2017年5月29日月曜日

【究極の二択】韓国の若者、将来はチキン店を開業するか死ぬしかないと話題に―【私の論評】金融緩和に思いが至らない政府なら、日本も同じことになった(゚д゚)!

【究極の二択】韓国の若者、将来はチキン店を開業するか死ぬしかないと話題に

新報道2001が韓国社会の問題を報道しました。その内容を、以下に掲載します。

現在の韓国では公務員を志望する若者が急増しています。その理由は「定年、あるいは老後まで絶対に安泰だから」だそうです。

専門家によると、韓国では財閥や金持ちの家に生まれなければ社会の階級を打ち破れないといいます。そのため若者は勉強しても無駄だと諦めてしまいます。

若者の将来を示す1枚のフローチャートが韓国で話題になりました。そこには将来、餓死、過労死、そしてチキン店のいずれかになってしまうと書かれています。


実際、韓国ではチキン店が急増しており、韓国での店舗数は約3万6000店にのぼります。

若者たちはチキン店になる結末を「起承転鶏(チキン)」と呼んでいるといいます。


3年前にチキン店をオープンさせた男性オーナーは「ロッテで働いていたが、過重労働だったのでいっそ開業しようと思った。でも経営は簡単ではない」と話しています。

韓国では45歳で定年と言われ、再就職もままならないのです。

そのため初期投資費用が最低約170万円から開業できるチキン店を選ぶ人が多いといいます。

新規事業者に対する"チキンハザードマップ"では、ソウル駅を中心に半径5km範囲は真っ赤になっている。開業するチキン店が多すぎるのです。


チキン店新規事業者のうち、開業1年目で廃業するのは18%。開業3年目で廃業するのは49.2%。
開業するチキン店の増加と共に、廃業した店舗も増えています。


いい大学を出て就職しても、企業して努力しても、待つのは「餓死」「過労死」「チキン店」という厳しい現実。

チキン店の増加は1997年のアジア通貨危機にも発生しています。この年に韓国経済が大打撃をうけ、リストラ、倒産、失業が相次ぎました。


専門家は「韓国国民にとって今必要なのは躍動性、ダイナミック性。北朝鮮との統一で新たな道が拓けると皆思っているのです」と話しているそうです。

【私の論評】金融緩和に思いが至らない政府なら、日本も同じことになった(゚д゚)!

報道2001の番組では、以下のグラフも用いられていました。


このグラフ、日本でも似たような状況にあったことは、皆さんも覚えていることと思います。それに、韓国で雇用がかなり悪化しているのは、上の記事からも間違いないようです。

韓国の人口は約5千万人ですが、その韓国にチキン屋が3万6千店ほどあるというのですから、日本で例えるとセブンイレブンとファミマが全部チキン屋みたいな感覚のようです。

さて、韓国ではこの鶏肉とビールの組み合わせを「チメク」と呼んでいます。これは、韓国語で치킨(チキン)と맥주(メクチュ=ビール)の頭文字を取った造語です。ここで出てくるチキンとはフライドチキンのことですから、「チメク」とはフライドチキンとビールの組み合わせのことです。

韓国の会社や学生たちの飲み会では2次会3次会が当たり前です。まず1次会ではゴハンを食べつつお酒を楽しみ、2次会でチメクというパターンが多いようです。
さて、韓国経済の酷い有様は、昨日もこのブログに掲載したばかりです。特に、若者の雇用はかなり悪いようです。

さて、韓国内がこの状況なのですから、韓国内でチキン店を開業してもあまり見込みがないようです。であれば、勢い海外に進出ということを考えるのでしょうが、残念ながら海外進出もうまくいっていないようです。

韓国グルメ、チキン+メクチュの「チメク」
2017年5月8日、韓国・ソウル経済新聞がこのほど報じたところによると、韓国で広く一般化しているフライドチキンとビール(韓国語:メクチュ)を一緒に楽しむ文化「チメク」の人気を信じ相次いで海外市場に進出した韓国のチキンチェーンが苦戦を強いられているそうです。

韓国でトップシェアを誇る「Kyochon(キョチョン)チキンは」、米国1店舗、中国5店舗、タイ6店舗、インドネシア9店舗、マレーシア8店舗、フィリピン5店舗、カンボジア1店舗など7カ国で計35店舗を運営し、海外の29店舗を管理するKyochonアジアは2015年までの赤字経営を経て、昨年にはようやく2億7257万ウォン(約2713万円)の純利益を出すようになりました。しかし15年末には東京・六本木に出店したのですが、高いテナント料などが原因でわずか9カ月で閉店しました。同社の関係者は「日本市場の出店計画を改めて立てているところ」と話しています。 

2015年12月9日に日本1号店として六本木店をオープンしていた
「Kyochon(キョチョン)チキンは」9ヶ月で撤退
Kyochonチキンだけではない。韓国で最も早い03年から海外事業をスタートさせ、子会社を通じて米国や中国、ベトナム、ブラジルなど約30カ国・500以上の海外店舗を運営する「BBQ」も、現在まで海外で赤字を出していることが分かっています。また、14年から香港、中国、マカオ、日本などに進出した「クムネチキン」や、オーストラリア、香港などに店舗を出した「ネネチキン」の場合、事業が初期段階で海外法人も持たずに営業しているが、こちらも現在のところ赤字経営とみられるといいます。 

「BBQ」大蔵世田谷通り店
韓国のチキンチェーンが赤字覚悟で海外市場の開拓に打って出るのは、国内市場がすでに飽和状態となり、これ以上の成長活路がないからだと言われているからです。実際、昨年の韓国チキン加盟店の数はおよそ3万店舗と、15の外食業種の中で圧倒的な1位を占めています。

この実態を受け、業界の専門家らは「海外の場合、韓国のようにデリバリー文化がなかったり、新メニューの認可を受けにくかったりするため、店舗数を短期間に増やすには限界がある。より徹底した市場分析と戦略で近づいていかなければならない」と助言しています。

これについて韓国のネットユーザーからは、「酸化した油を使って引っ掛かったら営業停止になってしまう外国では無理。これはヘル朝鮮(地獄のような韓国)だけでできる食べ物」と皮肉たっぷりのコメントや、「国内の鶏肉の高騰理由はこれか。国内で稼いだ金を海外でこんなふうに使っていたなんて、ひどいな」とチキンチェーンに対し怒りをあらわにするコメントなど、さまざまな声が上がっています。

一方で、「留学時代に東京のコリアンタウンでチキンを食べたけど、2000〜3000円もするくせにチキンは空揚げ並みに小さかった」「チキンにはやっぱりビールだけど、外国人はジョッキを頼んでもちびりちびり飲むから1杯でごちそうさま。それに対し韓国人は飲み続ける。ビールをたくさん売ってこそ利益が出るものだから外国では難しいよ」「外国には元からいろいろな鶏肉料理がある。韓国のチキンには個性がない」と原因を推測するユーザーも多くみられました。

さて、チキンの話を長くつづけてしまいましたが、韓国と違い日本では最近は特に若者雇用は空前の良さです。最近では、完全失業率が2.8%台になっています。それにしても、消費税増税などという、経済政策としては悪手中の悪手を実施してしまったので、まだまだ油断はできませんが、それにしても雇用に関しては、なぜこのように韓国と日本で差がでるのでしょうか。


それは、当然のことながら、日本では2013年から大規模な金融緩和に踏み切ったのですが、韓国ではそうではないということです。マクロ経済の標準的な教科書では、景気が悪くなれば、金融政策としては、金融緩和、財政政策としては積極財政を行うとされています。

特に、金融緩和をすると物価があがり、雇用状況も良くなることが経験的に知られています。

韓国と、日本の差は金融政策の違いによるものです。韓国でも、これから金融緩和を実施すれば、雇用は間違いなく改善します。しかし、韓国では、このような論議はされず、構造改革ばかりが議論されています。

この状況、一昔前の日本の状況と良く似ています。日本でも、経済が落ち込んだときに、構造改革論議ばかりで、景気循環的対策である金融緩和策や積極財政などは全く議論されることなく、結局実施されることもなく長きにわたって、日本経済が低迷し、失われた20年と呼ばれることになりました。

そうして、その状況は安倍総理が誕生して、金融緩和策に踏み切るまでは解消されませんでした。それは以下のグラフをご覧いただければ、明らかです。


アベノミクスの本質は、金融政策であり、それはつまるところ雇用政策でもあるのです。2014年4月からの消費増税は大きなミスであったが、アベノミクスの名の下、安倍政権はさまざまな金融政策を打ってきたので、少なくとも雇用は悪くなっていないどころか、かなり改善しています。

今の韓国はまさに、金融緩和をはじめる前と同じ状況です。雇用情勢が悪化すると、一番最初に大きな影響を受けるのは、若者層です。これは、韓国に限らず、どこの国でも同じです。

そうして、このような主張をすると、日本国内でも決まってでてくる議論は、韓国が金融緩和をするとキャピタルフライトするとか、韓国は財閥などの遅れた仕組みがあり無理などという論議がでてきます。

しかし、昨日もこのブログに掲載したように、変動相場制の国では、金融緩和をしたとしてもキャピタルフライトが起きることは滅多にありません。起こるとすれば、かつてのアイスランドのように、政府以外の国の対外債務が天文学的なほどにかさんでいる場合です。

韓国の対外債務は、さほどではありませんから、韓国が金融緩和をしたとしても、キャピタルフライトはしません。さらに、金融緩和をする前に、財閥解体をしたとしても、それですぐ経済が良くなることはありません。さらに混乱するだけです。

かつての日本でも、構造改革ばかりしようとしていた頃には、一度も景気は上向きませんでしたし、雇用も良くなったことはありません。しかし、2013年から金融緩和をしてはじめて、雇用状況が良くなりました。

私たちは韓国の今の状況をみて学ぶべきです。結局、景気対策として、景気循環的対策である、金融政策や財政政策を機動的に行うことができない政府は、結局経済を良くすることはできないということを・・・・。

安倍政権が成立しないで、自民党であっても他の人が総理大臣になっていたり、最悪民主党政権がいまでも政権の座についていたとしたら、今頃日本の若者も韓国の若者のように大変なことになったいたことでしょう。

若者にこのような苦しい思いをさせることは、絶対にすべきでありません。韓国は一日も早く、金融緩和をすべきですし、日本もポスト安倍には、金融政策を理解している人を総理大臣にすべきです。そうでないとまた、将来を担う若者がとんでもない苦しい思いをすることになります。

【関連記事】

【世界ミニナビ】韓国でまもなく“徳政令”…借金帳消しは経済崩壊の序曲か―【私の論評】金融緩和、積極財政に思いが至らない韓国の悲劇(゚д゚)!

0 件のコメント:

「河村たかし前市長の政策と理念を引き継ぐ」名古屋市長選で広沢一郎が当選 自・立・国・公推薦の大塚耕平さんら破る―【私の論評】名古屋市長選の勝因と敗因:広沢氏の戦略とメディアの責任を問う

「河村たかし前市長の政策と理念を引き継ぐ」名古屋市長選で広沢一郎が当選 自・立・国・公推薦の大塚耕平さんら破る  河村市政15年の評価などが争点となった名古屋市長選挙が11月24日、行われ、新人で元副市長の広沢一郎さんが当選を果たしました。 【動画で見る】「河村たかし前市長の政...