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2020年7月21日火曜日

今こそ5Gからファーウェイを締め出すとき— 【私の論評】今日の英国の行動は、まさに中国の将来を予感させるもの!(◎_◎;)

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岡崎研究所

今年の1月、英国のボリス・ジョンソン首相は、5G通信網へのファーウェイの参入について、核になる重要な通信網からは除外する、35%以下の制限をつける、という条件付きで、それを容認した。当時、それを聞いたトランプ大統領が激怒したというニュースが流れた。


米国では、2019年5月に、ファーウェイは安全保障上好ましくない企業として商務省のリストに登録され、大統領は、同社との取引を原則禁止する大統領令に署名した。更に、今年の5月15日、米国は、ファーウェイへの部品供給元である台湾の「台湾半導体製造会社(TSMC)」のアリゾナ州への工場誘致と、ファーウェイへの制裁強化を発表した。

6月30日、英デジタル・文化・メディア・スポーツ大臣のダウデン氏は、議会において、英国は将来的にファーウェイを5Gに使用しないだろうと述べた。これは、米国のファーウェイへの制裁を受けての英国の政策転換であった。英国政府高官は、セキュリティ上信頼性が低くなったファーウェイを使用するわけには行かなくなったと説明する。

この件に関し、英国の秘密情報部(MI6)の元長官ジョン・サワーズが、7月5日付の英フィナンシャル・タイムズ紙で、ジョンソン首相がファーウェイの英国からの締め出しを決めたが、全ての西側の民主主義国家が中国のより攻撃的手法に対し、団結して断固たる態度で臨むことが肝要である、と述べている。

サワーズの論説の見出しは、「英国は、その5G網からファーウェイを締め出すべきである」(The UK should bar Huawei from its 5G network)であり、最初の部分はファーウェイを中心に論じているが、途中から最近の中国のより攻撃的な対外手法に論点を移している。論説は中ほどで、「全ての西側民主主義国家が、中国のより攻撃的な手法に対し、団結して断固たる態度で臨むことが肝要である」と言っているが、これが、論説が一番言いたかったことであろう。

サワーズは、論説の中で、過去6か月で過去6年よりも習近平主席の中国が分かった、と述べているが、最近、中国の対外関係でのより攻撃的な手法が目立つ。

南シナ海でのベトナム漁船への攻撃、中印国境での中国兵のインド軍への攻撃などがあったが、香港での国家安全維持法の制定もその一環と考えてよいだろう。

このような攻撃的な手法は最近「戦狼外交」と言われている。「戦狼」とは、2015年と 2017年に中国で大ヒットしたアクション映画シリーズのタイトルで、国内外の敵から中国の国益を守る戦いに身を投じる戦士を意味するらしい。中国の環球時報は4月に欧米に戦いを挑む中国の「戦狼外交官」を称賛したという。習近平はこのような攻撃的な対外手法を今後とも続けるのではないか。

それに対して、西側諸国は、サワーズの言うように、団結して断固たる態度で臨む必要がある。そして中国が攻撃的な対外手法を続けることが中国にとって得にならないことを知らしめることが重要であろう。

今や世界第2の経済大国となった中国と関係を持たないわけにはいかない。これは貿易面のみならず、投資面においても言えることだろう。要は中国に対する過度の依存が政治的リスクを伴うものであることを常に自覚して行動することが必要であると思われる。

【私の論評】今日の英国の行動は、まさに中国の将来を予感させるもの!(◎_◎;)

ここのところ、英国は矢継ぎ早に、中国への対抗措置を打ち出しています。

今月、19日に英国は、中国西部・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のイスラム系少数民族に対する中国政府の対応に「吐き気を催すような甚だしい人権侵害」があると非難し、「深い憂慮」を表明しました。 人権団体や専門家は、ウイグル人をはじめとするチュルク語(Turkic)系の少数民族100万人超が拘束され、各地の強制収容所群に収容されているとみています。

中国の劉暁明駐英大使は19日朝、BBC番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演し、新疆ウイグル自治区でウイグル人が目隠しをされて列車に乗せられている様子に見えるドローン映像を見せられて、「何の映像か分からない」と述べのべました。 劉大使はさらに、中国政府が新疆ウイグル自治区でウイグル人女性の不妊手術や妊娠中絶を強制しているという現地報道を否定しました。

ドミニク・ラーブ(Dominic Raab)英外相は、新疆ウイグル自治区で強制不妊手術や大量拘禁が行われているとの報告に、もっと国際社会が注目する必要があると主張し、「吐き気を催すような甚だしい人権侵害が行われているのは、明らかだ」「深く、深く憂慮している」とBBCに語りました。

今月14日付の英紙タイムズは、空母「クイーン・エリザベス」を中核とする空母打撃群が来年初め、初の本格任務として極東に派遣される計画が進んでいると、英軍高官らの話をもとに報じました。

2017年に就役した「クイーン・エリザベス」は、全長約280メートル、排水量約6万5000トンで、英海軍史上最大級の艦船。艦橋が前後に2つある特殊な形状をしています。自衛隊も導入する垂直離着陸可能な最新ステルス戦闘機「F35B」を運用します。

英国が、東アジアを含めたグローバルな安全保障にコミットする姿勢として大きな意味を持池ます。『クイーン・エリザベス』は、海上自衛隊最大のヘリコプター搭載型護衛艦『いずも』より大きく、米海軍の原子力空母『ロナルド・レーガン』よりは小さいスケールです。

クイーン・エリザベス
人権や民主主義の本家である英国が見せた今回の果敢な対応は、歴史的な一歩です。次は、フランスやドイツなど欧州の他の先進国の姿勢が問われるでしょう。これまで尻込みしていた国も、米英に追随するケースも出てくるはずです。中国が反発して報復に出れば、かえって国際社会から見放されることになるでしょう。

英国がこのような姿勢に転じたのは、なんといっても香港の問題があるでしょう。中国が6月末、香港に施行した国安法は、中英共同宣言で保障した2047年までの「高度な自治」に明確に違反するものです。香港の旧宗主国である英国をはじめ、米国や日本など先進7カ国(G7)は事前に、国安法導入に「重大な懸念」を伝える外相共同声明を発表していたが、中国はまったく聞く耳を持ちませんでした。

ボリス・ジョンソン英首相は今月初め、統治時代に香港市民に発行した「英国海外市民(BNO)旅券」の保有者を対象に、英市民権を付与する道筋をつける意向を表明しました。英国は、香港で中国に理不尽な思いをさせられたので、覚醒したと言えるでしょう。

それ以前の英国は、中国とのビジネス関係を失いたくなかったせいでしょうか、かなり歯切れの悪いものでしたが、完璧に吹っ切れたようです。

ボリス・ジョンソン英首相
昨年、トランプ大統領が、中国経済に大きなボディブローをくらわし、習近平を土俵際まで追い詰めたところで新型コロナウイルスが起こりました。トランプの経済制裁により、殆どの中国の産業の輸出がストップし、中国不動産バブルも弾け始めています。中国経済はやがて崩壊すると多くの人が言っています。

しかし中国共産党はしぶとく、簡単には崩壊しないでしょう。習近平はコロナウイルス災害を逆手に取り、形勢の挽回に動き出しました。こうした疫病によるショックを封じ込むのは、情報統制をし、人民を犠牲にする全体主義的な中国共産党国家の方が民主主義国よりやり易いです。

中国はコロナウイルスを封じ込めるために、徹底した都市のロックダウンをし、ITにより個人の行動管理を実行しました。キャシュレスの支払い記録、スマートフォンによる個人の位置情報と全国に張り巡らせた監視カメラ網による顔認証のデータをもとに感染を終息させつつあるといわれています。

4月8日に武漢の都市封鎖を解除し、中国は、いち早くコロナウイルスを退治したので,まだコロナウイルスと闘っている国ぐにを助けるとして、マスク外交や医師団を派遣するという大キャンペーンを繰り広げており、その情報戦を繰り広げています。

習近平は素早く中国内では最早奴隷同然のウイグル人をも動員して、中国の産業の生産開始の号令をかけました。中国はコロナウイルスが発生しても、半導体と通信機器の生産は中断することなく稼働を続けてきました。

こうして中国はこのコロナウイルスを逆手に取って、米国の覇権の座に迫ろうとしていると見るべきです。リーマンショックの時も、中国は、間髪を入れず4兆元を投下し、結果的にこれで輸出を伸ばして貿易黒字として米ドル3兆ドルを獲得し、この資金で中国は「一帯一路戦略」を進めたのです。それにより中国は米国に挑戦できるという自信を得たのです。

米中がデカップリングしても、中国は14億人の市場を持っており、その中で新しい生産・市場関係を創り、経済を維持することができるでしょう。更に一帯一路でアジア、ヨーロッパ、アフリカを取り込み、版図を更に拡大していく可能性があります。

しかし、習近平が恐れているのはトランプが仕掛けようとしてる「米国による中国在米資産の凍結」、「米国の中国に対するコロナウイルス災害に対する賠償訴訟」、「在中国の日本企業とアメリカ企業の中国からの引き上げ」、「米国株式市場に上場している中国企業の上場廃止」等々です。

そこにきて、今回の英国の動きです。この動き、日本はもとより、EU諸国もいずれ巻き込むでしょう。そうして、トランプ氏の対中国制裁に追づいすることになるでしょう。

そしてこれは、「共産党の内部の抗争」、「中国の民衆の政府への反乱」へと結びつくことになるでしょう。

共産党内部の抗争は間違いなく激化します。中国共産党員のほとんどは、共産党員になることにより、中国では最も重要な人脈を得られるから入党します。なぜ人脈が必要かといえと、もちろん金儲けのためです。

この人脈が曲者で、ある特定の人物が失脚すると、それに連なる人脈も同じく失脚するというのが常です。そうして、習近平の失政により、財産を凍結されたりして実害を受けた共産党員は、習近平に恨みを抱くことになるでしょう。

金の切れ目が、縁の切れ目です。そのような共産と幹部が増えるに従い、中国共産党の統治の正統性は崩れていくことになるでしょう。そうなれば、民衆の反乱につながることになります。

そうして、中国共産党は崩壊することになるかもしれません。そうでなければ、米国は、中共を経済的に弱体化させ、少なくともソ連崩壊後のロシアのような状態にまで弱体化させることになるでしょう。

崩壊直前のモスクワ。物資不足のためどこへ行っても行列が目立った

かつての、ソ連は日本に追い越されるまで、GDP世界第二位でした。今日のロシアのGDPは、韓国もしくは、東京都と同程度の水準です。10位以内にすら入っていません。

現在は、復活しましたが、軍事費も日本のそれを下回ってる時もあったほどです。ただし、そうは言いながら、現在のロシアは、旧ソ連の核と軍事技術やノウハウを継承しているので、決して侮ることはできません。旧ソ連の核弾頭は、今でもロシアに温存され、いつでも発射できます。

しかし現在の状況では、ロシアが一国で、大規模な軍事作戦を遂行したり、米国のように効果のある経済制裁などはできません。今では、米国抜きのNATOとも戦争はできないでしょう。すれば、負けます。

旧ソ連は、第二次世界大戦に勝利して、当時の東欧等から様々な資産を奪い、特に東独から多くの科学者を連れてきて、彼らに軍事や宇宙開発、民生品の開発をさせ、経済発展をしました。これは、50年代の米国の経済学者によって暴露されました。

その経済学者によると、ソ連の経済は簡単すぎるほど簡単で、投入=算出でした。50年代でも、他国の資源や技術を奪い続け、多くの資源を投入することによって、経済発展していたのです。つまり、何の付加価値もつけずにただ、投入されたものを算出するだけの経済だったのです。

この意味するところは、放置しておいても、ソ連経済は崩壊するということでした。その後のソ連は、体質的にあまり改善されることなく、崩壊しました。

ソ連邦の人口は、最大で約3億でした。今日のロシアは1億4千万人です。これに比して、中国の人口は、現在約14億人ですから、先にも述べたように、中国は自国の経済だけでも十分成り立つ可能性があります。

ただし、ソ連は、第二次世界大戦直後から他国から奪って資源で、経済的にも超大国になり、それだけでなく、強大な軍事力を用いて、自らの経済圏を作り、他国の資源を簒奪したり、今の中国と同じく、他の先進国の技術を剽窃し、しばらくは超大国として経済発展を続けることができました。

しかし、中国は違います、当初は発展途上国であり、最近GDPを伸ばして、国全体では世界第二のGDPを達成しましたが、一人当たりのGDPでは、英国にも及びません。さらに、致命的なのは、「一帯一路構想」は未だ、構想の段階であり、それに向けての準備はなされていますが、旧ソ連のように、他国の富を簒奪できるような状況ではありません。逆に、現在は様々な国々に投資をする方が多いです

例えば、スリランカのハンバントタ港が2017年7月より99年間にわたり中国国有企業・招商局港口にリースされています。これは、中国がスリランカに投資をして、それをスリランカ政府が返すことができず、借金の方として、中国に取られたようなものです。

これでは、一見中国丸儲けのように見えますが、ハンバントタ港を所有している事は、利益にはなりません。この港が金のなる木であれば、スリランカをそれを手放すことはあり得ません。では、どうなるかといえば、管理費が嵩むだけの話です。これでは、何の富も生み出しません。

中国の国際投資は、国際投資の常識(自分の国よりはるかに経済発展している国に投資すると儲かる)を知らないためか、このようなものばかりです。

この状況で、米国から経済冷戦を挑まれ、さらに英国などの国々も次々とこれに同調すれば、中国も旧ソ連と同じ運命を辿ることは想像に難くないです。

今日の英国の行動は、まさに中国の将来を予感させるものです。

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2020年1月17日金曜日

プーチン院政への布石か 経済低迷のロシア、政治経験ゼロのミシュースチンが首相に―【私の論評】プーチン院政は、将来の中国との本格的な対峙に備えるため(゚д゚)!


   ロシア下院は16日、内閣総辞職したメドベージェフ首相の後任としてプーチン大統領が指名した
   ミシュースチン連邦税務局長官(左)を賛成多数で承認した。2017年4月撮影

ロシア下院は16日、内閣総辞職したメドベージェフ首相の後任としてプーチン大統領が指名したミシュスチン連邦税務局長官(53)を賛成多数で承認した。これを受けプーチン氏はミシュスチン氏を正式に首相に任命した。

投票結果は、賛成383票、棄権41票。反対票はなかった。

ミシュスチン氏は連邦税務局のトップを務めた経験があるが、政治経験はほとんどない。首相に抜てきされるまで知名度は低かった。同氏は近く新内閣の組閣人事を発表すると明らかにした。

プーチン氏は15日、首相を含む政府の要職選定の権限を議会下院に移管することなどを柱とした「政治制度の大幅な改革」を表明、議会の権限強化に向け憲法改正を提案した。

新首相の任命を含め、今回の一連の改革は20年来政治を支配してきたプーチン氏が2024年の任期満了後も影響力を保持するための布石とみられる。

こうした中、ロシアの有力紙コメルサントは16日、プーチン氏の改革を「1月革命」と評した上で、今後さらに多くの変革が続くとの見通しを示した。

突然の内閣総辞職からわずか1日で新首相が誕生したことで、プーチン氏は、数年にわたる緊縮財政措置や年金受給年齢の引き上げなどに対する国民の不満に耳を傾けているということをアピールできる。

欧米諸国による制裁や原油価格の下落で国内経済が低迷するなか、国民の批判の矛先は2012年から首相を務めていたメドベージェフ氏に向かっていた。

実質賃金はここ5年下落し続け、政権支持率も落ち込む中、プーチン氏の支持率にも影響が出るとの懸念が浮上していたと専門家は分析する。

【私の論評】プーチン院政は、将来の中国との本格的な対峙に備えるため(゚д゚)!

プーチンは何のために、院政をするのでしょうか。それは、外交は全くの素人であり実績のないミシュースチン氏を首相に据えたとということで、予測することができると思います。

1966年生まれのミシュスチン氏はシステム工学を学んだ後、経済学の分野で博士号を取得した。税制改革には手堅い実績のある人物です。

プーチン氏は国内政治に関しては、ミスチュスチン氏にまかせて、様々な改革を実現させようとしているのです。さらに、ミスチュチン氏は仮に改革に失敗したとしても、面倒な後ろ盾等もなく、容易に取り替えが聞く人物でもあるのでしょう。

そうして、プーチンは院政を敷いて、自らは国際政治を主に担当しようとしているとみて間違いないでしょう。その国際政治の最優先順位は無論隣国の中国でしょう。

はやい話が、将来本格化する中国との対峙に備えて、それに取り組みやすい最善の体制を築いたのです。

中露の関係は、現在まるでロシアが中国の属国であるかのような状況になっています。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国の属国へと陥りつつあるロシア―【私の論評】ロシアの中国に対する憤怒のマグマは蓄積される一方であり、いずれ、中国に向かって大きく噴出する(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
 エリツィンは、プーチンを改革者であると考えて後継者に選び、自分の家族を訴追などから守ってくれることを期待した。
 プーチンは、後者の役割は義理堅く果たしたが、ユーラシア主義者として欧米に対抗する路線をとった。そういう経緯で、プーチンは必然的に中国に近づいた。それが今の中露の蜜月関係につながっている。 
 しかし、プーチン後は、この蜜月関係が続く可能性よりも、ロシアの指導者が欧米重視主義者になり、この蜜月は続かない可能性の方が高いと思われる。 
 プーチン政権の上記のような傾向にもかかわらず、中露間にくさびを打つという人がいるが、プーチンがいる限り、そういうことを試みてもうまくいかないだろう。北方領土で日本が妥協して、中露間にくさびを打つことを語る人もいたが、ピント外れである。

 7月27日付の英エコノミスト誌は、ロシアが中国の属国になってきていると指摘している。その指摘は正しい。ロシアがそれから脱したいと思う日は来るだろう。そうなったときには、ロシアとの関係を考える時であろう。
プーチンはロシアがこのまま中国の属国になってしまうことを、潔しとはしていないはずです。 ただし、中国はつい最近人口が14億人を超えましたが、ロシアの人口は1億4千万人に過ぎません。経済に関しては、現在のロシアは東京都なみのGDPしかありません。

だからこそ、ロシアは中国に対する不満はあるものの、属国的地位に甘んずるしかないのです。そうして、プーチン自身も自分の目の黒いうちは、この状況は変わらないと考えていたでしょう。

しかし、昨年あたりからこの状況は大きく変わってきました。そうです。米国による対中国冷戦が過激さを増してきたのです。もはや米国内では、トランプ政権等とは別にして、米国議会が超党派で中国に対峙する体制を固めています。だから、トランプ氏が大統領をいずれ辞任したとしても、米国の中国に対する姿勢は変わりません。

プーチン(左)と習近平(右)

そうして、どうやら米国は中国が現在の中国共産党独裁体制を変えるか、それができなければ他国に影響力を行使できないように、徹底的に中国の経済を破壊しようとしているようです。そうして、これは最早貿易戦争の域を超えて、価値観の対立にまでなっています。

中国は独裁体制をおそらく変えられないでしょう。なぜなら、それを実行すれば、中共は統治の正当性を失い、崩壊するからです。となると、米国は中共が経済的に衰え他国に影響力が行使できない程に中国の経済を破壊するまで、制裁を続けるでしょう。

こうした状況をみたプーチン氏は、自分の目が黒いうち(短くてここ数年、長くて10年くらい)に、ロシアが中国の属国的地位から脱する見込みがでてきたと判断したに違いありません。そうして、ロシアがうまく立ち回ることによって、中共の崩壊を加速することも視野に入れているに違いありません。

だかこそ、自らは中国との対峙に専念し、国内政治は信頼できる人物にまかせ、自らは他国に伍して中国の崩壊に際して、ロシアの権益を最大限に拡張すべきとの結論に至ったのでしょう。

さて、中国がある程度経済的にも疲弊した頃には、かつての中ソ対立のように、中露の対立が激しくなってくると予想されます。

その時がまさに、日本にとっては北方領土交渉がやりやすくなるのです。戦後70年以上が過ぎた今、世界でもっとも危険な国は中国です。この唯物論・無神論を国是とした軍事独裁国家を封じ込めるためには、ロシアは日米と平和条約を結び、協力しなければならなくなります。そうでないと、ロシアは中国の属国とみなされ中国の道連れにされるかもしれません。

北方領土

それはプーチンとしては、是が非でも避けたいところでしょう。日米とも手を結び、中国の属国的地位からの脱却を望むに違いありません。

その時こそが、まさに北方領土が我が国に返還される可能性が最大限に高まるのです。我が国としても、今後のロシアの動きに最大限に注意を払い、その機会を逃すべきではありません。

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2019年10月3日木曜日

プーチンの国ロシアの「ざんねんな」正体―【私の論評】将来の北方領土交渉を有利に進めるためにも、日本人はもっとロシアの実体を知るべき(゚д゚)!

プーチンの国ロシアの「ざんねんな」正体

外交官の万華鏡河東哲夫


こわもてで鳴らすプーチンだが、実は「愉快な」人かも

<独裁者が君臨するこわもてロシアの素顔は実は「ずっこけ」――この国に振り回されず、うまく付き合う方法は?>

ロシアと言うとすぐ「おそロシア」とか、もろ肌脱いだこわもてのウラジーミル・プーチン大統領といった話になるが、まじめくさった議論はもう飽きた。実はこの国の人たちはかなりずっこけた「ざんねんな」存在。ロシアを知る者には、それがまたたまらない味なのだ。

世界を席巻する人工知能(AI)やロボット技術について、プーチンの腹心である元財務相アレクセイ・クドリンは、「この開発に遅れれば、ロシアは永遠に遅れることになる」と決まり文句のように言う。奇想天外なことを考えるのが好きなロシア人だから、AIやロボットの開発には向いている。だが経営・技術要員の致命的な不足や製造技術、品質管理、サプライチェーンの遅れによって、多くはアイデア倒れに終わってしまう。

2013年には角速度センサーを逆向きに付けたため、ロケットが発射直後に反転して地上に激突した。開発中のロボットが研究所から迷い出て、大通りの真ん中でバッテリー切れになったこともあった。プーチンは「原子力で長期間、空中待機する巡航ミサイル」を造ると豪語していたが(簡単に撃墜されると思うのだが)、今年8月にはそれが開発中に爆発して技術者を5人も殺し、放射能をまき散らした。

プーチンはじめロシア政府のお歴々は口をそろえて、「いつまでも経済・財政を石油に依存していてはいけない。製造業を何とかしないとロシアはやっていけない」と言うのだが、製造業はロシアのアキレス腱であり続ける。数年前、プーチンは友人の実業家が開発した国産乗用車の試乗会に招待された。ハンドルを握る友人の隣に乗り込むプーチンは冗談半分、「おい、君。大丈夫だよね。この車バラバラにならないよね」と聞いたのだった。

プーチンは独裁者にあらず

ロシア人は契約や規則より、まず自分の都合を優先する。きちんと仕事をしてもらいたかったら、いつも電話で友情を確認し、月に1度は飲みに行くくらいでないといけない。

知識層の地金は西欧のリベラリズムだが、人間の常でロシア人も汚いところは、どうしようもなく汚い。例えばモスクワの墓地は利権の塊だ。「いい場所」は、顧客から袖の下を巻き上げる黄金の小づちでもある。今年6月には、警察幹部が絡む墓地利権の調査をしていた新聞記者が警官からポケットに麻薬を突っ込まれ、麻薬密売未遂の容疑で逮捕される事件があった。非難の声が巻き起こり、事件を仕組んだ警察幹部2人が懲戒免職になっている。

12年前のある日、ビクトル・ズプコフ首相は閣議で部下を叱り飛ばした。「サハリンの地震復興予算は既に送金したはずなのに、現地からはまだ届いていないと言ってくる。調査して是正しろ」。ところが、2カ月たっても問題は解決されなかった。どうも予算は送金の途中で、何者かによって「運用に回されて」しまうらしい。

この国では悪い意味での「個人主義」がはびこっていて、国や国民、会社や社員全体のことまで考える幹部は数えるほどもいない。多くの者にとって公共物は、自分の生活を良くするために悪用・流用するものだ。

そんなわけだから、14年3月、介入開始からわずか2週間ほどでクリミア併合の手続きが完了したとき、プーチンは冗談半分で部下に言った。「本当かい、君たち。これ本当に、われわれがやったのかね?」

プーチンはこのようなロシアにまたがる騎手のような存在だ。公安機関という強力な手綱はあるが、馬が暴れだせば簡単に放り出される。「独裁者」とは違うのだ。ドナルド・トランプ米大統領と同じく、(まがいものの)ニンジンで馬をなだめているポピュリストの指導者なのだ。

そして18年10月、年金支給年齢を5年も引き上げる法案に署名したことで、プーチンは国民の信頼を裏切った。男性の平均寿命が67歳のロシアで、年金支給を65歳から(女性は60歳から)にするというのだから無理もない。

それから1年がたち、プーチンの顔色は冴えない。老いの疲れも見える。ロシアの国威を回復しようと、家庭も犠牲にして20年間頑張ってきたのに、できたことはボリス・エリツィン時代の大混乱を収拾し、ソ連時代のようなけだるい安定を取り戻しただけ。プーチンが政権を握った00年当時に比べると、モスクワは見違えるほど美しく清潔になり、スマートフォンを活用した利便性は東京を上回るほどだ。だが、ロシアに上向きの勢いはない。24年にプーチン時代は終わるので、彼の周辺は利権と地位の確保を狙ってうごめき始めている。

2つの「ソ連」を生きる人々

プーチンはロシアを復活させるに当たって、西側の影響を受けたいわゆる「リベラル」分子を政権から遠ざけた。そのため彼の時代には、エリツィン時代に冷や飯を食わされたソ連的なエリートが復活した。彼らは昔の共産党さながらの万年与党「統一ロシア」に糾合され、その硬直した官僚主義と腐敗は国民の反発を買っている。

政権の柱である公安機関と軍も利権あさりが目に余る。今年4月には、連邦保安局(FSB)の銀行担当の複数の幹部が拘束された。銀行から賄賂を受け取って、中央銀行による免許停止措置を免れさせていたためだ。

7月にモスクワで起きた民主化要求デモをきっかけに、プーチンは公安機関への依存を強めている。約1カ月半の間に全国で3000人が一時拘束され、首謀者の自宅には深夜に公安が踏み込んで逮捕する。まるでスターリン時代のような取り締まりだ。


ロシアは高齢者が少なく、35歳以下の若い世代が人口の約半数を占める。彼らの多くは自由な西側文化に染まり、強い権利意識と上層部の汚職に対する厳しい意見を持ち、SNSの呼び掛けで集会・デモを繰り広げる。何ともちぐはぐだが、現在のロシアでは上層部と政府依存体質の大衆が「ネオ・ソ連時代」を、知識人層は「ネオ・ペレストロイカ時代」を生きている。

ロシアの歴史は繰り返す。支配と富の分配構造が固まって70年もたつと、ひずみと不満が増大して暴力的な革命が起きる。1917年のロシア革命、そして1991年のソ連崩壊がそれだ。ソ連崩壊の結果生まれた現在の構造は、今また破断する定めなのかもしれない。ただロシアの場合、革命は進歩をもたらさない。特権階級が交代するだけだ。

このような国とは、「適当」に付き合うべきだ。極東ロシアは政治・経済両面で日本にとって大きな意味を持たない。極東ロシア軍は人員、装備とも手薄で、日本の脅威ではない。北方領土は当面返さないだろうから、この問題でこちらから譲歩することは避ける。諦めて平和条約を結んでも、見返りに得られるものはない。

ロシアに反日感情はない。むしろ自らの対極とも言える日本文化、日本人に憧れている面もある。きちんとしていないロシア人に振り回されないように気を付けさえすれば、ロシアは「愉快な」相手なのだ。

<ニューズウィーク日本版2019年10月01日号:特集「2020サバイバル日本戦略」より>

【私の論評】将来の北方領土交渉を有利に進めるためにも日本人はもっとロシアの実体を知るべき(゚д゚)!

日本では、ロシアを未だにに超大国と見るむきも少なくないですが、やはり等身大にみるべきでしょう。このブログでは過去に、ロシアの実体を何度か掲載してきたことがあります。

ロシアの経済力は、現状では韓国と同程度です。韓国と同程度とは、どのくらいなのかということになりますが、詳しくはGDPを調べていただくもとして、大体東京都と同じくらいです。

東京都のGDPは日本全体の1/3くらいです。ロシアの経済の現状はこの程度です。この程度の国ができることは、経済的にも軍事的にも限られています。

さらに、人口は1億4千万人程度と、あの広大な領土に比較すると、人口では日本よりもわずかに2千万人しか多くないのです。人口密度がいかに低いのか、よく理解できると思います。

中国と国境を接する極東では、さらに人口密度が低いので、中露国境をまたいで、著しい人口密度の差があります。

この人口密度の極端な違いから、多くの中国人が国境を越境して、物販はもとより様々なビジネスを行い、まるで国境がなきがごとくの状態になっています。これを国境溶解と呼ぶ人もいるくらいです。

ただし、最近では変化も見られます。最近では、ロシア人も中国に出稼ぎにでかけるといいます。情勢は驚くほどに変化しているのです。ただ、国境溶解がより鮮明になっていることは確かです。

このように、現在のロシアは、中国ともまともに対峙できる状況ではありません。かつての中ソ国境紛争など信じられないくらいです。

とはいいながら、ロシアはソ連の核兵器と、軍事技術の直接の継承者であり、あなどることはできません。

特にICBM、SLBMなど、これは軍事技術的にはすでに米露では、数十年前から、成熟した技術であり、両国とも40年も前の核兵器が今でも現役です。

たとえば、米国防総省によると初期のフロッピーディスク規格となる8インチフロッピーディスクが未だに現役だといいます。大陸間弾道ミサイル、戦略爆撃機、空中給油・支援機など一連の核兵器を運用、調整する指揮統制系統だとしており、現場では今から40年前に発売された1976年「IBMシリーズ/1」や当時普及し始めていた8インチフロッピーディスクが運用に用いられているといいます(2017年現在)。

弾道ミサイル発射管制センターで撮影された写真。8インチフロッピーディスクが使用されている

ロシアでも同じ状況です。ソ連時代に開発された、核兵器が未だに現役なのです。それを考えると、確かに軍事的には未だにロシアは侮れない相手であるのは確かです。

とは、いいながら、ICBMやSLBMなどは、実際にはなかなか使用できない兵器であるのも確かです。しかし、ソ連時代の軍事技術を継承したロシアはいまでも、軍事的には侮れないことは確かですが、経済的には見る影もありません。

考えてみてください、仮に東京都が日本から独立して、軍事国家に豹変したとして、世界に向かってどの程度のことができるでしょうか。米国あたりが本気になれば、あっという間に潰されます。さらに、将来的にも経済が伸びる要素はほとんどありません。今のロシアはまさにそのような状況なのです。

経済的にみても、プーチンの国ロシアは、まさに「ざんねんな」国なのです。この、ずっこけた「ざんねんな」ロシアと付き合うには、たしかにもっと鷹揚に構えたほうが良いのかもしれません。

日本では目を疑う熊の散歩もロシアでは日常風景の一つ

北方領土交渉についても、このブログにも過去に掲載しているように、現在帰ってこないからといって、慌てる必要は全くないと思います。

中国が経済的に弱体化してくれば、今は表面化していない、ロシアの中国に対する不満が爆発します。そうなると、過去の中ソ対立のように、中露対決が再現することになります。

経済的に弱体化した中露が激しく対立すれば、ますますロシアの経済力は落ち込みます。そのときこそ、日本は北方領土交渉を強力に推し進めるべきなのです。今は鷹揚にかまえるべきです。とはいいながら、北方領土に関しては、ロシアに一切譲歩すべきではありません。

日本としては対ロシアでは、北方領土が最重要ですが、その他では、経済的にも技術的にもロシアに頼ることはないです。北方領土以外はもっと鷹揚に構えてつきあって行くべきと思います。

ただし、ロシアというと、日本人は強面の「おそロシア」を思い浮かべたり、ロシアマフイアの凄惨さを思い浮かべたり、第二次世界大戦末期や、その後の日本に対する卑劣極まる振る舞いが忘れられない面もあります。確かに、ロシアにはそういう一面はあります。かといつて、それが全部というわけでもありません。

北方領土交渉を将来日本に有利にすすめるためにも、日本人はもっとロシアの実体を知るべきと思います。少なくとも、かつてのソ連時代の超大国のイメージは早々に捨て去るべきです。

北方領土は、一昔前なら戦争して取り返すしかありませんでした。しかし、現在では戦争に変わる方法もありますが、一昔前の戦争と同じくらいの、気構えと機知がないと到底叶うものではありません。それを実行するためにも、現在のロシアを熟知する必要があるのです。

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2017年5月29日月曜日

【究極の二択】韓国の若者、将来はチキン店を開業するか死ぬしかないと話題に―【私の論評】金融緩和に思いが至らない政府なら、日本も同じことになった(゚д゚)!

【究極の二択】韓国の若者、将来はチキン店を開業するか死ぬしかないと話題に

新報道2001が韓国社会の問題を報道しました。その内容を、以下に掲載します。

現在の韓国では公務員を志望する若者が急増しています。その理由は「定年、あるいは老後まで絶対に安泰だから」だそうです。

専門家によると、韓国では財閥や金持ちの家に生まれなければ社会の階級を打ち破れないといいます。そのため若者は勉強しても無駄だと諦めてしまいます。

若者の将来を示す1枚のフローチャートが韓国で話題になりました。そこには将来、餓死、過労死、そしてチキン店のいずれかになってしまうと書かれています。


実際、韓国ではチキン店が急増しており、韓国での店舗数は約3万6000店にのぼります。

若者たちはチキン店になる結末を「起承転鶏(チキン)」と呼んでいるといいます。


3年前にチキン店をオープンさせた男性オーナーは「ロッテで働いていたが、過重労働だったのでいっそ開業しようと思った。でも経営は簡単ではない」と話しています。

韓国では45歳で定年と言われ、再就職もままならないのです。

そのため初期投資費用が最低約170万円から開業できるチキン店を選ぶ人が多いといいます。

新規事業者に対する"チキンハザードマップ"では、ソウル駅を中心に半径5km範囲は真っ赤になっている。開業するチキン店が多すぎるのです。


チキン店新規事業者のうち、開業1年目で廃業するのは18%。開業3年目で廃業するのは49.2%。
開業するチキン店の増加と共に、廃業した店舗も増えています。


いい大学を出て就職しても、企業して努力しても、待つのは「餓死」「過労死」「チキン店」という厳しい現実。

チキン店の増加は1997年のアジア通貨危機にも発生しています。この年に韓国経済が大打撃をうけ、リストラ、倒産、失業が相次ぎました。


専門家は「韓国国民にとって今必要なのは躍動性、ダイナミック性。北朝鮮との統一で新たな道が拓けると皆思っているのです」と話しているそうです。

【私の論評】金融緩和に思いが至らない政府なら、日本も同じことになった(゚д゚)!

報道2001の番組では、以下のグラフも用いられていました。


このグラフ、日本でも似たような状況にあったことは、皆さんも覚えていることと思います。それに、韓国で雇用がかなり悪化しているのは、上の記事からも間違いないようです。

韓国の人口は約5千万人ですが、その韓国にチキン屋が3万6千店ほどあるというのですから、日本で例えるとセブンイレブンとファミマが全部チキン屋みたいな感覚のようです。

さて、韓国ではこの鶏肉とビールの組み合わせを「チメク」と呼んでいます。これは、韓国語で치킨(チキン)と맥주(メクチュ=ビール)の頭文字を取った造語です。ここで出てくるチキンとはフライドチキンのことですから、「チメク」とはフライドチキンとビールの組み合わせのことです。

韓国の会社や学生たちの飲み会では2次会3次会が当たり前です。まず1次会ではゴハンを食べつつお酒を楽しみ、2次会でチメクというパターンが多いようです。
さて、韓国経済の酷い有様は、昨日もこのブログに掲載したばかりです。特に、若者の雇用はかなり悪いようです。

さて、韓国内がこの状況なのですから、韓国内でチキン店を開業してもあまり見込みがないようです。であれば、勢い海外に進出ということを考えるのでしょうが、残念ながら海外進出もうまくいっていないようです。

韓国グルメ、チキン+メクチュの「チメク」
2017年5月8日、韓国・ソウル経済新聞がこのほど報じたところによると、韓国で広く一般化しているフライドチキンとビール(韓国語:メクチュ)を一緒に楽しむ文化「チメク」の人気を信じ相次いで海外市場に進出した韓国のチキンチェーンが苦戦を強いられているそうです。

韓国でトップシェアを誇る「Kyochon(キョチョン)チキンは」、米国1店舗、中国5店舗、タイ6店舗、インドネシア9店舗、マレーシア8店舗、フィリピン5店舗、カンボジア1店舗など7カ国で計35店舗を運営し、海外の29店舗を管理するKyochonアジアは2015年までの赤字経営を経て、昨年にはようやく2億7257万ウォン(約2713万円)の純利益を出すようになりました。しかし15年末には東京・六本木に出店したのですが、高いテナント料などが原因でわずか9カ月で閉店しました。同社の関係者は「日本市場の出店計画を改めて立てているところ」と話しています。 

2015年12月9日に日本1号店として六本木店をオープンしていた
「Kyochon(キョチョン)チキンは」9ヶ月で撤退
Kyochonチキンだけではない。韓国で最も早い03年から海外事業をスタートさせ、子会社を通じて米国や中国、ベトナム、ブラジルなど約30カ国・500以上の海外店舗を運営する「BBQ」も、現在まで海外で赤字を出していることが分かっています。また、14年から香港、中国、マカオ、日本などに進出した「クムネチキン」や、オーストラリア、香港などに店舗を出した「ネネチキン」の場合、事業が初期段階で海外法人も持たずに営業しているが、こちらも現在のところ赤字経営とみられるといいます。 

「BBQ」大蔵世田谷通り店
韓国のチキンチェーンが赤字覚悟で海外市場の開拓に打って出るのは、国内市場がすでに飽和状態となり、これ以上の成長活路がないからだと言われているからです。実際、昨年の韓国チキン加盟店の数はおよそ3万店舗と、15の外食業種の中で圧倒的な1位を占めています。

この実態を受け、業界の専門家らは「海外の場合、韓国のようにデリバリー文化がなかったり、新メニューの認可を受けにくかったりするため、店舗数を短期間に増やすには限界がある。より徹底した市場分析と戦略で近づいていかなければならない」と助言しています。

これについて韓国のネットユーザーからは、「酸化した油を使って引っ掛かったら営業停止になってしまう外国では無理。これはヘル朝鮮(地獄のような韓国)だけでできる食べ物」と皮肉たっぷりのコメントや、「国内の鶏肉の高騰理由はこれか。国内で稼いだ金を海外でこんなふうに使っていたなんて、ひどいな」とチキンチェーンに対し怒りをあらわにするコメントなど、さまざまな声が上がっています。

一方で、「留学時代に東京のコリアンタウンでチキンを食べたけど、2000〜3000円もするくせにチキンは空揚げ並みに小さかった」「チキンにはやっぱりビールだけど、外国人はジョッキを頼んでもちびりちびり飲むから1杯でごちそうさま。それに対し韓国人は飲み続ける。ビールをたくさん売ってこそ利益が出るものだから外国では難しいよ」「外国には元からいろいろな鶏肉料理がある。韓国のチキンには個性がない」と原因を推測するユーザーも多くみられました。

さて、チキンの話を長くつづけてしまいましたが、韓国と違い日本では最近は特に若者雇用は空前の良さです。最近では、完全失業率が2.8%台になっています。それにしても、消費税増税などという、経済政策としては悪手中の悪手を実施してしまったので、まだまだ油断はできませんが、それにしても雇用に関しては、なぜこのように韓国と日本で差がでるのでしょうか。


それは、当然のことながら、日本では2013年から大規模な金融緩和に踏み切ったのですが、韓国ではそうではないということです。マクロ経済の標準的な教科書では、景気が悪くなれば、金融政策としては、金融緩和、財政政策としては積極財政を行うとされています。

特に、金融緩和をすると物価があがり、雇用状況も良くなることが経験的に知られています。

韓国と、日本の差は金融政策の違いによるものです。韓国でも、これから金融緩和を実施すれば、雇用は間違いなく改善します。しかし、韓国では、このような論議はされず、構造改革ばかりが議論されています。

この状況、一昔前の日本の状況と良く似ています。日本でも、経済が落ち込んだときに、構造改革論議ばかりで、景気循環的対策である金融緩和策や積極財政などは全く議論されることなく、結局実施されることもなく長きにわたって、日本経済が低迷し、失われた20年と呼ばれることになりました。

そうして、その状況は安倍総理が誕生して、金融緩和策に踏み切るまでは解消されませんでした。それは以下のグラフをご覧いただければ、明らかです。


アベノミクスの本質は、金融政策であり、それはつまるところ雇用政策でもあるのです。2014年4月からの消費増税は大きなミスであったが、アベノミクスの名の下、安倍政権はさまざまな金融政策を打ってきたので、少なくとも雇用は悪くなっていないどころか、かなり改善しています。

今の韓国はまさに、金融緩和をはじめる前と同じ状況です。雇用情勢が悪化すると、一番最初に大きな影響を受けるのは、若者層です。これは、韓国に限らず、どこの国でも同じです。

そうして、このような主張をすると、日本国内でも決まってでてくる議論は、韓国が金融緩和をするとキャピタルフライトするとか、韓国は財閥などの遅れた仕組みがあり無理などという論議がでてきます。

しかし、昨日もこのブログに掲載したように、変動相場制の国では、金融緩和をしたとしてもキャピタルフライトが起きることは滅多にありません。起こるとすれば、かつてのアイスランドのように、政府以外の国の対外債務が天文学的なほどにかさんでいる場合です。

韓国の対外債務は、さほどではありませんから、韓国が金融緩和をしたとしても、キャピタルフライトはしません。さらに、金融緩和をする前に、財閥解体をしたとしても、それですぐ経済が良くなることはありません。さらに混乱するだけです。

かつての日本でも、構造改革ばかりしようとしていた頃には、一度も景気は上向きませんでしたし、雇用も良くなったことはありません。しかし、2013年から金融緩和をしてはじめて、雇用状況が良くなりました。

私たちは韓国の今の状況をみて学ぶべきです。結局、景気対策として、景気循環的対策である、金融政策や財政政策を機動的に行うことができない政府は、結局経済を良くすることはできないということを・・・・。

安倍政権が成立しないで、自民党であっても他の人が総理大臣になっていたり、最悪民主党政権がいまでも政権の座についていたとしたら、今頃日本の若者も韓国の若者のように大変なことになったいたことでしょう。

若者にこのような苦しい思いをさせることは、絶対にすべきでありません。韓国は一日も早く、金融緩和をすべきですし、日本もポスト安倍には、金融政策を理解している人を総理大臣にすべきです。そうでないとまた、将来を担う若者がとんでもない苦しい思いをすることになります。

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【世界ミニナビ】韓国でまもなく“徳政令”…借金帳消しは経済崩壊の序曲か―【私の論評】金融緩和、積極財政に思いが至らない韓国の悲劇(゚д゚)!

2016年12月1日木曜日

農協改革でまさかの大炎上進次郎部会長の2つの誤算―【私の論評】経済落第生の自民党若手は今のままでは将来の総理大臣など目指せない(゚д゚)!

農協改革でまさかの大炎上進次郎部会長の2つの誤算

TPP推進論者だったが・・・・

「負けて勝つかな」

 11月25日、自民党の農協改革案が了承されたのを受け、小泉進次郎党農林部会長(35)は疲れた表情で記者団にこう語った。

「自民党は2014年に農協に5年以内の自己改革を求める方針を打ち出していましたが、今年の11月11日になって政府の規制改革推進会議が一部組織の縮小を『1年以内』と求め、実現しなければ国が『第二全農』を設立するといった急進的な改革を迫ったのです」(農政担当記者)

 抜本改革に前のめりだった進次郎氏さえも「非常に高いボール」と漏らしたこの案。官邸と党の間で板挟みとなって調整に奔走したが、結局、農林族も許容する規定路線に近い内容に戻った。ライターの常井健一氏が敗因を語る。

「『長老と世論』を味方につける進次郎流の突破術が、ことごとく裏目に出た」

 進次郎氏の目論みは、JAの分断にあった。改革派と組んで、守旧派をぶっ壊す。進次郎氏は部会長就任直後からJA全中の奥野長衛会長に猛アプローチ。参院選では奥野氏の地元・三重県度会町を演説会場に選び、選挙カーの上で揃い踏みまでして見せた。

「単独取材を嫌う進次郎氏が、『文藝春秋』11月号では奥野氏と対談し、自ら蜜月ぶりを演出しました」(同前)

 だが、あまりに高圧的な規制改革推進会議の案に、JA関係者は激怒。昔ながらの抗議集会に否定的だった奥野氏も周囲の突き上げに態度を変えざるをえず、地域農協の幹部ら1500人を都内に集めて政府改革案に抗議した。

「JA内には奥野会長が弱腰だとの批判も出ている。進次郎氏の勝算が誤算に変わった形です」(同前)

 もう一つの誤算が、進次郎氏の“発信力”だ。議論大詰めの10月から11月に集中的に講演を入れ、報道陣のいる場で“抵抗勢力”を挑発した。

「実力者のところに行って『なんとかしてください』と泣きつく。しかも連日。こういった動きが逐一耳に入っていることを、やっている側は気づかない」(10月28日)

 慎重派を「悪者」に仕立て、農林族の敵意を増幅させた挙句が今回の結果だった。自民党のベテラン秘書はこう嘆く。

「彼も認めたように『雑巾がけ』の役職なんだから目立たないところで汗をかいて、咬ませ犬になりきって同情を呼び、見えないところで協力者と手を握るんだ」

 初当選から7年。進次郎氏は正念場を迎えている。

【私の論評】経済落第生の自民党若手は今のままでは将来の総理大臣など目指せない(゚д゚)!

小泉進次郎氏についは、以前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
総裁任期「3期9年」に延長=26日に全体会合へ提示―自民―【私の論評】財務省とわたりあえる人材が出てくるまでは安倍総裁とすべき(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部分を以下に引用します。
現在の民進党の議員のほとんどは、増税推進派で、経済や財政について語るときは、まるで財務省のスポークスマンのようです。民主党政権だったときの、民主党は上記の事実でもわかるように、財務省の使い捨て政党です。その性質は昔から変わらず、現在もそうであり、将来も継承続けていくことでしょう。

一方自民党はどうかというと、これも民進党と同じように、財務省の影響下にあったのは間違いないです。というより、自民党でも安倍総理が、衆院を解散してまで、財務省に反旗を翻して増税を阻止して、真正面からわたりあった最初の総裁ということになります。

自民党も民進党の財務省の使い捨て政党というところまではいかないものの、同じように財務省の影響下にあって、財務省にはなかなか正面切って逆らえなかったというのが実体です。

ただし、今の自民党は、安倍総理と一部の安倍総理に近いブレーンが財務省と渡り合っているだけであって、他の自民党議員はなかなか財務省に諜略されているか、諜略されないまでも正面切って逆らえないというのが実体です。

例えばかって小泉純一郎元首相は在任時に「景気が回復すると構造改革ができなくなる」と明言していました。これは、平たくいうと、構造改革をするためには、金融緩和や積極財政はしてはならないということです。これでは、まるで財務省のスポークスマンのようです。

実際に8%増税は、大失敗だったことは統計数値をみれば明らかなのに、民進党は先ほど述べたように、ほとんどが増税狂です。

しかし、自民党でも安倍総理とこれに近いブレーンは別として、ほとんどの議員は金融政策の意味や、財政政策の正しい運用の仕方を理解してないか、理解していたとしても、財務省に正面切って逆らえないでいるようです。

ちなみに自民党の中の「ポスト安倍」と目されている人たち、たとえば、稲田朋美防衛大臣、小泉進次郎衆議院議員、石破茂衆議院議員らの過去の発言をみれば、消費増税ありきの財政再建主義か、もしくは金融政策中心のデフレ脱却への懐疑的であったり批判的であることが明瞭です。

稲田大臣は、先の再延期の前には「消費税をまず1%引き上げる」案をだしていましたが、そもそも消費増税を経済が低迷しているときになぜ増税にそこまでこだわるのか、その背景についての説明は全くありませんでした。最初から消費引き上げ自体を目的とした発言としか思えません。
そうして、小泉議員はより深刻です。先の再延期のときの報道を読むかぎりでは、消費増税先送りへの懐疑的な態度にくわえて、親譲りなのでしょうか、とにかく社会保障の見直しなどで、倹約という視点しかありません。景気循環的な発想が全くありません。増税延期が決まった直後の、「延期するけれども決まっていた(社会保障)充実策はやるというなら、こんなおいしい話はない。 そんなおいしい話に若い人たちはだまされない」と発言にはほんとうに驚いてしまいました。これでは、まるで財務省のスポークスマンであり、経済・財政などに関しては、民主党議員とほとんど変わりありません。

小泉議員の経済に関する、知見もこの程度のものです。消費増税は積極的に先送りすることで、経済成長を安定化させ、そこで財政再建(社会保障制度の積極的な拡充)も実現していくべきなのですが、その手の発想は過去の発言をみるかぎり皆無です。

それに、現状では以前もこのブログに掲載したように、財政再建は終了間際です。間際というか、もうすでに終了したか、終了は間近です。その記事のリンクを以下に掲載します。
蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!
 

統合政府(日銀なども含めた政府全体)ベースでの日本国の貸借対照表ベースでは、政府債務残高は以下の様な状況です。これに関しては、その根拠もこの記事で説明しています。

2017年には、国の借金はなくなるどころか、借金がマイナスつまり、借金どころか、国以外に金を貸し付けている状態になるのです。これでは、増税をする根拠など全くないのです。


にもかかわらず、民進党の議員はもとより、自民党の小泉進次郎議員、稲田朋美大臣なども、財務省が垂れ流す国の借金1000兆円説に幻惑されて、それを真に受けているのです。

だからこそ増税延期が決まった直後に小泉議員は、「延期するけれども決まっていた(社会保障)充実策はやるというなら、こんなおいしい話はない。 そんなおいしい話に若い人たちはだまされない」と発言したのです。

こんな有様ですから、小泉議員をはじめ、自民党の多くの議員は経済では、安倍総理大臣の足を引っ張っているとしかいいようがありません。それでも、自民党の幹部連中は、安倍政権の支持率が高いので、本当は経済のことなど良くはわかっていないのですが、それでも安倍政権を盛り立てようということで、現状では一致しているのだと思います。

そうして、金融緩和による雇用状況の良さもあります。以下に最近の雇用情勢を示すグラフを掲載します。


総務省が29日発表した労働力調査によると、10月の完全失業率(季節調整値)は3.0%で、前月と同水準でした。完全失業者数は前月比5万人減の197万人と、1995年2月以来、21年8カ月ぶりに200万人を下回りました。同省は「雇用情勢が引き続き改善傾向で推移している」(労働力人口統計室)と判断しました。

完全失業者数は、男性が6万人減った半面、女性は1万人増えました。雇用者数(季節調整前)は前年同月比89万人増の5793万人と、比較可能な53年以降で最高でした。

厚生労働省が発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント上昇の1.40倍でした。91年8月以来、25年2カ月ぶりの高水準で、2カ月連続で改善しました。同省は「医療・福祉や宿泊・飲食サービスなどで人手不足感が強く、求人倍率を押し上げている側面がある」(雇用政策課)と分析しました。
求人倍率はハローワークに申し込んだ求職者1人当たりの求人数を示します。10月は、求人数が1.4%増加した一方で求職者数は0.3%減少しました。正社員の求人倍率は0.89倍と、2004年11月の集計開始以降で最高となりました。 

これに関しては、さすがに経済に疎い、民主党議員でも、それに負けず劣らず疎い自民党議員でも、雇用がかなり改善していることは認めざるをえないでしょう。

ただし、彼らの多くは、金融緩和政策が世界標準では雇用を改善する手段であるということを認識していないので、この状況を単に運が良かったとか、偶然運が良かったくらいにしか認識していないかもしれません。



この状況では、安倍総理は安心して次の世代に政権を譲ることはまだまだできません。だからこそ、総裁の任期を延長したのでしょう。安倍総理としては、この延長した期間の中で、次期総理大臣の器を持つ人を育てる腹なのでしょう。これが育たなければ、やめられないという思いなのでしょう。

日本経済は、雇用が改善したとはいえ、まだまだ改善の余地があります。雇用もまだ改善する余地があります。完全失業率は、3.0%ですが、最低でも2.7%、もしかすると2.5%までの水準にできる余地があります。そもそも、物価目標2%はまだ達成できていません。

これを成就するためには、さらなる量的追加金融緩和が必要です。しかしこんなことは、民進党の議員はほぼ全員、自民党の議員ですら大部分がそうは思ってないのだと思います。


そうして、本来は増税はおろか、減税なども視野に入れた機動的財政政策も本来実行すべきなのです。今の日本経済は、8%増税により、個人消費が抑制され、デフレに舞い戻りかねない状況です。このようなこと、本来国会議員全員が認識してなければならないことです。

しかし、そうではないというのが本当に残念なことです。

小泉進次郎議員について、ブログ冒頭の記事では、「進次郎氏は正念場を迎えている」としていますが、無論現在の農政の仕事でもうまくいかなければ、将来の総理大臣の道は閉ざされることにもなるかもしれないのですが、現状のように財務省の使い捨て議員のような状況では、さらに将来の総理大臣の道が遠のくと思います。

とにかく、現在の自民党議員、マクロ経済を学んで、財務省と対峙できる人材が一人でも多く育たない限りは、安倍総理は後進に道を譲ることもできないし、日本の将来も危ぶまれます。

そうして、進次郎議員のような若手議員も、あたかも大きな政治集団であるかのように振る舞う財務省の存在こそが、日本の大きな政治問題であることを認識しなければ、将来の総理大臣候補になることはできないでしょうし、そうさせるべきでもありません。

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2015年6月17日水曜日

「中国には言わず、米には主張する」石垣市長が沖縄知事批判―【私の論評】いつの間にか増えた日本の腹の中露出狂!奴らに将来はない(゚д゚)!


中山義隆市長
【石垣】尖閣諸島中国公船が領海侵犯を繰り返している問題で、石垣市の中山義隆市長は16日の市議会で「翁長雄志知事は中国のトップに会っても何も発言せず、アメリカでは米軍基地問題をドンドン訴えている」などと知事の対応を批判した。崎枝純夫市議の質問に関連して答弁した。

崎枝氏は自衛隊配備や辺野古移設、尖閣諸島などの問題に触れ、翁長知事を支援する立場で質問。

中山市長は、知事が経済交流促進を目的に4月に中国で李克強首相らと面談したことを挙げ「翁長知事はマスコミに『領土問題は一地方自治体の長が言うべきでない』と述べた。私は大変憤った」と指摘。

中国の公船が沖縄の行政区域で領海侵犯を繰り返す中、中国トップに会えても何も発言しない。片方の国に言わず、アメリカでは基地問題を言う。那覇市長だったらいいが、沖縄県知事だ」と語気を強めて批判した。

【私の論評】いつの間にか増えた日本の腹の中露出狂!奴らに将来はない(゚д゚)!


翁長知事は、本当にわかりやすいです。中山義隆市長が語るように、「中国には言わず、米には主張する」ということでは、大声で自分は「親中派だ、媚中派」だと叫んでいるようなものです。そうして、もしかして中国スパイなのではないかと疑われても仕方ないと思います。

無論、中国スパイとはいっても、いろいろあるでしょう。中国から直接金品をもらったり、特別待遇をしてもらう中国スパイもいるでしょうし。中国に弱みを握られて、中国スパイをせざるをえない方もいるでしょうし、マスコミや多くの人々の言動に幻惑されて、中国幻想に酔ってしまい、実質的に中国スパイと同じような行動をする人、そこまでいかなくとも、心情的には完璧に親中派・媚中派になる人もいると思います。

スパイ防止法のない日本には中国スパイが多数存在するのは周知の事実
誤解を招きたくはないので、私はが言う中国スパイとは、これらすべてを含めているものとお考え下さい。無論、私は翁長知事が中国スパイであると断定しているわけではありません。それには、得られる情報が少ないので、断定はできません。

しかし、翁長知事の行動をみていれば、本当にわかりやすいです。これでは、あからさまに自分は中国スパイだと言っているに等しいです。そうだと疑われても仕方ないと思います。だからこそ、中山義隆石垣市長が、ブログ冒頭の記事で憤っているのだと思います。

沖縄知事の当たり前の感覚であれば、尖閣で中国の艦艇や、航空機が頻繁に領海侵犯や、領空侵犯を繰り返すだけではなく、尖閣諸島は中国のものであると主張する中国に対しては、いくら親中派、媚中派であったにしても、ある程度は苦言を呈するのが当たり前でしょう。

しかし、アメリカでは自分の主張を繰り返し、中国には一言も言わないということであれば、あまりにも腹の中が見え見えです。これを交渉ごとに例えてみると非常にわかりやすいです。
交渉ではWIN-WINの関係になれれば良いのだかそうとは限らない
企業同士で、交渉をするときには、交渉担当者は普通、取引条件に関していくつかの段階を設定します。たとえば、Aは自社にとって、最も有利と考えられる条件であり、これを勝ち得たら大勝利、Bはどうしても譲ることができない条件、Cは最も不利と考えられる条件で、これ以下条件で取引すれば、全くの負けという具合です。場合によっては、もっと多数の条件を想定するのが普通です。

腹の中には、この条件があるにしても、交渉とは相手があるものですから、相手の腹を探りつつ、他の与件なども勘案しつつ、交渉をすすめていきます。最初から、Bの条件を相手にしゃべって、Bは絶対に譲れないなどと語る交渉人はいません。

しかし、中国と、米国に対する翁長氏の態度は、まるで、このBを最初から主張する交渉人のようです。頭は大丈夫なのかと言いたいです。翁長氏の交渉は、対米でも、対中でも、政府に対してもすべてこの調子です。これは、交渉人として最低レベルです。翁長氏にはまともな交渉など全く出来ないようです。

訪米した翁長氏
それにしても、このような中国スパイもしくは、中国スパイもどきが日本には大勢います。

例をあげてみましょう。最近の例では、AIIBです。無邪気にAIIBに日本が参加しないことを「バス乗り遅れ」という連中です。「バス乗り遅れ論」を語り、TPP大反対を語る連中は中国スパイだとのそしりを受けても仕方ないと思います。

無論、TPPに反対するななどとはいいません。反対したとしても、それだけで中国スパイなどと言うつもりはありません。しかし、中国主催の、AIIBに日本が参加することを両手をあげて賛成しておきながら、米国主導のTPPには大反対ということになれば、それは話が違います。

米国主催のTPPには反対するが、AIIBにはもっと大反対というのなら、筋は通ります。それに、たとえ中国スパイであったにしても、AIIBには少し反対だが、こういういいところもあるから参加すべきというのなら、わかりますが、両手をあげて大賛成で、米国主催とTPP大反対というのであれば、これはもう自ら自分は中国スパイだと公言しているようなものです。

こんなバスなら乗り遅れたくないかも
こんなことは、今の日本にはかなりあります。たとえば、日本国内の原発に稼働大反対しておきながら、中国の原発には何も言わない人とか、日本の安保法制改正にさんざんぱら、文句を言いながら、中国の軍備拡張には何の異議も唱えない人とか・・・・。

あるいは、オスプレイ導入に大反対しておきながら、中国の航空母艦導入や、ステルス機の開発には全く異議を唱えない人とか・・・。

こういう人たちで何なんでしょう。自ら、中国スパイと公表しているようなものではありませんか。

まるで、腹の中が見え見えです。いつから、こんな人が増えたのでしょうか。やはり、日本があまりにも長い間平和だったので、平和ボケした人が増えたからでしょうか。

本当にあまりにもあからさまなので、私自身はこういう人を見ると、中山義隆市長のように憤るには憤るのですが、あまりに馬鹿馬鹿しくて、心底笑ってしまいます。

それにしても、平和ボケした今の左翼やリベラルの方々、こんなことでは、ソ連スパイのコミンテルン先輩諸氏に厳しく叱責されることになると思います。

コミンテルンは、戦前戦中には、アメリカの中枢部に深く入り込み、300人以上も存在したというし、日本を大東亜戦争開戦に導いた近衛内閣にもかなり浸透していたことも知られています。

そうして、戦後に日本に進駐したGHQの中にも多数紛れ込んでいたことは、今では明るみにでています。実際に戦わず、日本やアメリカの中枢を支配し、自分たちに都合の良い方向にもっていったし、今でもその影響が色濃く残っています。

これら、コミンテルンはかなり巧妙なやり方をしていました。なかなか見破られないように、隠密裏に行動していました。だかこそ、あれだけのことができたのです。

日本における現代の中国スパイはそうではありません。あからさまに正体がバレるような人がほとんどです。こんなことでは、一般企業にもまともに勤められないと思います。腹の中を人々の前にさらすということでは、まるで露出狂のようです。

こういう露出趣味なら見ていて楽しくもあるが、腹の中の露出は・・・?
しかし、これだけわかりやすい中国スパイが、あちらこちらに多数存在する今の日本という国は、本当にとんでもない国になってしまったのかもしれません。

とはいいながら、そうでない人も大勢いることも確かです。少なくと、私の身の回りには、そういう人が大勢います。

それにしても、腹の中丸出しの人たちには、まともな将来はないと思います。中国が崩壊すれば、もう終わりです。その日は近いです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年11月27日木曜日

中国、成長目標下げへ 15年7%前後 安定軌道狙う ―【私の論評】保八を捨てるのではなく、捨てざるをえなくなった中国に将来はないものと心得よ!体制の崩壊と、それに伴う天下の大乱は必定(゚д゚)!





【北京=大越匡洋】中国の習近平指導部は年間の経済成長率の目標を2015年に3年ぶりに引き下げる方向で最終調整に入った。今年まで「7.5%前後」としていた目標を「7%前後」に下げる案が有力だ。成長速度をいくぶん緩め、持続可能な安定軌道への軟着陸をめざす。足取りが確かとはいえない世界経済のけん引力が弱まることに懸念も広がりそうだ。

習指導部は12月初旬にも、翌年の経済運営方針を決める中央経済工作会議を開き、15年の成長目標を決める。複数の共産党関係者が「目標を下げるだろう。新たな目標は『7%前後』が軸になる」と語った。来年3月の全国人民代表大会(国会に相当)で公表する。

中国は成長目標を05年から7年連続で8%、12年から3年連続で7.5%とした。13年までは実績が目標を上回ったが、今年1~9月の成長率は前年同期比7.4%と目標に届いていない。住宅販売の不振が投資や生産の鈍化に波及したほか、製造業の過剰設備の解消など構造調整圧力も加わり、足元では景気の減速感が強まっている。

【私の論評】保八を捨てるのではなく、捨てざるをえなくなった中国に将来はないものと心得よ!体制の崩壊と、それに伴う天下の大乱は必定(゚д゚)!

そもそも、中国の統計は出鱈目であり、米国の経済学者などでは、中国は未だ世界第ニの経済大国にはなっていない可能性が高いことを指摘する人もいます。

しかし、出鱈目は出鱈目にしても、それなりにある程度の根拠があり、たとえば実際より10%増しにするなどのことはあると思います。

だから、過去の中国においては、それなりのこれだけは、下回ってはいけないという最低限の目標数値がありました。

それが、保八です。中国には、昔からこの保八という言葉があり、「8%以上の成長率を保とう」という意味合いですが、2009年の全国人民代表大会(全人代)においては、当時の温家宝首相は「保八」への決意を高らかに宣言し、政府の経済運営の最大の数値目標として設定しました。

2009年の全人代で高らかに保八を宣言した当時の温家宝首相
過去15年間に、中国では求職者人口がピークに達し、都市部の急速な発展期を迎えていました。そのため、雇用機会を創出するため、政府当局は経済成長率8%を目標にしなければならなかったのです。

経済の成長率が8%以下に落ちると、失業率が拡大して社会的不安が広がり、体制安定の基盤が根本から脅かされかねない状況なのです。日米独のような先進国とは異なり、8%以上の成長をしなければ、雇用情勢が悪化するのです。

そのため、「保八」は中国当局最大の政治保証で、または中国の経済成長を判断する分岐点となり、人々が中国経済への信頼感を測る最低水準とされていました。この「保八」方針を取りやめた中国政府はやはり国内の経済発展に自信を喪失したのでしょう。

もともと、出鱈目の経済成長率ですから、保八なども簡単に出来そうですが、出鱈目であっても、何とかその出鱈目を粉飾できる範囲というものがあります。おそらく、これから、雇用情勢も悪化することも予想されるのだと思います。その時に保八を実行したなどと言っても、現実の雇用情勢の悪化など隠しおおせない程度に悪化していて、隠しおおせる状況にないのだと思います。

だから、こそ保八を諦めたことを発表せざるを得なくなったのです。そういわれてみれば、中国では大学生の数が昔よりはるかに増えたとはいいなが、大学生の就職難が数年前からかなり深刻になっていました。それは、今でもかわりありません。もう中国の経済は破綻しつつあるとみるのが、妥当です。

中国の就職フェア 今年の6~7月の大卒予定者727万人、中国は史上空前の就職難

長い間、中国の労働生産性の成長速度は労働者賃金の成長速度よりもはるかに速く、労働者の所得が増えないため、国内消費拡大を妨ぐことができました。2012年でさえ、個人消費が中国GDPの約3分の1を占めていましたが、その割合が2分の1を超える多くの国と比べて異常な低さでした。

一方、GDPに占める中国の投資の割合は約半分となっていました。これは現在多くの国では見られないことです。多くの経済学者は中国がGDPに占める投資の割合を長期的に維持していくことは、不可能だと指摘していました。また、中国の輸出は、GDPの40%以上を占めています。投資と、輸出でGDPのほとんどを占めるという異常な経済構造です。

これは、裏読みすれば共産党の独裁的支配体制の存続は、「成長率」という経済的数値の変動に大きく左右されるような事態になっていたということです。要するに、エラのないサメのようなものです。エラのないサメは、泳いで前進しつづけなければ、息がてきなくて、死んでしまいます。

日本や、アメリカのような国であれば、たとえ経済成長しなくても、確かに大変といえば、大変ですが、何とか維持はできます。しかし、中国では経済成長が止まってしまえば、死んでしまうということです。そうして、輸出や、投資にもかなり左右さます。そうした中にあっては、是が非でも、高い成長率を維持しなければならなかったのです。

過去の中国では、10%以上の成長率を維持して経済が繁栄している最中でさえ、年間数万件の暴動が起きていました。それが、2010年からは、10万件以上になったともいわれています。

中国で日常的に発生する暴動

日本やアメリカが経験しているようなゼロ成長や、マイナス成長ともなれば、体制の崩壊と、それに伴う天下の大乱は必定です。

あれだけこだわっていた保八を捨てた習近平の中国は、これからどういう道を歩むのでしょうか。ますます、社会不安が深刻になり、とんでもないことになりそうです。現体制がこのままずっと継続できるとはとても考えられません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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