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2018年4月5日木曜日

希望の党と民進党が元サヤに収まり、立民が合流しない奇妙な状態 野党に政権を委ねられない不幸―【私の論評】景気回復への道を明示することができない連合も野党も今のままでは凋落していくだけ(゚д゚)!

希望の党と民進党が元サヤに収まり、立民が合流しない奇妙な状態 野党に政権を委ねられない不幸

代議士会に臨む希望の党の玉木雄一郎代表=3月29日午後、国会内

 希望の党が民進党との合流に向け、分党について協議すると報じられた。民進党も新党結成構想について全会一致で了解を得たという。衆院で野党第1党の立憲民主党を含め、展望はあるのだろうか。説明を追加

 希望と民進の協議に関する報道を見たとき、筆者はエープリルフールの冗談かと思ったくらいだが、関係者は「新しい民主党」に真剣なようだ。その時点で、一般人と感覚がずれていると思う。

 今からわずか半年前、昨年10月の総選挙で、小池百合子都知事が立ち上げた当初の希望の党は台風の目となり、その人気目当てに民進は分裂した。

昨年10月、希望の党の立ち上げ 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 いち早く駆け込んだ人は希望、入りたかったが小池氏が「排除」したので入れなかった人が立民、そのままの人が民進-と大ざっぱに分けられる。このときの分裂は、結局選挙目当てが最大の動機だったのは間違いない。

 ところが、小池氏が、「排除」発言で大きくこけて、希望は伸びなかった。総選挙後に希望は、創設者だが既に人気がなくなった小池氏を「排除」した。「排除」の過程で、希望と立民をかろうじて分けていた、リアルな安全保障や憲法改正について、どちらも変わらなくなっていった。

 変節は有権者に見透かされており、次期総選挙では希望の消滅は確実との見方もある。そのような情勢で、希望と民進の合流話が出てきているのだが、やはりこれも「選挙互助会」を作りたいということだ。半年の間に、こうした分裂や再編を繰り返せば、有権者の信頼を失うだけだろう。

 それでも、希望と民進は合流するだろう。というのは、両者は今のままではじり貧だからだ。衆議院の勢力をみると、希望51、民進12(党籍を持っている無所属)、立民55である。ここで、希望と民進が合流すれば、立民を抜いて衆院で野党第1党になる。

 そうなると、立民はどうするのか。財務省による文書改竄(かいざん)問題などでは野党6党で一致団結している。野党6党とは、立民、希望、民進、共産、自由、社民の各党だが、共産を除く5党は、一般の有権者から見れば、もはや政策の違いがわかりにくい。

 希望と民進の合流がうまくいけば、その次には立民も合流してもおかしくない。民進分裂の原因であった小池氏がもういないので、元の鞘に収まっても不思議ではない。

 とはいえ、立民は合流話に乗らないだろう。というのは、小池氏の「排除」発言によって、結果として勢いを増したので、「排除」した側の希望には乗れないからだ。昨年の総選挙の際、希望と立民について「偽装分裂」との見方もあり、やはりそうだったのかといわれないためという理由もあるだろう。

 となると、似たもの同士の希望と立民が合流しないという、政治的には奇妙な状態となる。

 政策はどうでもよく目先の選挙だけで右往左往する野党に、有権者はとても政権を委ねられない。これは日本の民主主義にとって不幸なことだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】景気回復への道を明示することができない連合も野党も今のままでは凋落していくだけ(゚д゚)!

希望、立民、民進党の行動を考えるには、やはり労組の動きを理解しないと十分に理解できないと思います。

その中でも、連合とこれらの党の関係を理解すべきです。連合(正式名称:日本労働組合総連合会)は、1960年代後半から繰り返し志向されてきた社会党系の日本労働組合総評議会(総評=社会党右派を中心に中間派・左派を含む)、民社党系の全日本労働総同盟(同盟)、中間派だった中立労働組合連絡会議(中立労連)、全国産業別労働組合連合(新産別)の労働4団体の統一によって結成されたものです。

但し、1986年の「日本社会党の新宣言」採択まで長くマルクス・レーニン主義を掲げ、自衛隊違憲・解消、日米安保反対、非武装中立、日の丸・君が代反対、脱原発を主張した社会党系の総評(公務員労組中心、日教組・自治労など)と、民主社会主義と反共を掲げ、自衛隊や日米安保、日の丸・君が代、原発に賛成していた民社党系の同盟(民間労組中心)とは水と油の関係であり、基本政策のすり合わせをしないままに行われた統一でもありました。

当該4団体等による「労働戦線統一」の動きは、1982年12月14日の全日本民間労働組合協議会(全民労協。初代議長は竪山利文・電機労連委員長)の結成により大きく進展しました。

全民労協が1986年11月の第5回総会で翌年秋の連合体移行を確定したことを受け、まず同盟が1987年1月の第23回年次大会で解散方針を決定し、総評、中立労連、新産別の3団体も秋までに「連合」への合流を決定しました。


1989年11月21日、東京厚生年金会館で日本労働組合総連合会の結成大会を開き、初代会長に情報通信産業労働組合連合会(情報通信労連)委員長・山岸章を選出しました。 総評系産別を加えて78産別、組合員約800万人を結集させ、労働4団体等の統一を完成させました。なお、山岸は“労働戦線統一の功績”により2000年4月に勲一等瑞宝章を受章しました。

山岸章氏

他方、連合の発足を「労働界の右翼的再編」「反共・労使協調路線」と攻撃する日本共産党系の「統一労組懇」等は、これに対抗して連合結成と同じ1989年11月21日に全国労働組合総連合(全労連)を、総評左派系(社会党左派系)の一部は12月9日に全国労働組合連絡協議会(全労協)を結成しました。

さて、この連合は昨年衆院選で特定の政党を支援せず、立憲民主党や希望の党(結党メンバーを除く)、無所属で戦った民進党出身者らを個別に推薦し、このうち99人が当選しました。


しかし選挙戦では連合傘下の産別労組のうち、自治労など左派色の強い旧総評系が立憲民主党、自動車総連など旧同盟系が希望の党の支援を目立たせるなど、組織に長年潜んでいた対立構図も浮き上がりました。

希望の党で当選した民進党出身の衆院議員は「連合から推薦を受けたが自治労などはほとんど現場で動かなかった」と打ち明けています。

立民、希望、民進3党がそれぞれ地方組織をどう構築するのかも見通せず、高い集票力を持つ連合の組織力は宙に浮いたままです。今年の通常国会では連合が強いこだわりを持つ「働き方改革」の関連法案も審議される見通しで、神津氏らは焦りを募らせています。

希望の党は小池元代表の「排除発言」だけでコケたというわけではない。その背後になは何が?

さて、ここであれだけ台風の目になった希望の党がなぜ選挙戦中でコケてしまったのか、もう一度振り返っておきます。ブログ冒頭の記事では、小池氏が、「排除」発言で大きくコケてしまったとありますが、無論表面的にはそのような面もありますが、それだけではありません。

何と言っても、まずは、希望の党の公約に示された経済政策があまりにもお粗末であったことと、希望の党が改憲勢力でもあることから、希望の党が躍進すれば、国会で改憲勢力がさらに大きな勢力を占めることに危機を抱いた、マスコミが選挙戦途中から希望の党を徹底的に叩きはじめたことの両方によるでしょう。

それでも、経済政策がまともであれば、いくらマスコミが叩いたとしても、保守派などでも擁護する人がでてきた可能性がありますが、あまりに酷い経済政策であったためその動きもなかったことが致命的になったと考えられます。

その、希望の党の経済政策を以下にあげておきます。

希望の党の政策集『私たちが目指す「希望への道」』には、消費税増税について「凍結する」と明記しているのですが、同時にこう書いていたのです。
「金融緩和と財政出動に過度に依存せず、民間活力を引き出す『ユリノミクス』を断行する」「日銀の大規模金融緩和は当面維持した上で、円滑な出口戦略を政府日銀一体となって模索する」。
大規模な金融緩和によって現在の景気回復があるのに、その金融緩和を止める方向を模索するというのです。しかも「財政出動」にも否定的です。仮にこうした「緊縮財政」政策が採用されたら、日本は再び不景気へと転落し、再びデフレスパイラルのどん底に沈みことが予想される内容でした。

特にひどいのが「内部留保」課税でした。政策集には「300兆円もの大企業の内部留保に課税することにより、配当機会を通じた株式市場の活性化、雇用創出、設備投資増加をもたらす」とあります。

内部留保とは、そもそも法人税(国税)と事業所税(地方税)を払った後の残りです。これに課税するのは二重課税であり、租税原則に反するものです。

しかもこの内部留保は、必ずしも現金として手元に残っているわけではなく、設備拡充や技術開発などの再投資に回されている場合が多です。ただし内部留保が積み上がり、現預金の比率が高くなってきていることも事実ではありました。このため、麻生財務大臣のように「金利のつかない金を貯めて何をするのか。給与や設備投資に回したらどうか」と問題視する声もありました。

そもそも企業が設備投資を拡大しないのは、2014年に消費税を8%にあげて個人消費を縮小させてしまったからです。よって政府がなすべきことは個人消費を拡大する政策、つまり消費税減税と、日銀による更なる金融緩和による環境整備であるはずです。

ところが希望の党は、大企業に対して「設備投資を拡大しないのなら内部留保に課税するぞ」と恫喝する政策を打ち出したのです。内部留保を積み上げる大企業に対して罰金を課そうという発想は社会主義特有のものであり、極めて恐ろしいものでした。これでは、保守層は反対にまわるのも無理はありませんでした。

もしこの内部留保課税が具体化するならば、優良企業は国外へと逃げ出すことになったでしょう。そしてそれは、雇用環境の悪化をもたらすだけでした。これでは、『私たちが目指す「希望への道」』ならぬ、『私たちが目指す「地獄への道」』と言っても良いような内容でした。

希望の党の公約。特に経済政策を読み込むと、それは恐ろしい内容だった

枝野幸男代表の「立憲民主党」の選挙公約における経済政策も、金融政策や財政政策には見るべきものがありませんでした。「所得税・相続税、金融課税を含め、再分配機能の強化」と、金持ちに対する税金を上げて、その一部を貧困層に配る典型的な「社会主義政策」が掲載されているぐらいでした。

企業や金持ちに対する課税強化では、景気は回復しません。そして景気が回復しなければ、福祉を充実させる財源も捻出できません。立憲民主党は、民主党政権時代になぜ景気が低迷したのか、なぜ社会保障を充実させることができなかったのか、まったく学んでいないようでした。

現在の希望の党、立憲民主党、民進党とも、希望の党がなぜ勢いを失ってしまったのかその根本原因を全く理解していないようです。そうして、最初から筋悪の「森友問題」に拘泥し、政局においてすらも何の成果もあげられていません。労働者の生活を脅かす増税キャンペーンを長年にわたって行ってきた財務省に矛先を向ければ、まだ何とかなったのかもしれませんが、とにかく「疑惑」の追求で決定打に欠いて、ワイドショー民にすら飽きられて埋没してしまいました。

デフレ期には、適切な金融政策と政府による財政出動、そして民間企業の活動を阻害する「規制」の緩和で自由な企業活動を支援し、個人消費を拡大することこそが景気回復への道であるはずです。そうして、景気回復によって一番の受益者になるのは、他ならぬ労働組合を組織している労働者でもあることに気づくべきです。

この点について、野党だけではなく、連合自体も気づくべきです。そうして、景気回復への道を明示することができない連合も野党も今のままでは凋落していくだけになることでしょう。無論今の野党に政権を担わせることもできません。

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2017年9月30日土曜日

小池新党との距離感を模索するにせよ、すべての道は憲法改正に通ずる―【私の論評】希望の党もマスコミも数年後には、民進党のように破棄される?

小池新党との距離感を模索するにせよ、すべての道は憲法改正に通ずる

『三浦瑠麗』

 衆議院が解散されました。解散の噂が立ち始めたころからメディアをにぎわしているのは解散に「大義」があるかということでした。この時期の解散に、党利党略的な意味があることはもちろんそうでしょう。政権の支持率が回復傾向にあり、東京都の小池百合子知事の立ち上げた「希望の党」の準備も整っているようには見えないからです。野党は、「モリ・カケ問題」から逃げるため都合の良い解散であるとして批判しています。

衆院解散を表明した安倍首相の記者会見を伝える街頭テレビ=9月25日、東京・有楽町
 私は少し違う見方をしています。総理の解散権とは、政治のアジェンダセッティング(課題設定)を行う権力であると考えているからです。政治の最大の権力は、政治が答えるべき問いを設定することです。重要なのは問いへの答えではなくて、問いそのものなのです。民主政治においては、正しい問いが設定されさえすれば、一定の範囲内で落としどころが探られるものだからです。

ただ、既存の政治やメディアの中からはどうしても出てきにくい課題というものがあります。例えば、政治に携わる者のほとんどが中高年男性である日本において、子育てに関する問題は長らく家庭内の問題として処理され、政治課題になりにくかった。同様に、安全保障問題を臭いものとして忌避する傾向があり、国防について正面から取り上げる機運にも乏しい時代が続きました。

 時の政権が進めたい政策があれば、総理は国民の信を問うことができるのです。その時々において注目される政治テーマは、与野党の力関係やメディアの傾向によって決まってくるのだけれど、総理にはいったんそれをリセットする権力を付与する。それが、日本の民主主義のルールであり、慣習なのです。

 そうした中で行われた安倍晋三総理の会見は、良い意味でも悪い意味でも自民党の面目躍如でした。看板政策の「人づくり革命」において幼児教育の無償化を前面に出すのは、民進党や日本維新の会の看板政策を横取りしてのことです。経済政策を打ち出す際に、財源の話を持ち出すのも野党を牽制(けんせい)するためです。消費増税分を社会保障の充実に使うということで、財政は悪化します。2020年までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標は放棄せざるを得ません。そんな中、財政の裏付けのない、バラ色の政策提案がなされないように布石を打っているのです。

もう一つ、北朝鮮危機を前面に出すのは、野党共闘への影響を狙ってのことでしょう。民進党と共産党がスキャンダル追及の局面で協力することと、安全保障上の危機が迫る中で協力することはまったく意味合いが違うからです。当然、与党は愛国心カードを切ってくるでしょう。対応を間違えれば、「政争は水際まで」という民主国家の大原則を破ることになり、国民の信頼を決定的に失うことになるでしょう。

 ただ、解散の一番の目的は他にあると思っています。それは、憲法改正を実現するために公明党に圧力をかけること。言うまでもなく、憲法改正は第1次政権当時から安倍総理およびその周辺の宿願です。ところが、モリ・カケ問題が長引いたことで、永田町の改憲機運は随分としぼんでいました。官邸の中にさえ、政権維持に集中するためには、改憲の可能性を示唆する3分の2の議席は邪魔だと思っている人もいたそうです。

 総理周辺にとって最もいら立たしかったのは、公明党の姿勢だったのではないでしょうか。「衆院選が迫る中で改憲の発議は難しい」とか、「年限を切って改憲論議をすることは適切でない」とか、公明党は明らかに引け腰になっていました。本年5月に総理自らが表明した自衛隊明示の加憲案は、そもそも公明党に配慮してリベラルに歩み寄った穏健なものです。その改憲案からすら逃げるとは何事か、ということでしょう。今般の解散における総理周辺の本音は、9条を中心に据えた改憲案を明示した上で3分の2の議席を更新すること。その事実を公明党に突き付けて、改憲に向けた具体的な手続きを開始することだと思います。

もう一つ重要なのが小池新党の存在です。「希望の党」に対して総理が融和的な姿勢を示しているのも、小池知事が改憲支持の立場を明確にしたからではないでしょうか。「希望の党」はこれまでも存在してきた改革の「スタイル」を追求する党です。「日本新党」や「みんなの党」の系譜に連なります。寄せ集め集団で、たいした政策理念があるようにも見えない政党が、数年後に存続している可能性は限りなく小さいでしょう。

「希望の党」の結成会見に臨む小池百合子代表=9月27日、東京都新宿区
 であるからして、日本政治における中長期的な影響はほとんどないでしょう。ただ、今般の選挙において重要なのは、「希望の党」が自民党の票を食うのか、野党票を減らす方向に行くのかということです。それによって、憲法改正へ向けた具体的な動きが進んでいくかが見えてくるからです。小池知事の発言を見ていると、自公の間にくさびを打ち込む意図が明白であり、興味深い展開となっています。

 今般の選挙を指して、争点に乏しいという意見も聞かれますが、そんなことはありません。公明党に圧力をかけるにせよ、小池新党との距離感を模索するにせよ、全ての判断は改憲との関連性で下されるでしょう。まさに、全ての道は改憲に通じているのです。

【私の論評】希望の党もマスコミも数年後には、民進党のように破棄される?

三浦瑠麗氏
三浦瑠麗氏の、主張する今回の衆院選では「すべての道は憲法改正に通ずる」という主張は正しいと思います。

特に、「政治の最大の権力は、政治が答えるべき問いを設定することです。重要なのは問いへの答えではなくて、問いそのものなのです。民主政治においては、正しい問いが設定されさえすれば、一定の範囲内で落としどころが探られるものだからです」ところは大賛成です。

これは、政治の世界のみならず、マネジメントの世界でも同様です。特に、トップ・マネジメントには良く当てはまります。経営学の大家ドラッカー氏は次のように言っています。
重要なことは、正しい答えを見つけることではない。正しい問いを探すことである。間違った問いに対する正しい答えほど、危険とはいえないまでも役に立たないものはい。(現代の経営下P226)
ドラッカー氏は次のようにも語っています。
マネジメント、特に大組織のトップマネジメントは,予期せぬ失敗に直面すると,いっそうの検討と分析を指示する。(イノベーションと企業家精神P36)
問題が起きると検討とすぐに、分析を指示し報告書の作成を要求するということは,間違った問いに対する正しい答えです。

正しい問いは、報告書でも犯人探しでもなく、マネジメントが、外へ出て、よく見、よく聞くことです。そうすることによって、はじめて新たな、正しい問いができるようになるのです。
状況からの圧力は、未来よりも過去を、機会よりも危機を、外部より内部を、重大なものよりも切迫したものを優先する。(経営者の条件P149)
まさに、安倍総理は今回の解散で、正しい問いを発したのです。民進党は、正しい問いを発することもできず、今回の解散にうろたえ、結果として、民進党を廃棄する道を選んだのです。

三浦さんの主張で唯一賛同できないのは、「消費増税分を社会保障の充実に使うということで、財政は悪化します。2020年までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標は放棄せざるを得ません。そんな中、財政の裏付けのない、バラ色の政策提案がなされないように布石を打っているのです」という部分に関しては、賛同できないとこもあります。

それについて、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
民進は共産と共闘するのか 増税凍結提言で維新好機、準備不足が響く小池新党―【私の論評】消費増税凍結が争点となりえない裏事情(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に結論部分のみ引用させていただきます。
まずは、首相の今回の解散決断は、北朝鮮情勢の緊迫化、内閣支持率の好転、上の動画にも掲載されていたように、公明党の来年の池田大作氏生誕90周年に対する配慮など様々な要因が重なったための急ごしらえのものであるということがあります。 
そのため、政治的な駆け引きが必要な消費増税の凍結や再々々延期などは全く無理です。10%の消費増税は、2019年10月に実施されることはすでに法律で決まってることです。これを凍結ないし再々々延期するには法律を修正するか、新しい法律を国会で通す必要があります。 
そのためには、国会で消費税増税に反対する議員が多数派になっていなければなりません。無論、その前に安倍総理は自民党内をまとめる必要があります。
そもそもそのための政治日程など、組まれていませんし、白紙の状態にあると見て間違いないです。ちなみに他の野党・新党に至っては、たとえ言ってみたとしてみても、それを争点にして自党に選挙戦を有利にするまでの準備も何もない状況です。 
そうして、上の読売新聞の記事のプライマリーバランス2020年問題に関しては、安倍総理の単なる口約束のようなものであり、いつでも撤回できるものであり、これは安倍総理による消費税の分配という形を借りた財務省批判と見るのが妥当だと思います。一般の人はもとより、政治家ですらも気づかないでしょうが、財務省の高級官僚たちは気づいていると思います。
私達としては、政治家や一般の人々も含めて、いかに財務省が酷いことをしているのかを訴えていくことと、今回の選挙では、北朝鮮対応を第一に考えるにしても、その中でも経済に関してまともな認識を持っている議員を選ぶことに専念すべきと思います。 
そうして、安倍総理は選挙が終われば、憲法改正は無論のこと、消費税増税阻止に向けて着々と準備を開始すると思います。これは、ポスト安倍の政権運営にも必須です。もし、増税されてしまえば、増税後にはまた日本はデフレスパイラルのどん底に沈み、そのときの政権がいずれの政権であれ、政権運営はかなり困難になるのは目に見えています。
とにかく、準備も整っていない段階で、消費税凍結など口にしても、何の意味も持たないことから、今回の選挙では安倍総理は、増税先送りは争点にせず、財務省がいかにガツガツと金を溜め込んでいるかを批判することにしたと考えられます。ただし、希望の党がこれを争点にし、それが本当に勝敗を分ける争点になりそうになった場合には、「必ずしもあげるとは限らない」などと、安倍総理も消費税凍結を公約に掲げるかもしれません。

ただし、これ以外は、三浦氏の考えは、概ね正しいものと思います。そんなことよりも、もっと重要なのは、やはり三浦氏が主張している、すべての道は憲法改正に通ずるという点です。

自民党が次の選挙で、圧勝すれば「憲法改正」は実行しやすくなります、希望の党が躍進して、自民党が大きく後退したとして、小池氏は改憲支持の立場であることから、これも「憲法改正」から遠ざかることはなく、むしろ近づくことになります。

とにかく、どちらに転んでも、よほどのことがない限り、国政において改憲勢力が最大になる見込みです。今回、希望の党に合流する元民進党の議員らも、内心はどうかは別にして表だって「憲法改正」には反対できません。

これで間違いなく改憲そのものには道が開けるものと思います。マスコミも安倍憎しの一心だけで、単純に希望の党を応援するというわけにもいかなくなりました。そうして、次の段階では、具体的な改憲の内容が議論になるものと思います。

そうして、民進党が消え去ることは確定しました。民進党がなぜ消えざるを得なかったのか、その背景については実は以前このブログに何度か掲載したことがあります。その典型的なもののリンクを以下に掲載します。
民進「離党ドミノ」加速 長島昭久氏まで“離脱”も…ベテラン議員「蓮舫氏は負けても辞めない」―【私の論評】狂った民進党は破棄するしかない(゚д゚)!
離党を表明したときの長島昭久氏
詳細は、この記事を読んでいただくものとして、以下に民進党が消え去る運命であることを触れた部分だけ以下に引用します。

"
現在の民進党は、今のまま自己変革ができないというのなら破棄すべきです。これについては、経営学の大家ドラッカー氏の言葉を思い出します。

以下にドラッカー氏の『乱気流時代の経営』からの言葉などを掲載します。
長い航海を続けてきた船は、船底に付着した貝を洗い落とす。さもなければ、スピードは落ち、機動力は失われる。(『乱気流時代の経営』
 企業経営においてはあらゆる製品、あらゆるサービス、あらゆるプロセスが、常時、見直されなければなりません。多少の改善ではなく、根本からの見直しが必要です。

なぜなら、あらゆるものが、出来上がった途端に陳腐化を始めているからです。そして、明日を切り開くべき有能な人材がそこに縛り付けられるからです。ドラッカーは、こうした陳腐化を防ぐためには、まず廃棄せよと言います。廃棄せずして、新しいことは始められないのです。

ところが、あまりにわずかの企業しか、昨日を切り捨てていません。そのため、あまりにわずかの企業しか、明日のために必要な人材を手にしていません。

自らが陳腐化させられることを防ぐには、自らのものはすべて自らが陳腐化するしかないのです。そのためには人材がいります。その人材はどこで手に入れるのでしょうか。外から探してくるのでは遅いです。

成長の基盤は変化します。企業にとっては、自らの強みを発揮できる成長分野を探し出し、もはや成果を期待できない分野から人材を引き揚げ、機会のあるところに移すことが必要となります。
乱気流の時代においては、陳腐化が急速に進行する。したがって昨日を組織的に切り捨てるとともに、資源を体系的に集中することが、成長のための戦略の基本となる。(『乱気流時代の経営』)
これは、無論政治や政党の話ではなく、企業経営に関わるものです。しかし、組織ということでは原則は同じです。

政党組織でも、陳腐化してしまったものは破棄しなければならなのです。民進党もこの原則を貫くべきです。民進党にもそうしたことができる人材もいないことはありません。

長島氏や馬淵氏などその筆頭です。しかし、今回は長島氏が離党ということで、民進党は有為な人材を失ってしまいました。

今のままの民進党がこれからも続くというのであれば、国会でも、森友問題など、 もはや成果を期待できない分野に拘泥し、多くの議員が無駄などうでも良い仕事に拘泥するというようなことがこれからも繰り返されます。

そんなことを防ぐためにも、民進党は変わらなければなりません。しかし、それができないというのなら、今の狂った民進党そのものを破棄するしかありません。そうして、それは有権者が判断して実行すべきものです。私には、もはや自己変革のできない民進党には、有権者が引導を渡すべきと思います。
"
現状を見回せば、絶対に憲法改正に反対であるとか、安保法制にも絶対に反対というのでは、とても現在までの変化に対応しているとは言い難いです。彼らは、そのような考えは廃棄し、改憲すならこうすべき、安保はこうすべきと具体的な代案を出すべきでした。

しかし、彼らのやってきたことは、最初からどう考えても筋悪の森友・加計問題での安倍総理への個人攻撃や、与党攻撃です。ドラッカー氏の言葉をかりれば、森・加計問題に資源を体系的に集中し、他をおろそかにしました。

これにばかり拘泥し、いざ安倍総理が解散を口にするとうろたえ、そこに小池新党が旋風を巻き起こすと、それに乗るために、民進党を事実上廃棄するという道を選びました。今のままだと、有権者に破棄されてしまうことを肌で感じ取ったのでしょう。それだけは避けたかったので、希望の党に合流する道を選んだのです。

しかし、陳腐化された思想を持ったままの議員は、小池氏に合流を拒まれるかもしれません。古いものは、人でも、あらゆる製品、あらゆるサービス、あらゆるプロセスがいずれ必ず破棄される運命なのです。自ら破棄するか、自らが破棄されるしかないのです。

さて、今後小池氏と、希望の党はどうなるかといえば、やはり、三浦氏の語るように、寄せ集め集団で、たいした政策理念があるようにも見えない希望の党は、数年後には、役立たずとなり、廃棄されることになるのでしょう。

それにしても、民進党は、民主党時代を含めなければ、結党から2年もたっていないではないですか。非常に短命でした。古い体質のマスコミも予想もつかないところから、早期瓦解するかもしれません。数年後には、いくつかの会社の合併話などかもちあがっているかもしれません。

そうして、小池氏としては、そのときには憲法改正など何らかの成果を持って、自民党に返り咲き、総理大臣の座を目指すということかもしれません。あるいは、また新党をたちあげるのでしょうか。あるいは、旋風をこれから起こす新たな政党に移るのでしょうか。

しかし、そのようなことが許されるでしょうか。それほど、政治の世界は甘くはないと思います。

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民進党の蓮舫代表は、野田佳彦幹事長が東京都議選の敗北の責任を取って辞任することを受け、党役員人事に着手した。人心一新で求心力を回復したい考えだが、党勢低迷への反省が足りないとして代表辞任を求める声は根強い。離党や解党を模索する議員もおり、党崩壊の危機さえ漂う。

 「仙台市長選は、党の執行部が頑張ったという結果と違う。すみませんが『応援に入りたい』といわれたのもお断りした」

 民進党の桜井充参院議員=宮城選挙区=は25日の両院議員懇談会で、与野党対決の構図となった23日の仙台市長選で支援した新人候補の勝利に謝意を示しながらも、蓮舫執行部の求心力のなさを痛烈に批判した。

 桜井氏は発言後に両院懇を中座し、「都議選の総括文書を読む限り、全然反省は見えない」と記者団に対しても執行部批判を繰り返した。「(離党を含めて)仲間とこれからいろいろ考えたい」とも語った。

 離党届を準備する横山博幸衆院議員も両院懇後、「(離党は)最終的には個人判断だから、1日、2日よく考える」と述べた。

 両院懇では「蓮舫執行部は『新世代の民進党』というイメージはなく、旧世代の民主党という形だ」(宮崎岳志衆院議員)など党運営への批判が相次いだ。

 蓮舫氏は両院懇の最後に「勝てる政党にして政権交代を実現したい」と結束を呼び掛けたが、最大の「後見役」である野田氏を失う痛手は大きい。原口一博元総務相はさっそく「野田氏だけが辞めて済む話なのか」と牽制した。

 国会で内閣支持率が急落する安倍晋三政権を学校法人「加計学園」問題などで厳しく追及したところで、党の内紛が続けば反転攻勢は遠のくばかり。党の再生どころか、組織が溶解する危機さえある。

【私の論評】民進党は、自らの仕事の本質は何かを再定義せよ(゚д゚)!

民進党では、4月に憲法改正問題で細野豪志氏が代表代行を辞任したのに続き、6月7日、役員室長の柿沢未途衆院議員が辞表を提出しました。理由は、柿沢氏の妻である現職都議の幸絵氏が離党表明したためです。

前回の代表選で蓮舫氏を担いだ主流派から、離反が相次いでいます。

民進党・蓮舫代表の側近である柿沢未途氏が、党の役員室長の辞表提出後、 相次ぐ党幹部の辞任に、テレビ東京の取材で、蓮舫代表が周囲にこう漏らしたといいます。「もう限界だ…代表の仕事はもう飽きたよ」。

「もう限界」と漏らしつつも「飽きた」という表現を使うところがいやらしいです。あくまで代表としての実力不足が離党者の続出を生んだのに、その責任を回避するかのように「飽きた」という言葉を使っています。

蓮舫代表については森友・加計、日報問題と安倍政権の揚げ足取りに全力を尽くし、国民のための提案ができていない点をこのブログでも批判してきました。さらに個人的な二重国籍問題も炎上し、解決が図られないまま有耶無耶にされたっきりです。

柿沢未途氏はただの民進党議員ではありませんでした。蓮舫代表の側近だった人です。


身近な人間が党を離れるということは代表を見限ったということです。これまで信頼して重要なポジションを任せてきたのに窮地に陥っている状態で辞められたのです。蓮舫代表の精神面が追い詰められるのも当然といえば当然でした。

柿沢未途氏は言葉少なくも謝罪の意を表していました。色々な関係者に対しての謝罪なのでしょう。

朝日新聞には、以下のような内容の記事もありました。
「どうせ民進党はなくなる」幹事長辞任…内部にも解党論
辞意を表明した野田幹事長
 民進党の野田佳彦幹事長が自らの辞任を表明した。党内の反対論を押し切って幹事長に起用した蓮舫代表にとって大きな痛手だ。野田氏周辺は「外からでも(蓮舫氏を)支えられる」と話すものの、党勢回復の道筋はなお見えず、解党論がくすぶる党内ではリスクを抱えた再出発となる。
 民進党本部であった25日の両院議員懇談会。野田氏は「多くの皆さんから党のガバナンスの問題を指摘された。ガバナンスは幹事長の責任だ」などと述べた。

 東京都議選直後の3日の記者会見では、早々と続投の意向を表明。心配する側近議員から「辞任したほうがいい」と促されても、「蓮舫体制を支えるにはここで辞めるわけにはいかない」と明言していた。

 一転したのは、11~18日の都議選総括の会議。執行部刷新を求める声が相次ぎ、蓮舫氏の「二重国籍」問題も再燃。解党論をぶち上げた議員に野田氏が反論すると、「幹事長失格だ」と面罵された。
民進党の支持率を低迷させまくった蓮舫代表は結局何の成果も出すことができませんでした。組織の崩壊は内部から始まります。最も内情を知る者が辞め始めた民進党の瓦解はもはや止められないようです。最近では、自民党の支持率の低下ばかりがクローズアップさますが、民進党の低下も著しいです。


それにしても、なぜこのようなことになったのでしょうか。それは、結局のところ民進党内では、誰が正しい、誰が間違いという不毛な議論ばかりが行われているからです。

それは、党内部の問題だけではなく、国会運営にも如実に現れています。民進党の国会ではの活動は、安倍政権や安倍総理個人を攻撃するものです。

まさに「安倍政権がー」「安倍総理がー」というものがほとんどです。何が正しい、何が間違いという観点はなおざりにされ、この論点ばかりで、国会で質問をするというか、糾弾ばかり繰り返しています。

彼らは、こうした体質が染み付いてしまい、習い性となり、党内でもそのような論議ばかりするようです。やれ、蓮舫代表が正しい、誰が間違い、誰が正しいという、不毛な論議の落とし穴に嵌っているのです。これでは、正しい意思決定などできるはずがありません。

意思決定においては何が正しいかを考えなければならないです。そうして、どのような意思決定にも、相手や制約があるからこそ、ある程度の妥協はやむを得ないです。しかし、やがては妥協が必要になるからこそ、最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならないのです。

中途半端に頭の良い人、しかも責任感のある人は、せっかくの意思決定も実行されなければ意味がないと思います。そのため、最初から落としどころとしての妥協を考えます。

しかし、妥協には2つの種類があるということを知るべきなのです。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基づくものです。前者では半分は必要条件を満足させます。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用となります。半分の赤ん坊では妥協にもなりません。

半分のパンは食用になるが半分の赤ん坊では妥協にもならない
何が受け入れられやすいか、何が反対を招くから触れるべきでないかを心配することは無益であって、時間の無駄です。心配したことは起こらず、予想しなかった困難や反対が突然ほとんど対処しがたい障害となって現れることになります。

何が受け入れられやすいかからスタートしても得るところはありません。それどころか、妥協の過程において大切なことを犠牲にし、正しい答えはもちろん、成果に結びつく可能性のある答を得る望みさえ失うのです。そうして、八方塞がりになるのです。

政治の世界での意思決定のほとんどは妥協の産物です。しかし、この妥協が曲者です。妥協するにも正しい妥協と、間違った妥協があることは上ですでに述べました。民進党は、間違った妥協を繰り返し、結局多数の半分の赤ん坊を得るはめに至り、失敗を繰り返しているのです。この落とし穴から抜け出さない限り、民進党は立ち直ることはできません。

たとえば、蓮舫代表が辞任するというのも妥協です。しかし、たとえ蓮舫代表が辞任したとしても、それだけで民進党の党勢が回復するようなことはありません。民進党の体質の何かを変えなければならないはずです。そのこともせずに、蓮舫氏がただ辞任したとしても何も変わりありません。

そもそも、民進党はご存知のように、バラバラです。これをまず解消しなければならないです。あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向づけ、努力を実現するには、「われわれの事業は何か。何であるべきか」を定義することが不可欠です。

無論、「事業=ビジネス」というと、民間企業のことであり、政党などの組織とは関係ないと思われてしまうかもしれません。しかし、それは違います。特に米国では、政治のせかいでもビジネスという言葉を使いますし、学校や、非営利企業などでも用いられます。

要するに、遊びではなく、仕事という意味と考えるべきです。民進党は、自分たちの仕事は何か。何であるべきなのか」を自問して定義すべきなのです。

これは、当たり前のように見えても、実際にやってみるとそうではないし、非常に困難だし、時間もかかることがわかると思います。

しかし、これを行わない限り、民進党はバラバラのまま瓦解するしかありません。今の民進党は、このような本質に取り組まず、不毛な論議を繰り返し、半分の赤ん坊という妥協にもならない妥協を繰り返しているだけです。今のままだと、社民党のような政党になるのは目に見えています。

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2017年7月21日金曜日

雇用確保の実績が上げられず…連合、民進離れと政権接近のウラ―【私の論評】連合という支持基盤を失う民進党はまもなく消滅(゚д゚)!

雇用確保の実績が上げられず…連合、民進離れと政権接近のウラ

高橋洋一 日本の解き方

会談前、連合の神津里季生会長(左奥)と握手する安倍晋三首相=先月24日午後、首相官邸
 連合の神津里季生(こうづ・りきお)会長が安倍晋三首相と会談し、専門職で年収の高い人を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」について、働き過ぎを防ぐ対策を手厚くする修正を求めた。安倍首相は条件を受け入れたことで、高プロに強く反対してきた連合が容認に転じる方向だという。このタイミングで政権と連合が接近した背景を考えてみたい。

 高プロの対象となる人は、特定高度専門業務(金融商品の開発業務、ディーリング業務、アナリスト業務、コンサルタントの業務、研究開発業務などを厚労省省令で規定)に従事し、使用者との合意で職務が明確に定められている。


 賃金額は平均賃金額の3倍を相当程度上回る水準以上で、具体的には年収1075万円以上を想定している。これらの人には、労働時間に関する規定が適用されず、残業という概念がなくなる。

 国税庁の2015年度民間給与実態統計調査によれば、この水準に入るのは全体の4%程度である。しかも、この数字は、会社役員をも含む数字であるので、労働者に対する割合はもっと低くなるだろう。年収基準は今後引き上げられるだろうが、平均賃金額の3倍を上回るという法律で規定されている基準がある。名目的な金額は引き上げられても、実質的に一部の高額賃金サラリーマンであるのは変わらない。全体に占める割合も今とさほど変わらず、数%程度であろう。

 それにも関わらず、一部マスコミではあたかもすべての労働者に適用されるかのような報道ばかりだった。「残業代ゼロ」とのマスコミのネーミングで、正しく問題を認識できない人が多いのだ。

 ちなみに「残業代ゼロ」の代わりに、「年収1000万円以上の人については、時間外労働の所得税課税が100%になる」といえば、反対する人もいなくなるだろう。

 実を言えば、これまでの日本でも、(1)労働基準法上の管理監督者(2)企画業務型裁量労働制(3)専門業務型裁量労働制がある。

 (1)は年収700万~800万円とされ、労働基準法による労働時間の規定が適用されない。(2)と(3)は、対象者の年収制限はないが、実労働時間にかかわらずあらかじめ決めた労働時間を働いたものとみなす。

 もちろん、欧米でも労働規制の適用除外がある。欧米における適用除外対象者の労働者に対する割合は、米国で2割、フランスで1割、ドイツで2%程度といわれている。

 こうしてみると、高プロの導入は世界から見れば当たり前、むしろ適用対象が少ないくらいだ。

 さすがに連合も、理不尽に高プロに反対し続けるのは無理と判断したのだろう。安倍政権が、就業者数の増加、失業率の低下、有効求人倍率の上昇など、過去の政権の中でもトップクラスのパフォーマンスを上げているのも大きい。連合から見れば、民進党より雇用の確保の実績では安倍政権のほうが頼りになるのだ。一方、民進党は雇用確保の実績が上げられず、情けないものだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】連合という支持基盤を失う民進党はまもなく消滅(゚д゚)!

ブログ冒頭高橋洋一氏の記事では、「最後に安倍政権が、就業者数の増加、失業率の低下、有効求人倍率の上昇など、過去の政権の中でもトップクラスのパフォーマンスを上げているのも大きい。連合から見れば、民進党より雇用の確保の実績では安倍政権のほうが頼りになるのだ。一方、民進党は雇用確保の実績が上げられず、情けないものだ」としめくくっています。

確かにそうです。たとえば、世界的にみれば、安倍政権の実行してきた金融緩和策は、雇用を改善するものとして、労働組合や左派が賛成する政策です。

縦軸にインフレ率(物価上昇率)、横軸に失業率をとったときに、両者の関係は右下がりの曲線となるという経験則が昔から知られています。そうして、この曲線をフィリップス曲線と呼びます。

フィリップスが初めて発表した時は縦軸に賃金上昇率を取っていましたが、物価上昇率と密接な関係があるため、縦軸に物価上昇率を用いることが多いです。

これは、短期的にインフレ率が高い状況では失業率が低下し、逆に失業率が高いときはインフレ率が低下することを意味しています。(インフレーションと失業のトレードオフ関係)。つまりフィリップス曲線とは、短期において「失業率を低下させようとすればインフレーションが発生」し、「インフレーションを抑制しようとすれば失業率が高くなる」ということを表した曲線です。

以下に日本のフィリップス曲線を掲載します。無論日本でもこの関係は成り立っています。


期待インフレ率が上昇すると、名目賃金には硬直性があるため、実質賃金(=名目賃金/予想物価水準)が低下します。完全雇用が達成されていない短期においては、この労働力価格の低下を受けて雇用量が増加し、失業率が減少します。その後に実質賃金もあがるようになります。

民進党などはこのからくりを知らないので、日銀が金融緩和をして実質賃金が下がったことをもって、「緩和しても実質賃金が下がっている」などと頓珍漢な批判をしていました。事実は「金融緩和すると雇用が増えて一時実質賃金が下がるの」のは正常なことです。金融緩和の効果があったということです。

さらに単純に言えば、日本のようなある程度人口の多い国で、金融緩和策でインフレ率を数%上昇させることができれば、その他は一切しなくても、たちどころに数百万の雇用が創設されます。

無論、雇用のミスマッチなどはありえますが、とにかく雇用が生まれるのは間違いありません。フィリップス曲線は、無論日本でも成り立っています。これは、否定しようのない現実です。

期待インフレ率と失業率の間には右下がりの関係が描けるのです。そして一般に、期待インフレ率が変化すると実現するインフレ率もそれに応じて変化するため、実現したインフレ率と失業率の間においても右下がりの関係が表れることとなります。

その他にも、不完全情報モデル等様々に導かれる総供給曲線を、オークン法則と組み合わせることなどにより、フィリップス曲線を得ることが出来ます。

このように、金融政策と雇用には密接な関係があります。日本ではなぜかこのことがほとんど認識されておらず、そのことを認識しているのは、政治家では安倍総理とその側近などを含むほんの少数派です。


しかし、欧米ではこのことは良く理解されていて、雇用が悪化すると多くの人々は、まずは中央銀行の金融政策を問題視します。日本では、雇用が悪化すると、厚生労働省の問題とされますが、それは全くの見当違いです。

雇用枠そのものは、はあくまで、日銀が確保すべきものであって、その確保された雇用枠内で、雇用のミスマッチなどを解消するのが、本来の厚生労働省の役割です。厚生労働省は雇用そのものをを生み出すことはできません。

このことを全く理解していないのが、多くの政治家です。自民党の政治家らもほとんど理解していないのですが、安倍総理を含む少数は理解しており、だからこそ、金融緩和をおしすすめ、雇用が劇的に改善して今日に至っています。

金融緩和などの施策は、海外では労働者の雇用を促進するということで、労働組合や左派が推進する政策です。

民進党は安倍政権にお株を奪われた形です。民進党はこのことを理解しているのは、馬淵議員と、金子洋一元参議院議員のみです。

それにしても、雇用が悪化したときの金融緩和は、過去において何度も実施されてきて、成功してきた施策です。このように過去に確かめられてきた確実な施策を実行するという点では、何かを改革しようというときに、ウルトラCをするというのではなく、確実で堅実な手を打つということでは、安倍総理はまさに保守中の保守ということができると思います。ただし、2014年春からの消費税増税は大失敗でした。しかし、雇用を劇的な改善したということでは、大成功です。

こうした安倍政権に対して、民進党は金融緩和と雇用との間には密接な関係があるなどということは、全く知らず、安倍政権や金融緩和策に対して、不毛な批判や頓珍漢、奇妙奇天烈な論議を繰り返すばかりでした。

さて、上の記事では、連合から見れば、民進党より雇用の確保の実績では安倍政権のほうが頼りになるとしていますが、まさにそのとおりです。このままでは、連合は民進党から離れるということも十分に考えられます。

今年3月12日、民進党の定期党大会が行われ、代表の蓮舫氏は「2030年代の原発ゼロ」という目標の前倒しについて基本法案を作成する方針を表明しました。また、次期衆議院議員選挙に関して「政治人生すべて懸け、民進党で政権交代を実現したい」と語ったことが広く報じられました。

3月12日、民進党の定期党大会にて
民進党のエネルギー政策については、安倍晋三政権との差別化を図る意味でも脱原発の推進が基本路線ですが、「30年代」あるいは「30年」と定める原発ゼロ方針には、最大の支持母体である日本労働組合総連合会(連合)の反発もあり、そのゆくえが注目されていました。

「30年代」から「30年」に目標を前倒ししたい蓮舫氏に対して、傘下に全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)を抱える連合が「政権担当力に逆行する」と猛反発する構図です。2月には、連合に配慮するかたちで蓮舫氏が党大会での原発ゼロ方針の具体的な表明は断念するという報道もあったのですが、結果的にはこれが打ち出されました。

これでは、連合は蓮舫氏にまた騙されたといって良いです。蓮舫代表は、「30年に原発廃止、を撤回する」ということで一度は話をまとめた連合の顔に泥を塗ったのです。

蓮舫代表は、約束を反故にして党大会で言及しただけでなく、「法案までつくる」と明言しました。これは連合に対する完全な裏切り行為です。支持母体をないがしろにして独断で物事を進める先には、連合の民進党離れもあり得るでしょう。

すでに、民進党内でも動きが出ていました。党大会後、最大会派の旧維新グループが、蓮舫氏と原発政策で同調する江田憲司氏を中心とするグループと松野頼久氏を中心とするグループで分裂したのです。

そもそも、連合はかねて共産党を含む野党共闘に対して反発しており、最近は自民党寄りの姿勢も見せ始めています。一方、民進党は各県連や支部において連合や労組の施設を間借りしているケースがあり、仮に連合が民進党を見限れば追い出される可能性もあるでしょう。


連合は、旧民社党を支持する労働団体である全日本労働総同盟(同盟)と、旧社会党を支持する労働団体である日本労働組合総評議会(総評)の2大団体が合流するかたちで1989年に誕生しました。一方、連合に加盟していない全国労働組合総連合(全労連)は共産党系の労働組合です。

連合と全労連は対立してきた歴史がある上、旧民社党は反共産主義をうたっていました。そのため、一昨年の民共共闘の時点から連合は強く反発しており、大きなアレルギー反応を示す人が多かったのです。

蓮舫氏と連合といえば、昨年10月の新潟県知事選挙をめぐって一悶着ありました。連合新潟が与党系候補を支援し、民進党は「自主投票」とする中、蓮舫氏が突如野党系候補の応援演説に駆けつけ、連合の反発を招いていたのです。

いずれにせよ、連合と民進党の関係悪化がさらに進むことは濃厚です。今後、民進党は連合の組織票を期待するのは難しいでしょう。依然として民進党支持を打ち出すのは、全日本自治団体労働組合(自治労)や日本教職員組合(日教組)など従来の3分の1以下になる可能性もあります。

連合会長の神津里季生氏は、党大会で民進党との対立報道について「真摯に議論を重ね、それぞれにそれぞれの方々が真剣に意見を交してきたものであると理解しております」と説明、「責任ある対応を引き継がれることが、国民の期待とつながるものであると考える」「支持率が急上昇するような秘策はないと思います」と政策に釘を刺す一方、「私たちにとっては民進党しかありませんから」とも語っていました。

しかし、連合が民進党を応援し続けたにしても、今後何のメリットも期待できません。最近安倍内閣の支持率が低下しているものの、民進党の支持率も落ちており、さらにはコツ会では不毛な森友・加計問題の追求をするばかりで、まともな政策論争など期待できません。

そもそも、雇用に関する視点が狂っており、この状況も改善される見込みは全くありません。であれば、連合のような労働組合からすれば、支持をしたとしても、何のメリットもないわけですから、これ以上民進党との関係を続けていてもまったく意味がありません。

連合の神津里季生会長は、民進党にまかせていれば、今回の「高プロ」制度も、ただ反対するばかりで、良いことは一つもないと判断したのでしょう。だからこそ、自ら安倍総理と会談して、条件つきで「高プロ」を認める意思を直接伝えたのでしょう。

これから、このようなことが増え、徐々に連合は民進党から離れていくのでしょう。そうして、最大の支援基盤を失う民進党は破滅することになります。

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2017年6月12日月曜日

野党“歓迎”もヤブ蛇か…加計「文書」追加調査、「疑惑の8枚」ニセモノなら「偽メール問題」再来―【私の論評】文書調査で安倍政権に塩を送った民進党とマスコミ(゚д゚)!

野党“歓迎”もヤブ蛇か…加計「文書」追加調査、「疑惑の8枚」ニセモノなら「偽メール問題」再来

「加計文書」の再調査を明らかにした松野文科大臣
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、政府が「総理のご意向」などと書かれた「文書」の追加調査を決めた背景には、国民の批判が高まっていたことに加え、東京都議選(7月2日投開票)への懸念もあった。政権攻撃にはずみをつけたい野党だが、再調査で、思わぬ結果が出てくるとの見方もある。

 「徹底的に調査をするよう指示した」

 安倍首相は9日夕、首相官邸で記者団にこう語った。

 文部科学省は先月19日に「文書の存在は確認できない」と発表し、野党や一部メディアによる再三の調査要請に対しても、菅義偉官房長官は「文科省において検討した結果、調査を行う必要はない」と繰り返した。

 しかし、「文書」を「怪文書のようなもの」とし、存否を明らかにしない政府に国民の批判は高まった。文科省の前川喜平前事務次官や現役職員が相次いで「文書」などの存在を認め、与党内からも政府の調査に疑問を投げかける声が出たことで、方針転換を余儀なくされた。

 都議選への悪影響を懸念する声も強かった。自民党は小池百合子東京都知事に対し、「決められない知事」というネガティブ・キャンペーンを展開し、ようやく奏功してだけに、文書問題が尾を引くのを避けたいところだった。ある自民党都連関係者は「『文書』問題は旧態依然とした自民党の象徴と受け止められ、投票先を決めていない無党派層に大きな影響を及ぼす」と危機感を示す。

 実際、小池氏は9日の記者会見で、情報公開と公文書管理に関する都条例を改正したことに触れ、「基本的に記録は残す。必要な資料があるかどうかは、(公文書管理を)きちんとしておけば資料として残るべきものだ。調査の必要があるときには、それに答えるのが普通だ」と述べ、『文書』をめぐる国会でのゴタゴタを皮肉っている。

 ただ、今後の調査が野党ペースで進むかどうかは不透明だ。菅氏は9日の記者会見で、調査結果の公表時期については明言しなかった。そして、「当初報道された文書等について、出所や入手経路が不明なものであって信憑(しんぴょう)性もよくわからない文書であった」と加えることも忘れなかった。

 官邸に近い永田町関係者は「そもそも『文書』が出てきても、行政がゆがめられた事実はなく、何も問題ない。次々と明らかになるメールや文書は省内で共有されたものであり、恐らく本物だろう。だが、最初に出てきた8枚の『文書』について、誰が作成したものか今もわかっていない。仮に文科省以外で作成されたニセモノであれば、野党や一部メディアにとっては『偽メール問題』の再来となる。国会閉会後に公表された場合、野党は追及の場を失う」と語っている。

 ヤブをつついて何が出てくるのか。

 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、政府が「総理のご意向」などと書かれた「文書」の追加調査を決めた背景には、国民の批判が高まっていたことに加え、東京都議選(7月2日投開票)への懸念もあった。政権攻撃にはずみをつけたい野党だが、再調査で、思わぬ結果が出てくるとの見方もある。

 「徹底的に調査をするよう指示した」

 安倍首相は9日夕、首相官邸で記者団にこう語った。

 文部科学省は先月19日に「文書の存在は確認できない」と発表し、野党や一部メディアによる再三の調査要請に対しても、菅義偉官房長官は「文科省において検討した結果、調査を行う必要はない」と繰り返した。

 しかし、「文書」を「怪文書のようなもの」とし、存否を明らかにしない政府に国民の批判は高まった。文科省の前川喜平前事務次官や現役職員が相次いで「文書」などの存在を認め、与党内からも政府の調査に疑問を投げかける声が出たことで、方針転換を余儀なくされた。

 都議選への悪影響を懸念する声も強かった。自民党は小池百合子東京都知事に対し、「決められない知事」というネガティブ・キャンペーンを展開し、ようやく奏功してだけに、文書問題が尾を引くのを避けたいところだった。ある自民党都連関係者は「『文書』問題は旧態依然とした自民党の象徴と受け止められ、投票先を決めていない無党派層に大きな影響を及ぼす」と危機感を示す。

 実際、小池氏は9日の記者会見で、情報公開と公文書管理に関する都条例を改正したことに触れ、「基本的に記録は残す。必要な資料があるかどうかは、(公文書管理を)きちんとしておけば資料として残るべきものだ。調査の必要があるときには、それに答えるのが普通だ」と述べ、『文書』をめぐる国会でのゴタゴタを皮肉っている。

 ただ、今後の調査が野党ペースで進むかどうかは不透明だ。菅氏は9日の記者会見で、調査結果の公表時期については明言しなかった。そして、「当初報道された文書等について、出所や入手経路が不明なものであって信憑(しんぴょう)性もよくわからない文書であった」と加えることも忘れなかった。

 官邸に近い永田町関係者は「そもそも『文書』が出てきても、行政がゆがめられた事実はなく、何も問題ない。次々と明らかになるメールや文書は省内で共有されたものであり、恐らく本物だろう。だが、最初に出てきた8枚の『文書』について、誰が作成したものか今もわかっていない。仮に文科省以外で作成されたニセモノであれば、野党や一部メディアにとっては『偽メール問題』の再来となる。国会閉会後に公表された場合、野党は追及の場を失う」と語っている。

 ヤブをつついて何が出てくるのか。

【私の論評】文書調査で安倍政権に塩を送った民進党とマスコミ(゚д゚)!

さて、「加計文書」といえば、やはり最初に朝日新聞に掲載されたあの8枚の文書が最大のものです。

これは、サイトからも入手できるので、以下にその8枚の文書全部を掲載します。

【5月17日付け朝日新聞の記事、加計学園「総理ご意向」文書全八枚】

以下の文書はクリックすれば拡大し、よりご覧いただきやすくなります。
一枚目

二枚目

三枚目

四枚目

五枚目

六枚目

七枚目

八枚目

この文書はどうみても、正式な公文書ではないことはあまりにもはっきりしすぎています。なぜなら、文書番号、発信者、発信部署、宛先、あるいは進達先など、公文書として体裁を満たす要素がことごとく欠けているからです。

そうして、文科省が調べた文書とはあくまで公文書のことを言っているのだと思います。前川をはじめとする文科省側は、公文書ではないものの、文科省の官僚などの一部で共有していた文書であり、間違いなく存在するというということを言っていると考えられます。

そうして、結論から言ってしまうと、この文書をもとに総理を辞任に追い込めるということにでもなれば、以前このブログに掲載したように、民間企業では代表取締役は無論のこと、従業員全員を解雇することも可能ということになります。

なぜなら、会社内で社内の公文書ではない、不特定多数の人々に流通している資料などの文書をもって、代表取締役を辞任に追い込もうとしたしても、それは証拠にはならないからです。

これが、社内の公文書に、代表取締役が明らかに何らかの犯罪に関与していることをうかがわせる記載があることが明らかになった場合は、代表取締役は辞任に追い込まれることもあり得ます。

しかし、公文書でないものにそのような記載があった場合には、それは証拠とはなりません。これとともに、明らかに犯罪に関与していることを示す別の証拠が必要になります。それがあれば、代表取締役を辞任に追い込むこともできます。

しかし、公用文以外の文書のみをもって代表取締役を辞任させることはできません。それは、社会の常識です。

だから、元々いわゆる加計文書をもって、安倍総理を辞任に追い込むことなど、無理筋なのです。これで、安倍総理を辞任に追い込めるというのなら民間企業においては、代表取締役を辞任させるのは容易いことです。重議員も簡単に解雇できます。今回他の加計文書もその後でてきたメールなども似たり寄ったりの代物です。

サイトで、様々な捏造説が語られているメール
このあたりは、以前もこのブログに掲載したことです。しかし、松野文科大臣が「加計文書」の再調査を明らかにしたことをもって事態は急展開したと思います。

この意味するところは、公文書だけではなく、官僚が私的に保存している文書や電子メールを調査できるということです。

これで、どのようなことが考えられるかといえば、文部省内の官僚の公用ではない部分まで、チエックすることが可能になったということです。

これは、文部大臣や官邸からすれば、今までにはあり得なかったかなりの部分まで様々なことが明るみにだされる可能性があります。

現在までのところは、官僚らに公文書の提出などはもとめることができました。これは、官僚も拒むことはできません。何しろ、文部省内の公文書なのですから、これを提出することを拒めば、業務規律違反ということになります。

しかし、公文書以外の文書はあくまで、官僚の任意に任されたものと考えられます。しかし、今後はそうではないということです。公文書以外の文書もチエックされることになります。

現在の文書はそのほとんどが、コンピュータによって作成され、コンピュータに保存されます。そのため、コンピュータに保存されている文書が調査の対象になります。

そうなると、何がおこるかといえば、今回の加計問題に関与している官僚は、証拠を隠蔽するために都合の悪い文書や、電子メールを削除すると思います。

しかし、この削除というのが曲者で、たとえ削除したとしても、それは何らかの形でパソコンの記憶装置に残っています。そうして、文書だろうと電子メールであろうと、それはほとんど100%回復することができます。たとえば、マイクロソフト・ワードの文書は削除しても100%回復することができます。

たとえ、ファイルを削除してゴミ箱を空にしたとしても、ダンプファイル等はまだパソコンのHDDに残されています。これをもとにファイル復元を実行し、消えたファイルを復元することができます。

その方法は、ここで詳細は述べませんが、そのやり方が掲載されているサイトのリンクを以下に掲載しておきます。


これは、マイクロソフト・ワードの回復手順ですが、これは無論のこと他のドキュメントや電子メールなども、これに類似した方法ですべて回復することができます。

そうなると、官僚もしくはその配下のコンピュータの文書を丸裸にできるわけです。それを調べていけば、役所内の非公式のコミュニティーに迫ることができます。

そうなると、加計問題に関して、前川全次官と関わりのあつた者、関わり方の内容などすべて明らかになります。

これに関しては、従来はプライバシーの問題などもあって、なかなかできなかったと思いますが、野党や一部メディアによる再三の調査要請があったし、しかもその様子がテレビで放映しています。

そうなると、文科省としては、大手を振ってこのような調査に踏み切ることができます。さて、文書や役所内の非公式のコミュニティーなどが丸裸になった場合何がおこることでしょう。

例年、通常国会が閉じると、中央省庁の人事異動が行われます。官邸は内閣人事局の創設で幹部の人事を掌握し、霞が関に睨みを利かせてきました。かつての役人天国とは違い、普通の民間会社と同じように、官邸の方針に逆らえば左遷などの懲罰、官邸の方針に従って努力すれば、昇進などの報奨というアメとムチを効かせているのです。

当たり前の人事で官僚機構を支配下に置き、政治主導を貫こうというのが、安倍総理の考えです。かつては政権を潰すほどの力も持っていた財務省も一部軍門に下ったようです。ただ、財務省も何とかこれに抵抗しようと、様々な手を打っています。

実際、自民党の野田毅氏と村上誠一郎氏が16日に立ち上げた「アベノミクス批判」の勉強会は、財務官僚が裏から手をまわしてつくらせたものだとみられています。

この勉強会の真の目的は、公約通り安倍首相に消費税増税を実施させることでしょう。驚いたのは、自民党議員が約60人も参加したことです。野田さんも村上さんも、一匹狼のような存在で、自分で人を集めるようなタイプではないし、あの2人が声をかけても簡単には人が集まらないはずです。60人も集まったのは、財務省が裏で動いたからだと考えられます。



このように、官僚は頭の悪い政治家を、利用して、少しでも自分たに有利に事を運ぼうとします。しかし、これは本来あってはならないことです。官僚はどんな場合でも、本来は政府の方針に従うべきなのです。なぜなら、官僚は選挙によって選ばたわけではないからです。政治家は、有権者の信託を受けている存在だからです。

政治家は、政策に失敗すれば、それこそ選挙で敗北して、政治家でさえいられなくなる可能性もあります。これに対して、官僚はよほどのことがない限り、辞任させられるなどということはありません。財務省をはじめとする、各省庁は政府の下請けに過ぎないのです。

下請けが、親会社をさしおいて、会社の方針や規範を勝手に決めるわけには行かないのです。官僚がどうしても、政治に関与したいというのなら、官僚をやめて国政選挙に立候補すべきなのです。官僚でありながら、国政の方針を決めることはできないのです。

今回の加計問題も、背景は同じことです。前川をはじめとする文科官僚は、民進党やマスコミを利用して、少しでも自分たちの失った失地を回復しようとしているだけです。これが加計問題の本質です。民進党や、マスコミは安倍政権を追い込めれば、かつて批判していた官僚とだって平気で手を組むのです。

しかし、ここにきて、官邸は強力な武器を手に入れたわけです。そうです。文科省内の、非公式な文書を閲覧し、非公式なコミュニティーの真相に迫ることができるようになったのです。

これに関しては、私は、は官邸により意図して、意識して実行されたのではないかと思っています。

6月8日の記者会見で菅官房長官が改めて加計学園問題の文書を調査する予定はないと強調しました。

この以前に文科省の職員から「文書があった」というような証言がありましたが、これについて菅官房長官は「私はうそだとは言っていません。文科省において検討した結果、出所や入手経緯が明らかにされていない文書については、その存否や内容などの確認の調査を行う必要がない」と述べ、調査する必要性がないと発言しました。

その後も記者から相次いで質問を受けますが、「いや、(文書の)存否や内容など確認を・・・必要ないと判断した」などとコメントし、判断した理由を追求されると言葉に詰まる場面もありました。


これは、普段の菅官房長官の発言や、立ち居振る舞いなどと比較すると、あり得ないことです。私は、これは菅官房長官が意図して意識して行ったのではないかと睨んでいます。

こうすることによって、文科省の官僚どもの私的な文書を調査し、非公式なコミュニティーの内容を把握できるようにし、文科省をまともな省庁につくりかえるきっかけにしようとする腹なのだと思います。問題のある文科官僚を左遷したり、降格したりするにしても、明確な証拠とともに行えば、ぐうの根も出ません。

さて、これで日本の強力な官僚機構にも、小さな穴があけられそうです。最初は小さくても、だんだん大きくしていけば良いのです。

この穴は、最初は小さくても、だんだん大きくなり、いずれ財務省を含む他の官庁にも及び、真の政治主導が日本でも当たり前になるかもしれません。

今回の調査では、文科省内の非公式コミュニティーと、民進党との関係とも明らかになるかもしれません。そうなると、場合によっては、第二の『偽メール』問題に発展するかもしれません。

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2017年6月7日水曜日

「蓮舫氏は公人を辞めるべきだ」 “二重国籍”解消公表した自民・小野田紀美氏に直撃―【私の論評】すでに泥舟に成り果てた民進党(゚д゚)!


小野田氏(写真)は、説明責任から逃げ続ける蓮舫氏を一刀両断した 写真はブログ管理人挿入
 自民党の小野田紀美参院議員(34)が5月19日、自身のツイッターやフェイスブックに「国籍についてのご報告」として、米国籍の喪失証明書が届いたことを画像付きで投稿し、「二重国籍」状態が解消されたことを堂々と公表した。一方、「二重国籍」問題を抱える民進党の蓮舫代表は5月25日の記者会見で、戸籍謄本を公開する考えが「ない」と改めて強調した。2人の対応には、政治家として「天と地」ほどの差を感じる。夕刊フジは小野田氏を直撃した。(夕刊フジ)

 「なぜ、蓮舫氏は戸籍謄本を公開しないのか。公人にプライバシーはない。それを主張するなら公人を辞めればよい」

 小野田氏は、こう言い切った。自身の「二重国籍」を認識して以降、必要な解消手続きを素早く、透明性を持って進めた自負があるようだ。

 蓮舫氏は昨年9月の代表選の期間中、「二重国籍」が発覚した。日本国籍の選択宣言をしたと主張しているが、台湾籍離脱を含めた証拠となる戸籍謄本の開示は「個人的な件」として拒否している。

 小野田氏は、蓮舫氏の態度に「怒りを覚える」といい、続けた。

 「自民党本部からは『戸籍謄本まで公開しなくていい』といわれたが、私はそれでは国民の方々の信用は得られないと思った。逆の立場なら、私は信用しない。国会議員である以上、『日本に命を投じられる』ことを証明しなければならない。私のように海外にルーツがある人間は当然です」

 そもそも、蓮舫氏は民主党政権下で「二重国籍」のまま行政改革担当相を務めた。国益に沿った判断がされたのか、疑問を持たれても仕方ない。

小野田氏は「現在の国籍法と公職選挙法には、国籍に関する不備がある。国際結婚が増えるなか、『二重国籍』問題に直面する人は多くなる。こうした人々が困惑しないよう制度改正に尽力していきたい」と語っている。

【私の論評】すでに泥舟に成り果てた民進党(゚д゚)!

2011年当時の蓮舫氏

民進党の蓮舫代表が党幹部が集まる会合で、二重国籍問題について正直な心中を語っていたことが分かっています。それは、以下の週刊誌の記事です。


これぞまさしく蓮舫代表の本音といったところかもしれません。表向きは勘違いと手続きミスがあったとして営業スマイルで謝罪していたのですが、本音では全く悪いと思っていなかったようです。その理由は国民にも党関係者にも直接迷惑をかけていないからというもののようです。

そもそも二重国籍はなぜ問題なのかといえば、それは日本と外国とでは、利益が相反する場合があるからです。実際、日本と台湾との間には明らかに利益が相反しています。それについては、以前このブログにも述べたことがあります。その記事のリンクを掲載します。
「尖閣は台湾のもの?」“二重国籍”蓮舫新代表が知っておくべき日本と台湾の対立点―【私の論評】南京・尖閣問題で台湾は決して親日ではない(゚д゚)!
民進党代表決定の名前を呼ばれる直前にハンカチで目頭を押さえる 蓮舫新代表=昨年9月15日
詳細は、この記事をご覧いいだくものとして、この記事では、台湾と日本の利益が相反する部分を掲載しました。それは、主には、台湾は南京虐殺問題では大陸中国と同じような主張をしていること、尖閣諸島は台湾領であると主張しているということです。

それと、台湾には現在でも大陸中国に親和的な人が大勢います。当然のことながら、こういう人たちとも日本は利益が相反するとろが多々あります。こうした利益相反のある国の国籍を有していた、そうして現在でもそれがどうなったのか、明らかではない蓮舫氏は、日本の野党第一党の代表にはふさわしくありません。

二重国籍の問題をはっきりさせるつもりがないのなら、ブログ冒頭の記事で、小野田紀美参院議員が主張するように公人をやめれば良いのです。

蓮舫代表の考えでは手続きで手間をとらせた台湾駐日代表部にだけ申し訳ないと思っているらしいです。そしてトドメの台詞は「他に何か問題があるんですか?」。支持率を低迷させたにもかかわらず方針を変えようとしない蓮舫代表に民進党幹部たちはうんざりのようです。

さらに記事にもある通り、ベロベロに酔っ払って「私は役人より勉強している」などと吹聴していたといいます。所詮週刊誌の記述ですから、どの程度信頼性があるかはわかりませんが、いかにも蓮舫氏らしいです。

今月の6月1日の定例記者会見でもとんでもない発言をしていました。



記者の「民進党の支持率が共産党を下回っています。今後の狙いは?」という質問に対して、蓮舫氏は、「狙いはありません。とにかく頑張っている仲間を応援する。これに尽きると思います」と応えていました。
リーダーシップを発揮して組織を正しい方向に導くのではなく、ただ頑張るという方針のみ。これでは成果は出るはずもありません。
また、記者の「昨日、安住代行が小池知事に対して二重党籍と批判されていました。小池都知事の判断について蓮舫代表はどのように判断しているでしょうか?」という質問に対しては、「二重」という言葉を耳にした途端、動揺して瞬きが増えていました。
そうして、蓮舫氏の答えは、「うん…私が判断するものではないと思います(笑)メディアの皆さまの判断じゃないでしょうか」というものでした。
攻撃は慣れているのに防御はめっぽう弱いのが蓮舫代表の特徴のようです。蓮舫代表の大した根拠もなしにむやみやたらに他人を攻撃する様子は非常に高感度を下げており、ただのヒステリーというイメージがつきまといます。蓮舫代表といえば眉間にしわを寄せ、不自然な話し方で揚げ足取りをしている様子が真っ先に連想されます。
このように、国会での答弁の仕方もまともではない蓮舫氏ですが、それでも経済対策などについてまともな見識を持っていれば、良いのですが、それもありません。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!
日銀と政府をあわせた統合政府ベースでは今年は借金どころか、日本政府は貸金になる
 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、これ記事ではね蓮舫氏の経済対策は無効であるどころか、有害であることを掲載しました。

蓮舫氏は消費増税を安倍晋三政権が2度も延期したことが間違いだと思っているようです。デフレを完全に脱却しないまま緊縮財政を実行すれば、ますますデフレ脱却から遠のくことになります。金融引き締めと緊縮財政の組み合わせでは、実体経済を痛める可能性が極めて高いです。雇用の確保ができないばかりか、GDP(国内総生産)ギャップが拡大して、デフレに逆戻りし、賃金も上がらないことになります。

いま求められているマクロ経済政策は、金融緩和と積極財政であるが、蓮舫氏の政策は真逆の方向のようです。万一これが実行されたなら、景気低迷と失業率上昇に見舞われ、雇用改善もぶち壊しとなります。

蓮舫氏はこのことを全く理解していないようです。あれだけ、国会で舌鋒鋭く安倍総理や自民党を責め立てても、支持率は低迷するばかりです。

朝日新聞の最新世論調査では、安倍政権の支持率が大きく上昇し 52%、他紙の世論調査でも支持率5割超です。


直近の他社のランダム抽出による世論調査結果を見ると、
      
日経 56 %
http://www.asyura2.com/17/senkyo226/msg/522.html
   
JNN 54.4 %
http://www.asyura2.com/17/senkyo226/msg/793.html


              
以上の通り直近の世論調査で、朝日も日経もJNNも安倍政権の支持率は5割越えとなっています。

連日ワイドショーや週刊現代など下世話なメディアで、安倍政権への言われないバッシングが続いています。

そんな中で安倍政権の支持率は5割超と高い状態です。

これは、外交、経済などの安倍政策の成功を多くの国民が評価している表れと言えるでしょう。
  
一方、政党支持率は、自民が37%と変わらず民進党は8%と相変わらずの1ケタ台で野党第一党として落第です。

安倍政権がバッシングを受けても、なぜここまで民進党は支持されないのでしょうか。
   
結局民進党は口汚く安倍政権をののしり、印象操作をするだけです。この痴態では民進党の支持率は大きく上がるはずもありません。
      
民進党は政権の批判というよりは、政権を口汚く罵る行為を続けています。最近、蓮舫代表は、安倍総理と同じ空気を吸うのがつらいなどと発言。辻元清美は、「安倍晋三の顔を見るだけでいやになる」などと発言しました。

蓮舫発言など、とてもまともな公党代表とは思えない、ただのいじめ発言です。悪口、印象操作。これが今の民進党の実態であり、これだからこそ民進党の支持率は1ケタ台と低いのです。

このような罵詈雑言をはくくせに、自らの二重国籍問題に関しては、明らかにしないどころか、ほとんど責任すらも感じていないような蓮舫氏が民進党の代表です。もう、民進党は泥舟に成り果てたと言っても良いです。後は、沈没するだけです。

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2017年6月2日金曜日

民進党正気か…特区廃止案提出へ 規制改革に反対鮮明、次は天下りあっせん禁止廃止か―【私の論評】安倍総理への憎悪だけが党を纏める唯一の手段になった民進党(゚д゚)!

民進党正気か…特区廃止案提出へ 規制改革に反対鮮明、次は天下りあっせん禁止廃止か

写真はブログ管理人挿入 以下同じ
安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画をめぐり、民進党は5月31日、国家戦略特区を廃止する法案を提出する方針を固めた。特区の適用を停止し、政府に施行後2年以内に特区廃止を含めて検討するように義務づけるという。来週にも参院に提出するというが、識者からは「規制改革に反対するのか」などの指摘も出ている。

 民進党の桜井充参院議員が同31日、「加計学園疑惑調査チーム」の会合で明らかにした。民進党は最近、加計学園をめぐる「文書」や、文部科学省の前川喜平前事務次官の爆弾発言などを取り上げ、一部メディアと歩調を合わせて安倍政権を追及中で、さらに対決姿勢を強める方針のようだ。

 そもそも、国家戦略特区は「岩盤規制」を打破し、産業の国際競争力を高めるため、2013年12月に整備された。地方の活性化も狙う。

 これに対し、民進党の玉木雄一郎幹事長代理は「極めて恣意(しい)的な規制緩和」と断じた。廃止法案という対案を出すことで、「批判に明け暮れている」というイメージを払拭したいとの思いも見え隠れする。

 ちなみに、玉木氏は獣医学部新設に反対していた「日本獣医師会」の政治団体「日本獣医師政治連盟」から100万円の政治献金を受けていた。

 民進党綱領には「既得権や癒着の構造と闘う、国民とともに進む改革政党」とあるが、法案提出は、この“立派な綱領”に反するのではないか。

 嘉悦大教授の高橋洋一教授は「特区廃止法案を出すのが事実であれば、『民進党=規制改革に反対』というスタンスが明確になる。特区廃止は、規制緩和による新規参入を認めないということであり、官庁の許認可が重要になってくる。つまり、『天下り容認』と表裏一体だ。旧民主党政権では、天下りあっせん禁止の運用を骨抜きにしたこともある。論理的に考えると、次に天下りあっせん禁止を廃止する法案を出してもおかしくない」と話している。

【私の論評】安倍総理への憎悪だけが党を纏める唯一の手段になった民進党(゚д゚)!

平成13年には、海江田民主党(現民進党)が賛成し、本会議場での賛成討議で安倍総理にエールを送っていた国家戦略特区を廃止しようとは、民進党もとうとう切羽詰まってきたようです。

このブログでは、海江田氏が代表だった頃の民主党にも批判をしましたが、それにしても、現在の民進党から比較すれば、随分まともだったように思います。

当時の民主党(現民進党)代表 海江田万里氏
国家戦略特区に関しては、このブログでも以前とりあげたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
ねじれ解消後の今国会は与党内の「産業政策」派vs.「規制緩和」派を反映する産業競争力強化法案と国家戦略特区法案の行方に注目せよ―【私の論評】官僚主導の産業政策で成功したためしは、一度もない成功したのは引き伸ばし戦略のみ\(◎o◎)/!
アベノミクス効果!? 2%目標パッドつき トリンプ「“ブラノミクス”
ブラ」 三本の矢で女性の自信浮揚 (2013/05/09) の記事画像
この記事は、2013年10月23日のものです。結局この年に国家戦略法案が決まったわけですが、これは良かったと思います。この記事にもあるように官僚による「産業政策」は過去にほとんど成功したためしはありません。

官僚による「産業政策」が成功したのは、日本ではいわゆる「ひきのばし戦術」だけであり、官僚が積極的に関与したものは全部失敗です。この記事からそれについて掲載した部分を以下に引用します。
日本の官僚は、自ら積極的に主導して産業政策を実施した場合は、必ず失敗してきたか、やってもやらなくても同じという結果でしたが、ドラッカー氏の語るように、先送り戦略では二度も大成功しています。
明治初期の農民
その一つが、全近代的な農業人口の都市部への流入です。これに関しては、これへの対応が重要であることが叫ばれたにも関わらず、官僚は何もせず、結局何もせずにおいたことが大成功を収めました。 
その次が、前近代的な流通システムの改革です。これに関しては、流通業界は全容は誰も知らず、暗黒大陸といわれていた時期もあり改革が叫ばれましたが、官僚は結局ここでも何もせず、ダイエーやイトーヨーカドーのような流通の革新者が現れ、それらが、次々と革新を起きない、改革が進みました。現在の日本の流通業界は、革新され、諸外国と比較しても遜色のない程度になっています。これは、最近のコンビニの活躍を見ても、皆さんにも良くご理解いただけるものと思います。
戦前の米商人
そもそも、官僚が産業政策を主導するなどという考えは、高橋洋一氏も上で述べられているように、欧米にはその概念はありません。もともと、産業とは政府が直接関わって、実施すべきものではなく、あくまで、インフラの整備に徹し、その上で実際に動いて、産業を振興していくのは、民間企業の役割であるという考え方です。
インフラの整備は政府の重要な仕事、しかしその上で実際に活動するのは民間企業
インフラといった場合、道路、空港、港湾、ライフラインなどがありますが、その他にも、たとえば、法律の制定、それこそ、規制の撤廃、逆に規制の強化なども含まれます。また、このようなことは、民間企業がなかなかできるものではなく、政府が実施すべきものです。しかし政府がそのインフラの上で展開される事業に直接関わってしまっては、共産主義と同じで失敗するだけてす。 
このような観点からしても、上で述べている高橋洋一氏の主張は正しいです。政府が産業政策の主導権を握るようであれば、大失敗するだけです。規制緩和などのインフラ整備に徹するなら、成功する可能性は高まります。 
この記事にも述べているように、官僚が「産業政策」を立案して実行して成功したことは日本は無論のこと、古今東西ありません。それが成功するというのなら、共産主義も成功したはずです。しかし、皆さんご存知のように共産主義はことごとく失敗しました。

その意味では、官僚による産業政策ではなく、規制緩和の一環である、国家戦略特区法案がこの時点で成立したことは良かったことだと思います。

国家戦略特区は簡単に言うと、「これまで変えたくても変えられなかった、時代遅れだったり陳腐化してしまっている制度を、一部の地域で実験的に変えてみようよ」というものです。



そうして、「国家戦略特区」の最高責任者は総理大臣です。特区による規制緩和は、いろんな省庁の持っている、既得権益や制度に穴を開けていくことになるので、総理の権限が必要になってくるのです。

その総理の「無意味な規制に穴を開ける」という意志をくんで、省庁に対して「頑張って規制を緩和しよう」というのは、職務範囲から逸脱することではないですし、むしろ頑張ってやらないとできないことです。

「国家戦略特区」は、この国に溢れる意味のない規制を改革する、唯一と言って良い武器です。にもかかわららず、意味不明な加計学園問題によって抑制されて、改革の武器を失ってしまうのは、国益を失うことと同義です。

我が国には無意味で陳腐化した制度が溢れています。その制度も、当初は意味がありましたし、善意にもとづいて制定され、それを制定する際の熱い想いがありました。

しかし、時をたつにつれて意味は失われ、新しいものが生まれることを阻む岩盤のような障壁になってしまいました。

特区制度は、「そもそもこの規制は何のために存在するのか」と改めて問える道具なのです。そして、「もう意味ない。じゃあ、こうしてみようよ」と実験ができる道筋なのです。さらに、 「この地域でうまくいったのだから、全国に広げようよ」と言うことが可能になる制度なのです。

特区は東京圏を中心に、愛知県や関西圏など、全国約10カ所が指定されています。以下に特区にしてされている地域を示す地図を掲載します。



この特区で認定されている事業は240にも及びます。例えば沖縄県の国家戦略特区は、高度医療提供事業の推進となっています。当然、これに基づいた施設(豊見城中央病院に新規の病床18床を整備)がある訳ですが、これに伴う医療ツーリズムが企画されており、特区廃止ということになれば、患者に「でていけ」と言うことになりかねません。

確かに、特区制度がその地域で機能しなくなった時にこれを廃止する手順が定められていない点には疑問を感じる。それに、特区がやたらと増えてしまうと、法規制そのもの実効性が問われる事になりかねず、慎重な運用が求められるのは事実です。外資誘致を積極的に行うという考えにも、危機感を覚えるところもありますが、かといって、こうした実験的な運用はスピード感が重要であるので、手続に5年も10年もかかっていては話にならないです。

こうした事を考え合わせると、民進党の法案の中身が未だ明瞭ではないので、議論できない状況ではあるものの、改正ということではなく、特区案廃止案ということなので、今の段階でも、常軌を逸しているとしかいいようがありません。

それにしても、この民進党の特区廃止案提出のきつかけにもなった、前川前文部次官の会見ですが、この会見を含めて、マスコミの報道も異様です。

前川氏は、文科省の天下り調査報告に59回も名前を連ねています。それを「正義の味方」であるかのように、報道すること自体が異様です。あの会見には、当然のことながら、前川氏自身の私憤、私怨が含まれていると解釈すべきであり、マスコミもそれを報道すべきでした。この報告書は、以下のリンクからご覧いただくことができます。

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/04/19/1382987_04.pdf …

普段は、官僚の天下りに厳しいマスコミであるにもかかわらず、天下り帝王ともいうべき前川氏には異様な優しさです。本当なら、天下り斡旋を組織ぐるみでしていた事務次官は懲戒解雇・退職金8000万円なしでも不思議でありません。格別の温情で、依願退職扱いにした政府側も、前川氏に激怒するのは当然だと思います。

私憤、私怨を制御できなかった前川前文科次官?
形式的には、依願退職であったとしても、少なくとも退職金は自主返納させるべきと本来ならマスコミはこれを批判すべきです。本当に、マスコミは節操がないです。

それと、国家戦略特区などの規制緩和と天下りの関係についてもマスコミは一切報道しません。特に、規制緩和派は天下りに厳しく、規制擁護派は天下り容認ということを報道しません。前川氏は後者の典型例です。今週週刊誌が前川氏は勇気ある告白者と報道しましたが、前川氏はコテコテの天下り推進論者です。これは、従来の週刊誌主張と真逆です。メディアは本当に節操がないです。

そうして、民進党は、まるで韓国の反日活動が日本への憎悪だけが、国を纏める唯一の手段であるかのように、安倍総理への憎悪だけが党を纏める唯一の手段になってしまったようです。過去との矛盾がある事に疑問を持たず、誰も反対せず、戦略特区に指定され喜んでいる地方自治体や地域住民、地道に努力に努力を重ねている事業家など、その全てを敵に回す覚悟があるのでしょうか。次の選挙が楽しみです。

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