによれば、賃料は月5万3000円で、間取りは洋間と和室の6畳間が1つずつある2K。面積はほぼ40平方メートル。オートロックはなく築年数は31年だが、1人暮らしの大学生にとっては恵まれた居住環境といえる。

同じ階に住む男性(69)は「1~2週間前に出ていったばかりだよ。女の子がいたなんて全然気づかなかった。俺は雪駄を履いて外出するから部屋の前の廊下をペタペタ歩く音だって聞こえたはずなんだ。助けを求めようと思ったら、いくらでもできたと思うんだけどね」と首をかしげる。

寺内容疑者については「3回くらい見かけたことがあるけど、元気にあいさつするいい男だったよ。根暗な印象はまったくなかった。コンビニなんかのポリ袋を手に提げていて、いつも1人分の食べ物を持っていたように思う」と話す。

寺内容疑者の下の階に住む男性(21)は「上から聞こえてくるのは足音ぐらいで、女性の声を聞いたことはなかった。(寺内容疑者とは)顔を合わせたことがなく、生活感がない部屋だなと思っていた」と振り返った。その上で「監禁されていたことを気づけなくて、(女子生徒に)申し訳なく思う」と表情を曇らせた。

■池田の神童

寺内容疑者は大阪府池田市で育った。実家の賃貸住宅を所有する大家の男性(90)によると、同容疑者は15年近く前、両親と妹計4人で転居。隣接する2棟を借りて父親が1棟を職場として使用しているという。

男性は「ご両親は家賃もきっちり払ってくれて家族間のトラブルも聞いたことがない。息子さん(寺内容疑者)が高校生くらいのころにニューヨークに留学すると聞いて『頭ええんやな』と思っていた」と振り返る。

一方、寺内容疑者の子供時代を知る会社員の男性(68)は「カブ(寺内容疑者)のことは小学生のころから知っているが活発で気のいいやつ。今でも『何かの間違いやろ』と思ってる」と明かす。

男性によると、寺内容疑者は実家近くの市立小学校に入学。地域の子供会に参加し、高学年になるとキャンプなどの野外活動で班長として年下の子供たちの世話をするなど、リーダーシップを発揮した。卒業後は難関国立大学合格者を多く輩出する大阪教育大付属池田中、高校に進学した。

「母親が教育熱心で、カブは勉強のできる子やった。子供会の同世代にはやんちゃな子もいたが、まじめであまり周囲とはなじんでいなかった」(男性)

高校時代、女子高生アニメに熱中していたとの情報もある。

高校を卒業後、千葉大学に進学。同容疑者が長期休暇などで実家に帰省した際、男性が声を掛けると会釈をしながら笑顔を見せていたという。だが、最近は事件以前とみられる数年前の正月に会ったきり、姿を見かけなかった、と話す。

男性は「子供会で面倒を見てきた子供たちはいい子ばかりで、こんな事件に関わるとは信じられない。今会えるとしたら、叱ってやりたい」と肩を落とした。

■異常な支配欲

長期にわたる監禁事件では「被害者はなぜ逃げなかったのか」という指摘が度々起きる。今回の事件でも寺内容疑者は、近隣住民の目につきやすいアパートやマンションに居住し、2人で外出をしていた形跡もある。女子生徒は逃げ出すきっかけが皆無だったとはいいにくい状況だ。
しかし、矢幡心理教育研究所の所長で臨床心理士の矢幡洋氏は、被害者の心理を「多くの場合、被害者は『逃げない』のではなく『逃げられない』心理になっている」と分析し、こう続ける。

「生物全般にみられる反応で『学習性無力感』と言われる。過度なプレッシャーや恐怖にさらされ続けることで、逃げる意欲が希薄になる心理現象を言う。自分のやることに効果がないという体験を繰り返すと『自己効力感』が失われる。無力感にさいなまれて現状を変えようという意欲がなくなる。少女もこうした心理状態に陥っていた可能性が高い」

寺内容疑者は犯行に走る前の13年に大学を休学して渡米、現地の航空学校で固定翼の単発機を操縦できる自家用機の操縦資格を取得した。さらに女子生徒を監禁しながら大学に通い、卒業して就職…と行動力の高さが際立つ。

「行動が大胆で自信家の傾向が見受けられる。その半面、自己の願望、欲望を満たすには犯罪に手を染めることもいとわない。反社会性パーソナリティーの傾向を感じる」(矢幡氏)

捜査関係者によると、女子生徒は寺内容疑者に拉致された際、「全く知らない男に『両親は離婚してしまうので弁護士に会わせる』と声をかけられ、車で連れて行かれた」と話している。言葉巧みに少女を連れ出す狡猾さがうかがえる。

「他人の心理操作にたけている印象で、他人を支配することに喜びを感じるタイプだったのかもしれない。本人のフェイスブックには上空から眼下の町並みを写した写真がアップされているが、そこから支配欲求の強さが感じられる」(同)

空白の2年間に何があったのか。これから徐々に明らかになる。
【私の論評】誘拐された少女だけでなく、民進党も『学習性無力感』に陥っているのでは?
上の記事で、やはり『学習性無力感』という言葉が気になります。この少女に限らず、様々な人が実は自分の思い通りの人生を生きていない可能性も多いにあると思います。
まずは、『学習性無力感』という言葉について、定義など以下に掲載します。
これは、米国の心理学者マーティン=セリグマンが1967年に発表した心理学理論です。
長期にわたって、ストレス回避の困難な環境に置かれた人は、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるという見解です。

自分の努力によって状況を変化させることができなくなると、「無力感」が学習されてしまいます。すると、「何をやってもダメだ」というあきらめの境地に入り、現状を変える意欲どころか、逃げ出す気持ちさえも起こらなくなるそうです。

これは、鬱に至る過程と目されていた理論ですが、最近では生理学的に矛盾が出てきているそうです。とはいえ臨床心理の現場では、まだ現役で学習性無気力の理論に基づいた心理療法が用いられているそうです。

以下に、マーティン=セリグマンが、『学習性無力感』という理論を生み出すきっかけとなった実験について記します。
マーティン=セリグマン
マーティン・セリグマン(1942年8月12日生まれ)ニューヨーク出身の心理学者で、うつ病と異常心理学に関する世界的権。学習性無力感に関して以下のような実験を行いました。
◆◆【実験概要】◆◆ 
床に電気ショックの流れる2つの部屋に、それぞれ犬を入れる。片方の部屋の壁はジャンプすれば逃げられ、もう一方は到底飛び越せない。ブザーを鳴らし、双方の部屋に幾度が電流を流した結果、低い壁の犬はジャンプして逃げ出すが、高い壁の犬は完全に無抵抗になった。

セリグマンの犬の実験では、嫌悪刺激として電気ショックが採用されましたが、人間の場合には様々な刺激が嫌悪刺激となり得ます。身体への嫌悪刺激のみならず、精神的な嫌悪刺激が無気力状態を引き起こすことも、容易に想像できます。

さて、このような状況に陥っている可能性のある事例を以下に掲載します。以下、セリグマンの著書からの抜粋を掲載します。

例えば、近年ニートが増加していますが、その理由はかつての就職超氷河期で面接で落とされ続けて、意欲を失って『学習性無力感』に陥った若者が増加したからかもしれません。

選挙に行く若者が減っているそうですが、過去に投票しても何も結果は変わらないということを何度が経験したことで『学習性無力感』に陥り、選挙行っても無駄であると考える若者が増えたのかもしれません。

職場などで、こちらが提案しても、上が保守的で、結局何にも変わらなかったことを経験したので、『学習性無力感』に陥り、何も提案しなったのかもしれません。

かなり重い例では、家庭内暴力を振るわれ続けて抵抗する妻が、いくら抵抗しても殴るのをやめない夫を見ている内に、その状況を受け入れてしまう、などのこともあります。

学習性無力感に陥っている人は、程度の差こそあれ、結構存在するかもしれません
以下に、学習性無力感を抱えている人の特徴をあげておきます。

やる気がでないので、努力せず、親や上司に怒られる。そうすると、さらにストレスがたまる。やる気がさらに減る。こういうことを繰り返しているうちに、『学習性無力感』に陥り、何もしなくなってしまう。

このような状態に陥っている状況下では、「今度は成功するかもしれない」という期待を持ったり、意欲がわいたりする可能性は低くなると考えられています。

失敗・挫折・苦痛・不幸の原因を全て『自分が悪いから・自分が無能だから・自分が怠惰だから』といった個人的要因に還元してしまうのです。

そうして、新たな人間関係の構築に消極的になってしまったり、他人の親切や好意を信頼できない人間不信から他者とのコミュニケーションを楽しめなくなってしまうのです。
ではどうすれば、『学習性無力感』に陥った人が、そこからどうすればぬけ出すことができるのでしょうか。

肝心なのは、本人が自分の学習性無力症状態から回復したいと願っていること。そして、できれば支援を得て再起したいという「熱意」という「火種」を持つこと。これが、最も重要なことだそうです。

無力感はたいてい上司や周りの人から何度も否定されることを通して生じます。どうしてもやる気が出なければ、専門医のカウンセリングにいったり、否定する人に相談してみるのもいいと思います。

これは、実際に『学習性無力感』に陥っている人には、なかなか難しい注文ですが、一人で抱え込んでいるより誰か仲のいい人にでも吐き出してしまうのが楽な近道かもしせません。

そうして、人生に目標を持つことも大事であるといわれています。最初から大きな目標を持つだけでは『学習性無力感』にさらに苛まされるという事態も考えられるので、まずは大きなも目標達成のためにやるべきことを細分化し、できることからやってみるという姿勢が重要です。

失敗し続けることを学習してしまったのなら、反対に成功し続けることを学習しなおせばいい、というシンプルな理屈です。ただ、いきなり大きな目標を立てるとさらに落ちてしまうので、小さなことからコツコツ努力するのが吉というわけです。

何か失敗したときに、「人や状況のせい」にして、ただしそれを実際に口に出して人にいうのではなく、「心の中」それをするのが良いそうです。自分のメンタルな健康を守るためには、その方がよいそうです。

これは、「言い訳を是としない」古き良き日本的美意識を変革しろというわけではありません。まず状況や人のせいにしておいて、自分が失敗しない状況というものを自分自身に思い込ませることで成功を学習させる方法。

以下にマーティン・セリグマン氏による「ポジティブ心理学」という動画を掲載します。



この動画では、マーティン・セリグマンが心理学(学問としての、患者とセラピストの1対1の関係にお­いての)について話します。病気を越えたことに注目が移ってきた今、現代の心理学は私­たちにどのように役立つのでしょうか?ポジティブ心理学の創設者の一人であるセリグマ­ンは、心理学は異常や病を扱うだけではなく、普通の人たちの人生をより充実させること­に貢献できるようになりつつあると言います。3種類の幸せ -快楽、フロー、意味- が持つ影響と効果、そしてそれらを持続・維持するためのテクニックについて語ります。­2004年2月、TED2004。

さて、このような誘拐された少女が陥ったいてかもしれない『学習性無力感』ですが、最近結成された民進党などみていると、彼らもこれを患っているのではないかと思ってしまいます。


夏の参院選が迫る中、民主、維新両党の合流新党「民進党」が27日、船出しました。党名もポスターも一新したのですが、執行部の大半は旧民主党出身者が占め、「名ばかりの新党」との印象は拭えません。それどころか、新党の平成28年度の活動方針では「憲法改悪のストップ」など左派色を強く打ち出しており、旧態依然とした革新政党に先祖返りしただけのようです。

とにかく、民進党の幹部連中は、安全保障に関してもこの有様ですが、経済や金融についても何もわかっていません。安倍総理の金融緩和策など、世界中で左翼やリベラルが雇用状況を好転させるという理由で、大賛成であるにもかかわらず、反対し、雇用統計の見方も良くわからないようで、トンチンカンなことばかり語っています。

彼らのほとんどは、元々民主党ですが、民主党といえば、野党時代が長く、一度政権を取ったものの、政権与党時代には、政治主導などといって、何にもならない事業仕分けなど行ってみせたりするだけで、結局何もできず、3年間漂流していただけです。

野党のときも何もまともにできず、やることなすこと失敗の連続で、与党になっても、それは何も変わらず、結果として3年間も漂流を続け、日本国家を毀損し、再度下野してからも、やることなすこと全部見当外れで、馬鹿にされたり、蔑まれたりはしても、誰も評価しません。評価するのはほんの一部のコアな人だけです。

この状況を見ていると、選挙に勝つためにできることすらしていないように見えます。国会での審議でも、ほんとうにどうでも良いような、週刊誌の下請けのような質問をしてみたり、「日本死ね」という汚い言葉の個人ブログの下請けまでやっています。これではもう、まともな野党としての役割も全く果たしておらず、これは政党組織が『学習性無力感』に陥っているとしか思えません。

何度も失敗を経験しているうちにこのようになってしまったのでしょうか。個人であっても、組織であっても『学習的無力感』に陥ることなく、ポジティブに生きたいものです。誘拐された少女の場合は、誘拐犯によって、そのように操作されてしまっのですが、世の中には民進党のように自らそれにハマるような組織や個人もみられます。

マーティン・セリグマンの『学習性無力感』の研究は、後にポジティブ心理学を生み出す土台となりました。

ポジティブ心理学(ポジティブしんりがく、英語: positive psychology)とは個人や社会を繁栄させるような強みや長所を研究する、近年注目されている心理学の一分野です。ただ精神疾患を治すことよりも、通常の人生をより充実したものにするための研究がなされています。これに関しては、ここで述べると長くなってしまうので、また改めて掲載しようと思います。

組織を運用する人々は、このようなポジティブ心理学を実践して、組織に属する人や支持する人たちを幸せにする努力をすべきです。間違っても、少女を誘拐した犯人のように『学習性無力感』を植え付けるようなことがあってはならないです。

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